JP2714227B2 - 部品劣化検出装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は例えば放射線モニタをはじめとする、長寿命
と安定性が要求される原子力計装機器等における部品の
劣化を検出する装置に係り、特に部品劣化の検出をオン
ラインの稼動中にリアルタイムで行ない得るようにした
部品劣化検出装置に関するものである。

（従来の技術） 一般に、例えば放射線モニタをはじめとする、長寿命
と安定性が要求される原子力計装機器は10年以上使用さ
れ、その間に部品（例えば、電解コンデンサ）の寿命と
なる。そのため、この電解コンデンサを交換することが
必要である。

ところで、従来では、この種の部品の部品劣化検出を
行なう装置は無く、単に装置の使用開始時からの年数に
より、５〜６年程度の時間が経った時点で人の経験に頼
って交換を行なっている。

しかしながら、このような方法では、 （ａ） 使用環境（例えば、温度）によって劣化スピー
ドが異なることへの補正ができない （ｂ） 部品の交換時期を忘れて実際の劣化による装置
本体の故障が起きてしまう というような問題がある。

（発明が解決しようとする課題） 以上のように、従来の部品劣化検出方法では、使用環
境によって劣化スピードが異なることへの対処ができな
いばかりでなく、部品の交換時期を忘れて実際の劣化に
よる装置本体の故障が起きてしまうという問題があっ
た。

本発明の目的は、使用環境によって劣化スピードが異
なる場合においても、装置本体の故障が起こる以前に部
品の劣化を早期にかつ確実に検出して予防保全を図るこ
とが可能な極めて信頼性の高い部品劣化検出装置を提供
することにある。

［発明の構成］ （課題を解決するための手段） 上記の目的を達成するために、本発明による部品劣化
検出装置は、第１図に示すように、部品劣化の検出対象
となる装置本体内で使用される交流電源の出力を整流す
る整流回路（１）と、整流回路（１）からの整流出力に
より充電される部品劣化の検出対象となる電解コンデン
サ（２）と、電解コンデンサ（２）の充電電位を放電す
るための放電抵抗（３）と、放電抵抗（３）による放電
電位（４）と、可変抵抗器（５）により予め前記電解コ
ンデンサより放電抵抗を介して放電される通常時の放電
電位よりも低い値に設定された比較電位（６）とを比較
し、放電電位（４）が比較電位（６）よりも小さくなる
とその比較出力（７）である劣化検出信号を出力する比
較増幅器（８）とを備えて構成し、装置本体内に設置す
るようにしている。

（作用） 従って、本発明の部品劣化検出装置においては、装置
本体内で使用されている交流電源からの交流が整流回路
（１）で整流され、その整流出力によって電解コンデン
サ（２）が充電される。この充電電位は、放電抵抗
（３）を通して放電される。そして、この放電電位
（４）と、可変抵抗器（５）によって与えられる比較電
位（６）は比較増幅器（８）の入力端子へそれぞれ入力
され、両者の大小関係が比較される。この場合、通常、
比較電位（６）は放電電位（４）よりも低い値に設定さ
れているが、電解コンデンサ（２）の容量がその劣化に
よって減少することにより、放電電位（４）は比較電位
（６）を下回るようになる。その結果、比較増幅器
（８）の比較出力（７）は反転し、電解コンデンサ
（２）の容量減少による部品劣化検出信号が出力され
る。

（実施例） 本発明では、実際の使用環境下で部品の劣化をリアル
タイムで検出するために、部品劣化検出装置を部品劣化
の検出対象となる装置本体内に設ける。この部品劣化検
出装置は、電解コンデンサ、整流回路、放電抵抗、比較
増幅器を主な構成とする簡単なものである。そして、整
流回路の充放電の際の放電電位を検出することにより、
部品劣化の最も顕著に現れる電解コンデンサの容量減少
を検出する、すなわち実際の装置本体の中に逆に弱い部
分（電解コンデンサ）を設けて、全体の部品劣化の予知
を行なおうとするものである。

以下、上記のような考え方に基づく本発明の一実施例
について、図面を参照して詳細に説明する。

第２図は、本発明による部品劣化検出装置の構成例を
示す回路図である。第２図において、部品劣化の検出対
象となる装置本体内で使用される交流電源トランスの出
力側を、ヒューズ11を介して整流回路であるダイオード
12のアノードに接続している。また、ダイオード12のカ
ソードを、充電抵抗13を介して、一端が接地された電解
コンデンサ14の他端に接続している。さらに、充電抵抗
13と電解コンデンサ14との接続点を、一端が接地された
放電抵抗15の他端に接続すると共に、比較増幅器16の一
方の入力端子17に接続している。

一方、一端が接地された可変抵抗器18の設定点を、比
較増幅器16の他方の入力端子19に接続している。また、
比較増幅器16の出力端子を、ラッチ回路20の入力側に接
続している。さらに、ラッチ回路20の出力側を、リレー
駆動用のトランジスタ21のベースに接続している。さら
にまた、トランジスタ21のエミッタを接地すると共に、
トランジスタ21のコレクタを外部信号取り出し用のリレ
ー22に接続している。

