JP2707132B2 - 舗装用アスファルトの改質材料 - Google Patents

舗装用アスファルトの改質材料

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、舗装用アスファルトの改質材料に関し、特
に舗装用アスファルトへの混入時の取り扱いが容易であ
る改質材料に関する。
(従来の技術) 従来、耐流動性を高めた舗装用アスファルト混合物を
製造する方法の1つとして、軟化点の低い舗装用石油ア
スファルト(軟化点45℃〜50℃程度)に、軟化点の高い
アスファルタイト(軟化点130℃〜200℃程度)またはア
スファルトピッチ(軟化点100℃〜200℃程度)を加え、
舗装用アスファルトの軟化点を高めて使用し、夏期等の
気温の高い時に発生するアスファルト舗装道路の変形を
抑制することが行われている。
このように舗装用アスファルトの改質材料としてアス
ファルタイトまたはアスファルトピッチを使用する場合
の使用方法としては、袋詰めして貯蔵されていたものを
アスファルト混合物製造プラントに輸送し、使用時に、
液状にして使用する方法と固体状(粉粒状)のまま加え
る方法とが現在行われている。
液状にして使用する場合は、撹拌機付きのケトル中で
舗装用石油アスファルトに適正量のアスファルタイトま
たはアスファルトピッチを添加し混合溶融して使用す
る。しかし、この方法では舗装用石油アスファルトと粉
粒状アスファルタイトまたはアスファルトピッチのなじ
みが悪いため、混合溶融に時間と労力を要するととも
に、専用のケトルが必要となるため、次に述べる固体状
のまま使用する方法にくらべて不経済となる。
一方、固体状のまま使用する方法は、あらかじめ適正
量を計量し袋詰めされたアスファルタイトまたはアスフ
ァルトピッチをアスファルト混合物製造ミキサへ直接投
入して行うものであり、液状にして使用する場合にくら
べて時間と労力がかからず、しかも専用のケトルを必要
としないため経済的に有利である。
ところで、アスファルタイトは一般に粉状または粉粒
状であるため、固体状のまま使用する場合粉塵の発生が
大きな問題となる。特に、アスファルタイトまたはアス
ファルトピッチを計量、袋詰めする際の粉塵および汚れ
による作業環境の悪化、さらにアスファルト混合物製造
ミキサへ投入し混合する際の粉塵の発生によるアスファ
ルト混合物混合所周辺の環境汚染は常に問題となるとこ
ろである。また大きさが不揃いで微粉末分が多量に存在
するため混合物中に所定量を混合することが困難であっ
たり分散が不十分となるという問題も有する。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明は、舗装用石油アスファルトの改質材料として
アスファルタイトまたはアスファルトピッチを固体状の
まま使用する従来の方法の欠点である粉塵の発生による
作業環境および周辺環境の汚染、取り扱いの困難性、再
現性、分散性の悪さ等を解決し、粉塵の発生がなく、取
り扱い容易にして、混合物中への添加量等の再現性に優
れ、また混合性、分散性が高く優れた改質効果を発揮す
る舗装用アスファルトの改質材料を提供することを目的
とする。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、アスファルタイトまたはアスファルトピッ
チの粉粒体に界面活性剤を含む水溶液、鉱物油または植
物油を添加してなる舗装用アスファルトの改質材料を提
供するものである。
本発明の改質材料の原料としては、ギルソナイト、グ
ランスピッチ、グラハマイドなどのアスファルタイトま
たはアスファルトピッチが使用できる。中でもギルソナ
イトは瀝青分含有率が高く(二硫化炭素可溶分99.7
%)、しかも均一な状態で産出し品質にバラツキが少な
いことから、本改質材料の原料として特に望ましい。
アスファルタイト、アスファルトピッチは通常一般的
に入手される微粉末分を多量に含有する粉粒体(粉末ま
たは粉末と粉状物の混合物)の形で本発明の処理剤で処
理される。
本発明の処理剤の一つである界面活性剤を含む水溶液
としては、陰イオン活性剤、陽イオン活性剤、非イオン
活性剤のいずれの水溶液も使用できる。界面活性剤の濃
度は0.01〜10重量%程度である。添加量はアスファルタ
イトまたはアスファルトピッチに対し、5重量%以下が
