JP2705449B2 - プレス型のクッションピン均圧化装置 - Google Patents

プレス型のクッションピン均圧化装置

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JP2705449B2
JP2705449B2 JP4114087A JP11408792A JP2705449B2 JP 2705449 B2 JP2705449 B2 JP 2705449B2 JP 4114087 A JP4114087 A JP 4114087A JP 11408792 A JP11408792 A JP 11408792A JP 2705449 B2 JP2705449 B2 JP 2705449B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プレス型におけるク
ッションピンの均圧化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の均圧化装置には、例えば
実公平2−39622号公報あるいは実開平1−607
21号公報等に開示されたものがあった。
【0003】同装置は、上記公報から援用した図3に示
すように、リング状シワ押え6を介して被プレス材Wを
下型3の所定レベルに支持する複数のクッションピン7
〜7を、それぞれダイクッション9のクッションパッド
10に連結するための油圧シリンダ8〜8を備えてお
り、各油圧シリンダ8〜8は共通の油圧マニホールド1
5に接続され、この油圧マニホールド15はフレキシブ
ルチューブ16および逆止弁21を介して給油手段20
に接続されている。逆止弁21は給油方向にのみ油を通
す方向で用いられている。
【0004】このように、各油圧シリンダ8〜8が逆止
弁21を介して給油手段20に接続されることにより、
各油圧シリンダ8〜8内の油圧が給油手段20で設定さ
れる設定プリロード油圧よりも低くなった場合には同給
油手段20から油圧マニホールド15内に油が供給され
て各油圧シリンダ8〜8のプリロード油圧が設定プリロ
ード油圧に維持され、逆に、可動型である上型1の加圧
時等において油圧シリンダ8〜8内の油圧が設定プリロ
ード油圧よりも高圧になっても、油が給油手段20側に
逆流しないようになっている。
【0005】このように構成された均圧化装置によれ
ば、各クッションピン7〜7間のクッション圧のバラツ
キが吸収されて、被プレス材Wに作用するしわ押え力は
均圧に保持されることから、精度の高いプレス成形を行
うことができる。
【0006】なお、ダイクッション9は、クッションパ
ッド10を支持するクッションシリンダ11を備えてお
り、このクッションシリンダ11にはエア圧源12から
エアレギュレータ13で設定される所定圧の圧縮エアが
エアタンク14を経て供給されるよう構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の均圧化装置にあっては次のような問題があった。す
なわち、上型1が下降して被プレス材Wに衝突した瞬間
には、各クッションピン7〜7には衝撃的な荷重が負荷
され、この衝撃荷重は各油圧シリンダ8〜8を介してダ
イクッション9に伝達される。
【0008】ここで、ダイクッション9のエア圧は、上
記油圧シリンダ8内の油圧よりも低いことが一般的であ
るので、上記衝撃荷重によりクッションパッド10に固
定された油圧シリンダ8のケース部8aは、クッション
ピン7すなわち油圧シリンダ8のピストン部8bよりも
大きな距離だけ瞬間的に下方に移動することとなり、同
ピストン部8bはケース部8aに追従することができ
ず、従って、この油圧シリンダ8内の油圧が瞬間的に給
油手段20側で設定されている設定プリロード油圧より
も低くなるという現象が発生する。その結果、瞬間的に
油圧シリンダ8〜8に油が供給される(以下、「ポンピ
ング現象」ともいう)こととなり、1ショット終了後、
上型1が上死点に到った時点での各油圧シリンダ8〜8
のプリロード油圧は、衝突前のそれより上昇するという
問題が発生する。
【0009】そして、このポンピング現象は1ショット
毎に繰り返されて、プリロード油圧は徐々に上昇し、こ
れにより各油圧シリンダ8〜8のクッションピン長さ誤
差等の吸収機能および衝撃吸収能力は極度に低下し、最
終的には油圧シリンダ8の油漏れあるいは破損を招く事
