JP2719060B2 - アンチセンスオリゴヌクレオチドを有効成分とする固形癌治療剤 - Google Patents

アンチセンスオリゴヌクレオチドを有効成分とする固形癌治療剤

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JP2719060B2 JP3278407A JP27840791A JP2719060B2 JP 2719060 B2 JP2719060 B2 JP 2719060B2 JP 3278407 A JP3278407 A JP 3278407A JP 27840791 A JP27840791 A JP 27840791A JP 2719060 B2 JP2719060 B2 JP 2719060B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】(関連出願の表示) 本願の優先権の主張の基礎となる米国特許出願は、米国
特許出願第07/607,113号の一部継続出願であ
り、その内容は本明細書において引用されている。
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、薬化学、より詳細に云
うと、ある種のアンチセンス(antisense)オリゴヌクレ
オチドおよびかかるアンチセンスオリゴヌクレオチドの
使用による癌治療に関する。本発明は、合衆国政府の援
助をもって成されたものである。従って、合衆国政府
は、本発明に関してある種の権利を有する。
【0003】
【従来の技術】細胞の増殖と分化に関する制御機構は、
腫瘍細胞において途絶される[アドブ・オンコル(Adv.
Oncol.)第4巻、第1−8頁(1988年)に掲載のヴ
ィー・アール・ポッター(V.R.Potter)等の論文、
セミン・ヘマトール(Semin.Hematol.)第25巻、第
1−19頁(1988年)に掲載のエイ・ストライフ
(A.Strife)およびビー・クラークソン(B.Clarkso
n)の論文、キャンサー・リサーチ(Cancer.Res.)第
47巻、第1981−1986頁(1987年)に掲載の
エル・サックツス(L.Sachs)の論文]。
【0004】細胞内調節物質であるcAMPは、細胞の
増殖と分化の制御において機能を発揮すると考えられて
きた[アニュアル・レビュー・オブ・バイオケミストリ
ー(Ann.Rev.Biochem.)第44巻、第491−52
2頁(1975年)に掲載のアイ・パスタン(I.Pasta
n)、ジー・エス・ジョンソン(G.S.Johnson)および
ダブリュ・ビー・アンダーソン(W.B.Anderson)等
の論文、バイオロジカル・レビューズ(Biol.Rev.)
第50巻、第129−165頁(1975年)に掲載のケ
イ・エヌ・プラサド(K.N.Prasad)の論文、ジャー
ナル・オブ・サイクリック・ヌクレオチド・リサーチ
(J.Cyclic Nucleotide Res.)第6巻、第163
−177頁(1980年)に掲載のワイ・エス・チョ・チ
ュン(Y.S.Cho−Chung)の論文、ソマティック・セ
ル・モト・ジェネット(SomaticCell Mot Genet)
第13巻、第451−457頁(1987年)に掲載のテ
ィー・ティー・パック(T.T.Puck)の論文]。
【0005】cAMPの細胞の増殖に対する抑制または
刺激作用は、N6−O2'−ジブチリルアデノシン3',5'
−サイクリックモノホスフェートのようなcAMPアナ
ログ、または細胞内cAMPを異常なかつ連続して高い
レベルまで高める薬剤を使用した研究において既に報告
されており、入手できるデータは著しく異なって理解さ
れている[アドバンシズ・イン・サイクリック・ヌクレ
オチド・プロテイン・ホスホリレイション・リサーチ
(Adv.Cyclic Nucleotide Protein Phosphoryl
at.Res.)第6巻、第245−338頁(1975年)
に掲載のエフ・ジェイ・チャポウスキー(F.J.Chap
owski)、エル・エイ・ケリー(L.A.Kelly)およびア
ール・ダブリュ・ブッチャー(R.W.Butcher)の論
文、フロリダ州、ボカ・ラトン(Boca Raton)のシー
アールシー(CRC)発行、シェイ・エイ・ケレン(J.
A.Kellen)およびアール・ヒルフ(R.Hilf)編のイ
ンフルーエンス・オブ・ホルモンズ・オン・チューマ・
ディベロップメント(Influence of Hormons on
Tumor Development)第55−93頁(1979年)に
掲載のワイ・エス・チョ・チュン(Y.S.Cho−Chun
g)の論文、ニューヨーク州、アカデミック(Academic)
発行、エル・エル・カメロン(L.L.Cameron)および
ティー・ビー・プール(T.B.Pool)編のザ・トラン
ス・フォームド・セル(The Transformed Cell)第
235−266頁(1981年)に掲載のケイ・エヌ・プ
ラサド(K.N.Prasad)の論文、アドバンシズ・イン
・サイクリック・ヌクレオチド・リサーチ(Adv.Cycl
ic Nucleotide Res.)第15巻、第193−294
頁(1983年)に掲載のエイ・アール・ボイントン
(A.L.Boynton)およびジェイ・エフ・ホイットフィ
ールド(J.F.Whitfield)の論文]。
【0006】最近、部位選択的cAMPアナログが、イ
ンビトロで、精製されたタイプIのcAMP−依存性プ
ロテインキナーゼよりもタイプIIに結合性がよいことが
示され[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミスト
リー(J.Biol.Chem.)第258巻、第1032−1
040頁(1983年)に掲載のエイ・エム・ロビンソン
・スタイナー(A.M.Robinson−Steiner)およびジ
ェイ・ディー・コービン(J.D.Corbin)等の論文、
ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・バイオケミストリー
(Eur.J.Biochem.)第150巻、第219−227
頁(1985年)に掲載のディー・オグレイド(D.Ogre
id)、アール・エカンガー(R.Ekanger)、アール・エ
イチ・スバ(R.H.Suva)、ジェイ・ピー・ミラー
(J.P.Miller)、ピー・スターム(P.Sturm)、ジ
ェイ・ディー・コービン(J.D.Corbin)およびエス
・オウ・ドスケランド(S.O.Doskeland)の論文]、
ヒトおよびげっ歯類動物の癌細胞株において重要な増殖
の抑制、分化および逆トランスフォーメーションを引き
起こす[フェデレーション・オブ・ヨーロピアン・バイ
オケミカル・ソサエティーズ・レターズ(FEBS Le
tt.)第223巻、第97−103頁(1987年)に掲
載のディー・カトサロス(D.Katsaros)、ジー・トル
トラ(G.Tortora)、ピー・タグリアフェリ(P.Tagl
iaferri)、ティー・クレア(T.Clair)、エス・アリー
(S.Ally)、エル・ネッカーズ(L.Neckers)、アー
ル・ケイ・ロビンズ(R.K.Robins)およびワイ・エ
ス・チョ・チュン(Y.S.Cho−Chung)の論文、ブラ
ッド(Blood)第71巻、第230−233頁(1988
年)に掲載のジー・トルトラ(G.Tortora)、ピー・ダ
グリアフェリ(G.Tagliaferri)、ティー・クレア
(T.Clair)、オー・コラモニッチ(O.Colamonic
i)、エル・エム・ネッカーズ(L.M.Neckers)、アー
ル・ケイ・ロビンズ(R.K.Robins)およびワイ・エ
ス・チョ・チュン(Y.S.Cho−Chung)の論文、ジャ
ーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Bi
ol.Chem.)第263巻、第409−416頁(198
8年)に掲載のピー・ダグリアフェリ(G.Tagliaferr
i)、ディー・カトサロス(D.Katsaros)、ティー・ク
レア(T.Clair)、アール・ケイ・ロビンズ(R.K.
Robins)およびワイ・エス・チョ・チュン(Y.S.Ch
o−Chung)の論文]ことが見出された。
【0007】タイプIおよびタイプIIのプロテインキナ
ーゼは、これらの調節サブユニット(regulatory subuni
t)(それぞれ、RIおよびRII)により区別される[ジャ
ーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Bi
ol.Chem.)第250巻、第218−225頁(197
5年)に掲載のジェイ・ディー・コービン(J.D.Cor
bin)、エス・エル・キーリー(S.L.Keely)およびシ
ー・アール・パック(C.R.Park)の論文、ジャーナ
ル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.
Chem.)第250巻、第7795−7801頁(197
5年)に掲載のエフ・ホフマン(F.Hofmann)、ジェイ
・エイ・ビーボ(J.A.Beavo)およびイー・ジー・ク
レブス(E.G.Krebs)の論文]。
【0008】4つの異なる調節サブユニット[RIα(以
前はRIで示されていた) [プロシーディングズ・オブ
・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ
・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ
(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第80巻、第3
608−3612頁(1983年)に掲載のディー・シー
・リー(D.C.Lee)、ディー・エフ・カーマイケル
(D.F.Carmichael)、イー・ジー・クレブス(E.
G.Krebs)およびジー・エス・マックナイト(G.S.
McKnight)の論文]、RIβ[プロシーディングズ・オ
ブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシー
ズ・オブザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ
(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第85巻、第3
703−3707頁(1988年)に掲載のシー・エイチ
・クレッグ(C.H.Clegg)、ジー・ジー・カッド
(G.G.Cadd)、およびジー・エス・マックナイト
(G.S.McKnight)の論文]、RIIα(RII54)[プロシ
ーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オ
ブ・サイエンシーズ・オブザ・ユナイテッド・ステイツ
・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.US
A)第84巻、第5192−5196頁(1987年)に
掲載のジェイ・ディー・スコット(J.D.Scott)、エ
ム・ビー・グラッカム(M.B.Glaccum)、エム・ジェ
イ・ゾラー(M.J.Zoller)、エム・ディー・ウーラ
ー(M.D.Uhler)、ディー・エム・ホフマン(D.
M.Hofmann)、ジー・エス・マックナイト(G.S.M
cKnight)およびイー・ジー・クレブス(E.G.Kreb
s)の論文]およびRIIβ(RII51) [ジャーナル・オブ・
バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第
261巻、第12352−12361頁(1986年)に
掲載のティー・ジャンセン(T.Jahnsen)、エル・ヘデ
ィン(L.Hedin)、ヴィー・ジェイ・キッド(V.J.
