JP2707243B2 - 水 鈴 - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
[発明の技術分野および目的]
本発明は室内のインテリア小物に関する。
従来インテリア装飾品としては視覚に訴えるものがほ
とんどであるが、本発明は音のインテリアを供するもの
である。この種の器具としては伝統的に夏の風物詩であ
る風鈴が知られている。これは自然の風により小鐘の音
を生ざしめ趣と風情を与えるものであるが、本発明は風
と並んで自然の情緒を表すと思われる水に着目し、滴下
する滴による水音の発生をもって室内に趣や風情を添え
ることを目的とする。 [発明の構成] 本発明に係る装置あるいは器具の基本的な形態は、水
面に水滴を継続的に滴下することのできる滴下口、これ
に水を供給する水溜、これらを水面より上方に位置させ
るための支持体よりなる。滴下口は連続した水流でなな
く、水滴を一滴ずつ分離して滴下させることのできるも
のでなければならない。 この器具の作用は、これ自身の内に水面を用意する
か、またはこれを通常室内において常時水面を提供でき
るところの花瓶、水盤、水差し等の中あるいは近傍に据
え置き、これらの水面に水滴を継続的に滴下させること
によって水音を発生させ、この水音のもつ風情を室内に
与えるものである。水面の状態は特に限定しない。底の
浅い場合、深い場合、広い場合、くぼみにわずかに水が
たまっている場合等種々有りうるが、落下する水滴によ
って撃たれるのに十分な面積を供給でき程度の広さがあ
ればよい。 本発明は以下の4形態に分類される。 (i) 基本的形態 上述の3部位よりなる基本的な形態で、器具自身は水
滴を滴下させる水面を提供することはなく、花瓶、水
盤、水槽等の水面を保有する器物と併用して使用される
ものである。器具はこれらの水面(以下本明細書では外
部水面と称する)に水滴を滴下させることが可能な状態
に置かれるために必要な制限を、形状や大きさに受ける
が、併用される器物が特定されることはないので、一般
的な制約はない。 (ii) (i)の器具に共鳴筒を設けたもの。 水音を増大させ独特の響きを与えるために滴下点近傍
に共鳴筒を設けたものである。該共鳴筒の形態、大き
さ、形状、材質等は問わない。 (iii) (i)の器具に揚水装置を設けたもの。 水面から水溜への揚水装置を設けたものである。揚水
装置は手動式でも電動式でもあるいはこれら以外のもの
でもよく、揚水の方式は問わない。また揚水は断続的に
行うものでも連続的に行うものでもよい。後者の場合水
溜の存在は必ずしも必要としない。 (iv) (i)の構成に水面を供する機能を有するもの
を取り付け一体となしたもの。 花瓶、水盤、水差し等に(i)の装置を構成するため
の機能を具備させ、全体として一つの装置、器具または
道具としてまとめあげたもの。あるいは他の機能を持た
ずに単に水音の発生だけを目的として(i)の器具に水
面を供する水槽等を具備したものである。この形態には
開放系と閉鎖系があり、後者は一定量の水を装置内に密
封して滴下、水面形成、揚水等の循環を行わせ、外部か
らの水の供給、外部への水の排出を必要としない型式の
ものであるが、この場合には循環し発音する作動液たる
液体は水に限定される必要はなく、水の場合の諸構成の
要件、形態等が、水をこの作動液で置き換えた形で適用
される。 以上の(i)〜(IV)の内2以上の性質を兼備する場
合もある。以下本明細書ではこれらの方式を各項目の冒
頭の記号(i)、(ii)、(iii)、(IV)を以て引用
する。 [発明の実施例] 次に本発明に係る器具あるいは装置についてさらに具
体的に詳述する。 本発明に係る装置のうち最も標準的と思われる構成を
第1図、及び第2図に示す。共鳴筒と揚水装置を具備し
た前述の(ii)および(iii)に係る形態の装置で、第
1図では装置の外観を示す見取り図が、第2図ではこれ
が水を保有した花瓶の中に置かれているときの縦断面図
が示されている。 図中、支持体2は支持柱16及び台座12よりなり、支持
柱16には、底部に滴下口1を持つ水溜3が取り付けら
れ、さらに上下が解放している円筒パイプ状の共鳴筒4
が共鳴筒支持腕14を介して固定されている。支持体2の
下部は台座12を構成し全体を安定に立脚せしめている。
支持体としては、このような容器の底に立脚させて下か
ら支える形態の他に、例えば、花瓶の外に台座や支持柱
を置く設計、花瓶の口に取り付ける機能を設けそこから
懸垂させて水溜等を支持する方法もある。しかし、花瓶
等の容器と併用する場合には、外部から装置が見えない
ほうが、美観的にも好ましい場合が多いので、装置全体
が容器内に入ってしまう構成の方が実用性が高いと思わ
れる。 支持柱16の内部は手動式ポンプを構成している。第2
図に例示するその構造は周知のもので、給水口11、ポン
プ柄棒13、揚水管21と連動したピストン25と、2つの逆
止弁23、24に挟まれた圧縮室22よりなる。ポンプ柄棒を
押し下げることにより、ピストン25が圧縮室中の水を圧
縮し、水は逆止弁23を通過して揚水管21に至り、そのま
ま押し下げられて給水口11より水溜3に供給される。そ
の後ピストンはバネ26により引き戻されて上昇し、減圧
された圧縮室内には逆止弁24を通して外部静止水29たる
花瓶内の水が供給され、さらにポンプ柄棒13を押し下げ
ると同じ作用が繰り返される。図中、逆止弁23,24はボ
ール弁で図示されているが、23は圧縮室より外側に至る
水の流れを、24は圧縮室に至る水の流れを許す方向に機
能するように構成されている。バネ26の設置は圧縮室側
でもよい。このときにはポンプ柄棒を押し下げるときに
バネが縮められ、バネの延びる力によってピストンが押
し上げられる。当然のことながら、支持体2とは別にポ
ンプを設置してもよい。 水溜3に供給された水は滴下口1より、一滴づつ共鳴
筒4の中を通過して外部水面27たる花瓶内の水の水面を
打ち音を発生する。音は共鳴筒によってその大きさを増
幅され周囲に伝わる。共鳴筒が無くても、花瓶の空洞が
この共鳴機能を呈することもあるが、共鳴筒はこの落下
音の増幅以外にも、その内側を落下する水滴の経路とす
ることによって、花瓶に花をいけたときにその茎や枝葉
によって水滴の水面への落下が妨げられないようにする
機能を合わせ持つ。 通常一滴の水滴の体積は0.1〜0.5cm3であるが、一例
として、水溜の容積を100cm3、0.2cm3の水滴が約10秒に
一滴の割合で落下するすると、一度水溜を満水にしてお
くとその後水の供給なしに約1時間半音の発生が継続す
る事になる。連続的に機能する揚水装置を設ける場合に
は、平均した高々70cm3/時間の揚水能力を持てば、装置
の発音の作用を継続させることができる。水滴の体積や
落下の時間間隔は滴下口の構造に大きく依存するが、発
明の構成上の制限はない。しかしながら音の発生は静止
水面に水滴が落下する方が効果的であるので、落下の時
間間隔が短かすぎ、一度水滴によって打たれた水面が静
まるのを待たずに次の水滴が落下するような事になる
と、趣のある音が得られない。少なくとも2〜3秒の間
隔が必要である。また当然のことながら落下距離が長い
ほど発生する音は大きいが、これに関しても発明の構成
上の制限はない。。 揚水装置を持たずとも、別の容器で上から水を注ぎ入
れる等して水溜に水を供給することが可能である。しか
し、他から水を加えると花瓶内の水位が次第に上昇し、
ついには本発明に係る装置が水中に没して機能しなくな
る。花瓶に排水のための機能を設けてもよいが、構成が
複雑になるので、長時間継続して装置を機能させるには
花瓶内の水を汲み上げて水溜に注ぐ必要がある。この
時、装置をその内に置いている容器が、水盤のようなも
のであれば容易にひしゃく等の器具によって水を水を汲
み上げる事ができるが、第2図に示す花瓶のような口の
細く深い容器の場合にはこれが面倒である。揚水装置の
設けられている(iii)の類型の装置ではこの点の便宜
がある。 次に装置の各部分、類型を個別的に取り上げ更に詳述
する。 [I] 滴下口 第3図〜第5図に滴下口の実施例を示す。本発明に係
る装置の滴下口たるには、水滴を一滴一滴形成してこれ
を落下させる機能がなくてはならない。これには、滴下
口の大きさを十分小さくし、かつ水の流量を限定すれ
ば、液体には一般に表面張力によって表面積を最小にし
ようとする作用があるので、自ずと水滴が形成される。
第3図は水溜3の底に小穴を空けただけの最も簡単な例
である。小穴の径が小さければ十分に機能する。形成さ
れた水滴が水溜の外壁表面を伝って横に移動し、小穴で
はなく外壁表面の別の位置が滴下口となるおそれがある
ので、共鳴筒を設けた場合などで、水滴の落下位置を特
定する必要のある場合には、少し下方に突き出すように
して小穴を設ける方がよい。第4図では水溜から横に伸
びる導水管41を設けその先端が細い管状あるいはノズル
状の滴下口となっている。第5図ではネジ51が水溜の底
を貫いており、ネジの先端がニードル52になっている。
水はねじ山の間をしみでてネジを伝ってニードルの先端
に達しそこで水滴を形成し落下する。図中、繊維束、ス
ポンジ、マット等の多孔質物質53がネジ51によって締め
付けられている構成になっている。ニードルに至る水は
この多孔質物質53の空げきや毛細管の中を通過するの
で、53は流量を抑制する働きをするが、ネジ51の締め付
け具合によって多孔質物質中の空げき、毛細管の大きさ
が変わるので、流量を制御し水滴落下の時間間隔を調整
することも可能である。多孔質物質による流量の抑制、
制御は、第3図、第4図に示す小穴や細径管の場合にも
利用できる。他方一つの装置に滴下口を2以上設けても
よい。 [II] 共鳴筒 第6図〜第10図に幾つかの共鳴筒の類型をその断面を
以て示す。図中点線61は水滴の落下経路である。共鳴筒
は水滴の打撃による音のうちその固有の振動数に一致す
るモードを共鳴、増幅する機能を有するものであるが、
もっとも基本的な形状は、第1図及び第2図に例示した
ような、両端が解放されている中空円筒である。第2図
及び第6図のごとく、一方を水中に没して設置する事も
できるが、第7図のごとく両端とも水面から離してもよ
い。形状、大きさ、材質によって共鳴する振動数は異な
る。最も単純な第2図、第6図の場合を例にとると、こ
れは一方が閉端である気柱による共鳴と見なすことがで
き、周知のごとく共鳴の基本振動の4分の1波長が円筒
の水面より上に出た部分の長さにほぼ等しい。通常人間
の耳に感じ取ることのできる周波数は20〜20000ヘルツ
であるが、これらに対応する共鳴気柱の長さは、音速を
340m/秒として、おおよそ0.4cm〜4mである。これは、こ
の範囲にある長さの円筒を用意すると共鳴筒として機能
することを意味するが、本発明に係る装置は、室内での