態となっていた。
【0010】さらに、油圧マニホールド15すなわち各
油圧シリンダ8〜8の油圧は、外気温の上昇あるいはプ
レス型の放熱等の外的要因によっても上昇することか
ら、例えばショット数の増加に伴うプレス型の放熱によ
り各油圧シリンダ8〜8のプリロード油圧は徐々に上昇
することとなり、この点でも上記ポンピング現象と同様
のトラブルを発生する要因となっていた。
【0011】本発明は、これら従来の均圧化装置に関す
る問題を解決するためになされたもので、各油圧シリン
ダのプリロード油圧を給油手段側で設定される設定プリ
ロード油圧に確実に保持しておくことが可能なプレス型
のクッションピン均圧化装置を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記従
来の問題点を解決するために、クッションピンを支持す
る油圧シリンダが、給油方向にのみ油を通す逆止弁を介
して給油手段に接続されてなるプレス型のクッションピ
ン均圧化装置に、前記油圧シリンダと前記給油手段とを
連通する油路に介装されて、該油路を、可動型が被プレ
ス材に衝突する以前に閉じ、該閉じ状態を前記油圧シリ
ンダの油圧が設定プリロード油圧以上に復帰するまでの
間は保持する第1の開閉弁と、前記油圧シリンダと前記
逆止弁との間における前記油路と前記給油手段の油タン
クとを連通する分岐油路に介装されて、該分岐油路を、
可動型が上昇に転じた後に開き、該開き状態を遅くとも
前記第1の開閉弁が閉状態となる直前までの間は保持し
て前記油圧シリンダの油を前記油タンクに還流する第2
の開閉弁を付加したことを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明は上記構成としたことにより、油圧シリ
ンダのプリロード油圧は、第1の開閉弁による第1の安
全回路と第2の開閉弁による第2の安全回路とによっ
て、給油手段側で設定される設定プリロード油圧に確実
に保持される。
【0014】すなわち、第1の安全回路によれば、遅く
とも可動型が被プレス材に衝突する直前から、早くとも
油圧シリンダの油圧が設定プリロード油圧以上に復帰す
るまでの間第1の開閉弁は閉側に作動して、油圧シリン
ダと給油手段との間の油路が遮断されて給油手段から油
圧シリンダに給油不能とされ、これにより可動型の衝突
時において瞬間的に各油圧シリンダ内の油圧が設定プリ
ロード油圧よりも低くなっても同油圧シリンダ内に油は
供給されない。
【0015】一方、第2の安全回路によれば、可動型が
上昇に転じた後から、遅くとも第1の開閉弁が次ショッ
トにおいて閉状態とされるまでの間における適宜時間の
間第2の開閉弁が開側に作動して、油圧シリンダの油が
分岐油路を経て油タンクに還流される。油圧シリンダの
油が油タンクに還流されると、同油圧シリンダの油圧は
設定プリロード油圧以下に低下する。油圧シリンダの油
圧が設定プリロード油圧以下に低下すると、この低下分
を補うべく給油手段から油圧シリンダに油が供給され
て、油圧シリンダのプリロード油圧は設定プリロード油
圧にまで回復される。これが、ショット毎に実行される
ので、何らかの外的要因によりシリンダの油温が上昇し
てもプリロード油圧は常に設定プリロード油圧に維持さ
れる。
【0016】
【実施例】次に、本発明の実施例を図1および図2に基
づいて説明する。なお、図1においてプレス型本体側
(フレキシブルチューブ16より図示左側)の構成は、
後述するリミットスイッチ27a,27b,33a,3
3bが取り付けられた点以外は従来のものに比して特に
変更を要するものではないので、その説明は省略すると
ともに図では同位の符号を付して示した。
【0017】さて、上記フレキシブルチューブ16と逆
止弁21との間において油路17には、第1の開閉弁2
5が接続されている。この第1の開閉弁25は2ポート
2ポジションの電磁開閉弁であって、後述するように電
気信号により作動して油圧マニホールド15と給油手段
20との間の油路17を連通または遮断の切換えができ
るように接続されており、これにより第1の安全回路が
構成されている。
【0018】一方、プレス型本体側には、可動型である
上型1が所定の位置を通過するタイミングを検出するた
めのリミットスイッチ27a,27b,33a,33b
が取付けられている。リミットスイッチ27aは、上型
1が被プレス材Wに衝突する直前の位置に到った時に、
