JP2715213B2 - 軽水炉炉内構造物の表面改質方法 - Google Patents

軽水炉炉内構造物の表面改質方法

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JP2715213B2
JP2715213B2 JP4055568A JP5556892A JP2715213B2 JP 2715213 B2 JP2715213 B2 JP 2715213B2 JP 4055568 A JP4055568 A JP 4055568A JP 5556892 A JP5556892 A JP 5556892A JP 2715213 B2 JP2715213 B2 JP 2715213B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高エネルギー熱源を用
いた金属表面溶融による機能性表面改質の技術に係り、
特に軽水炉炉内構造物の耐食性及び耐応力腐食割れ性改
善及び回復技術である軽水炉炉内構造物の表面改質方
関する。
【0002】
【従来の技術】既に運転中の軽水炉炉内構造物の経年劣
化現象として応力腐食割れ発生がある。これは水、応力
及び材料の三因子の重畳する条件で起こる。水質改善に
よる応力腐食割れ防止策として水素注入法が特公昭63
−19838号公報及び特開昭62−126398号公
報にて開示されている。応力除去による応力腐食割れ防
止に関しては現状では有用な技術が提案されていない。
材料に絡む応力腐食割れの原因は粒界でのCr濃度の減
少であり、これについては炉内構造物の溶接部位での熱
履歴に伴うCr炭化物の粒界析出に起因する周辺部での
Cr欠乏あるいは核反応中性子の照射によって材料中に
形成される欠陥と材料成分元素との相互作用及びそれら
の拡散に伴う粒界Crの減少が一般的に主要原因と考え
られている。このような炉水に接する材料表面の耐応力
腐食割れ劣化の改善手法としてTIGあるいはレーザの
高エネルギー熱源による表面部溶融急冷の成分均質化方
法がある。この場合単純に対象表面部を溶融する手法と
耐食、耐応力腐食割れに優れた元素を同時に添加溶融す
る合金化法とがある。現在合金化法としては、対象劣化
表面に合金薄板を貼り付け基材表面部まで溶融する方法
と合金粉末を塗布、粉末を供給しつつ溶融する方法及び
プラズマ溶射被膜のレーザ溶融の三つが考えられてい
る。軽水炉ICMハウジング管内面対象として、レーザ
法では粉末塗布の方法が知られている。また一般の合金
化表面改質に関して、合金粉末供給レーザ溶融肉盛方法
が特開平3−66487号公報に、プラズマ溶射レーザ
再溶融法が特開昭61−194167号公報及び特開平
1−39360号公報に開示されている。また、特開昭
51−140845号公報に線爆溶射法が開示され、特
開昭62−103357号公報に溶射皮膜の表面処理法
が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記した粉末塗布施工
のレーザ法の耐食、耐応力腐食割れ向上合金化法はステ
ンレス等の管内面の施工には技術的に可能である。ペー
スト状の合金粉末を均一に管内面に塗布するために内径
よりも小径の金金属棒を挿入する。しかしながら、例え
ば、シュラウド等の垂直に位置する非管状平面あるいは
曲面の炉内構造物表面に対しては前記の手法の適用は、
粉末の均一厚の塗布施工に関して困難である。また後者
の手法では溶融施工時に残部塗布部が熱影響により剥離
する可能性も大きい。一方プラズマ溶射法は溶射トーチ
寸法が制限となって小管の内面の施工が難しい。
【0004】また、線爆溶射法は、その基本的原理が示
されているにすぎず、オーステナイト系ステンレス鋼等
の具体的な構造物の応力腐食割れ性を向上するため
に、具体的にどのようにするかについての関連する開示
は全くない。溶射皮膜の表面処理法は、その対象がター
ビン等の動翼や静翼であると共に、プラズマ溶射法によ
