JP2700310B2 - ピッチコントロール剤及びピッチ障害の抑制方法 - Google Patents

ピッチコントロール剤及びピッチ障害の抑制方法

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JP2700310B2
JP2700310B2 JP7214296A JP7214296A JP2700310B2 JP 2700310 B2 JP2700310 B2 JP 2700310B2 JP 7214296 A JP7214296 A JP 7214296A JP 7214296 A JP7214296 A JP 7214296A JP 2700310 B2 JP2700310 B2 JP 2700310B2
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野巣生 加藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、木材パルプ及び製紙に
用いられる新規なピッチコントロール剤及びそのような
ピッチコントロール剤を用いるピッチ障害の抑制方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】紙パルプ産業は、パルプ化工程から始ま
る各工程において、永年、ピッチ障害(ピッチトラブ
ル)に悩まされている。特に、近年の白水の再利用率向
上等のシステムのクローズ化の推進や、木材資源の不足
を背景として、原料の多様化、特に、填料の多い故紙や
樹脂分の多い南洋材の使用の割合の増大や、更には、製
品である紙の多様化に伴って、用いる化学薬品の種類も
多様化し、また、その量も増大しており、ピッチ障害の
様相が更に複雑なものとなっている。
【0003】ここに、上記ピッチとは、紙製造におい
て、パルプ(GP、TMP、KP、DIP等)が含有す
る樹脂状物質を総称するものであり、当初、パルプスラ
リー(紙料)中に分散していたものが、pH、温度、イ
オン強度等の変化によって凝集し、粘着性の物質となっ
て、製紙工程において、種々のトラブルを発生する。例
えば、設備装置に付着し、集積し、製品を汚染し、或い
は穴あき等の欠陥を生じる。このようなピッチの由来
は、大きくは、第1に、木材からの樹脂酸、脂肪酸、ア
ルコール、不ケン化物又はパルプ化工程で変質したも
の、第2には、古紙パルプからの接着剤、インクビヒク
ル等、そして、第3には、製造時の内添薬品であるデン
プン、合成紙力増強剤、サイズ剤等の未定着分の3つに
分類することができる。
【0004】このようなピッチ障害を防止し、又は軽減
するために、従来から、種々のピッチコントロール剤が
提案されている。例えば、特公昭45−25322号公
報、特開昭55−84491号公報、特開昭55−80
598号公報、特開昭63−264993号公報、特開
平3−244698号公報、特開平4−352898号
公報、特開平4−202299号公報、特開平4−30
0383号公報等に記載されているように、従来、有機
系や無機系のピッチコントロール剤が種々提案されてい
るが、いずれも、満足すべきピッチ障害の抑制効果を達
成するには至っていない。
【0005】更に、近年においては、上述したピッチ障
害と共に、微生物に起因するスライム障害(スライムト
ラブル)も多く、これも、スライムが製紙設備に付着し
て、操業を妨げ、また、製品を汚染する。このように、
ピッチ障害とスライム障害が組合わされば、相乗的に障
害を増大させて、所謂デポジットトラブルを引き起こ
す。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、紙パルプ
産業における上述したようなピッチ障害を解決するため
に鋭意研究した結果、高級脂肪酸亜鉛とカチオン界面活
性剤とからなるピッチコントロール剤がピッチ障害をよ
く抑制し、更には、得られる紙のサイズ度を向上するほ
か、抄造速度の向上、紙料の歩留りの向上等の効果も併
せ有することを見出して、本発明に至ったものである。
【0007】大部分の紙には、インキ、水等の液体の浸
透に対する抵抗性を付与するためにサイズが施されてい
る。このサイズ効果の程度がサイズ度である。サイズを
施すことは、接触角を大きくし、疎水性を増すことであ