使用を想定しているので、通常の設計の範囲でこれを越
えることは考えられず、従って共鳴筒の大きさに事実上
制限はないといえる。ただ、水滴が共鳴筒の内部を落下
経路とする場合には、水滴が途中で共鳴筒の内壁に触れ
てしまうと打撃効果が減少、あるいは消失するので、こ
の点についての大きさ、形状等に対する制約はある。第
8図はビール瓶の底を切断して逆さに伏せたような形状
である。第9図は2本の中空円筒を違いに垂直に貫通さ
せた立体を示す。第10図では水滴が共鳴筒の中を落下経
路として通らない場合である。この場合でも共鳴作用は
存在する。一方、以上は円筒で柱形の軸に垂直な断面が
円形である場合を基本としてきたが、共鳴音の周囲への
伝達に多少異方性が生じることをいとわなければ、断面
の形状は四角でも三角でもよい。更に、共鳴は主として
気柱の振動によるので、第6図〜第10図が示すものは厳
密には気柱の形状であり、図示してあるように、共鳴筒
がパイプ状であったり、壁の厚さが均一である必要はな
い。塊の中に円筒の穴が空いているようなものでもよ
い。共鳴筒の材質は、原則として固体でさえあれば何で
もよく、金属、陶磁器、ガラス、プラスチック、木材を
問わないが、硬質で音を良く反射し吸収しないものが望
ましい。例えば、金属では真鍮が内部での音の減衰が少
ない材質として知られている。竹筒を用いたりするのも
趣があってよい。他方、常時水にさらされているので、
適度な耐食性を持つことも要求される。腐食の恐れがあ
る材質でも、表面をコーティングする等して用いる事が
できる。第2図では共鳴筒を共鳴筒支持腕14で支持体2
に固定しているが、これをネジ止め式等にして着脱可能
にし、数種の共鳴筒を情況に応じて交換可能にすること
もできる。更には、固定のための機能を特に設けなくと
も、円筒タイプの共鳴筒等では、下が平らであれば水滴
の落下点の位置に据え置くだけで機能させることができ
る。 第11図〜第14図も共鳴筒に関係する形態の例であり、
第6図〜第10図と同様に共鳴筒の断面を示し、図中点線
は水滴の落下経路であるが、水滴が打つ水面の水位を保
つための構成に関する諸類型を示すものである。第11図
では共鳴筒の中空円筒の一端が閉じられているが、閉じ
た面に通水口62が空いている。この結果円筒内の水面で
ある内水面63と外部水面27が同じ水位になるが、第6図
〜第9図の類型もこれと同じである。もし通水口62がな
いと、水滴の滴下が継続するに従って内水面63が次第に
上昇し、共鳴音は一定せず次第に高くなるがついには円
筒内があふれて共鳴筒として機能しなくなる。通水口62
によって内水面63は外部水面27と連通し、水面の上昇は
両者共に生じ、内水面63のみの場合よりもはるかに緩慢
になる。外部水面27は装置が置かれている花瓶、水盤の
水面を示すが、これらの容器の大きさが十分であれば水
面の上昇は無視できる程度である。該容器が小さい場合
には、容器より水を排除する法を講じなければ長時間の
装置の作用に影響を及ぼす。第12図では共鳴円筒の両端
は解放されているが、下方の端は受け器71内の水面に没
している。受け器71は水で満たされており、滴下した水
滴に相当する水量はあふれて下方の外部水面27に落下
し、内水面62は外部水面27が共鳴筒に達するまで一定に
保たれる。装置が揚水装置を具備しない場合でも、共鳴
筒がこの類型の設置をとる時には、水溜に外部から水を
注ぎ入れる事によって給水を続けても、装置の作用の継
続を比較的長時間維持する事が可能である。第13図及び
第14図の構成も第12図の場合と趣旨を同じくするもので
ある。第13図では小管81によって、第14図では毛細管束
91によって、共鳴筒内の水面63を一定に保つ機能を果た
させている。共鳴筒の側面の適当な位置に横穴を空けて
もよい。水滴の落下によって増量した水量は小管81ある
いは毛細管束91を通して外部水面27に落下するが、これ
らの最下端に更に別の滴下口を構成して、装置の発音機
能を2段にすることもできる。 [III] 揚水装置 (a)<手動式揚水装置> 第2図に示した構造が最も一般的なものと思われる。
近年は日用品、化粧品などに、容器からの液体状内容物
の押しだしや噴霧装置として、小形で簡便、廉価な種々
の手動ポンプが出回っており、本装置に利用できるもの
も多い。エアーポット等に用いられている空気圧を利用
したものを使用することもできる。 (b)<電気式揚水装置> 第15図の断面図は、小形モーターを用いた周知の簡易
ポンプの構造を示すものである。該ポンプが支持体2の
中に組み込まれている構成になっている。モーター54に
結合した回転軸58が太目の揚水管21の中を下方に伸び、
その先端に水羽根56が取り付けられている。モーターの
回転によって、揚水管21よりも小さい径を有する吸込口
57を通して揚水管21の中に入った水は、そのまま押しあ
げられ給水口11より水溜3に供給される。水溜3に水面
センサー58を設け一定以下の水位まで下がるとスイッチ
が入り一定時間ポンプが作動するようにすれば、自動的
に長時間装置を機能させることができる。水面センサー
としては浮子(float)を用いるものや電極を設定する
方法が知られている。水溜3の容量に応じて適当な時間
間隔を定め、タイマーと連動してポンプを断続的に作動
させても自動化を計ることができる。供給時に水溜より
水があふれても一時の雑音となる以外に装置の機能には
影響がないので、細かい制御は必要とせず周知の初歩的
な回路構成で事が足りる。周知の電動式ポンプの種類は
他にも種々あり、モーターに関しても回転式のもののみ
でなくレシプロ式を使用したポンプもある。電源とし
て、図中装置に乾電池55が組み込まれているが、家庭用
の100V電源よりアダプター等を介して電力の供給をうけ
てもよい。 モーターを用いずに電熱によって揚水を計る方式とし
ては、例えば蒸気圧と逆止弁を組み合わせたコーヒーメ
ーカーの熱湯供給装置が周知である。本装置の揚水量も
少なくてよいので、温度上昇が問題とならない場合には
これを利用できる。しかしながら、草花の生けられた花
瓶や水盤に本装置を置いて機能させる場合には、熱湯が
草花にかかると好ましくない。 第16図〜第19図に大きな温度上昇を伴わない方式の一
例を示す。図のように、シーズヒーター64を具備した空
圧室65は揚水管11を通してのみ外気と連通しており、下
部は圧縮室22となり下方に位置する給水細口66より外部
より水の供給を受ける。給水細口66は水の流通をわずか
に許す細い口径を有する通水口であるが、圧縮室22から
外部に向かう方向を順方向とし、逆方向にもわずかに流
通を許す逆止弁とすると効果がより明瞭となる。以下作
用を説明する。シーズヒーターに通電せず十分な時間放
置した状態では、給水細口66を経て圧縮室内に入り込ん
だ水は、更に揚水管21に至り、第16図のごとく連通管の
原理に従って揚水管内の水位は外部水位と等しくなる
が、一部の空気は空圧室内に閉じ込められる。この状態
でシーズヒーターに通電を開始すると、空圧室内の空気
と同時に圧縮室内の水面に近い部分の水が加熱を受け、
熱膨張と蒸気圧の効果で空圧室内の気体の体積が増大し
始める。第17図のごとく、圧縮室内の水位が揚水管内口
67より下がると、揚水管21には空圧室にあった気体が入
り始める。この気体により揚水管内の水は押しあげら
れ、ついには第18図に示すように給水口11に達しここか
ら水溜に向けて放出されるが、総ての水が揚水管内から
放出されると、第19図に示すように空圧室65は外気と連
通し空圧室内の圧力は減少する。このとき圧縮室内の水
位は第16図〜第18図における位置よりも下位にあるが、
空圧室内の圧力の減少により以後徐々に上昇する。前述
のように吸水細口66の水の流通は制限されているので、
圧縮室内の水位が揚水管内口67更には第16図の位置に達
するにはある程度の時間を要する。この間空圧室65は外
気と通じているので、シーズヒーター64の通電を切れば
空圧室内の温度は冷却されて元に戻り、外気が空圧室内
に流入して気体も第16図の状態に戻る。以下シーズヒー
タの通電を断続的に行いこれを繰り返す。第15図に示す
装置の場合と同様、圧縮室内に水面センサーを設ける
か、タイマーを適当な時間間隔を以て連動する等すれ
ば、給水を自動化することができる。シーズヒーターの
温度に関しては、例えば、常温25℃に対して40℃まで温
度上昇させるとすると、40℃の水蒸気圧55.34mmHgを加
えて空圧室内の圧力は少なくとも約850mmHg程度にはな
り、常圧760mmHgとの差90mmHgは水柱にして約1.2mであ
るので、原理的にこれだけの高さまで揚水できることに
なる。 空圧室65に、外気に通ずる電磁式かまたはバイメタル
等と連動した開閉弁を設け、シーズヒーターが加熱され
るときには閉じ、冷却されるときには開く構成にすると
作用がより確実になる。 第15図〜第19図には乾電池を設けてあるが、電池の交
換を避けるために太陽電池を利用することも可能であ
る。近年太陽電池の性能も徐々に向上し、受光面積1cm2
当たり10mW程度の出力が可能になっている。本装置に必
要とされる揚水能力は、前述の例の場合、揚水高度を20
cmとすると、約0.04mWとなり、変換効率の点を割り引い
ても十分適用可能である。 (c)<乾湿温度差式揚水装置> 湿潤している場所は水の蒸発による気化熱のために他
の場所よりも温度が低くなっている。乾湿球湿度計はこ
の現象を利用したものであるが、通常の室内の状態で2
〜5度程度の温度差を作ることができる。水量が少量で
あれは、これを利用して熱エネルギーを取り出し揚水を
行うことができ、電気式の場合の乾電池の交換等の手数
が不要になる。従来この種のエネルギーを利用したもの
には、おもちゃの「水飲み鳥(平和鳥)」がよく知られ
ている。第20図及び第21図に、「水飲み鳥」と同様に、
乾湿温度差による液体の気化、凝結を利用した新規の小
規模揚水装置の構造を示す。 揚水装置の構造は周知のダイヤフラム式ポンプの構成
の一部を変更したものになっている。すなわち第20図に
示す該揚水装置では、2つの逆止弁23,24ではさまれた
圧縮室22にダイヤフラム76の一方が面しており、該ダイ
ヤフラムの伸縮によって圧縮室内の水が圧縮、減圧を受
け、これを繰り返すことによって、逆止弁24を通して外
部より供給された水が逆止弁23を経て揚水管21に押し出
され、更に押しあげられて給水口11に至り水溜に向けて
放出されるものである。圧縮室内の水流は2個の弁によ
り一方向化されており、逆止弁23は圧縮室から揚水管に
向かう方向を、逆止弁24は外部から圧縮室に向かう方向
を、それぞれ順方向とするものである。原則として圧縮
室内の水を圧縮、減圧可能な機構であれば、たとえば往
復運動を行うピストンのようなものを取り付けても揚水
は可能であるが、一般にダイヤフラム式ポンプに用いら
