JP2710768B2 - 電気石成形体およびその製造法 - Google Patents

電気石成形体およびその製造法

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嘉矩 各務
彦弘 佐野
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美濃顔料化学株式会社
彦弘 佐野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気石の成形体及
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気石は、NaX3Al6(BO3)3Si6
38(OH)4の化学式で表される鉱物であり、鉄電気石
(X=Fe)、リシア電気石(X=Li+Al)及び苦
土電気石(X=Mg)に大別され、相互に混晶してい
る。通常入手し易いのは鉄電気石を主成分とするもので
ある。電気石の結晶構造は、Al23−B23−SiO
2の網目構造の中にNa、Li、Al、Feなどのイオ
ンが配置される構造である。電気石の電気的性質につい
ては、1980年にピエゾ電気(圧電気)とピロ電気
(焦電気)が発見され、永久電極を有することが知られ
ている。これらの性質は、約1000℃で消失する。ま
た、電気石は遠赤外線放射体であり、常温での遠赤外線
放射の波長は10μm以上である。電気石の用途として
は、たとえば、電気石の電気的性質を利用して、合成繊
維に練り込んで静電気を除去することや、水処理に利用
し水自体を界面活性化することが試みられている。その
他にも、各種用途が試みられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】たとえば特開平3−1
18894号公報に記載された電気石粒状物は、電気石
微粉とバインダー(電気絶縁性の高いセラミック)とか
らなり、電気石微粉は、セラミックの間に埋め込まれて
いる。粒状物における電気石微粉の量は、粒状物の表面
に存在する電気石電極の数はできるだけ多くし、かつ、
互いに接触して反対電荷同士が打ち消しあうことがない
ようにするため、全体量の5〜10%程度である。しか
し、このような従来の電気石粒状物は、たとえば界面活
性化の効果が満足できる程度ではない。したがって、各
種用途に電気石を効果的に利用するためには、さらに種
々の課題を解決することが要望されている。本発明の目
的は、さらにすぐれた性質を備えた電気石の成形体とそ
の製造法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電気石成形
体は、ガラスマトリックスと、その中に分散した30%
以上の重量比の電気石微粉とからなる。このように多量
の電気石微粉をガラスマトリックス中に分散するので、
電気石微粉は相互に接触している。このため、電気石微
粉が直列的に配列する確率が大きい。ここで、下限値の
30%は、マトリックス中で電気石微粉が直列配列しつ
つ分散すると思われる下限値である。なお、上限値は特
に記載していないが、ガラスマトリックスによりある程
度の強度を保持できる実用上の限界が存在し、例えば後
で説明する実施形態では約70%強である。
【0005】好ましくは、上記のガラスマトリックス
が、500℃と電気石の上限転移温度との間の融点を有
するガラス粉末からなる。具体的には、ガラスマトリッ
クスは、ガラス粉末の融点より下の温度で焼結したもの
である。この焼結において、同時に電気石微粉も450
℃と上限転移温度との間の温度で焼成でき、マトリック
ス中の電気石の性質が改善される。この上限温度は、電
気石の結晶構造が破壊されて、電気石の所望の性質が失
われないように設定される。また、450℃の下限温度
は、一般炉で焼成効果が期待できる下限温度である。こ
の焼成により、電気石成形体の洗浄効果などの性質が改
善される。好ましくは、上記のガラスマトリックスが、
