JP2706783B2 - 膜状の気体分離体 - Google Patents

膜状の気体分離体

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は気体の分離、吸着、濃縮等に適した膜状の気
体分離体に関する。
〔従来の技術〕
膜法による気体分離は分離に必要なエネルギーが小さ
いという観点から近年注目されている。とりわけ空気中
の酸素の濃縮を可能とした酸素富化膜は医療分野、産業
分野で広範囲な用途が見込まれ多くの酸素富化用高分子
膜が報告されている。かかる酸素富化用高分子膜は一般
的には細孔を有しない均質膜であつて細孔があるとして
もその平均孔径は10Å以下である。
これらの均質膜における気体分離はいわゆる溶解拡散
機構に基づくものであり、膜素材に対する気体分子の溶
解度の差と膜中における気体分子の拡散速度の差を利用
して混合気体が分離される。この機構による代表的高分
子膜であるシリコーン膜は、酸素の透過係数は大きい
が、O2/N2の分離係数は2程度と小さい。又、他の高分
子を用いた場合でも分離係数と透過係数の間にはある程
度の相関があり、透過係数の大きな高分子素材では分離
係数が小さくなるという傾向がある。このためこの機構
に基づいて気体の分離と濃縮を行う場合は大きい透過係
数と大きい分離係数を同時に達成することが出来ない点
が問題である。
また、ウラン濃縮などに採用されている多孔体による
ガス分離方法はクヌツセン流れと呼ばれる流れを利用す
るものである。クヌツセン流は比較的低圧領域において
生じるガス状分子の相互衝突のない流れであり、その圧
力における気体の平均自由行程の約1/10以下の小さい孔
径を持つ多孔質体にガスを透過させる時に生じるとされ
ている。この機構による混合ガスの分離では比較的大き
な透過係数が得られることが知られている。しかし、気
体の分離係数はガス分子の分子量の1/2乗の反比例する
ことが理論的に示されており、従つて分子量が等しいか
あるいは分子量の差が小さい分子同士の混合気体を分離
濃縮する場合は分離係数がきわめて小さくなることが予
想される。この原理に基づいて空気中のO2とN2を分離す
る方法は両分子の理論上の分離係数が0.94であるため実
用的でない。
1970年以降、多孔膜の細孔表面と気体分子との相互作
用に起因した流れ(異常拡散流れ)を利用した気体分離
の研究が行われるようになり、アグラワル(Agrawa
l)、サリラージヤン(Sourirajan)の逆浸透膜(セル
ロースアセテート膜)を用いた例がある(J.Appl.Polym
er Sci.,14,P.1303〜1321(1970))。また、能美等は
平均孔径5nm〜0.1μmの膜を用いて特定の圧力範囲、特
定の温度範囲において異常拡散流れが起こることを開示
している(特公昭56−35492号公報)。サラリージヤン
等や能美等はともに異常拡散流れが細孔表面への気体分
子の吸着作用に起因した流れであると考えており、異常
拡散流れを混合気体分離に利用すると、クヌツセン流れ
よりも大きな分離係数が得られると言われている。
又、一方、導電性高分子をシート状物に積層した導電
体や膜状物に含浸保持させた導電体が知られている。例
えば、特開昭63−175616号公報には、不織布の上に限外
濾過膜を多孔質基材としたものの多孔質基材面にピロー
ル重合体膜を形成した気体分離膜の発明が示されてお
り、この気体分離膜の気体分離係数もかなり良好なもの
である。
しかし、この気体分離膜は平膜であり、この平膜を用
いて作ったモジュールにより単位体積あたりの気体の分
離速度はあまり大きなものとすることはできず、その目
的を達成するためにはモジュール自体を巨大なものにせ
ざるを得ず、更に気体分離効率の高い小型モジュールを
作り得る、チューブ型の気体分離膜の出現が待たれてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながらサリラージヤンや能美等による気体分離
は主に炭化水素について出現する異常拡散流れを利用し
た気体分離であり、無機分子同士の混合気体(例えば空
気)の分離効率は充分なものではない。これは無機気体
分子と相互作用して異常拡散性を起こすような適当な多