また、リミットスイッチ27bは上型1が下死点に到っ
た時にそれぞれ作動するように取付けられており、これ
により上型1が所定の位置を通過するタイミングを区別
して検出できるように取付けられている。なお、リミッ
トスイッチ33a,33bについては後述する。
【0019】両リミットスイッチ27a,27bは、開
閉弁コントローラ(以下、単に「コントローラ」とい
う)26に継電接続されている。このコントローラ26
は所定のプログラムが記憶されたシーケンサであって、
その入力側に両リミットスイッチ27a,27bが接続
される一方、出力側には上記した第1の開閉弁25が継
電接続されている。
【0020】そして、このコントローラ26は記憶され
たプログラムにより、リミットスイッチ27aまたは2
7bにより検出される上型1の所定の位置を通過するタ
イミングに基づいて第1の開閉弁25を作動するように
なっている。この第1の開閉弁の作動については後述す
る。
【0021】次に、第2の安全回路について説明する。
上記第1の開閉弁25と逆止弁21の間における油路1
7には分岐油路30が接続されている。この分岐油路3
0の先端側は、第2の開閉弁31および逆止弁32を経
て給油手段20の油タンク20aに浸積されている。逆
止弁32は、油を油タンク20aに戻す方向にのみ通す
ように接続されている。
【0022】第2の開閉弁31は、第1の開閉弁25と
同様に2ポート2ポジションの電磁開閉弁であって、後
述するように電気信号により作動して分岐油路30を連
通または遮断の切換えができるように接続されており、
これにより第2の安全回路が構成されている。
【0023】この第2の開閉弁31も前記したコントロ
ーラ26の出力側に継電接続されている。一方、プレス
型本体側に取り付けられたリミットスイッチ33a,3
3bにより上型1が所定の位置を通過するタイミングが
検出され、この検出信号はコントローラ26に入力さ
れ、コントローラ26はこれに基づいて第2の開閉弁3
1を作動するようになっている。この第2の開閉弁31
の作動については後述する。
【0024】次に、図1中34は油路17に接続された
プレッシャスイッチであって、油路17の油圧すなわち
油圧シリンダ8〜8のプリロード油圧が一定圧(本例で
は15kg/cm2 )以下になるとこのプレッシャスイ
ッチ34がオフして、インタロック機能が作動するよう
になっている。すなわち、均圧化装置の油圧回路が異常
低下すると、上型1の作動が停止され、均圧化装置の損
傷等が回避されるようになっている。油圧シリンダ8の
プリロード油圧が一定圧(本例では20kg/cm2
以上であれば、プレッシャスイッチ34はオン状態とな
って、上型1は作動可能であり、プレス機械が稼働可能
な状態とされる。
【0025】図中40,50,60は、本例の均圧化装
置における設定プリロード油圧を設定するための回路で
あり、各設定回路40〜60を切り換えることにより、
設定プリロード油圧を三段階に設定できるようになって
いる。この設定回路40〜60については、本発明とは
直接の関係はないのであるが、以下その構成を簡単に説
明する。
【0026】各設定回路40〜60は、それぞれ4ポー
ト2ポジションの電磁開閉弁41,51,61と、この
電磁弁41,51,61の出力ポート側に接続されたレ
ギュレータ42,52,62と、その出力側に接続され
た逆止弁43,53,63等を主要部品として構成され
ている。レギュレータ42,52,62の設定圧は、そ
れぞれ25kg/cm2 、50kg/cm2 、75kg
/cm2 とされている。また、各逆止弁43,53,6
3は、油圧シリンダ8〜8側に給油する方向にのみ油を
通すように接続されている。
【0027】各電磁開閉弁41,51,61の入力ポー
トは油路70に接続され、この油路70は油圧ポンプ2
0bに接続されている。この油圧ポンプ20bは、少な
くとも75kg/cm2 以上の圧力で油を吐出可能な高
出力タイプのものが用いられている。
【0028】以上のように各設定回路40〜60が構成
されており、本例の均圧化装置における設定プリロード
油圧は、25,50,75kg/cm2 の三段階に切換
え可能となっている。
【0029】次に、前記した第1および第2の開閉弁2
5,31の作動状態を、上型1の動きをクランク角度に
対応して示した図2に基づいて説明する。
