JP2712405B2 - 情報記録再生装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、光ディスク、磁気ディスク等記録媒体を使
用して情報の記録・再生、あるいは記録・再生・消去を
行う情報記録再生装置に係わり、特に、部品点数が少な
く、しかも記録媒体のトラック方向に沿って光学ヘッ
ド、若しくは磁気ヘッドを高速で、かつ、正確に往復移
動できる情報記録再生装置の改良に関するものである。

［従来の技術］ この種の情報記録再生装置としては、光学的記録再生
装置を例に挙げて説明すると第５図に示すように半導体
レーザ（ａ）と、この半導体レーザ（ａ）からの拡散レ
ーザ光を平行レーザ光に変換するコリメータレンズ
（ｂ）と、このレーザ光のスポット形状を楕円形状から
略円形状に変換するビーム整形プリズム（ｃ）と、光記
録媒体（ｄ）に入射する入射レーザ光と光記録媒体
（ｄ）から反射してくる反射レーザ光とを分離するビー
ムスプリッタ（ｅ）と、このビームスプリッタ（ｅ）を
通過し直線偏光であるレーザ光を円偏光に変換させる1/
4波長板（ｆ）と、移動可能に設けられ上記1/4波長板
（ｆ）を通過したレーザ光を光記録媒体（ｄ）の収束面
に収束させる対物レンズ（ｇ）と、上記ビームスプリッ
タ（ｅ）により分離された反射レーザ光をトラッキング
エラー信号、フォーカシングエラー信号、並びに再生RF
信号を得るための四分割PINフォトダイオード（ｈ）へ
入射させるシリンドリカルレンズ（ｊ）とでその主要部
を構成する装置が知られている。

そして、このような情報記録再生装置においては上記
光記録媒体（ｄ）面へ、渦巻き状、若しくは同心円状に
情報を記録し、あるいは記録された情報を再生するため
に対物レンズ（ｇ）等光学系を含む光学ヘッドを光記録
媒体（ｄ）の半径方向に沿って移動操作する必要があ
り、従来、以下に示すような駆動系が利用されていた。

すなわち、第６図〜第９図に示すように光記録媒体
（ｄ）の近傍に配置され光学ヘッド（He）が搭載された
断面略Ｈ字形状の移動台（ｋ）と、この移動台（ｋ）の
下端面に設けられ移動台（ｋ）を移動可能に支持するた
めのキャリッジ（ｍ）、並びに直線軸受（ｎ）と、上記
移動台（ｋ）の両脇に取付けられ駆動用コイル（ｐ）が
巻回された一対のボビン（q1）（q2）と、これ等ボビン
（q1）（q2）の筒部に挿通された一対の磁気ヨーク（r
1）（r2）と、各ボビン（q1）（q2）の上下両側に設け
られた永久磁石（s1）〜（s4）、並びに磁気ヨーク（t
1）〜（t4）とでその主要部が構成されるもので、上記
コイル（ｐ）への通電に伴いこの駆動用コイル（ｐ）に
作用する電磁力を利用して移動台（ｋ）を矢印Ａ方向へ
移動操作し、この移動台（ｋ）に搭載された光学ヘッド
（He）を光記録媒体（ｄ）の半径方向に沿って往復移動
するものであった。

［発明が解決しようとする課題］ ところで、上記駆動系を組込んだ情報記録再生装置に
おいては、各ボビン（q1）（q2）について移動台（ｋ）
を介しこの移動台（ｋ）の下端面に設けられたキャリッ
ジ（ｍ）並びに直線軸受（ｎ）により支持する構成のた
め部品点数が多くなる欠点があり、かつ、第９図に示す
ようなキャリッジ（ｍ）が移動台（ｋ）の下端面に固設
されるためこのキャリッジ（ｍ）分だけ移動台（ｋ）の
重量が嵩む欠点があった。このため光学ヘッド（He）、
移動台（ｋ）、キャリッジ（ｍ）、並びにボビン（q1）
（q2）で構成される可動部（ｕ）の軽量化が困難とな
り、上記可動部（ｕ）を高速で移動させることができな
くなってアクセスタイムの短縮化が図れない問題点があ
った。

