JP2698523B2 - 超砥粒砥石及びその製造方法 - Google Patents

超砥粒砥石及びその製造方法

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JP2698523B2
JP2698523B2 JP4358435A JP35843592A JP2698523B2 JP 2698523 B2 JP2698523 B2 JP 2698523B2 JP 4358435 A JP4358435 A JP 4358435A JP 35843592 A JP35843592 A JP 35843592A JP 2698523 B2 JP2698523 B2 JP 2698523B2
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史朗 松本
治樹 野村
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株式会社日本アルミ
三和研磨工業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種材料の研磨、研
削、切断等の用途に利用される超砥粒砥石とその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】超砥粒、即ちダイヤモンドやC
BN等の超硬質の砥粒を用いた超砥粒砥石は、通常、超
砥粒や該超砥粒を含む砥粒層を金属製の台金に接合して
構成される。その際、金属製台金と砥粒層等との結合手
段としては、電着法、焼結法、樹脂系接着剤を用いた接
着法或いはろう付け法などが一般的に採用されている。
【0003】このうち電着法は、ダイヤモンドやCBN
等の超砥粒を導電性台金の表面に散布した状態で、台金
に電気メッキを施すことにより、非導電性砥粒を包むメ
ッキ層を作り、砥粒を台金上に保持するようにしたもの
であるが、この方法では砥粒層が一層のみで厚手の砥粒
層を形成することができず、台金も鉄系材料に限られて
しまう。これは、アルミ製台金を使用した場合、アルミ
表面の酸化皮膜によってメッキ層と良好な密着性を確保
することが困難なためである。
【0004】また、焼結法による場合も、焼結温度の高
い結合剤を用いる場合は、融点との関係でアルミ製台金
の適用が制限され、さらに樹脂系接着剤を用いた場合に
は、接着層の剛性が低いため重研削下では安定した研削
が行えない等の問題点が指摘される。
【0005】また、フラックスを用いる従来のろう付け
法によると、台金、砥粒層の双方に対するなじみや濡れ
性が十分でなく、このためろう付けの歩留りが悪く、し
かもアルミ製台金への適用についても制限を受けるもの
となっている。
【0006】本発明は、かかる現状の課題に鑑みて、ア
ルミ製の台金に、超砥粒を含む加圧成形体であるメタル
ボンド砥粒層が、密着性良く接着されてなる、超砥粒砥
石を提供すること、及びそのような超砥粒砥石を製造す
る方法を提供すること、を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明が新たに
提唱する超砥粒砥石は、アルミ製の台金に、超砥粒を含
む加圧成形体であるメタルボンド砥粒層が、超音波融着
したろう材を介して接着されているものである。即ち、
台金と砥粒層とに超音波振動を付与して融着されたろう
材は、両者になじんで良好な密着性が得られるため、台
金がアルミ製であっても、接着不良のない高歩留まりで
且つ重研削下での応力に耐える堅牢、強固な接着強度を
確保できるものとなる。
【0008】本発明では、上記の超音波ろう付け法を利
用した超砥粒砥石の具体的な製造方法として、次の2つ
のプロセスを提案する。一方は、アルミ製の台金と、超
砥粒を含む加圧成形体であるメタルボンド砥粒層との、
接合面に、個別にろう材を超音波融着し、両者のろう材
融着面を接合させて組み立てた後、ろう材を加熱溶融し
てろう付けする方法であり、他方は、アルミ製の台金
と、超砥粒を含む加圧成形体であるメタルボンド砥粒層
との、接合面に、ろう材を介入させ、ろう材を超音波溶
融してろう付けする方法である。
【0009】
【実施例】本発明に係る超砥粒砥石の幾つかの実施例
を、その製造方法と共に挙げて説明する。
【0010】