る。即ち、本発明は、ピッチ障害をよく抑制し、そのう
え、サイズ効果のような他の望ましい特性をも有する新
規なピッチコントロール剤と、そのようなピッチコント
ロール剤を用いるピッチ障害の抑制方法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によるピッチコン
トロール剤は、高級脂肪酸亜鉛100重量部あたりにカ
チオン界面活性剤1〜20重量部を含むことを特徴と
し、このようなピッチコントロール剤は、通常、水分散
液の形態にて使用に供される。更に、本発明によるピッ
チ障害の抑制方法は、高級脂肪酸亜鉛100重量部あた
りにカチオン界面活性剤1〜20重量部を含む水分散液
からなるピッチコントロール剤をパルプスラリーに添加
することを特徴とする。
【0009】本発明によれば、高級脂肪酸亜鉛における
高級脂肪酸は、炭素数8〜30を有する飽和又は不飽和
の脂肪族モノカルボン酸である。従って、このような高
級脂肪酸として、例えば、カプリル酸、カプロン酸、カ
プリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン
酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂
肪酸を挙げることができる。トール油脂肪酸も、本発明
において、高級脂肪酸に含まれる。
【0010】また、本発明において、高級脂肪酸は、分
子中に水酸基、カルボニル基又はエポキシ基を有してい
てもよく、このような高級脂肪酸として、例えば、リシ
ノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸等を挙げるこ
とができる。本発明においては、このような種々の高級
脂肪酸のなかでは、特に、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸又はこれらの混合物が好ましく用いら
れる。本発明によるピッチコントロール剤は、市販の高
級脂肪酸亜鉛をカチオン界面活性剤を用いて水に分散さ
せることによって得ることができる。
【0011】しかし、本発明によれば、酸化亜鉛を分散
させた水中に、溶融させた高級脂肪酸を加えて、カチオ
ン界面活性剤の存在下、攪拌下に高級脂肪酸と酸化亜鉛
とを反応させることによって、直ちに、高級脂肪酸亜鉛
とカチオン界面活性剤とを含む水分散液を得ることがで
き、必要に応じて、これを濃縮し、又は水で希釈し、ま
た、必要に応じてカチオン界面活性剤を補充すれば、本
発明によるピッチコントロール剤を得ることができる。
しかも、このようにして得られるピッチコントロール剤
は、低廉であり、そのうえ、高級脂肪酸亜鉛の粒子径が
市販の高級脂肪酸亜鉛よりも小さいので、市販の高級脂
肪酸亜鉛を用いるよりも、少量の使用によって、有効な
ピッチコントロール剤を得ることができる。
【0012】このような方法によって、本発明によるピ
ッチコントロール剤を製造するには、通常、酸化亜鉛を
高級脂肪酸に対して、0.45〜0.65倍モルの範囲で用
いると共に、カチオン界面活性剤を高級脂肪酸に基づい
て、2〜15重量%、好ましくは、5〜10重量%の範
囲で用いる。反応媒体としての水の量は、特に、限定さ
れるものではないが、通常、得られる高級脂肪酸亜鉛に
対して、重量比で1〜3倍程度が適当である。
【0013】より詳しくは、酸化亜鉛を水に分散させた
後、好ましくは、この酸化亜鉛の分散液を用いる高級脂
肪酸の融点以上の温度に加温し、これに予め溶融させた
高級脂肪酸を徐々に加え、カチオン界面活性剤の存在下
に反応させ、高級脂肪酸を加え終わった後も、好ましく
は、反応混合物の温度を高級脂肪酸の融点以上の温度に
保持しながら、通常、数時間、攪拌する。反応温度の上
限は、特に、限定されるものではないが、通常、110
℃程度である。また、反応は、必要に応じて、減圧下で
も、加圧下でも行なうことができる。
【0014】本発明によるピッチコントロール剤におい
ては、高級脂肪酸亜鉛は、平均粒子径0.1〜5μmの範
囲であることが好ましい。ここに、上述した方法によっ
て、本発明によるピッチコントロール剤を製造すれば、
通常、目的とする高級脂肪酸亜鉛を95〜99%の高収
率にて得ることができ、更に、上記範囲の平均粒子径を
有する高級脂肪酸亜鉛を容易に得ることができる。特