Kidd)、ダブリュ・ジー・ビーティー(W.G.Beatti
e)、エス・エム・ローマン(S.M.Lohmann)、ユー・
ウォルター(U.Walter)、ジェイ・デュリカ(J.Dur
ica)、ティー・ズィー・ショルツ(T.Z.Schulz)、
イー・シュリッツ(E.Schlitz)、エム・ブラウナー
(M.Browner)、シー・ビー・ローレンス(C.B.La
wrence)、ディー・ゴールドマン(D.Goldman)、エス
・エル・ラツーシュ(S.L.Ratoosh)およびジェイ・
エス・リチャーズ(J.S.Richards)の論文]]が、遺
伝子/mRNAレベルで同定された。
【0009】2つの異なる触媒サブユニットCα[プロ
シーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・
オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステ
イツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA)第83巻、第1300−1304頁(1986年)
に掲載のエム・ディー・ウーラー(M.D.Uhler)、デ
ィー・エフ・カーマイケル(D.F.Carmichael)、デ
ィー・シー・リー(D.C.Lee)、ジェイ・シー・クリ
ビア(J.C.Chrivia)、イー・ジー・クレブス(E.
G.Krebs)およびジー・エス・マックナイト(G.S.
McKnight)の論文] とCβ [ジャーナル・オブ・バイ
オロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)第26
1巻、第15360−15363頁(1986年)に掲載
のエム・ディー・ウーラー(M.D.Uhler)、ジェイ・
シー・クリビア(J.C.Chrivia)およびジー・エス・
マックナイト(G.S.McKnight)の論文、ジャーナル
・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.C
hem.)第261巻、第16288−16291頁(19
86年)に掲載のエム・オウ・シャワーズ(M.O.Sho
wers)およびアール・エイ・モウラー(R.A.Maurer)
の論文]もまた、同定されたが、タイプIまたはタイプI
Iのプロテインキナーゼ調節サブユニットのいずれか
と、これらの触媒サブユニットのいずれか一方との優先
的な共発現(coexpression)は見出されなかった[ジャー
ナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Bio
l.Chem.)第261巻、第16288−16291頁
(1986年)に掲載のエム・オウ・シャワーズ(M.
O.Showers)およびアール・エイ・モウラー(R.A.
Maurer)の論文]。
【0010】部位選択性cAMPアナログによる増殖の
抑制は、cAMP依存性プロテインキナーゼタイプIの
調節サブユニット(RIα)の減少をRIIβの増加と並行
させることにより、癌細胞中のRIIβ/RIα比率を大
きくしている[プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・
ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA)第85巻、第6319−63
22頁(1988年)に掲載のエス・アリー(S.All
y)、ジー・トルトラ(G.Tortora)、ティー・クレア
(T.Clair)、ディー・グリエコ(T.Grieco)、ジー
・メルロ(G.Merlo)、ディー・カトサロス(D.Kats
aros)、ディー・オグレイド(D.Ogreid)、エス・オウ
・ドスケランド(S.O.Doskeland)、ティージャンセ
ン(T.Jahnsen)およびワイ・エス・チョ・チュン
(Y.S.Cho−Chung)の論文並びにジャーナル・オブ
・ザ・ナショナル・キャンサー・インスチチュート
(J.Natl.Cancer Inst.)第81巻、第982−
987頁(1989年)のワイ・エス・チョ・チュン
(Y.S.Cho−Chung)の論文]。
【0011】このようなRIIβに対するRIαの選択変
調(selection modulation)は、以前に研究されたcAM
PアナログであるN6−O2'−ジブチリルアデノシン
3',5'−サイクリックモノホスフェートによる処置に
よって模倣されない(mimicked) [プロシーディングズ・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシ
ーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメ
リカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第85巻、
第6319−6322頁(1988年)に研究のエス・ア
リー(S.Ally)、ジー・トルトラ(G.Tortora)、テ
ィー・クレア(T.Clair)、ディー・グリエコ(T.Gr
ieco)、ジー・メルロ(G.Merlo)、ディー・カトサロ
ス(D.Katsaros)、ディー・オグレイド(D.Ogrei
d)、エス・オウ・ドスケランド(S.O.Doskeland)、
ティー・ジャンセン(T.Jahnsen)およびワイ・エス・
チョ・チュン(Y.S.Cho−Chung)の論文]。
【0012】増殖の抑制はまた、核に対するRIIβの迅
速な転移およびRIIβ遺伝子の転写の増大と相互関係を
有する [プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイ
テッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA)第85巻、第6319−6322頁
(1988年)に掲載のエス・アリー(S.Ally)、ジー
・トルトラ(G.Tortora)、ティー・クレア(T.Clai
r)、ディー・グリエコ(T.Grieco)、ジー・メルロ
(G.Merlo)、ディー・カトサロス(D.Katsaros)、
ディー・オグレイド(D.Ogreid)、エス・オウ・ドス
ケランド(S.O.Doskeland)、ティー・ジャンセン
(T.Jahnsen)およびワイ・エス・チョ・チュン(Y.
S.Cho−Chung)の論文]。
【0013】これらの結果からRIIβが、cAMP増殖
調整機能において、重要な役割を果たすという仮説が支
持される [ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャン
サー・インスチチュート(J.Natl.Cancer Ins
t.)第81巻、第982−987頁(1989年)に掲載
のワイ・エス・チョ・チュン(Y.S.Cho−Chung)の
論文]。
【0014】アンチセンスRNA配列は、原核生物 [プ
ロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ス
テイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.
USA)第81巻、第1966−1970頁(1984
年)に掲載のティー・ミズノ(T.Mizuno)、エム・ワイ
・チョウ(M−Y Chou)およびエム・イノウエ(M.I
noue)の論文] と真核生物[ニュークリーク・アシッズ・
リサーチ(Nucleic Acids Res.)第14巻、第67
71−6772頁(1986年)に掲載のエス・エム・ヘ
イウッド(S.M.Heywood)の論文] と双方において遺
伝子発現の自然発生的な生物学的抑制因子として説明さ
れており、これらの配列は、相補的なmRNA配列に対
してハイブリダイズさせることにより、翻訳のハイブリ
ダイゼーション阻害を行なうように機能するものと考え
られる [プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイ
テッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA)第74巻、第4370−4374頁
(1977年)に掲載のビー・エム・パターソン(B.
M.Paterson)、ビー・イー・ロバーツ(B.E.Robe
rts)およびイー・エル・カフ(E.L.Kuff)の論文]。
【0015】アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド
は、特定の遺伝子またはRNAメッセージに対して相補
的に形成された短い合成ヌクレオチド配列である。これ
らのオリゴマーがターゲットDNAまたはmRNA配列
に対して結合することによって、遺伝子の転写または翻
訳が選択的にブロックされ、この遺伝子により生ずる疾
病プロセスを阻止することができる。
【0016】mRNAの細胞内の位置は、細胞に入った
アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドに容易にアク
セスすることができると考えられるターゲットを提供す
るので、本技術分野における研究の多くは、ターゲット
としてRNAに向けられている。現在は、アンチセンス
オリゴデオキシヌクレオチドを採用することにより、イ
ンビトロおよび培養細胞における遺伝子発現の調節を調
べるための有用な手段が提供されている [ジャーナル・
オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスチチュート
(J.Natl.Cancer Inst.)第81巻、第1539
−1544頁(1989年)に掲載のエム・ロゼンバーグ
(M.Rothernberg)、ジー・ジョンソン(G.Johnso
n)、シー・ローリン(C.Laughlin)、アイ・グリーン
(I.Green)、ジェイ・クラドック(J.Craddock)、
エヌ・サーバー(N.Sarver)およびジェイ・エス・コ
ーエン(J.S.Cohen)の論文]。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、RIαアン
チセンスオリゴヌクレオチドを有効成分とする固形癌治
療剤を提供することを課題とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、RIαアンチ
センスオリゴヌクレオチドを有効成分とする固形癌治療
剤に関する。特に、本発明は、配列番号6で表されるR
Iαの最初の100N−末端コドンの領域に対して相補
的な15−30マーのオリゴヌクレオチドであるアンチ
センスオリゴヌクレオチドを有効成分とする固形癌治療
剤に関する。
【0019】本発明はまた、RIα遺伝子またはその転
写産物に対して相補的な配列番号5に示す配列を有する
アンチセンスDNAのフラグメントである15−30マ
ーのアンチセンスオリゴヌクレオチドを有効成分とする
固形癌治療剤に関する。さらに本発明は、上記アンチセ
ンスオリゴヌクレオチドの少なくとも1つと、薬学的に
許容できるキャリアとを含む固形癌治療用薬剤組成物に
関する。また、さらに本発明は、上記アンチセンスオリ
ゴヌクレオチドまたは薬剤組成物を、固形癌治療に必要
とする動物(ヒトを除く)に投与することを特徴とする固
形癌治療方法に関する。尚、本明細書において「固形癌」
とは、白血病を除く癌をいうものとする。
【0020】以下に、本発明を詳細に説明する。アンチ
センス治療は、細胞内にあるターゲットのポリヌクレオ
チドに結合する外来性オリゴヌクレオチドを投与するも
のである。「アンチセンス」なる語は、かかるオリゴヌク
レオチドが細胞内のターゲット、例えば、RIα遺伝子
またはその転写物に対して相補性を有することを意味す
るものである。例えば、1989年にシーアールシー・
プレス(CRC Press)から発行されたジャック・コー
エン(Jack Cohen)著の「オリゴデオキシヌクレオチ
ズ、アンチセンス・インヒビターズ・オブ・ジーン・イ
クスプレッション(DLIGODEOXYNUCLEO
TIDES、Antisense Inhibitors of Gene E
xpression)およびシンセシス(Synthesis)第1巻、第1
−5頁(1988年)を参照されたい。
【0021】本発明のRIαアンチセンスオリゴヌクレ
オチドは、S−オリゴヌクレオチド(ホスホロチオエー
ト(phosphorothioate)誘導体、すなわちS−オリゴ、上
記ジャック・コーエンの著書参照)のような、著しい癌