って母材上に溶射皮膜を形成する手法であるため、管内
表面等への形成は不可能であり、外表面に溶射皮膜を形
成することしか考慮されていない。更にその皮膜に対し
てレーザビームによる加熱は皮膜だけを対象とし、母材
にはほとんど熱を加えないようにしている。従って、耐
食性及び耐応力腐食割れ性を向上する表面改質としては
不充分なものである。
【0005】本発明の目的は、上述した合金化表面改質
手法の限られた汎用性の課題を克服するために、コンデ
ンサ放電による衝撃大電流を金属線に通電、爆発させる
過渡現象を利用し、溶融溶滴微粒子を溶射する線爆溶射
法をオーステナイト系ステンレス鋼及びNi基合金製の
管内面、平面あるいは曲面状の対象部表面の皮膜形成に
適用し、その後の高エネルギー熱源により前記皮膜及び
母材表面の両方を溶融施工することにより優れた耐食、
耐応力腐食割れ性を有する改質合金化表面にすることの
できる軽水炉炉内構造物の表面改質方法を提供するにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、稼働軽水炉の
経年的劣化現象の一つである水環境に接するオーステナ
イト系ステンレス鋼やNi基合金より成る炉内構造物の
腐食及び応力腐食割れを予防するために対象劣化表面部
の合金化改質を行うものである。
【0007】すなわち本発明は、SUS304オーステ
ナイト系ステンレス鋼から成る軽水炉炉内構造物の表面
部に、SUS316Lオーステナイト系ステンレス鋼か
ら成る線材を線爆溶射により微粒子化して衝突させ該表
面部に耐食性及び耐応力腐食割れ性付与成分から成る皮
膜を形成する工程と、該皮膜及び前記構造物の表面部を
同時に再溶解して耐応力腐食割れ性の表面層を形成する
工程と、を有することを特徴とする軽水炉炉内構造物の
表面改質方法である。
【0008】また本願他の発明は、SUS304オース
テナイト系ステンレス鋼から成る軽水炉炉内構造物の表
面部に、重量でC;0.03%以下、Cr;17〜20
%、Ni;15〜20%、Mo;5〜7%、Si;1.
0%以下、Mn;0.5%以下、P;0.045%以
下、S;0.03%以下、及びTi;0.25〜0.5
%とNb;0.5〜1.0%の1種以上を含有し、残部
がFe及び不可避的不純物から成るFe基合金線材を線
爆溶射により微粒子化して衝突させ該表面部に耐食性及
び耐応力腐食割れ性付与成分から成る皮膜を形成する工
程と、該皮膜及び前記構造物の表面部を同時に再溶解し
て耐応力腐食割れ性の表面層を形成する工程と、を有す
ることを特徴とする軽水炉炉内構造物の表面改質方法で
ある
【0009】また本願他の発明は、SUS304オース
テナイト系ステンレス鋼から成る軽水炉炉内構造物の表
面部に、重量でC;0.03%以下、Cr;20〜30
%、Mo;25〜30%を含有し、残部がNi及び不可
避的不純物から成るNi基合金線材を線爆溶射により微
粒子化して衝突させ該表面部に耐食性及び耐応力腐食割
れ性付与成分から成る皮膜を形成する工程と、該皮膜及
び前記構造物の表面部を同時に再溶解して耐応力腐食割
れ性の表面層を形成する工程と、を有することを特徴と
する軽水炉炉内構造物の表面改質方法である
【0010】また本願他の発明は、アロイ600のNi
基合金からなる軽水炉炉内構造物の表面部に、重量で
C;0.03%以下、Cr;15〜17%、Fe;7〜
8%、Si;0.5%以下、Mn;1.0%以下、S;
0.015%以下、Cu;0.5%以下及びNb;3〜
5%を含有し、残部がNi及び不可避的不純物から成る
Ni基合金線材を線爆溶射により微粒子化して衝突させ
該表面部に耐食性及び耐応力腐食割れ性付与成分から成
る皮膜を形成する工程と、該皮膜及び前記構造物の表面
部を同時に再溶解して耐応力腐食割れ性の表面層を形成
する工程と、を有することを特徴とする軽水炉炉内構造
物の表面改質方法である
【0011】
【作用】本発明における線爆溶射は、衝撃大電流を金属
線に通電してなすものであり、線材の溶融微粒子は改質
