JP2715146B2 - ガス式角速度検出器 - Google Patents

ガス式角速度検出器

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JP2715146B2 JP16576389A JP16576389A JP2715146B2 JP 2715146 B2 JP2715146 B2 JP 2715146B2 JP 16576389 A JP16576389 A JP 16576389A JP 16576389 A JP16576389 A JP 16576389A JP 2715146 B2 JP2715146 B2 JP 2715146B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、検出器本体に作用する角速度を検出するガ
ス式角速度検出器に関する。
従来技術 一般に、ガス式角速度検出器は、第5図に示すよう
に、密閉したケーシング11内で、ノズル孔12からガス通
路13内に一対のフローセンサ14に向かってガス流を噴出
させておき、第6図に示すように、検出器本体に角速度
ωが加わってガス流が中心線○−○からずれεを生じて
一方に偏向したときに、フローセンサ14における抵抗温
度係数の大きなタングステンなどからなる一対のヒート
ワイヤ141,142に生ずる感温出力の差をとり出して、そ
のとき検出器本体に作用する角速度εの向きおよび大き
さを検出するようにしている。
その一対のヒートワイヤ141,142は、ノズル孔12およ
びガス通路13の中心線○−○に対して左右対象となるよ
うに配設されており、検出器本体に横方向の角速度ωが
何ら作用しないときにはノズル孔12から噴出されたガス
がその中心線○−○に沿ってまっすぐ流れて各ヒートワ
イヤ141,142に均等に当たり、その各ヒートワイヤ141,1
42に対する放熱量を等しくしている。
したがって、このようなガス式角速度検出器を移動体
に搭載すれば、移動体の移動方向の変化量を求めること
ができるようになる。
第5図中、15はダイアフラム式のポンプを示してお
り、そのポンプ15によってケーシング11内にとじ込めら
れたガスを流路16を通してノズル孔12に送って、ケーシ
ング11内にガスを常時循環させるようにしている。17
は、ノズル孔12からガス通路13内に噴出されるガス流を
整流する整流孔である。
しかしてこのようなガス式角速度検出器にあっては、
一対に設けられるヒートワイヤ141,142として、その各
抵抗温度特性が全く同一のものを揃えるのが難かしく、
抵抗温度特性に差異があると、検出器本体に何ら角速度
ωが作用していない零レート時にあっても、そのときの
温度に応じて各ヒートワイヤ141,142が示す抵抗値の差
によって検出器に出力を生じてしまうことになる。
したがって、その零レート時の検出器の出力分を実際
の角速度ωの検出出力からオフセットする必要がある
が、ガス温度が変化すると零レート時の出力が変動して
しまうので、温度センサによってガス式角速度検出器内
のガス温度を検出して、その検出温度に応じたオフセッ
ト値をコンピュータによって予測するようにしている。
従来では、ガス式角速度検出器内に温度センサを設け
る際、それをヒートワイヤ対の近傍のガス通路内に設け
るのではガス流を乱し、またその部分の構造が複雑にな
ってしまうので、その温度センサをガス通路外のヒート
ワイヤ対から離れたところに設置するようにしている
が、ヒートワイヤ対の部分におけるガス温度を正確に検
出することができないものとなっている。
また従来では、温度センサとして高感度、高性能のサ
ーミスタを使用しているが、ヒートワイヤ対に比べると
温度に対する感応時の感度、性能に差があって、ヒート
ワイヤ対にかかるガス温度の変化を検出するには必ずし
も精度的に充分とはいえないものとなっている。
さらに従来では、一対に設けられるヒートワイヤ141,
142の各抵抗温度特性の違いから生ずる出力分をオフセ
ットさせる際、外部温度によって検出器内部のガス温度
