JP2692485B2 - 熱間加工用潤滑剤の製造方法 - Google Patents

熱間加工用潤滑剤の製造方法

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JP2692485B2 JP10613692A JP10613692A JP2692485B2 JP 2692485 B2 JP2692485 B2 JP 2692485B2 JP 10613692 A JP10613692 A JP 10613692A JP 10613692 A JP10613692 A JP 10613692A JP 2692485 B2 JP2692485 B2 JP 2692485B2
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哲也 中西
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間圧延等の熱間加工
に使用する熱間加工用潤滑剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延等の熱間加工に使用される潤滑
剤として、酸化物粉末−水ガラス系潤滑剤がある。この
潤滑剤は、潤滑主剤としての酸化物粉末を水ガラスに常
温で混合して水溶液の状態で使用する。ここで、常温と
は水ガラス中の水分が解離・蒸発する温度(約200
℃)以下を指す。潤滑剤の使用法としては、加熱された
圧延直前の被圧延材表面に潤滑剤を付着させる方法(特
開昭60−184410号公報)が作業性、付着均一性
の面から好都合と言える。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
酸化物粉末−水ガラス系潤滑剤がこのような使われ方を
すると、被圧延材表面に塗布された潤滑剤が、潤滑剤中
の付着バインダーの主成分である珪酸ソーダの溶融軟化
温度(1089℃)に達するまでは充分に溶融軟化され
ない。そのため、塗布直後は流体潤滑機能が充分に発現
せず、圧延初期における潤滑性を不足させるおそれがあ
った。
【0004】また、酸化物粉末−水ガラス系潤滑剤は、
圧延直前の被圧延表面に付着させた場合、被圧延材表面
のスケールと反応して、その表面に密着する特長があ
る。しかし、この特長を活用しようとすると、潤滑剤中
の付着バインダーの主成分である珪酸ソーダの溶融軟化
温度(1089℃)以上の温度を、被圧延材が保有して
いる必要がある。
【0005】被圧延材の温度は、圧延の種類によって相
違するが、例えば代表的な継目無管製造法であるマンネ
スマン・マンドレル法では、ピアサー入側で約1100
℃、マンドレル入側で約1000℃、再加熱炉出側で約
950℃、レデューサー入側で約900℃であり、ピア
サー入側を除けば、いずれも珪酸ソーダの溶融軟化温度
より低い。そのため、前述した表面スケールとの反応に
よる密着機能はピアサーでしか得られない。
【0006】同様にマンドレル・プラグミル法でも、ピ
アサー入側の約1100℃を除けば、プラグミル入側で
約1000℃、リーラ入側で約900℃、サイザー入側
で約800℃と、いずれも珪酸ソーダの溶融軟化温度よ
り低い。
【0007】このように、従来の酸化物粉末−水ガラス
系潤滑剤は、その使用対象加工温度に比して付着バイン
ダー主成分の溶融軟化温度が総じて高い。そのため、加
工直前の被加工材表面に供給された場合には、初期潤滑
不足、密着性低下等の問題が生じ、潤滑主剤である酸化
粉末が優れた潤滑性能を保有するにもかかわらず、そ
の性能を充分に享受できていなかった。
【0008】本発明の目的は、酸化物粉末および珪酸ソ
ーダを使用した成分構成でありながら、初期潤滑性およ
び密着性に優れた熱間加工用潤滑剤の製造方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の熱間加工用潤滑
剤の製造方法は、金属酸化物及び/又は酸化珪素からな
る酸化物粉末と珪酸ソーダとの混合物を、その溶融軟化
温度以上の温度に加熱保持して充分に溶融軟化させたあ
と冷却し、得られたガラス質物質を粉砕して粉末化する