すべき基材表面での衝突により基材原子と固溶し、密着
力は強固となる。線爆溶射現象は線材を中心に放射状に
起こるため、管内面の溶射膜形成に好適である。また基
材が平面あるいは曲率の大きな曲面である場合には、線
材の反溶射側にカバーを設けて基材上に被膜を形成でき
る。一回の溶射膜厚さは約5μm程度である。多数回の
溶射により膜厚を大きくすることができるが、特にレー
ザ及びTIGによる溶融深さを小さくする場合には、薄
膜形成が容易な線爆溶射法が好適である。この線爆溶射
に続いて皮膜及び母材表面を再溶解させる理由は、線爆
溶射だけでは空孔が存在し、密着性にバラツキがあるた
め、それをなくすためである。
【0012】本発明において、耐食性及び耐応力腐食割
れ性合金化表面を得るために線爆溶射線材として低Cの
316L鋼を使用する理由は、対象炉内構造物が304
鋼であり、溶射合金皮膜との組成的連続性が得られるこ
と及び高エネルギー熱源により皮膜及び構造物表面の両
方を同時に再溶解することによる溶融急冷凝固層の成分
が高Ni量、Mo含有となり、耐食性に優れ、材料の鋭
敏化主因であるC量を低下させることにある。
【0013】本発明の316Lオーステナイト系ステン
レス鋼組成に近く、TiあるいはNbを含むFe基合金
線材において、304鋼基材の溶け込み深さが、その上
に形成される溶射膜厚さの1〜1.5倍である施工条件
下で、溶融後の改質層の合金組成が316Lオーステナ
イト系ステンレス鋼のそれに近似できるためには、多少
の溶け込み深さの変動も考えて、重量%で、Cr:17
〜20%,Ni:15〜20%,Mo:5〜7%が好ま
しい。Si,Mn,P,S量は316Lオーステナイト
系ステンレス鋼中のそれらの基準に収まるのが好まし
い。これにTi,Nbが含有する場合には、Ti,Nb
は改質層に混入される基材304鋼のC及び線材のCを
それら炭化物として固定化する。固定化のための添加適
量としては溶け込み深さの変動を考慮して、Ti:0.
25〜0.5%,Nb:0.5〜1.0%の範囲が好まし
い。
【0014】溶射膜厚が薄くかつ304鋼基材の溶け込
み深さの1/10程度であり、溶融凝固層が316Lオ
ーステナイト系ステンレス鋼組成に近似化されるために
はNi基合金線材のC,Cr,Mo量は、C:0.3
%,Cr:20〜30%,Mo:25〜30%の範囲が
好適である。
【0015】アロイ600(インコネル600の別称)
対象のNi基合金線材において、基材の溶け込み深さが
溶射膜厚の1〜1.5倍である場合には、溶融凝固層の
組成がC量を低く押さえたアロイ600のそれに近似で
きるためにはC,Cr,Feの適量は、重量で、C:
0.03%以下,Cr:15〜25%,Fe:7〜10
%の範囲が好ましい。Si,Mn,S,Cuはアロイ6
00の基準に収まるのが好ましい。またNbの添加は基
材中のCの効率的な固定化のためにも高めの3〜5%の
範囲が好適である。
【0016】尚、本発明の改質方法の適用対象としては
軽水炉のシュラウド、上部格子板、炉心支持板、差圧検
出/ほう酸水注水配管、ICM案内管及びスタビライ
ザ、シュラウドヘッド、気水分離器、炉心スプレイ配
管、炉心スプレイスパージャ、ガイドロッド、再循環水
出口ノズルセーフェンド、シュラウドサポートリング、
シュラウドサポート、ICMハウジング及びCRDハウ
ジング/スタッブジェットポンプディフューザ等及びそ
れらの溶接部が挙げられる。
【0017】
【実施例】(実施例1) 図4乃至図7に板材及び管状構造物に対する線爆溶射及
びその後の表面溶融処理の説明のための概略斜視図を示
す。図4は線爆溶射による板材表面への溶射皮膜形成の
模式図である。+電極6と−電極7との間に直径0.8
〜1.2mmのフィラー状の溶射線10が架橋される。放
電回路3のスイッチを入れることにより、電極を通じて
溶射線10に衝撃大電流が投入され、溶射線10は加
熱、爆発して溶射粒子となり放電エネルギーがもたらす
