JP2692312B2 - 鉄骨建築構造用Cr‐Mo‐Nb鋼 - Google Patents

鉄骨建築構造用Cr‐Mo‐Nb鋼

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> この発明は、良好な溶接性を備えると共に高温におけ
る弾性率の低下が少なく、かつ連続鋳造時の“鋳片の表
面割れ”も少ない鉄骨建築構造用Cr−Mo−Nb鋼に関する
ものである。
<従来技術とその課題> 近年、超高層ビルを始めとした鉄骨建築物が益々増加
する傾向にあるが、これは大型構造物を作るのに鉄骨が
極めて適していることや、鉄骨の場合には、強度面から
柱,梁を小さくすることができて居住面積を大きくとる
ことが可能である等、鉄骨が建築構造物としての数々の
利点を有しているからに他ならない。
ところで、従来、鉄骨建築構造用としてはJISG3101に
SS41として規定される鋼材や、同じくJISG3106とSM50と
して規定される鋼材が使用されている。ただ、このよう
な鉄骨建築構造用鋼材の使用に当っては、これまで建築
基準法により耐火工法が一律に厳しく定められていた
が、昭和57〜61年の建設省総合技術開発プロジェクト
「建築物の防火設計法の開発」の成果によって、火災時
の構造安定性が数値シュミレーション及び実験で確認で
きれば耐火物を被覆することなく使用することが可能と
なり、耐火工法の自由度が大幅に拡大されるようになっ
た。そして、上述の如く鉄骨建築用鋼材に対して必ずし
も所定の耐火物被覆を義務付けられなくなったことか
ら、火災時に高温に曝されたとしても強度が低下しない
鋼材、即ち耐火物の被覆を軽減或いは省略することがで
きる高温強度特性に優れた鋼材の開発が一層強く望まれ
ることとなった。
しかし、鉄骨建築物の構造用部材が担う機能を仔細に
検討した場合、単に高温強度に優れているだけでは未だ
十分とは言えない面も指摘されることとなる。即ち、鉄
骨建築用鋼材は柱や梁にも使用されるので“高温におい
て柱や梁が座屈しない性能”が必要であり、また“優れ
た溶接性”も重要な性能の1つとなる。
そこで、高温強度特性に優れると共に良好な溶接性を
も示す材料を既存の鋼材の中から拾い出してみると、ま
ず特公昭57−19731号公報に記載されているような圧力
容器用Cr−Mo鋼が挙げられる。しかし、該圧力容器材の
高温強度は高々500℃程度でしかなく、被災時に想定さ
れる鋼材の加熱温度:600℃にて所要強度を確保するのは
困難であった。
このため、Cr−Mo鋼の高温性能低下防止にNbの添加が
有効であるとの報告がなされていたこともあって、より
高い温度への昇温が想定される用途に対しては積極的に
Cr−Mo−Nb鋼を使用する動きが見られる。しかしなが
ら、“一般建材として使用される鋼材”と言う観点に立
った場合には、その量産性も重要な要件となって素材鋼
を連続鋳造で安定に製造できるか否かが問題となるが、
Cr−Mo鋼にNbを添加した鋼には「連続鋳造法によって製
造しようとすると鋳片表面に“ひゞ割れ状欠陥”が生じ
易い」との欠点があり、その割れ防止が実用化の大きな
懸案となっていた。即ち、そのような疵が発生すると次
工程に進む前に該表面疵を除去しておく必要があるた
め、製造工程が煩雑となるばかりか著しいコスト上昇に
つながり、建築構造用鋼材としては好ましいものとは言
えなかったのである。
この“Cr−Mo−Nb鋼の連続鋳造鋳片に見られる表面割
れ”は、凝固後の低温γ域からα+γ2相域にかけての
温度域でスラブ鋳片にかかる“熱応力”や“外部応力”
によって発生する。そして、前記温度域にて表面割れを
もたらす鋼に脆化は、先に本発明者の1人が明らかにし
た如く{“Materials Science Engineering"Vol.62(19
84)第109〜119頁,及び“日本金属材料学会誌”第48巻
(1984)第2号,第158〜163頁}、連続鋳造過程の低歪
速度変形時にNb(C,N)が“凝固したままの粗大γ粒
界”に析出したり、更には粒内転位に沿って動的微細析
出することによってもたらされる。つまり、上述のよう