電気石より遠赤外線放射率が高いガラス成分からなる。
これにより、電気石成形体は、遠赤外線放射体としての
効果もさらに大きくなる。このため、たとえば、水中に
おいて使用したときの洗浄性能が増加する。
【0006】本発明に係る電気石成形体の製造法におい
て、電気石を粉砕して電気石微粉を作製し、500℃と
電気石の上限転移温度との間の融点を持つガラス粉末
を、この電気石微粉に混合し、この混合物を成形し、こ
の成形物を上記のガラス粉末の融点以下の温度(好まし
くは450℃と800℃の間の温度)で焼結する。ここ
で、ガラス粉末の融点以下の温度で焼結するのは、電気
石焼成体の融着を防ぐ作業性のためである。焼結による
多孔性は、洗浄性能などに有用である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して、本
発明の実施の形態を説明する。 (実施形態1)本実施形態では、選別した電気石を通常
の工業的方法を用いて粉砕可能な範囲までの粒子(中位
径1.0μm程度に粉砕した電気石微粉)を、450℃
と800℃(電気石の上限転移温度に対応する)との間
の温度に加熱し、冷却した。具体的には、選別した電気
石砂(0.5m/m)を中位径1.0μm程度に粉砕して
微粉末を作成し、この微粉末を、電気炉で、600℃、
700℃、800℃、900℃、1000℃、1100
℃に4時間保って焼成し、その後、徐冷した。これらの
焼成温度の異なる試料について、比較例である末焼成の
微粉末と共に、粉末X線回析を測定した。
【0008】図1のX線回折図において、a、b、c
は、それぞれ、末焼成試料、800℃焼成試料、100
0℃焼成試料をさす。末焼成試料と800℃までの温度
で焼成した焼成物(a、bを含む)の粉末X線回折図
は、電気石の結晶構造による回折ピークを示し、電気石
が存在することを示す。また、他の結晶構造による回折
ピークはほとんど認められない。また、そのX線回折角
度(2θ)およびX線強度がこれらの試料においてほとん
ど変わらない。これに対し、900℃以上で焼成した試
料(cを含む)では、電気石の結晶構造による回折ピー
ク(2θ)を示さず、また、その強度も低く、電気石が
別の鉱物に変化していることが判った。以上に説明した
X線回析の結果から、850℃付近に電気石の結晶構造
が壊れる温度すなわち電気石が他の物質に転移する温度
(上限転移温度)が存在することが判明した。
【0009】また、上記の電気石試料についての水のイ
オン化能力を調べるため、油分解能の観察を、次のよう
に行った。230mlのポリエチレンビーカーに未焼成
試料と、600℃、700℃、900℃、1000℃で
焼成した試料の粉末15gずつを入れ、水200ml、
食用油2mlを加えて、1日2回2分間ずつ撹拌し、6
カ月間油の分解度合を観察した。油分解は、乳化→ゴム
状粘性物→粘性低下→かゆ状物への順に変化していった
が、油の分解度合(速度)は、 600℃焼成、800℃焼成>未焼成>900℃焼成>
1000℃焼成 の順に大きいことが認められた。したがって、油の分解
度合も、電気石の分解点の前後で差があることが判明し
た。
【0010】電気石の結晶構造は、Al23−B23
SiO2の網目構造の中にNa、Li、Al、Feなど
のイオンが配置される構造になっている。加熱処理によ
り、イオンの原子価の交換(Fe2+→Fe3+など)、新
たな原子位置のズレなどによって結晶の一端での正電荷
と反対端での負電荷の増加が行われ、より高い電位の電
池ができると考えられる。加熱温度が900℃を越える
と電気石の結晶構造は破壊され、ズレによって生じた電
位は消滅する。原料として電気石を用いても、電気石の
電気的特性を利用するものではない。なお、強乾燥(4
00℃以下の加熱)ではエネルギーが小さいので生電気
石に新たなズレを生ずるまでには至らない。従って、こ
れ以上の450℃から上限転移温度(850℃)まで加
熱操作は、個々の電気石粒子の電位を高めるために必要