に、上述した方法によれば、好ましい態様として、0.2
〜2.0μm、最も好ましい態様として、0.3〜1.0μm
の微細な高級脂肪酸亜鉛塩の濃度20〜50%の安定な
水分散体であって、且つ、高級脂肪酸亜鉛100重量部
あたりにカチオン界面活性剤1〜20重量部を含む水分
散液を容易に得ることができる。
【0015】本発明において用いるカチオン界面活性剤
としては、例えば、高級アルキルアミン塩(酢酸塩や塩
酸塩等)、高級アルキルアミンへのエチレンオキサイド
付加物、高級脂肪酸とポリアルキレンポリアミンとの縮
合物(例えば、オレイン酸とペンタエチレンヘキサミン
との1:1(モル比)縮合物)、高級脂肪酸とアルカノ
ールアミンとのエステルの塩(例えば、ステアリン酸ト
リエタノールアミンエステルギ酸塩(ソロミンA
型))、高級脂肪酸アミドの塩(例えば、ステアラミド
エチルジエチルアミンの酢酸塩(サパミンA型))、高
級脂肪酸とアミノエチルエタノールアミンとを加熱縮合
させ、これに更に尿素を結合させた後、酢酸で中和した
塩(例えば、アーコベルA型、G型等のカチオン界面活
性剤)、イミダゾリン型カチオン界面活性剤(例えば、
2−ヘプタデセニルヒドロキシエチルイミダゾリン、チ
バ・ガイギー社製アミンO)、高級アルキルトリメチル
アンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニ
ウムクロライド)、高級アルキルジメチルベンジルアン
モニウム塩(例えば、ラウリルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロライド)、高級脂肪酸アミドの第4級アンモ
ニウム塩(例えば、N,N−ジエチルエチレンジアミンと
高級脂肪酸からの第3級アミンをアルキル化剤にて第4
級化したもの、チバ・ガイギー社製サパミンMS、サパ
ミンBCH、ACC社製キヤタナツクSN等)、アルキ
ルピリジニウム塩等を挙げることができる。このような
カチオン界面活性剤の製造において、高級脂肪酸として
は、例えば、トール油脂肪酸(主としてオレイン酸とリ
ノレイン酸からなる。)を好適に用いることができる。
【0016】特に、本発明においては、カチオン界面活
性剤としては、高級脂肪酸とポリアルキレンポリアミン
との縮合物(例えば、トール油脂肪酸とペンタエチレン
ヘキサミンとの1:1(モル比)縮合物)や、或いは高
級脂肪酸とアミノエチルエタノールアミンとを加熱縮合
させ、これに更に尿素を結合させた後、酢酸で中和した
塩(例えば、アーコベルA型、G型等のカチオン界面活
性剤)が好ましく用いられる。
【0017】本発明によるピッチコントロール剤は、高
級脂肪酸亜鉛100重量部あたりにカチオン界面活性剤
を1〜20重量部、好ましくは、5〜15重量部を含
み、通常、高級脂肪酸亜鉛を40重量%程度含む水分散
液として使用に供されるが、しかし、これに限定される
ものではない。
【0018】本発明によるピッチコントロール剤は、こ
れを抄紙前のパルプスラリーに添加することによって、
ピッチ障害を有効に抑制することができる。ピッチコン
トロール剤の添加量は、パルプスラリー中のピッチ量に
よって、適宜に選ばれるが、通常、パルプ(固形分)1
00重量部に対して、高級脂肪酸亜鉛換算にて、0.01
〜0.25重量部の範囲である。特に、限定されるもので
はないが、ピッチコントロール剤は、通常、ミキシング
チェスト、マシンチェスト、ファンポンプ等に添加すれ
ばよい。
【0019】
【発明の効果】本発明によるピッチコントロール剤は、
カチオン界面活性剤と共に高級脂肪酸亜鉛、好ましく
は、その微粒子を含む。ここに、高級脂肪酸亜鉛の微粒
子の表面は正に帯電しており、他方、パルプスラリー中
のピッチとパルプ(繊維)は、通常、負に帯電している
ので、高級脂肪酸亜鉛の微粒子は、パルプスラリー中の
コロイド状のピッチを捕捉し、ピッチと共にパルプに定
着するので、効率よくピッチ障害を抑制することができ
る。更に、本発明によるピッチコントロール剤を用いれ
ば、ワイヤー上の湿紙に含まれるピッチも、湿紙が上記
高級脂肪酸亜鉛の微粒子を吸着するので、粘着性を失な
い、かくして、ワイヤーへのピッチの付着もなくなる。
このような効果は、パルプスラリーに添加した高級脂肪
酸亜鉛の微粒子が抄造される紙にほぼ定量的に繊維に吸
