JP2713702B2 - ロボットの制御方法および装置 - Google Patents

ロボットの制御方法および装置

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JP2713702B2
JP2713702B2 JP7337128A JP33712895A JP2713702B2 JP 2713702 B2 JP2713702 B2 JP 2713702B2 JP 7337128 A JP7337128 A JP 7337128A JP 33712895 A JP33712895 A JP 33712895A JP 2713702 B2 JP2713702 B2 JP 2713702B2
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雅也 吉田
正俊 佐野
毅 前原
芳樹 狩谷
拓也 福田
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Kawasaki Motors Ltd
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Kawasaki Jukogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業用ロボットの
動作軸のツールを作動させることによって発生する外力
に対し、予め定める一定の方向への逃げ追従動作である
コンプライアンス動作を行わせるためのロボットの制御
方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、産業用ロボットでは、高速度
かつ高精度での位置制御の実現を目的として、位置剛性
が高くなるように構成されている。このような位置剛性
が高い状態で位置制御を行うロボットでは、ロボットに
外力が加わると、その外力に反抗して予め定めた指令位
置を保持しようとする。たとえば、6軸型の産業用ロボ
ットを使って、先端の第6軸にねじ締め用ツールを装着
し、第6軸を回転させてねじ締め動作をさせるには、第
6軸を回転させながらそのツール姿勢を保ち、さらにね
じの進む方向に直線運動をさせる必要がある。ねじを回
転させても、ねじ山が噛み合うまではねじは進行しない
ので、第6軸の回転と直線運動の開始とを同期させるよ
うな位置制御を行うことは困難である。
【0003】ロボットに外力が加わる場合に、位置剛性
を緩和し、予め定める一定の方向への逃げ追従動作を可
能とするような制御方法が、コンプライアンス動作とし
て実現されている。コンプライアンス動作についての先
行技術の1つは、たとえば特開昭58−45891に開
示されている。この先行技術では、ロボットの手首に、
専用のコンプライアンスツールを装着し、その弾力性を
利用して2つの部品を、よじれを生じることなく円滑に
嵌め合わせる動作を達成することができる。
【0004】他の先行技術は、たとえば特開昭63−1
39678に開示されている。この先行技術では、ロボ
ットのハンドに把持された部品の相手組立部品への接触
力を力センサで検出し、その力センサからの出力によっ
てコンプライアンス動作を達成する。さらに他の先行技
術は、たとえば特開昭60−132213に開示されて
いる。この先行技術では、ロボットの制御系のパラメー
タを調整することによって、装置の見掛けのスチフネス
を変えるようにプログラム制御する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開昭58−4589
1の先行技術のように専用のコンプライアンスツールを
装着したり、特開昭63−139678の先行技術のよ
うに力センサによる接触力の検出に基づいてコンプライ
アンス動作を達成する構成では、ロボット本来の構成に
新たな構成を付加する必要があり、ロボットとしての汎
用性を損なう。
【0006】特開昭60−132213の先行技術のよ
うに、ロボットの制御系のパラメータを調整してコンプ
ライアンス動作を実現する手法では、外力を正確に検出
してコンプライアンス動作を行わせることはできず、し
たがって制御系の中に力制御系を組込むことは困難であ
る。しかも、あくまでも外力による受動的な動作であ
り、ロボットの機能を能動的に利用して動作させること
はできない。
【0007】本発明の目的は、ロボットの機能を有効に
利用してツールを動作させ、ツール動作の過程で発生す
る外力に対して有効なコンプライアンス動作を行わせる
ことができるロボットの制御方法および装置を提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、コンプライア