衝撃波によって、溶射粒子は飛散し、基材27の表面部
に付着して、溶射皮膜5が形成される。板材に対する施
工の場合、電極及び溶射線の板材に面する方向以外の方
向にシールド26をセットして溶射粒子の飛散による汚
染を防止し、基材27表面のみに溶射皮膜5が形成され
るようにする。均一で強固に付着する溶射皮膜を形成す
るための放電条件は、316L系オーステナイト系ステ
ンレス鋼やFe基合金線爆溶射用線材(請求項1,2
を用いる場合は、コンデンサ容量を80μF、放電電圧
を6.5〜7.5kVに制御する。また、Ni基合金線爆
溶射用線材(請求項3又は4)を用いる場合は、コンデ
ンサ容量を80μF、放電電圧を6.0〜7.0kVに制
御する。
【0018】このように形成された1回の線爆溶射皮膜
の厚さは約5μmと薄いため、1回の線爆溶射の後、新
たな溶射線を架橋して2回目の線爆溶射を行う。このよ
うにして溶射及び溶射線供給を10〜20回繰り返して
基材表面に厚さ50〜100μmの均一な溶射層5が形
成される。
【0019】次に、図5に模式的に示すようにレーザ照
射トーチ17を板材27に対して相対的に平行移動させ
ながらレーザ光18を照射して、溶射層5及び基材27
の表面部を同時に再溶解して表面に合金層25を形成さ
せる。溶射線の組成が316系オーステナイト系ステン
レス鋼やFe基合金(請求項1,2)の場合は、溶射皮
膜と母材との希釈を極力低減するようなレーザ照射条件
の下で処理することによって、耐応力腐食割れ性に優れ
た該構造物表面を得ることが出来る。また、溶射線の組
成がMo含有のNi基合金(請求項)の場合は、溶射
皮膜と母材とある程度希釈するようなレーザ照射条件
の下で、表面合金化層25を高Cr、Mo含有のFe−
Cr−Ni系合金にすることによって、耐応力腐食割れ
性に優れた該構造物表面を得ることが出来る。また、溶
射線の組成がFe含有のNi基合金(請求項)の場合
は、溶射皮膜と母材との希釈を極力低減するようなレー
ザ照射条件の下で処理することによって、耐応力腐食割
れ性に優れた該構造物表面を得ることが出来る。レーザ
の代わりにTIGアークを熱源として用いても良い。
【0020】図6は線爆溶射による管状構造物4の内面
への溶射皮膜形成の模式図である。管状構造物内面に対
する施工の場合、全方位に溶射粒子が飛散するのは好都
合であるためシールドの必要は無い。施工手順及び施工
条件は板材の場合と同様である。このようにして溶射−
溶射線供給を10〜20回繰り返して管内面に厚さ50
〜100μmの均一な溶射層5が形成される。
【0021】次に、図7に模式的に示すようにレーザ照
射トーチ17を回転させながらレーザ光18を照射し
て、溶射層5及び基材27の表面部を同時に再溶解して
表面に合金層25を形成させる。溶射線の組成が316
L系オーステナイト系ステンレス鋼やFe基合金(請求
1,2)の場合は、溶射皮膜と母材との希釈を極力低
減するようなレーザ照射条件の下で処理することによっ
、耐応力腐食割れ性に優れた該構造物表面を得ること
が出来る。また、溶射線の組成がMo含有のNi基合金
(請求項)の場合は、溶射皮膜と母材とある程度希
釈するようなレーザ照射条件の下で、表面合金化層25
を高Cr、Mo含有のFe−Cr−Ni系合金にするこ
とによって、耐応力腐食割れ性に優れた該構造物表面を
得ることが出来る。また、溶射線の組成がFe含有のN
基合金(請求項)の場合は、溶射皮膜と母材との希
釈を極力低減するようなレーザ照射条件の下で処理する
ことによって、耐応力腐食割れ性に優れた管状構造物を
得ることが出来る。レーザの代わりにTIGアークを熱
源として用いても良い。
【0022】(実施例2)図1に軽水炉炉内管状溶接構
造物4の内面の溶接熱影響や中性子照射の影響などによ
る耐食性及び耐応力腐食割れ性劣化表面部を含む領域を
前処理として、該劣化表面上に耐食性及び耐応力腐食割
れ性付与合金成分を含有する線材を使用し線爆溶射合金
皮膜を形成せしめる施工を模式的に示す。線爆溶射装置