れるダイヤフラムは非金属製のフレキシブルな材質であ
り、この結果高い気密性が保たれ液の遺漏を完全に抑え
ており、これがこの方式のポンプの大きな特徴となって
いる。ここに示す揚水装置にもこの特徴を生かすわけで
ある。通常のダイヤフラム式ポンプでは、ダイヤフラム
のもう一方の側には往復運動を行う機械的要素が結合さ
れ、これによるダイヤフラムの伸縮によってポンプの機
能を果たすものであるが、ここに示す揚水装置はこの機
械的要素に代えて作動液の気化、凝縮により伸縮を行わ
せる点を新規な特徴とする。即ち、ダイヤフラムのもう
一方の側は、常温で適度な蒸気圧を有する作動液たる物
質の蒸気と液相を密封して、これと向かい合う構成にす
る。ダイヤフラムには蒸気空間10の作動液の蒸気圧と底
にたまった作動液本溜79の液圧がかかり、従って、これ
にダイヤフラム自身の弾性力が加わって、反対側の圧縮
室における水圧と拮抗する力学的構成になる。蒸気空間
10には原則として空気等作動液以外の気体は混入してい
ない。上部には細いサイホン管75を伴った作動液溜74が
設けられ、上端の塔頂部73はその外側が湿潤帯72で覆わ
れ一種の冷却塔となっている。湿潤帯は外気との接触面
積を大きくするために布等の繊維やスポンジなどから形
成され、繊維束91を介して水溜3あるいは外部静止水よ
り供給された水を蒸発させて塔頂部の温度を下げる働き
をする。蒸気空間の底にある作動液本溜79から気化した
蒸気は塔頂部73で冷却、凝縮され、滴下または壁伝いに
より作動液溜74に至ってここにたまる。時間の経過にと
もなってこの作動液の気化、凝縮が繰り返され、作動液
溜内の作動液位78は次第に上昇するが、作動液溜74には
サイホン管75が取り付けられているので、そのU字形の
最高部を作動液位73が越えると、作動液溜内の作動液は
サイホン管を通して一気に下方に流出を始め、第21図に
示すように作動液位78の位置がサイホン管75の作動液溜
内の口よりも下がるまで続けられる。サイホン管による
この作用はタンク内の水の放出等に利用される周知のも
のであるが、このときの作動液本溜の液圧の増加及び落
下の水撃がダイヤフラムを通して圧縮室22に伝えられ、
その中の水を揚水管側に押し出すことによって、ポンプ
としての機能を達するものである。第21図の状態から時
間が経過すると再び第20図の状態に至り、作動液の落下
が繰り返される。作動液としては臨界点が常温より高
く、常温で適度な蒸気圧をもつ物質が利用できる。通常
はエーテルが使用されるが、水、アセトン、アルコール
等でも可能である。単一成分系とは限らない。蒸気空間
10に空気など作動液以外の気体の混入がある場合、ごく
少量であれば大きく作用に影響しないが、分圧が大きく
なると作動液の気化、凝縮の炭やかな循環を妨げる。製
作技術上のやむを得ない場合以外は可能な限り混入は避
ける。 [VI] 形態(iv)に係るもの及びその他 (iv)の形態に属するものは、装置自身が水面を供す
る構成を取るので、装置として完結独立している。音の
発生の為に作動する水あるいは他の液体の状態に基づい
て解放系と閉鎖系に分けることができる。 (a)<解放系> (i)〜(iii)の形態の装置を水面を供する花瓶、
水盤、等に取り付け一体と為したもの、あるいは着脱可
能とし着脱のための機能を花瓶、水盤等の側に施したも
のがこれに該当するので、これまでに示した例をそのま
ま花瓶、水盤、熱帯魚や金魚等の水槽、受け皿等に固着
させたものを想定すればよい。電動式揚水装置を具備し
ている場合には、配線を花瓶等の側にも及ぼすことがで
き、外部電源のためのコードの引き出しや、湿気のない
乾電池の設置場所の選定に有利である。一方、他に機能
を有する花瓶等の器具、道具と必ずしも組み合わせる必
要はないので、視覚に訴えるインテリア性も兼ねた種々
のデザインが可能である。 独自の形態を有する例として、第22図に示す水差し
(ピッチャー)を挙げる。容器上部の水差口92のある側
の内壁に突出させて、上向きに水を受けることのできる
くぼみを設け、これを水溜3となし、滴下口1を取り付
ける。滴下口から落下する水滴が、容器下部の水差し内
にくまれている水を打ち音を発生する。特に共鳴筒を設
けずとも、水差し自身の内部の空洞が共鳴筒の役割を果
たす。水差しの容器を構成する壁がそのまま水溜3と滴
下口1のための支持体となっている。水を注ぐ時に水差
しを傾けると水溜3に水が供給されるので、揚水装置も
必要としない。水を注ぐ都度しばらくの間は音が継続す
る事になる。 (b)<閉鎖系> 滴下する水及び水面を構成する水が、予め装置の中に
密封され、他からの供給及び他への排出を必要としない
形態である。この場合には、音を発する為に循環する液
体は必ずしも水である必要はなく、適度な粘度、容器へ
のぬれ性を持つものであれば他の液体でもよい。 第23図に断面を示す器具は、形状が円筒等の柱体であ
る。中空である容器の内部には常温で適度な蒸気圧をも
う物質が作動液として封じ込まれており、前述の揚水装
置の項で述べた乾湿温度差による液体の気化、凝縮を利
用して器具を作用させる。用いる作動液も前述のものと
同様である。柱体の容器の外面上部はくぼんでいて、こ
こに水を含ませることができる湿潤帯72となっている。
72は単なる水たまりではなく、繊維束、スポンジ等をお
いてこれらに水を含ませる形にし、外気と水との接触界
面を極力多くする。容器上部の温度は下部のそれより低
くなるので、容器下部の作動液本溜79の作動液は気化し
て蒸気空間10中に飛散し容器の上底あるいはそこから伸
びているフィンに接触して液化し、一端容器上部に設け
られている水溜3に相当する作動液溜にたまり、その後
その底に設けられている滴下口1より液滴を形成して落
下し、下方の作動液面84を打って音を発生させる。容器
の構造自身が乾湿温度差を利用した揚水装置の役割を果
たし、内部の空洞により共鳴筒として機能する。発生し
た音は容器の材質を透過して外部に伝わるので、容器の
材質には音の吸収の少ないものを用いる。 第24図には第23図に示す構成を構造的に更に簡素化し
た例を示す。同様に内部に空洞を持つ柱体容器の内部に
は適量の作動液が封じ込められており、液相と気相に分
離してそれぞれ蒸気空間10、作動液本溜79を形成してい
る。容器上底83は下方に向けてくぼんでおり、その外側
の面の上部に適量の水を含ませて湿潤帯72を形成するこ
とができると同時に、反対側の内側の面にはくぼみの最
下点にニードル52が取り付けられている。容器の下部と
上部の間には前述の乾湿温度差が生じるので、作動液本
溜79より気化した作動液蒸気は、湿潤帯72と接した容器
上底83の内側で凝縮し、表面伝いに集積してニードル52
に至り、液滴を形成して作動液面84に向けて落下し音を
発生する。通常のものと形態は異なるが、容器上底83の
内側の壁面が、作動液のぬれ性により容量の極めて小さ
な水溜の役割を果たしている。この壁面のくぼみの様態
が適切であり、その先端付近で水滴を形成することがで
きれば、特にニードル52を設けずとも滴下口とすること
ができる。この場合には、該壁面が水溜に加えて滴下口
の機能も果たすことになる。容器の径が大きければ、ニ
ードルやくぼみは複数あってもよい。共鳴筒、揚水装置
の効果については第23図の場合と同様である。効果の目
的を別にすれば、構造的にはヒートパイプの一形態であ
る熱サイホンと同じ構成であるが、重力による作動液の
還流の経路が特別な方式で限定されている場合と見なす
ことができる。 第23図及び第24図に示す例は、器具の一部を浸潤させ
るだけで、何処でも本発明が目的とする効果である音を
発生させる事が可能であるので極めて機能的である。更
に、音響的効果を期待するだけでなく、作動液の循環の
速さは乾湿温度差によるが、これらは室内の温度および
湿度に関係するので、一定時間内の音の発生の多少を湿
度や不快指数の間接的な目安とする利用法もある。温度
差は必ずしも乾湿効果のみによる必要はなく、容器上方
が下方に対して低温でさえあれば発音の効果が得られる
ので、容器下方にヒーターを取り付ける、手で緩める等
の方法でも音を発生させることができる。第23図及び第
24図には中空の柱体の例を示したが、内部が中空で滴下
口より作動液面に至る鉛直な液滴の落下経路を確保でき
る構造であれば他の形状でもよい。 直接発生する音の大きさが十分でないばあいには、音
響板、共鳴箱の上や共鳴筒の中に置く等によって更に強
める事もできる。本発明に係る他の形態の装置と同様、
花瓶や水盤の中に据えてもよい。第25図には、第24図に
示す器具を水盤内に円筒形の共鳴筒と共に置いた場合を
例示する。該器具と共鳴筒にはそれぞれ支持脚94、共鳴
筒支持脚93を付け、水面から離して共鳴筒内に気流を発
生させ、器具の上底の湿潤帯72からの蒸発を促進して乾
湿温度差の増大を計っている。一方、途中を毛細管束被
覆管77によって被覆した繊維束等の毛細管束91を用意し
て、一端を水盤の水中に浸しもう一端を器具の上底の湿
潤帯72まで届かせる。これにより湿潤帯は水盤からの水
の供給を受けて常時湿潤状態を保つ事ができ、長時間の
音の発生が可能になる。 第26図、第27図には閉鎖形に属する別の実施例を示
す。第23図及び第24図の例と同じく中空の中形容器に適
量の作動液が密封されており、蒸気空間10と作動液本溜
79に分かれている。第26図では容器の中程が仕切隔壁68
により仕切られて二分されており、仕切隔壁には貫通し
たくさび87がある。このくさび両端が十に尖鋭であるニ
ードル52を形成し、ニードルは該壁の両側に向けて突き
出ている。作動液はニードルと仕切隔壁68のすき間から
壁の反対側にわずかながら流通することができ、器具が
図のように置かれている状態では、下方のニードルの先
端で水滴を形成し作動液面84に向けて落下し音を発す
る。容器の仕切隔壁68より上の部分が水溜の役割を果た
している構成になっている。十分な時間の経過後には、
仕切隔壁より上側にあった作動液は総てニードルを通し
て落下し容器下方にたまる。この時に容器全体を逆さま
に置き換えると、今度はそれまで仕切隔壁の下側であり
作動液をためていた部分が上側になって水溜の立場にな
り、先程と同様に作動液が仕切隔壁の反対側に移行して
音の発生を継続させる。砂時計の砂を水に代えたような
構成である。従って、砂時計同様短い時間の簡単な計測
にも用いる事ができるが、砂時計が視覚によるのに対し
て、音の継続の有無によって時間の経過を知ることにな
る。容器側面の材質を透明なものにすれば視覚による識
別も併用することができるが、滴下による音の発生の存
在することが本発明に係る装置の条件であるので、単に
砂時計の砂の代わりに水を入れただけのようなものは本
発明に関与しない。他方容器内には空気等作動液以外の
物質が混入してはならない。もし空気が蒸発空間10に存
