JP2703604B2 - 磁気特性の良好な方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の良好な方向性けい素鋼板の製造方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 数年前のエネルギー危機を境にして、電力損失のより
少ない電気機器を求める傾向が一段と強まり、それらの
鉄心材料として、鉄損のより低い電磁鋼板が要請されて
いる。
この発明は、上記の要請に有利に応えるもので、磁気
特性はもとよりのこと被膜密着性にも優れる方向性けい
素鋼板の有利な製造方法に関するものである。
(従来の技術) 従来の一方向性けい素鋼板の製造方法は、たとえばSi
を2.0〜4.0wt%(以下単に%で示す)含有させた素材
を、熱間圧延したのち、1回または2回の冷間圧延によ
って最終板厚とし、脱炭焼鈍後、MgOを主成分とする焼
鈍分離剤を塗布してからコイルに巻き取り、ついで2次
再結晶焼鈍および純化焼鈍を行い、しかるのち必要に応
じてりん酸塩系絶縁コーティングを施す方法が通常行わ
れている。さらにこのりん酸塩系絶縁コーティングに張
力付与機能を付加することによって、磁歪や鉄損の一層
の改善を図っている。
なお上記の純化焼鈍の際には、脱炭焼鈍時に鋼板表面
に生成したSiO2を主成分とする酸化層と焼鈍分離剤中の
MgOとが反応してフォルステライト(Mg2SiO4)被覆が形
成されるが、このフォルステライト被覆はそれ自体絶縁
性を有するだけでなく、重ねて被成される絶縁コーティ
ングとの密着性を保つバインダーとしての役割もはたし
ている。
一方向性けい素鋼板は、上記の工程を通じて製品の2
次再結晶粒を(110)〔001〕すなわちゴス方位に集積さ
せたもので、主として変圧器その他の電気機器の鉄心と
して使用される。このため一方向性けい素鋼板の特性と
しては、磁束密度(B10値で代表される)が高いこと、
ならびに鉄損(W17/50値で代表される)が低いことが
要求される。特に最近では省エネルギーの見地から、変
圧器等の電力損失を少なくするためより一層の鉄損の低
減が望まれている。
ところでけい素鋼板の鉄損は、渦電流損とヒステリシ
ス損とからなる。けい素鋼板の鉄損を減少させる有効な
手段として板厚を減少させる方法があり、この方法は主
に渦電流損を減少させることにより、鉄損の低減ひいて
は省エネルギーに大きく貢献している。しかしながら板
厚が11mil以下になってくると全鉄損に占めるヒステリ
シス損の割合が急激に増大してくる。ヒステリシス損に
影響する因子としては、結晶粒の方位、不純物の程度、
表面被膜の影響および鋼板表面の粗度などが挙げられ
る。これらの因子のうち表面粗度に関しては、鋼板の表
面を鏡面にすればヒステリシス損は低下することは良く
知られている。
鋼板の表面を改善してヒステリシス損を低減させる方
法としては、たとえば特公昭52−24499号公報では、仕
上げ焼鈍後の方向性けい粗鋼板表面の酸化物を酸洗によ
り除去したのち、表面を化学研磨または電解研磨によっ
て鏡面状態に仕上げ、ついでこの鏡面仕上げ表面に金属
の薄めっきを施す技術が開示されている。
また特公昭56−4150号公報には、一方向性けい素鋼板
表面の非金属物質を除去したのち、その表面を化学研磨
または電解研磨によって鏡面状態に仕上げ、ついでこの
鏡面仕上げ表面にセラミックス薄膜を被成する技術が開
示されている。
さらに特開昭60−89589号公報には、アルミナを主成
分とする焼鈍分離剤を用いて行った2次再結晶後の方向
性けい素鋼板の表面酸化物を除去後、化学研磨または電
解研磨を施す技術が開示されている。
またさらに特開昭60−39123号公報には、アルミナを
主成分とする焼鈍分離剤を用いて鋼板表面の酸化物量を
規制した上で、酸洗なしに直接化学研磨または電解研磨
を施す技術が開示されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながらこれらの技術はいずれも鉄損低減効果は