孔質膜素材が存在しないためであつた。
又、導電性高分子を含む導電体において、通常導電性
高分子は層状に保持されており、その構造からして異常
拡散流れを利用した気体分離には適していない。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は種々の混合気体について分離係数の大き
い膜素材を開発すべく検討し、その結果π系導電性高分
子が気体分子、特にO2とN2に対して特異的な親和性(N2
に比較してO2を選択的に透過させしかもN2に比較してO2
を優先的に吸着すること)を示す事を見いだし、これを
チユーブ状微多孔質支持体の細孔内に形成する技術を完
成し本発明に到つた。
本発明の目的は従来の膜素材と比較して格段に高い分
離係数を有し、しかも気体透過係数の大きい膜状の気体
分離体を提供することにある。
本発明の要旨は、平均細孔径が100Å以下のチユーブ
状多孔質支持体の少なくとも一部の細孔内に該細孔を閉
塞することなくπ系導電性高分子を保持せしめた膜状の
気体分離体にある。
既に述べたようにクヌツセン拡散は、気体分子が平均
自由行程の1/10程度以下の細孔を透過するとき出現す
る。従つて1気圧付近の圧力で気体分離することを考慮
すると孔径がおよそ100Å以下の空孔を気体分子が透過
するときにクヌツセン拡散が起こることになる。
本発明では平均細孔径が100Å以下のチユーブ状多孔
質支持体が用いられるが、これは該支持体の一方の膜面
から他方の膜面に向つて気体が透過する際にクヌツセン
流れが出現する条件を考慮したためであり、該支持体の
細孔内にπ系導電性高分子を保持させることによつてク
ヌツセン流れが起こる細孔径の範囲内においてクヌツセ
ン流れ以外の流れ(異常拡散流れ)を出現せしめこれを
気体分離に応用するものである。尚、膜状の気体分離体
の細孔径は導電性高分子の保持量によつてある程度制御
可能であるが、平均細孔径が100Å以下の多孔質支持体
を用いることによつて導電性高分子の保持量に依存する
ことなく、平均細孔径が100Å以下の膜状の気体分離体
を確実に得ることができる。
ここでいう異常拡散流れとは、分離体の細孔内に保持
されたπ系導電性高分子にガス分子が単分子層あるいは
多分子層にわたつて吸着し、π系導電性高分子との相互
作用を保持しながら細孔柱を透過する流れであると解釈
できる。クヌツセン流れが起こる細孔径の範囲内におい
ては、一般に多孔質膜の細孔径が大きくなる程クヌツセ
ン流れが優勢になり、細孔径が小さくなると異常拡散流
れが優勢になる。細孔径が小さくなることは温度、圧力
が同じ条件であればそれだけ細孔内に保持されたπ系導
電性高分子と気体との衝突回数が増加し、又細孔空間内
において気体とπ系導電性高分子との相互作用のおよぶ
空間の割合が増加することとなり、細孔内気体分子とπ
系導電性高分子とが相互作用しやすくなることを意味す
る。
本発明で用いる多孔質支持体はチューブ状のものを用
いる。又、このチユーブ状多孔質支持体は平均細孔径が
100Å以下の多孔質層のみで構成されているものでもよ
く、100Å以下の微細孔を有する層がより孔径の大きな
多孔質体上に形成されたものでもよい。
細孔径は前述の条件を備えていればよい。しかし大き
い細孔が存在するとクヌツセン流が優勢となるため気体
の分離性が低下する。又、一方、小さい細孔が存在する
と気体の透過性が低下する。従つて細孔の孔径分布は狭
いことが好ましく、全細孔容積の50%以上の細孔が平均
孔径±20Åの範囲にあることが好ましい。尚、π系導電
性高分子を細孔内に均一に保持させるためにも細孔の孔
径分布は狭いことが好ましい。
又、クヌツセン流れを抑制して異常拡散流れを優勢に
することを考えると細孔の平均孔径はさらに小さく80Å
以下であることがより好ましく、50Å以下であることが
特に好ましい。
細孔系は窒素、ベンゼン、アルコール、水蒸気などを
細孔内に吸着させて、毛管凝縮理論に基づくKelvinの式
から求めることができる。
該支持体の空孔率は支持体としての強度を有するもの
であればよく、およそ5〜90%程度であればよい。又、
透過量と複合膜の機械的強度を考慮すると支持体の空孔
率は25〜85%程度であることがより好ましく、40〜80%