在しているとすると、作動液の滴下のための仕切隔壁68
の反対側への移行に伴い、その移行した体積に対応する
圧力変化が仕切隔壁の両側で生じ、これは両側での気体
の圧力の差として現れ作動液の滴下を妨げる方向に働
き、ついには滴下を停止させる恐れがあるからである。
空気の混入がないと、蒸気空間10の気圧は作動液の蒸気
圧によるので、容器の上部と下部との間で特に大きな温
度変化がないかぎり一定に保たれ、液滴の落下を妨げる
ことはない。 第27図にその構造を示す器具は、第26図の器具の小形
化を図ったもので、基本的作用はほぼ同じである。仕切
隔壁68が容器の両端に近い位置に2箇所設けられてお
り、それぞれに第26図の場合と同様の貫通したニードル
52が設けられている。器具を図のように位置させると
き、上側の仕切隔壁より上の作動液小室95が水溜の役割
を果たし、仕切隔壁をニードルのすき間から通過した作
動液は下を向いているニードル52の先端で液滴となり、
下方に落下して作動液面84を打ち音を発する。上側の作
動液小室95よりすべての作動液が落下した後に器具を置
き換え上下を逆にすると、第26図の場合と同様作用が繰
り返される。上側の作動液小室より作動液が滴下してい
る間に下側の作動液小室に作動液がやはりニードルと仕
切隔壁の間のすき間を伝って入る。2本のニードルは、
容器の中央を向いている方の端だけが液滴を形成する滴
下口としての機能を必要とし、反対側の端は液滴形成の
ための特別な形状を持つ必要はない。容器の端の壁に接
触してしまってもよい。両端の作動液小室の容積は等し
く、容器内に密封される作動液の量は作動液小室の容積
より十分多くなければならない。第26図の構造と比較し
て、同じ落下距離に対して容器の長さを小さくすること
ができる。 第28図は、(iv)の形態に係る例ではないが、最も簡
単に成型加工できる本発明に係る器具の一例を挙げるも
のである。材質は竹の茎である。間に節を含む一部分を
切り取り、これを立てて使用する。節に穿孔して滴下口
を形成し、節より上の部分を水溜とし、節より下の部分
を支持体及び共鳴筒として、類型(ii)に係る装置を構
成するものである。主な加工は、竹の茎を切断すること
と、節に滴下口を形成するだけであるから、極めて製作
が容易である。滴下口の形成は、穿孔が適切であればそ
れだけで機能させる事も可能であるが、図のように穴に
若干のすき間を残してくさび87を貫かせ、ニードル状の
滴下口とすることもできる。水に立てたとき、節より下
の共鳴筒内部の空洞に空気が閉じ込められると、浮力が
働き不安定になったり、滴下口よりの水の滴下が妨げら
れる恐れがあるので、節に近い共鳴筒の上部の適当な位
置に通気口86を設けるか、あるいは第29図の見取り図に
示すように竹の筒の下端を一部切り込んで水面より高い
足96を設けるかして、共鳴筒の内部と外気を連通させ
る。該通気口及び該竹筒足の大きさ、形状は支持体とし
ての機能を損なわない限り特に限定しない。この器具
は、製作が容易であることに加えて、外見はただの竹の
筒であるから、水盤等に使用し器具が外部より見えるこ
とがあっても趣をそぐことがない。 この竹筒の下端を開放せずにもうひとつの節を残し、
この節と滴下口を設けてある節との間の空洞に水をため
る構成にすると、(iv)の形態に係る器具として使用で
きるが、第30図にこれを更に進めて器具からの水の排除
を必要とせず長時間の作用の継続を可能にする形態を示
す。先に第26図で示した砂時計式の構成を開放系で形成
するものである。竹筒は3個の節を残して切断され、真
ん中の節を介して両側に節と節との間の節間空洞97が位
置する構成となる。真ん中の節は第26図における仕切隔
壁68に相当し、穿孔されて滴下口が設けられる。両側の
節間空洞は竹筒を立てたとき上側に位置する方が水溜と
なり、下側に位置する方が滴下した水をため水滴によっ
て打たれる水面を供する。滴下口は、両端が尖鋭である
くさび87を貫通させる等して、節の両側に向けて滴下口
として機能するようにする。節間空洞97の各にはほぼ中
程に通気口86を設けるが、これら2個の通気口は竹筒の
側面の同じ側に形成されなければならない。通気口は空
洞内と外気を連通させ滴下に対する空気圧の障害を除去
するが、更にここから器具に水を供給したり、製作時に
真ん中の節に滴下口を設けるための工作の便をとること
ができる。一つの節間空洞の容積の半分以下の量の水を
器具に入れる。作用は第26図に示した例と同様、水溜に
相当する側の節間空洞から水が尽きたときに、器具全体
を置き換えて上下を入れ換えれば発音の作用を継続させ
る事ができる。置き換えるときに2つの通気口86が上に
なるように操作すると節間空洞内の水が外にこぼれな
い。第28図の例の場合と同様通気口86の大きさ、形状は
問わない。多少大きめの穴にし、草花の枝茎等を差し込
めるようにすると趣があってよい。更に多くの節を残し
て竹を取り取り、上述の構成を繰り返して多段式とした
り、真ん中と両端の節以外は貫通させて節間空洞を大き
く取り、水滴の落下距離や水溜の容量の増加を計っても
よい。他方、第28図〜第30図の例は竹材での製作を想定
して述べてきたが、他の材質での製作も可能である。 [発明の効果] 本発明に係る装置及び器具は、人間にとって快適と思
われる音を発生させることにより、一種のインテリアと
して機能し、環境に潤いや趣を与え、生活に豊かさを添
えることに寄与する。
とんどであるが、本発明は音のインテリアを供するもの
である。この種の器具としては伝統的に夏の風物詩であ
る風鈴が知られている。これは自然の風により小鐘の音
を生ざしめ趣と風情を与えるものであるが、本発明は風
と並んで自然の情緒を表すと思われる水に着目し、滴下
する滴による水音の発生をもって室内に趣や風情を添え
ることを目的とする。 [発明の構成] 本発明に係る装置あるいは器具の基本的な形態は、水
面に水滴を継続的に滴下することのできる滴下口、これ
に水を供給する水溜、これらを水面より上方に位置させ
るための支持体よりなる。滴下口は連続した水流でなな
く、水滴を一滴ずつ分離して滴下させることのできるも
のでなければならない。 この器具の作用は、これ自身の内に水面を用意する
か、またはこれを通常室内において常時水面を提供でき
るところの花瓶、水盤、水差し等の中あるいは近傍に据
え置き、これらの水面に水滴を継続的に滴下させること
によって水音を発生させ、この水音のもつ風情を室内に
与えるものである。水面の状態は特に限定しない。底の
浅い場合、深い場合、広い場合、くぼみにわずかに水が
たまっている場合等種々有りうるが、落下する水滴によ
って撃たれるのに十分な面積を供給でき程度の広さがあ
ればよい。 本発明は以下の4形態に分類される。 (i) 基本的形態 上述の3部位よりなる基本的な形態で、器具自身は水
滴を滴下させる水面を提供することはなく、花瓶、水
盤、水槽等の水面を保有する器物と併用して使用される
ものである。器具はこれらの水面(以下本明細書では外
部水面と称する)に水滴を滴下させることが可能な状態
に置かれるために必要な制限を、形状や大きさに受ける
が、併用される器物が特定されることはないので、一般
的な制約はない。 (ii) (i)の器具に共鳴筒を設けたもの。 水音を増大させ独特の響きを与えるために滴下点近傍
に共鳴筒を設けたものである。該共鳴筒の形態、大き
さ、形状、材質等は問わない。 (iii) (i)の器具に揚水装置を設けたもの。 水面から水溜への揚水装置を設けたものである。揚水
装置は手動式でも電動式でもあるいはこれら以外のもの
でもよく、揚水の方式は問わない。また揚水は断続的に
行うものでも連続的に行うものでもよい。後者の場合水
溜の存在は必ずしも必要としない。 (iv) (i)の構成に水面を供する機能を有するもの
を取り付け一体となしたもの。 花瓶、水盤、水差し等に(i)の装置を構成するため
の機能を具備させ、全体として一つの装置、器具または
道具としてまとめあげたもの。あるいは他の機能を持た
ずに単に水音の発生だけを目的として(i)の器具に水
面を供する水槽等を具備したものである。この形態には
開放系と閉鎖系があり、後者は一定量の水を装置内に密
封して滴下、水面形成、揚水等の循環を行わせ、外部か
らの水の供給、外部への水の排出を必要としない型式の
ものであるが、この場合には循環し発音する作動液たる
液体は水に限定される必要はなく、水の場合の諸構成の
要件、形態等が、水をこの作動液で置き換えた形で適用
される。 以上の(i)〜(IV)の内2以上の性質を兼備する場
合もある。以下本明細書ではこれらの方式を各項目の冒
頭の記号(i)、(ii)、(iii)、(IV)を以て引用
する。 [発明の実施例] 次に本発明に係る器具あるいは装置についてさらに具
体的に詳述する。 本発明に係る装置のうち最も標準的と思われる構成を
第1図、及び第2図に示す。共鳴筒と揚水装置を具備し
た前述の(ii)および(iii)に係る形態の装置で、第
1図では装置の外観を示す見取り図が、第2図ではこれ
が水を保有した花瓶の中に置かれているときの縦断面図
が示されている。 図中、支持体2は支持柱16及び台座12よりなり、支持
柱16には、底部に滴下口1を持つ水溜3が取り付けら
れ、さらに上下が解放している円筒パイプ状の共鳴筒4
が共鳴筒支持腕14を介して固定されている。支持体2の
下部は台座12を構成し全体を安定に立脚せしめている。
支持体としては、このような容器の底に立脚させて下か
ら支える形態の他に、例えば、花瓶の外に台座や支持柱
を置く設計、花瓶の口に取り付ける機能を設けそこから
懸垂させて水溜等を支持する方法もある。しかし、花瓶
等の容器と併用する場合には、外部から装置が見えない
ほうが、美観的にも好ましい場合が多いので、装置全体
が容器内に入ってしまう構成の方が実用性が高いと思わ
れる。 支持柱16の内部は手動式ポンプを構成している。第2
図に例示するその構造は周知のもので、給水口11、ポン
プ柄棒13、揚水管21と連動したピストン25と、2つの逆
止弁23、24に挟まれた圧縮室22よりなる。ポンプ柄棒を
押し下げることにより、ピストン25が圧縮室中の水を圧
縮し、水は逆止弁23を通過して揚水管21に至り、そのま
ま押し下げられて給水口11より水溜3に供給される。そ
の後ピストンはバネ26により引き戻されて上昇し、減圧
された圧縮室内には逆止弁24を通して外部静止水29たる
花瓶内の水が供給され、さらにポンプ柄棒13を押し下げ
ると同じ作用が繰り返される。図中、逆止弁23,24はボ
ール弁で図示されているが、23は圧縮室より外側に至る
水の流れを、24は圧縮室に至る水の流れを許す方向に機
能するように構成されている。バネ26の設置は圧縮室側
でもよい。このときにはポンプ柄棒を押し下げるときに