細胞増殖抑制作用を発揮する(図7および図9参照)誘導
体を含む。
【0022】S−オリゴ(ヌクレオチドホスホロチオエ
ート)は、オリゴヌクレオチド(O−オリゴ)のリン酸基
の非橋酸素原子がイオウ原子により置換された等電アナ
ログ(isoelectronic analog)である。本発明のS−オリ
ゴは、対応するO−オリゴを、イオウ転移試薬(sulfer
transfer reagent)である3H−1、2−ベンゾジチオ
ール−3−オン−1,1−ジオキシドで処理することに
より得ることができる。ジャーナル・オブ・オーガニッ
ク・ケミストリー(J.Org.Chem.)第55巻、第4
693−4698頁(1990年)に掲載のアール・ピー
・イエール(R.P.Iyer)等の論文およびジャーナル
・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ
(J.Am.Chem.Soc.)第112巻、第1253−1
254頁(1990年)に掲載のアール・ピー・イエール
(R.P.Iyer)等の論文を参照されたい。本明細書に
おいては、これらの文献を参照してすべて取り込む。
【0023】本発明のRIαアンチセンスオリゴヌクレ
オチドは、RIαゲノムまたは対応するmRNAの最初
の100N−末端コドンに対して相補性を有するととも
に、該コドンと安定にハイブリダイズするRNAまたは
DNAとすることができる。この領域に対して相補性を
有するオリゴヌクレオチドを使用すると、RIαmRN
Aに対して選択的にハイブリダイズし、プロテインキナ
ーゼの他の調節サブユニットのmRNAに対してはハイ
ブリダイズしない。好ましくは、本発明のRIαアンチ
センスオリゴヌクレオチドは、RIαmRNAにハイブ
リダイズする配列番号5のアンチセンスDNA分子の1
5−30マーフラグメントである。あるいは、RIαア
ンチセンスオリゴヌクレオチドは、RIαの最初の10
0N−末端コドン(配列番号6)における領域に対して相
補的な15−30マーのオリゴヌクレオチドである。最
も好ましくは、RIαアンチセンスオリゴヌクレオチド
は、配列番号1、配列番号2、配列番号3または配列番
号4に示す配列を有する。
【0024】本発明にさらに包含されるものとして、有
効量の本発明のRIαアンチセンスオリゴヌクレオチド
の少なくとも1つを、薬学的に許容することができるキ
ャリヤと組み合わせてなる薬剤組成物がある。一の実施
例においては、単一のRIαアンチセンスオリゴヌクレ
オチドが利用される。別の実施例においては、RIαゲ
ノムの隣接部分に対して相補性を有する2つのRIαア
ンチセンスオリゴヌクレオチドが利用される。RIαゲ
ノムまたは対応するmRNAの隣接部分に対して相補性
を有する2つのRIαアンチセンスオリゴヌクレオチド
を投与することにより、RIαゲノムの転写またはmR
NAの翻訳を一層有効に抑制することができるので、癌
細胞の増殖をより効果的に抑制することができる。
【0025】好ましくは、RIαアンチセンスオリゴヌ
クレオチドは、細胞によるアンチセンス分子の取り込み
を促進する薬品とともに投与される。例えば、RIαア
ンチセンスオリゴヌクレオチドは、リポソームの形態を
なすことができる親油性陽イオン性化合物と組み合わせ
ることができる。ヌクレオチドを細胞内に導入するのに
リポソームを使用することは、例えば、米国特許第4,
897,355号および同第4,394,448号に教示
されているが、これらの米国特許の記載については、そ
の記載を引用しして本明細書に取り込む。さらに、生物
学的物質からなるリポソームをつくる一般的な方法に関
しては、米国特許第4,235,871号、同第4,23
1,877号、同第4,224,179号、同第4,75
3,788号、同第4,673,567号、同第4,24
7,411号および同第4,814,270号を参照され
たい。
【0026】あるいは、RIαアンチセンスオリゴヌク
レオチドは、コレステロール、コール酸およびデオキシ
コール酸をはじめとする数多くのステロールのうちのい
ずれか1つのような親油性キャリヤと組み合わせること
ができる。好ましいステロールは、コレステロールであ
る。
【0027】さらに、RIαアンチセンスオリゴヌクレ
オチドは、細胞によって摂取されるペプチドに結合させ
ることができる。有効なペプチドには、例えば、ペプチ
ドホルモン、抗原または抗体およびペプチドトキシンが
ある。腫瘍細胞により選択的に取り込まれるペプチドを
選択することにより、アンチセンス剤の特定の給送を効
果的に行なうことができる。RIαアンチセンスオリゴ
ヌクレオチドは、その5'OH基を介して共有結合させ
ることにより、活性化されたアミノアルキル誘導体を形
成することができる。
【0028】選択されたペプチドは、次に、アミノおよ
びスルフヒドリル反応性ヘテロ二官能価試薬を用いて活
性化されたRIαアンチセンスオリゴヌクレオチドに共
有結合させることができる。後者は、ペプチドに存在す
るシステイン残基に結合する。細胞をペプチドに結合し
たRIαアンチセンスオリゴヌクレオチドに曝すと、ペ
プチジルアンチセンス剤がエンドサイトシス化され(end
ocytosed)、RIαアンチセンスオリゴヌクレオチドは
ターゲットのRIαmRNAに結合して翻訳を抑制す
る。PCT/US89/02363号PCT出願公報を
参照されたい。
【0029】本発明のRIαアンチセンスオリゴヌクレ
オチドは、胃癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、肛門癌、結腸直
腸癌、頭部および首部の新生物、神経芽細胞腫、黒色腫
の如き固形癌等広範な癌に有用である。
【0030】本発明のRIαアンチセンスオリゴヌクレ
オチドはまた、F9奇形癌腫、SK−N−SH神経芽細
胞腫、TMK−1胃癌、HL−60前骨髄球白血病、白
血病L−1210、白血病P388、P1534白血
病、フレンドウイルス白血病、白血病L4946、メッ
カ(Mecca)、リンパ肉腫、ガードナー(Gardner)、リン
パ肉腫、リッジウェイ(Ridgway)、骨原発性肉腫、肉腫
180(腹水)、ワグナー(Wagner)骨原発性肉腫、肉腫
T241、ルイス(Lewis)肺癌腫、癌腫755、CD8
F、MCF−7乳癌腫、結腸38、LS−174T結腸
癌腫、癌腫1025、エールリッヒ(Ehrlich)癌腫(腹
水および固形質(solid))、クラブス(Krubs)2癌腫(腹
水)、バッシュフォード(Bashford)癌腫63、腺癌腫E
0771、B16黒色腫、ハーディン・パッセイ(Hard
in−Passey)黒色腫、ギロマ(Giloma)26、ミヤノ(M
iyano)腺癌腫、ウォーカー(Walker)癌肉腫256、フ
レクスナー・ジョブリング(Flexner−Jobling)癌肉
腫、ジェンセン(Jensen)肉腫、イグレシアス(Iglesia
s)肉腫、イグレシアス卵巣腫瘍、マーフィー・スターン
(Murphy−Sturn)リンパ肉腫、ヨシダ(Yoshida)肉
腫、ダニング(Dunning)白血病、ラウス(Rous)家鶏肉
腫およびクラブ(Crabb)ハムスター肉腫といった腫瘍系
に対しても活性を発揮することができる。
【0031】本発明のRIαアンチセンスオリゴヌクレ
オチドおよび薬剤組成物は、固形癌の治療の目的を達成
する手段を用いて投与することができる。例えば、投与
は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内または経皮
ルートにより行なうことができる。投与量は、受体の年
令、健康および体重、治療が行なわれている場合には同
時治療の種類、治療の頻度、並びに所望される効果の種
類により定められる。
【0032】本発明の範囲に含まれる組成物は、増殖の
抑制を達成しおよび/または対象となる癌細胞の分化を
刺激するのに有効な量のRIαアンチセンスオリゴヌク
レオチドを含む全ての組成物を包含する。個々の要求は
変わるが、各成分の有効量の最適範囲は、当業者により
定められる。一般的には、本発明のRIαアンチセンス
オリゴヌクレオチドは、哺乳動物、例えば、ヒトには
0.005−5mg/kg/日の量、または治療されている
哺乳動物の単位体重について1日当たり、その薬学的に
許容することができる塩の等量を投与することができ
る。
【0033】本発明のRIαアンチセンスオリゴヌクレ
オチドは、溶解状態でそのままの形態として投与される
ほかに、RIαアンチセンスオリゴヌクレオチドを薬学
的に使用することができる製剤に処理することを容易に
する賦形剤と、補助剤等からなる適宜の薬学的に許容す
ることができるキャリヤを含む薬剤の一部として投与す
ることもできる。
【0034】非経口投与に適した配合物として、水溶性
の形態をなすRIαアンチセンスオリゴヌクレオチド、
例えば、水溶性塩の水溶液がある。また、適宜の油状注
射懸濁液として、活性化合物の懸濁液を投与することが
できる。適宜の親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂
肪油、例えば、ごま油または合成脂肪酸エステル、例え
ば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリドがある。
水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を高める物質を含むこ
とができ、これには、例えば、カルボキシメチルセルロ
ースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキスト
ランがある。懸濁液はまた、必要に応じて、安定化剤を
含むことができる。
【0035】本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド
は、当業者に周知の方法のいずれかに従って調製するこ
とができる。好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオ
チドは、固相合成によって調製される。オリゴヌクレオ
チドの化学合成の検討については、バイオコンジュゲイ
ト・ケミストリー(Bioconjugate Chemistry)第1
巻、第165−167頁(1990年)に掲載のグッドチ
ャイルド(Goodchild)の論文を参照されたい。あるい
は、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレ
オチドの合成を専門的に行なっている数多くの企業から
得ることができる。
【0036】
【作用】本発明においては、癌細胞におけるRIαの発
現を、RIαのアンチセンスオリゴヌクレオチドで抑制
して、癌細胞の増殖を抑制するとともに細胞分化を刺激
するので、増殖の抑制を受けやすい癌細胞の増殖を抑制
することにより、癌、殊に固形癌を治療することができ
る。
【0037】本発明を広く説明したきたが、以下、本発
明を実施例に関してさらに詳細に説明する。これらの実
施例は、単に例示のために記載され、別に特定されない
限り本発明を限定するものではない。上記および以下に
おいて引用されている全ての出願、特許および刊行物の
内容全体の記載を引用して、本明細書に取り込む。
【0038】
【実施例】実施例1 オリゴデオキシヌクレオチド 本発明において使用される21マーのオリゴデオキシヌ
クレオチドをミッドランド・サーティファイド・リアジ
ェント・カンパニー(Midland CertifiedReagent
Co.) [テキサス州、ミッドランド(Midland)]におい
て合成したが、これは、次の配列を有する。
【0039】ヒトRIα[バイオケミカル・アンド・バ
イオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Bi
ochem.Biophys.Res.Commun.)第149巻、第9
39−945頁(1987年)に掲載のエム・サンドバー
グ(M.Sandberg)、ケイ・タスケン(K.Tasken)、オ
ウ・オウイェン(O.Oyen)、ヴィー・ハンソン(V.H
ansson)およびティー・ジャンセン(T.Jahnsen)の論
文]アンチセンス: 5'−GGC−GGT−ACT−GCC−AGA−CT
C−CAT−3'(配列番号1);
【0040】ヒトRIIβ [モレキュラー・エンドクリノ
ロジー(Mol.Endocrinol.)第2巻、第1364−1
373頁(1988年)に掲載のエフ・オウ・レヴィ
(F.O.Revy)、オウ・オウイェン(O.Oyen)、エム
・サンドバーグ(M.Sandberg)、ケイ・タスケン(K.
