JP2692815B2 - 液晶組成物及びこれを含む液晶素子 - Google Patents

液晶組成物及びこれを含む液晶素子

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【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は液晶表示素子や液晶−光シヤツター等に利用
される液晶素子に用いる液晶組成物に関し、更に詳しく
は、電界に対する応答特性が改善された新規な液晶組成
物に関するものである。 又、液晶分子の配向状態を改善することにより、表示
ならびに駆動特性を改善した液晶組成物に関するもので
ある。 〔従来の技術とその問題点〕 双安定性を有する液晶素子の使用がClarkおよびLager
wallにより提案されている(特開昭56−107216号公報、
米国特許第4367924号明細書等)。双安定性液晶として
は、一般に、カイラルスメクテイツクC相(SmC)又
はH相(SmH)を有する強誘電性液晶が用いられる。
この強誘電性液晶は電界に対して第1の光学的安定状態
と第2の光学的安定状態からなる双安定状態を有してい
るので、TN型の液晶で用いられた光学変調素子とは異な
り、例えば一方の電界ベクトルに対して第1の光学的安
定状態に液晶が配向し、他方の電界ベクトルに対しては
第2の光学的安定状態に液晶が配向される。またこの型
の液晶は、加えられる電界に応答して、上記2つの安定
状態のいずれかを取り、且つ電界の印加のないときはそ
の状態を維持する性質(双安定性)を有する。 以上のような双安定性を有する特徴に加えて、強誘電
液晶は高速応答性であるという優れた特徴をもつ。 このため強誘電性を持つ液晶材料に関しては広く研究
がなされているが、現在までに開発された強誘電性液晶
材料は、低温作動特性、高速応答性等を含めて液晶素子
に用いるに十分な特性を備えているとは云い難い。 また、さらに従来の双安定性を有する強誘電性液晶素
子においては、液晶の均一な配向状態が必ずしも満足に
形成されなかった為に、充分な特性が得られなかったの
が実情である。この為、これまでにラビング処理や斜方
蒸着処理した面の存在下で双安定性を示す強誘電性液晶
を均一な配向状態に配向させようとする方法が提案され
ている。本発明者らは、既に上述のラビング処理や斜方
蒸着処理を施した基板を用いる事によって、均一な配向
状態をもつ双安定性強誘電性液晶が得られることは判明
していた。 しかしながら、本発明者らの実験によれば、前述した
双安定状態が必ずしもクラークとラガーウオルによって
発表された前掲の文献等で示された理想的な双安定状態
を持たないことが判明した。 すなわち、クラークとラガーウオルによれば双安定性
を実現する非らせん構造のカイラルスメクチツク相での
チルト角(後述の第3図に示す角度θ)がらせん構造を
もつカイラルスメクチツク相でのチルト角(後述の第2
図に示す三角錐の頂角)と同一の角度をもつはずであ
るが、実際には非らせん構造でのチルト角θの方がらせ
ん構造でのチルト角より小さくなっている。しかも、
この非らせん構造でのチルト角θがらせん構造でのチル
ト角より小さくなる原因が非らせん構造での液晶分子
のねじれ配列に起因していることが判明した。つまり、
非らせん構造をもつカイラルスメクチツク相では、液晶
分子が第8図に示す様に基板の法線に対して上基板に隣
接する液晶分子の軸82より下基板に隣接する液晶分子の
軸83(ねじれ配列の方向)へ連続的にねじれ角δでねじ
れて配列しており、このことが非らせん構造でのチルト
角θがらせん構造でのチルト角より小さくなる原因と
なっている。 尚、図中81は上下基板に形成したラビング処理や斜方
蒸着処理によって得られた一軸性配向軸を表わしてい
る。 ところで、液晶の複屈折を利用した液晶素子の場合、
直交ニコル下での透過率は、 で表わされる。前述の非らせん構造におけるチルトθは
第1と第2の配向状態でのねじれ配列した液晶分子の平
均分子軸方向の角度として現われることになる。上式に
よれば、かかるチルトθが22.5゜の角度の時最大の透過
率となるが、双安定性を実現する非らせん構造でのチル
ト角θは大きくて10゜程度の角度であり、従って、表示
装置としての適用を考慮した時にはその透過率は3〜5
%程度で十分なものとはならない問題がある。 〔発明の目的〕 そこで、本発明の目的は前述の欠点又は不利を解消し
た強誘電性液晶組成物および該液晶組成物を使用する液
晶素子を提供することにある。 さらに詳しくは、本発明の目的は、双安定状態を実現
する非らせん構造のカイラルスメクチック相での配向性
を改善する液晶組成物を提供し、それによって、コント
ラスト、透過率の改善された液晶素子を提供することに
ある。 〔目的を達するための手段及び作用〕 そこで本発明は、 自発分極Psの値が0でない液晶組成物であって、 自発分極Psの方向が正であり且つ温度T(|Tc−T|=1
5℃)においてPs≧8nC/cm2であるカイラルスメクチック
液晶性化合物少なくとも1種と、自発分極Psの方向が負
であり且つ温度T(|Tc−T|=15℃)においてPs≦−8nC
/cm2であるカイラルスメクチック液晶性化合物少なくと
も1種とを含有し、 前記Psの方向が正のカイラルスメクチック液晶性化合
物と前記Psの方向が負のカイラルスメクチック液晶性化
合物とのうち少なくとも1種は、不斉炭素原子にフッ素
原子が直接結合した光学活性基を有する化合物であるこ
とを特徴とする液晶組成物、ならびに該液晶組成物を一
対の基板間に有する液晶素子を提供するものである。 ここで、温度T(|Tc−T|=15℃)においてPs≧8nC/c
m2とは、カイラルスメクチック液晶性化合物がカイラル
スメクチック相を示す上限の温度Tcから15℃下がった温
度Tでの自発分極Ps(以下、単にPsとする)が8nC/cm2
以上であるということを意味する。例えば、該カイラル
スメクチック液晶性化合物がカイラルスメクチックC相
を有するものであれば、カイラルスメクチックC相を示
す上限の温度から15℃下がった温度での値ということで