【0030】図2において、A点は上型1の上死点であ
ってクランク角度0°の位置であり、B点はその下死点
であってクランク角度が180°の位置であり、C点は
上型1が下降して被プレス材Wに衝突する時点に対応し
ている。そして、クランクが図示右廻りに一回転するこ
とで上型1が一往復し、これによりプレス成形の1ショ
ットがなされる。
【0031】先ず、第1の開閉弁25の作動について説
明する。上型1が上死点Aから下降して被プレス材Wに
衝突する直前の位置すなわちクランク角度がC点に到る
直前の位置Dにおいてリミットスイッチ27aがオンと
なり、この検出信号がコントローラ26に入力され、こ
れによりコントローラ26は第1の開閉弁25を閉側に
作動させ油路17を遮断する。クランク角度がC点に到
って上型1が被プレス材Wに衝突すると、各油圧シリン
ダ8〜8の油圧が瞬間的に設定プリロード油圧よりも低
くなる。この時点においては、第1の開閉弁25は閉側
に作動して油路17は遮断状態となっている。この遮断
状態は、上型1が下死点Bに到るまで保持され、上型1
が下死点Bに到った時点においては、油圧シリンダ8の
油圧は設定プリロード油圧以上に復帰している。
【0032】次に、上型1が下死点Bに到るとリミット
スイッチ27bが作動し、その検出信号がコントローラ
26に入力され、これにより第1の開閉弁25が開側に
作動されて給油手段20と各油圧シリンダ8〜8とが再
び連通状態とされる。この連通状態は、上型1が上昇に
転じて上死点Aに戻り、次のショットにおいて上型1が
再度下降してクランク角度がD点に到りリミットスイッ
チ27aがオンするまで保持される。
【0033】なお、上記したように上型1が下死点Bに
到った時点では、油圧シリンダ8内の油圧はすでに設定
プリロード油圧あるいはそれよりも高い状態にあること
から、本例ではこの時点を第1の開閉弁25を開側に作
動させるタイミングとしたものであり、このタイミング
はそれ以前であっても油圧シリンダ8内の油圧が瞬間的
に設定プリロード油圧よりも低くなる状態からそれ以上
の油圧に復帰する時点以後で適宜設定すればよい。
【0034】また、上型1の上昇過程においては、リミ
ットスイッチ27aが作動しても第1の開閉弁25は作
動せず開状態のままであるようにコントローラ26がプ
ログラムされている。
【0035】次に、第2の開閉弁31の作動について説
明する。この第2の開閉弁31は上型1の下降に伴う加
圧時等の常時には閉側に作動しており、分岐油路30は
遮断状態とされている。
【0036】そして、被プレス材Wの加圧終了後におけ
る上型1の上昇過程において、クランク角度がF点(図
ではクランク角度300°で示した)に到るとリミット
スイッチ33bがオン作動し、これがコントローラ26
に入力されて第2開閉弁31は開側に作動され、分岐油
路30が開状態とされ、油路17と油タンク20aが連
通される。これにより、油圧シリンダ8〜8および油路
マニホールド15内の油が油タンク20aに流出され、
油圧シリンダ8〜8の油圧は徐々に低下してゆく。
【0037】この時点において、第1の開閉弁25は開
状態にあり、油路17と給油手段20とが接続された状
態にあるので、油圧シリンダ8〜8の油圧が低下して設
定プリロード油圧以下になると、給油手段20から油が
供給されて各油圧シリンダ8〜8の油圧が設定プリロー
ド油圧に保持される。すなわち、油圧シリンダ8〜8の
油が分岐油路30を経て給油手段20側(油タンク20
a)に戻される一方、給油手段20からは油圧シリンダ
8〜8に給油されて、均圧化装置の油圧回路において油
が還流されることにより各油圧シリンダ8〜8の油圧が
設定プリロード油圧に設定しなおされるのである。
【0038】この第2の開閉弁31の開状態は、上型1
がさらに上昇してクランク角度がG点(図ではクランク
角度330°で示した)に到ると、リミットスイッチ3
3aがオン作動し、これがコントローラ26に入力され
て第2の開閉弁31が閉側に作動され、分岐油路30が
遮断される。これにより、油の還流は停止され、油圧シ
リンダ8〜8のプリロード油圧は設定プリロード油圧に
保持される。
【0039】なお、クランク角度がF点に到ってリミッ
トスイッチ33bがオンになると、上記したように第2
の開閉弁31が開状態とされるとともに、前記したプレ
ッシャスイッチ34によるインタロック機能が無効とさ
れる。これにより、油圧シリンダ8〜8の油圧が15k