ンス動作開始直前に、ロボットの動作指定軸に装着され
たツールの初期姿勢Sおよび初期位置Ps を算出してお
き、コンプライアンス動作中のロボットの各軸角度θを
検出し、各軸角度θを順変換し、現在位置の座標値を算
出し、ツールの初期位置Ps のうち、ツールの予め定め
る移動方向に対応する座標成分の値を現在位置の座標成
分の値に置き換え、初期姿勢Sに基づく姿勢行列を含む
位置指令値R''を算出する段階と、位置指令値R''を逆
変換し、各軸指令値を算出後、動作指定軸を初期位置P
sから目標位置Pe までの動作計画に基づいた補間指令
値に置き換えて、各軸を駆動する段階とを繰返すことを
特徴とするロボットの制御方法である。本発明に従え
ば、コンプライアンス動作によって外力に沿った動きを
行うロボットのコンプライアンス動作開始直前に、ロボ
ットの動作指定軸に装着されたツールの初期姿勢Sおよ
び初期位置Ps が算出される。コンプライアンス動作中
は、ロボットの各軸角度θが検出され、各軸角度θを順
変換し、現在位置の座標値を算出し、ツールの初期位置
s のうち、ツールの予め定める移動方向に対応する座
標成分の値を現在位置の座標成分の値に置き換え、初期
姿勢Sに基づく姿勢行列を含む位置指令値R''を算出す
る段階によって、コンプライアンス動作を可能とする指
令値R''が算出される。位置指令値R''を逆変換し、各
軸指令値を算出後、動作指定軸だけは動作計画に基づい
た補間指令値に置き換えて各軸を駆動する段階によっ
て、動作指定軸の動作による姿勢変化を除いてツールの
姿勢は初期姿勢と同一に保ったまま動作する。
【0009】また本発明の前記予め定める移動方向は、
ベース座標系でのx,y,z直交3軸方向のいずれかま
たはその組合わせ方向、もしくはツール座標系でのx,
y,z直交3軸のいずれかまたはその組合わせ方向であ
ることを特徴とする。 本発明に従えば、コンプライアンス動作中にツールが移
動する予め定める移動方向は、ベース座標系でのx,
y,z直交3軸方向のいずれかまたはその組合わせ方
向、もしくはツール座標系でのx,y,z直交3軸方向
のいずれかまたはその組合わせ方向であるので、ツール
に作用する外力を予想して移動方向を設定しておくこと
によって、演算処理を単純化することができる。
【0010】また本発明でコンプライアンス動作時の軸
ゲイン値は、任意に設定可能であることを特徴とする。 本発明に従えば、コンプライアンス動作時の軸ゲイン値
が任意に指定可能であるので、ゲインを小さくしてコン
プライアンスを大きくしたり、ゲインを大きくしてスチ
フネスを大きくしたりして、コンプライアンス度の調整
が可能となる。
【0011】また本発明で、コンプライアンス動作中の
移動は、検出した各軸角度θが予め定める動作制限角度
を超えるとき、またはベース座標系およびツール座標系
での移動量が予め定める移動範囲を超えるときに制限さ
れることを特徴とする。 本発明に従えば、コンプライアンス動作中の移動範囲
は、各軸角度θ、またはベース座標系でのxyz方向,
ツール座標系でのxyz方向の移動量として設定するこ
とができる。
【0012】また本発明の前記ツールが装着される動作
指定軸は手首軸であってスピン機能を有し、任意の回転
数を設定可能であることを特徴とする。 本発明に従えば、動作指定軸は任意の回転数が設定可能
なスピン機能を有するので、ツールによってねじを回転
させながら、コンプライアンス動作を行うことによって
ねじの進む方向に引っ張られる動作を行うことができ、
ロボットによるねじ締め動作が可能となる。
【0013】また本発明は、コンプライアンス動作中に
重力補償演算を行い、演算結果を各軸のトルク指令値に
加算することを特徴とする。 本発明に従えば、コンプライアンス動作中に重力補償演
算を行って、演算結果を各軸のトルク指令値に加算する
ので、コンプライアンス動作中にロボットの各軸の姿勢
が変化しても、その姿勢に対応した重力補償を正確に行
うことが可能になる。
【0014】さらに本発明は、ロボットの動作指定軸に
ツールが装着され、駆動源によって駆動されるロボット
の各軸角度θを軸角度検出手段によって検出し、検出し
た軸角度θと軸角度の指令値との偏差が零になるように
駆動源を負帰還制御するロボットの制御装置において、
コンプライアンス動作開始直前に、ツールの初期姿勢S
および初期位置Ps を算出する第1演算手段と、コンプ
ライアンス動作中のロボットの各軸角度θを検出し、各
軸角度θを順変換し、現在位置の座標値を算出し、ツー
ルの初期位置Ps のうち、ツールの予め定める移動方向