は、図2に示した如く、線爆溶射トーチ1、ケーブル
2、放電回路及び制御回路3から構成されている。線爆
溶射トーチ1は+電極6、−電極7、絶縁電極支持棒
8、絶縁板9、溶射線材10、溶射線材固定具11、溶
射線材切断カッター12、溶射線材供給用ロール13、
溶射線材支持管14、制御装置15、リード線16から
なり溶射線材の逐次投入が可能である。
【0023】+電極6及び−電極7、溶射線材投入用制
御装置15はリード線16によってケーブル2を介して
放電回路4に接続されている。電極はセラミックあるい
はテフロンなどの絶縁材で出来ている中心角120度の
等間隔の3本の支持棒8によって固定されており、電極
部分は制御装置15により回転可能に形成されている。
電極6は支持棒の中の1本の内部の電線によって出力ケ
ーブルに接続されている。この電極6及び7に直径0.
8〜1.2mmのフィラー状の溶射線10が溶射線材供給
用ロール13の回転、溶射線材支持管14による直線
化、及び溶射線材固定具11によって、架橋され電極6
及び7に接するように固定される。次に溶射線材切断カ
ッター12で溶射線の架橋部分を切り離す。次に放電回
路3のスイッチを入れることにより、電極6,7を通じ
て溶射線10に衝撃大電流が投入され、溶射線10は加
熱、爆発して溶射粒子となり放電エネルギーがもたらす
衝撃波によって、溶射粒子は飛散し、劣化表面部を含む
領域に付着して、溶射皮膜が形成される。
【0024】均一で強固に付着する溶射皮膜を形成する
ための放電条件は、実施例1と同様である。すなわち3
16Lオーステナイト系ステンレス鋼や低CのFe基合
金線爆溶射用線材を用いる場合は、コンデンサ容量を8
0μF、放電電圧を6.5〜7.5kVに制御する。ま
た、低CのNi基合金線爆溶射用線材を用いる場合は、
コンデンサ容量を80μF、放電電圧を6.0〜7.0k
Vに制御する。
【0025】このように形成された1回の線爆溶射皮膜
の厚さは約5μmと薄く、また3本の支持棒8の影のた
め付着の不十分な部分が存在する。従って、1回の線爆
溶射の後、電極部を少し回転させて2回目の線爆溶射を
行い、1回目では付着の不十分な部分にも付着させるよ
うにする。溶射線10は溶射線材供給用ロール13を回
転させることによって電極に架橋され、カッター12に
よって切断される。このようにして回転−溶射−溶射線
供給を10〜20回繰り返して管状構造物4の内面に厚
さ50〜100μmの均一な溶射層5が形成される。
【0026】次に溶射トーチ1を取外した後、図3に模
式的に示すようにレーザ照射トーチ17を回転しながら
レーザ光18を照射する。レーザ光18は、発振器22
より発振したあと光ファイバー等による伝送系19によ
って照射トーチ17まで伝送され、照射光学系によって
集光されながら照射される。蒸気、プラズマ等を除去
し、照射雰囲気をAr等のガス雰囲気とするために、ガ
スボンベ24からガス供給系20を通って照射トーチよ
りガスを射出する。施工時の状況はモニターファイバー
21を通じて赤外線モニター23でモニタリングされ
る。こうして集光されたレーザの熱エネルギーにより、
溶射層5及び劣化表面層4を同時に再溶解して表面に合
金層25を形成させる。溶射線の組成が316Lオース
テナイト系ステンレス鋼や低CのFe基合金の場合は、
溶射皮膜と母材との希釈を極力低減するようなレーザ照
射条件の下で処理することによって、耐食性及び耐応力
腐食割れ性に優れた該構造物表面を得ることが出来る。
また、溶射線の組成がMo含有の低CのNi基合金の場
合は、溶射皮膜と母材とある程度希釈するようなレーザ
照射条件の下で、表面合金化層を低C、高Cr、Mo含
有のFe−Cr−Ni系合金にすることによって、耐食
性及び耐応力腐食割れ性に優れた該構造物表面を得るこ
とが出来る。また、溶射線の組成がFe含有の低CのN
i基合金の場合は、溶射皮膜と母材との希釈を極力低減
するようなレーザ照射条件の下で処理することによっ