ある。また、温度T(|Tc−T|=15℃)においてPs≦−8
nC/cm2とは、カイラルスメクチック液晶性化合物がカイ
ラルスメクチック相を示す上限の温度Tcから15℃下がっ
た温度TでのPsが−8nC/cm2以下であるということを意
味する。これらをまとめて、|Ps|≧8nC/cm2(|Tc−T|=
15℃)と表す。ただし、該カイラルスメクチック液晶性
化合物が単独ではカイラルスメクチック相を示さない場
合、後述するように、スメクチックC相を有しPsをもた
ない液晶化合物と混合した場合のPsの測定値から外挿し
た値を意味する。 前述のカイラルスメクチック相とはSmC、SmH、
SmF、SmI、SmG相等の液晶相である。 前述のねじれ配列によるねじれ角及びねじれ方向は、
液晶と基板の表面状態及び液晶分子間の相互作用によっ
て決まるが、上記液晶組成物を有する液晶素子を用いる
ことにより、該ねじれ配列を解消することができる。該
ねじれ配列を解消した強誘電性液晶素子では直交ニコル
下で最大の透過率/遮光率コントラストが得られる。一
方、ねじれ配列の双安定性をもっている液晶素子では非
直交ニコル下で最大のコントラストが得られるが、この
時観察方向によってそのコントラストが相違してしまう
視野角依存性を有している。本発明の液晶組成物を用い
ることにより、かかるねじれ配列を解消するとともに、
上述の視野角依存性をも解消することができる。 Psの方向が互いに逆向きであるカイラルスメクチック
液晶性化合物を混合することにより、カイラルスメクチ
ック液晶性化合物単体よりもPsの絶対値が小さくなる場
合がある。それによって、応答速度が低下することが懸
念されるが、応答速度はPsだけではなく、液晶組成物の
粘度等にも関係しており、Psの絶対値が小さいことが、
即応答速度が小さいことを意味するものではない。逆
に、Psの方向が互いに同一であり且つPsの絶対値が大き
い液晶性化合物を混合すると配向性が悪化したり、スイ
ッチング不良が生じたりすることがある。 本発明の液晶組成物としては、例えば不斉炭素に直接
フッ素原子が結合した構造を有する光学活性な液晶性化
合物(以下F系液晶性化合物と呼ぶ)、好ましくは下記
一般式(3)(式中、Y2又は を、X3は単結合,−O− R3およびR4は炭素数1〜16の直鎖又は分岐状のアルキ
ル基、アルコキシアルキル基又はハロゲン化アルキルで
あり、不斉炭素を有しても良い。a,b,cおよびdは0ま
たは1または2であり、eは0または1である。C
不斉炭素原子を表わす。)で表わされる光学活性なフル
オロアルカン誘導体の液晶化合物の少なくとも1種と、
下記一般式(1) (式中、R1は、直鎖又は分岐状の炭素数1〜18のアルキ
ル基であり、xは0または1、yは0〜8の整数であ
る。またCは不斉炭素原子を示す。) より好ましくは下記一般式(2)で表わされる光学活性
基を有する液晶性化合物 (式中、X1及びX2は単結合, またA1及びA2は置換基を有しても良い、2価の含六員環
基を示す。(置換基としては、アルキル基、アルコキシ
基、ハロゲン原子(塩素、臭素、又はフツ素)又はシア
ノ基であり、2価の含六員環基としては があげられる。) R2及びR1は、それぞれ炭素数4〜16および1〜18の直
鎖又は分岐状のアルキル基であり、yは0〜8の整数、
xは0または1である。Cは不斉炭素原子を示す。)
で表わされる光学活性は液晶性化合物の少なくとも1種
を配合成分として含有することを特徴する液晶組成物を
用いることができる。 また、本発明の液晶組成物としては、例えば不斉炭素
原子に直接フツ素原子が結合した光学活性基を有し、か
つエステル結合を有する液晶性化合物であって、該光学
活性基を該エステル結合のカルボン酸成分として含む液
晶性化合物の少なくとも1種類と、該光学活性基を該エ
ステル結合のアルコール成分として含む液晶性化合物の
少なくとも1種類とを含有する液晶組成物を用いること
ができる。 前記光学活性基をエステル結合のカルボン酸成分とし
て含む液晶性化合物は、望ましくは下記一般式(4) で表わされ、前記光学活性基をエステル結合のアルコー
ル成分として含む液晶性化合物は、望ましくは下記一般
式(5) で表わされる。 前記一般式(4),(5)において、R5,R6,R7とR8
炭素数1〜16の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、
は不斉炭素原子を示す。X5とX6は単結合,−O−ま
たは−COO−を示し、X7は−O−または を示す。 A3,A4,A5とA6は置換基を有しても良い含六員環基であ
り、A3とA4(Y3は単結合、−CH=CH−または−CH2CH2−を示し、l
は1または2を示す。)で表わされ、A5とA6(Y4は単結合、−CH=CH−または−CH2CH2−を示し、n
は1または2を示す。)で表わされ、mは0または1を
示す。 但し上記の式で表わしているカルボン酸成分とは下記
の(A)の部分を表わしている。 又、アルコール成分とは下記の(B)の部分を示して
いる。 上記液晶組成物及びそれを用いた液晶素子により、低
温作動特性、高速応答性等の諸特性が改善され、単独の
液晶化合物では得られない表示特性が得られる。 本発明者らはF(フツ素)系液晶性化合物と上記
(1)式の液晶性化合物を混合することで、それぞれの
液晶性化合物を単独で用いる場合に比べ、スメクチツク
相を与える温度領域が広がり、且つ応答速度が向上
し、表示特性が改善された液晶素子を提供できることを
見出した。以下、本発明を更に詳細に説明する。以下の
記載において量比を表わす「%」および「部」は、いず
れも重量を基準とする。 本発明の液晶組成物中に用いられる液晶性化合物はF
系液晶性化合物全般(好ましくは一般式(3)で表わさ
れるもの)及び、例えば一般式(1)で表わされる光学
活性基を有する液晶性化合物(好ましくは一般式
(2))で表わされるものである。 一般式(2)および(3)で表わされる具体的な液晶
性化合物例の構造式と液晶の相転移温度を下表1および
2に示す。しかし、ここにあげたもののみに本発明が限