なNb(C,N)析出状態で更に変形が加わると、第1図に
模式的に示したように、γ粒内は析出硬化している〔第
1図(a)〕ので変形が粒界近傍にのみ集中することと
なり、粒界析出物とマトリックスとの界面が剥離して多
数のボイドを生成し〔第1図(b)〕、これらが連結し
て〔第1図(c)〕早期に最終破断に至る訳である。従
って、割れはγ粒界に沿うもので、詳細に観察すると粒
界近傍のみが塑性変形した“γ粒界延性破壊”となって
いる。
勿論、従来からNb鋼におけるこのような割れを防止す
る手段に関する種々の検討がなされてきたが、現状の連
続鋳造機の制約の中では鋳片矯正時の温度域,加わる歪
並びに歪速度を変えるのは極めて困難であり、Nb添加を
止める以外には割れ疵防止の抜本策が見当たらないのが
現状であった。
このようなことから、本発明の目的は、室温における
機械的性質が従来使用されている鋼材(JISSS41やSM50
等)と同等の性能を有すると共に溶接性が良好で、かつ
600℃における機械的性質が室温でのそれの7割以上、
特に弾性率が15000kgf/mm2以上と言う優れた高温性能を
示し、しかも連続鋳造時等での表面割れが少ない鉄骨建
築構造用鋼材を提供することに置かれた。
<課題を解決するための手段> 本発明者等は、上記目的を達成すべく、特にCr−Mo−
Nb鋼が有する優れた高温特性に着目し、それに良好な溶
接性を確保すると共に、連続鋳造等の際に発生しがちな
表面割れを安定して抑え得る手段の確立を目指して鋭意
研究を重ねた結果、次のような新しい知見を得ることが
できた。
即ち、Cr−Mo−Nb鋼に所望の高温特性を維持しながら
良好な溶接性を確保することは、溶接割れ感受性指数で
あるPCMの調整等によって可能である。そして、連続鋳
造鋳片の表面割れにつながる前述のボイド{凝固したま
まの粗大γ粒界等に沿ってNb(C,N)が析出した状態で
応力が加わった場合に発生する“粒界析出物とマトリッ
クスとの界面の剥離で生じたもの”}は、粒界析出物と
マトリックスとの界面にS等の如き界面強度を下げる有
害元素が偏析していることにあり、これら有害元素の中
でも特にSの量を特定の値以下に低減すれば上記界面強
度の低下が顕著に抑制され、結果として連続鋳造時等に
おける鋳片の表面疵発生を安定して防止できるようにな
るとの新事実を見出したのである。
本発明は、上記知見事項等に基づいてなされたもので
あり、 「鉄骨建築構造用鋼を、 C:0.03〜0.15%(以降、成分割合を表わす%は重量%と
する), Si:0.05〜0.90%,Mn:0.30〜2.00%, S:0.003%以下,Cr:0.10〜2.00%, Mo:0.05〜0.70%, Nb:0.005%以上0.06%未満, sol.Al:0.005〜0.1% を含有するか、或いは更に V:0.005〜0.15%,Cu:0.10〜0.50%, Ni:0.10〜0.50%,Ti:0.005〜0.60%, B:0.00015〜0.003% のうちの1種以上をも含む共に、残部がFe及び不可避的
不純物から成り、かつ式 で算出されるPCMが0.30以下となる成分組成に構成する
ことにより、鉄骨建築構造用として十分に満足できる優
れた常温特性,良好な溶接性,並びに600℃での弾性率:
15000kgf/mm2以上を示す優れた高温特性を兼備せしめた
点」 に特徴を有している。
なお、既に頒布された特開昭58−52442号公報乃至特
開昭58−52444号公報等を参照すると「Nbを含有した鋼
等ではS等の含有量が多くなると連続鋳造鋳片の直送圧
延やホットチャージ圧延時に表面割れを生じ易くなるの
でSの低減を図るのが良い」旨の開示がなされている
が、これらはMnSの析出との関連に基づいた現象に注目
してなされたものであって、本発明とはその思想及び作
用効果が何れも全く異なるものである。即ち、MnSは、
圧延のような高歪速度変形下ではγ粒界破壊を伴う脆化
を招くが、連続鋳造のような低歪速度変形下では著しく
粗大化するので延性低下に対して無害となることは良く
知られており、鉄骨建築構造用Cr−Mo−Nb鋼の連続鋳造
時における表面割れとは何らの係わりもない。
