JP2702064B2 - フィチンの製造方法 - Google Patents

フィチンの製造方法

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JP2702064B2 JP5299925A JP29992593A JP2702064B2 JP 2702064 B2 JP2702064 B2 JP 2702064B2 JP 5299925 A JP5299925 A JP 5299925A JP 29992593 A JP29992593 A JP 29992593A JP 2702064 B2 JP2702064 B2 JP 2702064B2
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律洛 李
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P7/00Preparation of oxygen-containing organic compounds
    • C12P7/02Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group

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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフィチンの製造方法に関
するもので、詳しくはとうもろこし浸漬廃液(Light St
eep Water、以下「LSW」という)又はその濃縮液(C
orn Steep Liquor、以下「CSL」という)を培地とし
て酵母を接種、培養してフィチンを製造する方法に関す
るものである。なお、ここで、酵母とは発酵作用して酒
又はパンを作るのに主に使用される葉緑素無しの単細胞
で、その外形が円形又は楕円形でイースト出芽により増
殖する下等菌類を意味する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、フィチンは植物における燐の
貯蔵物質で、種子の発芽及び初期生育に重要な役目を果
たすものとして知られている。また、フィチンはイノシ
トールヘキサキスホスフェート(Inositol hexakisphos
phate)のカルシウム、マグネシウム、亜鉛、ナトリウ
ム塩で、主にカルシウムとマグネシウム塩を意味する。
種子の発芽過程でフィチンはフィターゼ(Phytase)に
より分解され、核酸若しくは膜の成分又は燐酸化に用い
られる。フィチンは弱酸(pH2〜3)によく溶け、水
には不溶性である無臭の白色粉末である。
【0003】金属イオンの組成を変化させて水溶性のフ
ィチンを製造する方法が日本国特公昭第43−1697
8号に掲載されている。このようなフィチンは高温、高
圧下で加水分解によりイノシトールを生産する原料とな
り、金属イオンを除去したフィチン酸は淡黄色又は淡褐
色シロップの液体で、水、95%エタノール又はアセト
ンによく溶解し、薬用、発酵組成剤、罐詰においての黒
変防止、酸化防止作用、水の軟化剤、金属の腐食防止、
金属被膜の生成、染料添加剤、希土類元素の濃縮、高分
子の溶剤、ガソリン、灯油又は燃料油等の爆発防止剤等
で使用される。
【0004】従来のフィチンの製造方法は、CSL、L
SW又は米糠等に水酸化カルシウム、苛性ソーダのよう
な塩基を加えて、最終pHが7.0〜8.0程度となる
ように中和して生成される沈澱物を分離する方法が大部
分で(日本国特公昭第46−35075号、第46−2
6346号、第46−33958号、第42−1726
8号及び米合衆国特許第4,163,010号)、フィチ
ン酸は米糠等を酸処理してフィチン酸を抽出し、これを
イオン交換樹脂塔を通過させて分離する方法を利用して
いた(米合衆国特許第4,668,813号、日本国特
開昭第61−056142号、中華人民共和国公開特許
第8602238号)。また、日本国特開昭第61−0
50989号には限外濾過膜を利用する過程を追加して
フィチン酸を精製する方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
中和法でフィチンを製造する場合、生成された沈澱物が
沈降しにくく、中和後に粘性が高くなって沈澱物の分離
及び乾燥が困難であるという問題があり、また、イオン
交換樹脂塔を利用する場合は工程の運転が容易でなく生
産費が高くなるという問題があった。以下、沈澱物とは
フィチンを意味する。このような問題点を解決するため
に、本発明者等が広範囲な研究を遂行した結果、LSW
で酵母培養時にpHが上昇するとフィチンが沈澱する原
理を利用して本発明を完成した。したがって、本発明の
目的は新規のフィチンの製造方法を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るため、本発明の方法はCSL又はLSWの培地に酵母
を接種し発酵させてフィチンを沈澱させることにより構
成される。
【0007】以下、本発明の構成をより詳細に説明する
と次のようである。本発明で使用される培地はLSW又
はCSLの培地で、LSWは3〜13Bx.の濃度で初
期pH3〜4のものを使用すると、酵母は前記条件で最
も旺盛に生育される。CSLは40〜55Bx.の濃度
を希釈して3〜20Bx.の濃度のものを使用するのが
好ましい。
【0008】本発明において、接種する酵母を培養する
ための液体培地としてはYPD培地又は5〜10Bx.
