JP2706316B2 - 半導体レーザ装置の製造方法 - Google Patents

半導体レーザ装置の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、半導体レーザ装置の製造方法に関するも
のである。
〔従来の技術〕
近年、AlGaAs系可視半導体レーザ装置は、コンパクト
ディスクやレーザディスクなどの光学ディスクに対する
記録・再生用の光源などとして急速に需要が拡大してき
ている。このような要求を満たすべく、各種の構造を有
する半導体レーザ装置が研究・開発され実用化されてき
ている。
半導体レーザ装置では、発振効率の向上などの観点か
ら、注入電流の拡がりを抑制して電流が注入される活性
領域を制限する必要があり、前記活性領域をストライプ
状に制限したストライプ構造のものが従来より用いられ
ている。前記ストライプ構造には種々のものが提案され
ており、それらの中で結晶の内部に電流狭窄のためのス
トライプを設けた内部ストライプ構造の半導体レーザ装
置では、活性領域の極近傍で電流狭窄を行うので電流の
拡がりを充分に抑えることができ、したがって低閾値電
流でのレーザ発振を実現することが可能である。
第2図には、上述のような内部ストライプ構造を有す
る半導体レーザ装置の構造が示されている。この半導体
レーザ装置は、n−GaAs基板1表面に順に、n−GaAsバ
ッファ層2、n−AlyGa1-yAsクラッド層3、AlxGa1-xAs
活性層4、p−AlyGa1-yAsクラッド層5、n−GaAs電流
ブロッキング層7、およびp−GaAsキャップ層8が積層
されて構成されている。9はp型オーミック電極であ
り、10はn型オーミック電極である。
次にこの半導体レーザ装置の製造方法を説明する。先
ずn−GaAs基板1表面に順に、n−GaAsバッファ層2、
n−AlyGa1-yAsクラッド層3、AlxGa1-xAs活性層4、お
よびp−AlyGa1-yAsクラッド層5を結晶成長させた後、
このp−AlyGa1-yAsクラッド層5をメサ形状にエッチン
グする。次に、n−GaAs電流ブロッキング層7を結晶成
長させた後、大気中に取り出してn−GaAs電流ブロッキ
ング層7をストライプ状に化学エッチングして、第2図
の紙面に垂直な方向に延びるストライプ部11を形成し
て、このストライプ部11でp−AlyGa1-yAsクラッド層5
を露出させる。
化学エッチング後、水洗および乾燥を行い、この後に
p−GaAsキャップ層8を成長させ、最後にオーミック電
極9,10を形成する。
このようにして作製された半導体レーザ装置では、ス
トライプ部11以外の部分では、p−GaAsキャップ層8、
n−GaAs電流ブロッキング層7、p−AlyGa1-yAsクラッ
ド層5の順でp−n−p接合が形成されているため電流
がほとんど流れず、ストライプ部11直下の領域のみに効
率良く電流が注入され、このようにしてストライプ部11
近傍の活性領域に集中的にキャリヤが注入されるので、
低閾値電流でのレーザ発振が可能となる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述のような半導体レーザ装置の製造方法において
は、n−GaAs電流ブロッキング層7に化学エッチングを
施してストライプ部11を形成した直後にはp−AlyGa1-y
Asクラッド層5が露出している。しかしながらこのp−
AlyGa1-yAsクラッド層5は化学的に非常に活性であるた
め、このストライプ部11から露出するp−AlyGa1-yAsク
ラッド層5表面には、p−GaAsキャップ層8の形成前
に、大気中の酸素との反応により酸化膜が形成されてし
まう。このためこの酸化膜上に成長させられるp−GaAs
キャップ層8などは、その結晶性が著しく悪化し、さら
にp−AlyGa1-yAsクラッド層5とp−GaAsキャップ層8
との界面に高抵抗層が形成されることになり、半導体レ
ーザ装置の直列抵抗が著しく大きくなるという問題があ
った。
この発明の目的は、結晶性が改善されるとともに、直
列抵抗が低減される半導体装置の製造方法を提供するこ