が変化するとオフセット値が変動してしまうので、それ
を避けるために検出器本体を恒温槽内に設置するように
している。
しかし、それによれば、検出器全体を恒温に維持させ
るので恒温槽が大きくなってしまうとともに、外部から
検出器内部のガスをあたためるのでガス温度を制御する
のに時間がかかるものとなっている。
目的 本発明は以上の点を考慮してなされたもので、ガス通
路上におけるヒートワイヤ対の近傍のガス温度をガス流
を乱すことなく検出するとともに、ヒートワイヤ対に応
じた適切な精度をもってガス温度の変化を検出すること
ができるガス温度検出手段をそなえたガス式角速度検出
器を提供するものである。
また本発明は、ガス通路を流れるガスを直接に加熱ま
たは冷却させるようにした構造的に優れたガス式角速度
検出器を提供するものである。
構成 以下、添付図面を参照して本発明の一実施例について
詳述する。
本発明によるガス式角速度検出器にあっては、第1図
ないし第4図に示すように、それぞれ半導体基板にノズ
ル孔3を形成する半孔31とそれにつながるガス通路4を
形成する半溝41とがエッチングによって形成された下側
半導体基板1と上側半導体基板2とを、それぞれの半孔
31および半溝41をつき合せるように重ねて、両者を接着
させることによってノズル孔3およびガス通路4を構成
するようにしている。
その際、特に本発明では、ガス通路4を形成する下側
半導体基板1に、ガス通路4にかかるブリッジ部5をエ
ッチングによって形成し、そのブリッジ部5に抵抗温度
係数の大きな金属材料からなるガス温度検出用抵抗体6
を設けている。
そのブリッジ部5は、ガス通路4の中心線○−○の両
側に対称に設けられる一対のヒートワイヤ71,72の近傍
で、かつガス通路4の上流側に設けられる。
ガス温度検出用抵抗体6としては、それが、ヒートワ
イヤ71,72と同一のタングステンや白金からなる金属材
料をブリッジ部5の面上に蒸着したうえで、その金属を
ブリッジ部の架設方向にライン状にエッチングし、トリ
ミングすることによって形成されている。
また、そのブリッジ部5の両端側の半導体基板1上に
は、ガス温度検出用抵抗体6と同一の金属材料を蒸着
し、それをエッチングし、トリミングすることによって
ガス温度検出用抵抗体6につながる電極部8が形成され
ている。
前記ヒートワイヤ71,72は、下側半導体基板1をエッ
チングすることによって形成されたブリッジ部9の面上
に、タングステンまたは白金などの抵抗温度係数の大き
な金属を蒸着したうえで、それをエッチングし、トリミ
ングすることによって所定のパターンをもって形成され
ている。
その際、充分な長さをもってガス流の偏向を感度良く
検知できるように、全長が長くなるようなパターンをも
って各ヒートワイヤ71,72が形成される。
ブリッジ部5とブリッジ部9とは、それが同じ高さに
なるように形成されている。
また、ブリッジ部9の両端側の半導体基板1上には、
ヒートワイヤ71,72と同一の金属材料を蒸着し、それを
エッチングし、トリミングすることによって各ヒートワ
イヤ71,72にそれぞれつながる電極部10が形成されてい
る。
このように構成されたものでは、ガス温度検出用抵抗
体6に一定電圧をかけておくことによって、その抵抗値
の変化からガス温度を電気的に検出することができるよ
うになる。
その際、本発明では、ガス通路4を横切るブリッジ部
5上にライン状のガス温度検出用抵抗体6を設けるよう
にしているので、ガス通路4におけるガス流を乱すこと
なくヒートワイヤ71,72の近傍のガス温度を検出するこ
とができる。
このことは、特に、ヒートワイヤ71,72が形成される
ブリッジ部9と同じ高さになるように、ガス温度検出用
抵抗体6が形成されるブリッジ部5を設けているので、
一層の効果が得られる。
また、ガス温度検出用抵抗体6が、ヒートワイヤ71,7
2と同一の金属材料からなっているので、ヒートワイヤ7
1,72がガス流の偏向を感温出力の差によって求めるのと
同じレベルの感度、精度でもってガス流の温度変化を検
出することができる。