ことを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明法で製造された熱間加工用潤滑剤は、加
熱後で且つ加工前の被加工材表面に直接塗布して使用す
る。塗布のタイミングは、加工前の1〜60秒前がよ
い。これは、例えばマンネスマン・マンドレルミルライ
ンでのストレッチレデューサに供給される材料を対象と
した場合、レジューサー加工前の再加熱の前でも後でも
よいことを意味する。
【0011】また、その塗布においては、水の含有によ
り潤滑剤の粘度調整を行うのがよい。望ましい粘度は2
00〜5000cpである(特願平3−14005
号)。ここにおける含有水は、例えば水溶性バインダー
により供給する。水溶性バインダーとしては、例えば含
水珪酸ソーダである水ガラスを挙げることができる。
【0012】而して、本発明法で製造される熱間加工用
潤滑剤は、酸化物と珪酸ソーダの加熱反応生成物を主成
分とする。この反応生成物の溶融軟化温度は、従来の
化物粉末−水ガラス系潤滑剤に付着バインダーとして使
用される水ガラスの主成分である珪酸ソーダの溶融軟化
温度より低い。従って、熱間加工直前の被加工材表面に
供給されて直後より流体潤滑機能を発揮する。また、被
加工材の温度が低い場合もその表面スケールと反応して
被加工材表面に密着する。潤滑剤に加えられる水溶性バ
インダーとしての水ガラス(含水珪酸ソーダ)は、潤滑
剤の低温溶融軟化の妨げにならない。
【0013】次に、本発明法における酸化物粉末と珪酸
ソーダとの混合溶融軟化プロセスについて説明する。
【0014】酸化物粉末と珪酸ソーダとの混合物をその
溶融軟化温度以上の温度に充分に加熱保持して溶融軟化
された後、これを冷却することによりガラス質物質が得
られる。このガラス質物質の溶融軟化温度は、珪酸ソー
ダの溶融軟化温度より100〜300℃程度低くなる。
これは、一般に、異なる物質を混合溶融して得られる反
応生成物質の溶融軟化温度が低くなるのと同様の理由に
よる。例えば、融点が1367℃の酸化鉄(FeO)
と、融点が1089℃のメタ珪酸ナトリウム(Na
iO)とを混合溶融して得られた反応生成物(Na
O・FeO・SiO)の融点は976℃である。
【0015】ここで、酸化物粉末は、金属酸化物粉末又
は酸化珪素粉末、若しくは両者の混合である。金属酸化
粉末としては、酸化鉄、酸化第二鉄、ヴスタイト、酸
化ニッケル、酸化クロム、酸化マンガン、酸化アルミニ
ウム、酸化チタンおよび酸化バナジウム等、被圧延材に
含有される金属成分の酸化物の粉末を1種又は2種以上
用いることができる。
【0016】珪酸ソーダとしては、一般的なメタ珪酸ソ
ーダ(NaSiO)の他、オルト珪酸ナトリウム
(NaSiO)、およびNaSiO、Na
等を用いることができる。
【0017】酸化物粉末と珪酸ソーダとの混合比は、混
合する系にもよるが、反応によって得られる複合生成物
が全体の混合物に支配的に存在し得るように、酸化物粉
10重量部に対して珪酸ソーダ5〜20重量部とする
のが望ましい。
【0018】混合物の加熱温度は、酸化物粉末と珪酸ソ
ーダが共に溶融する温度に加熱すると反応は迅速になる
が、酸化物粉末の溶融軟化温度が1300〜2050℃
と高いため実用的でない。そこで、その溶融軟化温度が
酸化物粉末に比べて低い珪酸ソーダの溶融軟化温度以上
(NaSiOの場合、1089℃以上)に加熱し、
固液共存状態下で反応させることが推奨される。
【0019】加熱保持時間は、混合する物質にもよる
が、複合生成物を充分に生成させるため前記固液共存状
態下に2時間以上保持するのが望ましい。なお、固液共
存状態とならない低温加熱での固相反応であっても所望
の複合生成物は生成するが、この場合には30時間以上
保持する必要があって能率的でない。
【0020】得られたガラス質物質は、粉砕して粉末化
することにより潤滑主剤として使用される。その粒度
は、水等の塗布用バインダーとの混合性、塗布作業性か
ら100μm以下が望ましい。ちなみに、酸化物粉末の
粒度は、20〜60μm程度である。
【0021】なお、本発明法で製造された潤滑剤は、
鉄、鋼、ステンレス鋼、ニッケルあるいはクロム基の高
合金、更にはアルミニウム、鋼、チタンなどの非鉄金属