とである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明の半導体レーザ装置の製造方法は、アルミニ
ウムを含む第1の半導体層上に気相成長法により表面保
護層を形成し、前記表面保護層を含む第1の半導体層を
メサ形状に化学エッチングし、この化学エッチングによ
り露出した前記第1の半導体層上、およびこの第1の半
導体層上に残された前記表面保護層上に電流ブロッキン
グ層を形成し、前記表面保護層上の電流ブロッキング層
に溝状のストライプ部を形成し、前記電流ブロッキング
層上に前記表面保護層と同一の材料からなる第2の半導
体層を形成するものである。
〔作用〕
この発明の構成によれば、Alを組成に含む活性な第1
の半導体層の形成の後に、この第1の半導体層の表面を
保護する表面保護層が連続して形成され、この状態で大
気中に取り出されるので、前記第1の半導体層表面に酸
化膜が形成されたりすることを防ぐことができる。しか
も、前記表面保護層は第1の半導体層上に形成すべき第
2の半導体層と同一材料からなり、この表面保護層表面
に酸化膜が形成されることはない。このため、前記表面
保護層上に形成されることになる第2の半導体層は良好
な結晶性を有することができ、さらに第1および第2の
半導体層間に高い抵抗値を有する酸化膜が介在すること
なはい。
〔実施例〕
第1図はこの発明の一実施例の半導体レーザ装置の製
造方法を説明するための断面図である。この第1図にお
いて、前述の第2図に示された各部と同等の部分には同
一の参照符号を付して示す。
以下、この実施例の半導体レーザ装置の製造方法につ
いて説明する。先ず第1図(1)に示すように、n−Ga
As(100)基板1上に0.5μmのn−GaAsバッファ層2、
1.0μmのn−AlyGa1-yAsクラッド層3、0.08μmのAlx
Ga1-xAs活性層4、第1の半導体層である1.0μmのp−
AlyGa1-yAsクラッド層5、0.01μmのp−GaAs表面保護
層6をMOCVD法により順次成長させる。
次に、半導体レーザ装置を大気中に取り出し、第1図
(2)に示すように、p−AlyGa1-yAsクラッド層5およ
びp−GaAs表面保護層6を幅5μm,高さ0.8μmのメサ
形状に化学エッチングする。このとき、化学エッチング
により露出したp−AlyGa1-yAsクラッド層5の表面は酸
化されるが、この部分はレーザ発振に寄与する部分では
ないので、レーザ発振には何ら支障はない。
続いて第1図(3)に示すように、0.5μmのn−GaA
s電流ブロッキング層7を結晶成長させる。
次に第1図(4)に示すように、n−GaAs電流ブロッ
キング層7のメサ形状部の上部のみを表面から0.45μm
だけ化学エッチングしてストライプ部11を形成する。
最後に第1図(5)に示すように第2の半導体層であ
る0.5μmのp−GaAsキャップ層8を結晶成長し、さら
にp型のオーミック電極9及びn型のオーミック電極10
を形成する。
このような製造方法によれば、化学エッチングを施し
た直後(第1図(2))の基板表面において電流経路と
なるべきメサ形状部の上部は、p−GaAsキャップ層8と
同一材料からなる薄いp−GaAs表面保護層6に覆われて
おり、したがってこの部分はほとんど酸化されない。し
たがってストライプ部11上に形成されるn−GaAs電流ブ
ロッキング層7、p−GaAsキャップ層8などの結晶性を
良好なものとすることができる。p−GaAs表面保護層6
はAlを組成に含まず、したがって化学的に活性ではない
ので、その表面に高抵抗層が形成されたりすることはな
い。
しかもp−GaAsキャップ層8を結晶成長する過程で、
このp−GaAsキャップ層8からのp型ドーパントZnの熱
拡散が生じ、メサ形状部の上部に薄く残したn−GaAs電
流ブロッキング層7は、p型に改質される。このため、
ストライプ部11において、p−n−p接合が形成される
ことはない。
このようにして、上述のようにして作製された半導体
レーザ装置では、その結晶性が良好であるとともに直列
抵抗が非常に小さくなる。本件発明者らの実験によれ