のLSW等を使用し、前記YPD培地は酵母エキス(Ye
astExtract)1%(w/v)、グルコース5%(w/
v)及びペプトン1%(w/v)を包含する。酵母を前
記液体培地で1日間程培養したものを、本発明による培
地に培地嵩の1〜20%(v/v)濃度で接種して25
〜40℃で1〜4日間程度培養する。接種量が20%
(v/v)を超過すると培地が希釈され、沈澱量が小さ
くなり過ぎるという問題点がある。培養は100〜50
0rpm程度で振盪培養する。培養後の最終pHはLS
Wの場合6.0〜8.5程度で、CSL希釈培地の場合
は5〜8程度である。
【0009】前記酵母としては乳酸を炭素源として利用
して前記培地で生育し得るものであればすべて使用可能
である。具体的には Saccharomyces sp.Candida s
p.Saccharomycopsis sp.Schwanniomyces sp.Ster
igmatomyces sp.Sympodiomyces sp.Zygosaccharomy
ces sp.Saccharomycodes sp.Gteromyces sp.Nema
tospora sp.Sporobolomyces sp.Kluyveromyces s
p.Arxiozyma sp.Lodderomyces sp.等が望ましい
が、これらに限定されるものではない。培養後のpHが
6.0以上になるとフィチンの沈澱が開始され、この沈
澱は沈みやすく培養上澄み液から分離することが容易で
ある。培地の滅菌状態は沈澱の生成及び酵母の生育にあ
まり影響を及ぼさない。
【0010】本発明において、CSL希釈培地の場合、
酵母の培養により生成される沈澱物の量は微量である
が、塩化カルシウム、炭酸カルシウム又は水酸化カルシ
ウムのようなカルシウム塩、あるいは炭酸マグネシウム
ヒドロキサイド又は塩化マグネシウムのようなマグネシ
ウム塩を0.01〜2.0%(w/v)濃度で添加する
ことにより沈澱物の生成を著しく増加させることができ
る。0.01%未満では十分な添加効果が現れず、一
方、2.0%を超えると培地のpHがあまりに高くなっ
て従来の中和法におけると同様の問題が生ずる。前記カ
ルシウム塩及びマグネシウム塩を添加した場合に生成さ
れるフィチンの量は著しく増加し沈降特性も優れて分離
が容易である。LSW培地の場合は、カルシウム塩の添
加が沈澱物の収率に大きい影響を及ぼすことはなく、カ
ルシウムを添加して得られる沈澱物は多少褐色を呈す
る。
【0011】本発明と従来方法による沈澱物の沈降速度
を比較するために、発酵により生じたフィチンと中和に
より生じたフィチンを溶液とともに50mlメスシリン
ダーに入れてから沈降速度を測定したところ、図1に示
すように、発酵により生じたフィチンは10分以内にほ
ぼ完全に沈澱するのに対し、中和により生じたフィチン
は全然沈まないことがわかった。また、前記発酵法によ
りフィチンを分離した場合、酵母がLSW又はCSLに
含有された乳酸を消費するため、LSW及びCSLを濃
縮する際、粘度増加が大きく緩和されるので濃縮工程を
より容易にし、濃縮度を大きく増加させ得る。更に、濃
縮液を飼料として利用する場合、酵母が添加されている
ことにより、栄養価が高められ、また酸味が無くなるの
で飼料の質を向上させる効果が得られる。
【0012】本発明による発酵法によりフィチンを製造
する方法は、フラスコ培養のような回分式培養法のほ
か、図2に示すように、第一発酵槽2に連続的に原料培
地1を投入し、部分発酵された発酵産物を第二発酵槽3
で受けて残りの発酵を回分式で遂行する半連続発酵法
や、図3に示すように、原料培地1を発酵槽4に投入
し、発酵槽4から発酵産物を排出する工程を連続的に遂
行する連続発酵法により行うこともできる。
【0013】本発明によると、発酵後に得られる沈澱物
の収率は、LSWの場合には1〜2.5%(w/v)程
度で、CSL希釈培地の場合には1〜3%(w/v)程
度である。この量は中和により生成される沈澱物の85
〜100%に当たる。沈澱物の分離は発酵が終わった
後、発酵液を分液漏斗管に移し10分間程放置した後、
沈んだ沈澱物を分離して蒸留水で洗浄してから乾燥する