られるわけではない。 表中、相転移温度の欄における記号は、それぞれ以下
の相を示す。 Cryst.:結晶相、 SmA:スメクチツクA相、 SmC:カイラルスメクチツクC相、 N:ネマチツク相、 Ch:コレステリツク相、 Iso:等方相、 Sm1,Sm2,Sm3:SmA,SmC以外のスメクチツク相(未同
定)。 一般式(2)で示される光学活性な液晶性化合物は以
下の方法等により合成される。 出発原料として一般式(6)(ここでR0は低級アルキル基、Cは不斉炭素原子を示
し、x,zは0または1を示す。xが0のときzは0また
は1であり、xが1のときzは0である。)で表わされ
る化合物より下記反応工程式(1)および(2)に従っ
て、あるいは工程式(2)を繰り返すことによって光学
活性アルコールあるいは光学活性アルボン酸を合成でき
る。 (ここでR1は炭素数1〜18の直鎖又は分岐状のアルキル
基であり、yは0〜8の整数、xは0または1である。
Dは−OH,又は である。) このようにして合成した光学活性なアルコールあるい
は光学活性なカルボン酸とそれぞれ対応するアルコー
ル,チオール等誘導体、あるいはカルボン酸誘導体と常
法により反応させることにより下記一般式(8),
(9) (ここでX2は単結合, を示す。またA2は置換基を有しても良い2価の含六員環
基を示し、置換基としては、アルキル基,アルコキシ
基,ハロゲン原子(塩素,臭素,フツ素),シアノ基、
2価の含六員環基としては があげられる。 R1は炭素数1〜18の直鎖又は分岐状のアルキル基であ
り、yは0〜8の整数、xは0または1である。 Y5は−O−あるいは−S−であり、Y6は単結合、−CH
=CH−または−CH2CH2である。Cは不斉炭素原子を示
す。)で示される、エーテルあるいはエステル結合を有
している光学活性なアルコール及び光学活性なカルボン
酸を得ることができる。 (7),(8),(9)をさらに下記一般式(10),
(11) R2−X1−A1−Y7−Y8H (10) (ここでR2は炭素数4〜16の分岐または直鎖アルキル基
を示す。A1は置換基を有しても良い2価の含六員環基を
示し、X1は単結合、 である。Y7及びY9は単結合、−CH2CH2−あるいは−CH=
CH−であり、Y8は−O−あるいは−S−である。)で示
されるアルコール,チオール誘導体、あるいはカルボン
酸誘導体と常法により反応させることにより、一般式
(2)で示される光学活性な液晶性化合物を合成するこ
とができる。 上記一般式(3)で示される光学活性フルオロアルカ
ン誘導体は、好ましくは、特願昭60−232886号等の明細
書に示される2−フルオロ−1−アルカノール、p−ハ
イドロキシ安息香酸(2−フルオロアルキル)エステ
ル、p−ハイドロキシビフエニルカルボン酸(2−フル
オロアルキル)エステル、ハイドロキノン(2−フルオ
ロアルキル)エーテル、4−〔4′−(2−フルオロア
ルキル)オキシフエニル〕フエノール等の光学活性中間
体から合成される。 例えばこれらの光学活性中間体から次に示す合成経路
により、一般式(3)(特にY2の場合。)液晶性化合物が得られる。(但し、上記式中の符号は前述の符号と一致してい
る。) 本発明の液晶組成物は一般式(1)で表わされる光学
活性基を有する液晶性化合物、好ましくは一般式(2)
で表わされる液晶性化合物の少なくとも1種1〜99%
と、F系液晶性化合物、好ましくは一般式(3)で表わ
される液晶性化合物の少なくとも1種99〜1%を混合す
ることにより形成することが好ましい。 また、本発明の別の良好な結果を示す液晶組成物は、
例えば不斉炭素原子に直接フツ素原子が結合した光学活
性基を有し、かつエステル結合を有する液晶性化合物で
あって、該光学活性基を該エステル結合のカルボン酸成
分として含む液晶性化合物の少なくとも1種類と、該光
学活性基を該エステル結合のアルコール成分として含む
液晶性化合物の少なくとも1種類とを含有する液晶組成
物である。 前記光学活性基をエステル結合のカルボン酸成分とし
て含む液晶性化合物は、望ましくは下記一般式(4)で表わされ、前記光学活性基をエステル結合のアルコー
ル成分として含む液晶性化合物は、望ましくは下記一般
式(5) で表わされる。 液晶性化合物の代表例を以下に示す。前記光学活性基
をエステル結合のカルボン酸成分として含む液晶性化合
物、好ましくは一般式(4)で表わされる液晶性化合物
の具体例を以下に示す。 上記一般式(4)で示される光学活性な液晶性化合物
は、好ましくはp−2−フルオロアルコキシ安息香酸、
p′−2−フルオロアルコキシビフエニル−p−カルボ
ン酸等の光学活性中間体から合成される。 例えばこれらの光学活性中間体から次に示す合成経路
により、一般式(4)に示される液晶性化合物が得られ
る。(但し上記式中の符号は前述の符号と一致している。) また、前記光学活性基をエステル結合のアルコール成
分として含む液晶性化合物、好ましくは一般式(5)で
表わされる液晶性化合物の具体例を以下に示す。 上記一般式(5)で示される光学活性な液晶性化合物
は、好ましくは特願昭60−232886号等に示される2−フ
ルオロ−1−アルカノール、p−ハイドロキシ安息香酸
(2−フルオロアルキル)エステル、p−ハイドロキシ
ビフエニルカルボン酸(2−フルオロアルキル)エステ
ル、ハイドロキノン(2−フルオロアルキル)エーテ
ル、4−〔4′−(2−フルオロアルキル)オキシフエ
ニル〕フエノール等の光学活性中間体から合成される。 例えばこれらの光学活性中間体から次に示す合成経路
により、一般式(5)に示される液晶性化合物が得られ
る。 本発明の液晶組成物は前記光学活性基をエステル結合
のカルボン酸成分として含む液晶性化合物、望ましくは
前記一般式(4)で示される液晶性化合物の少なくとも
1種を1〜99%と、前記光学活性基をエステル結合のア
ルコール成分として含む液晶性化合物、望ましくは前記
一般式(5)で示される液晶性化合物の少なくとも1種
を99〜1%の割合で混合することにより作成することが
望ましい。 第1図は、強誘電性液晶素子の構成の説明のために、