Tasken)、ダブリュ・エスキルド(W.Eskild)、ヴィ
ー・ハンソン(V.Hansson)およびティー・ジャンセン
(T.Jahnsen)の論文]アンチセンス: 5'−CGC−CGG−GAT−CTC−GAT−GC
T−CAT−3';
【0041】ヒトRIIα [フェデレーション・オブ・ヨ
ーロピアン・バイオケミカル・ソサイエティーズ・レタ
ーズ(FEBS Lett.)第246巻、第57−64頁
(1989年)に掲載のオウ・オウイェン(O.Oyen)、
エフ・マイクレバスト(F.Myklebust)、ジェイ・ディ
ー・スコット(J.D.Scott)、ヴィー・ハンソン
(V.Hansson)およびティー・ジャンセン(T.Jahnse
n)の論文] アンチセンス: 5'−CGG−GAT−CTG−GAT−GTG−GC
T−CAT−3'
【0042】ランダム配列のオリゴヌクレオチドを、全
ての位置ごとに全ての4つのヌクレオチドの混合物から
調製した。
【0043】細胞増殖実験 10%ウシ胎児血清、ペニシリン(50U/ml)、ストレ
プトマイシン(500μg/ml)および1mMグルタミン
[ニューヨーク州、グランド・アイランド(Grand Isl
and)のギブコ(Gibco)]を追加したRPM1−1640
培地における浮遊培養で増殖させた細胞を皿当たり5×
105個接種した。オリゴデキオシヌクレオチドを、接
種後48時間ごとに加えた。細胞の計数をクールター
(Coulter)カウンタで行なった。
【0044】4日間に亙ってオリゴデオキシヌクレオチ
ドに曝されなかった細胞または曝された細胞を、5×1
5個/皿、再接種し(0日目)、オリゴデオキシヌクレ
オチドに予め曝した細胞を0日目および2日目にオリゴ
マーでさらに処理した。[カリフォルニア州、コスタ・
メサ(Costa Mesa)のヌクレイック・アシッド・リサ
ーチ・インスチチュート(Nucleic Acid Research
Institute)のアール・ケイ・ロビンズ(R.K.Robi
ns)博士の好意により提供された] cAMPアナログまた
は12−O−テトラデカノイルホルボール−13−アセ
テート(TPA)を、0日目に1回添加した。細胞の計数
を4日目に行なった。
【0045】8−N3−[32P] cAMPによるフォトア
フィニティーラベル後のRIαおよびRIIβ cAMP受
容タンパク質の免疫沈降 細胞抽出物を、0−4℃で調製した。細胞のペレット
(2×106個の細胞)を、PBSで2回洗浄した後、蛋
白加水分解抑制剤 [プロシーディングズ・オブ・ザ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・
ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.
Natl.Acad.Sci.USA)第87巻、第705−7
08頁(1990年)に掲載のジー・トルトラ(G.Tort
ora)、ティー・クレア(T.Clair)およびワイ・エス・
チョ・チュン(Y.S.Cho−Chung)の論文]を含む
0.5mlの緩衝液テン(Ten)(0.1M NaCl、5mM
MgCl2、1%ノニデット(Nonidet)P−40、0.
5%デオキシコール酸ナトリウム、2KIU/mlのウシ
アプロチニンおよび20mMトリス−HCl、pH7.4)
に懸濁させ、ボルテックス混合を行ない、22ゲージの
針に10回通し、4℃で30分間放置し、750xgで
20分間遠心分離を行ない、得られた上澄みを細胞溶解
液として使用した。
【0046】8−N3−[32P] cAMP(60.0Ci/m
mol)の光活性化取込と、[ノルウェー国、ベルゲン(Ber
gen)に所在するベルゲン大学(University of Bergen)
のエス・オウ・ドスケランド(S.O.Doskeland)博士
の好意により提供された]抗RIαまたは抗RIIβ抗血
清およびプロテインAセファロースを用いた免疫沈降、
および可溶化した抗原抗体複合体のSDS−PAGE
を、上記方法に従って行なった [プロシーディングズ・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシ
ーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメ
リカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第87巻、
第705−708頁(1990年)に掲載のジー・トルト
ラ(G.Tortora)、ティー・クレア(T.Clair)および
ワイ・エス・チョ・チュン(Y.S.Cho−Chung)の論
文およびジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミスト
リー(J.Biol.Chem.)第260巻、第3393−3
401頁(1985年)に掲載のアール・エカンガー
(R.Ekanger)、ティー・イー・サンド(T.E.San
d)、ディー・オグレイド(D.Ogreid)、ティー・クリ
ストファーソン(T.Christoffersen)およびエス・オ
ウ・ドスケランド(S.O.Doskeland)の論文]。
【0047】cAMP依存性プロテインキナーゼの検定 細胞ペレット(2×106個の細胞)を、ダルベッコの(D
ulbecco's)リン酸塩緩衝生理食塩水で2回洗浄した後、
20mMトリス(pH7.5)、0.1mM EDTAナト
リウム、1Mジチオトレイトール、0.1mMペプスタ
チン、0.1mMアンチパイン、0.1mMキモスタチ
ン、0.2mMロイペプチン、0.4mg/mlアプロチニ
ンおよび0.5mg/mlの大豆トリプシン阻害剤を含む液
0.5mlに100ストロークのダウンス(Dounce)ホモ
ジナイザを使用して溶解させた。遠心分離を5分間行な
った後に、上澄みを0.7ml蛋白質/mlに調製し、アッ
セイ[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ
ー(J.Biol.Chem.)第262巻、第15202−1
5207頁(1987年)に掲載のエム・ディー・ウーラ
ー(M.D.Uhler)およびジー・エス・マックナイト
(G.S.McKnight)の論文)を直ちに行なった。
【0048】アッセイ(全容積40μl)を30℃で10
分間行なったところ、200μMのATP、2.7×1
6 cpmのγ[32P]ATP、20ml MgCl2、100μ
Mのケンプチド(Kemptide)[シグマ(Sigma)K−112
7)][ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリ
ー(J.Biol.Chem.)第252巻、第4888−48
94頁(1977年)に掲載のビー・イー・ケンプ(B.
E.Kemp)、ディー・ジェイ・グレイブズ(D.J.Gr
aves)、イー・ベンジャミン(E.Benjamin)およびイー
・ジー・クレブス(E.G.Krebs)の論文]、40mMの
トリス(pH7.5)、±100μMのプロテインキナー
ゼ阻害剤[シグマ(Sigma)P−3294][バイオケミカ
ル・ジャーナル(Biochem.J.)第231巻、第655
−661頁(1985年)に掲載のエイチ・シー・チェン
(H.C.Cheng)、エス・エム・ヴァン・パッテン
(S.M.Van Patten)、エイ・ジェイ・スミス(A.
J.Smith)およびディー・エイ・ウォルシュ(D.A.
Walsh)の論文]、±8μMのcAMPおよび7μgの細胞
抽出物を含んでいた。
【0049】ケンプチドのリン酸化を、ホスホセルロー
スフィルタ[ホワットマン(Whatman)P81]に培養混合
物20μlを点滴し、[メソーズ・イン・エンザイモロジ
ー(Methods Enzymol.)第99巻、第3−6頁(19
83年)に掲載のアール・ロスコスキー(R.Roskoski)
の論文]に記載のようにしてリン酸で洗浄することによ
り測定した。放射能は、エコノフルア(Econofluor)−
2[エヌイーエヌ・リサーチ・プロダクツ・エヌーイー
エフ−969(NEN Research ProductsNEF−
969)を使用して液体シンチレーションにより測定し
た。
【0050】全RNAの単離とノザンブロット分析 細胞(リン酸塩緩衝生理的食塩水で2回洗浄した10
8個)を、25mMのクエン酸ナトリウム(pH7.0)、
0.5%サルコシル(N−ラウロイルサルコシンNa+)
および0.1Mのβ−メルカプトエタノールを含む4.
2Mグアニジンイソチオシアネートに溶解し、溶解物を
ホモジナイズし、全細胞RNAを、チャーグウィン(Ch
irgwin)等の記載[バイオケミストリー(Biochemistry)
第18巻、第5284−5288頁(1977年)に掲載
のジェイ・エム・チャーグウィン(J.M.Chirgwi
n)、エイ・イー・プルツィビラ(A.E.Prznbyla)、
アール・ワイ・マクドナルド(R.Y.MacDonald)お
よびダブリュ・ジェイ・ラッター(W.J.Rutter)の
論文]のようにして、CsClクッション(5.7M Cs
Cl、10mM EDTA)を介して沈降させた。
【0051】20mMの3−[N−モルホリン]プロパン
−スルホン酸(pH7.0)、50%ホルムアミドおよび
6%ホルムアルデヒドを含む全細胞RNAを65℃で1
0分間変性させ、変性1.2%アガロース−2.2Mホ
ルムアルデヒドゲルで電気泳動した。
【0052】次に、ゲルを、トーマスの方法[プロシー
ディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ
・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.US
A)第77巻、第5201−5205頁(1980年)に
掲載のピー・エス・トーマス(P.S.Thomas)の論文]
によりバイオトランス(Biotrans)ナイロン膜[アイシー
エヌ・バイオメディカルズ(ICN Biomedicals)]に
移し、ヒトcAMP依存性プロテインキナーゼタイプI
調節サブユニット(RIα)[バイオケミカル・アンド・
バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケイションズ
(Biochem.Biophys.Res.Commun)第149巻、第
939−945頁(1987年)に掲載のエム・サンドバ
ーグ(M.Sandberg)、ケイ・タスケン(K.Tasken)、
オウ・オウイェン(O.Oyen)、ヴィー・ハンソン(V.
