JP2714675B2 - 流動物質用多室容器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術範囲 本発明は流動物質、特に液体用の複数空間を有する容
器に関する。この場合、容器の第一部分と第二部分の内
部空間は少なくとも１枚の薄膜によって互いに分離され
ていると同時に、容器内部には膜離脱機構が設けられて
いる。

液体やその他の、例えば粉末や粒状物などの流動物質
に対して、これらの複数物質を分離保存することができ
ると同時に、使用直前に混合することができるような機
能を備えた容器は公知である。

技術水準 公知の多室容器の場合（DE−GM77 07 618）、二つの
部分は互いに上下に配置されており、互いの間は解除可
能に連結されている。また、二つの部分は互いに距離を
置いて配置されていて、しかも相手側に向かって可動で
あり、二つの部分の距離が縮められた場合に内部空間を
分けている薄膜が離脱できる仕組みとなっている。この
場合、さらに進めて二つの部分にねじ機構を設けること
によって、回転によって互いの距離を縮めることができ
る。しかしこのような多室容器は製造に相当の費用がか
かる。

他にも多室容器はEP−PS 0 101 594において公知であ
るが、この場合容器は単一部材からなる底部容器と、同
じく単一部材からなる頭部容器によって構成されてお
り、これらは分離膜によって互いに分離されている。底
部容器は変形可能であると同時に、容器の横断面に適合
した大きさの押し込み機構を備えており、底部容器を変
形させた場合に押し込み機構が作用して、分離膜が突き
破られるようになっている。しかしこの多室容器の場
合、分離膜を突き破るには相当大きな力が必要である。

発明の詳細な説明 本発明は製造に費用がかからず、簡単に充填でき、し
かも物質の混合及び使用が簡単な操作で可能となるよう
な多室容器を提供することを課題とする。

本発明による多室容器は、第一容器内にスピンドルが
装置されていて、このスピンドル上に離脱装置が回転可
能に装着されていること、及び離脱装置に操作装置が回
転しないように連結されていることを特徴とする。

本発明による多室容器は、異種類の流動物質を収容す
るのに適している。特に染毛剤の充填容器として有用で
ある。この場合、第一容器に過酸化物溶液が充填され、
第二容器に染色剤が充填される。

本発明による多室容器は、別の実施形態において、操
作装置及び離脱装置が相対的に軸方向に可動であるこ
と、及び操作装置において軸方向の動きに対して封鎖装
置が用意されていることを特徴とする。これによって、
本発明による多室容器は一段と取り扱いやすくなる。

本発明による多室容器は、望ましい実施形態において
は、操作装置にリング状の部分が設けられており、この
リング状部分が第一容器を取り囲むように装着されてい
て、固定子として働く。

本発明においてはさらに操作装置と離脱装置の連結及
び保管に関して、望ましい実施形態を付加することがで
きる。すなわち、この実施形態においては、操作装置が
回転軸を備えており、この回転軸がスピンドルの軸方向
の穴内に挿入配置されていて、第一容器内部空間内に突
出たこの端部が、離脱装置に対する駆動体として機能す
るように設計されている。この場合回転軸の周りに隆起
部が設けられていて、これが穴内に設けられているリン
グ溝と噛み合って、操作装置に対して軸方向の封鎖装置
として働くことが望ましい。

第一容器内を密閉維持するために、スピンドルに対し
てパッキングが施されることもある。

比較的小さな回転で、膜の離脱を行うことができるよ
うに、本発明においては更にスピンドルに急勾配のねじ
を設けることができる。

本発明においては膜の離脱装置に関してさらに望まし
い実施形態を付加することができる。すなわちこの実施
形態においては離脱装置がスピンドル雌ねじ（ナット）
を備えていると同時に、アームを１個以上備えており、
アームは軸方向及び放射方向に伸びていて、そのスピン
ドル雌ねじとは反対の、端部が刃物となっている。この
場合、アームを複数個設け、それらの刃物部分をリング
状に互いに連結することもできる。

物質の混合を行いやすくするために、さらに別の実施
形態において、離脱装置に物質の混合を促進するような
機構、特に羽根を取り付けることもできる。

本発明による多室容器の望ましい実施形態としてさら
に別の実施形態を挙げることができる。すなわちこの場
合、それぞれの容器の他の容器と対置する、面が膜で封
鎖されており、一方の容器の口縁は周囲全体にリング状
に外に突出していて、他方の容器の口縁にこれを包囲す
る形態の止め輪が設けられている。このような実施形態
によって物質充填後、容器は非常に簡単に連結すること
ができる。しかもその場合に容器は外に対しても互同士
に対しても完全に密閉されている。