強誘電性液晶層を有する液晶表示素子の一例の断面概略
図である。 第1図において符号1は強誘電性液晶層、2はガラス
基板、3は透明電極、4は絶縁性配向制御層、5はスペ
ーサー、6はリード線、7は電源、8は偏光板、9は光
源を示している。 2枚のガラス基板2には、それぞれIn2O3,SnO2あるい
はITO(Indium−Tin Oxide)等の薄膜から成る透明電極
が被覆されている。その上にポリイミドの様な高分子の
薄膜をガーゼやアセテート植毛布等でラビングして、液
晶をラビング方向に並べる絶縁性配向制御層が形成され
ている。また絶縁層として例えばシリコン窒化物、水素
を含有するシリコン炭化物、シリコン酸化物、硼素窒化
物、水素を含有する硼素窒化物、セリウム酸化物、アル
ミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物や
フツ化マグネシウムなどの無機物質絶縁層を形成し、そ
の上にポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアミド
イミド、ポリエステリイミド、ポリパラキシレン、ポリ
エステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、
ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリス
チレン、セルロース樹脂、メラミン樹脂、ユリヤ樹脂、
アクリル樹脂やフオトレジスト樹脂などの有機絶縁物質
を配向制御層として、2層で絶縁性配向制御層が形成さ
れていてもよく、また、無機物質絶縁性配向制御層ある
いは有機物質絶縁性配向制御層、単層であっても良い。
この絶縁性配向制御膜が無機系ならば蒸着法などで形成
でき、有機系ならば有機絶縁物質を溶解させた溶液また
はその前駆体溶液(溶剤に0.1〜20重量%、好ましく
は、0.2〜10重量%)を用いて、スピンナー塗布法、浸
漬塗布法、スクリーン印刷法、スピレー塗布法、ロール
塗布法等で塗布し、所定の硬化条件下(例えば加熱)で
硬化させ形成させることがきる。絶縁性配向制御層の層
の厚みは通常50Å〜1μ、好ましくは100Å〜5000Å、
さらに好ましくは500Å〜3000Åが適している。 この2枚のガラス基板2はスペーサー5によって任意
の間隔に保たれている。例えば、所定の直径を持つシリ
カビーズ、アルミナビーズをスペーサーとしてガラス基
板2枚で挟持し、周囲をシール材、例えばエポキシ系接
着材を用いて密封する方法がある。その他、スペーサー
として高分子フイルムやガラスフアイバー等を用いても
良い。この2枚のガラス基板の間に強誘電性液晶が封入
されている。強誘電性液晶が封入された強誘電性液晶層
は一般には0.5μ〜20μ、好ましくは1μ〜5μであ
る。 透明電極3からはリード線によって外部電源7に接続
されている。またガラス基板2の外側には偏光板8が貼
り合わせてある。 第1図は透過型なので、光源9を備えている。 第2図は、強誘電性液晶素子の動作説明のために、セ
ルの例を模式的に描いたものである。21aと21bは、それ
ぞれIn2O3,SnO2あるいはITO(Indium−Tin Oxide)等の
薄膜からなる透明電極で被覆された基板(ガラス板)で
あり、その間に液晶分子層22がガラス面に垂直になるよ
う配向したSmC相又はSmH相の液晶が封入されてい
る。太線で示した線23が液晶分子を表わしており、この
液晶分子23はその分子に直交した方向に双極子モーメン
ト(P⊥)24を有している、基板21aと21b上の電極間に
一定の閾値以上の電圧を印加すると、液晶分子23のらせ
ん構造がほどけ、双極子モーメント(P⊥)24がすべて
電界方向に向くよう、液晶分子23は配向方向を変えると
ができる。液晶分子23は、細長い形状を有しており、そ
の長軸方向と短軸方向で屈折率異方性を示し、従って、
例えばガラス面の上下に互いにクロスニコルの偏光子を
置けば、電圧印加極性によって光学特性が変わる液晶光
学変調素子となることは容易に理解される。 本発明の光学変調素子で好ましく用いられる液晶セル
は、その厚さを充分に薄く(例えば10μ以下)すること
ができる。このように液晶層が薄くなるにしたがい、第
3図に示すように電界を印加していない状態でも液晶分
子のらせん構造がほどけ、その双極子モーメントPaまた
はPbは上向き(34a)又は下向き(34b)のどちらかの状
態をとる。このようなセルに、第3図に示す如く一定の
閾値以上の極性の異なる電界Ea又はEbを電圧印加手段31
aと31bにより付与すると、双極子モーメントは、電界Ea
又はEbの電界ベクトルに対応して上向き34a又は下向き3
4bと向きを変え、それに応じて液晶分子は、第1の安定
状態33aかあるいは第2の安定状態33bの何れか一方に配
向する。 このような強誘電性を光学変調素子として用いること
の利点は、先にも述べたが2つある。 その第1は応答速度が極めて速いことであり、第2は
液晶分子の配向が双安定性を有することである。第2の
点を、例えば第3図によって更に説明すると、電界Eaを
印加すると液晶分子は第1の安定状態33aに配向する
が、この状態は電界を切っても安定である。又、逆向き
の電界Ebを印加すると、液晶分子は第2の安定状態33b
に配向してその分子の向きを変えるが、やはり電界を切
ってもこの状態に留っている。又、与える電界Eaあるい
はEbが一定の閾値を越えない限り、それぞれ前の配向状
態にやはり維持されている。 以下、実施例及び参考例により本発明を更に詳細に説
明する。 なお、以下実施例及び参考例で自発分極はK.ミヤサト
外「三角波による強誘電性液晶の自発分極の直接測定
法」(日本応用物理学会誌22、10号、L(661)1983、
(“Direct Method with Triangular Waves for Measur
ing Spontaneous Polarization in Ferroelectric Liqu
id Crystal",as described by K.Miyasatoet al.(Jap.