またはそれらの合金等の金属全般の熱間加工に使用でき
る。熱間加工としては、薄板、厚板、棒材、線材、継目
無管の熱間圧延または熱間鋳造等を挙げることができ
る。特に有効なのは、継目無管の穿孔圧延後、延伸圧延
実施前のホローシェル外面に熱間で塗布し、延伸圧延用
外面潤滑剤として外面工具焼付き疵防止を目的に使用す
る場合である。
【0022】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。
【0023】酸化物粉末としてFe 粉末,Al
粉末,NiO粉末(以上金属酸化物粉末),SiO
粉末(酸化珪素粉末)の1種または2種を使用し、ま
た珪酸ソーダとしてNaSiOまたはNaSi
を使用し、両者を種々の割合で混合した。その混合
物を常温で乳鉢を用いて充分に粉砕混合し、これを80
0℃,1000℃,1200℃にそれぞれ大気中で5時
間加熱保持した。冷却後ガラス質となったものをミル粉
砕して約20μmの粉末にした。
【0024】冷却粉砕後のガラス質粉末は、スプレー塗
布での塗布作業安定性を期すため、水分40%含有の含
有珪酸ナトリウム(水ガラス)に2:1の比率で加えて
水溶液化した。その水溶液の熱間加工用潤滑剤としての
性能をシリンダー・ブロック式高温摩擦摩耗試験機によ
り調査した。
【0025】この試験では、SUS304からなる外径
50mmのシリンダを10rpmで回転させると共に誘
導加熱し、そのシリンダー周面にSKD6(JIS:5
Cr−1V熱間工具用鋼)からなる断面が20mm角の
ブロックを約98N/mmの荷重で押し付け、このと
きの摩擦係数をトルク/(シリンダー半径25mm×荷
重)により求める。
【0026】シリンダーを800℃,1000℃に加熱
してその周面に前記水溶液を空気式スプレーにより約4
0μmの厚さに塗布して摩擦係数を調査した結果を表1
および表2に示す。摩擦係数はシリンダー2回転時の初
期摩擦係数とし、これが0.5未満を良好(○)、0.
5以上を不良(×)として評価した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】製造時加熱なしは、酸化物粉末と珪酸ソー
ダの混合粉末をそのまま水ガラスに加えたもので、従来
酸化物粉末−水ガラス系潤滑剤に相当する。いずれも
初期潤滑性が悪い。これに対し、この混合粉末をその溶
融軟化温度以上に加熱し冷却粉砕して得たガラス質粉末
を水ガラスに加えたものは、いずれも初期加工での潤滑
性が良好である。ただし、加熱温度が溶融軟化温度未満
の場合は、加熱なしの場合ほどではないが、いずれも初
期潤滑性が良くない。
【0030】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の熱間加工用潤滑剤の製造方法は、珪酸ソーダより溶融
軟化温度が低い潤滑剤粉末を製造する。その粉末は、被
加工材表面への付着性が良好で、且つ供給初期より優れ
た潤滑性を示す。従って、熱間加工における潤滑性を改
善する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 103:06 ) C10N 10:02 10:06 10:16 30:06 40:24 50:02 70:00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属酸化物及び/又は酸化珪素からなる
    酸化物粉末と珪酸ソーダとの混合物を、その溶融軟化温
    度以上の温度に加熱保持して充分に溶融軟化させたあと
    冷却し、得られたガラス質物質を粉砕して粉末化するこ
    とを特徴とする熱間加工用潤滑剤の製造方法。
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CN1322101C (zh) * 2004-08-26 2007-06-20 徐志国 玻璃润滑剂
CN112195055B (zh) * 2020-09-30 2022-08-19 郑州机械研究所有限公司 一种药芯铜基钎料丝用拉拔润滑剂、拉拔润滑方法、药芯铜基钎料丝及其应用

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