続いて、本発明において鋼を構成する各成分の含有量
及びPCMを前記の如くに限定した理由を、その作用効果
と共に詳述する。
(A)鋼成分 a)C Cは所望強度を確保するために必要な元素であるが、
その含有量が0.03%未満では必要強度が得られず、一
方、0.15%を超えて含有させると溶接硬化性,溶接割れ
感受性を高めることから、C含有量は0.03〜0.15%と定
めた。
b)Si Siは製鋼時の脱酸剤として使用されるだけではなく、
常温及び高温における強度を確保するのに必要な元素で
あり、これらの目的のためには0.05%以上の含有量を確
保しなければならない。しかしながら、0.90%を超えて
含有させると靱性を大幅に低下させることから、Si含有
量は0.05〜0.90%と定めた。
c)Mn Mnには強度・靱性を高める作用があるが、その含有量
が0.03%未満では上記作用による所望の硬化が得られ
ず、一方、2.00%を超えて含有させても強度・靱性の向
上硬化が飽和してしまう上、溶接割れ感受性が著しく高
くなる。従って、Mn含有量は0.30〜2.00%と定めた。
d)S Sは鋼の不可避的不純物であるが、その含有量を0.00
3%以下に抑制することは、本発明において極めて重要
な意味を持っている。即ち、Cr−Mo−Nb鋼において連続
鋳造時の表面割れを防ぐことは極めて困難であったが、
S含有量を特に0.003%以下に抑制することで初めて連
続鋳造時の表面割れが安定して防止されるようになる訳
である。
さて、第2図はCr−Mo−Nb鋼におけるS含有量と断面
収縮率〔RA〕との関係を示したグラフであるが、このグ
ラフは次のようにして求められたものである。
まず、第1表に示す化学組成の鋼を高周波炉で溶解し
て50kgの鋼塊とし、熱間鍛造と熱間圧延により厚さ12mm
の鋼板とした後、これから圧延 方向と平行に平行部の直径が8mm,長さが20mmの丸棒引張
試験片を採取した。次いで、このように採取された試験
片を用い、溶融,凝固後に見られる冷却中のγ粒界脆化
を再現するため1350℃に加熱してγ粒径を約0.3mmと粗
大化すると共に、Nb(C,N)等の炭・窒化物を分塊,固
溶せしめた。これに続いて、試験片を低温γ温度域であ
る850℃及びα+γ2相域である770℃に冷却し、湾曲形
連続鋳造機における矯正時の歪速度とほゞ同じである5
×10-4s-1の歪速度でそれぞれ破断まで等温引張変形さ
せて破断面の断面収縮率〔RA〕を測定した。
上述のように求められた第2図からも、低温γ温度域
及びα+γ2相域の両温度域における延性はS含有量を
0.003%以下に低減することによって著しく改善される
ことが確認できる。
e)Cr Crには高温における強度及び弾性率を高める作用があ
るが、その含有量が0.10%未満では上記作用による所望
の効果が得られず、一方、2.00%を超えて含有させても
その効果が飽和するばかりか、製造コストの上昇につな
がることから、Cr含有量は0.10〜2.00%と定めた。
f)Mo Moは、微細な炭化物として析出させると600℃を超え
るような高温域でも安定して微細な状態で存在するの
で、高温における強度及び弾性率を高めるのに非常に有
効な成分であり、該効果を確保するためには0.10%以上
含有させる必要がある。一方、1.00%を超えて添加する
と室温における強度が必要以上のレベルとなるばかり
か、無闇に製造コストを上昇させることとなる。従っ
て、Mo含有量は0.05〜0.70%と定めたが、好ましくは0.
4〜0.7%に調整するのが良い。
g)Nb Nbも本発明鋼において重要な役割を果たす成分であ
る。即ち、400℃を超える温度域に曝されると鋼中でNb
は炭化物として析出し、高温における強度と弾性率を上
昇させる。これはNb炭化物の分散強化作用だけによるの
ではなく、NbがCr及びMoと共存するとNbの炭化物が先に
生成して鋼中のCを捕らえる現象が起き、これによって
CrとMoの炭化物の成長粗大化が抑制されてその高温にお
ける強度・弾性率の向上効果を安定化させることにもよ
るものである。そして、これらの効果を得るためには0.