したがって本発明によれば、その検出されたガス温度
にしたがって、そのときのガス温度に応じた検出器出力
のオフセット値の設定を高精度に行なわせることができ
るようになる。
さらに本発明では、ガス通路4内の下側半導体基板1
上に、半導体製造技術を用いて、ガス流の加熱素子18お
よび冷却素子19をそれぞれ一体的に形成している。
そのガス流の加熱素子18および冷却素子19としては、
例えば、p形半導体とn形半導体とを金属板電極を介し
て接合して電流を流したときに、その接合部分に発熱ま
たは吸収を生ずるペルチェ素子が用いられる。
また、加熱素子18として、ヒータ材となる金属を下側
半導体基板1上に蒸着したうえで、それを適宜パターン
をもってエッチングすることによって形成するようにし
てもよい。
このように本発明によれば、半導体製造技術を用い
て、比較的容易に、ガス通路4が形成される半導体基板
1上に加熱素子18および冷却素子19をそれぞれ一体化し
てコンパクトに設置することができ、ガス通路4におけ
るガス流を乱すことなく、その加熱素子18および冷却素
子19によってガス通路4を流れるガスを直接に加熱した
り冷却させることができるようになる。
したがって、検出器本体を小形化できるとともに、検
出器内部におけるガス温度の制御性が良好となり、一定
のガス温度にまで迅速に立ち上げることができ、またガ
ス温度検出用抵抗体6によってガス温度を検出しながら
加熱素子18および冷却素子19を適宜駆動することによ
り、ガス温度を一定に保持させる際の応答性が良いもの
となる。
その際、一対に設けられるヒートワイヤ71,72の抵抗
温度特性からして、それに通電を開始する立上げ時の雰
囲気温度を維持させることが温度ドリフトをなくす点か
ら好ましく、本発明によれば、その立上げ時の温度を維
持するように直ちにガス温度の制御を行なわせることが
できる。
しかして、その場合には、ガス式角速度検出器を使用
可能状態に立ち上げるのに要する時間をなくすことも可
能になり、電源投入後直ちに角速度検出を精度良く行な
わせることができるようになる。
なお本発明では、半導体製造技術を用いて、半導体基
板1,2をエッチングすることによってノズル孔3および
ガス通路4を形成するようにしているので、加工精度の
高いノズル孔3およびガス通路4を量産性良く得ること
ができる。
したがって、加工精度の良いノズル孔3およびガス通
路4が得られることにより、検出器本体に角速度が何ら
作用しないとき、ガス通路4の中心線○−○に沿ってま
っすぐ流れるガス流をノズル孔3から噴出させて、ガス
式角速度検出器の検出精度を有効に向上させることがで
きるようになる。
なお、ノズル孔3を中心としてその少なくとも両側に
対称となるように、必要に応じて、ガス通路4内に噴出
されるガス流を整流する整流孔(第5図参照)を、前述
と同様に、下側半導体基板1と上側半導体基板2とに整
流孔の半孔をそれぞれエッチングすることによって形成
できることはいうまでもない。
この整流孔を設ける場合にあっても、それを一律に精
度良く加工することができることになる。
また本発明では、半導体製造技術によって一対のヒー
トワイヤ71,72を形成するようにしているので、同時プ
ロセスで各ヒートワイヤ71,72を精密加工することがで
き、組成、結晶構造および抵抗温度特性などの点でほと
んどばらつきのない一対のヒートワイヤ71,72を容易に
得ることができるようになる。
また本発明によれば、ガス温度検出用抵抗体6と電極
部8およびヒートワイヤ71,72と電極部10を同一金属に
よって一体化して形成することができるので、それら各
間を接続するための金ボンディング手段などをとる必要
がなくなり、そのため金などの異種金属が介在してガス
温度検出用抵抗体6およびヒートワイヤ71,72の検出感
度が低下したり、またガス温度検出用抵抗体6およびヒ
ートワイヤ71,72に異種金属による熱起電力が発生して
検出精度の低下をきたすようなことがなくなる。
さらに本発明によれば、ノズル孔3およびガス通路
4、ガス温度検出用抵抗体6、ヒートワイヤ71,72、加