程度であることが特に好ましい。
このようなチユーブ状多孔質支持体としては、膜面の
一方から他方にかけて貫通した細孔を有し、π系導電性
高分子が細孔内に保持可能であれば有機系、無機系どち
らのものであつてもよい。例えば有機系の多孔質支持体
としては、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリカーボ
ネート、ポリアクリロニトリル、ナイロン66、ナイロン
6、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホ
ン、ポリフエニレンオキシド、ポリフツ化ビニリデン、
ポリテトラフルオロエチレンなどからなるものがあげら
れる。又、無機系のチユーブ状多孔質支持体としては、
多孔性ガラス、多孔性アルミナ、多孔性金属、多孔性カ
ーボン微粉圧縮体などがあげられる。
しかし耐熱性や高温下での使用を考慮するとチユーブ
状多孔質支持体の素材は無機系のものであることが好ま
しい。たとえば120℃程度の高温下での気体分離では分
離係数は低下するものの透過速度が著しく増加するので
無機系多孔質支持体の使用によつて分離効率の向上を図
ることができる。
本発明の気体分離体においては前述の如き多孔質支持
体が使用されるが、π系導電性高分子が保持される細孔
の位置は特に限定されず、気体分離体はたとえば次に示
すような構造をとることができる。
(1) 孔径100Å以下のチユーブ状多孔質支持体の細
孔のほぼ全体に亘つてπ系導電性高分子が保持された構
造。
(2) 孔径100Å以下のチユーブ状多孔質支持体の一
部の層(表面層又は中間層)の細孔にのみπ系導電性高
分子が保持された構造。
(3) 孔径100Å以下の微多孔質層(A層)と100Åよ
り大きい孔径の多孔質層からなるチユーブ状多孔質支持
体のA層の細孔にのみπ系導電性高分子が保持された構
造。(尚A層は多孔質支持体の表層部、中間部のいずれ
にあつてもよい。) (4) 前記(3)のチユーブ状多孔質支持体の細孔の
ほぼ全体に亘つてπ系導電性高分子が保持された構造。
尚、前記(3)及び(4)のチユーブ状多孔質支持体
においてA層の厚みはおよそ50μm以下であることが好
ましい。
このように膜状気体分離体は種々の構造をとりうる
が、π系導電性高分子の保持量と気体分離効率を考慮す
ると前記(3)の構造のものが好ましい。又、これらの
気体分離体においてπ系導電性高分子の保持されている
層の厚みは0.05μm以上であつて可能な限り薄い方が好
ましい。
本発明において使用されるπ系導電性高分子として
は、ピロール、Nメチルピロール、チオフエン、フラン
等の複素五員環構造を有するモノマーもしくはこれらの
誘導体、アニリン、インドール、フエニレンジアミン等
の芳香族化合物もしくはこれらの誘導体から得られる重
合体もしくは共重合体、又は更にポリアセチレンを挙げ
ることができる。本発明の気体選択透過膜においては多
孔質支持体の少なくとも一部の細孔内に該細孔を閉塞す
ることなくπ系導電性高分子が保持されているが、細孔
内とは細孔の表面又は細孔内部の空間部分をいい、少な
くとも一部の細孔とは細孔の全部又は一部をいう。又、
細孔を閉塞することなく保持とは多孔質支持体の一方の
膜面から他方の膜面に貫通する空間が存在するようにπ
系導電性高分子が保持されていることをいう。
高分子による細孔の閉塞は気体分離体の気体透過性を
低下させるのでこのような部分が存在するのは好ましく
ない。又、高分子が保持されていない細孔は自由流れに
従つて気体を透過させ気体の分離係数を低下させるので
このような部分が存在することは好ましくない。尚、分
離性能に実質的に影響を与えない程度であればこれらの
部分がわずかに存在していても支障ない。
細孔の閉塞の有無は種々の方法によつて判定可能であ
る。たとえばチユーブ状多孔質支持体の細孔が閉塞され
ていない場合には、導電性高分子と特異な相互作用を示
さない気体はクヌツセン流れに従つて細孔内を透過す
る。従つてこのような気体の透過速度を測定することに
よつて細孔閉塞の有無を判定できる。
又、細孔が閉塞されていない場合には、たとえば導電
性高分子に対して特異な相互作用を示す空気の透過速度