に対応する座標成分の値を現在位置の座標成分の値に置
き換え、初期姿勢Sに基づく姿勢行列を含む位置指令値
R''を算出する第2演算手段と、第2演算手段からの位
置指令値R''を逆変換し、各軸指令値を算出後、動作指
定軸を初期位置Ps から目標位置Pe までの動作計画に
基づいた補間指令値に置き換えて、各軸を駆動する第3
演算手段と、第3演算手段の出力に基づいて前記駆動源
の負帰還制御を行う第4演算手段とを含むことを特徴と
するロボットの制御装置である。本発明に従えば、第1
演算手段によってコンプライアンス動作開始直前に、ツ
ールの初期姿勢Sおよび初期位置Ps が算出される。第
2演算手段は、コンプライアンス動作中のロボットの各
軸角度θを検出し、各軸角度θを順変換し、現在位置の
座標値を算出し、ツールの初期位置Ps のうち、ツール
の予め定める移動方向に対応する座標成分の値を現在位
置の座標成分の値に置き換え、初期姿勢Sに基づく姿勢
行列を含む位置指令値R''を算出する。第3演算手段
は、第2演算手段からの位置指令値R''を逆変換し、各
軸指令値を算出後、動作指定軸だけは動作計画に基づい
た補間指令値に置き換えた、各軸指令値を算出する。第
4演算手段は、第3演算手段の出力に基づく各軸指令値
と、軸角度検出手段によって検出される軸角度θとを偏
差が零になるように駆動源を負帰還制御する。第4演算
手段の負帰還制御によって、外力に沿ったコンプライア
ンス動作を行いながら、第3演算手段による各軸の駆動
によりツールを用いる能動的な作業を行うことができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態に
用いる産業用のロボット1の構成を示す。この産業用の
ロボット1は、先端のハンド2を用いてプロテクタ3を
パイプ4の先端にねじ込む作業を自動的に行う。ロボッ
ト1は、床面5に固定されるベース6上にアーム7およ
びアーム8を有し、アーム8の先端のフランジ9にはツ
ール装着用アーム部10が設けられている。床面5に対
して、ベース6は、床面5に垂直な第1軸11まわりに
角変位可能である。アーム7,8は、床面5に平行な第
2軸12および第3軸13まわりにそれぞれ角変位可能
である。ツール装着用アーム部10は、アーム8の中心
を通る第4軸14まわりに角変位可能である。図2に示
すように、ツール装着用アーム部10は、第4軸14、
第5軸15、および第6軸16まわりに各変位可能な回
転関節を有し、これらによって連結されるアーム17,
18を有する。アーム18の先端には、歯車機構を介し
て第6軸16の回転を伝達する伝達アーム19によって
第6軸16からオフセットされた位置に、ハンド2が装
着され、プロテクタ3を把持することができる。ハンド
2は、第6軸16に平行な軸2aまわりに歯数比に従う
回転速度で第6軸16によって駆動される。ハンド2に
よって把持されたプロテクタ3は、クランプ20によっ
て保持されるパイプ4の先端にねじ込まれる。
【0016】図3は、図1のロボット1によってねじ締
めを行う対象となるプロテクタ3およびパイプ4を示
す。プロテクタ3は、パイプ4の端部に形成されるねじ
部21に螺合する雌ねじが形成されており、ねじ部21
を保護するためにかぶせておく。パイプ4はたとえばパ
イプライン建設用のシームレスパイプであり、直径が2
00mm程度である。プロテクタ3は、2〜3kg程度
の重量がある。ロボット1のティーチング作業では、最
初にプロテクタ3をパイプ4に嵌め込む位置を設定す
る。ねじの進む方向にロボットが引張られると、コンプ
ライアンス動作によって対応することができるので、ね
じ山のピッチなどの情報は不要である。
【0017】図4は、ロボット1を位置制御動作および
コンプライアンス動作させるための制御系の構成を簡略
化して示すブロック図である。ロボット1の各軸毎の制
御回路22には、サーボ制御回路23が接続され、さら
にホスト制御回路24が接続される。各軸毎の制御回路
22は、第1〜第6軸11〜16毎に設けられ、それら
は類似の構成を有しているので、代表として1つの制御
回路22についての説明を行う。各軸を角変位駆動する
駆動源であるサーボモータ25には、ベースアンプと呼
ぶことができる増幅回路26から、駆動電流が与えら
れ、これによってサーボモータ25が対応する各軸を駆
動する。各軸の回転角はエンコーダ27によって検出さ
れる。
【0018】図5はサーボ制御回路23の具体的な構成
を示す電気回路図である。ホスト制御回路24からライ
ン28を介して各軸毎の位置指令値が減算手段29の一
方の入力に与えられる。エンコーダ27からの各軸の回
転角を表す信号は、ライン30から、減算手段29の他