次に、以上のように構成した部品劣化検出装置の作用
について、第３図を用いて説明する。

第２図において、装置本体内で使用される交流電源ト
ランスの交流出力Ａは、ヒューズ11を経由してダイオー
ド12により半波整流され、充電抵抗13を通してコンデン
サ14が充電される。その充電電位Ｂは、次の半サイクル
の間放電抵抗15を通して放電される。この放電電位Ｃ
は、可変抵抗器18で設定される比較電位と共に、比較増
幅器16の入力端子17,19へ入力されて比較される。この
場合、通常、比較電位は放電電位Ｃよりも低い値に設定
されているが、電解コンデンサ14の容量がその劣化によ
って減少することにより、放電電位Ｃは比較電位を下回
るようになる。その結果、比較増幅器16の比較出力は反
転し、電解コンデンサ14の容量減少による比較出力が出
力される。そして、その比較出力は次段のラッチ回路20
に入力され、信号がホールドされる。このホールド信号
は、次段のトランジスタ21のベースに入力され、劣化検
出の最終段であるリレー22が制御されて、劣化検出信号
が出力されて部品劣化が報知される。すなわち、ラッチ
回路20では、一瞬でも比較電位より放電電位Ｃが下がっ
た場合にこれを検出して出力がホールドされ、ホールド
信号が次段のトランジスタ21に送られ、劣化検出最終段
のリレー22がOFFとされる。

なお、上記において、ヒューズ11は、装置本体内の電
源トランスに部品劣化検出装置自身の故障による悪影響
を与えないようにするための隔離機能を有する。また、
充放電の関係は第３図に示すようにダイオード入力波形
Ａ、充電電位Ｂ、放電電位Ｃとなる。すなわち、電解コ
ンデンサ14の容量が満杯の時の波形が第３図とすると、
放電電位Ｃは通電劣化と共に容量減少し、次第に下降し
てくる。通常、設計値を規格容量の50％としている時に
は、比較電位の値は安全サイドに70％相当とする電位を
可変抵抗器18で設定する。そして、この設定によって部
品劣化を早期に検出できる。さらに、リレー22は、通常
ONモードで使用し、リレー自身が故障した場合でも安全
サイドに警報を出力するようにする。

上述したように、本実施例の部品劣化検出装置は、部
品劣化の検出対象となる装置本体内で使用される交流電
源トランスの出力Ａを半波整流する整流回路であるダイ
オード12と、ダイオード12からの半波整流出力により充
電抵抗13を介して充電される電解コンデンサ14と、電解
コンデンサ14の充電電位Ｂを放電するための放電抵抗15
と、放電抵抗15による放電電位Ｃと、可変抵抗器18によ
りあらかじめ設定された比較電位とを比較し、放電電位
Ｃが比較電位よりも小さくなるとその比較出力を出力す
る比較増幅器16と、比較増幅器16からの比較出力をホー
ルドするラッチ回路20と、ラッチ回路20からの出力によ
り劣化検出信号を出力するトランジスタ21およびリレー
22とから構成し、部品劣化の検出対象となる装置本体内
に設置するようにしたものである。

従って、次のような効果が得られるものである。

（ａ） 装置本体内に使用の部品よりも先に劣化検出を
できるため、装置本体の故障が起こる以前に部品の劣化
を早期にかつ確実に検出して予防保全を図ることが可能
となる。

（ｂ） 従来のような人間の経験による劣化期限管理で
はないため、使用環境（例えば、温度）によって劣化ス
ピードが異なることへ十分に対処することが可能とな
る。

（ｃ） 部品の交換時期を忘れて実際の劣化による装置
本体の故障が起きるようなことがなくなる。

尚、上記実施例では、整流回路として半波整流回路で
あるダイオードを用いた場合について述べたが、これに
限定されるものではなく、例えば整流回路として全波整
流回路を用いるようにしてもよいものである。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明によれば、使用環境によっ
て劣化スピードが異なる場合においても、装置本体の故
障が起こる以前に部品の劣化を早期にかつ確実に検出し
て予防保全を図ることが可能な極めて信頼性の高い部品
劣化検出装置が提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による部品劣化検出装置の構成例を示す
回路図、第２図は本発明による部品劣化検出装置の一実
施例を示す回路図、第３図は同実施例における作用を説
明するための図である。 １……整流回路、２……電解コンデンサ、３……放電抵
抗、４……放電電位、５……可変抵抗器、６……比較電
位、７……比較出力、８……比較増幅器、11……ヒュー
ズ、12……ダイオード、13……充電抵抗、14……電解コ
ンデンサ、15……放電抵抗、16……比較増幅器、17,19
……入力端子、18……可変抵抗器、20……ラッチ回路、
21……トランジスタ、22……リレー。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】部品劣化の検出対象となる装置本体内に設
   置して使用される部品劣化検出装置において、 前記装置本体内で使用される交流電源の出力を整流する
   整流回路と、 前記整流回路からの整流出力により充電される部品劣化
   の検出対象となる電解コンデンサと、 前記電解コンデンサの充電電位を放電するための放電抵
   抗と、 前記放電抵抗による放電電位と予め前記電解コンデンサ
   より前記放電抵抗を介して放電される通常時の放電電位
   よりも低い値に設定された比較電位とを比較し、前記放
   電電位が比較電位よりも小さくなると前記電解コンデン
   サの劣化検出信号を出力する比較増幅器と、 を備えたことを特徴とする部品劣化検出装置。