の圧力依存性を測定すれば、単位膜間差圧当りの酸素
(窒素)透過速度が低圧側や高圧側において急上昇する
ことがわかる。従つてこの測定により細孔の閉塞有無の
判定を簡便に行なうことができる。
次に本発明の気体分離体の製法について説明する。
チユーブ状多孔質支持体へのπ系導電性高分子の保持
(以下「複合化」という)は電解重合法や化学的酸化重
合法等の方法によつて行なうことができる。たとえば導
電性のないチユーブ状無機多孔質支持体やチユーブ状有
機多孔質支持体との複合化を行なう場合は化学的酸化重
合法を用いることにより比較的簡便に複合化がおこなえ
る。化学的酸化重合法において酸化剤溶液とモノマー溶
液の組み合わせは両方の溶液を混合させたとき重合が起
こるものであればどのような組み合わせでもよい。
モノマーとしてはピロール、Nメチルピロール、チオ
フエン、フラン、アニリン、インドール、もしくはそれ
らの誘導体、又はフエニレンジアミンやアセチレン等を
用いることができる。酸化剤としては過酸化水素、硝
酸、硫酸、塩化第二鉄、過硫酸カリウム、キノン類、ジ
アゾニウム塩類、硫酸第二セリウムアンモニウム、硝酸
第二セリウムアンモニウム等を、又、溶媒としては水、
アセトニトリル、アセトン、エタノール等やそれらの混
合溶媒を用いることができる。
化学的酸化重合法とは、酸化剤とモノマーを接触させ
重合体を得る方法であるが、接触させる方法により浸漬
法、隔膜法、ブレンド法に分けられる。
浸漬法はチユーブ状多孔質支持体を酸化剤溶液とモノ
マー溶液に交互に浸漬し複合化を行う方法である。隔膜
法は多孔体を隔てて酸化剤溶液とモノマー溶液を配し、
拡散してきたモノマー及び酸化剤を多孔体内で接触さ
せ、そこにπ系導電性高分子を形成させる方法である。
ブレンド法とは、あらかじめ多孔体にモノマーあるいは
酸化剤を練り込んでおいたものを、酸化剤溶液あるいは
モノマー溶液に浸漬し重合体を形成させる方法である。
チユーブ状多孔質支持体が導電性を示す場合は電解酸
化重合法により複合化を行うことができ、モノマー溶液
としては化学的酸化重合法と同様なものを用いることが
できる。具体的には、金属蒸着(あるいはスパツタリン
グ)のような手法を用いて非導電性多孔体の一方の表面
に導電性を付与し、これを電極としてモノマー含有電解
質溶液中で電解重合を行えば金属蒸着を施した側のみに
π系導電性高分子が複合化された膜を得ることができ
る。
又、チユーブ状多孔質支持体の一方の面をマスクして
化学的酸化重合法(浸漬法)による複合化を行えば同様
の膜を得ることができる。更に、多孔質体を隔膜として
両側に酸化剤溶液、モノマー溶液を配し、化学的酸化重
合法(隔膜法)を行なうことによりチユーブ状多孔質支
持体の中間層部にπ系導電性高分子を保持させることが
できる。多層構造を有する多孔質のある一層にモノマー
あるいは酸化剤を練り込んでも化学的酸化重合法(ブレ
ンド法)による複合化が行える。
このようにして得られる本発明の膜状の気体分離体は
ガス分離濃縮膜として優れた特性を示すが、更に溶質と
の親和性を向上させることによつて浸透気化法や逆浸透
法での溶媒分離などにも特異な分離性能が発揮されるも
のと考えられる。
即ち、化学的酸化重合法あるいは電解重合法によりπ
系導電性高分子を重合する場合アニオン分子がドーパン
トしてポリマー中にとりこまれることが知られており、
たとえば、化学的酸化重合法においてはピロールとFeCl
3の組み合せによつてポリマー中にCl-をドーパントとし
て取り込むことができる。このドーパントの種類、量を
変化させることにより、複合膜の透過能を変化させるこ
とが可能である。またアニオン性であれば機能性分子
(例えば金属キヤリアー、酸素キヤリアーとなりうるよ
うな分子)もドーパントとして導入可能である。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以
下の方法に限定されるものではない。
尚、実施例において細孔径分布、細径容積および平均
細孔径は以下の方法に従つて測定した。
(1) 細孔径分布 一定温度で窒素ガスの吸着量をガスの圧力を変えて測
定(窒素ガスの吸着等温線)することにより求めた。こ