方の入力に与えられる。減算手段29の出力は、係数器
31に与えられ、ここで位置ゲインKpで増幅され、加
算手段32に与えられる。エンコーダ27の出力はま
た、微分回路33で微分され、係数器34で速度ゲイン
Kvで増幅され、加算手段32に与えられる。加算手段
32の出力は、積分器35に与えられ、積分演算が行わ
れる。積分器35のゲインG1は、次の第1式で示され
る。
【0019】
【数1】
【0020】ここでK1は定数であり、sは演算子であ
る。積分器35の出力は位相補償器36に与えられて位
相制御動作時に位相補償の演算が行われ、このゲインG
2は、次の第2式で示される。
【0021】
【数2】
【0022】ここでαは定数である。位相補償器36の
出力は、もう1つの加算手段37に与えられる。加算手
段37には、エンコーダ27の出力に応答する重力補償
演算回路38からの出力がライン38aを介して与えら
れて加算され、その加算出力はライン39から各軸のト
ルク指令値として制御回路22の増幅回路26に入力さ
れる。
【0023】図6は、制御回路22の構成および動作を
設明するためのブロック図である。ライン39を介する
サーボ制御回路23からの各軸のトルク指令値を表す信
号は、ライン39を経て増幅回路26に与えられ、これ
によってサーボモータ25が駆動される。モータ25の
負荷であるアームには、参照符41で示されるように重
力が作用する。したがってモータ25によって駆動され
るアームなどの負荷には、重力41による影響が加わ
る。その重力41による影響は、等価的に減算手段42
による引き算として表されるけれども、重力補償演算回
路38の出力によってキャンセルするように補償され、
アームなどの移動が行われる。アームなどの慣性力43
の角加速度は、積分手段44によって積分されることに
よって、角速度が求められる。さらに積分手段45によ
ってその角速度を積分することによって、アームなどの
回転角が求められる。この回転角は、エンコーダ27に
よって前述のように検出される。
【0024】図7は、図1の実施形態でのロボット1に
よる動作を簡略化して示す。プロテクタ3を把持するハ
ンド2を第6軸16に平行な軸2aまわりに回転させ
て、プロテクタ3をパイプ4にねじ込む作業をさせると
きは、プロテクタ3からロボット1のハンド2側に、第
6軸16方向の引張り力が外力Fとして加わる。その方
向にツール10が逃げる動作を可能とするようなコンプ
ライアンス機能を達成する必要がある。すなわち、外力
Fに対して受動的にそのコンプライアンス機能で応答す
れば、ねじ込み作業を円滑に行うことができる。
【0025】ツールであるハンド2は、図7(1)に示
されるように、コンプライアンス動作開始直前の一定の
姿勢を保持する。その移動方向は、ツールの座標系で定
める方向とし、コンプライアンス度を調整可能とする。
各軸の重力補償は、予め設定される計算式によって補償
する構成とする。安全対策として、各軸の動作制限角度
を設定する。コンプライアンス度の調整のために、図5
に示されるサーボ制御回路23では、係数器31および
34における位置ゲインKpおよび速度ゲインKvを調
整する。外力による各軸の角変位を、エンコーダ27に
よって検出することによって、力センサなどを用いるこ
とが不要になる。このエンコーダ27は、通常の位置制
御動作のためにもまた用いられ、こうしてエンコーダ2
7は、位置制御動作とコンプライアンス制御動作とに兼
用される。コンプライアンス動作開始時、ハンド2を回
転角度を指定して動作させると、ハンド2は、ロボット
の動作計画に基づいて能動的に動作し、その他の軸は、
外力によって受動的に動作するコンプライアンス制御動
作を達成することができる。こうしてハンド2によって
把持しているプロテクタ3に外力Fが作用したとき、そ
のハンド2の姿勢を保持したままで、予め定める指定し
たツール座標系での移動方向にのみハンド2を移動し、
こうしてパイプ4へのプロテクタ3のねじ込み作業など
を行うことができる。なお、動作計画では、ロボットの
動作の1ステップ毎に第6軸16の回転角度を変えるよ
うに設定する。
【0026】パイプ4の先端がテーパ状に形成されてい
れば、パイプ4の軸4aとプロテクタ3の軸3aとが少
々ずれていても、ねじ込みの際の外力Fが作用すると
き、テーパにずれδ1を解消させる方向の力も発生す
る。図7(2)に示されるように、第6軸16を除くロ
ボットの各軸の位置および速度の各ゲインを低く設定し
ておくと、ロボットのアーム7,8,9,17,18に
変位が生じる。このことがエンコーダ27によって検出
されると、各アームの変位を、外力Fによる移動方向で