着されることによるものである。
【0020】また、本発明によるピッチコントロール剤
を用いれば、種々の設備装置に付着する粘着物を低減さ
せるので、スライム障害をも抑制することができる。従
って、本発明によるピッチコントロール剤と共に、殺菌
抗菌剤や酵素製剤をスライムコントロール剤として用い
ることによって、デポジット障害を効果的に抑制するこ
とができる。
【0021】更に、本発明によるピッチコントロール剤
を用いれば、上述したように、紙に吸着され、他方、高
級脂肪酸亜鉛は、水との接触角が大きいので、得られる
紙は、サイズ度が向上し、サイズ剤の添加量を低減する
ことができる。また、湿紙自体の疎水性が高まるので、
乾燥が早くなり、抄紙速度の向上と燃料費用の低減を実
現することができる。このほか、例えば、ステアリン酸
亜鉛は、白色の粉末であるので、紙に吸着されて、紙面
のピッチやカーボン粒子の黒点を隠蔽する効果をも有す
る。また、本発明によるピッチコントロール剤を用いれ
ば、上述したように、高級脂肪酸亜鉛の微粒子がパルプ
スラリー中の微細な繊維をもよく捕捉するので、紙料の
歩留りをも高めることができる。
【0022】高級脂肪酸のアルカリ土類金属やアルミニ
ウム塩も、白色、高撥水性の属性を有している。これら
のなかでも、高級脂肪酸カルシウムは、離型剤や消泡剤
の成分として広く用いられているが、カチオン界面活性
剤を用いて調製された微粒子の分散体でさえ、ピッチコ
ントロール剤として、ピッチ障害の抑制効果に乏しく、
そのうえ、亜鉛塩に比較して、紙への定着率が低い。
【0023】
【実施例】以下にカチオン界面活性剤の存在下に高級脂
肪酸亜鉛の水分散液を製造する参考例と共に、本発明の
実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例により何ら限
定されるものではない。尚、実施例において、ピッチコ
ントロール剤の添加量は、パルプ(固形分)100重量
部に対するステアリン酸亜鉛換算による添加量の重量部
数で示す。
【0024】参考例1 酸化亜鉛5.95gとカチオン界面活性剤としてトール油
脂肪酸とペンタエチレンヘキサミンとのほぼ1:1(モ
ル比)の縮合物)2.4gとを蒸留水90gにそれぞれ分
散又は溶解させ、十分に攪拌しながら、これに約70℃
の温度に加熱して溶融させたステアリン酸(融点56
℃)35gを徐々に加えた。その後、更に、反応混合物
を温度60℃に保持しつつ、3時間攪拌した。
【0025】反応終了後、反応混合物を常温まで自然冷
却して、ステアリン酸亜鉛の水分散体を得た。ステアリ
ン酸亜鉛の収率は95.7%であった。この水分散体は、
ステアリン酸亜鉛濃度28.3重量%、カチオン界面活性
剤濃度1.9重量%、25℃における粘度60センチポイ
ズであり、ステアリン酸亜鉛の平均粒子径は0.5μmで
あった。
【0026】参考例2 参考例1において、カチオン界面活性剤としてトール油
脂肪酸とアミノエチルエタノールアミンとのほぼ1:1
(モル比)の縮合物(アーコベルA型)2.8gを用いた
以外は、参考例1と同様にして、ステアリン酸亜鉛の水
分散体を得た。ステアリン酸亜鉛の収率は96.1%であ
った。この水分散体は、ステアリン酸亜鉛濃度28.8重
量%、カチオン界面活性剤濃度2.2重量%、25℃にお
ける粘度45センチポイズであり、ステアリン酸亜鉛の
平均粒子径は0.6μmであった。
【0027】参考例3 参考例1において、カチオン界面活性剤としてオレイン
酸とペンタエチレンヘキサミンとの縮合物1.0gとパル
ミチン酸とアミノエチルエタノールアミンとの縮合物
(アーコベルA型)1.6gの混合物を用いた以外は、参
考例1と同様にして、ステアリン酸亜鉛の水分散体を得
た。ステアリン酸亜鉛の収率は95.8%であった。この
水分散体は、ステアリン酸亜鉛濃度28.5重量%、カチ
オン界面活性剤濃度2.0重量%、25℃における粘度5
0センチポイズであり、ステアリン酸亜鉛の平均粒子径
は0.4μmであった。
【0028】参考例4 実施例1において、ノニオン界面活性剤としてラウリル
アルコールエチレンオキサイド6モル付加物4.0gを用
いた以外は、参考例1と同様にして、ステアリン酸亜鉛
の水分散体を得た。ステアリン酸亜鉛の収率は99.0%
であった。この水分散体は、ステアリン酸亜鉛濃度29.