【実施例1】図1は平板型のアルミ製台金1の上にメタ
ルボンド砥粒層のチップ2を分散配置して構成される超
砥粒砥石の製造工程を図示したもので、(A)は両者の
組立て、ろう付け前の状態を、(B)はろう付け後の状
態を示している。
【0011】ここにおいて、メタルボンド砥粒層からな
る各チップ2には、ニッケル、鉄、銅、錫等の金属結合
剤と、黒鉛等の潤滑剤と、人工又は天然砥粒の中から選
ばれる面壁性と強度の高い超砥粒とを混合機で十分に混
ぜ合わせたものを、成形型にホットプレスして所定の形
状に加圧成形したものが用いられる。一方、アルミ製台
金1には、プレス、押出し、切削等の適宜の成形又は加
工材が用いられる。
【0012】アルミ製台金1とメタルボンド砥粒層の各
チップ2との接合面には、図1(A)に示すように、予
め個別にろう材3が超音波融着(溶融めっき)されてい
る。図2は、台金1とチップ2に対するろう材3の超音
波溶融めっき工程を図示したもので、溶融ろう材3を貯
溜しているめっき槽5に台金1とチップ2の接合面を各
々浸漬し、めっき槽5内に配した振動板6から超音波振
動を付与しつつろう材3を浸漬面に溶融めっきする。図
2において、7は超音波発振器、8は発振器7で振動さ
れるバイブレータ、9はバイブレータ8から振動板6に
振動を伝えるホーンを示す。
【0013】アルミ製台金1と各チップ2とに個別に超
音波融着されたろう材3は、アルミ製台金1に対して
は、超音波振動がその表面の皮膜を破壊して界面での密
着性を確保し、またメタルボンド砥粒層の各チップ2に
対しては、超音波振動がチップ2内の気泡を追い出して
チップ表面へのろう材3の濡れを改善して密着性を確保
するものとなる。なお、ろう材3の種類については、台
金1の成分組成とチップ2に含まれるメタルボンド材に
応じて選ばれ、アルミ製台金の場合は、アルミ−亜鉛系
合金やアルミ−ニッケル系合金が主に使用される。
【0014】このようにして接合面に予め個別にろう材
3を超音波融着したアルミ製台金1とメタルボンド砥粒
層の各チップ2とは、ろう材融着面を接合させて組み立
てた後、ろう材3を加熱溶融してから冷却することによ
り、図1(B)に示す如く、アルミ製台金1にチップ2
を超音波融着されたろう材3を介して接着した超砥粒砥
石が製造される。
【0015】この砥石の特徴は、アルミ製台金1とチッ
プ2とを接着しているろう材3が両者の接合面に各々超
音波融着されたものであることから、接着不良のない高
歩留りで、かつ重研削下での応力に耐える堅牢、強固な
接着強度を確保することができることである。
【0016】図3、図4は、図1に例示したものと異な
るタイプの砥石に本発明を適用した場合を図示し、図3
は平板又は円盤状のアルミ製台金1に、プレート状のメ
タルボンド砥粒層2を重ね合わせて全面ろう付けした場
合を示し、図4(A)はアルミ製台金(カッティングブ
レード)1の周面にメタルボンド砥粒層のチップ2を等
間隔にろう付けした場合を示し、いずれも上記実施例と
同じく超音波融着されたろう材3を介して台金1と砥粒
層2とが接着されている。図4に示すブレードの例で
は、同図(B)に示すように、各チップ2をブレード周
面に設けた切欠部4に埋め込んでろう付けされるが、こ
の場合には、ブレード1側には切欠部4の周辺部のみに
ろう材3を超音波融着しておけば足りる。
【0017】
【実施例2】図5は本発明に係る超砥粒砥石の製造に適
用される第2の実施例を示し、この場合、アルミ製台金
1と超砥粒を含むメタルボンド砥粒層のチップ2との接
合面にろう材3を介入し、このろう材3を超音波溶融し
てろう付けするようにしている。すなわち、図5(A)
に示すように、まず超音波振動板6に支持又は連結され
ている加熱源(図示せず)を備えたアルミ製台金1のチ
ップ埋込み用切欠部4にろう材3を装填してから、台金
1に超音波振動を伝播させると、切欠部4内にセットさ
れたろう材3が加熱源からの入熱と超音波振動とにより
溶融し、この状態で同図(B)のように、振動を持続し
ながらチップ2を切欠部4に挿入してその後に振動を停
止すると、溶融ろう材3が台金1とチップ2の接合面に
各々超音波融着してろう付けされる。また、上記と逆
に、切欠部4にチップ2を挿入してから挿しろうしてろ
う材3を両者の界面に介入させるようにしてもよい。
【0018】この方法によっても、最終的には第1実施
