JP2688889B2 - 磁気シールドルーム - Google Patents
磁気シールドルームInfo
- Publication number
- JP2688889B2 JP2688889B2 JP18228595A JP18228595A JP2688889B2 JP 2688889 B2 JP2688889 B2 JP 2688889B2 JP 18228595 A JP18228595 A JP 18228595A JP 18228595 A JP18228595 A JP 18228595A JP 2688889 B2 JP2688889 B2 JP 2688889B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- magnetic
- partition wall
- magnetic field
- permanent magnet
- magnet
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医学、生物学、工学上
の磁気遮蔽(磁気シールド)、あるいはSQUID(Su
perconducting Quantum Interference Device :超伝導
量子干渉デバイス)等による精密な磁気測定における磁
気遮蔽等に用いる磁気シールドルームに関するものであ
る。磁気シールドルームとは、複数枚の板材等を互いに
接合するなどして組み合せて閉空間を構成し、外部から
到来してくる磁束を有効に遮蔽し、内部に無磁束又は微
小磁束の空間を作り出すものである。
の磁気遮蔽(磁気シールド)、あるいはSQUID(Su
perconducting Quantum Interference Device :超伝導
量子干渉デバイス)等による精密な磁気測定における磁
気遮蔽等に用いる磁気シールドルームに関するものであ
る。磁気シールドルームとは、複数枚の板材等を互いに
接合するなどして組み合せて閉空間を構成し、外部から
到来してくる磁束を有効に遮蔽し、内部に無磁束又は微
小磁束の空間を作り出すものである。
【0002】
【従来の技術】従来の磁気シールドルームは、FeとN
iの合金で初期透磁率20万〜50万H/m(H:ヘン
リー)程度の強磁性体であるパーマロイや、あるいはF
e,Cu,Cr,Niの合金であるミューメタルなどの
高透磁率材料からなる構造部材を用いて所定の空間を囲
んで形成した遮蔽室を主体とし、これに他の磁気遮蔽方
法を組み合わせることが多く行われていた。これらの高
透磁率材料からなる磁気シールドルームを磁場中に置く
と、磁力線が磁気シールドルームの壁に沿って集中する
ように流れ、壁の周囲の磁力線密度が相対的に薄くな
り、結果として磁気シールドルーム内の磁力線密度が薄
くなり、これにより磁気シールドルーム内部の磁気遮蔽
が実現する。
iの合金で初期透磁率20万〜50万H/m(H:ヘン
リー)程度の強磁性体であるパーマロイや、あるいはF
e,Cu,Cr,Niの合金であるミューメタルなどの
高透磁率材料からなる構造部材を用いて所定の空間を囲
んで形成した遮蔽室を主体とし、これに他の磁気遮蔽方
法を組み合わせることが多く行われていた。これらの高
透磁率材料からなる磁気シールドルームを磁場中に置く
と、磁力線が磁気シールドルームの壁に沿って集中する
ように流れ、壁の周囲の磁力線密度が相対的に薄くな
り、結果として磁気シールドルーム内の磁力線密度が薄
くなり、これにより磁気シールドルーム内部の磁気遮蔽
が実現する。
【0003】高透磁率材料からなる磁気シールドルーム
に組み合わせる他の磁気遮蔽方法としては、銅、アル
ミニウム等の導体の電磁誘導作用を利用した磁気遮蔽方
法、アクティブシールドを使用して行う磁気遮蔽方
法、シェイキングを用いた磁気遮蔽方法、超伝導体
を使用して行う磁気遮蔽方法等があり、磁気シールドル
ームの設置条件、使用目的又は予算等に合わせて最適の
方法が選択されていた。
に組み合わせる他の磁気遮蔽方法としては、銅、アル
ミニウム等の導体の電磁誘導作用を利用した磁気遮蔽方
法、アクティブシールドを使用して行う磁気遮蔽方
法、シェイキングを用いた磁気遮蔽方法、超伝導体
を使用して行う磁気遮蔽方法等があり、磁気シールドル
