JP2715964B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、空調用，低温機用，
冷蔵庫用に用いられる全密閉タイプのスクロール圧縮機
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図３は例えば実開平１−１４９５８５号
公報に示された従来のスクロール圧縮機の断面図であ
り、図において１は揺動スクロール、２は固定スクロー
ルで、2cは吸入口、2dは吐出口であり、ともに固定スク
ロール２に設けられている。また揺動スクロール１の背
面には揺動軸受1cと自転防止機構３を有し、揺動軸受1c
は主軸４と直結している。揺動スクロール１と固定スク
ロール２はその渦巻部を互いに内側に向けて組み合わさ
れるとともに、揺動スクロール１は固定スクロール２と
フレーム５で挾持されている。６は主軸４下端に開口部
を有し主軸４内にその軸心より偏心して設けられた給油
孔で、各軸受へ油を導く。また、モータロータ10は主軸
４に、モータステータ11はシェル13に圧入、焼ばめ又は
ネジ止メなどにより固定されている。９はスラスト軸受
であり、自転防止機構の外側に位置している。このよう
にして組立られた機構部は、固定、及び揺動スクロール
１，２を上部に、モータロータ10及びモータステータ11
を下部にして、シェル13内に圧入し，焼きばめなどによ
り収容固定されている。

【０００３】次に動作について説明する。冷媒ガスは吸
入管15よりシェル13内に吸入され、シェル13内壁とモー
タステータ11の間、モータロータ10とモータステータ11
の間のエアギャップ等を通ってモータを冷却した後、固
定スクロールの吸入口2cより圧縮室14へ取り込まれて圧
縮される。

【０００４】また、潤滑油は遠心ポンプ17により油溜り
16から主軸４に配設された給油孔を通り、揺動軸受1c，
主軸受8a，副軸受8bおよびスラスト軸受９に給油され、
モータロータ10とモータステータ11とフレームで形成さ
れるモータ上側空間18，モータロータ10とモータステー
タの間、及び、モータステータ11とシェル13の間を通
り、モータ下側空間19を経て油溜りへ返油される。この
際、モータ上側空間18に流れ出した潤滑油は、主軸４，
モータロータ10の回転により、潤滑油はその回軸方向の
速度成分が与えられ、遠心力により潤滑油が外周部へ飛
ばされる。その油の一部が吸入管15からシェル13内へ吸
入された冷媒と混合し、固定スクロールの吸入口2cから
圧縮室14へ吸入され、圧縮機外へ持ち出される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来のスクロール圧縮
機は以上のように構成されているので、モータ上側空間
に漏れた潤滑油が吸入管から吸入された冷媒と混合し、
モータ上側空間に漏れた油の一部と冷媒とともに吸入口
から圧縮室へ吸入される。そのため圧縮機外へ持ち出さ
れる潤滑油量が多くなり、油溜りの油枯渇による各軸受
への給油不良のため、軸受の摩耗増大、焼き付きが発生
し、信頼性が低下するという問題点があった。また、吸
入口は自転防止機構及びスラスト軸受より外側にしか設
けられないという構造上の制約点があった。

【０００６】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、シェル内モータ上側空間に漏れ
た潤滑油のうち、冷媒とともに吸入ポートから圧縮室へ
吸入される潤滑油量を少なくすることで、潤滑油の圧縮
機外の持ち出し量を低下させ、圧縮機内の油枯渇を防止
し、信頼性の高い圧縮機を得ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明に係るスクロー
ル圧縮機は、フレームの吸入ポート部にポケットを設
け、このポケットのシェル内モータ上側空間への開口部
の半径方向外周部を遮へいし、ポケットの内周部を開口
したものである。

【０００８】

【作用】この発明におけるスクロール圧縮機は、フレー
ムの吸入ポート部にポケットを設けたことにより、モー
タの遠心力により外周へ飛ばされる潤滑油が吸入ポート
へ直接入り込むことを防止する。

【０００９】

【実施例】以下、この発明の一実施例を図１、図２にお
いて説明する。図中、３と同一符号は同一、又は相当部
分を示し、20はフレーム５に設けた吸入ポート、21はフ
レーム５に設けたポケットで、吸入管15と連通したシェ
ル内モータ上側空間18と吸入ポート20とを連通してい
る。22はポケット21に設けた板金製のじゃま板で、ポケ
ット21のシェル内モータ上側空間18への開口部の半径方
向外周部を遮へいし、ポケット21の内周部を開口するよ
うに取り付けられている。