Hansson)およびティー・ジャンセン(T.Jahnsen)の
論文] (ノルウェー国、オスロ、リクショスピタレット
(Rikshospitalet)に所在するインスチチュート・オブ
・パソロジー(Institite of Pathology)のティー・
ジャンセン(T.Jahnsen)博士の好意により提供され
た] の全コード領域を含む1.5キロベース(kb)の cD
NAクローンと、ヒトβアクチン[オンカー(Oncor)p7
000βアクチン]とのニックトランスレーションによ
32P−ラベルされた2つのcDNAプローブにハイブ
リダイズさせた。
【0053】結果 図1は、HL−60白血病細胞の基礎増殖速度に対する
RIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの影響
を示す。図1においては、細胞をRIαアンチセンスオ
リゴデオキシヌクレオチド(15μM)の非存在下(○)ま
たは存在(●)下において増殖させた。示されている時間
において、細胞の計数は2回行なわれた。データは4回
の実験の平均値±SDを示す。15μM濃度のRIαア
ンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、図1に示す
ように、HL−60細胞の分化速度に直接影響を及ぼし
た。培養において4−5日までは、RIαアンチセンス
オリゴマーに曝されなかった細胞は指数関数的な増殖速
度を示したが、アンチセンスオリゴマーに曝された細胞
は遅い増殖速度を示すとともに、最終的には分裂を停止
した。
【0054】細胞の分化に対するこの抑制作用は培養期
間全体に亙って継続していた。増殖の抑制は細胞の殺死
によるものではなく、細胞は前方および側方の散乱を使
用した流動細胞計測法により評価したように、7日間に
亙ってRIαアンチセンスオリゴマー(15μM)に暴露
した後は90%を越えて生存していた。RIαセンス、
RIIαもしくはRIIβアンチセンスまたはランダム配列
のオリゴデオキシヌクレオチドは、このような増殖抑制
作用はもっていなかった。
【0055】4日間の培養において、RIαアンチセン
スデオキシオリゴヌクレオチドに曝されまたは曝されな
かった細胞は再接種され、cAMPアナログまたはTP
Aによる処理に対する応答について試験を行った。結果
は、図2に示す通りであった。図2では、上記実験の4
日目に、RIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチ
ドに曝されまたは曝されなかった細胞は、5×105
/皿で再接種(0日目)され、RIαアンチセンスオリゴ
デオキシヌクレオチドに予め曝した細胞は0日目と2日
目にオリゴマーでさらに処理した。cAMPアナログと
TPAを0日目に1回加えた。細胞の計数は、クールタ
ーカウンタで4日目に行なった。
【0056】図2において、8−Clは8−Cl−cAM
P(10μM)を、8−Cl+N6−Bは8−Cl−cAMP
(5μM)+N6−ベンジル−cAMP(5μM)を、TPA
はTPA(10-8M)を示す。データは、4回の実験の平
均値±SDを示す。図2に示すように、RIαアンチセ
ンスオリゴデオキシヌクレオチドに曝されなかった細胞
においては、8−Cl−cAMP(10μM)は60%の増
殖抑制を生じ、80%の増殖抑制が8−Cl−cAMP
(5μM)+N6−ベンジル−cAMP(5μM)により得ら
れ[ブラッド(Blood)第71巻、第230−233頁(1
988年)に掲載のジー・トルトラ(G.Tortora)、ピ
ー・タグリアフェリ(P.Tagliaferri)、ティー・クレ
ア(T.Clair)、オウ・コラモニッチ(O.Colamonic
i)、エル・エム・ネッカーズ(L.M.Neckers)、アー
ル・ケイ・ロビンズ(R.K.Robins)およびワイ・エ
ス・チョ・チュン(Y.S.Cho−Chung)の論文]、T
PA(10-8M)は60%の増殖抑制を示した(図2)。
【0057】これに対して、アンチセンスオリゴデオキ
シヌクレオチドに曝した細胞は、図2に示すように、遅
れた増殖を示し(アンチセンスオリゴマーに曝されなか
った細胞の増殖速度の25%)、cAMPアナログおよび
TPAはいずれも増殖をさらに遅らせた。
【0058】HL−60細胞は、部位選択性cAMPア
ナログで処理すると単球分化を受ける。RIαアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドに曝されなかった細胞または曝
された細胞のcAMPアナログによる処理の前後の形態
に関して試験を行なった。結果は、図3に示す通りであ
った。図3は、HL−60細胞の形態変換に及ぼすRI
αアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの影響を示
す図である。RIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドに曝した細胞または曝さなかった細胞は、図2に
関して説明したようにcAMPアナログまたはTPAで
処理された。4日目(図2参照)に、細胞をダルベッコの
(Dulbecco's)リン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄し、細
胞遠心分離によりガラススライド上にペレット化した。
得られた細胞調製物を固定し、ライトの染色(Wright's
stain)により染色を行なった。
【0059】図3に示すように、RIαアンチセンスオ
リゴマーに曝されなかった細胞においては、8−Cl−c
AMPは核対細胞質の比率、非常に撹乱されかつ空砲の
生じた細胞質および核小体の損失を特徴とする単球形態
変化を誘起した。さらに、同じ形態変化が、細胞をRI
αアンチセンスオリゴヌクレオチドに曝したときに誘起
された。さらにまた、アンチセンスオリゴマーにより誘
起された形態変化は、TPAに誘起される形態変化と区
別がつかないものであった。
【0060】RIαアンチセンスオリゴヌクレオチドに
曝されたHL−60細胞において誘起された増殖抑制と
単球分化が、オリゴマーの細胞内作用によるものである
ことを一層明らかにするため、RIαのmRNAレベル
を測定した。結果は、図4および図5に示す通りであっ
た。図4および図5は、RIαアンチセンスオリゴデオ
キシヌクレオチドに曝したHL−60白血病細胞におけ
る低下したRIαmRNA発現を示すノザンブロットの
図である。細胞は、RIαアンチセンスオリゴデオキシ
ヌクレオチド(15μM)に8時間曝したものと曝さなか
ったものとがあった。全RNAの単離とノザンブロック
分析を、実施例に記載の方法に従って行なった。
【0061】図4はRNAのエチジウムブロミド染色を
示し、MはリボゾームRNAのマーカーであり、レーン
1、2はRIαアンチセンスオリゴマに曝した細胞およ
び曝さなかった細胞である。図5はノザンブロット分析
であり、同じニトロセルロースをRIαとアクチンプロ
ーブの双方に順々にハイブリダイズさせた。レーン1、
2はRIαアンチセンスオリゴマーに曝さなかった細胞
と曝した細胞である。
【0062】図5に示すように、3.0mkbのRIα
のRNA[バイオケミカル・バイオフィジカル・リサー
チ・コミュニケイションズ(Biochem.Biophys.Re
s.Commun.)第149巻、第939−945頁(198
7年)に掲載のエム・サンドバーグ(M.Sandberg)、ケ
イ・タスケン(K.Tasken)、オウ・オウイェン(O.O
yen)、ヴィー・ハンソン(V.Hansson)およびティー・
ジャンセン(T.Jahnsen)の論文]は、RIαアンチセ
ンスオリゴヌクレオチドに8時間曝した細胞には実質上
検出されず(図5、レーン2)、RIαmRNAの減少は
エチジウムブロミド染色により示されるように、全RN
Aの量がより低いことによるものではなかった(レーン
2を図4のレーン1と比較されたい)。
【0063】これに対し、RNAαアンチセンスオリゴ
マーに曝した細胞においては、アクチンmRNAのレベ
ルは高くなっていることが検出された。アクチンmRN
Aのレベルの増加が細胞骨格構造の変化に関係するかど
うかは、知られていない。
【0064】次に、これらの細胞におけるcAMP受容
蛋白質のレベルを、これらの受容蛋白質を8−N3−[32
P] cAMPでフォトアフィニティーラベルを行なった
後に、抗RIαおよび抗RIIβ抗血清を使用した免疫沈
降により測定した[プロシーディングズ・オブ・ザ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・
ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.
Natl.Acad.Sci.USA)第87巻、第705−7
08頁(1990年)に掲載のジー・トルトラ(G.Tort
ora)、ティー・クレア(T.Clair)およびワイ・エス・
チョ・チュン(Y.S.Cho−Chung)の論文およびジャ
ーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Bi
ol.Chem.)第260巻、第3393−3401頁(1
985年)に掲載のアール・エカンガー(R.Ekange
r)、ティー・イー・サンド(T.E.Sand)、ディー・
オグレイド(D.Ogreid)、ティー・クリストファーソ
ン(T.Christoffersen)およびエス・オウ・ドスケラ
ント(S.O.Doskeland)の論文]。
【0065】結果は、図6に示す通りであった。図6
は、HL−60白血病細胞におけるRIαとRIIβcA
MP受容蛋白質の基底および誘起レベルに及ぼすRIα
アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの影響を示す
SDS−PAGE図である。細胞は、図1、図2に示す
ようにRIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド
(15μM)に曝され、またはcAMPで処理された。細
胞抽出物の調製、8−N3[32P] cAMPの光活性化に
よる取り込み、抗RIαまたは抗RIIβ抗血清とプロテ
インAセファロースを使用した免疫沈降、並びに可溶化
した抗原−抗体複合体のSDS−PAGEは、実施例に
記載の方法に従って行なった。免疫前の血清対照も同時
に行なったが、免疫沈降バンドは検出されなかった。
【0066】Mは既知の分子量を有する14C−ラベルさ
れたマーカーの蛋白質であり、RIαは分子量が48,
000のRI[シグマ(Sigma)]、RIIαは分子量が5
6,000のRII(シグマ)である。レーンRIαとRII
βは8−N3−[32P] cAMPだけによるフォトアフィ
ニティラベルしたものであり、レーン1−3は8−N3
−[32P] cAMPによるフォトアフィニティラベル後に
抗RIαまたはRIIβ抗血清で免疫沈降させたものであ
る。8−Cl、8−ClcAMP(5μM)は、N6−ベンジ
ル、N6−ベンジル−cAMP(5μM)である。図6中の
表のデータはオートラジオグラムのデンシトメータ走査
による定量を示す。このデータは、RIαアンチセンス
オリゴマーに曝さずかつcAMPアナログで処理しなか
った対照細胞の、1任意ユニットと等しく設定されたレ
ベルに対して示されている。データは、3回の実験の平
均±SDを示す。AとBは、抗RIαまたはRIIβ抗血
清での免疫沈降をそれぞれ示す。
【0067】図6に示すように、対照細胞においては、
8−Cl−cAMPプラスN6−ベンジル−cAMP処理
が、RIIβの3倍増加とともにRIαの約70%減少を
招き、これによりRIIβ/RIαの比率が10倍増加し
た[ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・イン
スチチュート(J.Natl.Cancer Inst.)第81
巻、第982−987頁(1989年)に掲載のワイ・エ
ス・チョ・チュン(Y.S.Cho−Chung)の論文]。こ
れらの細胞をRIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドに4日間曝したところ、RIαのレベルとRIIβ
のレベルの双方に著しい変化が生じ、RIIβの5倍増加
に伴ってRIαが80%減少したことにより、RIIβ/
RIαの比率が対照細胞における比率と比較して25倍
増大した。増殖の抑制と分化が、RIαアンチセンスオ
リゴヌクレオチドに対する被曝の3−4日後に認められ
たので、RIαとRIIβ蛋白質の変化のレベルは分化を
引き起こすのに必要な初期の現象であると考えられる。
【0068】図6に記載のデータは、RIαをアンチセ
ンスオリゴデオキシヌクレオチドにより抑制すると、R
IIβレベルを対応的に高めることを示している。Cサブ
ユニットの量を変化させることなくRIαとRIIβがこ
のように共役的に発現することは、以前にも示されてい
る[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
(J.Biol.Chem.)第252巻、第1441−144
7頁(1977年)に掲載のエフ・ホフマン(F.Hofma
n)、ピー・ジェイ・ベクテル(P.J.Bechtel)および
イー・ジー・クレブス(E.G.Krebs)の論文並びにジ
ャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.