ームの設置条件、使用目的又は予算等に合わせて最適の
方法が選択されていた。
【0004】上記したの方法は、コイルの中に磁石を
挿入すると磁石の動きを妨げる方向の磁力線を発生する
電流がコイルに流れ、磁石がその挿入方向に抵抗力を受
けて挿入し難くなる、という「電磁誘導作用」を利用し
た方法であり、アルミニウム、銅等の導体で形成された
磁気シールドルームを交流磁界中に置いた場合に、導体
内の磁力線が交番的に変化することにより導体内に磁力
線の変化を阻止する方向の電流が流れ、この電流が磁気
シールドルームの壁面をリング状に流れて渦電流となる
ため、結果的に磁気シールドルーム内の磁場が弱くな
る、という現象を利用して磁気遮蔽を行う方法である。
挿入すると磁石の動きを妨げる方向の磁力線を発生する
電流がコイルに流れ、磁石がその挿入方向に抵抗力を受
けて挿入し難くなる、という「電磁誘導作用」を利用し
た方法であり、アルミニウム、銅等の導体で形成された
磁気シールドルームを交流磁界中に置いた場合に、導体
内の磁力線が交番的に変化することにより導体内に磁力
線の変化を阻止する方向の電流が流れ、この電流が磁気
シールドルームの壁面をリング状に流れて渦電流となる
ため、結果的に磁気シールドルーム内の磁場が弱くな
る、という現象を利用して磁気遮蔽を行う方法である。
【0005】また、上記したの方法は、2つのコイル
を半径と同じ距離を離して平行して置き、同方向に電流
を流していわゆる「ヘルムホルツコイル」を構成する
と、2つのコイルの中心部にはコイルの軸方向の一様な
磁場が形成され、コイルの向きをうまく選べば外部磁場
を打ち消して微弱な磁場を生成させることができ、この
磁場はコイルに流す電流によりコントロールできる、と
いうことを利用して磁気遮蔽を行う方法であり、磁気セ
ンサなどを設けて磁場変化を捉え、磁場変化に応じてコ
イルに流す電流を制御しコイル内の磁場を常に微弱な磁
場にしておけば、結果として磁気シールドと同じ効果が
得られる、というものである。
を半径と同じ距離を離して平行して置き、同方向に電流
を流していわゆる「ヘルムホルツコイル」を構成する
と、2つのコイルの中心部にはコイルの軸方向の一様な
磁場が形成され、コイルの向きをうまく選べば外部磁場
を打ち消して微弱な磁場を生成させることができ、この
磁場はコイルに流す電流によりコントロールできる、と
いうことを利用して磁気遮蔽を行う方法であり、磁気セ
ンサなどを設けて磁場変化を捉え、磁場変化に応じてコ
イルに流す電流を制御しコイル内の磁場を常に微弱な磁
場にしておけば、結果として磁気シールドと同じ効果が
得られる、というものである。
【0006】また、上記したの方法は、アモルファス
状の高透磁率材料で円筒を作り、円筒の回りにコイルを
巻いて交流電流を流すと、材料の透磁率が上がり内部の
磁場が弱まる「シェイキング」という現象を利用して磁
気遮蔽を行う方法である。そして、上記したの方法
は、超伝導体の「マイスナー効果」が、理論上は完全に
磁気のない空間を形成する、ということを利用し、超伝
導体で円筒磁気シールドルームを作ると、内部の磁場は
入口から底部に向って指数関数的に弱くなり、円筒底部
できわめて弱い磁場を形成することを利用して磁気遮蔽
を行う方法である。
状の高透磁率材料で円筒を作り、円筒の回りにコイルを
巻いて交流電流を流すと、材料の透磁率が上がり内部の
磁場が弱まる「シェイキング」という現象を利用して磁
気遮蔽を行う方法である。そして、上記したの方法
は、超伝導体の「マイスナー効果」が、理論上は完全に
磁気のない空間を形成する、ということを利用し、超伝
導体で円筒磁気シールドルームを作ると、内部の磁場は
入口から底部に向って指数関数的に弱くなり、円筒底部
できわめて弱い磁場を形成することを利用して磁気遮蔽
を行う方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した各磁
気遮蔽方法には以下のような問題点があった。すなわ
ち、の電磁誘導による方法は、汎用されており、導体
材料の加工も比較的容易であり、重量も軽く、耐衝撃性
能も高いが、この磁気遮蔽は交流磁界にしか遮蔽効果が
なく直流磁場には効かない、という欠点があった。ま
た、のアクティブシールド法については、使用材料が
