JP2708500B2 - 積層形燃料電池 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、複数の単電池をセパレータを介して積層
した積層形燃料電池に関し、特にセパレータの改良に関
するものである。

［従来の技術］ 第４図は例えば特開昭63−136471号公報等に示された
ものと同種の従来の積層形燃料電池のセパレータの一例
を示す斜視図であり、図において、１は平板状のセパレ
ータ板、２はセパレータ板１の上面に設けられた第１の
波形板、３は第１の波形板２によって形成された燃料ガ
ス流路、４はセパレータ板１の下面に設けられた第２の
波形板、５は第２の波形板４によって形成され燃料ガス
流路３に対して直角方向へ向いた酸化剤ガス流路であ
る。

また、積層形燃料電池は、複数の単電池（図示せず）
が上記のようなセパレータを介して積層されてなってお
り、各単電池は、電解質マトリックス（図示せず）を燃
料電極（図示せず）と酸化剤電極（図示せず）とで挟ん
でなっている。このため、第１の波形板２の上には燃料
電極が、第２の波形板４の下には酸化剤電極がそれぞれ
来るようになっている。

上記のように構成された従来の積層形燃料電池におい
ては、燃料ガスが燃料ガス流路３を燃料電極に接しなが
ら流れ、酸化剤ガスが酸化剤ガス流路５を酸化剤電極に
接しながら流れる。これによって、各単電池で電池反応
が起こり、発電が行われる。

［発明が解決しようとする課題］ 上記のように構成された従来の積層形燃料電池におい
ては、セパレータとしてセパレータ板１と第１及び第２
の波形板2,4とを用いていたので、これら第１及び第２
の波形板2,4をセパレータ板１に取り付ける部分が必要
であり、このためそれぞれの板厚分だけ必要以上に高く
なってしまい、これを多数積層するため、全体の積層高
さが高くなってしまい、コンパクト性に欠けるという問
題点があった。また、セパレータ板１と第１及び第２の
波形板2,4との間の電気的な接触抵抗を低減させるため
に、この部分を溶接により接合する必要があり、組立工
程が複雑になり、手間がかかるという問題点もあった。

この発明は、上記のような問題点を解決するためにな
されたもので、積層高さを低くでき、これにより全体を
コンパクトにでき、また組立工程が簡単で手間がかから
ない積層形燃料電池を得ることを目的とする。

［課題を解決するための手段］ この発明に係る積層形燃料電池は、セパレータに、酸
化剤ガス流路側及び燃料ガス流路側へ向けてそれぞれ凸
形絞り加工を施し、かつ凸形絞り加工により形成された
凸部の平面形状を、それぞれのガスの流れ方向に長辺を
有する長方形としたものである。

［作用］ この発明においては、セパレータの両面に凸形絞り加
工による凸部を形成し、しかも凸部の平面形状をガスの
流れ方向に長い長方形としたので、酸化剤ガス流路及び
燃料ガス流路を容易に形成できるとともに、ガスの流れ
に対する整流作用を効果的に行える。

［実施例］ 以下、この発明の実施例を図について説明する。第１
図はこの発明の一実施例による積層形燃料電池を示す酸
化剤ガス入口側から見た要部断面図、第２図は第１図の
セパレータを示す斜視図である。

図において、11は電解質マトリックス、12は電解質マ
トリックス11の下面に設けられたカソード電極、13は電
解質マトリックス11の上面に設けられたアノード電極、
14はカソード電極12の下面に設けられた金属板からなる
カソード集電板であり、このカソード集電板14には多数
の孔が形成されている。15はアノード電極13の上面に設
けられた金属板からなるアノード集電板であり、このア
ノード集電板15には多数の孔が形成されている。16は電
解質マトリックス11,カソード電極12,アノード電極13,
カソード集電板14及びアノード集電板15からなる単電池
であり、このような積層形燃料電池では複数個の単電池
16が積層されている。

17は積層された各単電池16の間に介在するセパレータ
であり、このセパレータ17には、カソード集電板14に接
するカソード用凸部17aと、アノード集電板15に接する
アノード用凸部17bとが、それぞれ平板にプレス加工、
即ち凸形絞り加工をすることにより形成されている。17
cはセパレータ17の互いに向かい合う縁部に折り曲げ加
工して断面コ字状に形成されたガスシール部である。