【００１０】次に圧縮機内の冷媒と潤滑油の流れについ
て図２を用いて説明する。冷媒は吸入管15からシェル内
へ流入する。シェル内モータ上側空間18で主軸受8aから
漏れた潤滑油は、主軸４、モータロータ10の回転によ
り、回転方向の速度成分が与えられ、遠心力によりシェ
ルの外周部へ飛ばされる。次いで、冷媒はポケット21の
モータ側開口部から吸入ポート20へ吸入されるが、外周
部へ飛ばされた潤滑油は、ポケット21に設けた板金製じ
ゃま板22によりポケット21へ流入せず、シェル内壁とモ
ータステータ11間を流れ落ち油溜まり16へ返される。従
って、遠心力により外周へ飛ばされた潤滑油の吸入ポー
ト20への吸入を防止できるので、圧縮室14へ吸入される
油量減少、すなわち、圧縮機外へ持ち出される潤滑油が
低減し、圧縮機内の油枯渇を防止できる。

【００１１】なお、上記実施例ではフレーム５に設けた
ポケット21に板金製のじゃま板22をポケット21外周部に
取り付けた場合を示したが、ポケット外周部を遮へいし
た構造になっていればよく、例えば、フレームと一体で
鋳物形成しても同様の効果を奏する。

【００１２】

【発明の効果】以上のように、この発明によれば、吸入
管がフレ−ムとモ−タとの間に形成されるモ−タ上側空
間に開口するように設けられ、圧縮室へ冷媒を取り入れ
るための吸入口に直結するフレ−ムの吸入ポ−ト部にポ
ケットを設け、このポケットのシェル内モ−タ上部空間
への開口部の半径方向外周部を遮へいし、ポケットの内
周部を開口し、吸入管から導入された冷媒はポケットの
内周部の開口から直接吸入される構成としたので、シェ
ル内モ−タ上側空間に入った潤滑油は、主軸、モ−タロ
−タの回転により、回転方向の速度成分が与えられ、遠
心力によりシェルの外周部へ飛ばされ、一方冷媒はポケ
ットの内周部の開口から直接吸入ポ−トを介して吸入口
へ吸入されるので、冷媒は潤滑油から分離され、再混合
なしに圧縮室へ入る。従って、潤滑油の圧縮機外への持
ち出し量を少なくすることができ、圧縮機中の油枯渇に
よる軸受への給油不良、焼付きが防止できる。また、吸
入口に入る冷媒は潤滑油が分離されたものであり、途中
で潤滑油との再混合もないので、吸入口側よりの油戻し
通路等は必要としない。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例によるスクロール圧縮機を
示す断面図である。

【図２】図１のポケット部分付近を示す斜視図である。

【図３】従来のスクロール圧縮機を示す断面図である。

【符号の説明】 １ 揺動スクロール ２ 固定スクロール ４ 主軸 ５ フレーム 10 モータロータ 11 モータステータ 13 シェル 14 圧縮機 15 吸入管 16 油溜り 18 モータ上側空間 20 吸入ポート 21 ポケット

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−181084（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−253993（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−12687（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シェル内上部で渦巻を互いに組み合わせ
   ることにより渦巻間に圧縮室を形成する固定スクロ−ル
   および揺動スクロ−ルと、揺動スクロ−ルに公転運動を
   与える主軸と、主軸を回転可能に支承するフレ−ムと、
   このフレ−ムの下方に設けられて主軸を回転させるモ−
   タと、冷媒を導入する吸入管と、シェル内下部に潤滑油
   を溜める油溜りとを備えたスクロ−ル圧縮機において、 吸入管がフレ−ムとモ−タとの間に形成されるモ−タ上
   側空間に開口するように設けられ、圧縮室へ冷媒を取り
   入れるための吸入口に直結するフレ−ムの吸入ポ−ト部
   にポケットを設け、このポケットのシェル内モ−タ上部
   空間への開口部の半径方向外周部を遮へいし、ポケット
   の内周部を開口し、吸入管から導入された冷媒はポケッ
   トの内周部の開口から直接吸入されることを特徴とする
   スクロ−ル圧縮機。