である。特に、600〜800℃の範囲の温度での焼成
が望ましい。
【0011】電気石は最初から永久電極を持っていると
いわれ、1説では、その理由として、変成作用によって
電気石が生成する際に、急速冷却により、その結晶の格
子構造が本来のものより歪んだままの状態になり、結晶
の両端に正負の電極を生じたものとしている。しかし、
電気石はペグマタイト末期に生成されるものが多く、徐
冷によって大きな結晶として生ずるものが多い。電極は
結晶の歪みによって生ずるが、歪みの大きさにはバラツ
キがあるはずである。そこで、電気石の電極の電荷、し
たがって、電位を高める方法の一つは、圧電性及び焦電
性を持つ電気石結晶に、大きなエネルギーを加えて結晶
構造を壊さない範囲で、結晶内に大きな変移(ズレ)を
生ぜしめることであると考えられる。変移(ズレ)の手
段としては、破砕、粉砕時の機械的熱エネルギー又は加
熱によって電気石中に含まれているFe2+その他の元素
の原子価の変化、それに伴うイオン半径の変化、加熱、
冷却による膨張、収縮の物理的なエネルギーが考えられ
る。本実施形態では、加熱を用いて、未焼成電気石微粉
の性質を改善し、すぐれた水のイオン化能力を有する電
気石焼成体を得たものである。
【0012】(実施形態2)本実施形態の電気石成形体
は、多量(30%以上)の電気石微粉2とガラスマトリ
ックス(バインダー)4とからなる。図2は、焼成体中
において、ガラスマトリックス4中の個々の電気石粒子
2の直列配列を模式的に示す。この電気石成形物は、そ
の表面だけでなく、内部においても連結された電気石微
粉2により、その電位は高められ表面に集積される。ま
た、この構造の電気石焼成体を得るために、電気石を粉
砕して電気石微粉を作製し、500℃と電気石の上限転
移温度との間の融点を持つガラス粉末を、この電気石微
粉に混合し、この混合物を成形し、この成形物を上記の
ガラス粉末の融点以下の温度で焼結する。具体的には、
焼結温度は、融着を防ぐため、融点より50℃以上低い
温度である。得られた成形体は焼結体であり、多孔性を
要求する用途(洗浄剤など)に対しては、焼結体の方が
有利である。また、この低融点ガラスの焼結は、実施形
態1で説明した450℃〜電気石上限転移温度との間
(好ましくは600〜800℃の温度)での電気石の焼
成をも兼ねるものであり、先に説明したように、この焼
成により電気石微粉の性質を改善する。
【0013】個々の電気石微粉2は(+−)の電極を有す
る1個の電池であるが、電気石微粉の量が多くなれば、
個々の電気石の+極と−極が(+−)(+−)(+−)…のご
とく直列に連結するものが焼成体の内部と表面で多くな
り、電位を上げる確率が大きくなる。同時に、並列に分
布するものや、(+−)(−+)のように逆に接続するもの
も量に比例して多くなることは避けられない。電気石1
個の電位差は2〜10eVといわれている。実用化され
ている電池の電位は1.5V、水の電解電圧は1.0Vで
あり(1V≒1019eV)、焼成体の電位をこれに少し
でも近づけるには、(i) 電気石の一個一個をできる
だけ小さく粉砕し、一個当たり電池として最大量の電位
を持たせる、(ii) できるだけ多くの電気石を集合さ
せることが必要である。本実施形態では、通常の工業的
方法で粉砕可能な中位径1.0μm程度の電気石微粉末
2を用い、焼成体中で個々の粒子2をできるだけ多く接
続して、全体の電位が高くなるようにする。図2に図式
的に示すように、粒子2の底部の−極に次の粒子2の先
端の+極が、また、その底部の−極に他の粒子2の先端
の+極が接触し、多くの電気石微粉2が直列的につなが
る。中には単独に存在するもの、電気を中和してしまう
ものがあるが、全体として電圧を高めるようなつなぎ方
が多くなるようにする。このためには電気石粒子をバイ
ンダー4内に均一に分散することが必要であり、湿式法
による粉砕混合した含水土を用いる成形法を採用するこ
とが望ましい。
【0014】ここで用いる固結用バインダーとしては、