Biol.Chem.)第264巻、第20255−2026
0頁(1989年)に掲載のエイ・ディー・オッテン
(A.D.Otten)およびジー・エス・マックナイト
(G.S.McKnight)の論文]。
【0069】RIIβの増加は、RIαアンチセンスオリ
ゴデオキシヌクレオチドに対して曝した後にこれらの細
胞に誘起される分化によるものかもしれない。RIIβm
RNAすなわちRIIβ蛋白質レベルの増加は、K−56
2慢性骨髄性白血病細胞におけるcAMPアナログ−誘
起分化[プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイ
テッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA)第86巻、第2849−2852頁
(1989年)に掲載のジー・トルトラ(G.Tortora)、
ティー・クレア(T.Clair)、ディー・カトサロス
(D.Katsaros)、エス・アリー(S.Ally)、オウ・コ
ラモニッチ(O.Colamonici)、エル・エム・ネッカー
ズ(L.M.Neckers)、ピー・タグリアフェリ(P.Ta
gliaferri)、ティー・ジャンセン(T.Jahnsen)、アー
ル・ケイ・ロビンズ(R.K.Robins)およびワイ・エ
ス・チョ・チュン(Y.S.Cho−Chung)の論文]およ
びフレンド(Friend)赤白血病細胞の赤血球分化[ジャー
ナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Bio
l.Chem.)第260巻、第6296−6303頁(19
85年)のディー・エイ・シュワルツ(D.A.Schwart
z)およびシー・エス・ラビン(C.S.Rubin)の論文]
と相関関係を有していた。
【0070】最近の報告[プロシーディングズ・オブ・
ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・
オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ
(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第87巻、第7
05−708頁(1990年)に掲載のジー・トルトラ
(G.Tortora)、ティー・クレア(T.Clair)およびワ
イ・エス・チョ・チュン(Y.S.Cho−Chung)の論
文]において、本発明者は、RIIβはHL−60細胞に
おけるcAMP誘導分化にとって重要であることを明確
に証明した。RIIβアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドに曝されたHL−60細胞は、cAMPアナログ
による処置に対して抵抗を示し、増殖を継続した。
【0071】HL−60細胞の分化におけるRIIβの重
要な役割はまた、これらの細胞がRIαとRIIβの双方
のアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドに同時に曝
されたときにも示された。表1に示すように、RIαア
ンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、未熟骨髄細
胞[(My9)セルラー・イミュノロジー(Cell.Immuno
l.)第78巻、第83頁(1983年)に掲載のエム・エ
イ・タレ(M.A.Talle)、ピー・イー・ラオ(P.
E.Rao)、イー・ウェストバーグ(E.Westberg)、エ
ヌ・アレガー(N.Allegar)、エム・マコウスキー
(M.Makowski)、アール・エス・ミットラー(R.S.
Mittler)およびジー・ゴールドステイン(G.Goldste
in)の論文並びにルーコ・リサーチ(Leuk.Res.)第5
巻、第491頁(1981年)に掲載のアール・エフ・ト
ッド・ザ・サード(R.F.Todd.III)、ジェイ・
ディー・グリフィン(J.D.Griffin)、ジェイ・リッ
ツ(J.Ritz)、エル・エム・ナドラー(L.M.Nadle
r)、ティー・アブラムズ(T.Abrams)およびエス・エ
フ・シュロスマン(S.F.Schlossman)の論文]に関す
るマーカーの減少とともに、単球表面抗原[(Leu15):
ジャーナル・オブ・イミュノロジー(J.Immuno.)第
131巻、第2757−2761頁(1983年)に掲載
のエイ・ランデイ(A.Landay)、エル・ガートランド
(L.Gartland)およびエル・ティー・クレメント(L.
T.Clement)の論文]と[Leu M3:ジャーナル・オブ
・イミュノロジー(J.Immuno.)第130巻、第14
5−152頁(1983年)に掲載のエイ・ディミトリュ
ー・ボナ(A.Dimitriu−Bona)、ジー・アール・バー
メスター(G.R.Burmester)、エス・ジェイ・ウォー
ターズ(S.J.Waters)およびアール・ジェイ・ウィ
ンチェスター(R.J.Winchester)の論文] の発現の
著しい増大を引き起こした。
【0072】表面マーカーの発現におけるこれらの変化
は、細胞がRIαとRIIβの双方のアンチセンスオリゴ
デオキシヌクレオチドに同時に曝されたときになくなっ
た(表1)。RIIαのcAMP受容体は、HL−60細胞
においては検出されず[キャンサー・インベスティゲイ
ション(Cancer Invest.)第7(2)巻、第161−1
77頁(1989年)に掲載のワイ・エス・チョ・チュン
(Y.S.Cho−Chung)、ティー・クレア(T.Clai
r)、ピー・タグリアフェリ(P.Tagliaferri)、エス・
アリー(S.Ally)、ディー・カトサロス(D.Katsaro
s)、ジー・トルトラ(G.Tortora)、エル・ネッカーズ
(L.Neckers)、ティー・エル・アベリー(T.L.Av
ery)、ジー・ダブリュ・クラブツリー(G.W.Crabtr
ee)およびアール・ケイ・ロビンズ(R.K.Robins)の
論文]、RIIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチ
ドは、RIαアンチセンスオリゴマーの効果に対する影
響は示さなかった(表1)。
【0073】RIαとRIIβの双方のアンチセンスオリ
ゴデオキシヌクレオチドに曝された細胞は、cAMPア
ナログによる処理の如何に拘わらず、増殖抑制も、分化
も受けなかった。これらの結果は、cAMP依存増殖調
節経路を遮断していることを示しているものと考えられ
る。細胞は、これらの条件下では、もはやcAMP依存
性ではなく、別の経路を介して生存し、分化するものと
考えられる。
【0074】かくして、RIαとRIIβの双方の遺伝子
発現を抑制すると、突然変異細胞ラインと同様に、異常
な細胞増殖調節を受け[セル(Cell)第22巻、第329
−330頁(1980年)に掲載のエム・エム・ゴッテス
マン(M.M.Gottesman)の論文]、cAMP依存性プロ
テインキナーゼの不十分なあるいは不完全な調節サブユ
ニットを含むとともに、cAMP賦活に対してはもはや
感受性を示さなかった。
【0075】本発明者が得た結果によれば、cAMP
は、RIαまたはRIIβ受容蛋白質の有効性により、細
胞分化に関して正または負のデュアル制御の信号を変換
することが示されている。RIIβ発現の高まりとともに
RIαの抑制を引き起こすRIαアンチセンスオリゴデ
オキシヌクレオチドにより、細胞毒性の兆候をもたない
HL−60の末端分化が生じた。
【0076】細胞は、RIIβアンチセンスまたはRIα
とRIIβの双方のアンチセンスオリゴデオキシヌクレオ
チドに曝されているので、RIαアンチセンスオリゴデ
オキシヌクレオチドに曝された細胞の遊離のCサブユニ
ットの増加は分化によるものとは考えられず、遊離のC
サブユニットを生ずる条件の下で、増殖を続け、cAM
P賦活に抵抗を示すようになった。
【0077】かかる事実を直接明らかにするため、飽和
濃度cAMPの存在下および非存在下で、かつ熱安定性
プロテインキナーゼ阻害剤[バイオケミカル・ジャーナ
ル(Biochem.J.)第231巻、第655−661頁
(1985年)に掲載のエイチ・シー・チェン(H.C.
Cheng)、エス・エム・ヴァン・パッテン(S.M.Van
Patten)、エイ・ジェイ・スミス(A.J.Smith)およ
びディー・エイ・ウォルシュ(D.A.Walsh)の論文]
の存在下および非存在下で、基質としてケンプチド(ジ
ャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.