また、上記ボビン（q1）（q2）筒部（q3）（q4）の内
周面と磁気ヨーク（r1）（r2）の外周面との摩擦力に伴
う可動部（ｕ）の移動速度の低減を防止する関係上、上
記筒部（q3）（q4）の内周面と磁気ヨーク（r1）（r2）
の外周面との間に隙間（数百μｍ以下）を形成する必要
があるため、各構成部品の加工精度、組立て精度を高く
要求される欠点があり、かつ、上記精度が悪い場合にお
いては上記可動部（ｕ）を正確に移動できなくなる問題
点があり、更に、上記筒部（q3）（q4）の内周面と磁気
ヨーク（r1）（r2）の外周面との間に隙間を形成する関
係上、永久磁石（s1）〜（s4）と駆動用コイル（ｐ）と
の間が離れるため磁束密度が低くなって強い電磁力が得
られない問題点があった。

［課題を解決するための手段］ 本発明は以上の問題点に着目してなされたもので、そ
の課題とするところは、部品点数が少なく、しかも記録
媒体のトラック方向に沿って光学ヘッド、若しくは磁気
ヘッドを高速で、かつ、正確に往復移動できる情報記録
再生装置を提供することにある。

すなわち本発明は、回転する記録媒体の近傍に配置さ
れたヘッド本体と、 このヘッド本体を搭載し、かつ、駆動用コイルが巻回
されたボビンと、 このボビンの周囲に配置されてボビン側へ向かう磁力
線を形成し、かつ、上記ボビンを摺動自在に支持する磁
石とを備え、 上記駆動用コイルへの通電に伴う電磁力によりボビン
を移動させ上記ヘッド本体を移動操作するようにしたこ
とを特徴とするものである。

このような技術的手段において、上記ボビンについて
はアルミニウム等の金属、強化プラスチック等にて構成
することができるが、自己融着型コイルを用いた場合に
は巻回した駆動用コイルを固めこれでもって上記ボビン
を構成してもよい。また、ボビンの外周面にはこのボビ
ンを摺動自在に支持する磁石との摩擦力を低減させるた
め摩擦低減処理を施すことが望ましく、例えば、上記外
周面にフッ素系樹脂、ガラス状カーボン等の自己潤滑性
材料をコートしたり、あるいは、上記外周面にその周方
向に沿って複数の凸部を形成し上記磁石との接触面積を
減少させる方法等が利用できる。尚、上記凸部を形成
し、この凸部の上に更に自己潤滑性材料をコートする方
法を採ってもよい。

また、この技術的手段においては上記ボビンにヘッド
本体を搭載するものであるが、この場合、対物レンズや
反射プリズム等ヘッドの構成部材全体が組込まれたヘッ
ド本体を上記ボビンに搭載する構成を採ってもよく、あ
るいは、上記ボビンに空洞部を設けこの空洞部内にヘッ
ドの構成部材の一部を配置してヘッド本体を搭載する構
成を採ってもよく任意である。

一方、上記ボビンを摺動自在に支持する磁石について
は、この磁石と駆動用コイルが巻回されたボビンとの間
にボビン側へ向かう磁力線を形成するもので、上記ボビ
ンに巻回された駆動用コイルへ通電した場合、この駆動
用コイルに電磁力を作用させ上記ボビンを記録媒体のト
ラック方向へ移動操作するようにしたものであり、例え
ば、希土類鉄系磁石等の永久磁石や電磁石等でもってこ
れを構成することができる。

また、上記ボビンの支持方法については、このボビン
の両側を一対の磁石にて挟持すると共にボビンの底面側
を上記磁石と別体の支持体にて支持する方法や、あるい
はボビンの両側並びに底面側を磁石により支える方法を
採ってもよく任意である。この場合、上記ボビンの外周
面との摩擦力を低減するため磁石の内周面についても摩
擦低減処理を施すことが望ましく、上記自己潤滑性材料
をコートしたり、凸部を形成したり、あるいは、凸部に
加えこ凸部上に自己潤滑性材料をコートしたりする方法
が採れる。尚、上記摩擦低減処理は、上記ボビン又は磁
石の少なくとも一方の摺動面に施せばよい。また、上記
自己御潤滑性材料をコートする方法を採った場合、この
材料の層厚を薄く設定することによりボビンと磁石間の
隙間を小さくすることができ、上記磁石と磁石間により
高密度の磁力線を形成することが可能となる。