8重量%、25℃における粘度130センチポイズであ
り、ステアリン酸亜鉛の平均粒子径は2.0μmであっ
た。
【0029】参考例5 実施例1において、アニオン界面活性剤としてドデシル
硫酸ナトリウム2.0gを用いた以外は、参考例1と同様
にして、ステアリン酸亜鉛の水分散体を得た。ステアリ
ン酸亜鉛の収率は97.3%であつた。この水分散体は、
ステアリン酸亜鉛濃度29.9重量%、25℃における粘
度150センチポイズであり、ステアリン酸亜鉛塩の平
均粒子径は2.3μmであった。
【0030】参考例6 実施例1において、酸化亜鉛5.95gに代えて、水酸化
カルシウム5.43gを用いた以外は、参考例と同様にし
て、ステアリン酸カルシウムの水分散体を得た。ステア
リン酸に基づくステアリン酸カルシウムの収率は99.5
%であった。この水分散体は、ステアリン酸カルシウム
濃度30.8重量%、25℃における粘度40センチポイ
ズであり、ステアリン酸カルシウムの平均粒子径は0.7
μmであつた。
【0031】(ピッチ障害に対する抑制効果) 実施例1 前記参考例1によるステアリン酸亜鉛水分散液をそのま
ま、ピッチコントロール剤として用いた。このピッチコ
ントロール剤の中芯原紙用パルプのピッチ障害に対する
抑制効果をJ.TAPPI紙パルプ試験方法 No.11の
パルプピッチの金網付着量試験方法に従って、ピッチテ
スターにてピッチの付着試験を行なった。試験温度は5
0℃とし、硫酸バンドを用いて、パルプスラリーのpH
を5.5又は4.5に調節し、金網(ワイヤー)へのピッチ
付着量及びピッチ除去率を求めた。ピッチ除去は〔(ピ
ッチコントロール剤の添加のないときのピッチ付着量
(ブランク)−ピッチコントロール剤を添加したときの
ピッチ付着量)/ピッチコントロール剤の添加のないと
きのピッチ付着量〕×100(%)にて求められる。結
果を表1に示す。
【0032】実施例2 前記参考例2によるステアリン酸亜鉛水分散液をそのま
ま、ピッチコントロール剤として用い、新聞原紙用パル
プのピッチ障害に対する抑制効果を実施例1と同様にし
て調べた。結果を表1に示す。
【0033】実施例3 前記参考例3によるステアリン酸亜鉛水分散液をそのま
ま、ピッチコントロール剤として用い、コート原紙用パ
ルプのピッチ障害に対する抑制効果を実施例1と同様に
して調べた。結果を表1に示す。
【0034】比較例1 実施例1において、参考例1によるステアリン酸亜鉛水
分散液に代えて、参考例4によるステアリン酸亜鉛水分
散液をそのまま、ピッチコントロール剤として用いた以
外は、実施例1と同様にして、ピッチ障害に対する抑制
効果を調べた。結果を表1に示す。
【0035】比較例2 実施例1において、参考例1によるステアリン酸亜鉛水
分散液に代えて、参考例6によるステアリン酸カルシウ
ム水分散液をそのまま、ピッチコントロール剤として用
いた以外は、実施例1と同様にして、ピッチ障害に対す
る抑制効果を調べた。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】(紙への亜鉛定着量の測定) 実施例4 前記参考例1、参考例4及び参考例5において得られた
ステアリン酸亜鉛水分散液をそのまま、ピッチコントロ
ール剤として用いた。カナディアン・スタンダード・フ
リーネス550mlのパルプ(漂白クラフトパルプ、N
/L比=3/2)のpH5.2のスラリーに、上記ピッチ
コントロール剤をそれぞれ0.03重量部、0.06重量部
又は0.10重量部を加え、TAPPI標準型手抄機にて
抄紙した。得られた湿紙を圧力3kg/cm2 にて5分間プ
レス脱水し、一夜、風乾して、実験用成紙試料を調製し
た。このようにして得られた成紙を裁断し、その約1g
を精秤して坩堝に入れ、灰化処理の後、塩酸可溶分を希
釈し、100ml容量として、原子吸光分析用の試料と
した。ブランクとして、ピッチコントロール剤を添加せ
ずに抄紙し、成紙を得た。
【0038】上記亜鉛の定量実験の後、次式に従って、