g/cm2 以下に低下しても、インタロックが作動せず
上型1はそのまま上昇して上死点Aに戻る。
【0040】このプレッシャスイッチ34によるインタ
ロック解除の状態は、第2の開閉弁31が閉じられて油
圧シリンダ8〜8のプリロード油圧が設定プリロード油
圧に設定しなおされた後(本例では上型1が上死点Aに
到った時点)まで実行される。すなわち、上型1が上死
点Aに到ってリミットスイッチ27aがオンすると、プ
レッシャスイッチ34によるインタロック機能が有効と
なるようコントローラ26はプログラムされている。
【0041】なお、上型1の上昇過程におけるクランク
角度F−A間においてのみ、プレッシャスイッチ34に
よるインタロックが解除されるのであり、その他の領域
においてはインタロックは有効に作動して、油圧の異常
低下による均圧化装置の破損等のトラブルが未然に回避
されるようになっている。
【0042】本例は以上のように構成したものであり、
この構成によれば以下に述べるような作用効果を奏す
る。先ず、上型1が上死点Aにある時には、リミットス
イッチ27a,27b,33a,33bはすべてオフ状
態にあり、第1の開閉弁25は開状態とされて給油手段
20と各油圧シリンダ8〜8とは接続された状態にあ
る。また、第2の開閉弁31は閉状態にあって分岐油路
30は遮断された状態となっている。この時の油圧シリ
ンダ8〜8のプリロード油圧が、給油手段20において
設定回路40〜60を選択して設定された設定プリロー
ド油圧よりも低い場合には、各油圧シリンダ8〜8側に
油が供給されてプリロード油圧は設定プリロード油圧に
一致するよう補正される。
【0043】次に、プレス機械が作動して上型1が下降
し被プレス材Wに衝突する直前の位置Dに到ると、この
タイミングがリミットスイッチ27aによって検出さ
れ、この検出信号がコントローラ26に入力される。こ
れにより、第1の開閉弁25は閉側に切り換わり、給油
手段20と各油圧シリンダ8〜8との間の接続が遮断さ
れる。この遮断状態は、上型1が下死点Bに到るまで保
持され、その間、油圧マニホールド15および各油圧シ
リンダ8〜8に油が供給されることはない。
【0044】上型1が下死点Bに到ると、そのタイミン
グがリミットスイッチ27bによって検出され、その検
出信号がコントローラ26に入力される。これにより、
第1の開閉弁25がふたたび開側に切り換わり、給油手
段20と油圧シリンダ8〜8が接続状態に復帰される。
以後、この接続状態は、上型1が上死点に到り再度被プ
レス材Wに衝突する直前の位置Dに到るまで保持され
る。
【0045】このように、プレス成形の1ショットにお
いて、給油手段20と各油圧シリンダ8〜8との間の接
続が、上型1が被プレス材Wに衝突して各油圧シリンダ
8内の油圧が瞬間的に設定プリロード油圧よりも低くな
る間遮断されるのである。
【0046】このことから、上型1の衝突直後において
各油圧シリンダ8〜8の油圧が設定プリロード油圧より
も低くなっても、給油手段20から各油圧シリンダ8〜
8に油が供給されることはなく、従って、油圧シリンダ
8内のプリロード油圧がショット毎に上昇することはな
く、常時設定プリロード油圧に維持される。
【0047】さらに、本例の均圧化装置においては、上
型1の上昇過程におけるクランク角度F−G間におい
て、第2の開閉弁31が開側に作動されて油圧シリンダ
8〜8の油が油タンク20aに戻され、かつこれに伴っ
て各油圧シリンダ8〜8には給油手段20から油が供給
される。これにより、油圧シリンダ8〜8のプリロード
油圧は、1ショット毎にキャンセルされ、あらためて設
定プリロード油圧に設定しなおされることとなる。
【0048】従って、外気温あるいはプレス型の放熱等
の外的要因によって、油温が上昇してプリロード油圧が
上昇した場合であっても、上昇したままのプリロード油
圧下でプレス成形が行われることはなく、1ショット毎
に油圧シリンダ8〜8のプリロード油圧を設定プリロー
ド油圧に設定しなおした上でプレス成形がなされること
となる。
【0049】このように、本例の均圧化装置によれば、
第1の開閉弁25による第1の安全回路と第2の開閉弁
31による第2の安全回路が適切なタイミングで作動
し、ショット毎のポンピング現象あるいはプレス型の放
熱等の種々要因によっても油圧シリンダ8〜8のプリロ
ード油圧は常時設定プリロード油圧に維持される。