の際、細孔の形態を半径rpの円筒形と仮定し、Kelvinの
式を用いてrpを算出し2rpを孔径とした。
(2) 細孔容積 (1)で求めた細孔分布曲線を積分することによつて
求めた。またある孔径範囲の細孔容積%は分布曲線を下
式に従つて積分することによつて求めた。
(3) 平均細孔径 (1)の孔径分布曲線に於て、ピーク値を示す孔半径
の2倍と平均孔径とする。
実施例1 チユーブ状多孔質支持体として、内表面側に厚み15μ
m、全細孔容積の75%の細孔が20〜60Åの範囲にある平
均孔径40Åの微多孔質層を有する外径19mm、内径15mm、
平均孔径15μmの非対称構造のセラミツクチユーブ(東
芝セラミツクス社製、MEMBRALOXメデイア)を用い、又
第1図の装置を使用して以下の手順により本発明の膜状
の気体分離体を製造した。
(手順1) 減圧可能なガラス製容器(3)の中にアセ
トニトリルとチユーブ状多孔質支持体を入れ、アスピレ
ーターで容器内を50mm Hgまで減圧した。次いで該容器
を水を張つた超音波洗浄器(BRANSON社製 MODEL−B1
2)に入れた状態で超音波を10分間照射し洗浄した。
(手順2) その後容器中のアセトニトリルを0.M FeCl
3・6H2Oのアセトニトリル溶液に交換して減圧下5分間
超音波照射した。
(手順3) その後容器中の溶液を0.3MN−メチルピロ
ールのアセトニトリル溶液に交換し減圧下5分間超音波
照射した。
(尚、手順2と手順3の操作は通常複数回繰り返すが、
この繰り返し回数を以下「複合化回数」という。) (手順4) 複合化の終了した多孔質支持体を手順1と
同様の操作により洗浄した。
(手順5) 洗浄後、10mm Hg、60℃で4時間減圧乾燥
した。
このようにして得られた複合チユーブの内表面層部は
黒色を呈しておりこの部分に重合体が保持されているこ
とが確認された。一方、外表面側はわずかに黒色を呈し
ていた。
この複合チユーブの内表面側と外表面側の電気抵抗値
はそれぞれ25KΩ/cm及び30MΩ/cm以上であつた。供給側
圧力を150cm Hg、透過側圧力を2×10-1cm Hg以下とし
温度30℃で空気透過速度(O2,N2)を測定し、O2/N2分離
係数を算出し、これらの値を第1表に示した。
O2透過速度は7.50×10-5cm3(STP)/cm2・cm Hg・sec
(以下この単位をRUと略称する)、N2透過速度は2.33×
10-5(RU)であり、O2/N2分離係数は3.23と高かつた。
又、膜厚を15μmとして算出されるO2透過率は1.12×10
-7cm3(STP)・cm/cm2・cm Hg・secであつた。
次にこの複合膜についてO2透過速度、N2透過速度の圧
力依存性を評価した。初期透過側圧力を2×10-1cm Hg
以下とし、供給側圧力を6cm Hg〜300cm Hgの範囲で測定
したところ第2図の結果が得られた。低圧側と高圧側で
気体透過速度が増加しているのがわかる。
均質膜による気体透過機構は一般的にヘンリー溶解拡
散機構で説明でき、ヘンリー溶解拡散機構によれば気体
透過速度は圧力に依存せず、第2図に示すような低圧側
又は高圧側での透過速度の増加は見られないはずであ
る。即ち第2図の結果はこの気体分離体においては溶解
拡散機構と異なる別の機構に基づいて気体が透過してい
ることを示している。又、分子量の大きい酸素が分子量
の小さい窒素よりもより速く透過していることは異常拡
散流れに基づいて気体が透過していることを示唆してい
る。
このようにチユーブ状多孔質支持体の細孔が閉塞され
ることなくπ系導電性高分子が保持されているか否かは
O2とN2の透過速度の圧力依存性の測定によつて判定でき
る。
実施例2 実施例1においてN−メチルピロールの代わりにピロ
ールを用い、複合化回数を3回とし、その他の条件は実
施例1と同様にして複合チユーブを製造し第1表の結果
を得た。
比較例1 複合化を行なつていない実施例1のセラミツクチユー
ブの空気透過速度を測定し、O2/N2分離係数を算出し第
1表の結果を得た。
分離係数はクヌツセン流れから予測される数値 とほぼ一致しており、気体の透過がクヌツセン流れによ
ることがわかる。
実施例3 チユーブ状多孔質支持体として全細孔容積の80%の細