Biol.Chem.)第252巻、第4888−4894頁
(1977年)に掲載のビー・イー・ケンプ(B.E.Ke
mp)、ディー・ジェイ・グレイブズ(D.J.Graves)、
イー・ベンジャミン(E.Benjamin)およびイー・ジー
・クレブス(E.G.Kerbs)の論文]を使用し、アンチ
センスオリゴデオキシヌクレオチドに曝しまたは曝さな
い細胞のホスホトランスフェラーゼを測定した。
【0078】このアッセイ法によれば、解離したCと全
C活性の相対的レベルを正確に測定することができる。
未処理のHL−60細胞からの細胞抽出物は、解離した
Cは著しく低レベルであり、cAMPにより36倍刺激
を受けた(表2)。このcAMP刺激活性は、熱安定性
プロテインキナーゼ阻害剤によりほぼ完全に抑制され
(表2)、測定された全C活性から、cAMP依存性プ
ロテインキナーゼであることがわかった。これらの結果
は、遊離の触媒サブユニットがHL−60細胞において
観察される分化を引き起こさないことを直接証明してい
る。
【0079】RIαのcAMP受容蛋白質の過度の発現
が、試験されたヒトの乳および結腸原発性癌腫の大部分
において見出されており[プロシーディングズ・オブ・
ザ・アメリカン・アソシエイション・オブ・キャンサー
・リサーチ(Proc.Am.Assoc.Cancer Res.)第
31巻、第172頁(1990年)に掲載のエイ・ダブ
リュ・ブラッドバリー(A.W.Bradbury)、ダブリ
ュ・アール・ミラー(W.R.Miller)、ティー・ク
レア(T.Clair)およびワイ・エス・チョ・チュン
(Y.S.Cho−Chung)の論文]、cAMP受容体が
更に腫瘍の増殖においてインビトロで重要な役割を果た
していることを示している。
【0080】しかしながら、細胞増殖におけるRIαの
正確な役割は、現時点では知られていない。RIαは、
Cサブユニットを滴定(タイトレート)することにより
RIIβの生成を抑制することができ、あるいは、これは
細胞増殖を引き起こすマイトジェン信号の変換器とする
ことができる。これらの結果は、RIαアンチセンスオ
リゴデオキシヌクレオチドが細胞の増殖と分化における
cAMP受容蛋白質の役割に関する研究に対して有用な
遺伝手段を提供するとともに、悪性度の制御における新
しい解決方法に寄与することを示している。
【0081】
【表1】
【0082】表面抗原分析は、単球または骨髄細胞と反
応するモノクローナル抗体を使用したフローサイトメト
リー(流動細胞計測法)により実施した。使用したモノ
クローナル抗体は、Leu15、LeuM3およびMy9で
あった。各サンプルに関して2×104個の細胞を分析
し、細胞ゲーティング(cell gating)は、前方および
側方散乱を使用して行った。数字は、%陽性を示すとと
もに、3つの実験の平均値を示す。
【0083】
【表2】
【0084】細胞は、図1に示すように、15μM濃度
のRIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド、R
IIβアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドおよびR
IαとRIIβアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド
のそれぞれに4日間曝された。データは、3回の同じ実
験の二重測定の平均±SDを示す。
【0085】*分/mg蛋白質当たりケプチドに移動した
リン酸塩のピコモル。
【0086】実施例2 次に、配列番号1を有するRIαアンチセンスオリゴデ
オキシヌクレオチドを、実験的な腫瘍を有するマウスに
投与した。RIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオ
チド(250mg/kg)とコレステロール(750mg/k
g)のペレットを、リン酸塩緩衝生理的食塩水に懸濁さ
せたLS−174Tヒト結腸癌細胞(2×106個)を
左脇腹に注入した無胸腺症マウスの左脇腹に皮下(s.
c.)に埋め込んだ。腫瘍の測定とマウスの重量を処理の
最初の日(開始日)と処理の最後(開始日+5)に記録
した。平均腫瘍重量変化(Δ)は、長さと幅のミリメー
トル測定に基づくものである。数日後、腫瘍の増殖は、
対照細胞と比較して抑制された(表3)。対照動物およ
び処理動物には体重変化は認められなかった。
【0087】
【表3】
【0088】別のインビトロの実験においては、配列番
号1を有するRIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドを、神経芽細胞腫、結腸癌、乳癌および胃癌細胞
を別々に含む皿に加えた。結果は、図7に示す通りであ
った。図7は、配列番号1(O−オリゴおよびS−オリ
ゴ誘導体)を有するRIαアンチセンスオリゴデオキシ
ヌクレオチドによるヒト癌細胞ラインの増殖抑制を対照
と比較して示すグラフ図である。細胞ラインは、SK−
N−SHが神経芽細胞腫、LS−174Tが結腸癌、M
CF−7が乳癌、TMK−1が胃癌である。E2はエス
トラジオール−17βを示す。
【0089】図7に示すように、配列番号1を有するR
Iαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、対照
細胞と比較すると、全ての癌細胞の増殖を抑制した。更
に、配列番号1を有するRIαアンチセンスオリゴデオ
キシヌクレオチドは、図8に示すように、ヒトの神経芽
細胞の分化を引き起こした。
【0090】実施例3 次に、無胸腺症のマウスにおけるLS−174Tヒト結
腸癌の増殖に対するO−オリゴおよびS−オリゴRIα
アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの作用の比較
を行った。
【0091】<材料と方法> 本発明者は、第1のコドンから出発するヒトRIα、ヒ
トRIIβmRNA転写物に相補的な21マーのアンチセ
ンスオリゴデオキシヌクレオチド並びにこれらのホスホ
ロチオエートアナログ、および同じサイズのミスマッチ
配列オリゴマーを合成した[ミリジェン・バイオサーチ
8700DNA合成器(Milligen Biosearch 87
00 DNA synthesizer)(マサチューセッツ州、
ベッドフォード(Bedford,MA))]。各オリゴマーの
配列は以下の通りである。
【0092】RIαアンチセンス:5'−GGC−GG
T−ACT−GCC−AGA−CTC−CAT−3' RIIβアンチセンス:5'−CGC−CGG−GAT−
CTC−GAT−GCT−CAT−3' ランダムオリゴ:5'−CGA−TCG−ATC−GA
T−CGA−TCG−TAC−3'
【0093】LS−174Tヒト結腸癌細胞(2×10
6)を無胸腺症マウスに皮下(s.c.)注射し、コレステ
ロールペレットまたは50%胡麻油エマルジョンの形態
をなすアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドを、腫
瘍の平均サイズが通常25−50mgとなる1週間後に皮
下投与した。腫瘍の体積は、長さと幅とを測定し、(4
/3)πr3なる式により算出した。該式において、r=
(長さ+幅)/4である。
【0094】<結果と検討> 結果は図9および図10に示す通りであった。図9およ
び図10は、RIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドおよびそのホスホロチオエートアナログが、無胸
腺症マウスにおけるLS−174Tヒト結腸癌のインビ
ボにおける増殖を抑制することを示すものである。即
ち、図9は、腫瘍の増殖のオリゴデオキシヌクレオチド
濃度依存抑制を示す。O−オリゴは、RIαアンチセン
スオリゴデオキシヌクレオチドであり、S−オリゴは、
RIαアンチセンスオリゴマのホスホロチオエートアナ
ログである。指示された投与量のO−オリゴまたはS−
オリゴを含むコレステロールペレット(全重量20mg)
を、1回、ゼロ時で皮下に埋め込み、腫瘍のサイズを測
定した。腫瘍の体積(実施例3に記載の材料と方法を参
照)は、7つの腫瘍の平均±S.D.を示す。
【0095】図10は、腫瘍の増殖に対するアンチセン
スオリゴデオキシヌクレオチドホスホロチオエートの影
響を示す。コレステロールペレットで3mg投与量でS−
オリゴ(全量で20mg)を、2×/週、皮下に投与し
た。腫瘍の体積(実施例3の材料と方法を参照)は、7
つの腫瘍の平均±S.D.を示す。
【0096】図7および図10は、(ゼロ時で)コレス
テロールペレットで1回皮下投与された2および5mg投
与量のRIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド
(O−オリゴ)の投与量および時間依存効果を示し、対
照(未処理)の腫瘍と比較すると、7日で約20%およ
び46%の増殖抑制を示している。驚いたことに、RI
αアンチセンスホスホロチオエートアナログ(S−オリ
ゴ)を2mg投与(コレステロールペレット、皮下)した
ところ、7日目に60%の増殖抑制が得られ、O−オリ
ゴアンチセンスに比べて効果が3倍大きかった(図
9)。RIαアンチセンスS−オリゴマは、動物を長期
間処理したときに一層大きな増殖抑制効果を発揮した。
【0097】また、図10に示すように、3mgの投与量
のRIαアンチセンスS−オリゴマーをコレステロール
ペレットで、週2回、3週間皮下埋め込みを行ったとこ
ろ、80%の増殖抑制を果たし、腫瘍の増殖は、2週間
の処理後にほとんど停止した。RIαアンチセンスO−
オリゴマーまたはS−オリゴマーを、50%胡麻油エマ
ルジョンとして皮下投与したところ、同様の結果が得ら
れた。RIαアンチセンスS−オリゴマーは、動物にお
いて明らかな毒性を生ずることは全くなく、体重の減少
その他の毒性による兆候は、3週間に亘る処理において
は見られなかった。
【0098】RIαアンチセンスS−オリゴマーにより
得られる増殖抑制効果は、オリゴマーの特有の効果であ
り、RIαアンチセンスオリゴマーと同じサイズのRII
βアンチセンスまたはランダム(ミスマッチ配列)S−
オリゴマーは、腫瘍増殖に対して効果を発揮しなかった
(図10)。
【0099】RIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドで処理した無胸腺症マウスの結腸癌において観察
された増殖抑制が、オリゴマーの細胞内効果によるもの
であることを一層明らかにするため、これらの腫瘍にお
けるRIαおよびRIIβcAMP受容蛋白質のレベルを
測定した。RIαレベルは、(ノルウェー国、オスロに
所在するオスロ大学(University of Oslo)のリー
(Lea)博士およびジャンセン(Jahnsen)博士の好意
により提供された)ヒトRIαに対するモノクローナル
抗体を使用して免疫染色[プロシーディングズ・オブ・
ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイセンシーズ・
オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ
(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第85巻、第
6319−6322頁(1988年)に掲載のエス・ア
ライ(S.Ally)の論文]を行うことにより測定し、
一方、RIIβは[32P]8−N3−cAMPでRIIβのフ
ォトアフィニティラベルを行った後に、[ノルウェー
国、ベルゲン(Bergen)に所在するベルゲン大学(Un
iversity of Bergen)のエス・オウ・ドスケランド
(S.O.Doskeland)博士の好意により提供された]
抗RIIβ抗血清による免疫沈降[プロシーディングズ・
オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイセンシ
ーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメ
リカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第87
巻、第705−708頁(1990年)に掲載のジー・
トルトラ(G.Tortora)等の論文]により測定した。
【0100】表4に示すように、RIαアンチセンスS
−オリゴマー処理により、未処理の対照腫瘍と比較し
て、腫瘍のRIαレベルは著しく減少した(80%減
少)。RIαアンチセンスS−オリゴマーによるRIα
発現に対するこのような抑圧により、RIIβレベルは2
倍増大した(表4)。プロテインキナーゼの触媒サブユ
ニットの量の変化を引き起こすことのないRIαとRII
βのこのような調節された発現は、RIαアンチセンス
オリゴデオキシヌクレオチドに曝したときに増殖の抑制
と分化を示すHL−60白血病細胞において示された。
【0101】一方、RIIβレベルの80%の抑制ととも
にRIαレベルの50%の増大が、腫瘍の増殖に影響を
及ぼさないRIIβアンチセンスS−オリゴマによる処理
後に観察された(図9および図10)。腫瘍の増殖に影
響を及ぼさなかった(図9および図10)ランダムな
(ミスマッチ配列)S−オリゴマーはまた、RIαレベ
ルに対しても影響を及ぼさなかった(表4)。かくし
て、RIα発現の低減は、RIαアンチセンスオリゴマ
ーで処理すると腫瘍増殖の低減または停止を引き起こす
ものと考えられる。
【0102】かかる結果により、cAMPは、RIαま
たはRIIβ受容蛋白質の有効性により、細胞増殖に対す
る積極的または消極的な二重制御の信号を変換すること
がわかった。RIαの発現を抑制し、RIIβ発現を高め
るRIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドによ
り、動物に毒性の兆候をもたらさずに、無胸腺症マウス
における充実性結腸癌のインビボにおける増殖が抑制さ
れた。RIαアンチセンスオリゴマのホスホロチオエー
トアナログ(S−オリゴ)は、改質されていないオリゴ
デオキシヌクレオチド(O−オリゴ)のアンチセンスよ
りも大きい効力を示した。
【0103】S−オリゴは、O−オリゴと比較して、容
易に細胞に入り易く、エンドヌクレアーゼに対して耐性
があり、かつ、標的mRAまたはDNA[フロリダ州、
ボカラトン(Boca Raton)のシーアールシー・プレ
ス・インコーポレイテッド(CRC Press,Inc.)