例の場合と同じく、アルミ製台金1にメタルボンド砥粒
層のチップ2を超音波融着されたろう材3を介して接着
した超砥粒砥石が製造されることになる。この方法で
は、台金1とチップ2とが両者の間に介入させるろう材
3により同時にろう付けされ、第一実施例に比較すると
製造工程が簡略化できる。なお、図4、図5に示す切欠
部埋込み方式のチップろう付け構造では、チップ2にせ
ん断応力が加わる用途の砥石のチップ保持構造として特
に堅牢、強固なものを提供することができる。
【0019】上記の実施例では、台金1として全てアル
ミ製のものを使用する場合を例示したが、これは本発明
によると従来の方法では適用できなかったアルミ製台金
に対するメタルボンド砥粒層のろう付けが可能となり、
しかも軽量で熱伝導や振動吸収性に優れるなどの数々の
利点を有するアルミ製台金が超砥粒砥石の台金材料とし
て好適なものとなるためである。もっとも、本発明はア
ルミ以外の金属製台金への適用を排除するものではな
い。
【0020】以上のように、本発明によれば、アルミ製
の台金と、超砥粒を含む加圧成形体であるメタルボンド
砥粒層とを、超音波融着したろう材を介して接着してい
るので、台金及び砥粒層の両者に対するろう材の密着性
を確保でき、接着不良のない高歩留まりで且つ重研削下
での応力に耐える堅牢、強固な接着強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例を示し、(A)は組立て、ろう付け
前の製造工程を示す砥石の断面図、(B)はろう付け後
の状態を示す砥石の断面図である。
【図2】第1実施例に適用される超音波溶融めっき装置
の概要を示す断面図である。
【図3】砥石形態を違えた第1実施例の変更例を示す断
面図である。
【図4】(A)は砥石形態を違えた第1実施例の変更例
を示す斜視図、(B)は(A)の要部拡大図である。
【図5】第2実施例を示し、(A)は組立て、ろう付け
前の製造工程を示す砥石の断面図、(B)はろう付け状
態を示す砥石の断面図である。
【符号の説明】
1 アルミ製台金 2 チップ(メタルボンド砥粒層) 3 ろう材 4 切欠部 5 めっき槽 6 振動板 7 超音波発振器 8 バイブレータ 9 ホーン
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−221281(JP,A) 特開 平4−144977(JP,A) 特開 昭61−14092(JP,A) 岩本信也、外1名、セラミックス接合 工学、初版第1刷、1990年11月、日刊工 業新聞社、P.45−75 荒田吉明、外1名、溶接法の基礎、第 3版、1986年4月、産報出版株式会社、 P.152−155

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミ製の台金に、超砥粒を含む加圧成
    形体であるメタルボンド砥粒層が、超音波融着したろう
    材を介して接着されていることを特徴とする超砥粒砥
    石。
  2. 【請求項2】 アルミ製の台金と、超砥粒を含む加圧成
    形体であるメタルボンド砥粒層との、接合面に、個別に
    ろう材を超音波融着し、両者のろう材融着面を接合させ
    て組み立てた後、ろう材を加熱溶融してろう付けするこ
    とを特徴とする超砥粒砥石の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルミ製の台金と、超砥粒を含む加圧成
    形体であるメタルボンド砥粒層との、接合面に、ろう材
    を介入させ、ろう材を超音波溶融してろう付けすること
    を特徴とする超砥粒砥石の製造方法。
JP4358435A 1992-12-25 1992-12-25 超砥粒砥石及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2698523B2 (ja)

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岩本信也、外1名、セラミックス接合工学、初版第1刷、1990年11月、日刊工業新聞社、P.45−75
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