好ましい。さらに、界面活性剤を含む天然ゴムラテック
ス、イソプレンゴムラテックス、ブタジェンゴムラテッ
クス、スチレン−ブタジェンゴムラテックス、カルボキ
シ変性スチレン−ブタジェンゴムラテックス、スチレン
−ブタジェン−ビニリピリジンラテックス、アクリロニ
トリル−ブタジェンゴムラテックス、カルボキシ変性ア
クリロニトリル−ブタジェンゴムラテックス、クロロプ
レンゴムラテックス、アクリルエマルション、アクリレ
ート−ブタジェンゴムラテックス、酢酸ビニル系エマル
ションなどのゴムラテックス、およびアスファルト乳
剤、またはそれらの水溶液も使用することができる。
これらの界面活性剤を含む水溶液を使用した場合、単
に水と混合した場合とくらべてアスファルタイトまたは
アスファルトピッチとのなじみが良く、混合性が著しく
改善される。
中でも、ゴムラテックス溶液を使用した場合は、発塵
防止効果が長期間持続する。これは、処理剤中の水分が
蒸発した後も、ゴムラテックス溶液中の固形ゴム分の粘
着力により、粉塵発生の原因となる微粒子を拘束してい
るためと考えられる。また、本改質材料の貯蔵、運搬中
に自重および振動により細粉化した場合も、固形ゴム分
の粘着力により粉塵の発生を防止することが可能とな
る。
ここで、ゴムラテックス溶液中の固形ゴム分の濃度は
20重量%以上であることが好ましい。その添加量は前記
したように5重量%以下が好ましく、通常1〜5重量%
添加される。上述の各種ゴムラテックスは、それ自体舗
装用石油アスファルトの改質材料として知られている。
その結果ゴムラテックスを用いた場合には前記した本発
明の目的が効果的に達成されるだけでなく、改質材料と
しての副次効果も期待できる。
次に、鉱物油または植物油としては、石油系燃料油、
石油系潤滑油などの鉱物油および大豆油、綿実油、米
油、ヤシ油、パーム油、ヒマシ油、アマニ油、トール油
などの植物油が使用できる。
ここで、添加する鉱物油または植物油の60℃粘度は10
〜500cStであることが好ましく、10cSt未満の場合は、
夏期高温時に本改質材料を長期間貯蔵する際、固結する
ことがあり、改質材料の計量等が困難になるとともに、
アスファルト混合物製造時の分散性が低下する。さらに
処理剤が揮発し易くなるため発塵防止効果の持続性も低
下する。また、60℃粘度が500cStを超える場合は、改質
材料製造時の混合性が低下するため、長時間の混合また
は処理剤の保温などが必要となり不経済である。これら
鉱物油または植物油の添加量は前記の界面活性剤を含む
水溶液と同様1〜5重量%が好ましい。添加量が5重量
%を超えるものは貯蔵中に油分がにじみ出すことがあ
り、油分過多により改質材料の改質効果が低下する。
これらの処理剤によるアスファルタイトまたはアスフ
ァルトピッチ粉粒体の処理は両者をミキサー混合するだ
けでよく、通常処理後の改質材は袋詰めして数ケ月程度
貯蔵後アスファルト混合物製造プラントへ輸送される。
このように処理された本発明の改質材料は長期間発塵
が効果的に防止されると共にアスファルト混合物製造時
の取り扱い易さ、混合性、計量の正確性等が顕著に向上
し、さらにはそれから得られた舗装体の品質及び品質再
現性も向上する。このような顕著な効果の原因の一つと
しては本発明の改質材料であるアスファルタイトまたは
アスファルトピッチ粉粒体を処理する界面活性剤を含有
する水溶液等が粉粒体と適度の親和性をもちその微粉末
分を合体しその後の処理に適する大きさにする作用を示
すと共に、それらが舗装用アスファルトの品質に何らの
悪影響も及ぼさないばかりか、むしろその品質自身をも
改良する性質をもっていることがあげられる。
(実施例) 以下、実施例にて本発明の効果を説明する。
舗装用石油アスファルトの改質材料としてアスファル
タイトのうちギルソナイトを使用し、従来の方法により
ギルソナイト粉粒体を無処理で用いた場合と、ギルソナ
イト粉粒体を本発明の処理剤で処理した本発明の改質材
料を用いた場合について、改質材料の計量、袋詰め時の
粉塵の発生状況、計量、袋詰め作業場所周辺雰囲気中の
粉塵量の測定、アスファルト混合物製造時の粉塵の発生
状況、顕微鏡によるギルソナイト微粒子の存在状態の観
察、およびアスファルト混合物の性状の測定を行い、本
発明の改質材料の効果を確認した。
なお、粉塵量の測定は、柴田化学器械工業(株)製デ
ジタル粉塵計P−5型により粉塵の質量濃度を測定し