J.Appl.Phys.22,No.10,L661(1983)))により測定し
た。 また、Psの極性については、clarkらの定義(N.A.Cla
rk and S.T.Lagerwell,Ferroelectrics,59 P.25(198
4))に従い測定した。 なお単独では、カイラルスメクチツク相を示さない液
晶性化合物は、スメクチツクC相を示し、Psをもたない
液晶化合物と、10:90の比率で混合することにより、カ
イラルスメクチツクC相をもたせた後、Psを測定し、こ
れを本来の10%値として、100%外挿値をもとめPs値と
した。 実施例1 前記表1および表2に記載の液晶性化合物15と液晶性
化合物41を84:16の割合で混合して液晶組成物を得た。
ここで、液晶性化合物15のPs値は+11nC/cm2(|Tc−T|
=15℃)、液晶性化合物41のPs値は−87nC/cm2(|Tc−T
|=12℃)であった。この液晶組成物は以下の相転移を
示した。 すなわち、この液晶組成物は単独の液晶性化合物15に
よりカイラルスメクチツクC相の温度領域が高温側にも
低温側にも広がり、過冷却温度でもSmCを比較的安定
に保つ。 上記液晶組成物の自発分極と応答速度の結果を下の表
3に示す。 上記、応答速度は電極を覆うポリイミド被膜にラビン
グ処理を施した一対の電極基板間に上記液晶組成物を挟
持し、液晶層厚を2μmとして、ピーク・トウ・ピーク
電圧として20Vの電圧印加により直交ニコル下での光学
的な応答を(電圧印加時から透過光量変化が90%変化す
るまでの間を)検知して応答速度を測定した。 以上からわかるように、本発明に従う混合液晶組成物
は、単独の液晶性化合物に比べてSmC相の温度領域が
広がり、またF系液晶化合物のもつ大きな自発分極が混
合液晶組成物に反映し、それに起因する応答速度の改善
がされている。 実施例2 前記表1に記載の液晶性化合物5,6,10を1:1:2で混合
した液晶組成物は以下の相転移を示す。 また、液晶組成物のそれぞれの液晶性化合物5,6,10
の自発分極の値ならびに螺旋の巻きを示す。 また前記表2に記載の液晶性化合物44と48を1:3で混
合した液晶組成物は以下の相転移を示す。 また、液晶性化合物のそれぞれの液晶性化合物44,4
8の結果も示す。 この2つの液晶組成物及びを混合し得られた液晶
組成物ABの相転移温度(昇温過程)の変化を相図として
第7図に示す。第7図より明らかな通り、A:B=80:20の
混合比率付近でカイラルスメクチツクCの温度範囲が特
に低温側に広がっている。 また、この組成物ABのうち、A80−B20 (A:B=80:20混
合物)について、実施例1と同様にし素子を作成して、
全く同じ条件で応答速度を測定したところ、25℃におい
て550μsecと組成物 100%を用いる場合に比べて応答
特性が改善されていた。(なお、液晶組成物Aの25℃に
おける応答速度は610μsecである。) なお、この液晶素子における(測定条件は以下の実施
例7と同様)チルト角は15゜、最大透過率は13%であっ
た。 実施例3 前記表1に記載の液晶性化合物1,4,10,15及び16、さ
らに前記表2に記載の液晶性化合物41を下表4に示す割
合で混合して液晶組成物を得た。 ここで、液晶性化合物10のPs値は+15.6nC/cm2(|Tc
−T|=10℃)、液晶性化合物15のPs値は+11nC/cm2(|T
c−T|=15℃)、液晶性化合物41のPs値は−87nC/cm2(|
Tc−T|=12℃)であった。 この液晶組成物は、以下の相転移を示した。 また上記組成物を用いて、実施例1と同様にして素子
を作成し、全く同じ条件で測定した光学応答速度は25℃
において220μsecであった。 すなわち、この液晶組成物は単独の液晶性化合物より
カイラルスメクチツクC相の温度領域が特に低温側に広
がり、室温において安定な状態を保ち、また応答速度の
改善がなされている。 実施例4 前記表1記載の液晶性化合物10,15,16と前記表2に記
載の液晶性化合物33,44,46とをそれぞれ35,20,5,5,10,2
5%ずつ混合した液晶組成物を用い、相転移を調べ実施
例3と同様にして光学応答速度を確認したところ、単独
の液晶性化合物よりスメクテイツクC相が低温側に広が
った、応答速度の改善された液晶素子を得ることができ
た。ここで、液晶性化合物10のPs値は+15.6nC/cm2(|T
c−T|=10℃)、液晶性化合物15のPs値は+11nC/cm2(|
Tc−T|=15℃)、液晶性化合物44のPs値は−53nC/cm
2(|Tc−T|=13℃)であった。 実施例5 前記表1記載の液晶性化合物22,30と前記表2に記載
の液晶性化合物33,44,46,47とをそれぞれ15,5,10,15,3
5,20%ずつ混合した液晶組成物を用いても実施例4と同
様の結果が得られることが確かめられた。ここで、液晶
性化合物22のPs値は+34.3nC/cm2(|Tc−T|=12℃)、
液晶性化合物44のPs値は−53nC/cm2(|Tc−T|=13
℃)、液晶性化合物47のPs値は−55nC/cm2(|Tc−T|=1
2℃)であった。 参考例1 液晶性化合物5−12と液晶性化合物5−26との3対1
で混合した液晶組成物(5−a)と液晶化合物4−3と
を混合した。この混合系の配合比と相転移温度との関係
を図4に示す。 ここで液晶性化合物4−3の相転移温度は、下記に示
すように モノトロピツク液晶であるが、4−3の配合比30wt%で
Sc相が46〜72℃と低温・高温とも拡大することがわか
った。(ここで、Cryst.は結晶相、Scはカイラルスメ
クチツクC相、SAはスメクチツクA相、そしてISOは等
方性液体を示す。) 参考例2 2枚の0.7m厚のガラス板を用意し、それぞれのガラス
板上にITO膜を形成し、電圧印加電極を作成し、さらに
この上にSiO2を蒸着させ絶縁層とした。ガラス板上にシ