第1実施形態に示した電気石微粉2の熱処理温度範囲に
近い500〜850℃に融点を持ち、電気石と類似の成
分から成る低融点ガラス粉末(誘電率4〜8程度)を使
用した。すなわち、電気石の電位の付与の加熱と電気石
微粉の集合固結の操作を同一の温度で同時に実施できる
バインダーは、電気石と類似の組成を持つもの(SiO
2、B23、Al23、MgO、ZnOなど)を選ん
で、あらかじめガラス化したものの微粉末であり、熱伝
導、膨張率を電気石と同じようにして、電気石結晶のズ
レの生成が円滑にできるようになっている。このガラス
粉末は電気石粉末の多くの量(約30%以上、約70%
まで)を融点近くの温度で固結させることができる。こ
こで、電気石成分の上限値は、バインダーによる固結が
可能な値であり、約70%までは固結強度が保たれる。
なお、下限値の30%は、現在本実施形態の効果が確認
できている値であり、電気石微粉が直列に配列している
状態である。実際には、30%より低くても使用できる
と思われる。
【0015】次に、電気石の集合成形体の製造法につい
て説明する。電気石砂と低融点ガラス粉末を重量比で
3:7〜7:3の割合にし、これに少量の界面活性剤と
固形分と等量の水を加えてトロンミル中で十分に粉砕
し、混合する。取り出した泥漿を濾過して得た含水土
を、成形機、造粒機などにより目的とする形に成形した
後、乾燥する。次に、使用したガラス粉の融点近くの温
度で焼成し固化させる。具体的には、次のように製造す
る。選別した電気石を中位径1.0μm程度に粉砕した
電気石砂50kgを水50lと共に100kgトロンミ
ルに入れ、24時間粉砕する。次に、別に調整した低融
点ガラス粉末(例:SiO2 1.4モル、B23 1.0
モル、Al23 0.2モル、MgO、CaO、Na2
0.75モルからなり、融点750℃)50kg加え、
水を追加し、さらに24時間粉砕を継続した。取り出し
濾過して得た含水土を、押し出し成型機によってφ9m
/m×長さ1000m/mの棒とする。これを9m/m
の長さに切断したものを、マルメライザーにかけ、成形
し、乾燥する。次に、サヤに入れ、700℃で焼成し
て、φ7m/mの粒状物を得た。
【0016】図3は、こうして製造した粒状物(電気
石:ガラス=7:3)の粉末X線回析図を示す。ここ
に、横軸2θはX線回析角度である。図において、Tで
示した回折ピ−クは、電気石によるものであり、電気石
が変質せずに存在していることがわかる。なお、マトリ
ックス4による回折線は、ガラス質であるためX線回折
ピークとしては現れていない。
【0017】次に、この粒状焼結体の水のイオン化能力
を調べるため、油分解能を観察した。用いた試料は、電
気石とガラスの重量比を3:7、5:5、7:3の3種
類とし、上述の方法によって造粒したものである。油の
分解度合を、球状物15g宛を230mlポリエチレン
コップに入れ、水200mlと食用油2mlを加えて、
1日1回2分間撹拌し、6カ月間油の分解進行を観察し
た。この結果によれば、乳化→ゴム状粘性物→粘性低下
→かゆ状生成物の分解過程が 7:3>5:5>3:7 の順に効果的に進行すること、撹拌の時の抵抗が少なく
なること、濁度が大きくなることなどが観察できた。こ
のことは、電気石の量が多いほど油の分解が多く早く進
むことを示している。
【0018】電気石粒状物が水に接した場合の反応機構
はつぎのように考えられる。電気石の電位が、水を 2H2O=H3++OH- のごとくイオン化し、その電位が大きくなればイオンの
数も増える。H3+(ヒドロニウムイオン)は金属や樹
脂容器に接して電荷を失い、水中にはOH-(またはH3
2 -ヒドロキシムイオン)が増加するようになる。電気
石成形体は、水の従来持っているイオン化能に新たにイ
オン化を起こさせ、H3+イオンとOH-イオンを増加
させ、(+)イオンのH3+を分解、反応させて消耗さ
せ、OH-濃度を上げる。これにより、水の洗浄性を高
め、機械部品の水洗浄などに工業上利用される。