熱素子18および冷却素子19の主要部を半導体製造技術に
よって精度良く小形に加工することができ、超小型のガ
ス式角速度検出器を実現することができるようになる。
効果 以上、本発明によるガス式角速度検出器にあっては、
ノズル孔からヒートワイヤ対に向けてガス通路内に噴出
されたガス流に対して角速度が作用したときに生ずるガ
ス流の偏向にもとづいて、ヒートワイヤ対に生じた感温
出力の差に応じた出力を生ずるガス式角速度検出器にお
いて、半導体基板をエッチングすることによってガス通
路およびそのガス通路にかかるブリッジ部を形成し、そ
のブリッジ部に抵抗温度係数の大きな金属材料からなる
ガス温度検出用抵抗体を設けるようにしたもので、ガス
通路上におけるヒートワイヤ対の近傍のガス温度をガス
流を乱すことなく検出するとともに、ヒートワイヤ対に
応じた適切な精度をもってガス温度の変化を検出するこ
とができるという利点を有している。
また、本発明によるガス式角速度検出器にあっては、
ガス通路内の半導体基板上にガス流の加熱または冷却素
子を半導体製造技術によって一体的に形成するようにし
たもので、その加熱または冷却素子を設けることによっ
て検出器を何ら大形化することなく、ガス通路に流れる
ガスを直接に加熱または冷却して、制御性良く検出器内
部のガス温度を一定に維持させることができるという利
点を有している。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示すガス式角速度検出器に
おけるノズル孔およびガス通路部分の斜視図、第2図は
そのノズル孔およびガス通路部分における下側半導体基
板の平面図、第3図はその下側半導体基板の部分的な斜
視図、第4図は第1図のA−A線に沿う断面図、第5図
は従来のガス式角速度検出器を示す正断面図、第6図は
ガス式角速度検出器に角速度が加わったときのガス流の
偏向状態を示す図である。 1……下側半導体基板、2……上側半導体基板、3……
ノズル孔、4……ガス通路、5,9……ブリッジ部、6…
…ガス温度検出用抵抗体、71,72……ヒートワイヤ、8,1
0……電極部、18……加熱素子、19……冷却素子

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ノズル孔からヒートワイヤ対に向けてガス
    通路内に噴出されたガス流に対して角速度が作用したと
    きに生ずるガス流の偏向にもとづいて、ヒートワイヤ対
    に生じた感温出力の差に応じた出力を生ずるガス式角速
    度検出器において、半導体基板をエッチングすることに
    よってガス通路およびそのガス通路にかかるブリッジ部
    を形成し、そのブリッジ部に抵抗温度係数の大きな金属
    材料からなるガス温度検出用抵抗体を設けるようにした
    ことを特徴とするガス式角速度検出器。
  2. 【請求項2】ガス温度検出用抵抗体の金属材料が、ヒー
    トワイヤ材料と同一であることを特徴とする前記第1項
    の記載によるガス式角速度検出器。
  3. 【請求項3】ブリッジ部に抵抗温度係数の大きな金属材
    料を蒸着したうえで、その金属をブリッジ部の架設方向
    にライン状にエッチングしてガス温度検出用抵抗体を形
    成したことを特徴とする前記第1項の記載によるガス式
    角速度検出器。
  4. 【請求項4】ノズル孔からヒートワイヤ対に向けてガス
    通路内に噴出されたガス流に対して角速度が作用したと
    きに生ずるガス流の偏向にもとづいて、ヒートワイヤ対
    に生じた感温出力の差に応じた出力を生ずるガス式角速
    度検出器において、半導体基板をエッチングすることに
    よってガス通路を形成するとともに、そのガス通路内の
    半導体基板上にガス流の加熱または冷却素子を半導体製
    造技術によって一体的に形成したことを特徴とするガス
    式角速度検出器。
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