ランカツプリン剤〔信越化学(株)製KBM−602〕0.2
%、イソプロピルアルコール溶液を回転数2000r.p.mの
スピードで15秒間塗布し表面処理を施した。この後120
℃にて20分間加熱乾燥処理を施した。 さらに表面処理を行った。ITO膜付きのガラス板上に
ポリイミド樹脂、前駆体〔東レ(株)SP−510〕2%ジ
メチルアセトアミド溶液を回転数2000r.p.mのスピンナ
ーで15秒間塗布した。成膜後60分間、300℃加熱縮合焼
成処理を施した。この時の塗膜の膜厚は約700Åであっ
た。この焼成後の被膜には、アセテート植毛布によるラ
ビング処理がなされ、その後イソプロピルアルコール液
で洗浄し、平均粒径1.5μmのアルミナビーズを一方の
ガラス板上に散布した後、それぞれのラビング処理軸が
互いに平行となる様にし、接着シール剤〔リクソンボン
ド(チツソ(株))〕を用いて、ガラス板をはり合わ
せ、60分間100℃にて加熱乾燥しセルを作成した。この
セルのセル厚をベレツク位相板によって測定したところ
約1.6μmであった。 次に参考例1の液晶組成物(4−3の配合比30wt%)
を加熱し、等方性液体とし、上記で作成したセル内に真
空注入した。等方相から0.5℃/hで65℃まで徐冷させ、
同温度で一対の偏光子をクロスニコル状態で設けてから
顕微鏡で観察したところモノドメインの非らせん構造の
Sc状態が形成されていることが確認できた。 次にピーク・トウ・ピーク電圧として10Vの電圧印加
により直交ニコル下での光学的な応答を(電圧印加時か
ら透過光量変化が90%変化するまでの間を)検知して応
答速度を測定した。比較のため混合成分である液晶組成
物(5−a)、液晶性化合物4−3も同様にして応答速
度を測定した。応答速度の結果を第5図に示す。図から
わかるように本発明の混合液晶組成物は応答速度の温度
特性が改善されている。 実施例6 フツ素原子が直接不斉炭素に結合した光学活性基をエ
ステル結合基のカルボン酸成分として有する液晶性化合
物を以下に示す割合で混合することにより液晶組成物
(4−a)を得た。また上記光学活性基をエステル結合
のアルコール成分として有する液晶性化合物を以下に示
す割合で混合することにより液晶組成物(5−b)を得
た。ここで、液晶性化合物4−3のPs値は−13.3nC/cm2
(|Tc−T|=7℃)、液晶性化合物5−5のPs値は−87n
C/cm2(|Tc−T|=12℃)、液晶性化合物5−13のPs値は
+42nC/cm2(|Tc−T|=12℃)であった。 液晶組成物(4−a) 4−3/4−6/4−8=8/1/1(重量比) 液晶組成物(5−b) 5−5/5−12/5−13/5−27=2/4/1/2(重量比) この液晶組成物(4−a),(5−b)を1:3の割合
で混合して得られた液晶組成物を用いて参考例2と同
様に素子を作成し、全く同じ条件で応答速度を測定し
た。その結果を以下に示す。また同様の方法で測定した
液晶組成物(4−a)および液晶組成物(5−b)の応
答速度をあわせて示す。 液晶組成物(4−a) 60℃ 75℃ − 20μsec 液晶組成物(5−b) 60℃ 70℃ 75℃ 35μsec 20μsec 18μsec 液晶組成物 55℃ 65℃ 70℃ 30μsec 23μsec 20μsec 又、以上の結果を第6図に示す。 次に、液晶組成物を用いた素子を60℃において駆動
電圧±10Vで、パルス巾50μsecで駆動したところコント
ラスト17で良好なスイツチング状態が得られた。 以上からわかる様に、本発明に従う混合液晶組成物は
低温域の応答特性が改善され、良好な表示特性を有する
ものであった。 参考例3 参考例2と同様な素子に、以下の割合で混合した液晶
組成物を用いて実施例6と全く同じ条件で応答速度及
びスイツチング状態を確かめたところ、本発明に従う混
合液晶組成物は低温域の応答特性及び表示特性をより良
好にすることがわかった。 〔液晶組成物〕 液晶組成物4−b[4−3/4−5=3/1(重量比)]及
び液晶組成物5−c[5−5/5−10=2/1(重量比)]と
を2:3の割合で混合。 参考例4 参考例2と同様な素子に以下の割合で混合した液晶組
成物を用いて参考例2と全く同じ条件で応答速度及び
スイツチング状態を確かめたところ、本発明に従う混合
液晶組成物は低温域の応答特性及び表示特性をより良好
にすることがわかった。 〔液晶組成物E〕 液晶組成物4−C[4−4/4−8=1/2(重量比)]及
び液晶組成物5−D[5−4/5−28=1/4(重量比)]と
をとを1:4の割合で混合。 実施例7 下記液晶性化合物を下記組成比で混合して液晶組成物
を得た。 次に組成物を用い、約3μmの液晶膜厚をもつ液晶
素子を作成した。(液晶素子1) 3μmセルの基板の構成は2枚の0.7mm厚ガラス板に
夫々1000ÅのITO(Induim Tin Oxide)と200ÅのPI(ポ
リイミド)被膜を設けたもので、そのPI被膜にはラビン
グ処理により一軸性配向処理がなされ、夫々のラビング
軸方向を互いに平行になるように二枚の基板をセル組み
した。 セル厚(上下基板の間隔)は3μmのビーズ状スペー
サーで保持した。 この液晶セルに前述の混合液晶を等方相下で真空注入
してから、等方相から0.5℃/hで30℃まで徐冷すること
により配向させることができた。以後の実験は30℃で行
なった。 クロスニコル下でこのセルを観察すると、一様で欠陥
のないモノドメインが得られていた。 次に液晶素子1をクロスニコル下でセルを回転するこ
とにより、最も透過光量の少ない位置を捜した。その最
暗状態は黒色になった。このことから液晶分子が一方向
にそろっていて、黒と黄のコントラストの非常に高いド
メインの双安定状態が存在していることが判明した。チ
ルト角を測定したところ22゜であった。 次に、下記液晶組成物を用いた他は、前述の3μm
セルを作成した時の方法と全く同様の方法で3μセルを
作成した。(液晶素子2) 組成物としてPs=1.1nc/cm2 この液晶は、SmCの状態でコントラストは非常に低