孔が24〜64Åの範囲にある平均孔径44Å、空孔率28%、
外径7mm、厚み1.1mm、長さ5cの管状多孔質ガラス(ダウ
コーニング社製、バイコールガラス#7930)を使用し、
以下の条件を除き実施例1と同様にして気体分離体を製
造した。
即ち、手順2と手順3においてはFeCl3・6H2OとN−
メチルピロールの濃度を0.6Mとし複合化回数は4回とし
た。第1回目の手順3が終了した時点でバイコールガラ
スが黒つぽくなり、複合化回数4回終了時点ではバイコ
ールガラスは透明性を失つて黒色になつていた。
このようにして得られた気体分離体について内外壁面
間電気抵抗値(5点測定)及び供給側圧力を150cm Hg、
透過側圧力を2×10-1cm Hg以下とし温度30℃で空気透
過速度を測定し第1表の結果を得た。又、膜厚を1.1mm
として算出されるO2透過率は9.35×10-5cm3(STP)・cm
/cm2・cm Hg・secであつた。
電気抵抗値は小さくO2/N2の分離係数は高い値を示し
た。電気抵抗値の値から細孔内にN−メチルピロールの
重合体が保持され導電経路が形成されたことがわかる。
又、He,CO2,O2,Ar及びO2の各々の単独気体について供
給側圧力を152cm Hg、透過側圧力を2×10-1cm Hg以下
として温度30℃で透過速度を測定し第2表の結果を得
た。本発明の膜状の気体分離体が各種気体の分離に適用
できることがわかる。
この気体分離体のBET法による比表面積は230m2/gであ
り、チユーブ状多孔質支持体の値(250m2/g)に対して
若干低下していたが、この値から多孔質ガラスの細孔が
殆ど閉塞されていないことがわかる。
又、この気体分離体を微粉砕してO2とN2の吸着等温線
(23℃)を測定したところ第3図の結果が得られた。第
3図の縦軸はN−メチルピロールに対する気体の吸着量
である。O2,N2のいずれの場合も吸着平衡到達時間は5
分以内であり、吸着速度は速かつた。
実施例4 実施例3と同様のチユーブ状多孔質支持体を用い、実
施例1と同様の手順に従つて複合化回数を6回として複
合化を行つたところ第1表の結果が得られた。また供給
側圧力を15cm Hgに変更してガス透過速度を測定したと
ころO2透過速度は6.1×10-7(RU)、N2透過速度は2.0×
10-7(RU)、分離係数は3.1となり、低圧側でのガス透
過速度の増大が認められた。
実施例5 複合化回数を10回とし、その他の条件は実施例4と同
様にして複合化を行つたところ第1表の結果が得られ
た。
また供給側圧力を15cm Hgに変更してガス透過速度を
測定したところO2透過速度は17.4×10-8(RU)、N2透過
速度は3.0×10-8(RU)、分離係数は5.8となり、低圧側
でのガス透過速度の増大が認められた。
実施例6 N−メチルピロールの代わりにピロールを用い、複合
化回数を3回とし、その他は実施例5と同様にして複合
化を行ない、第1表の結果を得た。
また供給側圧力を15cm Hgに変更して測定したところO
2透過速度は13.3×10-8(RU)、N2透過速度は4.43×10
-8(RU)、分離係数は3.0であり、低圧側でのガス透過
速度の増大が認められた。
実施例7 手順1〜4において溶媒としてのアセトニトリルの代
わりに脱イオン水を使用し、その他の条件は実施例6と
同様にして複合化を行ない、第1表の結果を得た。又、
膜厚を1.1mmとして算出されるO2透過率は3.82×10-9cm3
(STP)cm/cm2・cm Hg・secであつた。
比較例2 複合化を行つていない実施例3の多孔質ガラスの内外
壁面間抵抗値とガス透過速度を測定したところ第1表の
結果が得られた。
実施例8 実施例3で用いたのと同様の多孔質ガラスの両端を閉
じその外表面側にのみ金をイオンスパツタリングし導電
性を付与した。イオンスパツタリング装置として日本電
子社製 JFC−1100を用い、真空度は0.1Torr以下、電極
間電圧は1.2KV、時間は5分間とした。
このようにして導電性を付与した多孔質ガラスの外表
面(以下電極面という)を電極として以下の手順に従つ
てN−メチルピロールを電解重合させた。
電解液としてはN−メチルピロールとEt4N+BF4 -各0.