非常に明確であるにもかかわらず、未だ工業的に実施さ
れるまでに至っていない。
その第一の理由は、鏡面に仕上げた表面ならびにその
上に金属をめっきした表面では、方向性けい素鋼板にと
って必要な絶縁コーティングとの密着性を保ち得ず、絶
縁コーティングあるいは張力コーティングがはく離して
しまうからである。また特公昭56−4150号公報のように
セラミックス薄膜を被成した場合には、このセラミック
ス薄膜と地鉄表面との密着性が悪いだけでなく、セラミ
ックス膜には可とう性がないため、被膜がはく離してし
まうという致命的な欠陥を有していた。
また第二の理由は、化学研磨の場合、研磨液として用
いられるHF+H2O2やH3PO4+H2O2などが高価なためコス
ト高になることである。同じく電解研磨の場合も、研磨
液として通常用いられるりん酸系浴、硫酸系浴、りん酸
−硫酸系浴および過塩素酸系浴などはいずれも高濃度の
酸を主成分とし、しかも添加物としてクロム酸塩、ふっ
酸、有機化合物等を使用するためコスト高となり、しか
も大量に鋼板を処理するには、均質性、生産性および液
の早期劣化など未解決の問題も多い。
この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、電
解研磨または化学研磨による鏡面化処理を施さずとも、
磁気的に平滑な面すなわちヒステリシス損の原因となる
磁壁の移動を妨害するようなことがない面を形成し、磁
性的には勿論のこと被膜密着性にも優れた表面状態にな
る方向性けい素鋼板の有利な製造方法を提案することを
目的とする。
(課題を解決するための手段) この発明は、以下の知見に基づく。
すなわちその第1は、ヒステリシス損に対して大きく
影響を与えているのは、主として表面酸化物であり、表
面の凹凸に関しては必ずしも鏡面状態となる必要はない
ことである。ここに鏡面状態とは光学的な概念であり、
定量的に定義づけられていないが表面粗さが中心線平均
粗さで0.4μm以下望むらくは0.1μm以下のことを指
す。
第3図に、酸化物が表面に存在する方向性けい素鋼
板、鏡面化処理を施した方向性けい素鋼板およびその後
さらに酸洗を施して表面が荒れた方向性けい素鋼板の各
鉄損を比較して示したが、同図から明らかなように酸洗
によって鏡面が失われても鉄損はさほど劣化していな
い。
このように低ヒステリシス損のけい素鋼板を得るため
には、必ずしも鏡面にする必要はなく、鋼板の表面を磁
気的に平滑な面、すなわちヒステリシス損の原因となる
磁壁の移動を妨害することがない表面にすればよい。し
たがって電解研磨や化学研磨は必要不可欠の条件ではな
く、もっと自由に表面処理手段を選択できることにな
る。
そこで発明者らは、従来、けい素鋼板に対して実施さ
れることがなかった処理も含めて種々の表面処理につい
て検討したところ、ハロゲン化物浴中で電解処理するこ
とが所期した目的の達成に関し、極めて有効であること
の知見を得た。
すなわち方向性けい素鋼板を、ハロゲン化物水溶液中
で陽極電解処理した場合に、鏡面とは異なる独特の網目
状文様を呈する表面(電解エッチングの際に得られるグ
レイニング(graining)面に酷似しているので、以下グ
レイニング様面という)が得られ、しかもかかるグレイ
ニング様面をそなえる鋼板は、ヒステリシス損が極めて
小さいことを究明したのである。
次に、知見の第2は、絶縁コーティングの被成手段と
しては、溶射法がとりわけ好適で、母材表面の磁気的平
滑性を損なうことなくすなわちヒステリシス損の増大を
招く不利なしに、密着性に富む被膜を被成し得ることで
ある。とくにグレイニング様面に対しては溶射効果が優
れていたが、この理由は、グレイニング様面の凹凸によ
って被膜の機械的密着性が一層向上した結果と考えられ
る。
さらに溶射被膜においては、その上に重ねてたとえば
りん酸塩系の絶縁張力被膜を被成した場合であっても、