少なくて済むこと、高透磁率材料の磁気シールド材と組
み合わせると地磁気の直流成分をキャンセルすることが
できることなどの長所があるものの、コイル寸法が大型
化すること、高感度のセンサと精密なコイル電流制御装
置が必要であること、生成しうる一様微弱磁場の大きさ
が小さいことなどの欠点があった。また、、の方法
は、試験により性能を確認している段階である。
気遮蔽方法には以下のような問題点があった。すなわ
ち、の電磁誘導による方法は、汎用されており、導体
材料の加工も比較的容易であり、重量も軽く、耐衝撃性
能も高いが、この磁気遮蔽は交流磁界にしか遮蔽効果が
なく直流磁場には効かない、という欠点があった。ま
た、のアクティブシールド法については、使用材料が
少なくて済むこと、高透磁率材料の磁気シールド材と組
み合わせると地磁気の直流成分をキャンセルすることが
できることなどの長所があるものの、コイル寸法が大型
化すること、高感度のセンサと精密なコイル電流制御装
置が必要であること、生成しうる一様微弱磁場の大きさ
が小さいことなどの欠点があった。また、、の方法
は、試験により性能を確認している段階である。
【0008】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたものであり、簡易な構成で地磁気をキャンセル
しうる磁気シールドルームを提供することを目的とす
る。
なされたものであり、簡易な構成で地磁気をキャンセル
しうる磁気シールドルームを提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る磁気シールドルームは、高透磁率材料
からなる中空箱状の隔壁部と、前記隔壁部の外部を覆う
磁石部を備え、前記磁石部は、その磁界方向が前記隔壁
部が設置される位置における地磁気の方向と逆方向とな
るように永久磁石を配置して構成されることを特徴とす
る。
め、本発明に係る磁気シールドルームは、高透磁率材料
からなる中空箱状の隔壁部と、前記隔壁部の外部を覆う
磁石部を備え、前記磁石部は、その磁界方向が前記隔壁
部が設置される位置における地磁気の方向と逆方向とな
るように永久磁石を配置して構成されることを特徴とす
る。
【0010】
【作用】上記した構成を有する本発明によれば、隔壁部
を覆う磁石部は、その磁界方向が、隔壁部が設置される
位置における地磁気の方向と逆方向となるような永久磁
石を配置して構成されるので、隔壁部設置位置における
地磁気の直流成分がキャンセルされ、隔壁部の内部は磁
気遮蔽される。
を覆う磁石部は、その磁界方向が、隔壁部が設置される
位置における地磁気の方向と逆方向となるような永久磁
石を配置して構成されるので、隔壁部設置位置における
地磁気の直流成分がキャンセルされ、隔壁部の内部は磁
気遮蔽される。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図にもとづいて説明
する。本発明の第1実施例である磁気シールドルームの
構成を図1に示す。図1(A)に示すように、この磁気
シールドルーム1Aは、中空箱状の隔壁部2Aと、隔壁
部2Aの外側に配置される磁石部3Aを備えて構成され
ている。隔壁部2Aは、パーマロイ等の高透磁率材料か
らなる板状部材を中空箱状に組み合わせて構成されてい
る。また、磁石部3Aは、図1(B)に示すように、永
久磁石からなる多数の永久磁石ブロックM1 〜Mn で構
成されている。永久磁石ブロックM1 〜Mn のうちの各
々の永久磁石ブロックMi は、このように構成すること
により、高透磁率材料からなる隔壁部2Aによる磁気遮
蔽効果に加え、各永久磁石ブロックMi が隔壁部2Aが
設置される位置の地磁気をキャンセルするので、磁気遮
蔽効果がさらに向上する。
する。本発明の第1実施例である磁気シールドルームの
構成を図1に示す。図1(A)に示すように、この磁気
シールドルーム1Aは、中空箱状の隔壁部2Aと、隔壁
部2Aの外側に配置される磁石部3Aを備えて構成され
ている。隔壁部2Aは、パーマロイ等の高透磁率材料か
らなる板状部材を中空箱状に組み合わせて構成されてい
る。また、磁石部3Aは、図1(B)に示すように、永
久磁石からなる多数の永久磁石ブロックM1 〜Mn で構