た。
使用した改質材料は次の(A)〜(C)である。
(A) 無処理のギルソナイト。
(B) ギルソナイトに固形ゴム分濃度25%のスチレン
−ブタジェンゴムラテックスを3%添加した本発明の改
質材料。
(C) ギルソナイトに60℃粘度が150cStの石油系潤滑
油を3%添加した本発明の改質材料。
これらの改質材料の粒度の測定結果を表−1に示す。
本発明の改質材料の発塵性微粉末分の含有量が顕著に
低下していることがわかる。
これらの改質材料を用いてアスファルト混合物を製造
した。
製造したアスファルト混合物は密粒度アスファルト混
合物(13)であり、骨材配合、合成粒度および設計アス
ファルト量は表−2に示すとおりである。
なお、アスファルトはストアス60/80を使用し、スト
アス60/80 90重量%に対しギルソナイト10重量%となる
ように無処理のギルソナイトまたは本発明の改質材料を
添加した。
アスファルト混合物の混合温度は180℃とし、混合時
間は以下のとおりとした。
・ドライ混合……10秒 ・ウエット混合……45秒(ウエット混合開始15秒後に改
質材料を投入) アスファルト混合物製造の際の粉塵発生状況および混
合物の性状試験結果を表−3に示す。
本発明の改質材料を使用した場合、改質材料の計量、
袋詰め作業場所周辺の粉塵量は従来の方法の1/2000以下
となっており、作業環境を著しく改善することが可能と
なった。また、アスファルト混合物製造時の粉塵の発生
も従来の方法とくらべて少なくなっており、本発明の改
質材料を使用することによりアスファルト混合物混合所
周辺の環境汚染を低減することが可能となった。また本
発明の改質材料を使用することによりアスファルト混合
物の安定度およびDSが顕著に向上した。従来例(A)の
混合物性状が劣る理由としては、混合時、ギルソナイト
粉塵が飛散するため、混合物中に所定量のギルソナイト
が添加されていないこと、およびギルソナイトとアスフ
ァルトのなじみが悪いため、混合物中での分散が不十分
となっていることが考えられる。
次に、第1図〜第3図は、改質材料(A)〜(C)の
粒子を顕微鏡で観察したものである。これにより、無処
理のギルソナイト(A)は粉塵の発生原因となる微粒子
が単独で多数存在しているのに対し、本発明の改質材料
(B),(C)は微粒子が比較的大きな粒子に付着して
おり、微粒子単独ではほとんど存在していないことがわ
かる。これも、本発明の改質材料の顕著な効果を裏付け
ているといえる。
【図面の簡単な説明】
第1図は無処理のギルソナイト(A)の粒子の顕微鏡写
真、第2図はギルソナイトに固形ゴム分濃度25%のスチ
レン−ブタジェンゴムラテックスを3%添加した本発明
の改質材料(B)の粒子の顕微鏡写真、第3図はギルソ
ナイトに60℃粘度が150cStの石油系潤滑油を3%添加し
た本発明の改質材料(C)の粒子の顕微鏡写真である。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アスファルタイトまたはアスファルトピッ
    チの粉粒体に界面活性剤を含む水溶液、鉱物油または植
    物油を添加してなる舗装用アスファルトの改質材料。
  2. 【請求項2】界面活性剤を含む水溶液がゴムラテックス
    溶液である請求項1記載の舗装用アスファルトの改質材
    料。
  3. 【請求項3】アスファルタイトまたはアスファルトピッ
    チに、固形ゴム分の濃度が20重量%以上のゴムラテック
    ス溶液を1〜5重量%添加してなる請求項2記載の舗装
    用アスファルトの改質材料。
  4. 【請求項4】アスファルタイトまたはアスファルトピッ
    チに、60℃粘度が10〜500cStの鉱物油または植物油を1
    〜5重量%添加してなる請求項1記載の舗装用アスファ
    ルトの改質材料。
  5. 【請求項5】界面活性剤を含む水溶液、鉱物油または植
    物油を添加して粉粒体の平均粒径を増大させてなる請求
    項1〜4のいずれか1項記載の舗装用アスファルトの改
    質材料。
  6. 【請求項6】アスファルタイトがギルソナイトである請
    求項1〜5のいずれか1項記載の舗装用アスファルトの
    改質材料。
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