密着性の良い絶縁被膜が得られることである。従って好
ましくは溶射被膜を極薄目付として、その上に重ねてり
ん酸塩系の絶縁張力コーティングを施せば、密着性が良
好でしかも張力付与効果にも優れた絶縁被膜が得られる
わけである。
すなわちこの発明は、2次再結晶焼鈍後の方向性けい
素鋼板を、水溶性のハロゲン化物を1種以上含む水溶液
中で電解処理したのち、該鋼板表面に、20mmφ曲げテス
トにおいて被膜はく離のない密着性の強い被膜を溶射被
覆することからなる磁気特性の良好な方向性けい素鋼板
の製造方法(第1発明)である。
またこの発明は、上記した溶射被膜の被成後、さらに
該被膜の表面に絶縁性をそなえる張力付与被膜を被成す
ることからなる磁気特性の良好は方向性けい素鋼板の製
造方法(第2発明)である。
以下、この発明を具体的に説明する。
この発明では、2次再結晶済の方向性けい素鋼板すべ
てを対象素材とする。かかる素材は、けい素鋼用スラビ
を常法に従って熱間圧延し、次に中間焼鈍を挟む冷間圧
延を施して最終板厚としたのち、脱炭焼鈍ついで最終仕
上げ焼鈍を施すことによって得られる。
この最終仕上げ焼鈍の際の焼鈍分離剤としては、従来
からフォルステライト被膜も同時に形成させるために用
いられてきたMgOを主成分とする焼鈍分離剤も勿論使用
できるが、かかるフォルステライト被膜を生成させない
様に配合された、たとえばAl2O3等を主成分とし、これ
に不活性のMgOやCa,Sr化合物を添加した分離剤がとりわ
け有利である。
次に最終仕上げ焼鈍板の表面酸化層を必要に応じて除
去する。除去方法としては、酸洗等の化学的方法とエメ
リー研磨等の機械的手法とがあり、特に限定はしない
が、機械的手法で表面酸化層を除去した場合には、鋼板
内部に歪みが入り易く、かかる歪は続く電解処理によっ
ても完全には解放できないので、表面酸化物の除去は酸
洗処理で行う方が好ましい。
ついでこのように表面酸化層を除去した表面を陽極電
解処理によって磁気的平滑面、すなわち結晶粒界がRmax
で0.4μm以上の段差状または溝状の凹部を形成すると
ともに、結晶粒の表面が凸部の境界を介して窪みが隣接
したいわゆるグレイニング様面とする。
ここに磁気的に平滑面なグレイニング様面は、水溶性
のハロゲン化物を1種以上含む水溶液を電解液とする陽
極電解処理によって容易に得ることができる。
ここで水溶液のハロゲン化物とは、HCl,NH4Clおよび
各種金属の塩化物又はF,Br,Iを陰イオンとする酸、その
アルカリ、アルカリ土類、その他の金属塩類およびアン
モニウム塩のうちの水溶性のもの、さらにはほうふっ化
物(BF4塩)およびけいふっ化物(SiF6塩)のうちの水
溶性のものを意味する。その代表例を例示すると、HCl,
NaCl,KCl,NH4Cl,MgCl2,CaCl2,AlCl3,HF,NaF,KF,NH4F,HB
r,NaBr,KBr,MgBr2,CaBr2,NH4Br,HI,NaI,KI,NH4I,CaI2,M
gI2,H2SiF6,MgSiF6,(NH42SiF6,HBF4,NH4BF4およびNa
BF4等であるQこれらはいずれも{110}面を有する仕上
げ焼鈍後の方向性けい素鋼板に対し磁気的平滑化効果を
持つものであるが、実操業においては陰極への金属析出
の防止等を考慮して、これらの中から適宜に選択して使
用することが望ましい。またその濃度は、浴の電気伝導
度を確保するうえから20g/以上であることが望まし
い、なお上記のその組成および濃度からしてこの発明で
は海水の利用も可能である。
浴温は常温以上で任意に選ぶことができるが、あまり
高温では水の蒸発が著しいので、常温ないし90℃程度が
適当である。電流密度は5A/dm2程度から数百A/dm2の範
囲で設定できる。しかし、浴温が低いときに100A/dm2
こえるような高電流密度とすると表面の処理むらを生じ
やすいので、電流密度の範囲をより広くしようとすれ
ば、浴温を40℃以上にする方が好ましい。