【0050】このことから、生産途中においてクッショ
ンピンの衝撃吸収機能等が低下することによる、例えば
製品のワレ、シワあるいは歪み等の品質劣化を来すこと
なく安定した品質のプレス品を供給することができ、さ
らには従来多発していた油圧シリンダの油漏れ、破損等
の不具合をなくすことができる。
【0051】また、油圧シリンダ8〜8のプリロード油
圧はショット毎に変動することはなく常時設定プリロー
ド油圧に保持されるので、より安定した品質のプレス成
形をすることができるようになる。
【0052】なお、本例では第1および第2の開閉弁2
5,31を2ポート2ポジションの電磁バルブで例示し
たがこれに限定されるものではなく、機械式あるいは油
空圧式の開閉弁を用いてもよく、要はコントローラ26
により作動して給油手段20からの給油を遮断可能、あ
るいは分岐油路30を開閉して油路15と油タンク20
aとを連通または遮断の切換え可能なものであればよ
い。
【0053】また、本例ではリミットスイッチ27a,
27b,33a,33bで例示したが例えば非接触タイ
プの光電センサーであってもよく、さらには、上型1が
所定の位置を通過するタイミングを直接検出することと
はしないで例えばプレス機械のクランク角度を検知する
ことで間接的に検出するよう構成してもよい。
【0054】さらに、上型1が所定の位置を通過するタ
イミングをリミットスイッチ27a,27b,33a,
33bでなく、タイマーを用いることによって検出する
こととしてもよい。すなわち、上型1が上死点から下降
して所定の時間を経過した時点で第1の開閉弁25を閉
じ、さらに所定の時間経過した時点で第1の開閉弁25
を再度開側に作動させるように構成してもよく、これは
第2の開閉弁31についても同様である。
【0055】
【発明の効果】本発明は、第1および第2の開閉弁によ
る二つの安全回路を設け、それぞれを可動型が所定の位
置を通過するタイミングに応じて作動させることによ
り、ショット毎のポンピング現象によるプリロード油圧
の上昇およびプレス型の放熱等の外的要因によるプリロ
ード油圧の上昇を未然回避する構成としたことから、ク
ッションピン均圧化装置における油圧シリンダの破損等
の不具合を未然に防止することができるばかりでなく、
より一層品質の安定したプレス成形を行うことができる
ようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に関し、クッションピン均圧化
装置の全体図である。
【図2】上型の位置をクランク角度に対応させて示した
第1および第2の開閉弁の作動説明図である。
【図3】従来のクッションピン均圧化装置の全体図であ
る。
【符号の説明】
1…上型(可動型) 7…クッションピン 8…油圧シリンダ 9…ダイクッション 20…給油手段、20a…油タンク、20b…油圧ポン
プ 21,32,43,53,63…逆止弁 25…第1の開閉弁 26…開閉弁コントローラ 27a,27b…リミットスイッチ 30…分岐油路 31…第2の開閉弁 33a,33b…リミットスイッチ 34…プレッシャスイッチ 40,50,60…設定プリロード油圧設定回路 W…被プレス材

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クッションピンを支持する油圧シリンダ
    が、給油方向にのみ油を通す逆止弁を介して給油手段に
    接続されてなるプレス型のクッションピン均圧化装置
    に、 前記油圧シリンダと前記給油手段とを連通する油路に介
    装されて、該油路を、可動型が被プレス材に衝突する以
    前に閉じ、該閉じ状態を前記油圧シリンダの油圧が設定
    プリロード油圧以上に復帰するまでの間は保持する第1
    の開閉弁と、前記油圧シリンダと前記逆止弁との間にお
    ける前記油路と前記給油手段の油タンクとを連通する分
    岐油路に介装されて、該分岐油路を、可動型が上昇に転
    じた後に開き、該開き状態を遅くとも前記第1の開閉弁
    が閉状態となる直前までの間は保持して前記油圧シリン
    ダの油を前記油タンクに還流する第2の開閉弁を付加し
    たことを特徴とするプレス型のクッションピン均圧化装
    置。
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