1mol/のアセトニトリル液を用い、対極に白金電極、
参照電極をAg/Ag Cl電極として電解セルにセツトし、電
解液中の溶存酸素と多孔質支持体細孔内のガスを除去し
た後ポテンシオスタツトで電極電位を約1.5Vに設定し電
解重合を行つた。その結果蒸着により導電性を付与した
面にのみ黒色のポリ(N−メチルピロール)の形成が見
られた。
この膜を水、アセトニトリルで洗浄後乾燥し電気抵抗
値を測定したところ電極面については20〜30KΩ/cm、そ
れ以外の面については導電性が認められなかつた。この
膜について空気透過速度を測定したところ第1表の結果
が得られ、酸素の優先的透過が認められた。
また供給側圧力を変化させ、透過速度の圧力依存性を
検討したところ、圧力依存性が認められた。
実施例9 実施例3で用いたのと同様の多孔質ガラスの両端を閉
じ(中空内部に液体が入らないようにして)、(手順
2)と(手順3)の超音波照射時間を各30秒間とし、そ
の他の条件は実施例3と同様の手順で複合化を行ない、
多孔質ガラスの外表面側の細孔内にのみポリ(N−メチ
ルピロール)を保持させた。
このようにして得られた気体分離体の外表面側には約
200μmの厚みの黒色層が存在し外表面側の電気抵抗値
は20〜30KΩ/cmであつた。
実施例10 ホウケイ酸ガラスを溶融した後、実施例3の多孔質ガ
ラスと同じサイズに成形した。この成形物を熱処理によ
つて分相させた後、濃度0.5Mの熱硫酸を用いて溶出成分
を溶出させ多孔質ガラスを得た。この多孔質ガラスを洗
浄、乾燥し、その細孔分布を窒素吸着法により測定し、
第5図の結果を得た。平均孔径は50Åであつたが30〜70
Åの範囲にある細孔の割合は48%であつた。
この多孔質ガラスを用いて実施例3と同様の方法によ
り複合化を行なつた。このようにして得られた気体分離
体の空気透過速度を測定し、第1表の結果を得た。
〔発明の効果〕 実施例で得られた本発明のチユーブ状の気体分離体は
酸素と窒素の分離係数が1.6〜6.9程度と高く、しかもO2
透過率は10-7〜10-9(cm3(STP)・cm/cm2・cm Hg・se
c)のオーダーの値を有している。
即ち本発明のチユーブ状の気体分離体は高い分離係数
を有するとともに現在用いられているガス分離用均質膜
と同等以上の透過性を有しており、その工業的価値は極
めて高い。またこの膜状の気体分離体は空孔率が実施例
のものより大きい多孔質支持体を用いることによつて気
体透過率を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の気体分離体の製造に好適な装置の一例
を示したものである。又、第2図は実施例1で得られた
気体分離体のガス透過速度の圧力依存性を示している。 第3図は実施例3で得られた気体分離体の粉砕物に対す
るO2とN2の吸着等温線を示している。 第4図と第5図はそれぞれ実施例3及び実施例10で用い
られた多孔質ガラスの細孔分布を示している。 1;超音波洗浄器 2;水 3;ガラス製減圧容器 4;溶媒、モノマー溶液又は酸化剤溶液 5;多孔質支持体 6;コツク 7;アスピレーター 8;マノメター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 71/72 B01D 71/72 C08J 9/36 C08J 9/36 (56)参考文献 特開 昭64−38125(JP,A) 特開 昭63−175616(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに連通する平均孔径100Å以下の細孔
    を有するチューブ状多孔質支持体の少なくとも一部の細
    孔内に該細孔を閉塞することなくπ系導電性高分子を保
    持せしめた膜状の気体分離体。
  2. 【請求項2】多孔質支持体の全細孔容積の50%以上の細
    孔が平均孔径±20Åの範囲にあることを特徴とする請求
    項第1項記載の膜状の気体分離体。
  3. 【請求項3】平均孔径100Å以下の微多孔質層と100Åよ
    り大きい平均孔径の多孔質層とからなるチューブ状の多
    孔質支持体の微多孔質層の少なくとも一部の細孔内に該
    細孔を閉塞することなくπ系導電性高分子を保持せしめ
    た膜状の気体分離体。
  4. 【請求項4】微多孔質層の全細孔容積の50%以上の細孔
    が平均孔径±20Åの範囲にあることを特徴とする請求項
    第3項記載の膜状の気体分離体。
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