て、耐食性及び耐応力腐食割れ性に優れた管状構造物を
得ることが出来る。レーザの代わりにTIGアークを熱
源として用いても良い。
【0027】水中においても溶射トーチ、レーザ照射ト
ーチのそれぞれに水排除のためのワイヤーブラシやシー
ルドガス供給装置を取り付けることによって、改質部を
含む領域の水を排除して気中雰囲気とすることにより、
線爆溶射、レーザ照射といった上記の施工が可能であ
る。
【0028】(実施例3)図8はシュラウド等の垂直に
位置する非管状平面あるいは曲面28の炉内構造物表面
に対する線爆溶射施工の模式図である。電極及び溶射線
の板材に面する方向以外の方向に絶縁物で出来たシール
ド26が設置されているほかは図1と同様である。シー
ルドすることにより、溶射粒子は全方位に飛散すること
なく当該板状構造物14の表面のみに付着させることが
出来る。実施例2の場合と同様に1回の線爆溶射のみで
は膜厚が不十分なので、溶射−溶射線供給を繰り返して
厚さ50〜100μmの均一な溶射層5を形成させる。
構造物表面が曲面の場合は常に電極及び溶射線の板材に
面する方向以外の方向にシールド26がくるようにす
る。
【0029】溶射層5を形成させた後、図9に示すよう
に実施例2と同様のレーザ照射施工を施すことによっ
て、耐食性及び耐応力腐食割れ性に優れた該構造物を得
ることが出来る。レーザの代わりにTIGアークを熱源
として用いても良い。
【0030】水中においても溶射トーチ、レーザ照射ト
ーチのそれぞれに水排除のためのワーイヤーブラシやシ
ールドガス供給装置を取り付けることによって、改質部
を含む領域の水を排除して気中雰囲気とすることによ
り、線爆溶射、レーザ照射といった上記の施工が可能で
ある。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、任意の形状を有する軽
水炉炉内構造物に対する合金化表面改質が可能であり、
炉内構造物の耐食性、耐応力腐食割れ性を向上させるこ
とができるので、軽水炉の事故防止あるいは長寿命化に
大きな効果がある
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による軽水炉炉内管状構造物に対する線
爆溶射によって溶射層を形成させる工程を示す概略断面
図である。
【図2】(a)は図1のレーザ照射トーチの平面図であ
り、(b)は同側面図である。
【図3】図1の処理に続くレーザ照射を施すことによる
合金化表面改質の施工模式図である。
【図4】本発明による板状構造物表面に対する線爆溶射
によって溶射層を形成させる工程の斜視図である。
【図5】レーザ照射を施すことによる合金化表面改質の
施工模式図である。
【図6】本発明による管状構造物内面に対する線爆溶射
によって溶射層を形成させる工程の斜視図である。
【図7】レーザ照射を施すことによる合金化表面改質の
施工模式図である。
【図8】本発明による軽水炉炉内非管状構造物に対する
線爆溶射によって溶射層を形成させる工程の斜視図であ
る。
【図9】レーザ照射を施すことによる合金化表面改質の
施工模式図である。
【符号の説明】
1 線爆溶射トーチ 2 伝送ケーブル 3 放電回路及び制御回路 4 管状構造物 5 溶射層 6 +電極 7 −電極 8 絶縁電極支持棒 10 溶射線材 12 溶射線材切断カッター 13 溶射線材供給用ロール 17 レーザ照射トーチ 18 レーザ光 19 レーザ光伝送系 20 シールドガス供給系 25 合金層 26 シールド 27 板状構造物 28 炉内非管状構造物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 英世 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 黒沢 孝一 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 辻村 浩 