バネが縮められ、バネの延びる力によってピストンが押
し上げられる。当然のことながら、支持体2とは別にポ
ンプを設置してもよい。 水溜3に供給された水は滴下口1より、一滴づつ共鳴
筒4の中を通過して外部水面27たる花瓶内の水の水面を
打ち音を発生する。音は共鳴筒によってその大きさを増
幅され周囲に伝わる。共鳴筒が無くても、花瓶の空洞が
この共鳴機能を呈することもあるが、共鳴筒はこの落下
音の増幅以外にも、その内側を落下する水滴の経路とす
ることによって、花瓶に花をいけたときにその茎や枝葉
によって水滴の水面への落下が妨げられないようにする
機能を合わせ持つ。 通常一滴の水滴の体積は0.1〜0.5cm3であるが、一例
として、水溜の容積を100cm3、0.2cm3の水滴が約10秒に
一滴の割合で落下するすると、一度水溜を満水にしてお
くとその後水の供給なしに約1時間半音の発生が継続す
る事になる。連続的に機能する揚水装置を設ける場合に
は、平均した高々70cm3/時間の揚水能力を持てば、装置
の発音の作用を継続させることができる。水滴の体積や
落下の時間間隔は滴下口の構造に大きく依存するが、発
明の構成上の制限はない。しかしながら音の発生は静止
水面に水滴が落下する方が効果的であるので、落下の時
間間隔が短かすぎ、一度水滴によって打たれた水面が静
まるのを待たずに次の水滴が落下するような事になる
と、趣のある音が得られない。少なくとも2〜3秒の間
隔が必要である。また当然のことながら落下距離が長い
ほど発生する音は大きいが、これに関しても発明の構成
上の制限はない。。 揚水装置を持たずとも、別の容器で上から水を注ぎ入
れる等して水溜に水を供給することが可能である。しか
し、他から水を加えると花瓶内の水位が次第に上昇し、
ついには本発明に係る装置が水中に没して機能しなくな
る。花瓶に排水のための機能を設けてもよいが、構成が
複雑になるので、長時間継続して装置を機能させるには
花瓶内の水を汲み上げて水溜に注ぐ必要がある。この
時、装置をその内に置いている容器が、水盤のようなも
のであれば容易にひしゃく等の器具によって水を水を汲
み上げる事ができるが、第2図に示す花瓶のような口の
細く深い容器の場合にはこれが面倒である。揚水装置の
設けられている(iii)の類型の装置ではこの点の便宜
がある。 次に装置の各部分、類型を個別的に取り上げ更に詳述
する。 [I] 滴下口 第3図〜第5図に滴下口の実施例を示す。本発明に係
る装置の滴下口たるには、水滴を一滴一滴形成してこれ
を落下させる機能がなくてはならない。これには、滴下
口の大きさを十分小さくし、かつ水の流量を限定すれ
ば、液体には一般に表面張力によって表面積を最小にし
ようとする作用があるので、自ずと水滴が形成される。
第3図は水溜3の底に小穴を空けただけの最も簡単な例
である。小穴の径が小さければ十分に機能する。形成さ
れた水滴が水溜の外壁表面を伝って横に移動し、小穴で
はなく外壁表面の別の位置が滴下口となるおそれがある
ので、共鳴筒を設けた場合などで、水滴の落下位置を特
定する必要のある場合には、少し下方に突き出すように
して小穴を設ける方がよい。第4図では水溜から横に伸
びる導水管41を設けその先端が細い管状あるいはノズル
状の滴下口となっている。第5図ではネジ51が水溜の底
を貫いており、ネジの先端がニードル52になっている。
水はねじ山の間をしみでてネジを伝ってニードルの先端
に達しそこで水滴を形成し落下する。図中、繊維束、ス
ポンジ、マット等の多孔質物質53がネジ51によって締め
付けられている構成になっている。ニードルに至る水は
この多孔質物質53の空げきや毛細管の中を通過するの
で、53は流量を抑制する働きをするが、ネジ51の締め付
け具合によって多孔質物質中の空げき、毛細管の大きさ
が変わるので、流量を制御し水滴落下の時間間隔を調整
することも可能である。多孔質物質による流量の抑制、
制御は、第3図、第4図に示す小穴や細径管の場合にも
利用できる。他方一つの装置に滴下口を2以上設けても
よい。 [II] 共鳴筒 第6図〜第10図に幾つかの共鳴筒の類型をその断面を
以て示す。図中点線61は水滴の落下経路である。共鳴筒
は水滴の打撃による音のうちその固有の振動数に一致す
るモードを共鳴、増幅する機能を有するものであるが、
もっとも基本的な形状は、第1図及び第2図に例示した
ような、両端が解放されている中空円筒である。第2図
及び第6図のごとく、一方を水中に没して設置する事も
できるが、第7図のごとく両端とも水面から離してもよ
い。形状、大きさ、材質によって共鳴する振動数は異な
る。最も単純な第2図、第6図の場合を例にとると、こ
れは一方が閉端である気柱による共鳴と見なすことがで
き、周知のごとく共鳴の基本振動の4分の1波長が円筒
の水面より上に出た部分の長さにほぼ等しい。通常人間
の耳に感じ取ることのできる周波数は20〜20000ヘルツ
であるが、これらに対応する共鳴気柱の長さは、音速を
340m/秒として、おおよそ0.4cm〜4mである。これは、こ
の範囲にある長さの円筒を用意すると共鳴筒として機能
することを意味するが、本発明に係る装置は、室内での
使用を想定しているので、通常の設計の範囲でこれを越
えることは考えられず、従って共鳴筒の大きさに事実上
制限はないといえる。ただ、水滴が共鳴筒の内部を落下
経路とする場合には、水滴が途中で共鳴筒の内壁に触れ
てしまうと打撃効果が減少、あるいは消失するので、こ
の点についての大きさ、形状等に対する制約はある。第
8図はビール瓶の底を切断して逆さに伏せたような形状
である。第9図は2本の中空円筒を違いに垂直に貫通さ
せた立体を示す。第10図では水滴が共鳴筒の中を落下経
路として通らない場合である。この場合でも共鳴作用は
存在する。一方、以上は円筒で柱形の軸に垂直な断面が
円形である場合を基本としてきたが、共鳴音の周囲への
伝達に多少異方性が生じることをいとわなければ、断面
の形状は四角でも三角でもよい。更に、共鳴は主として
気柱の振動によるので、第6図〜第10図が示すものは厳
密には気柱の形状であり、図示してあるように、共鳴筒
がパイプ状であったり、壁の厚さが均一である必要はな
い。塊の中に円筒の穴が空いているようなものでもよ
い。共鳴筒の材質は、原則として固体でさえあれば何で
もよく、金属、陶磁器、ガラス、プラスチック、木材を
問わないが、硬質で音を良く反射し吸収しないものが望
ましい。例えば、金属では真鍮が内部での音の減衰が少
ない材質として知られている。竹筒を用いたりするのも
趣があってよい。他方、常時水にさらされているので、
適度な耐食性を持つことも要求される。腐食の恐れがあ
る材質でも、表面をコーティングする等して用いる事が
できる。第2図では共鳴筒を共鳴筒支持腕14で支持体2
に固定しているが、これをネジ止め式等にして着脱可能
にし、数種の共鳴筒を情況に応じて交換可能にすること
もできる。更には、固定のための機能を特に設けなくと
も、円筒タイプの共鳴筒等では、下が平らであれば水滴
の落下点の位置に据え置くだけで機能させることができ
る。 第11図〜第14図も共鳴筒に関係する形態の例であり、
第6図〜第10図と同様に共鳴筒の断面を示し、図中点線
は水滴の落下経路であるが、水滴が打つ水面の水位を保
つための構成に関する諸類型を示すものである。第11図
では共鳴筒の中空円筒の一端が閉じられているが、閉じ
た面に通水口62が空いている。この結果円筒内の水面で
ある内水面63と外部水面27が同じ水位になるが、第6図
〜第9図の類型もこれと同じである。もし通水口62がな
いと、水滴の滴下が継続するに従って内水面63が次第に
上昇し、共鳴音は一定せず次第に高くなるがついには円
筒内があふれて共鳴筒として機能しなくなる。通水口62
によって内水面63は外部水面27と連通し、水面の上昇は
両者共に生じ、内水面63のみの場合よりもはるかに緩慢
になる。外部水面27は装置が置かれている花瓶、水盤の
水面を示すが、これらの容器の大きさが十分であれば水
面の上昇は無視できる程度である。該容器が小さい場合
には、容器より水を排除する法を講じなければ長時間の
装置の作用に影響を及ぼす。第12図では共鳴円筒の両端
は解放されているが、下方の端は受け器71内の水面に没
している。受け器71は水で満たされており、滴下した水
滴に相当する水量はあふれて下方の外部水面27に落下
し、内水面62は外部水面27が共鳴筒に達するまで一定に
保たれる。装置が揚水装置を具備しない場合でも、共鳴
筒がこの類型の設置をとる時には、水溜に外部から水を
注ぎ入れる事によって給水を続けても、装置の作用の継
続を比較的長時間維持する事が可能である。第13図及び
第14図の構成も第12図の場合と趣旨を同じくするもので
ある。第13図では小管81によって、第14図では毛細管束
91によって、共鳴筒内の水面63を一定に保つ機能を果た
させている。共鳴筒の側面の適当な位置に横穴を空けて
もよい。水滴の落下によって増量した水量は小管81ある
いは毛細管束91を通して外部水面27に落下するが、これ
らの最下端に更に別の滴下口を構成して、装置の発音機
能を2段にすることもできる。 [III] 揚水装置 (a)<手動式揚水装置> 第2図に示した構造が最も一般的なものと思われる。
近年は日用品、化粧品などに、容器からの液体状内容物
の押しだしや噴霧装置として、小形で簡便、廉価な種々
の手動ポンプが出回っており、本装置に利用できるもの
も多い。エアーポット等に用いられている空気圧を利用
したものを使用することもできる。 (b)<電気式揚水装置> 第15図の断面図は、小形モーターを用いた周知の簡易
ポンプの構造を示すものである。該ポンプが支持体2の
中に組み込まれている構成になっている。モーター54に
結合した回転軸58が太目の揚水管21の中を下方に伸び、
その先端に水羽根56が取り付けられている。モーターの
回転によって、揚水管21よりも小さい径を有する吸込口
57を通して揚水管21の中に入った水は、そのまま押しあ
げられ給水口11より水溜3に供給される。水溜3に水面
センサー58を設け一定以下の水位まで下がるとスイッチ
が入り一定時間ポンプが作動するようにすれば、自動的
に長時間装置を機能させることができる。水面センサー
としては浮子(float)を用いるものや電極を設定する
方法が知られている。水溜3の容量に応じて適当な時間
間隔を定め、タイマーと連動してポンプを断続的に作動
させても自動化を計ることができる。供給時に水溜より
水があふれても一時の雑音となる以外に装置の機能には
影響がないので、細かい制御は必要とせず周知の初歩的
な回路構成で事が足りる。周知の電動式ポンプの種類は
他にも種々あり、モーターに関しても回転式のもののみ
でなくレシプロ式を使用したポンプもある。電源とし
て、図中装置に乾電池55が組み込まれているが、家庭用