紙への亜鉛定着率を求めた。結果を表2に示す。本発明
によるピッチコントロール剤を用いるとき、亜鉛は、実
質的にすべてが紙に捕捉され、定着される。 亜鉛定着率=〔(ピッチコントロール剤を添加した試料
中の亜鉛量/紙1g−ピッチコントロール剤無添加の試
料中の亜鉛量/紙1g)/ピッチコントロール剤として
添加した亜鉛の量/紙1g〕×100(%)
【0039】
【表2】
【0040】(サイズ効果の測定) 実施例5 参考例1によるステアリン酸亜鉛水分散液をそのまま、
ピッチコントロール剤として用いた。カナディアン・ス
タンダード・フリーネス500mlのパルプ(漂白クラフ
トパルプ、N/L比=1/1)のpH4.9のスラリーに
上記ピッチコントロール剤を添加し、TAPPI標準型
手抄機にて抄紙した。
【0041】得られた湿紙を圧力3kg/cm2 にて5分間
プレス脱水し、回転乾燥機にて150℃で30秒間乾燥
し、かくして得られた成紙を温度20℃、相対湿度65
%の条件下に24時間調湿して、坪量70±1g/cm2
となるように抄紙した。このようにして得られた成紙に
ついて、JIS P−8122に規定されている方法に
従ってステキヒトサイズ度を求めた。結果を表3に示
す。
【0042】
【表3】
【0043】実施例6 参考例2によるステアリン酸亜鉛水分散液をめのまま、
ピッチコントロール剤として用いた。中芯原紙抄造パル
プに両性アクリルアミド紙力増強剤0.5%を添加したp
H5.0のスラリーに上記ピッチコントロール剤を添加
し、TAPPI標準型手抄機にて抄紙した後、実施例4
と同様にして、脱水し、加熱乾燥し、調湿して、坪量1
50±1g/cm2 となるように抄紙した。このようにし
て得られた成紙について、実施例5と同様にして、ステ
キヒトサイズ度を求めた。結果を表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】(湿紙の乾燥性の評価) 実施例7 参考例3によるステアリン酸亜鉛水分散液をそのまま、
ピッチコントロール剤として用いた。中芯原紙抄造パル
プに両性アクリルアミド紙力増強剤1.0%を添加したp
H5.0のスラリーに上記ピッチコントロール剤を添加
し、TAPPI標準型手抄機にて抄紙した後、実施例4
と同様にして、脱水し、加熱乾燥し、調湿して、坪量1
50±1g/cm2 となるように抄紙した。
【0046】得られた湿紙を圧力3kg/cm2 にて5分間
プレス脱水した後、直ちに温度20℃、相対湿度65%
の恒温恒湿の条件下に水分の蒸発量を経時的に調べた。
結果を表5に示す。
【0047】
【表5】

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高級脂肪酸亜鉛100重量部あたりにカチ
    オン界面活性剤1〜20重量部を含むことを特徴とする
    ピッチコントロール剤。
  2. 【請求項2】高級脂肪酸亜鉛100重量部あたりにカチ
    オン界面活性剤1〜20重量部を含む水分散液からなる
    ことを特徴とするピッチコントロール剤。
  3. 【請求項3】高級脂肪酸亜鉛がステアリン酸亜鉛である
    請求項1又は2記載のピッチコントロール剤。
  4. 【請求項4】ステアリン酸亜鉛が平均粒径0.1〜5μm
    を有する請求項1乃至3いずれかに記載のピッチコント
    ロール剤。
  5. 【請求項5】高級脂肪酸亜鉛100重量部あたりにカチ
    オン界面活性剤1〜20重量部を含む水分散液からなる
    ピッチコントロール剤をパルプスラリーに添加すること
    を特徴とするピッチ障害の抑制方法。
  6. 【請求項6】高級脂肪酸亜鉛がステアリン酸亜鉛である
    請求項5記載のピッチ障害の抑制方法。
  7. 【請求項7】ステアリン酸亜鉛が平均粒径0.1〜5μm
    を有する請求項5又は6に記載の方法。
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