ことにより行うことができる。このようにして得られた
沈澱物を酸に溶かしてフィテート(Phytate)分析した
結果、純度が60〜95%で中和により得られた沈澱物
より高い純度を示した。特に、CSL希釈培地に炭酸カ
ルシウムを加え培養して得られた沈澱物は純度が90%
以上で中和法に得られた沈澱物(純度≒70%)よりず
っと高かった。なお、上記分析はAli I. Mohamedの方法
により行ったものである(Cereal Chem. 63(6),475〜8,
1986)。
【0014】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明の効果をより
具体的に説明するが、本発明の範囲は下記例に限定され
るものではない。
【0015】実施例1:濃度9.2Bx.のLSW10
0mlをバッフルフラスコに入れ、予め用意した種菌
Saccharomyces uvarum NRRL Y-236)を5ml加え、
30℃、150〜350rpmで振盪培養した。最終p
Hが7.5以上になったとき、発酵液を分液漏斗管に注
ぎ10分間放置して沈んだ沈澱物を分離した。前記沈澱
物に100mlの蒸留水を加えてよく振った後、再び分
液漏斗管に注ぎ沈降させて沈澱物を分離し、100℃の
乾燥オーブンで乾燥した後、秤量して1.03gの沈澱
物を得た。前記沈澱物の純度は85%で、沈澱物の金属
イオン比率は下記表1に記載のとおりであった。
【0016】実施例2:濃度9.2Bx.のLSW10
0mlを500mlのフラスコに入れ、0.5gのCa
CO3(anhydrous)を加えた後、予め用意した種菌(Sa
ccharomyces cerevisiae LA)5mlを加え培養して、
最終pHが7.5以上になったときに取り去り、最終的
に純度79%の沈澱物1.30gを得た。前記沈澱物の
金属イオン比率を下記表1に記載する。
【0017】実施例3:濃度52Bx.のCSLを蒸留
水で希釈して12Bx.となるようにし、0.5gのC
aCl2・2H2Oを溶かした後、予め用意した種菌(Kl
uyveromyces lactis ATCC 56498)5mlを加え培養し
た。2日間培養した後pHが4.9になったときに取り
去って純度75%の沈澱物を得た。前記沈澱物の金属イ
オン比率を下記表1に記載する。
【0018】実施例4:実施例3にあって、CaCl2
・2H2OとKluyveromyces lactis ATCC 56498の代わり
にCaCO3Saccharomyces cerevisiae TJ-1を加え、
2日後最終pHが6.40になったときに取り去って純
度95%の沈澱物1.04gを得た。前記沈澱物の金属
イオン比率を下記表1に記載する。
【0019】実施例5:全体嵩3リットルの反応槽で濃
度9.2Bx.のLSW1リットルを原料として種菌
Candida lusitaniae ATCC 34449)を接種し、滞留時
間が15時間になるように連続的にLSW溶液を供給
し、第一発酵槽から溢れて出る中間発酵液を第二発酵槽
で受け、pHが7.5に到達するときまで回分式で培養
した。培養が終わった後、第二発酵槽の培養液を取り去
って沈澱物を分離した。このような半連続式発酵法によ
り原料LSW1リットル当り12gの沈澱物が得られ、
その純度は82%であった。前記沈澱物の金属イオン比
率を下記表1に記載する。
【0020】実施例6:全体嵩3リットルの反応槽で1
リットルのLSW(9.2Bx.)を原料として種菌
Saccharomyces diastaticus ATCC 13007)を接種し培
養して、pHが7.0になったときに原料を時間当たり
0.1リットルずつ供給するとともに発酵液を0.1リ
ットルずつ抜き取る連続発酵法(希釈比=0.1時間)
により原料LSW1リットル当り8〜9gの沈澱物が得
られ、前記沈澱物の純度は80%であった。前記沈澱物
の金属イオン比率を下記表1に記載する。
【0021】比較例1:濃度9.2Bx.のLSW10
0mlを5%(w/v)水酸化カルシウムで滴定して、
最終pHが7.0になったとき濾過した。濾過後蒸留水
で洗浄し、105℃のオーブンで3時間乾燥して、1.