なお鉄損を低下させて見地から、この発明における電
解の電気量および電解除去量はそれぞれ300C/dm2以上、
片面当り1μm以上にすることが好ましい。
以上のようにこの発明においては従来の方法にくらべ
てきわめて広範囲な条件下で磁気的平滑化効果を得るこ
とができ、この点もこの発明が工業的に実施されるうえ
で有利であることの重要な根拠とである。
ここで電解反応による浴の変化をNaCl水溶液を例にと
って示すと次のとおりである。
陽極:Fe+2Cl-→FeCl2+2e- …(1) 陰極:2Na++2H2O+2e-→2NaOH+H2↑ …(2) バルク:FeCl2+2NaOH→2NaCl+Fa(OH)↓ …(3) すなわち(1)式によって生成したFeCl2と、(2)
式で生成したNaOHとは、(3)式に示した反応によって
自動的にNaClを再生する。したがって浴組成の制御は、
基本的には(3)式で生成するFe(OH)の沈澱の除去
と、水の補給、および鋼板が系外へ持ち出すNaClの補給
を行えばよいことになり、従来の化学研磨あるいは電解
研磨にくらべ、はるかに容易かつ低コストなものとな
る。この点もこの発明方法が工業的に優れたものである
ことの一つの理由である。
上記の磁気的平滑化処理を施すことによって、磁気特
性の効果的な向上を図ることができるが、処理後の鋼板
表面は地鉄が露出しているので積層時における層間抵抗
がない。従って鋼板の表面には絶縁コーティングを施す
必要がある。その際、絶縁被膜として鋼板表面に対し、
引っ張り応力を付与できるものを用いれば、渦電流損の
低下による鉄損の低減が期待でき、とくにこの発明のよ
うなグレイニング様面においてはその効果が著しい。
かかる絶縁被膜としては従来、りん酸塩系被膜やセラ
ミック被膜が知られているが、これらの被膜は鏡面仕上
げ表面に対しては充分な密着性を確保することができな
い。この点、グレイニング様面では密着性の改善が図れ
るとはいえ、その効果は充分とは言えなかった。
そこで発明者らは、密着性に富みしかもヒステリシス
損の増大を招くことのない絶縁被膜を得る方法について
も種々検討した結果、Al2O3,ZrO2,TiO2,Cr2O3,MgOなど
の酸化物やSi3N4,AlNなどの窒化物を溶射被覆すること
が、所期した目的の達成に関し極めて有効であることを
究明したのである。
ここに溶射法としては、プラズマ溶射やガス溶射など
従来公知のもの何れもが適合する。また溶射の際に使用
する粉末の粒度は、キャリアガス中で搬送し得る限り細
かい方が好ましく、とくに好適には10μm以下である。
そして上記した溶射被膜の上に重ねてさらに張力付与
型のりん酸塩系コーティングを施すことにより、一層大
きな張力付与効果および絶縁効果を得ることができる。
その際、溶射被膜としては、Al2O3などのような密着
性の良好な物質を薄く(0.5μm厚程度)被覆すること
が好ましく、かくして張力付与型絶縁被膜の本来そなえ
る張力付与効果を十分に発揮させることが可能になった
のである。
なお溶射材としては、上掲したもの以外でも、熱膨張
係数が低く密着性に富むものであれば、単独あるいは複
合で使用することができる。
またこの発明において、「密着性の強い被覆」とは、
後述する実施例にも示すとおり、被膜を有する鋼板を直
径が20mmの棒を挟んで180゜曲げを行った時の被覆はく
離の有無について調べるいわゆる20mmφ曲げテストにお
いて、被覆はく離が生じることのない優れた密着性を有
する被覆を意味する。
(作 用) 2次再結晶焼鈍後のけい素鋼板を、NaCl:200g/を含
むハロゲン化物浴中にて電解処理してグレイニング様面
とした場合、およびりん酸とクロム酸の混合液(クロム
酸:200g/・りん酸)を用いて電解研磨して鏡面とした
場合、さらにはその後にそれぞれ2μm厚程度のSi3N4
膜を溶射した場合の鉄損値および磁束密度の改善代につ
いて調査した結果を、第1図a,bにそれぞれ示す。