く、青と黄のドメインの双安定状態が存在していること
が判明した。 この液晶素子2にパルス電界より、一方の安定状態に
液晶分子方向をそろえ、クロスニコル下でセル回転させ
ることにより、最も透過光量の少ない位置を捜した。し
かし、その最暗状態は黒色にはならず青色であった。液
晶分子が基板に平行で、かつ液晶分子が一方向にそろえ
ば黒色が得られるはずである。 本発明者らは、この着色が基板の垂直方向(法線)に
対する液晶分子のねじれ配列が原因と考え、さらに実験
を行った。 光源側にある偏光子と観察者側にある検光子の偏光軸
の角度をずらすことにより、より暗状態が得られるかど
うかで、ねじれ配列状態が検出することができる。 観察者から見て、時計まわりを正とし、反時計まわり
を負とする。検光子を直交ニコルから負方向に10゜〜13
゜回転し、次いで液晶セルを回転して暗状態を捜すこと
ができた。また、偏光子を直交ニコルから正方向に10゜
〜13゜回転しても同様に暗状態が得られた。従って、こ
の素子での液晶分子は、正方向にねじれ配列を形成して
おり、上下基板の隣接面にある液晶分子の長軸が10゜〜
13゜のねじれ角δをもってねじれていることが判る。ま
たチルト角θを測定したところラビング軸にふりわけで
6゜であった。 上記の様に、Psの方向が負でPs<−10nc/cm2,らせん
の巻き方向左の液晶性化合物と、Psの方向が正でPs>10
nc/cm2,らせんの巻き方向が右の液晶性化合物からなる
液晶組成物を用いた液晶素子1は、かかるねじれ配列
が解消され、ねじれ配列をもつ液晶素子2に比し、コン
トラストが大幅に改良されていることがわかった。 実施例8 実施例7とセル厚が違う他は全く同じ構成のセルを作
成して(5μm,10μm,20μm)、液晶組成物を注入し
液晶素子(液晶素子3〜5)を得た。 上記素子を用い、実施例7と同様に電界印加しなが
ら、顕微鏡観察を行った。 チルト角θ、最暗状態の色、最明状態の色の観察結果
を以下に示す。 チルト角θ 最暗状態 最明状態 液晶素子3 22゜ 黒 青 液晶素子4 22゜ 黒 白 液晶素子5 20゜ 黒 白 上記の様に液晶組成物を用いた液晶素子3〜5はね
じれ配列が解消され、コントラストが良好であることが
わかった。セル厚が10μ以上になると、最明状態が白に
なり、特にコントラストの改善が顕著になった。 実施例9 下記液晶性化合物を下記組成物で混合して、液晶組成
を得た。 実施例7とセル厚(1.2μm)が違う他は全く同じ構
成のセルを作成し、上記液晶組成物を用いて液晶素子
6を得た。 クロスニコル下でこのセルを観察すると、一様で欠陥
のないモノドメインが得られ、コントラストが高い白と
黒のドメインの双安定状態が存在していることが判明し
た。 この液晶素子6を用い、実施例7と同様に電界印加し
ながら顕微鏡観察を行ったところ、チルト角は18゜であ
った。 また透過率を測定したところ16%と非常に高い透過率
が得られた。 次に、パルス電界によるしきい値特性を測定したとこ
ろ、500μsで6V,100msで1.3Vと非常に優れたしきい値
特性を示すことがわかった。 実施例10 下記液晶性化合物を下記組成比で混合して液晶組成物
を得た。 実施例7とセル厚(1.2μ)及びPI被膜をPVA(ポリビ
ニルアルコール)被膜に変えた他は、全く同じ構成のセ
ルを作成し、上記液晶組成物を用いて液晶素子7を得
た。 クロスニコル下でこのセルを観察すると、一様で欠陥
のないモノドメインが得られていた。 クロスニコル下で、セルを回転することにより、最暗
位置に合わせるとほぼ全面が最暗状態になった。 この液晶素子7を用い、実施例7と同様の方法でチル
ト角を測定したところ、15゜であった。また透過率を測
定したところ13%と非常に高い透過率が得られた。 実施例11 下記液晶性化合物を下記組成比で混合して液晶組成物
を得た。 実施例10と全く同じセルを作成し、上記液晶組成物
を用いて液晶素子8を得た。 35℃において、クロスニコル下でこのセルを観察する
と、一様で欠陥のないモノドメインが得られていた。 液晶はSmCの状態で最暗位置に合わせるとほぼ全面
が最暗状態になった。 この液晶素子8を用い実施例7と同様の方法でチルト
角を測定したところ、20゜であった。また、コントラス
ト比を測定したところ、50:1と非常にすぐれたコントラ
スト比が得られた。 〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明によれば、自発分極Psの
値が0でない液晶組成物であって、自発分極Psの方向が
正であり且つ温度T(|Tc−T|=15℃)においてPs≧8nC
/cm2であるカイラルスメクチック液晶性化合物少なくと
も1種と、自発分極Psの方向が負であり且つ温度T(|T
c−T|=15℃)においてPs≦−8nC/cm2であるカイラルス
メクチック液晶性化合物少なくとも1種とを含有し、前
記Psの方向が正のカイラルスメクチック液晶性化合物と
前記Psの方向が負のカイラルスメクチック液晶性化合物
とのうち少なくとも1種は、不斉炭素原子にフッ素原子
が直接結合した光学活性基を有する化合物であることを
特徴とする液晶組成物、ならびに該液晶組成物を一対の
基板間に有する液晶素子を用いることにより、透過光量
とコントラストが大きく、高速応答性、高画素密度且つ
大面積の液晶表示素子あるいは液晶シャッタ素子を実現
することができる。 また、上記構成に加えて、本願明細書中に記した特定
の化合物を用いることにより、カイラルスメクチック液
晶相の温度領域の広い液晶組成物が得られ、同時に、低
温域での応答性に優れ、温度による応答速度の急激な変
化をともなわない液晶素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の強誘電性液晶素子の一例断面概略図、 第2図および第3図は強誘電性液晶素子の動作説明のた