5gの沈澱物を得た。前記沈澱物の金属イオン比率を下
記表1に記載する。
【0022】比較例2:濃度52Bx.のCSL50m
lから比較例1と同じ方法により3.5gの沈澱物を得
た。前記沈澱物の金属イオン比率を下記表1に記載す
る。
【0023】
【表1】
【0024】前記実施例及び比較例の沈澱物の金属イオ
ンを分析した結果、前記表1に記載したように、中和法
により生成されたフィチンの金属イオンはカルシウムイ
オンが主種を成しているのに対し、発酵法により生成さ
れたフィチンはマグネシウイオンが主種を成しているこ
とがわかり、炭酸カルシウムを0.5%の濃度で添加し
て発酵した場合、生成された沈澱物にはカルシウムイオ
ン濃度が著しく増加した。なお、前記表1の金属イオン
含量は沈澱物を酸に溶かした後に原子吸収光度計(Atom
ic Absorption Spectroscopy)で分析した。また、前記
実施例では主に酵母を利用したが、乳酸を炭素源として
利用し得る種菌は全て沈澱効果を現せ、前記実施例で使
用された酵母が本発明の範囲を限定するものではない。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
り製造された沈澱物は沈降性が大変優れていて分離が容
易であり、フィチンの純度も高く、粘性が高くなる問題
点も完全に解決された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明と従来技術によるフィチンの沈降速度を
比較したグラフである。
【図2】本発明による半連続式発酵法を概略的に示す工
程図である。
【図3】本発明による連続式発酵法を概略的に示す工程
図である。
【符号の説明】
1 原料培地 2 第一発酵槽 3 第二発酵槽 4 発酵槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 9/00 C12R 1:72) (C12P 9/00 C12R 1:85)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CSL又はLSWの培地に酵母を接種し
    発酵させてフィチンを沈澱させることによりなることを
    特徴とするフィチンの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記LSWの濃度が3〜13Bx.であ
    ることを特徴とする請求項1記載のフィチンの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記CSLの濃度が3〜20Bx.であ
    ることを特徴とする請求項1記載のフィチンの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記CSL培地にさらにマグネシウム塩
    を0.01〜2.0%添加して発酵させることを特徴と
    する請求項1記載のフィチンの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記マグネシウム塩が炭酸マグネシウム
    ヒドロキサイド又は塩化マグネシウムであることを特徴
    とする請求項4記載のフィチンの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記CSL培地にさらにカルシウム塩を
    0.01〜2.0%添加して発酵させることを特徴とす
    る請求項1記載のフィチンの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記カルシウム塩が炭酸カルシウム、塩
    化カルシウム又は水酸化カルシウムであることを特徴と
    する請求項6記載のフィチンの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記酵母が乳酸を消費し得る酵母であ
    り、CSL又はLSW培地に対して1〜20%接種され
    ることを特徴とする請求項1記載のフィチンの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記沈澱物の主イオンがマグネシウムイ
    オンであることを特徴とする請求項1記載のフィチンの
    製造方法。
  10. 【請求項10】 前記発酵を回分式で行うことを特徴と
    する請求項1記載のフィチンの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記発酵を半連続式で行うことを特徴
    とする請求項1記載のフィチンの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記発酵を連続式で行うことを特徴と
    する請求項1記載のフィチンの製造方法。
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