の100V電源よりアダプター等を介して電力の供給をうけ
てもよい。 モーターを用いずに電熱によって揚水を計る方式とし
ては、例えば蒸気圧と逆止弁を組み合わせたコーヒーメ
ーカーの熱湯供給装置が周知である。本装置の揚水量も
少なくてよいので、温度上昇が問題とならない場合には
これを利用できる。しかしながら、草花の生けられた花
瓶や水盤に本装置を置いて機能させる場合には、熱湯が
草花にかかると好ましくない。 第16図〜第19図に大きな温度上昇を伴わない方式の一
例を示す。図のように、シーズヒーター64を具備した空
圧室65は揚水管11を通してのみ外気と連通しており、下
部は圧縮室22となり下方に位置する給水細口66より外部
より水の供給を受ける。給水細口66は水の流通をわずか
に許す細い口径を有する通水口であるが、圧縮室22から
外部に向かう方向を順方向とし、逆方向にもわずかに流
通を許す逆止弁とすると効果がより明瞭となる。以下作
用を説明する。シーズヒーターに通電せず十分な時間放
置した状態では、給水細口66を経て圧縮室内に入り込ん
だ水は、更に揚水管21に至り、第16図のごとく連通管の
原理に従って揚水管内の水位は外部水位と等しくなる
が、一部の空気は空圧室内に閉じ込められる。この状態
でシーズヒーターに通電を開始すると、空圧室内の空気
と同時に圧縮室内の水面に近い部分の水が加熱を受け、
熱膨張と蒸気圧の効果で空圧室内の気体の体積が増大し
始める。第17図のごとく、圧縮室内の水位が揚水管内口
67より下がると、揚水管21には空圧室にあった気体が入
り始める。この気体により揚水管内の水は押しあげら
れ、ついには第18図に示すように給水口11に達しここか
ら水溜に向けて放出されるが、総ての水が揚水管内から
放出されると、第19図に示すように空圧室65は外気と連
通し空圧室内の圧力は減少する。このとき圧縮室内の水
位は第16図〜第18図における位置よりも下位にあるが、
空圧室内の圧力の減少により以後徐々に上昇する。前述
のように吸水細口66の水の流通は制限されているので、
圧縮室内の水位が揚水管内口67更には第16図の位置に達
するにはある程度の時間を要する。この間空圧室65は外
気と通じているので、シーズヒーター64の通電を切れば
空圧室内の温度は冷却されて元に戻り、外気が空圧室内
に流入して気体も第16図の状態に戻る。以下シーズヒー
タの通電を断続的に行いこれを繰り返す。第15図に示す
装置の場合と同様、圧縮室内に水面センサーを設ける
か、タイマーを適当な時間間隔を以て連動する等すれ
ば、給水を自動化することができる。シーズヒーターの
温度に関しては、例えば、常温25℃に対して40℃まで温
度上昇させるとすると、40℃の水蒸気圧55.34mmHgを加
えて空圧室内の圧力は少なくとも約850mmHg程度にはな
り、常圧760mmHgとの差90mmHgは水柱にして約1.2mであ
るので、原理的にこれだけの高さまで揚水できることに
なる。 空圧室65に、外気に通ずる電磁式かまたはバイメタル
等と連動した開閉弁を設け、シーズヒーターが加熱され
るときには閉じ、冷却されるときには開く構成にすると
作用がより確実になる。 第15図〜第19図には乾電池を設けてあるが、電池の交
換を避けるために太陽電池を利用することも可能であ
る。近年太陽電池の性能も徐々に向上し、受光面積1cm2
当たり10mW程度の出力が可能になっている。本装置に必
要とされる揚水能力は、前述の例の場合、揚水高度を20
cmとすると、約0.04mWとなり、変換効率の点を割り引い
ても十分適用可能である。 (c)<乾湿温度差式揚水装置> 湿潤している場所は水の蒸発による気化熱のために他
の場所よりも温度が低くなっている。乾湿球湿度計はこ
の現象を利用したものであるが、通常の室内の状態で2
〜5度程度の温度差を作ることができる。水量が少量で
あれは、これを利用して熱エネルギーを取り出し揚水を
行うことができ、電気式の場合の乾電池の交換等の手数
が不要になる。従来この種のエネルギーを利用したもの
には、おもちゃの「水飲み鳥(平和鳥)」がよく知られ
ている。第20図及び第21図に、「水飲み鳥」と同様に、
乾湿温度差による液体の気化、凝結を利用した新規の小
規模揚水装置の構造を示す。 揚水装置の構造は周知のダイヤフラム式ポンプの構成
の一部を変更したものになっている。すなわち第20図に
示す該揚水装置では、2つの逆止弁23,24ではさまれた
圧縮室22にダイヤフラム76の一方が面しており、該ダイ
ヤフラムの伸縮によって圧縮室内の水が圧縮、減圧を受
け、これを繰り返すことによって、逆止弁24を通して外
部より供給された水が逆止弁23を経て揚水管21に押し出
され、更に押しあげられて給水口11に至り水溜に向けて
放出されるものである。圧縮室内の水流は2個の弁によ
り一方向化されており、逆止弁23は圧縮室から揚水管に
向かう方向を、逆止弁24は外部から圧縮室に向かう方向
を、それぞれ順方向とするものである。原則として圧縮
室内の水を圧縮、減圧可能な機構であれば、たとえば往
復運動を行うピストンのようなものを取り付けても揚水
は可能であるが、一般にダイヤフラム式ポンプに用いら
れるダイヤフラムは非金属製のフレキシブルな材質であ
り、この結果高い気密性が保たれ液の遺漏を完全に抑え
ており、これがこの方式のポンプの大きな特徴となって
いる。ここに示す揚水装置にもこの特徴を生かすわけで
ある。通常のダイヤフラム式ポンプでは、ダイヤフラム
のもう一方の側には往復運動を行う機械的要素が結合さ
れ、これによるダイヤフラムの伸縮によってポンプの機
能を果たすものであるが、ここに示す揚水装置はこの機
械的要素に代えて作動液の気化、凝縮により伸縮を行わ
せる点を新規な特徴とする。即ち、ダイヤフラムのもう
一方の側は、常温で適度な蒸気圧を有する作動液たる物
質の蒸気と液相を密封して、これと向かい合う構成にす
る。ダイヤフラムには蒸気空間10の作動液の蒸気圧と底
にたまった作動液本溜79の液圧がかかり、従って、これ
にダイヤフラム自身の弾性力が加わって、反対側の圧縮
室における水圧と拮抗する力学的構成になる。蒸気空間
10には原則として空気等作動液以外の気体は混入してい
ない。上部には細いサイホン管75を伴った作動液溜74が
設けられ、上端の塔頂部73はその外側が湿潤帯72で覆わ
れ一種の冷却塔となっている。湿潤帯は外気との接触面
積を大きくするために布等の繊維やスポンジなどから形
成され、繊維束91を介して水溜3あるいは外部静止水よ
り供給された水を蒸発させて塔頂部の温度を下げる働き
をする。蒸気空間の底にある作動液本溜79から気化した
蒸気は塔頂部73で冷却、凝縮され、滴下または壁伝いに
より作動液溜74に至ってここにたまる。時間の経過にと
もなってこの作動液の気化、凝縮が繰り返され、作動液
溜内の作動液位78は次第に上昇するが、作動液溜74には
サイホン管75が取り付けられているので、そのU字形の
最高部を作動液位73が越えると、作動液溜内の作動液は
サイホン管を通して一気に下方に流出を始め、第21図に
示すように作動液位78の位置がサイホン管75の作動液溜
内の口よりも下がるまで続けられる。サイホン管による
この作用はタンク内の水の放出等に利用される周知のも
のであるが、このときの作動液本溜の液圧の増加及び落
下の水撃がダイヤフラムを通して圧縮室22に伝えられ、
その中の水を揚水管側に押し出すことによって、ポンプ
としての機能を達するものである。第21図の状態から時
間が経過すると再び第20図の状態に至り、作動液の落下
が繰り返される。作動液としては臨界点が常温より高
く、常温で適度な蒸気圧をもつ物質が利用できる。通常
はエーテルが使用されるが、水、アセトン、アルコール
等でも可能である。単一成分系とは限らない。蒸気空間
10に空気など作動液以外の気体の混入がある場合、ごく
少量であれば大きく作用に影響しないが、分圧が大きく
なると作動液の気化、凝縮の炭やかな循環を妨げる。製
作技術上のやむを得ない場合以外は可能な限り混入は避
ける。 [VI] 形態(iv)に係るもの及びその他 (iv)の形態に属するものは、装置自身が水面を供す
る構成を取るので、装置として完結独立している。音の
発生の為に作動する水あるいは他の液体の状態に基づい
て解放系と閉鎖系に分けることができる。 (a)<解放系> (i)〜(iii)の形態の装置を水面を供する花瓶、
水盤、等に取り付け一体と為したもの、あるいは着脱可
能とし着脱のための機能を花瓶、水盤等の側に施したも
のがこれに該当するので、これまでに示した例をそのま
ま花瓶、水盤、熱帯魚や金魚等の水槽、受け皿等に固着
させたものを想定すればよい。電動式揚水装置を具備し
ている場合には、配線を花瓶等の側にも及ぼすことがで
き、外部電源のためのコードの引き出しや、湿気のない
乾電池の設置場所の選定に有利である。一方、他に機能
を有する花瓶等の器具、道具と必ずしも組み合わせる必
要はないので、視覚に訴えるインテリア性も兼ねた種々
のデザインが可能である。 独自の形態を有する例として、第22図に示す水差し
(ピッチャー)を挙げる。容器上部の水差口92のある側
の内壁に突出させて、上向きに水を受けることのできる
くぼみを設け、これを水溜3となし、滴下口1を取り付
ける。滴下口から落下する水滴が、容器下部の水差し内
にくまれている水を打ち音を発生する。特に共鳴筒を設
けずとも、水差し自身の内部の空洞が共鳴筒の役割を果
たす。水差しの容器を構成する壁がそのまま水溜3と滴
下口1のための支持体となっている。水を注ぐ時に水差
しを傾けると水溜3に水が供給されるので、揚水装置も
必要としない。水を注ぐ都度しばらくの間は音が継続す
る事になる。 (b)<閉鎖系> 滴下する水及び水面を構成する水が、予め装置の中に
密封され、他からの供給及び他への排出を必要としない
形態である。この場合には、音を発する為に循環する液
体は必ずしも水である必要はなく、適度な粘度、容器へ
のぬれ性を持つものであれば他の液体でもよい。 第23図に断面を示す器具は、形状が円筒等の柱体であ
る。中空である容器の内部には常温で適度な蒸気圧をも
う物質が作動液として封じ込まれており、前述の揚水装
置の項で述べた乾湿温度差による液体の気化、凝縮を利
用して器具を作用させる。用いる作動液も前述のものと
同様である。柱体の容器の外面上部はくぼんでいて、こ
こに水を含ませることができる湿潤帯72となっている。
72は単なる水たまりではなく、繊維束、スポンジ等をお
いてこれらに水を含ませる形にし、外気と水との接触界
面を極力多くする。容器上部の温度は下部のそれより低
くなるので、容器下部の作動液本溜79の作動液は気化し
て蒸気空間10中に飛散し容器の上底あるいはそこから伸
びているフィンに接触して液化し、一端容器上部に設け
られている水溜3に相当する作動液溜にたまり、その後