ある第6軸16を除く各軸上に射影する。すなわち、移
動方向について現在位置を置き換え、かつテーパによる
反力で軸3a,4a間のずれδ2を減少させた位置をホ
スト制御回路24によって演算して求める。
【0027】図7(3)では、ハンド2が第6軸16方
向で、前記射影した位置となるように、しかもハンド2
の姿勢が図7(1)で示される初期の姿勢に保たれるよ
うに、各軸の位置指令値R''を作成する。こうして図7
(2)で示されるように、プロテクタ3の軸3aとパイ
プ4の軸4aとのずれδ1がδ2に減少し、最終的に、
図7(3)で示されるように軸3a,4a間のずれが解
消される。このような演算動作を繰り返すことによっ
て、ハンド2は移動方向である第6軸16に沿って、ハ
ンド2の姿勢を図7(1)の初期の姿勢に保ったままで
移動するコンプライアンス動作を達成することができ
る。
【0028】次に、第6軸16をツール座標系でz軸方
向とし、z軸まわりにツールを回転させながら、z軸方
向にコンプライアンス動作をさせる原理を説明する。コ
ンプライアンス動作を開始したときのツール座標系の原
点位置をtPΣt(θ0 )とする。ロボットに外力が加わ
ったとき、ツール座標系の原点位置がtPΣt(θ)に移
動したとすると、次の第3式が得られる。なお、括弧の
右肩の「T」は、転置記号を示す。
【0029】 tPΣt(θ)=(dtPΣt.xtPΣt.ytPΣt.zT …(3) このとき、位置指令値tPΣt.comを変更することによっ
て、z軸方向にのみ移動するようにする。x,y軸成分
の位置指令値は零とし、z軸成分の位置指令値に外力に
より移動したz軸成分を与えると、次の第4式が得られ
る。
【0030】 tPΣt.com = (0 0 dtPΣt.zT …(4) 姿勢の指令値は、コンプライアンス開始時の初期姿勢の
値を与える。この位置と姿勢の指令値を逆変換すること
により、各軸の角度指令値θcom を求めることができ
る。この角度指令値の動作指定軸だけは動作計画に基づ
いた指令値に置き換えたものをサーボモータ25のため
の制御回路22に指令することによりz軸方向へのみツ
ール座標系の原点が移動し、その姿勢を維持することが
できる。
【0031】さらに具体的に図8を参照して、ツール座
標軸コンプライアンスの実現手順について説明する。図
8は図3に示されるサーボ制御回路23およびホスト制
御回路24の動作を説明するためのフローチャートであ
る。ステップa1から動作を開始し、ステップa2に移
り、初期の各軸角度θ0 を検出する。ステップa3で
は、ツール初期位置をR行列として検出する。まず、ロ
ボットの位置を次の第5式のようなPベクトルで表し、
ツールの初期姿勢を第6式のようなS行列で表すと、ツ
ールの初期位置Ps をベース座標系で示すR行列は第7
式のように表される。
【0032】
【数3】
【0033】ステップa4では、本件ロボット1の各制
御回路22,23,24への重力補償を開始する。ま
た、これらの制御回路22,23,24の係数器31,
34および増幅回路などのゲインを小さく変更して設定
する。たとえばハンド2が装着される第6軸16の位置
ゲインKpおよび速度ゲインKvを、小さく設定し、ま
た積分器35のゲインKi を零とし、この積分器35の
内容を零にクリアし、さらに位相補償器36の機能を停
止する。換言すると、減算手段32の出力をそのまま加
算手段37に与えたときの状態とする。
【0034】ステップa5では、ツールを初期位置Ps
から目標位置Pe まで移動させる動作計画に従って、ま
ずベース座標系またはツール座標系についての移動方向
を設定する。ステップa6では、各軸の移動範囲を設定
する。ステップa7では、ベース座標系またはツール座
標系での移動範囲を設定する。ステップa8でコンプラ
イアンス動作を開始し、ステップa9では第6軸16の
回転角度を指定して回転させる。
【0035】ステップa10では、R行列を逆変換し
て、初期の第1軸11〜第6軸16についての各軸角度
θを、次の第8式のように検出する。
【0036】 θ = (θJT1 θJT2 θJT3 θJT4 θJT5 θJT6T …(8) すなわち、θ:コンプライアンス動作後の検出した角度 である。次にステップa11では、各軸角度が設定範囲
内であるか否かを判断する。範囲内であれば、ステップ
a12で現在位置R′を算出し、ステップa13でベー
ス座標系またはツール座標系での移動量が設定範囲内で
あるか否かを判断する。移動量が設定範囲内のとき、ス
テップa14では、初期姿勢で移動方向の位置成分を置
き換えた位置指令値R''を算出する。ステップa15で