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 福田 重久 福岡県粕屋郡篠栗町大字篠栗4905−5 (56)参考文献 特開 昭52−103334(JP,A) 特開 昭57−174431(JP,A) 特開 平3−285047(JP,A) 特開 昭62−103357(JP,A) 特開 昭64−39360(JP,A) 溶射便覧、(昭39−5−31)、P. 256−259、日本溶射協会 編 金属、62〜2! (1992)、(平4− 2−1)、P.9−15 溶接技術、38〜6! (1990)、(平 2−6−1)、P.85−88

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SUS304オーステナイト系ステンレ
    ス鋼から成る軽水炉炉内構造物の表面部に、SUS31
    6Lオーステナイト系ステンレス鋼から成る線材を線爆
    溶射により微粒子化して衝突させ該表面部に耐食性及び
    応力腐食割れ性付与成分から成る皮膜を形成する工程
    と、該皮膜及び前記構造物の表面部を同時に再溶解して
    耐応力腐食割れ性の表面層を形成する工程と、を有する
    ことを特徴とする軽水炉炉内構造物の表面改質方法。
  2. 【請求項2】 SUS304オーステナイト系ステンレ
    ス鋼から成る軽水炉炉内構造物の表面部に、重量でC;
    0.03%以下、Cr;17〜20%、Ni;15〜2
    0%、Mo;5〜7%、Si;1.0%以下、Mn;
    0.5%以下、P;0.045%以下、S;0.03%
    以下、及びTi;0.25〜0.5%とNb;0.5〜
    1.0%の1種以上を含有し、残部がFe及び不可避的
    不純物から成るFe基合金線材を線爆溶射により微粒子
    化して衝突させ該表面部に耐食性及び耐応力腐食割れ性
    付与成分から成る皮膜を形成する工程と、該皮膜及び前
    記構造物の表面部を同時に再溶解して耐応力腐食割れ性
    の表面層を形成する工程と、を有することを特徴とする
    軽水炉炉内構造物の表面改質方法。
  3. 【請求項3】 SUS304オーステナイト系ステンレ
    ス鋼から成る軽水炉炉内構造物の表面部に、重量でC;
    0.03%以下、Cr;20〜30%、Mo;25〜3
    0%を含有し、残部がNi及び不可避的不純物から成
    Ni基合金線材を線爆溶射により微粒子化して衝突させ
    該表面部に耐食性及び耐応力腐食割れ性付与成分から成
    る皮膜を形成する工程と、該皮膜及び前記構造物の表面
    部を同時に再溶解して耐応力腐食割れ性の表面層を形成
    する工程と、を有することを特徴とする軽水炉炉内構
    物の表面改質方法。
  4. 【請求項4】 アロイ600のNi基合金からなる軽水
    炉炉内構造物の表面部に、重量でC;0.03%以下、
    Cr;15〜17%、Fe;7〜8%、Si;0.5%
    以下、Mn;1.0%以下、S;0.015%以下、C
    u;0.5%以下及びNb;3〜5%を含有し、残部が
    Ni及び不可避的不純物から成るNi基合金線材を線
    溶射により微粒子化して衝突させ該表面部に耐食性及び
    耐応力腐食割れ性付与成分から成る皮膜を形成する工程
    と、該皮膜及び前記構造物の表 面部を同時に再溶解して
    耐応力腐食割れ性の表面層を形成する工程と、を有する
    ことを特徴とする軽水炉炉内構造物の表面改質方法。
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溶接技術、38〜6! (1990)、(平2−6−1)、P.85−88
金属、62〜2! (1992)、(平4−2−1)、P.9−15

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