成されている。永久磁石ブロックM1 〜Mn のうちの各
々の永久磁石ブロックMi は、このように構成すること
により、高透磁率材料からなる隔壁部2Aによる磁気遮
蔽効果に加え、各永久磁石ブロックMi が隔壁部2Aが
設置される位置の地磁気をキャンセルするので、磁気遮
蔽効果がさらに向上する。
【0012】次に、上記の磁気シールドルーム1Aの形
成方法について説明する。まず、パーマロイやミューメ
タル等の高透磁率材料で隔壁部2Aを形成する。その
後、隔壁部2Aの表面を覆うように永久磁石材料の小ブ
ロックを貼り付けて被覆部13Aを形成し、全体として
箱体10Aを形成する。被覆部13Aに用いる永久磁石
材料としては、高温焼入れによって結晶構造の異なる
組織を部分的に作ることで保持力を高めるKS鋼等の格
子変態硬化型磁石となる材料、Feを主体としてA
l,Ni,Coなどを含むアルニコ系磁石となる材料、
Ba,Sr等のフェライト系磁石材料、R−Co5
(R:Ce,Pr,Sm等の軽希土類金属)や、R2 C
o17(例えばSm2 (CoFe)17)などのR−Co
型、あるいはNd−Fe−B型などを含む希土類磁石材
料等が用いられる。その後、この箱体10Aを着磁用コ
イル4の内部に配置し、磁気シールドルーム設置位置に
おける地磁気方向aに対し逆の方向となる方向bの磁界
をかけて着磁させる(図2参照)。この操作により、箱
体10Aの被覆部13A全体が、磁気シールドルーム設
置位置における地磁気とは逆方向に着磁され磁石部3A
となる。この着磁用コイル4は、その内部の磁場を一様
とするため、図2に示すように全体として細長い円筒形
状となるように構成する。
成方法について説明する。まず、パーマロイやミューメ
タル等の高透磁率材料で隔壁部2Aを形成する。その
後、隔壁部2Aの表面を覆うように永久磁石材料の小ブ
ロックを貼り付けて被覆部13Aを形成し、全体として
箱体10Aを形成する。被覆部13Aに用いる永久磁石
材料としては、高温焼入れによって結晶構造の異なる
組織を部分的に作ることで保持力を高めるKS鋼等の格
子変態硬化型磁石となる材料、Feを主体としてA
l,Ni,Coなどを含むアルニコ系磁石となる材料、
Ba,Sr等のフェライト系磁石材料、R−Co5
(R:Ce,Pr,Sm等の軽希土類金属)や、R2 C
o17(例えばSm2 (CoFe)17)などのR−Co
型、あるいはNd−Fe−B型などを含む希土類磁石材
料等が用いられる。その後、この箱体10Aを着磁用コ
イル4の内部に配置し、磁気シールドルーム設置位置に
おける地磁気方向aに対し逆の方向となる方向bの磁界
をかけて着磁させる(図2参照)。この操作により、箱
体10Aの被覆部13A全体が、磁気シールドルーム設
置位置における地磁気とは逆方向に着磁され磁石部3A
となる。この着磁用コイル4は、その内部の磁場を一様
とするため、図2に示すように全体として細長い円筒形
状となるように構成する。
【0013】次に、本発明の第2実施例である磁気シー
ルドルームの構成を図3に示す。図3(A)に示すよう
に、この磁気シールドルーム1Bは、中空箱状の隔壁部
2Bと、隔壁部2Bの外側に配置される磁石部3Bを備
えて構成されている。隔壁部2Bは、パーマロイ等の高
透磁率材料からなる板状部材を中空箱状に組み合わせて
構成されている。また、磁石部3Bは、図3(B)に示
すように、6枚の永久磁石パネルP1 〜P6 で構成さ
れ、各永久磁石パネルPi は高透磁率材料からなる基板
Si 上に永久磁石薄膜Ai を貼り付けることにより構成
されている。この永久磁石薄膜A1 〜A6 は、例えば、
磁気テープ等のように、プラスチックからなるフィルム
の上に永久磁石材料の微粒子を塗布することによって形
成する。永久磁石薄膜A1 〜A6 の各々は、その磁界方
向が隔壁部2Bの設置される位置における地磁気方向と
反対となるように配置されている。このように構成する
ことにより、高透磁率材料からなる隔壁部2B及び基板
P1 〜P6 による磁気遮蔽効果に加え、各永久磁石薄膜
A1 〜A6 がその位置の地磁気をキャンセルするので、
磁気遮蔽効果がさらに向上する。この第2実施例の形成
方法は、上記した第1実施例の形成方法と同様である。