めに素子セルの一例を模式的に表わす斜視図、 第4図は参考例1による液晶組成物5−aと液晶性化合
物4−3の混合による相転移温度の組成による変化を示
す相図である。 第5図は参考例2の液晶組成物5−aと液晶性化合物4
−3を混合したものと、それぞれ液晶組成物5−aと液
晶性化合物4−3の応答速度の結果をしるした図であ
る。 第6図は実施例6の結果をしるした図である。 第7図は実施例2による液晶組成物と液晶組成物
混合による相転移温度の変化を示す相図を示す。 第8図は基板の法線に沿ってねじれ配列した液晶分子を
模式的に表わす平面図である。 第1図において、 1……強誘電液晶層、 2……ガラス基板、 3……透明電極、 4……絶縁性配向制御層、 5……スペーサー、 6……リード線、 7……電源、 8……偏光板、 9……光源、 I0……入射光、 I……透過光。 第2図において、 21a……基板、 21b……基板、 22……強誘電液晶層、 23……液晶分子、 24……層極子モーメント(P⊥)。 第3図において、 31a……電圧印加手段、 31b……電圧印加手段、 33a……第1の安定状態、 33b……第2の安定状態、 34a……上向きの双極子モーメント、 34b……下向き双極子モーメント、 Ea……上向きの電界、 Eb……下向きの電界。 第8図において、 81……上下基板に形成した一軸性配向軸、 82……上基板に隣接する液晶分子の軸、 83……下基板に隣接する液晶分子の軸。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内海 俊治 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 山下 眞孝 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 山田 容子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 岩城 孝志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 日置 知恵子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 片桐 一春 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.自発分極Psの値が0でない液晶組成物であって、 自発分極Psの方向が正であり且つ温度T(|Tc−T|=15
    ℃)においてPs≧8nC/cm2であるカイラルスメクチック
    液晶性化合物少なくとも1種と、自発分極Psの方向が負
    であり且つ温度T(|Tc−T|=15℃)においてPs≦−8nC
    /cm2であるカイラルスメクチック液晶性化合物少なくと
    も1種とを含有し、 前記Psの方向が正のカイラルスメクチック液晶性化合物
    と前記Psの方向が負のカイラルスメクチック液晶性化合
    物とのうち少なくとも1種は、不斉炭素原子にフッ素原
    子が直接結合した光学活性基を有する化合物であること
    を特徴とする液晶組成物。 2.前記自発分極Psの方向が正のカイラルスメクチック
    液晶性化合物のカイラルスメクチック相における螺旋の
    ねじれ方向と、前記自発分極Psの方向が負のカイラルス
    メクチック液晶性化合物のカイラルスメクチック相にお
    ける螺旋のねじれ方向が、互いに逆向きであることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の液晶組成物。 3.前記液晶組成物がカイラルスメクチックC相、H
    相、F相、I相またはG相を示すことを特徴とする特許
    請求の範囲第1項乃至第2項に記載の液晶組成物。 4.前記液晶組成物が強誘電性液晶組成物であることを
    特徴とする特許請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに
    記載の液晶組成物。 5.一対の基板間に自発分極Psの値が0でないカイラル
    スメクチック液晶組成物を挟持してなる液晶素子におい
    て、該液晶組成物が、 自発分極Psの値が0でない液晶組成物であって、 自発分極Psの方向が正であり且つ温度T(|Tc−T|=15
    ℃)においてPs≧8nC/cm2であるカイラルスメクチック
    液晶性化合物少なくとも1種と、自発分極Psの方向が負
    であり且つ温度T(|Tc−T|=15℃)においてPs≦−8nC
    /cm2であるカイラルスメクチック液晶性化合物少なくと
    も1種とを含有し、 前記Psの方向が正のカイラルスメクチック液晶化合物と
    前記Psの方向が負のカイラルスメクチック液晶性化合物
    とのうち少なくとも1種は、不斉炭素原子にフッ素原子
    が直接結合した光学活性基を有する化合物であることを
    特徴とする液晶組成物である液晶素子。 6.前記自発分極Psの方向が正のカイラルスメクチック
    液晶性化合物のカイラルスメクチック相における螺旋の
    ねじれ方向と、前記自発分極Psの方向が負のカイラルス
    メクチック液晶性化合物のカイラルスメクチック相にお
    ける螺旋のねじれ方向が、互いに逆向きであることを特
    徴とする特許請求の範囲第5項記載の液晶素子。 7.前記液晶組成物がカイラルスメクチックC相、H
    相、F相、I相またはG相を示すことを特徴とする特許
    請求の範囲第5項乃至第6項に記載の液晶素子。 8.前記液晶組成物が強誘電性液晶組成物であることを
    特徴とする特許請求の範囲第5項〜第7項のいずれかに
    記載の液晶素子。
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