その底に設けられている滴下口1より液滴を形成して落
下し、下方の作動液面84を打って音を発生させる。容器
の構造自身が乾湿温度差を利用した揚水装置の役割を果
たし、内部の空洞により共鳴筒として機能する。発生し
た音は容器の材質を透過して外部に伝わるので、容器の
材質には音の吸収の少ないものを用いる。 第24図には第23図に示す構成を構造的に更に簡素化し
た例を示す。同様に内部に空洞を持つ柱体容器の内部に
は適量の作動液が封じ込められており、液相と気相に分
離してそれぞれ蒸気空間10、作動液本溜79を形成してい
る。容器上底83は下方に向けてくぼんでおり、その外側
の面の上部に適量の水を含ませて湿潤帯72を形成するこ
とができると同時に、反対側の内側の面にはくぼみの最
下点にニードル52が取り付けられている。容器の下部と
上部の間には前述の乾湿温度差が生じるので、作動液本
溜79より気化した作動液蒸気は、湿潤帯72と接した容器
上底83の内側で凝縮し、表面伝いに集積してニードル52
に至り、液滴を形成して作動液面84に向けて落下し音を
発生する。通常のものと形態は異なるが、容器上底83の
内側の壁面が、作動液のぬれ性により容量の極めて小さ
な水溜の役割を果たしている。この壁面のくぼみの様態
が適切であり、その先端付近で水滴を形成することがで
きれば、特にニードル52を設けずとも滴下口とすること
ができる。この場合には、該壁面が水溜に加えて滴下口
の機能も果たすことになる。容器の径が大きければ、ニ
ードルやくぼみは複数あってもよい。共鳴筒、揚水装置
の効果については第23図の場合と同様である。効果の目
的を別にすれば、構造的にはヒートパイプの一形態であ
る熱サイホンと同じ構成であるが、重力による作動液の
還流の経路が特別な方式で限定されている場合と見なす
ことができる。 第23図及び第24図に示す例は、器具の一部を浸潤させ
るだけで、何処でも本発明が目的とする効果である音を
発生させる事が可能であるので極めて機能的である。更
に、音響的効果を期待するだけでなく、作動液の循環の
速さは乾湿温度差によるが、これらは室内の温度および
湿度に関係するので、一定時間内の音の発生の多少を湿
度や不快指数の間接的な目安とする利用法もある。温度
差は必ずしも乾湿効果のみによる必要はなく、容器上方
が下方に対して低温でさえあれば発音の効果が得られる
ので、容器下方にヒーターを取り付ける、手で緩める等
の方法でも音を発生させることができる。第23図及び第
24図には中空の柱体の例を示したが、内部が中空で滴下
口より作動液面に至る鉛直な液滴の落下経路を確保でき
る構造であれば他の形状でもよい。 直接発生する音の大きさが十分でないばあいには、音
響板、共鳴箱の上や共鳴筒の中に置く等によって更に強
める事もできる。本発明に係る他の形態の装置と同様、
花瓶や水盤の中に据えてもよい。第25図には、第24図に
示す器具を水盤内に円筒形の共鳴筒と共に置いた場合を
例示する。該器具と共鳴筒にはそれぞれ支持脚94、共鳴
筒支持脚93を付け、水面から離して共鳴筒内に気流を発
生させ、器具の上底の湿潤帯72からの蒸発を促進して乾
湿温度差の増大を計っている。一方、途中を毛細管束被
覆管77によって被覆した繊維束等の毛細管束91を用意し
て、一端を水盤の水中に浸しもう一端を器具の上底の湿
潤帯72まで届かせる。これにより湿潤帯は水盤からの水
の供給を受けて常時湿潤状態を保つ事ができ、長時間の
音の発生が可能になる。 第26図、第27図には閉鎖形に属する別の実施例を示
す。第23図及び第24図の例と同じく中空の中形容器に適
量の作動液が密封されており、蒸気空間10と作動液本溜
79に分かれている。第26図では容器の中程が仕切隔壁68
により仕切られて二分されており、仕切隔壁には貫通し
たくさび87がある。このくさび両端が十に尖鋭であるニ
ードル52を形成し、ニードルは該壁の両側に向けて突き
出ている。作動液はニードルと仕切隔壁68のすき間から
壁の反対側にわずかながら流通することができ、器具が
図のように置かれている状態では、下方のニードルの先
端で水滴を形成し作動液面84に向けて落下し音を発す
る。容器の仕切隔壁68より上の部分が水溜の役割を果た
している構成になっている。十分な時間の経過後には、
仕切隔壁より上側にあった作動液は総てニードルを通し
て落下し容器下方にたまる。この時に容器全体を逆さま
に置き換えると、今度はそれまで仕切隔壁の下側であり
作動液をためていた部分が上側になって水溜の立場にな
り、先程と同様に作動液が仕切隔壁の反対側に移行して
音の発生を継続させる。砂時計の砂を水に代えたような
構成である。従って、砂時計同様短い時間の簡単な計測
にも用いる事ができるが、砂時計が視覚によるのに対し
て、音の継続の有無によって時間の経過を知ることにな
る。容器側面の材質を透明なものにすれば視覚による識
別も併用することができるが、滴下による音の発生の存
在することが本発明に係る装置の条件であるので、単に
砂時計の砂の代わりに水を入れただけのようなものは本
発明に関与しない。他方容器内には空気等作動液以外の
物質が混入してはならない。もし空気が蒸発空間10に存
在しているとすると、作動液の滴下のための仕切隔壁68
の反対側への移行に伴い、その移行した体積に対応する
圧力変化が仕切隔壁の両側で生じ、これは両側での気体
の圧力の差として現れ作動液の滴下を妨げる方向に働
き、ついには滴下を停止させる恐れがあるからである。
空気の混入がないと、蒸気空間10の気圧は作動液の蒸気
圧によるので、容器の上部と下部との間で特に大きな温
度変化がないかぎり一定に保たれ、液滴の落下を妨げる
ことはない。 第27図にその構造を示す器具は、第26図の器具の小形
化を図ったもので、基本的作用はほぼ同じである。仕切
隔壁68が容器の両端に近い位置に2箇所設けられてお
り、それぞれに第26図の場合と同様の貫通したニードル
52が設けられている。器具を図のように位置させると
き、上側の仕切隔壁より上の作動液小室95が水溜の役割
を果たし、仕切隔壁をニードルのすき間から通過した作
動液は下を向いているニードル52の先端で液滴となり、
下方に落下して作動液面84を打ち音を発する。上側の作
動液小室95よりすべての作動液が落下した後に器具を置
き換え上下を逆にすると、第26図の場合と同様作用が繰
り返される。上側の作動液小室より作動液が滴下してい
る間に下側の作動液小室に作動液がやはりニードルと仕
切隔壁の間のすき間を伝って入る。2本のニードルは、
容器の中央を向いている方の端だけが液滴を形成する滴
下口としての機能を必要とし、反対側の端は液滴形成の
ための特別な形状を持つ必要はない。容器の端の壁に接
触してしまってもよい。両端の作動液小室の容積は等し
く、容器内に密封される作動液の量は作動液小室の容積
より十分多くなければならない。第26図の構造と比較し
て、同じ落下距離に対して容器の長さを小さくすること
ができる。 第28図は、(iv)の形態に係る例ではないが、最も簡
単に成型加工できる本発明に係る器具の一例を挙げるも
のである。材質は竹の茎である。間に節を含む一部分を
切り取り、これを立てて使用する。節に穿孔して滴下口
を形成し、節より上の部分を水溜とし、節より下の部分
を支持体及び共鳴筒として、類型(ii)に係る装置を構
成するものである。主な加工は、竹の茎を切断すること
と、節に滴下口を形成するだけであるから、極めて製作
が容易である。滴下口の形成は、穿孔が適切であればそ
れだけで機能させる事も可能であるが、図のように穴に
若干のすき間を残してくさび87を貫かせ、ニードル状の
滴下口とすることもできる。水に立てたとき、節より下
の共鳴筒内部の空洞に空気が閉じ込められると、浮力が
働き不安定になったり、滴下口よりの水の滴下が妨げら
れる恐れがあるので、節に近い共鳴筒の上部の適当な位
置に通気口86を設けるか、あるいは第29図の見取り図に
示すように竹の筒の下端を一部切り込んで水面より高い
足96を設けるかして、共鳴筒の内部と外気を連通させ
る。該通気口及び該竹筒足の大きさ、形状は支持体とし
ての機能を損なわない限り特に限定しない。この器具
は、製作が容易であることに加えて、外見はただの竹の
筒であるから、水盤等に使用し器具が外部より見えるこ
とがあっても趣をそぐことがない。 この竹筒の下端を開放せずにもうひとつの節を残し、
この節と滴下口を設けてある節との間の空洞に水をため
る構成にすると、(iv)の形態に係る器具として使用で
きるが、第30図にこれを更に進めて器具からの水の排除
を必要とせず長時間の作用の継続を可能にする形態を示
す。先に第26図で示した砂時計式の構成を開放系で形成
するものである。竹筒は3個の節を残して切断され、真
ん中の節を介して両側に節と節との間の節間空洞97が位
置する構成となる。真ん中の節は第26図における仕切隔
壁68に相当し、穿孔されて滴下口が設けられる。両側の
節間空洞は竹筒を立てたとき上側に位置する方が水溜と
なり、下側に位置する方が滴下した水をため水滴によっ
て打たれる水面を供する。滴下口は、両端が尖鋭である
くさび87を貫通させる等して、節の両側に向けて滴下口
として機能するようにする。節間空洞97の各にはほぼ中
程に通気口86を設けるが、これら2個の通気口は竹筒の
側面の同じ側に形成されなければならない。通気口は空
洞内と外気を連通させ滴下に対する空気圧の障害を除去
するが、更にここから器具に水を供給したり、製作時に
真ん中の節に滴下口を設けるための工作の便をとること
ができる。一つの節間空洞の容積の半分以下の量の水を
器具に入れる。作用は第26図に示した例と同様、水溜に
相当する側の節間空洞から水が尽きたときに、器具全体
を置き換えて上下を入れ換えれば発音の作用を継続させ
る事ができる。置き換えるときに2つの通気口86が上に
なるように操作すると節間空洞内の水が外にこぼれな
い。第28図の例の場合と同様通気口86の大きさ、形状は
問わない。多少大きめの穴にし、草花の枝茎等を差し込
めるようにすると趣があってよい。更に多くの節を残し
て竹を取り取り、上述の構成を繰り返して多段式とした
り、真ん中と両端の節以外は貫通させて節間空洞を大き
く取り、水滴の落下距離や水溜の容量の増加を計っても
よい。他方、第28図〜第30図の例は竹材での製作を想定
して述べてきたが、他の材質での製作も可能である。 [発明の効果] 本発明に係る装置及び器具は、人間にとって快適と思
われる音を発生させることにより、一種のインテリアと
して機能し、環境に潤いや趣を与え、生活に豊かさを添
えることに寄与する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る装置で最も標準的な実施例の一つ
を示す見取り図。第2図は第1図に見取り図を示す装置