また、この技術的手段の適用範囲については、光学的
記録再生装置、並びに磁気的記録再生装置のいずれにも
当然のことながら適用することができる。

［作用］ 上述したような技術的手段によれば、駆動用コイルが
巻回されたボビンをこの周囲に配置された磁石にて摺動
自在に支持する構成となっているため、従来において上
記ボビンを支持するためのキャリッジ、直線軸受、並び
に磁気ヨーク等が不要となって部品点数の低減が図れる
と共に、ボビンやヘッド等で構成される可動部の軽量化
を図ることが可能となり、更に、駆動用コイルと磁石間
距離が狭まって磁束密度が高くなるため駆動用コイルに
作用させる電磁力を強めることが可能となる。

［実施例］ 以下、本発明を光学的記録再生装置に適用した実施例
について図面を参照して詳細に説明する。

すなわち、この装置は第１図〜第４図に示すように光
記録媒体（１）の近傍に配置された光学ヘッド（２）
と、この光学ヘッド（２）が搭載されたボビン（３）
と、このボビン（３）の両側で上記光記録媒体（１）の
トラック方向に沿って互いに平行配置された一対のトラ
ック制御用永久磁石（41）（42）及びフォーカス制御用
永久磁石（51）（52）と、上記ボビン（３）の底面側で
トラック制御用永久磁石（41）（42）の長さ方向に亘っ
て配置された板状の支持板（６）とでその主要部が構成
されているものである。

まず、上記光学ヘッド（２）は、アルミニウム合金製
のヘッド本体（20）と、このヘッド本体（20）に取付け
られた対物レンズ（21）と、上記ボビン（３）の内部に
組込まれた反射プリズム（22）と、上記ヘッド本体（2
0）の外周面に巻回された駆動用コイル（23）とでその
主要部が構成され、かつ、バネ状支持体（24）により上
記ボビン（３）の上面側に取付けられてヘッド本体（2
0）が上下方向へ移動できるようになっている。

また、上記ボビン（３）は断面略四角形状のアルミニ
ウム合金製の筒状体にて構成され、その外周面には駆動
用コイル（31）（32）が巻回されていると共に、上記光
学ヘッド（２）との接合部位には開口（33）が設けられ
この開口（33）直下の筒部（34）に上記光学ヘッド
（２）の一部を構成する反射プリズム（22）が配置さ
れ、図示外の光源からの集束光が上記対物レンズ（21）
側へ反射するようになっている。更に、上記ボビン
（３）の外周面にはその周方向に沿って複数の凸部（3
5）〜（35）が形成されており、かつ、凸部（35）〜（3
5）の上面側にはフッ素系樹脂（商品名テフロン）にて
構成される自己潤滑層（36）〜（36）が形成されてい
る。

一方、上記フォーカス制御用永久磁石（51）（52）と
トラック制御用永久磁石（41）（42）は上記光記録媒体
（１）のトラック方向に亘って配置された支持部（７）
に取付けられて配設されており、上記フォーカス制御用
永久磁石（51）（52）については上記光学ヘッド（２）
と同一の高さ位置に配置された帯状の希土類鉄系永久磁
石にて構成されている一方、上記トラック制御用永久磁
石（41）（42）については上記ボビン（３）と同一の高
さ位置に配置された板状の希土類鉄系永久磁石にて構成
されており、かつ、上記ボビン（３）を両側から挟持す
るようになっている。

そして、上記フォーカス制御用永久磁石（51）（52）
からは光学ヘッド（２）側へ向かう磁力線が形成され、
一方、トラック制御用永久磁石（41）（42）からはボビ
ン（３）側へ向かう磁力線が形成されるようになってい
る。

このように構成された光学的記録再生装置において
は、第４図に示すように装置本体側に設けられた図示外
の光源からの集束光がボビン（３）に組込まれた反射プ
リズム（22）により反射されて光学ヘッド（２）の対物
レンズ（21）側へ入射され、この対物レンズ（21）によ
り光記録媒体（１）の収束面に収束されて情報の記録、
再生、消去がなされるものである。

そして、この装置においては図示外のリード線を介し
上記上記ボビン（３）に巻回された駆動用コイル（31）
（32）に通電することによりこの駆動用コイル（31）
（32）に電磁力が作用し、この電磁力によりボビン
（３）が光記録媒体（１）のトラック方向に沿って往復
移動操作される一方、ヘッド本体（20）に巻回された駆
動用コイル（23）に通電した場合においてもこの駆動用
コイル（23）に電磁力が作用し、この電磁力により上記
バネ状支持体（24）の支持力に抗してヘッド本体（20）
がフォーカス方向へ移動操作されるものである。