ルドルームの構成を図3に示す。図3(A)に示すよう
に、この磁気シールドルーム1Bは、中空箱状の隔壁部
2Bと、隔壁部2Bの外側に配置される磁石部3Bを備
えて構成されている。隔壁部2Bは、パーマロイ等の高
透磁率材料からなる板状部材を中空箱状に組み合わせて
構成されている。また、磁石部3Bは、図3(B)に示
すように、6枚の永久磁石パネルP1 〜P6 で構成さ
れ、各永久磁石パネルPi は高透磁率材料からなる基板
Si 上に永久磁石薄膜Ai を貼り付けることにより構成
されている。この永久磁石薄膜A1 〜A6 は、例えば、
磁気テープ等のように、プラスチックからなるフィルム
の上に永久磁石材料の微粒子を塗布することによって形
成する。永久磁石薄膜A1 〜A6 の各々は、その磁界方
向が隔壁部2Bの設置される位置における地磁気方向と
反対となるように配置されている。このように構成する
ことにより、高透磁率材料からなる隔壁部2B及び基板
P1 〜P6 による磁気遮蔽効果に加え、各永久磁石薄膜
A1 〜A6 がその位置の地磁気をキャンセルするので、
磁気遮蔽効果がさらに向上する。この第2実施例の形成
方法は、上記した第1実施例の形成方法と同様である。
【0014】次に、上記の磁気シールドルーム1A又は
1Bの作用について、図4を参照しつつ説明する。強磁
性物質(高透磁率材料)では、その磁束密度B(Wb/
m2)と磁化力H(AT/m)は、曲線Obdefgh
bの経路(ヒステリシスループ)をたどることが知られ
ている。したがって、磁気シールドルーム1A又は1B
を構成する隔壁部2A又は2Bは、外部の地磁気の磁界
により上記のヒステリシスループをたどることになる。
しかし、この磁気シールドルーム1A又は1Bの隔壁部
2A又は2Bの周囲は、磁石部3A又は3Bで覆われて
おり、磁石部3A又は3Bは全体としてその磁界の方向
がその設置位置における地磁気方向と反対となるように
配置されている。したがって、地磁気の直流成分はキャ
ンセルされ、ヒステリシスループは図4のO点に近づく
ように変化し、隔壁部2A又は2Bの内部は微弱な磁場
状態となる。O点付近は可逆動作範囲であり、磁場変動
に対して容易に追随することができるので、磁場の変動
成分に対して磁気遮蔽性能が向上する。
1Bの作用について、図4を参照しつつ説明する。強磁
性物質(高透磁率材料)では、その磁束密度B(Wb/
m2)と磁化力H(AT/m)は、曲線Obdefgh
bの経路(ヒステリシスループ)をたどることが知られ
ている。したがって、磁気シールドルーム1A又は1B
を構成する隔壁部2A又は2Bは、外部の地磁気の磁界
により上記のヒステリシスループをたどることになる。
しかし、この磁気シールドルーム1A又は1Bの隔壁部
2A又は2Bの周囲は、磁石部3A又は3Bで覆われて
おり、磁石部3A又は3Bは全体としてその磁界の方向
がその設置位置における地磁気方向と反対となるように
配置されている。したがって、地磁気の直流成分はキャ
ンセルされ、ヒステリシスループは図4のO点に近づく
ように変化し、隔壁部2A又は2Bの内部は微弱な磁場
状態となる。O点付近は可逆動作範囲であり、磁場変動
に対して容易に追随することができるので、磁場の変動
成分に対して磁気遮蔽性能が向上する。
【0015】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではない。上記実施例は、例示であり、本発明の特
許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な
構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる
ものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
ものではない。上記実施例は、例示であり、本発明の特
許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な
構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる
ものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0016】例えば、上記した第1実施例においては、