さらに別の実施形態において第一容器が押圧すること
ができる形態であることによって、混合物質を簡単に押
し出すことができる。

さらに別の望ましい実施形態においては、第二容器に
取出し口が設けられていると同時に、第二容器の少なく
とも取出し口部分の内壁に補強部が施されている。

図面の簡単な説明 本発明は多数の実施形態を有するが、次にそれらを二
つの略式図面に基づいて説明する。これらはどちらも縦
断面図であり、第１図は第一実施例を、第２図は第二実
施例をあらわしている。

発明の実施形態 第１図の多室容器は、第一容器（１）（以下、“下
部”と称する）と、第二容器（２）（以下“上部”と称
する）からなっている。二つの部分はそれぞれ公知の方
法に従って合成樹脂から製造されている。容器の内部空
間は膜（３），（４）によって互いに分離されている。
したがって一つの容器に対してそれぞれ一種類の物質を
充填することができる。上部（２）には取出し口（５）
が設けられていて、これは回転式キャップ（６）によっ
て封鎖され得る。両容器部分の連結に対して、上部
（２）には口部の周囲全体に外に突出した形態の縁
（７）が設けられており、他方下部（１）には止め輪
（８）が形成されており、これが両容器部分を連結した
場合に前記の上部（２）の縁（７）上に係合する。そし
てこの場合に止め輪（８）は縁（７）を越えたすぐのと
ころで、再び半径方向に内側に折れ込んでいる、すなわ
ちリング状の段（９）を備えている。

下部（１）の底部にはスピンドル（10）が配置されて
いる。スピンドル（10）は下部（１）と一体になってお
り、これには急勾配のねじ（11）が施されている。スピ
ンドル（10）のねじ（11）にはナット（12）が噛み合っ
ている。ナット（12）も合成樹脂から製造されており、
アーム（13），（14）を備えている。アーム端部にはリ
ング（15）が連結されていてこれに二つの刃物（16），
（17）が取付けられている。

ナットを回転させるために、また同時に刃物（16），
（17）を移行させるために、操作装置（18）が取付けら
れている。これは回転軸（19）を備えており、回転軸は
スピンドル（10）の軸方向の穴内に挿入取付けされてい
る。操作装置（18）はさらにリング状部分（20）を備え
ており、この部分は回転のためのグリップとして機能す
る。この場合、一方の手でリング状部分を持ち、他方の
手で多室容器を保持する。リング状部分（20）は下部
（１）の一部を包囲しているが、他方下部のこの部分は
径が小さくなっている。これによって下部の周囲全体に
わたって段（21）が生じ、その上にリング状部分（20）
が留められている。このような構造並びにリング状部分
（20）の底部の形態に基づいて多室容器は安定した状態
で保管することができる。

リング状部分（20）の回転時、これ自体が軸方向に移
行しないように、回転軸（19）とナット（12）間は回転
に対しては封鎖されているが、軸方向に対しては可動と
なるような形態で（例えば四角形あるいは六角形）連結
されている。さらに回転軸（19）に設けられているリン
グ状突起（22）が下部（１）に設けられているリング溝
（23）と噛み合っていることによって、操作装置（18）
の軸方向の動き、又はずれ落ちが阻止されている。パッ
キン（24）は下部容器（１）の内部空間のスピンドル穴
部分における密閉性に対して用いられている。

本発明による多室容器の組立及び充填は次のように行
われる。すなわち下部容器（１）に膜離脱装置を挿入
し、ナット（12）をねじりながらスピンドル（10）上に
装着する。次いで操作装置（18）をスピンドル（10）の
穴に挿入し、噛み合わせ部分を噛み合わせる。次にでこ
の下部容器に物質を充填し、膜（３）で封鎖する。キャ
ップ（６）を上部容器（２）上にねじ止めし、上部容器
（２）を逆さにして、これに物質を充填し、膜（４）で
封鎖する。次に両容器部分を互いに押し込み、縁（７）
と止め輪（８）を係合させる。

両物質を混合するには、まず下部容器（１）に対して
リング（20）を１回転以上回転させる。これによって下
部容器（１）の外壁に沿って刃（16），（17）が上に移
行する。刃が膜に接して回転することよって、膜が円形
に切断される。ここで容器を強く振盪することによって
両物質が混合される。アーム（13），（14）を適当な形
状に形成しておくことによって混合作用が促進される。
四角形ないしは六角形部分がねじ部分（11）よりも短い
ことによって、膜（３），（４）の離脱後もナット（1
2）はスピンドル（10）上に留まっている。すなわち膜
離脱装置は容器振盪時もその位置を保持している。キャ
ップ（６）をとって容器を逆さまにし、軽く押し込むこ
とによって混合物を押し出すことができる。

上部容器（２）及び操作装置（18）の素材としては、
ポリプロピレンあるいはポリスチレンが適当である。押
圧可能な下部容器（１）はポリエチレンから製造するこ
とができる。他の素材についてはそれぞれ使用目的に応
じて専門家に選択を一任する。

第２図に示されている実施形態の場合、容器部分及び
操作装置自体は第１図に示されている実施形態のものと
ほぼ同形である。しかしこの場合は、上部容器が押圧可
能である。そして膜離脱装置の形態も第１図の実施形態
とは異なる。すなわちリング（28）と４本のアーム〔こ
こにはそのうちの３本が示されている（29），（30），
（31）〕からなるリング体（27）に刃物（25）及び（2
6）が配置されている。混合機能強化のためにアームに
は誘導羽根（32），（33）が取付けられている。また、
軸（35）のリング溝（34）にはパッキン（36）が配され
ている。

第１図に示されている実施例の対応部分と比較して、
下部容器（37）及びリング（38）の形態が少し異なる
が、これは美学上の相違だけで本質は変わらない。

第２図に示されている実施例の場合、上部容器（２）
の内壁に複数の補強部（39），（40）が設けられてい
る。これによって、離脱膜によって出口（５）が塞がれ
て、容器の内容物の排出が阻げられるのを防ぐことがで
きる。第２図には補強部は二つしか示されていないが、
補強部の形態並びに数については専門家の領域において
選択されるべき問題である。

Claims (13)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】第一容器と第二容器を備えていて、それら
   の内部空間が少なくとも１枚の膜によって互いに分離さ
   れており、しかも上記膜の離脱装置を予め備えている、
   流動物質用、特に液体用の多室容器において、第一容器
   内にスピンドルが装置されていて、このスピンドル上に
   上記離脱装置が回転可能に装着されていること、回転可
   能な操作装置が上記離脱装置と回転しないように連結さ
   れていること、上記操作装置及び上記離脱装置が相対的
   に軸方向に可動であること、及び上記操作装置の軸方向
   の動きが封鎖されていることを特徴とする多室容器。
2. 【請求項２】上記操作装置がリング状部分を備えている
   ことを特徴とする請求項１記載の多室容器。
3. 【請求項３】上記リング状部分が第一容器を部分的に取
   り込むように装着されていて、固定子として機能するこ
   とを特徴とする請求項２記載の多室容器。
4. 【請求項４】上記操作装置が回転軸を備えていて、これ
   が上記スピンドルの軸方向の穴内に挿入配置されてい
   て、第一容器内部空間内に突き出たこの端部が、上記離
   脱装置に対する駆動体として機能するように設計されて
   いることを特徴とする請求項１記載の多室容器。
5. 【請求項５】上記回転軸にこれを一周した形の隆起部が
   設けられており、これが穴内に設けられているリング溝
   と噛み合って、上記操作装置の軸方向の動きを封鎖して
   いることを特徴とする請求項４記載の多室容器。
6. 【請求項６】上記スピンドルの開放端が、パッキンとし
   て形成されてることを特徴とする請求項１記載の多室容
   器。
7. 【請求項７】上記スピンドルが急勾配のねじを備えてい
   ることを特徴とする請求項１記載の多室容器。
8. 【請求項８】上記離脱装置が上記スピンドルのナットを
   備えていると同時に、半径方向及び軸方向に延びるアー
   ムを少なくとも１本備えており、上記アームの上記ナッ
   ト側とは反対の端部が、刃物として形成されていること
   を特徴とする請求項１記載の多室容器。
9. 【請求項９】複数のアームが備えつ付けられていて、こ
   れらの刃物部分が互いにリング形態をなして連結されて
   いることを特徴とする請求項８に記載の多室容器。
10. 【請求項１０】上記離脱装置が物質の混合を促進するた
    めの装置、特に誘導羽根を備えていることを特徴とする
    請求項１記載の多室容器。
11. 【請求項１１】部分容器がそれぞれ他方の部分容器に相
    対する面において、膜によって分離されていること、一
    方の部分容器がリング縁を備えていること、及び他方の
    部分容器が上記リング縁を包囲する止めリングを備えて
    いることを特徴とする請求項１記載の多室容器。
12. 【請求項１２】第一容器が押圧可能であることを特徴と
    する請求項１記載の多室容器。
13. 【請求項１３】第二容器が出口を備えていること、及び
    第二容器の内壁の上記出口付近に補強部が取付けられて
    いることを特徴とする請求項１記載の多室容器。