005%以上のNb含有量を確保する必要があるが、0.06%
以上含有させると連続鋳造鋳片の表面割れを防ぎ切れな
くなって著しい製造コストの上昇を生じることから、Nb
含有量は0.005%以上0.06%未満と定めた。
h)sol.Al Alは製鋼時に脱酸剤として使用されると同時に、組織
の微細化を通じた靱性改善のために添加されるものであ
るが、これらの目的のためにはsol.Alとして0.005%以
上の含有量を確保する必要がある。しかし、0.1%を超
えて含有させてもその効果は飽和するばかりか、コスト
アップにつながることから、sol.Al含有量は0.005〜0.1
%と定めた。
i)V,Cu,Ni,Ti及びB これらの元素には鋼の強靱性を高める作用があるの
で、更に高靱性或いは高強度が要求される場合に必要に
応じて1種又は2種以上添加させるものであるが、各々
についての含有量限定理由を以下に詳述する。
V VはNbと同様、鋼中で400℃を超える温度域に曝され
るとVの炭化物を形成して高温における強度と弾性率を
上昇させる作用を有しているが、その含有量が0.005%
未満では上記作用による所望の効果が得られず、一方、
0.15%を超えて含有させてもその効果が飽和し製造コス
トの上昇を招く傾向となるため、Vを添加する場合には
その含有量を0.005〜0.15%とする。
Cu Cuは高温強度を向上させる作用を有しているが、その
含有量が0.10%未満では上記作用による所望の効果が得
られず、一方、0.5%を超えて含有させると表面割れを
起こして溶接割れを助長する傾向となることから、Cuを
添加する場合にはその含有量を0.10〜0.50%とする。
Ni NiもCuと同様に高温強度を向上させるのに有効な元素
であるが、その効果を安定して確保するためには0.10%
以上含有させる必要がある。しかし、0.50%を超えて含
有させてもその効果が飽和傾向となって製造コストの上
昇を招くだけとなる。従って、Ni添加を行う場合にはそ
の含有量は0.10〜0.50%とする。
B 通常、適用板厚が厚くなると必要強度を満足させるた
め多量の合金元素(CrやMo等)の添加を要して溶接性を
阻害する要因となる。しかし、Bには焼入れ性向上効果
を通じて溶接性を大きく劣化させることなく強度を上昇
させる作用があるので、状況に応じてBの添加により強
度確保を図るのが効果的である。そして、Bは0.00015
%以上の極微量の添加で上述の作用による所望の効果を
示すようになるが、0.0030%を超えて含有させるとこの
ような極微量添加の領域でも炭硼化物を形成して特に熱
影響部の靱性の低下が著しくなることから、B添加を行
う場合にはその含有量を0.00015〜0.0030%とする。Ti Tiは、フリ−NをTiNとして捕らえることにより固溶
BがBNとして無効化するのを防いでB添加鋼の焼入れ性
を向上させる作用を有しているため、適用鋼板が厚くな
った時の強度補償に必要な元素である。しかし、その含
有量が0.002%未満では上記作用による所望の効果が得
られず、一方、0.06%を超えて含有させると母材の靱性
を著しく害するようになることから、Ti添加を行う場合
にはその含有量を0.02〜0.06%とする。
(B)PCM で算出されるPCMは溶接割れ感受性を示す指数である
が、この値が低いほど低い溶接予熱温度にて割れを生じ
ることなく溶接を行うことが可能となる。そして、鉄骨
建築構造物の現場での溶接による組立てでは溶接時に予
熱処理を行うことは事実上不可能であるが、上記PCM
0.30%以下とすることで予熱処理を施さなくても溶接を
行うことが可能となることから、PCMが0.30%以下とな
るように成分調整することと定めた。
次いで、実施例により本発明の効果を更に具体的に説
明する。
<実施例> 実施例1 第2表に示すような各化学組成の鋼をそれぞれ200ト
ン転炉によって溶解し、半径15mmの湾曲形連続鋳造機を
用いて断面が200mm×1500mmの鋳片とし、その表面割れ
の程度を観察した。なお、この際、何れの鋼についても
矯正点の温度を850℃に、そして引抜速度は1.2m/minに
揃えた。
上記“表面割れ程度の観察結果”を第2表に併せて示
す。
第2表に示される結果からも明らかなように、本発明
鋼では表面割れが皆無で手入れの必要が無 かったのに対して、化学組成が本発明で規定する条件を