は、R''行列を逆変換し、各軸角度θ′を算出する。ス
テップa16では、6軸が目標に到達したか否かを判断
する。到達していないときは、ステップa17で第6軸
16だけ予め動作計画によって算出した回転成分を加え
る。次にステップa18で、各軸を駆動し、ステップa
10に戻ってステップa18までを繰返す。
【0037】なお、ステップa11またはa13で設定
範囲外と判断されるとき、あるいはステップa16で目
標到達と判断されるとき、ステップa19またはa2
0、あるいはステップa21で、それぞれ動作を終了す
る。
【0038】以上説明したような動作で、第6軸16を
回転させ、しかも外力によって移動可能なコンプライア
ンス動作を行わせることができる。ステップa9および
ステップa17での変更を回転以外の他の成分に変えれ
ば、ねじ締め以外の動作も可能である。他の成分は、回
転成分に限られず、直線成分も可能である。外力を受け
て移動可能な方向も、ツール座標系またはベース座標系
で任意に設定することができる。ただし、各座標系の
x,y,z直交3軸のいずれかの方向とすれば、演算処
理が容易になる。また、6軸型ロボットについて説明し
ているけれども、他の形式のロボットであっても同様の
制御は適用可能である。
【0039】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、予め定め
る移動方向に沿ったコンプライアンス動作と、動作指定
軸に装着したツールの動作計画に基づいた作動とを行う
ことができるので、ツールの作動によって発生する外力
を逃がすような追従動作を容易に行うことができる。
【0040】また本発明によれば、コンプライアンス動
作による移動方向は、ベース座標系もしくはツール座標
系で設定することができるので、ツールの作業内容に応
じて外力を逃がす方向を適切に調整することができる。
【0041】また本発明によれば、コンプライアンス動
作時の軸ゲイン値が任意に指定可能であるので、外力の
発生状態に応じて位置剛性とコンプライアンスとの調整
を行うことができる。
【0042】また本発明によれば、コンプライアンス動
作中でも、各軸角度θやベース座標系およびツール座標
系での移動量がそれぞれ予め定める範囲内に制限される
ので、ツールを作動させてもロボット自身の動作範囲を
超えるような動作を行うことがなく、安全性や信頼性を
容易に確保することができる。
【0043】また本発明によれば、ツールを装着する動
作指定軸が任意の回転数に設定可能なスピン機能を有す
るので、ツールとしてねじ部をつかむことができるハン
ドさえあれば、専用のねじ締め機構を備えるツールを準
備することなく、ねじ締め作業を行うことができる。
【0044】また本発明によれば、各軸のトルク指令値
には重力補償演算結果が加算されるので、コンプライア
ンス動作中に姿勢が変わっても正確に重力補償を行うこ
とができる。
【0045】また本発明によれば、第1演算手段によっ
てコンプライアンス動作開始直前にツールの初期姿勢S
および初期位置Ps を算出し、コンプライアンス動作中
のロボットの各軸角度θを第2演算手段によって検出し
てツールの予め定める移動方向のみを現在位置に置き換
え、初期姿勢Sに基づく姿勢行列を含む位置指令値R''
を算出して、負帰還制御によって各軸を指令値との偏差
値が零となるように駆動するので、コンプライアンス動
作を実現することができる。ツールが装着される動作指
定軸に関しては、動作計画に基づいた補間指令値への置
き換えが第3演算手段によって行われるので、能動的な
作業を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の産業用ロボット1の正
面図である。
【図2】図1の産業用ロボット1のツール10付近の各
軸14,15,16の関係を拡大して示す図である。
【図3】図1のプロテクタ3とパイプ4との関係を示す
簡略化した斜視図である。
【図4】図1の産業用ロボット1の簡略化した電気的構
成を示すブロック図である。
【図5】図4のサーボ制御回路23の具体的構成を示す
電気的回路図である。
【図6】図4の制御回路22の機能を説明するためのブ
ロック図である。
【図7】図1の産業用ロボット1の動作状態を簡略化し
て示す側面図である。
【図8】図4のサーボ制御回路21およびホスト制御回
路22の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 産業用ロボット 2 ハンド 3 プロテクタ 4 パイプ 10 ツール装着用アーム部 11 第1軸 12 第2軸 13 第3軸 14 第4軸 15 第5軸 16 第6軸 17 ねじ部 22 制御回路 23 サーボ制御回路 24 ホスト制御回路 25 サーボモータ 26 増幅回路 27 エンコーダ 29 減算手段 31,34 係数器 32,37 加算手段 38 重力補償回路