このとき、この装置においては上記駆動用コイル（3
1）（32）が巻回されたボビン（３）について、このボ
ビン（３）の両側に配置されたトラック制御用永久磁石
（41）（42）と底面側に配置された支持板（６）とで支
持する構成となっているため、上記ボビン（３）を支持
するためのキャリッジや磁気ヨーク等が不要になって部
品点数の低減が図れると共に、ボビン（３）や光学ヘッ
ド（２）等で構成される可動部（８）の軽量化が図れる
長所を有している。

しかも、上記ボビン（３）の外周面には複数の凸部
（35）〜（35）が形成され、かつ、この上面側には自己
潤滑層（36）〜（36）が塗布形成されているため、上記
ボビン（３）の外周面とトラック制御用永久磁石（41）
（42）並びに支持板（６）の内周面に作用する摩擦力を
著しく低減することができ、上記可動部（８）の軽量化
と相俟って光学ヘッド（２）を高速、かつ正確に光記録
媒体（１）のトラック方向に沿って往復移動操作ができ
る長所を有している。

また、この装置においては上記ボビン（３）の外周面
とトラック制御用永久磁石（41）（42）並びに支持板
（６）の内周面とを上記自己潤滑層（36）〜（36）を介
して面接触させる構成で、従来のようにボビンの筒部へ
磁気ヨークを挿通させる等の組立て作業が不要となるた
め、構成部品の加工精度、組立て精度が著しく緩和され
る長所を有している。

更に、上記ボビン（３）とトラック制御用永久磁石
（41）（42）は面接触する関係上その間の隙間が著しく
狭まり、このトラック制御用永久磁石（41）（42）から
ボビン（３）側へ向かう磁力線の磁束密度を高くするこ
とができるため、上記駆動用コイル（31）（32）への通
電に伴う強い電磁力を得ることができ、上記光学ヘッド
（２）の移動操作がより高精度にできる長所を有してい
る。

［発明の効果］ 本発明によれば、駆動用コイルが巻回されたボビンを
この周囲に配置された磁石にて摺動自在に支持する構成
となっているため、従来において上記ボビンを支持する
ためのキャリッジ、直線軸受、並びに磁気ヨーク等が不
要となって部品点数の低減が図れると共に、ボビンやヘ
ッド等で構成される可動部の軽量化を図ることが可能と
なり、更に、駆動用コイルと磁石間距離が狭まって磁束
密度が高くなるため駆動用コイルに作用させる電磁力を
強めることが可能となる。

従って、情報記録再生装置における光学ヘッド、若し
くは磁気ヘッドを記録媒体のトラック方向に沿って高速
で、かつ、正確に往復移動操作できる効果を有してい
る。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第４図は本発明の実施例を示しており、第１図
は実施例に係る光学的記録再生装置の部分斜視図、第２
図は第１図のII−II面断面図、第３図は第２図の部分拡
大図、第４図は第１図のIV−IV面断面図を示しており、
また、第５図〜第８図は従来例を示しており、第５図は
光学的記録再生装置の構成概略図、第６図はその光学ヘ
ッドの駆動系を示す斜視図、第７図はそのVII−VII面断
面図、第８図はその平面図、第９図はその移動台の下端
面に取付けられるキャリッジと直線軸受の斜視図を示
す。 ［符号説明］ （１）……光記録媒体 （２）……光学ヘッド （３）……ボビン （20）……ヘッド本体 （31）（32）……駆動用コイル （36）……自己潤滑層 （41）（42）……トラック制御用永久磁石 （51）（52）……フォーカス制御用永久磁石

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転する記録媒体の近傍に配置されたヘッ
   ド本体と、 このヘッド本体を搭載し、かつ、駆動用コイルが巻回さ
   れたボビンと、 このボビンの周囲に配置されてボビン側へ向かう磁力線
   を形成し、かつ、上記ボビンを摺動自在に支持する磁石
   とを備え、 上記駆動用コイルへの通電に伴う電磁力によりボビンを
   移動させ上記ヘッド本体を移動操作するようにしたこと
   を特徴とする情報記録再生装置。
2. 【請求項２】上記ボビン又は磁石の少なくとも一方の摺
   動面に自己潤滑層を形成したことを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載の情報記録再生装置。