が花瓶の中に置かれたときの態様を示す断面図。第3図
〜第5図は本発明に係る装置の構成要素の一つである滴
下口の諸形態を示す図。第6図〜第10図は本発明に係る
装置の構成要素の一つである共鳴筒の諸形態を示す断面
図。第11図〜第14図は本発明に係る装置の構成要素の一
つである共鳴筒の内側の水面位を調節するための構成の
諸形態を示す断面図。第15図は本発明に係る装置の構成
要素の一つである揚水装置のうち、電動式であるものの
実施例の一つを示す断面図。第16図〜第19図は本発明に
係る装置の構成要素の一つである揚水装置のうち、電熱
式であるものの実施例の一つの作用の態様を示す断面
図。第20図及び第21図は本発明に係る装置の構成要素の
一つである揚水装置のうち乾湿温度差を利用するものの
実施例の作用の態様を示す断面図。第22図は本発明に係
る器具の実施例の一つを示す断面図。第23図及び第24図
は、本発明に係る装置のうち閉鎖系に属するものの実施
例で、乾湿温度差を利用するものを示す断面図。第25図
は、第24図に示す装置を共鳴筒内において作用させると
きの様態の一つを示す図。第26図及び第27図は、本発明
に係る装置のうち閉鎖系に属するものの特殊な実施例を
示す断面図。第28図は本発明に係る器具の竹材による製
作の実施例を示す断面図。第29図は第28図に示す器具の
一部を改変した器具の見取り図。第30図は本発明に係る
器具の実施例の一つを示す断面図。1 ……滴下口2 ……支持体3 ……水溜4 ……共鳴筒 10……蒸気空間 11……給水口 12……台座 13……ポンプ柄棒 14……共鳴筒支持腕 15……水溜内水 16……支持柱 20……花瓶壁面 21……揚水管 22……圧縮室 23……逆止弁 24……逆止弁 25……ピストン 26……バネ 27……外部水面 28……水滴または液滴 29……外部静止水 41……導水管 51……ネジ 52……ニードル 53……多孔質物質 54……モーター 55……乾電池 56……水羽根 57……吸水口 58……水面センサー 59……回転軸 61……水滴落下経路 62……通水口 63……内水面 64……シーズヒーター 65……空圧室 66……吸水細口 67……揚水管内口 68……仕切隔壁 71……受け器 72……湿潤帯 73……塔頂部 74……作動液溜 75……サイホン管 76……ダイヤフラム 77……毛細管束被覆管 78……作動液位 79……作動液本溜 81……小管 82……フィン 83……容器上底 84……作動液面 85……節 86……通気口 87……くさび 91……毛細管束 92……水差口 93……共鳴筒支持脚 94……支持脚 95……作動液小室 96……竹筒足 97……節間空洞
を示す見取り図。第2図は第1図に見取り図を示す装置
が花瓶の中に置かれたときの態様を示す断面図。第3図
〜第5図は本発明に係る装置の構成要素の一つである滴
下口の諸形態を示す図。第6図〜第10図は本発明に係る
装置の構成要素の一つである共鳴筒の諸形態を示す断面
図。第11図〜第14図は本発明に係る装置の構成要素の一
つである共鳴筒の内側の水面位を調節するための構成の
諸形態を示す断面図。第15図は本発明に係る装置の構成
要素の一つである揚水装置のうち、電動式であるものの
実施例の一つを示す断面図。第16図〜第19図は本発明に
係る装置の構成要素の一つである揚水装置のうち、電熱
式であるものの実施例の一つの作用の態様を示す断面
図。第20図及び第21図は本発明に係る装置の構成要素の
一つである揚水装置のうち乾湿温度差を利用するものの
実施例の作用の態様を示す断面図。第22図は本発明に係
る器具の実施例の一つを示す断面図。第23図及び第24図
は、本発明に係る装置のうち閉鎖系に属するものの実施
例で、乾湿温度差を利用するものを示す断面図。第25図
は、第24図に示す装置を共鳴筒内において作用させると
きの様態の一つを示す図。第26図及び第27図は、本発明
に係る装置のうち閉鎖系に属するものの特殊な実施例を
示す断面図。第28図は本発明に係る器具の竹材による製
作の実施例を示す断面図。第29図は第28図に示す器具の
一部を改変した器具の見取り図。第30図は本発明に係る
器具の実施例の一つを示す断面図。1 ……滴下口2 ……支持体3 ……水溜4 ……共鳴筒 10……蒸気空間 11……給水口 12……台座 13……ポンプ柄棒 14……共鳴筒支持腕 15……水溜内水 16……支持柱 20……花瓶壁面 21……揚水管 22……圧縮室 23……逆止弁 24……逆止弁 25……ピストン 26……バネ 27……外部水面 28……水滴または液滴 29……外部静止水 41……導水管 51……ネジ 52……ニードル 53……多孔質物質 54……モーター 55……乾電池 56……水羽根 57……吸水口 58……水面センサー 59……回転軸 61……水滴落下経路 62……通水口 63……内水面 64……シーズヒーター 65……空圧室 66……吸水細口 67……揚水管内口 68……仕切隔壁 71……受け器 72……湿潤帯 73……塔頂部 74……作動液溜 75……サイホン管 76……ダイヤフラム 77……毛細管束被覆管 78……作動液位 79……作動液本溜 81……小管 82……フィン 83……容器上底 84……作動液面 85……節 86……通気口 87……くさび 91……毛細管束 92……水差口 93……共鳴筒支持脚 94……支持脚 95……作動液小室 96……竹筒足 97……節間空洞
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.水滴を一滴ずつ分離滴下する滴下口と、該滴下口に
継続的に微量な水量を供給する水溜もしくはこれと同等
の機能を有するもの、及びこれら該滴下口と該水溜を滴
下したる該水滴を受ける水面より上方に位置させるため
の支持体を必須の構造要素として、該水面を供する水系
を溜置する器としての機能を自らの構造内に保持するこ
となく、該滴下口及び該水溜及び該支持体の3者のある
いは該3者に揚水装置もしくは共鳴筒を具備した一体独
立の器具をなし、該水面を供する外部水系の環境下に設
置することにより、該滴下口より滴下する水滴による該
水面の打撃により継続的に音を発生する装置。 2.水もしくは他の液体を作動液として該液体について
外部に流出することのない閉鎖系を構成し、該液滴を一
滴ずつ分離滴下する滴下口と、該滴下口に継続的に微量
な液量を供給する液溜もしくはこれと同等の機能を有す
るもの、及び滴下した該液滴を受ける液面を供する相当
量の該液体を溜置したる器としての機能を有する液槽、
及び該滴下口と該液溜を該液面より上方に位置させるた
めの支持体、及び下方の該液面を供する該液槽より上方
の該液溜に該液体を揚水する装置を自らの構造内に保持
して一体とし、該液滴の該液面の打撃により継続的に音
を発生するとともに、該揚水機能による滴下した該液体
の循環により作動する装置。 3.水差口の近傍に水滴を一滴ずつ分離滴下する滴下口
と、該滴下口に継続的に微量な水量を供給する水溜を設
けて、水を外部に注ぐべく容器を傾けたときに該水溜に
容器内の水が供される構造を有し、静置したるときに容
器内下部に残留保持したる水の水面を該滴下口より滴下
する水滴で打撃することにより継続的に音を発生する装
置を兼ねた水差し。 4.下方に対して上方が低温側となる温度差を与えるこ
との可能な中空容器内に水もしくは他の液体を作動液と
して密封し、容器上底面の内側で凝結した該作用液が導
かれると共に導かれた該液を一滴ずつ分離滴下する滴下
口を該上底面の内側に設けた内部構造を有し、該凝結し
た作動液が下方に溜置したる該作動液の液面に向けて滴
下してこれを打撃することにより継続的に音を発生する
装置。 5.竹材を用い、節を介して上側を水溜とすると共に、
該節に穿孔して該水溜より水の供給を受け水滴を一滴ず
つ分離滴下する滴下口を設け、該節の下側を該水溜及び
該滴下口を滴下したる該水滴を受ける水面より上方に位
置させるための支持体とする構造を有し、該水面を供す
る水系の環境下に設置することにより、該滴下口より滴
下する水滴による該水面の打撃により継続的に音を発生
する装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61102687A JP2707243B2 (ja) | 1986-05-05 | 1986-05-05 | 水 鈴 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP61102687A JP2707243B2 (ja) | 1986-05-05 | 1986-05-05 | 水 鈴 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62260193A JPS62260193A (ja) | 1987-11-12 |
JP2707243B2 true JP2707243B2 (ja) | 1998-01-28 |
Family
ID=14334153
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61102687A Expired - Fee Related JP2707243B2 (ja) | 1986-05-05 | 1986-05-05 | 水 鈴 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2707243B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019180594A (ja) * | 2018-04-04 | 2019-10-24 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 洗濯機 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS52101080A (en) * | 1976-02-19 | 1977-08-24 | Masahiro Yamada | Water clock |
JPS6127196U (ja) * | 1984-07-20 | 1986-02-18 | 勝彦 梅村 | 響音を発する壷体 |
-
1986
- 1986-05-05 JP JP61102687A patent/JP2707243B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62260193A (ja) | 1987-11-12 |
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---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |