JP2714400B2 - クロマン誘導体およびその製造方法 - Google Patents

クロマン誘導体およびその製造方法

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JP2714400B2 JP63161455A JP16145588A JP2714400B2 JP 2714400 B2 JP2714400 B2 JP 2714400B2 JP 63161455 A JP63161455 A JP 63161455A JP 16145588 A JP16145588 A JP 16145588A JP 2714400 B2 JP2714400 B2 JP 2714400B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、トコフェロール類を製造する際の有用な新
規な中間体およびその製造方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
生体内抗酸化作用を中心とする種々の生理作用が報告
され、注目されるようになったビタミンE(トコフェロ
ール類)は、そのもの自体のみならず、各種の誘導体と
して医薬品、食品、飼料などとして広く汎用されてお
り、極めて重要な物質である。
このトコフェロール類は、トリメチルハイドロキノン
とフィトールまたはイソフィトールを塩化亜鉛や三フッ
化ホウ素・エーテラートのようなルイス酸を触媒として
縮合閉環して合成されている〔Helv.Chim.Acta.,21,309
(1938);J.Chem.Soc.,1938,1382;U.S.P.2,723,278(19
55)および特公昭45−23146(1970)など参照〕。
この方法の最大の欠点は、原料となるフィトール、イ
ソフィトールが高価であることである。このことがトコ
フェロール類の工業生産の鍵となっており、トコフェロ
ール類の市場価格高騰の原因である。
そこで、最近では、フィトール、イソフィトールを必
要としないトコフェロール類の製造方法が検討されてい
るが、出発原料として2,5,7,8−テトラメチル−2−
(4′−メチル−3′−ペンテニル)−6−クロマノー
ルを用いる方法が有力視されている。そして、この出発
原料を製造する方法として、(1)トリメチルハイドロ
キノンとゲラニオールまたはゲラニルハライドをルイス
酸の一種である三弗化ホウ素の存在下で縮合する方法
(特公昭42−11064号)、(2)ハイドロキノン類とゲ
ラニルクロリドまたはネリルクロリドを、塩化亜鉛、塩
化アルミニウムなどのルイス酸の存在下に縮合させる方
法(特開昭59−225177号)、およびハイドロキノン類に
ミルセン、ミルセンのハライド、ゲラニオール、リナロ
ールなどを塩化亜鉛の存在下に縮合させる方法(特開昭
60−75745号)などが提案されている。
しかしながら、これらの方法は下記に示す如く、いず
れの方法も副反応による三環式化合物(VIII′)が多量
に副生するため、出発原料としての2,5,7,8−テトラメ
チル−2−(4′−メチル−3′−ペンテニル)−6−
クロマノール((VII′),R1=R2=R3=CH3)を好収率
で得るための方法としては好ましくない。
即ち、式(IV)で示されるハイドロキノン類と式
(V)で示される6位に二重結合を持つC10テルペン類
の縮合は式(VI)で表される2−アリル体を中間体とし
て経由し、続いて起こる電子の移動(との2ルート
が同時に進行すると考えられる)によって目的物(VI
I′)と副生成物である三環式化合物(VIII′)が生成
すると考えられる。
(式中、R1,R2,R3は前記の意味を有し、Xは塩素、臭素
などハロゲン原子を示す) このように、従来法においては、反応機構上、三環式
化合物(VIII′)の副生をさけがたく、しかも化合物
(VIII′)と化合物(VII′)の性状が類似しているた
め、目的物化合物(VII′)の単離、精製が極めて困難
であった。そのため、長い間これに替わる効率的な化合
物(VII′)の合成法の確立が求められていた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記の実情に鑑み、ビタミンEを製造
するための重要な原料である中間体(VII′)の工業的
製造方法につき、長年にわたって鋭意検討を重ねてきた
が、次に示す方法が所期の目的を達成できる方法である
ことを見い出し、本発明を完成した。
即ち、一般式 (式中R1,R2,R3は同一または相異なる水素原子またはメ
チル基を意味し、Rは水素原子または水酸基の保護基を
意味する) で表されるハイドロキノン類を次の化学構造式 で示される1,7−ジクロル−3,7−ジメチル−オクト−2
−エンと反応せしめて、次の一般式 (式中R1,R2,R3およびRは前記の意味を有する) で表されるクロマン誘導体(I)を製造し(第一工
程)、次いで該クロマン誘導体(I)を、アルカリによ
って脱塩化水素反応を行うことによって次の一般式(VI
I),(VIII) (式中R1,R2,R3,Rは前記の意味を有する) で表される2種類のオレフィン化合物の位置異性体混合
物とし(第二工程)、次いで酸触媒のプロトトロピー反
応によって二重結合を転位させ、熱エネルギー的により
安定なオレフィンに転移させて、上記の一般式(VII)
で表される化合物とする(第三工程)。
上記の方法によれば、高収率に一般式(VII)で表さ
れる化合物を得ることができ、工業的に極めて有利な方
法である。
本発明の目的化合物は、この一連の優れた方法におい
て、、第二工程の出発物質として用いる下記一般式
(I)で表される新規なクロマン誘導体であり、ビタミ
ンEの合成の有力な中間体である化合物(VII)の前駆
体である。
(式中、R1,R2,R3は同一または相異なる水素原子または
メチル基を意味し、Rは水素原子または水酸基の保護基
を意味する。) 上記の一般式において、Rは水素原子または水酸基の
保護基を意味するが、水酸基の保護基とは、加水分解に
よるか、あるいは還元的に該保護基が脱離され得る基で
あればいかなる基でもよいが、通常用いられる代表的な
基を挙げれば、例えばアルコキシアルキル基(メトキシ
メチル基、エトキシエチル基など)、トリアルキルシリ
ル基、テトラヒドロピラニル基、ベンジル基などを挙げ
ることができる。
R1,R2,R3は同一または相異なる水素またはメチル基を
意味するが、ビタミンEとして最も活性が高いα−トコ
フェロールを製造する場合は、R1,R2,R3のいずれもがメ
チル基である化合物である。
次に、本発明化合物を用いる一連の上記の反応につい
て詳述する。
(第一工程) 本発明において、一般式(II)で表されるハイドロキ
ノン類と、一般式(III)で表される1,7−ジクロル−3,
7−ジメチル−オクト−2−エンとの縮合反応は通常、
有機溶媒中で行われる。1,7−ジクロル−3,7−ジメチル
−オクト−2−エンは、天然の安価な原料であるミルセ
ンから容易に誘導しうる。Z体、E体あるいはその混合
物いずれもが使用できる。
反応溶媒としては、ジクロルメタン、エチレンクロリ
ド、四塩化炭素等で代表されるハロゲン化炭化水素、ベ
ンゼン、トルエンに代表される芳香族炭化水素、酢酸エ
チル、酢酸イソプロピル等で代表されるエステル類、ジ
エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン
等のエーテル類を挙げることができる。しかし、特に好
ましいのは酢酸エチル、ジクロルメタン、ジオキサンで
あり、その単独、或いはそれらの組み合わせの使用が可
能である。
縮合反応の触媒としては、ルイス酸またはプロトン酸
の単独或いはその組み合わせを使用することが出来る。
ルイス酸としては、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、三弗
化ホウ素、四塩化チタン、四塩化スズ等を挙げることが
出来るが、特に塩化亜鉛の使用が好ましい。また、プロ
トン酸としては、パラトルエンスルホン酸、トリフルオ
ロ酢酸、蟻酸、塩化水素、硫酸などを挙げることが出来
るが、特に塩化水素の使用が好ましい。更に、ルイス酸
の塩化亜鉛とプロトン酸の塩化水素の併用は特に好まし
い結果を与える。これら触媒の使用量はハイドロキノン
類に対して、20〜90重量%が好ましい。
縮合反応における反応温度は、通常、室温から使用溶
媒の沸点温度の範囲内が採用されるが、多くの場合、25
〜50℃が原料の残存率が低く、かつ副生成物の出現率も
低いなどの、好結果を与える。
縮合反応時に、少量の亜鉛末を添加することによる還
元的環境下での反応は副生成物の抑制に極めて有利であ
る。
(第二工程) 一般式(I)で表されるクロマン誘導体の脱塩化水素
反応は有機溶媒中あるいは水中でアルカリ類の存在下に
行われる。
アルカリ類としては苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化カ
ルシウム、ソジウムメチラート、ソジウムエチラート等
を挙げることが出来るが、特に苛性ソーダの使用が好ま
しい。アルカリの使用量はクロマン誘導体(I)に対し
て1〜2倍モルの中から選ばれ、特に1.5倍モル使用が
好ましいが、クロマン誘導体(I)を単離しないで、脱
塩化水素反応を行う場合には更に過剰のアルカリ量を用
いることが必要であり、好結果を与える。
反応溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プ
ロパノール、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル等の有機
溶媒あるいは水を挙げる事が出来るが、特に好ましいの
はエタノールまたは含水エタノールである。
反応温度は通常、室温から使用溶媒の沸点温度の範囲
内が採用されるが、沸点温度での反応が特に好ましい。
(第三工程) 一般式(VII)、(VIII)で表される2種類のオレフ
ィン化合物よりなる位置異性体混合物の酸触媒プロトト
ロピー反応は有機溶媒中で酸触媒の存在下で行われる。
酸触媒としては濃硫酸、リン酸、塩化水素、三弗化ホウ
素、塩化亜鉛、塩化第一銅、臭化マグネシウム、パラト
ルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホ
ン酸等が挙げられる。これら酸触媒のうちパラトルエン
スルホン酸、リン酸、濃硫酸などが好結果を与えるが、
特に好ましいのはパラトルエンスルホン酸である。
反応溶媒としては、ベンゼン、トルエンなどが好まし
く、反応温度はその溶媒の沸点温度が反応を迅速に進め
るうえで好ましい。
以上本発明方法の概略を述べたが、本発明方法の優れ
た点を述べれば以下の通りである。
(1) 従来方法によると、副反応によって三環式化合
物が生じ、しかも目的物質(VII)と性質が類似してい
るのでその分離が殆ど不可能である。しかしながら、本
発明方法はこのような欠点がない方法である。
(2) 本発明における第三工程は、2種類のオレフィ
ン化合物の位置異性体混合物を2重結合を転位させ、熱
エネルギー的により安定なオレフィンに転移させる反応
であるが、実際には酸触媒の存在下で加熱すれば、収率
よく目的物質を得ることができ、従って、本発明方法は
極めて簡便な方法で工業的に価値の高い方法である。
従って、本発明は、上記の如くビタミンE類を製造す
るための重要な出発原料を製造する極めて優れた方法に
用いる重要な中間体に関するものであり、本発明の価値
は高い。
〔実施例〕
次に、本発明の実施例を掲げるが、本発明がそれらの
みに限定されることがないことはいうまでもない。
尚、本発明の実施例の他に、製造例として、本発明化
合物(I)を出発原料としビタミンE合成の中間体とし
て重要な化合物(VII)を製造する方法を掲げた。
更に、実施例1で出発原料として用いた1,7−ジクロ
ル−3,7−ジメチルオクト−2−エンの製造方法を参考
例1とし、また上記化合物(VII)を製造するための公
知方法(特公昭42−11064、および特開昭60−75475)を
追試した結果それぞれ参考例2および3として示した。
実施例1 2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′−クロル−4′−
メチルペンチル)−6−クロマノールの合成 撹拌装置、還流冷却器、滴下ロートおよび温度計を付
けた500ml四頚フラスコに2,3,5−トリメチルハイドロキ
ノン30.4g(0.2モル)、塩化亜鉛27.2g(0.2モル)、濃
塩酸5ml、亜鉛末2g、ジクロルメタン180mlおよびジオキ
サン50mlを仕込み、室温で撹拌しながら、1,7−ジクロ
ル−3,7−ジメチル−オクト−2−エン(E体、Z体の
混合物)62.8g(0.3モル)を徐々に滴下した。滴下につ
れて反応温度は上昇し、35℃に達した。35℃で4時間、
反応継続させて後、薄層クロマトグラフィーにて原料ト
リメチルハイドロキノンが残存しないことを確認し、水
中に注ぎ、油水相を分離した。油相を水、重曹水、水で
順次洗浄して中性となし、無水硫酸マグネシウムで脱水
した。溶媒を留去して得られた淡褐色油状残渣92gにn
−ヘキサン80mlを加えて溶解し、冷凍庫中に一夜放置し
たところ、無色針状結晶が析出した。この針状結晶を濾
取し、少量のn−ヘキサンから再結晶することによっ
て、融点58〜59℃を示す2,5,7,8−テトラメチル−2−
(4′−クロル−4′−メチルペンチル)−6−クロマ
ノール(I)(R1=R2=R3=メチル基,R=H)58.2g
(収率:89.6%、トリメチルハイドロキノン換算)を得
た。
本品の分析結果を以下に示した。
(1) 元素分析結果:C19H29ClO2(MW 324.93)として C(%) H(%) 分析値 70.41 8.96 計算値 70.23 9.01 (2) 質量分析結果 m/e=324 (3) NMRスペクトル(CDCl3,δ) 1.20(3H,s) 1.51(6H,s) 1.4〜1.7(6H,m) 1.82(2H,t) 2.05(9H,s) 2.50(2H,t) 4.12(1H,s) 実施例2〜5 種々の縮合触媒、反応溶媒などの組み合わせによる2,
5,7,8−テトラメチル−2−(4′−クロル−4′−メ
チルペンチル)−6−クロマノールの合成を、実施例1
の方法に準じて行った。
表1に反応条件及び収率をまとめて示した。
製造例1 撹拌装置、還流冷却器、ガス導入管を付けた500ml三
頚フラスコにエタノール300mlおよび苛性ソーダ2.9g
(0.072モル)を入れ、加熱して溶解した。次いで、こ
の溶液中に2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′−クロ
ル−4′−メチルペンチル)−6−クロマノール16.2g
(0.05モル)を加えて溶かし、窒素気流下で撹拌しなが
ら5時間還流させた。反応液を水中に注加後、希塩酸で
弱酸性にし、エーテル抽出した。エーテル抽出液を水洗
し、無水硫酸マグネシウムで脱水後、溶媒を留去すると
淡黄色粘稠液体14.8gが得られた。この粗抽出物をカラ
ムクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン−ベ
ンゼン)で精製して、TLC(シリカゲル−クロロホル
ム)でモノスポット(Rf:0.33)を示す無色粘稠液体14.
2gを得た。
本品はHPLC(カラム:YMC A312,移動相:アセトニトリ
ル:メタノール=1:1,波長:270nm,流速:1ml/min)で測
定すると、保持時間4.73分と4.92分に相対面積比49.8
%:44.9%を示す、性質が酷似する2物質のほぼ等量混
合物であることが分かった。また、本品のGC−MSを測定
したところ、異なった保持時間を示し、かつそれぞれが
親ピークm/e288を有する2物質の混合物であることが証
明された。さらに、NMRスペクトル測定の結果、4.95ppm
(t,j=7)と4.57ppm(d,j=1.5)に相対面積比1:2を
示すシグナルが観察された。
以上の分析結果から、本品は2,5,7,8−テトラメチル
−2−(4′−メチル−3′−ペンテニル)−6−クロ
マノールと2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′−メチ
ル−4′−ペンテニル)−6−クロマノールのほぼ等量
からなる混合物であることが判明した。また、参考例2
に示す2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′−メチル−
3′−ペンテニル)−6−クロマノールの別途合成によ
って得られた標品とのHPLCでの比較によって、本品のHP
LCで保持時間4.92分を示す成分がそれと一致した。
製造例2〜4 種々のアルカリ類による2,5,7,8−テトラメチル−2
−(4′−クロル−4′−メチルペンチル)−6−クロ
マノールの脱塩化水素反応を製造例1に準じて行った。
即ち、4′−クロル体0.01モルをアルコール系溶媒中で
0.012〜0.015モルのアリカリ類と窒素気流中で煮沸、還
流させた後、常法によって処理し、カラムクロマトグラ
フィーによって精製した。表2に、その結果を一括表示
した。
製造例5 撹拌装置、還流冷却器、ガス導入管を付した300ml三
頚フラスコに、製造例1で得た2,5,7,8−テトラメチル
−2−(4′−メチル−3′−ペンテニル)−6−クロ
マノールと2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′−メチ
ル−4′−ペンテニル)−6−クロマノールの混合物1
1.5g(0.04モル)、パラトルエンスルホン酸500mgおよ
びベンゼン200mlを入れ、窒素気流下、撹拌しながら加
熱し、還流を6時間行った。反応液を水洗し、無水硫酸
マグネシウムで脱水後、ベンゼンを留去すると淡黄色油
状残渣11.8gを得た。得られた油状残渣をシリカゲルと
ベンゼン−n−ヘキサンでカラムクロマトグラフィーを
行うことによって、無色粘稠油状物質11.2g(97.3%)
を得た。
本品は、参考例2で別途合成した2,5,7,8−テトラメ
チル−2−(4′−メチル−3′−ペンテニル)−6−
クロマノールと同定した結果、両者は完全に一致した。
本品の分析結果を以下に示す。
(1) 元素分析結果:C19H28O2(MW 288.47として) C(%) H(%) 分析値 78.82 9.87 計算値 79.10 9.80 (2) NMRスペクトル(CDCl3,δ) 0.91(3H,s) 1.60(3H,s) 1.65(3H,s) 1.2〜1.6(4H,m) 1.70(2H,t) 2.05(9H,s) 2.55(2H,t) 3.85(1H,s) 4.90(1H,t,j=7) 製造例6〜7 製造例5で行った酸触媒によるプロトトロピー反応
を、製造例1の方法で調製した2,5,7,8−テトラメチル
−2−(4′−メチル−3′−ペンテニル)−6−クロ
マノールと2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′−メチ
ル−4′−ペンテニル)−6−クロマノールとの混合物
について、パラトルエンスルホン酸に替えて、他の酸触
媒で製造例5に準じて実施した。
表3に、それらの結果を表示した。
製造例8 500ml四頚フラスコに2,3,5−トリメチルハイドロキノ
ン30.4g(0.2モル)、塩化亜鉛27.2g(0.2モル)濃塩酸
5ml、亜鉛末2g、ジクロルメタン180ml、ジオキサン50ml
を仕込み、室温で撹拌しながら、1,7−ジクロル−3,7−
ジメチルオクト−2−エン(E体およびZ体の混合物)
62.8g(0.3モル)を徐々に滴下した。この時、反応温度
が35℃以上に上昇しないように滴下速度を調整した。30
〜35℃にて4時間、反応を継続して後、水中に注ぎ、油
水相を分離し、油相を水、重曹水、水で順次洗浄後、無
水硫酸マグネシウムで脱水した。溶媒を留去して得られ
た粗2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′−クロル−
4′−メチルペンチル)−6−クロマノールの淡褐色油
状残渣92gをエタノール500mlおよび苛性ソーダ60gより
なる溶液中に加え、3時間還流させた。反応液を約半量
に濃縮して後、水を加え、ベンゼンで抽出し、水洗、乾
燥後ベンゼン留去して、淡褐色粘稠油状残渣76gを得
た。
かくして得られた2,5,7,8−テトラメチル−2−
(4′−メチル−3′−ペンテニル)−6−クロマノー
ルと2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′−メチル−
4′−ペンテニル)−6−クロマノールの混合物にパラ
トルエンスルホン酸10gおよびトルエン250mlを加え、5
時間にわたって、還流を行った。反応終了後、水洗を繰
り返し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、トルエンを減
圧下で留去して、褐色粘稠な油状残渣を得た。このよう
にして得られた油状抽出物をシリカゲルとベンゼン−n
−ヘキサンでカラムクロマトグラフィーを行うことによ
って、目的とする2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′
−メチル−3′−ペンテニル)−6−クロマノールの無
色粘稠液体50.2g(収率:87.2%)を得ることが出来た。
参考例1 撹拌器、温度計、ガス導入管を付けた500ml四頚フラ
スコ中に、ジクロルメタン140ml、酢酸90ml、トリエチ
ルアミン塩酸塩3g、塩化第一銅2gを加えて、窒素気流
下、撹拌して黄緑色澄明な溶液を調製する。次いで、こ
れにミルセン70g(純度:約75%)を添加して、−20℃
に冷却する。撹拌下、−20℃を保ちつつ乾燥塩化水素ガ
ス約40gを約3時間を要して、液面下に通気した。−20
℃を保って一夜放置後、得られた褐色の反応液を10%塩
化アンモニウム水溶液200mlとn−ヘキサン200mlの混合
物中に撹拌しながら加え、中性になるまで水洗を繰り返
す。無水硫酸マグネシウムで脱水後、溶媒を留去すると
淡黄色液体98gを得る。本品をウィドマー精溜管を用い
て、減圧下蒸留すると、沸点85〜87℃/1.1mmHgを示す無
色液体68gを得る。本品は公知物質の1,7−ジクロル−3,
7−ジメチル−オクト−2−エンのEおよびZ異性体の
混合物であり、混合物としての含有率はHPLCで91%であ
った。
参考例2 特公昭42−11064の方法に準拠した。
2,3,5−トリメチルハイドロキノン25.0gを無水ベンゼ
ン650mlに加え、更に三弗化ホウ素エーテラート2.1mlを
加えた。混合物を撹拌下に加熱還流させつつ、これにゲ
ラニオール5.06gを1.5時間を要して滴下し、その後更に
3時間加熱還流させた。冷却後、反応液を水50mlで2
回、飽和重曹水25ml、水50mlで2回洗浄した。抽出液を
無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し
た。濃縮物を減圧蒸留して、沸点180〜185℃/0.1mmHgを
示す黄色粘稠油状物質を得たが、本品はHPLC分析の結
果、目的物である2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′
−メチル−3′−ペンテニル)−6−クロマノール以外
に、多量の副生成物を含有する混合物であることが分か
った。
蒸留物をフラシュカラム(移動相:n−ヘキサン−ベン
ゼン)を用いて、両者を分離したところ、2,5,7,8−テ
トラメチル−2−(4′−メチル−3′−ペンテニル)
−6−クロマノールは22g(47%)しか得られず、副生
成物である三環式化合物が19g得られた。
参考例3 特開昭60−75475の方法に準じて実施した。
2,3,5−トリメチルハイドロキノン15.9gと塩化亜鉛4.
0g、濃塩酸4ml、酢酸エチル30mlを仕込み、昇温および
撹拌しながら、ゲラニオール37.1gを滴下し、70℃に達
して後、3時間反応を続けた。反応液を冷却後、5%炭
酸ソーダ水溶液で中和し、水300mlで2回洗浄した。油
相を分離し、無水硫酸ソーダで脱水乾燥し、溶媒留去し
た。得られた油状残渣を減圧蒸留したところ、沸点181
〜187℃/0.1mmHgを示す粘稠な油状物質22gが得られた
が、本品はHPLC分析の結果、参考例2の場合と同様に、
目的物2,5,7,8−テトラメチル−2−(4′−メチル−
3′−ペンテニル)−6−クロマノールと副生した三環
式化合物の混合物であり、その存在比は45%対26%であ
った。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (式中、R1,R2,R3は同一または相異なる水素原子または
    メチル基を意味し、Rは水素原子または水酸基の保護基
    を意味する) で表されるクロマン誘導体。
  2. 【請求項2】R1,R2,R3がいずれもメチル基である請求項
    1記載のクロマン誘導体。
  3. 【請求項3】R1,R3がいずれもメチル基であり、R2が水
    素原子である請求項1記載のクロマン誘導体。
  4. 【請求項4】R1が水素原子であり、R2,R3がいずれもメ
    チル基である請求項1記載のクロマン誘導体。
  5. 【請求項5】一般式 (式中R1,R2,R3は同一または相異なる水素原子またはメ
    チル基を意味し、Rは水素原子または水酸基の保護基を
    意味する) で表されるハイドロキノン類を次の化学構造式 で示される1,7−ジクロル−3,7−ジメチル−オクト−2
    −エンと反応させることを特徴とする次の一般式 (式中R1,R2,R3およびRは前記の意味を有する) で表されるクロマン誘導体の製造方法。
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