【0019】たとえば、容器が金属の鉄、鉄合金(ステ
ンレス)である場合、酸化は、 3Fe+6H3+→3Fe(OH)2+6H2 2Fe(OH)2+2H3+→2Fe(OH)3+2H2 2Fe(OH)3+Fe(OH)2→Fe34+4H2O のごとく進行する。これをまとめると、最終的には、次
の反応が起こる。 3Fe+8H3+→Fe34+8H2+4H2O すなわち、Feは表面でH3+により酸化されFe2+
なり、OH-(H3+→OH-+H2)によりFe(OH)2
となる。その一部のFe(OH)2は、H3+によりさら
に酸化されてFe(OH)3となる。生成したFe(OH)3
と残部のFe(OH)2は反応して不働態のFe34にな
る。そして、溶液中にはH2とOH-(消化されたH3+
に対応する)が増加する。水中にO2が溶存している場
合にはH2がそれを消化してH2Oとし、鉄の酸化を防止
する。これらの作用は、H3+イオンによる金属容器や
配管内部の不働態化と、その際に生ずるH2によって水
中の溶存O2を消化することによる赤泥生成抑制とを生
じ、特に配管内面の赤泥化防止を目的としたクーリング
タワー用水用として効果をあげることができる。また、
樹脂槽や樹脂配管を流れる水は、樹脂表面と接し、その
表面にまさつ電荷(負電荷)を与える。これを水中のH
3+電荷が中和するため水中にはOH-が増加する。石
鹸の洗浄作用は弱酸と強塩基の塩である石鹸が加水分解
して、OH-を生成してアルカリ性を示し、洗浄効果を
生ずるものであるが、電気石の場合にも、OH-を増加
させてそれと同一の作用を行うものである。
【0020】同様の製造法を用いて、電気石とガラスと
の比を広い範囲で異ならせて粒状物を製造し、その粉末
X線回折を測定した。図4〜図8は、それぞれ、電気
石:ガラスの重量比を7:3、5:5、3:7、2:
8、1:9として製造した粒状物の粉末X線回析図を示
す。図3と同様に、横軸2θはX線回析角度であり、T
で示した回折ピ−クは、電気石によるものである。先に
説明した電気石:ガラスの重量比が3:7〜7:3の範
囲で電気石の存在が確認できる。他の結晶構造による回
折ピークは認められない。また、上述の範囲を超えた試
料においても電気石による回折ピークの存在が認められ
る。これらの試料の色は、組成が変化するにつれて変化
していく。試料の表面を電子顕微鏡で観察した。代表的
なものとして、図9〜図11に、電気石:ガラスの重量
比を7:3、3:7、1:9として製造した粒状物の電
子顕微鏡写真を示す。(図中に50μmの白線が示され
ている。)これらの写真において、白い部分が電気石
に、黒い部分がガラスに対応する。粒状物は焼結体であ
り、いずれの試料も多孔的であることがわかる。
【0021】(実施形態3)電気石は、遠赤外放射体で
あるが、この放射率強度をさらに引き上げるために、電
気石粉の固結に用いる低融点ガラス粉について、その遠
赤外線放射率が高いものを選んでバインダーとして使用
する。具体的には、バインダーは、通常は、珪酸−硼酸
−アルミナを骨格にし、石灰、マグネシアおよびアルカ
リを含む低融点ガラス粉末で十分であるが、さらに放射
率強度をさらに高いものにするため、珪酸−硼酸−アル
ミナに亜鉛とアルカリを主とする低融点ガラス粉末(融
点550℃程度)を調整した。そして、配合比を電気石
粉:ガラス粉=1:1とし、これらの配合品を、φ50
m/m、厚さ2m/mの円板状に成形し、700℃と5
00℃で焼成した。
【0022】作成した電気石球状物について遠赤外線放
射率を測定した。測定は、FT−1R(JIR−530
0日本電子)の黒体炉2基を備えた装置により、上記の
円板状成形物について、140℃の表面温度で行った。
図12は、これらの試料の遠赤外線放射率曲線を示す。
ここで、dは電気石単独の試料(比較例)、eは石灰、
苦土、アルカリ系の低融点ガラス粉末で固結させた成形
物、fは亜鉛−アルカリ系低融点ガラス粉末で固結させ
た成形物をさす。このデータによれば、電気石自体