ば、この実験例に基づいて製造した内部ストライプ型半
導体レーザ装置(共振器長250μm)の順方向電流10mA
時における直列抵抗は130Ωであり、従来技術に基づい
て製造したものの等条件下での直列抵抗180〜200Ωをは
るかに下回るものであった。
前述の実施例では、n−GaAs電流ブロッキング層7を
エッチングしてストライプ部11を形成する際に、このn
−GaAs電流ブロッキング層7においてそのp−GaAs表面
保護層6上の部分を薄く残すようにしたが、前記ストラ
イプ部11の形成の際には、このストライプ部11からp−
GaAs表面保護層6を露出させるようにしてもよい。
また、p−AlyGa1-yAsクラッド層5およびこのp−Al
yGa1-yAsクラッド層5上に残されたp−GaAs表面保護層
6上にn−GaAs電流ブロッキング層7を形成し、その
後、p−GaAs表面保護層6上のn−GaAs電流ブロッキン
グ層7に溝状のストライプ部11を形成することにより、
煩雑な公定を有する選択成長の方法を用いずに、n−Ga
As電流ブロッキング層7を形成、加工することができ
る。
なお、この発明はGaAs/AlGaAs系の半導体レーザ装置
に限らず、Alを含むあらゆる化合物半導体により製造さ
れる半導体装置に対して広く適用することができるもの
である。
〔発明の効果〕
この発明の半導体装置の製造方法によれば、Alを組成
に含む活性な第1の半導体層の形成の後に、この第1の
半導体層の表面を保護する表面保護層が連続して形成さ
れ、この状態で大気中に取り出されるので、前記第1の
半導体層表面に酸化膜が形成されたりすることを防ぐこ
とができる。しかも、前記表面保護層は第1の半導体層
上に形成すべき第2の半導体層と同一材料からなり、こ
の表面保護層表面には酸化膜が形成されることはない。
このため、前記表面保護層上に形成されることになる第
2の半導体層は良好な結晶性を有することができ、表面
保護層と第2の半導体層の間の電位障壁がなく、さらに
第1および第2の半導体層間に高い抵抗値を有する酸化
膜が介在することがない。したがって、半導体レーザ装
置の動作電圧および直列抵抗を低減することができる。
また、第1の半導体層およびこの第1の半導体層上に
残された表面保護層上に電流ブロッキング層を形成し、
その後、表面保護層上の電流ブロッキング層に溝状のス
トライプ部を形成することにより、煩雑な工程を有する
選択成長の方法を用いずに、電流ブロッキング層を形
成、加工することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例の半導体装置の製造方法を
説明するための断面図、第2図は従来から用いられてい
る半導体レーザ装置の基本的な構成を示す断面図であ
る。 5……p−AlyGa1-yAsクラッド層(第1の半導体層)、
6……p−GaAs表面保護層、7……n−GaAs電流ブロッ
キング層、8……p−GaAsキャップ層(第2の半導体
層)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−78290(JP,A) 特開 昭62−200785(JP,A) 特開 昭62−296577(JP,A) 特開 昭63−314883(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウムを含む第1の半導体層上に気
    相成長法により表面保護層を形成し、前記表面保護層を
    含む第1の半導体層をメサ形状に化学エッチングし、化
    学エッチングにより露出した前記第1の半導体層上、お
    よびこの第1の半導体層上に残された前記表面保護層上
    に電流ブロッキング層を形成し、前記表面保護層上の電
    流ブロッキング層に溝状のストライプ部を形成し、前記
    電流ブロッキング層上に前記表面保護層と同一の材料か
    らなる第2の半導体層を形成することを特徴とする半導
    体レーザ装置の製造方法。
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