18はカソード集電板14とセパレータ17との間に酸化剤
ガスが図の矢印Ａの方向へ流れるように形成された酸化
剤ガス流路、19はアノード集電板15とセパレータ17との
間に燃料ガスが図の矢印Ｂの方向へ流れるように形成さ
れた燃料ガス流路であり、これらの酸化剤ガス流路18と
燃料ガス流路19とはセパレータ18を挟んで互いに直交す
る方向へ向いている。また、カソード用凸部17a及びア
ノード用凸部17bは、それぞれ燃料ガス又は酸化剤ガス
の流れ方向へ長い直方体状に交互に形成されている。20
はガスシール部17cの角部の内側に設けられたスペーサ
である。

また、この積層形燃料電池は、第１図のようにセパレ
ータ17を介して、単電池16を所定の数だけ積層し、所定
の面圧で上下から加圧して構成される。

上記のように構成された積層形燃料電池においては、
酸化剤ガス流路18に酸化剤ガスを、燃料ガス流路19に燃
料ガスを、それぞれ側面から流すことにより、発電が行
われる。

また、セパレータ17は、平板をプレス加工して形成さ
れるので、電気的な接触抵抗の問題もなく、製作が簡単
である。

さらに、従来必要だった波形板とセパレータ板との接
合部がないので、セパレータ17の厚さを必要最小限にす
ることができ、全体の積層高さを従来より低くできる。

さらにまた、カソード用凸部17a相互の間隔及びアノ
ード用凸部17c相互の間隔は、従来の波形板の波のピッ
チよりも広くなるが、金属板からなるカソード集電板14
及びアノード集電板15を介しているので、各集電板14,1
5と各電極12,13との間の面圧は均一になる。また、従来
の波形板に比べ、セパレータ17と各電極12,13との接触
面積は小さくなるが、電気的な問題はなく、従来同様の
電池特性を得ることができる。

なお、上記実施例で示したものは、天然ガスなどを予
め改質して、水素，炭酸ガスなどに変換したものを燃料
ガスとして供給する外部改質方式の積層形燃料電池であ
るが、例えばカソード用凸部17aの裏側の凹部に内部改
質触媒を充填することにより、直接形内部改質形方式の
積層形燃料電池にもこの発明が適用できる。この場合、
触媒が流路を妨げないため、ガスの流れに対する圧力損
失を少なくすることができる。

また、上記実施例ではガスシール部17cを折り曲げ加
工して形成したが、ガスシール部17cを第３図のような
形状とすれば、プレス加工をすることもでき、ガスシー
ル部17cをカソード用凸部17aのプレスと同時に形成でき
るため製作工程が簡略化できる。

さらに、上記実施例では直方体状に突出したカソード
用凸部17a及びアノード用凸部17bを示したが、酸化剤ガ
ス流路及び燃料ガス流路を形成できれば凸部は他の形状
であってもよい。

［発明の効果］ 以上説明したように、この発明の積層形燃料電池は、
セパレータの両面に凸形絞り加工による凸部を形成し、
しかも凸部の平面形状をガスの流れ方向に長い長方形と
したので、セパレータの製作を簡単にすることができる
とともに、部品点数を削減することができ、これにより
コストを低減することができ、またセパレータの厚さを
必要最小限にすることができ、これにより全体の積層高
さを低くすることができ、しかもガスの流れに対する整
流作用を効果的に行うことができるなどの効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例による積層形燃料電池を示
す酸化剤ガス入口側からみた要部断面図、第２図は第１
図のセパレータを示す斜視図、第３図はこの発明の他の
実施例によるセパレータを示す斜視図、第４図は従来の
積層形燃料電池のセパレータの一例を示す斜視図であ
る。 図において、16は単電池、17はセパレータ、17aはカソ
ード用凸部、17bはアノード用凸部、18は酸化剤ガス流
路、19は燃料ガス流路である。 なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の単電池が一枚板からなるセパレータ
   を介して積層されており、上記セパレータの一方の面に
   酸化剤ガス流路が、他方の面に燃料ガス流路がそれぞれ
   形成されている積層形燃料電池において、上記セパレー
   タには、上記酸化剤ガス流路側及び上記燃料ガス流路側
   へ向けてそれぞれ凸形絞り加工が施されており、かつ上
   記凸形絞り加工により形成された凸部の平面形状は、そ
   れぞれのガスの流れ方向に長辺を有する長方形であるこ
   とを特徴とする積層形燃料電池。