発行、シー・エイ・スタイン(C.A.Stein)著、ジ
ェイ・エス・コーエン(J.S.Cohen)編集のオリゴ
デオキシヌクレオチド:遺伝子発現のアンチセンス抑制
剤(Oligodeoxynucleotides:Antisense Inhibitor
s of Gene Expression)第97−117頁(19
89年)]との雑種形成において大きい効力を示すこと
がわかった。
【0104】これらの結果は、アンチセンスオリゴデオ
キシヌクレオチドがインビボにおいて悪性腫瘍の抑制に
おいて著しい効果を示すことを、ここに初めて示す。ア
ンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドによる、特にそ
のホスホロチオエートアナログによるcAMP依存プロ
テインキナーゼのタイプI調節サブユニット(RIα)
を枯渇させることにより、毒性の兆候を示すことなく、
インビボでの腫瘍増殖を首尾よく停止させることがで
き、このアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは臨
床応用に大きな効力を発揮するものと考えられる。
【0105】
【表4】
【0106】表4において、S−オリゴによる処理は、
図10におけるものと同じである。実験(3週間)の最
後に、腫瘍抽出物を前記[キャンサー・リサーチ(Can
cerRes.)第49巻、第5650−5655頁(198
0年)に掲載のエス・アリー(S.Ally)等の論文]
のようにして得て、RIαおよびRIIβの免疫染色およ
び免疫沈降を、プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイセンシーズ・オブ・ザ・
ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA)第85巻、第6319−6
322頁(1988年)に掲載のエス・アリー(S.A
lly)の論文およびプロシーディングズ・オブ・ザ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイセンシーズ・オブ・
ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA)第87巻、第705
−708頁(1990年)に掲載のジー・トルトラ
(G.Tortora)等の論文に記載のようにして行った。
データは、オートラジオグラフィのデンシトメトリ走査
による定量からのものである。データは、任意の単位と
しての1に等しく設定された対照腫瘍(未処理)のレベ
ルに対するものとして示されている。データは、7つの
腫瘍の平均±S.D.を示す。
【0107】以下の配列表において、配列番号1は、R
Iαの最初の7N−末端コドン(第1−7コドン)に対
応するアンチセンス配列を示す。配列番号2は、RIα
の第8−13コドンに対応するアンチセンス配列を示
す。配列番号3は、RIαの第14−20コドンに対応
するアンチセンス配列を示す。配列番号4は、RIαの
第94−100コドンに対応するアンチセンス配列を示
す。配列番号5は、RIαの第1−100コドンに対応
するアンチセンス配列を示す。配列番号6は、RIαの
第1−100コドンに対応するセンス配列を示す。
【0108】
【発明の効果】本発明のRIαアンチセンスオリゴヌク
レオチドは、癌細胞におけるRIαの発現を抑制するこ
とにより、細胞の増殖を抑制するとともに、細胞分化を
刺激することができる。更に、本発明の薬剤組成物は、
増殖の抑圧を受けやすい癌細胞の増殖を抑圧することに
より、癌の治療、殊に固形癌の治療に使用することがで
きる。
【0109】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:YES 配列 GGCGGTACTG CCAGACTCCA T 21
【0110】 配列番号:2 配列の長さ:18 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:YES 配列 GCGTGCCTCC TCACTGGC 18
【0111】 配列番号:3 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:YES 配列 GAGCTCACAT TCTCGAAGGC T 21
【0112】 配列番号:4 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:YES 配列 GATAGCACCT CGTCGCCTCC T 21
【0113】 配列番号:5 配列の長さ:300 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:YES 配列 GATAGCACCT CGTCGCCTCC TACCTTTAAC CACTGGGTTG GGTGGAGGAG GAGAAATCTC 60 ATCCTCCCTT GAGTCTGTAC GAGTGCCTGC TTTCTGCAGA TTGTGAATCT GTTTTGCCTC 120 CTCCTTCTCC AACCTCTCAA AGTATTCCCT GAGGAATGCC ATGGGACTCT CAGGTCGAGC 180 AGTGCACAAC TGCACAATAG AATCTTTGAG CAGTGCTTGA ATGTTATGCT TCTGGACGTA 240 GAGCTCACAT TCTCGAAGGC TGCGTGCCTC CTCACTGGCG GCGGTACTGC CAGACTCCAT 300
【0114】 配列番号:6 配列の長さ:300 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 アンチセンス:NO 配列 ATGGAGTCTG GCAGTACCGC CGCCAGTGAG GAGGCACGCA GCCTTCGAGA ATGTGAGCTC 60 TACGTCCAGA AGCATAACAT TCAAGCACTG CTCAAAGATT CTATTGTGCA GTTGTGCACT 120 GCTCGACCTG AGAGACCCAT GGCATTCCTC AGGGAATACT TTGAGAGGTT GGAGAAGGAG 180 GAGGCAAAAC AGATTCAGAA TCTGCAGAAA GCAGGCACTC GTACAGACTC AAGGGAGGAT 240 GAGATTTCTC CTCCTCCACC CAACCCAGTG GTTAAAGGTA GGAGGCGACG AGGTGCTATC 300
【図面の簡単な説明】
【図1】HL−60白血病細胞の基礎増殖速度に対する
RIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの影響
を示すグラフ図である。
【図2】HL−60白血病細胞をcAMPアナログまた
はTPAで処理したときのこれらの細胞の増殖を示すグ
ラフ図である。
【図3】HL−60細胞の形態変化に及ぼすRIαアン
チセンスオリゴデオキシヌクレオチドの影響を示す図で
ある。×180。
【図4】RIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチ
ドに曝したHL−60白血病細胞における低下したRI
αmRNAの発現を示すノザンブロットである。
【図5】RIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチ
ドに曝したHL−60白血病細胞における低下したRI
αmRNAの発現を示すノザンブロットである。
【図6】HL−60白血病細胞におけるRIαとRII
βcAMP受容蛋白質の基礎および誘起レベルに及ぼす
RIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの影響
を示すSDSA−PAGE図である。
【図7】配列番号1(O−オリゴおよびS−オリゴ誘導
体)を有するRIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレ
オチドによるヒト癌細胞ラインの増殖抑制を対照と比較
して示すグラフ図である。
【図8】この図は、配列番号1を有するRIαアンチセ
ンスオリゴデオキシヌクレオチドに曝されたSK−N−
SHヒト神経芽細胞腫細胞の形態変化を示す図である。
【図9】RIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチ
ドの投与量および時間依存効果を示すグラフ図である。
【図10】RIαアンチセンスオリゴデオキシヌクレオ
チドの投与量および時間依存効果を示すグラフ図であ
る。

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号6で表されるcAMP依存性プ
    ロテインキナーゼタイプIの調節サブユニット(RI
    α)の最初の100 N−末端コドンの領域に対して相
    補的な15−30マーのオリゴヌクレオチドであるアン
    チセンスオリゴヌクレオチドを有効成分とする固形癌治
    療剤。
  2. 【請求項2】 アンチセンスオリゴヌクレオチドがDN
    Aである請求項1に記載の固形癌治療剤。
  3. 【請求項3】 アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列
    番号1に示す配列を有する21マーである請求項1に記
    載の固形癌治療剤。
  4. 【請求項4】 アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列
    番号2に示す配列を有する18マーである請求項1に記
    載の固形癌治療剤。
  5. 【請求項5】 アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列
    番号3に示す配列を有する21マーである請求項1に記
    載の固形癌治療剤。
  6. 【請求項6】 アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列
    番号4に示す配列を有する21マーである請求項1に記
    載の固形癌治療剤。
  7. 【請求項7】 cAMP依存性プロテインキナーゼ タ
    イプIの調節サブユニット(RIα)遺伝子またはその
    転写産物に対して相補的な配列番号5に示す配列を有す
    るアンチセンスDNAの15−30マーのフラグメント
    を有効成分とする固形癌治療剤。
  8. 【請求項8】 請求項1−7のいずれか一項に記載のア
    ンチセンスオリゴヌクレオチドがO−オリゴヌクレオチ
    ドである固形癌治療剤。
  9. 【請求項9】 請求項1−7のいずれか一項に記載のア
    ンチセンスオリゴヌクレオチドがS−オリゴヌクレオチ
    ドである固形癌治療剤。
  10. 【請求項10】 活性成分として、配列番号6で表され
    るcAMP依存性プロテインキナーゼ タイプIの調節
    サブユニット(RIα)の最初の100 N−末端コド
    ンの領域に対して相補的な15−30マーのオリゴヌク
    レオチドであるアンチセンスオリゴヌクレオチドと、薬
    学的に許容できるキャリヤとを含有する固形癌治療用薬
    剤組成物。
  11. 【請求項11】 薬学的に許容できるキャリヤがステロ
    ールである請求項10に記載の固形癌治療用薬剤組成
    物。
  12. 【請求項12】 薬学的に許容することができるキャリ
    ヤがリポソームである請求項10に記載の薬剤組成物。
  13. 【請求項13】 配列番号6で表されるcAMP依存性
    プロテインキナーゼタイプIの調節サブユニット(RI
    α)の最初の100 N−末端コドンの領域に対して相
    補的な15−30マーのオリゴヌクレオチドであるアン
    チセンスオリゴヌクレオチド、または請求項10−12
    のいずれか一項に記載の薬剤組成物を、固形癌治療を必
    要とする動物(ヒトを除く)に投与することを特徴とす
    る固形癌の治療方法。
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