(d)の遠赤外線は8μmの波長(常温に換算すれば
2.5μm加えた10.5μm)で放射率は黒体に対し
80%程度であるが、石灰−苦土−アルカリ系のガラス
粉末で固化した試料(e)では90%、亜鉛−アルカリ
系ガラス粉末で固化した試料(f)では99%が達成さ
れる。また、4μmの波長(常温換算値では6〜7μ
m)の放射強度は、これらの3試料について、それぞ
れ、30%、50%、75%となっている。
【0023】電気石は元来遠赤外線放射体であるが、低
融点ガラスもそれ以上の放射強度を持つ遠赤外線放射体
であり、これで固結させることにより電気石集合体の常
温遠赤外線放射率は目立って増大する。電気石の常温に
おける遠赤外線放射の強度は若干低い(10μmで黒体
に対し80%程度)が、低融点ガラス粉末で固結した時
はその放射率は10〜15%増加する。以上に説明した
ように、本実施形態では、電気石と類似の組成からな
り、その融点が電気石の結晶構造が壊れる温度以下にあ
る低融点ガラス粉末と、電気石粗砕物のできるだけ多い
量とを混ぜ、湿式粉砕法でできるだけ細かく粉砕して得
た含水土を成形し、ガラス粉末の融点より少し低い温度
で焼結して、天然の電気石の持つ電位と遠赤外線放射率
とを実用の範囲まで引き上げた電気石成形体を得ること
ができた。
【0024】遠赤外線は、水に吸収されて、水のクラス
ターを小さくする作用がある。遠赤外線は放射波長と被
照射体の吸収波長が合致する場合、被照射体の分子が放
射波長を吸収して共鳴し、伸縮、変角運動を起こし、反
応し易い状態になり、同時に発熱を伴う。被照射物は水
である場合が多く、細胞もその70%が水であるから、
これらの吸収曲線はよく研究されている。図13は、水
の分光透過曲線(遠赤外線吸収曲線)を示すが、水は、
3μm、6〜7μm、10μm以上に吸収波長を持つ。
これに対して、電気石成形体は、常温で6〜7μm、1
0μm以上の放射波長を持っている。水中に電気石成形
体を投入すれば、水は電気石の6〜7μm及び10μm
以上の波長を吸収して分子運動を活発に行う。通常水は
36〜37個の分子が集合したクラスターを構成してい
るが、遠赤外線を吸収して7〜8個まで分割され、その
反応性を増すようになる。これが水に対する遠赤外線の
最大効果とされている。そして、包含している不純物の
はき出し、溶解性の増大、表面張力の減少、蒸発性の増
大などがクラスター分割の副作用として確認され、これ
らの効果を利用した用途が拓かれている。
【0025】したがって、本実施形態の電気石成形体を
水に浸して使用する時は、その電位による水の電気分解
を主とするイオン化作用と集積体の遠赤外線の増幅され
た放射作用とを奏する。増幅された遠赤外線は、水のク
ラスターの減少に伴う効果の外に、水中に溶存する生体
有機物質(油類、アミン類)に直接放射して有機分解物
分子の分解を容易にし、電気石本来の水のイオン化によ
るOH-イオンによる石鹸作用を促進させる。すなわ
ち、本実施形態では、電気石の持つ微弱な電位を実用の
範囲にまで引き上げ、水のイオン化を促進するととも
に、もう一方の遠赤外線放射の性質を併用して、水中の
油分分解を主とする洗浄作用に効果を示す。このよう
に、電気石は、上述のイオン化作用の他に、遠赤外線に
よる水のクラスターを小さくし、反応性を高める作用が
あり、これらが相乗して水の活性化を促すものである。
このように考えれば、H32 -の界面活性理論を持ち出
さなくても、電気石の洗浄作用は説明できる。洗浄作用
の源となるエネルギーが電気石成形物自体の自前のエネ
ルギーによるものであることも特徴の一つである。
【0026】電気石の用途の期待されているものに、循
環風呂(24時間風呂)がある。これは数年前から普及
し、最近は湯の循環途中にバイオフィルター、紫外線灯
などを組込み、湯の再生、殺菌を行い老廃物の除去を行
って、常時入浴を可能にし、水の取り替えも1〜4週間
に1度という頻度にしているものである。多くのものは
途中に麦飯石、光明石、ペグマタイト鉱などの破砕物、