満たしていない比較鋼では表面疵が多発し、次工程へ進
む前の手入れ工程を少なからず必要として著しい製造コ
ストの上昇をもたらすことが分かる。
実施例2 第3表に示すような各化学組成の鋼をそれぞれ200ト
ン転炉によって溶解し、実施例1と同様に半径15mmの湾
曲形連続鋳造機を用いて断面が200mm×1500mmの鋳片と
した後、熱間圧延によって第4表に示す板厚の鋼板を得
た。
次に、これら鋼板から試験片を切り出し、室温での機
械的性質及び600℃における機械的性質を調査すると共
に、溶接性と言う観点からY開先拘束割れ試験を実施し
た。
ここで、弾性率については熱間共振型弾性率測定装置
を用いて測定した。これは、試験片を振動させて固有振
動数を求めてから、式 によって弾性率を算出するものである。
また、Y開先拘束割れ試験は、各鋼板よりY開先拘束
割れ試験片(板厚:25mm)を採取し、入熱量:17kJ/cmで
手溶接(電流:170A,電圧:25V,速度:15cm/min)し、表面
割れ及びルート割れの有無を調べる手法によった。
これらの調査結果を第4表に併せて示す。
なお、Y開先拘束割れ試験の判定結果は、予熱無しで
割れ発生を抑えることができる場合を○印で、予熱温度
を100℃以上としなければ割れ発生を抑えることができ
ない場合を×印で表示した。但し、Y開先拘束割れ試験
で用いた試験片の板厚は第4表に示した値とことなる25
mmのものに揃えたが、溶接時の割れ性は鋼の成分で概ね
評価することができるため、比較には格別な障害は無い
と考えられる。
第4表に示される結果からも明らかなように、本発明
で規定する化学組成を満足する鋼では室温及び600℃の
何れかにおいても鉄骨建築構造用として十分に満足でき
る機械的性質を示す上、溶接割れも認められず、母材性
能並びに溶接性共に良好な結果を示すのに対して、比較
鋼では常温特性,高温特性或いは溶接性の何れかが劣る
結果となっている。
<効果の総括> 以上に説明した如く、この発明によれば、良好な溶接
性を有し、かつ高温における弾性率の低下が小さく、し
かも連続鋳造時の表面疵発生が極めて少ない鉄骨建築構
造用Cr−Mo−Nb鋼を提供することが可能となるなど、産
業上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、Cr−Mo−Nb鋼連続鋳造鋳片に見られる表面割
れの発生機構を説明した模式図であり、第1図(a)は
鋳片変形の初期状態を、第1図(b)は鋳片変形の中期
状態を、そして第1図(c)は鋳片変形の末期状態をそ
れぞれ示している。 第2図は、Cr−Mo−Nb鋼におけるS含有量と断面収縮率
〔RA〕との関係を示したグラフである。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量割合にて C:0.03〜0.15%,Si:0.05〜0.90%, Mn:0.30〜2.00%,S:0.003%以下, Cr:0.10〜2.00%,Mo:0.05〜0.70%, Nb:0.005%以上0.06%未満, sol.Al:0.005〜0.1% を含有すると共に残部がFe及び不可避的不純物から成
    り、かつ下記式で算出されるPCMが0.30以下の、600℃で
    の弾性率が15000kgf/mm2以上である溶接性の良好な鉄骨
    建築構造用Cr−Mo−Nb鋼。
  2. 【請求項2】重量割合にて C:0.03〜0.15%,Si:0.05〜0.90%, Mn:0.30〜2.00%,S:0.003%以下, Cr:0.10〜2.00%,Mo:0.05〜0.70%, Nb:0.005%以上0.06%未満, sol.Al:0.005〜0.1% を含有し、更に V:0.005〜0.15%,Cu:0.10〜0.50%, Ni:0.10〜0.50%,Ti:0.005〜0.60%, B:0.00015〜0.003% のうちの1種以上をも含む共に、残部がFe及び不可避的
    不純物から成り、かつ下記式で算出されるPCMが0.30以
    下の、600℃での弾性率が15000kgf/mm2以上である溶接
    性の良好な鉄骨建築構造用Cr−Mo−Nb鋼。
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