同図より明らかなように、この発明法に従えば磁気特
性の一層の向上が達成されている。
次に、上記のグレイニング様面に種々の厚みでAl2O3
のプラズマ溶射を行ったのち、さらに張力付与型のりん
酸塩系コーティング(目付け量:約10g/を施したとき
の密着性不良発生率について調査した結果を、第2図に
示す。
同図より明らかなように、張力付与型のりん酸塩系コ
ーティングに先立って0.3μm厚以上のAl2O3膜を溶射被
覆することにより、密着性不良の発生が完全に防止され
ている。
(実施例) Si:3.2%を含み、かつインヒビターとしてMnS,MnSeお
よびSbを含有するけい素鋼用スラブを、常法に従って熱
間圧延、冷間圧延、脱炭・1次再結晶焼鈍、ついで最終
仕上げ焼鈍して得た2次再結晶後の方向性けい素鋼板を
素材とした。
この素材に、表1に示す種々の条件で電解処理、溶射
処理および上塗り絶縁コーティングを施したときの、被
膜密着性ならびに鉄損および磁束密度の改善効果につい
て調べた結果を、表1に併記する。
適合例1〜3は、NaClまたはKClを用いて電解処理を
施したのち、0.5μm厚の膜を溶射被覆したもの、また
適合例4〜6はさらに上塗りコーティングを施したもの
である。これらの適合例1〜6についてはいずれも、良
好は密着性を有するコーティングが得られ、しかも鉄損
および磁束密度とも大幅に向上している。
これに対し、同じくハロゲン化物による電解処理後、
直接りん酸塩のコーティングを施した比較例1〜2はい
ずれも、40%に近いはく離が発生した。
(発明の効果) かくしてこの発明によれば、磁気特性に優れるのは勿
論のこと被膜密着性に優れた方向性けい素鋼板を、低コ
ストの下で安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図a,bはそれぞれ、2次再結晶焼鈍後のけい素鋼板
をグレイニング様面または鏡面に仕上げたのちSi3N4
を溶射被覆したときの鉄損および磁束密度の改善代を比
較して示したグラフ、 第2図は、グレイニング様面に種々の厚みでAl2O3のプ
ラズマ溶射を行ったときの溶射膜厚と密着性不良発生率
との関係を示したグラフ、 第3図は、酸化物が表面に存在する方向性けい素鋼板、
鏡面化処理を施した方向性けい素鋼板およびその後さら
に酸洗を施して表面が荒れた方向性けい素鋼板の各鉄損
を比較して示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上 力 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭61−52371(JP,A) 特開 昭62−69501(JP,A) 特開 昭60−89589(JP,A) 特開 昭62−69502(JP,A) 特開 昭53−144419(JP,A) 特公 昭52−24499(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2次再結晶焼鈍後の方向性けい素鋼板を、
    水溶性のハロゲン化物を1種以上含む水溶液中で電解処
    理したのち、該鋼板表面に、20mmφ曲げテストにおいて
    被膜はく離のない密着性の強い被膜を溶射被覆すること
    を特徴とする磁気特性の良好な方向性けい素鋼板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】2次再結晶焼鈍後の方向性けい素鋼板を、
    水溶性のハロゲン化物を1種以上含む水溶液中で電解処
    理したのち、該鋼板表面に、20mmφ曲げテストにおいて
    被膜はく離のない密着性の強い被膜を溶射被覆し、つい
    でさらに該被膜の表面に絶縁性をそなえる張力付与被膜
    を被成することを特徴とする磁気特性の良好な方向性け
    い素鋼板の製造方法。
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