造粒物を充填して湯を通し、水の濾過助剤、温泉成分の
付与などを目指しているものがある。
【0027】表1は、電気石粒状物1kgを途中に充填
した循環家庭風呂(300l)の半月使用した湯(40
℃)の水質検査の結果を示す。これによれば、湯を半月
連続使用しても、濁度は小さく、有機物質(COD)も
少なく、用水として特に問題とするものがないことが知
られる。
【表1】
【0028】本実施形態の電気石成形物を上述の循環風
呂に充填した場合、次の2つの遠赤外線とイオン化の相
乗作用により、湯の再生の助剤的作用を行う。 (1) 遠赤外線が水中の湯垢成分(蛋白質、脂肪酸分解
物)の吸収波長の7〜8μmを放射して分解を容易にす
るようにする。 (2) 電気石の電位により増加させた水のOH-により
垢成分の分解を行う。 循環風呂に用いた場合の電気石のもう一つの大きな特徴
は、電気石粒に接した水中の微弱電流が入浴者の体の細
胞の電流とほぼ等しい強さであるため、人体の表面を電
気的に刺激して血流を増進させ、いわゆる湯ざめの現象
を起こしにくくすることである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電気石粉の末焼成試料(a)、800℃焼成試
料(b)、1000℃焼成試料(c)のX線回析図である。
【図2】 電気石微粉の成形物中における配列を模式的
に示す図である。
【図3】 電気石成形体(電気石:ガラス=7:3)のX
線回析図である。
【図4】 電気石成形体(電気石:ガラス=7:3)のX
線回析図である。
【図5】 電気石成形体(電気石:ガラス=5:5)のX
線回析図である。
【図6】 電気石成形体(電気石:ガラス=3:7)のX
線回析図である。
【図7】 電気石成形体(電気石:ガラス=2:8)のX
線回析図である。
【図8】 電気石成形体(電気石:ガラス=1:9)のX
線回析図である。
【図9】 電気石成形体(電気石:ガラス=7:3)の電
子顕微鏡写真である。
【図10】 電気石成形体(電気石:ガラス=3:7)の
電子顕微鏡写真である。
【図11】 電気石成形体(電気石:ガラス=1:9)の
電子顕微鏡写真である。
【図12】 電気石単独の試料(d)、石灰−苦土−アル
カリ系の低融点ガラス粉末で固結させた電気石成形物
(e)、亜鉛−アルカリ系低融点ガラス粉末で固結させた
電気石成形物(f)の遠赤外線放射曲線のグラフである。
【図13】 水の分光透過曲線(遠赤外線吸収曲線)のグ
ラフである。
【符号の説明】
2…電気石微粉、 4…ガラスマトリックス。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスマトリックスと、その中に分散し
    た30%以上、70%以下の重量比の電気石微粉とから
    なる電気石成形体。
  2. 【請求項2】 上記のガラスマトリックスが、500℃
    と電気石が他の物質に転移する転移温度との間の融点を
    有するガラス粉末からなることを特徴とする請求項1に
    記載した電気石成形体。
  3. 【請求項3】 上記のガラスマトリックスが、電気石よ
    り遠赤外線放射率が高いガラス成分からなることを特徴
    とする請求項2に記載した電気石成形体。
  4. 【請求項4】 電気石を粉砕して電気石微粉を作製し、
    この電気石微粉に500℃と電気石が他の物質に転移す
    る転移温度との間の融点を持つガラス粉末を混合し、こ
    の混合物を成形し、この成形物を上記のガラス粉末の融
    点以下の温度で焼結することを特徴とする電気石成形体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記の成形物を450℃と800℃の間
    の温度で焼成したことを特徴とする請求項4に記載した
    電気石成形体の製造方法。
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