フロントページの続き (72)発明者 狩谷 芳樹 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工 業株式会社 明石工場内 (72)発明者 福田 拓也 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工 業株式会社 明石工場内 (56)参考文献 特開 昭8−155868(JP,A) 特開 平6−39760(JP,A) 特開 平5−303422(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンプライアンス動作開始直前に、ロボ
    ットの動作指定軸に装着されたツールの初期姿勢Sおよ
    び初期位置Ps を算出しておき、 コンプライアンス動作中のロボットの各軸角度θを検出
    し、各軸角度θを順変換し、現在位置の座標値を算出
    し、ツールの初期位置Ps のうち、ツールの予め定める
    移動方向に対応する座標成分の値を現在位置の座標成分
    の値に置き換え、 初期姿勢Sに基づく姿勢行列を含む位置指令値R''を算
    出する段階と、 位置指令値R''を逆変換し、各軸指令値を算出後、動作
    指定軸を初期位置Psから目標位置Pe までの動作計画
    に基づいた補間指令値に置き換えて、各軸を駆動する段
    階とを繰返すことを特徴とするロボットの制御方法。
  2. 【請求項2】 前記予め定める移動方向は、ベース座標
    系でのx,y,z直交3軸方向のいずれかまたはその組
    合わせ方向、もしくはツール座標系でのx,y,z直交
    3軸のいずれかまたはその組合わせ方向であることを特
    徴とする請求項1記載のロボットの制御方法。
  3. 【請求項3】 コンプライアンス動作時の軸ゲイン値
    は、任意に設定可能であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のロボットの制御方法。
  4. 【請求項4】 コンプライアンス動作中の移動は、検出
    した各軸角度θが予め定める動作制限角度を超えると
    き、またはベース座標系およびツール座標系での移動量
    が予め定める移動範囲を超えるときに制限されることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のロボットの
    制御方法。
  5. 【請求項5】 前記ツールが装着される動作指定軸は手
    首軸であってスピン機能を有し、任意の回転数を設定可
    能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載のロボットの制御方法。
  6. 【請求項6】 コンプライアンス動作中に重力補償演算
    を行い、演算結果を各軸のトルク指令値に加算すること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のロボット
    の制御方法。
  7. 【請求項7】 ロボットの動作指定軸にツールが装着さ
    れ、駆動源によって駆動されるロボットの各軸角度θを
    軸角度検出手段によって検出し、検出した軸角度θと軸
    角度の指令値との偏差が零になるように駆動源を負帰還
    制御するロボットの制御装置において、 コンプライアンス動作開始直前に、ツールの初期姿勢S
    および初期位置Ps を算出する第1演算手段と、 コンプライアンス動作中のロボットの各軸角度θを検出
    し、各軸角度θを順変換し、現在位置の座標値を算出
    し、ツールの初期位置Ps のうち、ツールの予め定める
    移動方向に対応する座標成分の値を現在位置の座標成分
    の値に置き換え、初期姿勢Sに基づく姿勢行列を含む位
    置指令値R''を算出する第2演算手段と、 第2演算手段からの位置指令値R''を逆変換し、各軸指
    令値を算出後、動作指定軸を初期位置Psから目標位置
    eまでの動作計画に基づいた補間指令値に置き換え
    て、各軸を駆動する第3演算手段と、 第3演算手段の出力に基づいて前記駆動源の負帰還制御
    を行う第4演算手段とを含むことを特徴とするロボット
    の制御装置。
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