隔壁部の外側を覆うように多数の永久磁石ブロックを配
置して構成したが、本発明はこれには限定されず、1枚
の板状の永久磁石パネルを隔壁部の外側に中空箱状に配
置して磁石部を構成してもよい。
隔壁部の外側を覆うように多数の永久磁石ブロックを配
置して構成したが、本発明はこれには限定されず、1枚
の板状の永久磁石パネルを隔壁部の外側に中空箱状に配
置して磁石部を構成してもよい。
【0017】また、上記した第1実施例においては、隔
壁部を形成し、その外側に磁石部を配置して箱体を形成
した後、この箱体全体を着磁用コイル内に置き、磁気シ
ールドルーム設置位置の地磁気をキャンセルする方向に
着磁させて磁気シールドルームを形成する方法について
説明したが、本発明はこれには限定されず、個々の各永
久磁石ブロック又は永久磁石パネルを、それぞれの配置
位置での地磁気をキャンセルする方向に着磁させ、着磁
された各永久磁石ブロック又は着磁された永久磁石パネ
ルをその配置位置での地磁気をキャンセルする方向を向
けて隔壁部の外側に配置して磁気シールドルームを形成
するようにしてもかまわない。
壁部を形成し、その外側に磁石部を配置して箱体を形成
した後、この箱体全体を着磁用コイル内に置き、磁気シ
ールドルーム設置位置の地磁気をキャンセルする方向に
着磁させて磁気シールドルームを形成する方法について
説明したが、本発明はこれには限定されず、個々の各永
久磁石ブロック又は永久磁石パネルを、それぞれの配置
位置での地磁気をキャンセルする方向に着磁させ、着磁
された各永久磁石ブロック又は着磁された永久磁石パネ
ルをその配置位置での地磁気をキャンセルする方向を向
けて隔壁部の外側に配置して磁気シールドルームを形成
するようにしてもかまわない。
【0018】また、上記した第2実施例においては、各
永久磁石パネルは高透磁率材料からなる基板上に永久磁
石薄膜を貼り付けることにより構成され、永久磁石薄膜
の例として、磁気テープ等のように、プラスチックから
なるフィルムの上に永久磁石材料の微粒子を塗布したも
のを挙げたが、本発明はこれには限定されず、永久磁石
薄膜は、永久磁石材料の厚みが薄くなるように形成した
ものであれば如何なるものであってもよい。
永久磁石パネルは高透磁率材料からなる基板上に永久磁
石薄膜を貼り付けることにより構成され、永久磁石薄膜
の例として、磁気テープ等のように、プラスチックから
なるフィルムの上に永久磁石材料の微粒子を塗布したも
のを挙げたが、本発明はこれには限定されず、永久磁石
薄膜は、永久磁石材料の厚みが薄くなるように形成した
ものであれば如何なるものであってもよい。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、上記構成を有する
本発明によれば、隔壁部を覆う磁石部は、その磁界方向
が、隔壁部が設置される位置における地磁気の方向と逆
方向となるような永久磁石を配置して構成されるので、
隔壁部設置位置における地磁気の直流成分がキャンセル
され、隔壁部の内部は磁気遮蔽される。したがって、直
流磁場に対しても交流磁場に対しても有効であり、電磁
石の場合のように外部からのエネルギ供給が不要であ
り、安価で、そのメンテナンスは永久磁石部分の交換の
みでよいため容易であり、設置スペースも小さくて済
み、また、磁気シールドルームの出入口の扉を開けた場
合に高透磁率材料からなる隔壁部が磁化されることがな
く、かつ、高透磁率材料のみからなる磁気シールドルー
ムに比べ消磁の劣化が少ない、という利点を有してい
る。
本発明によれば、隔壁部を覆う磁石部は、その磁界方向
が、隔壁部が設置される位置における地磁気の方向と逆
方向となるような永久磁石を配置して構成されるので、
隔壁部設置位置における地磁気の直流成分がキャンセル
され、隔壁部の内部は磁気遮蔽される。したがって、直
流磁場に対しても交流磁場に対しても有効であり、電磁
石の場合のように外部からのエネルギ供給が不要であ
り、安価で、そのメンテナンスは永久磁石部分の交換の
みでよいため容易であり、設置スペースも小さくて済
み、また、磁気シールドルームの出入口の扉を開けた場
合に高透磁率材料からなる隔壁部が磁化されることがな
く、かつ、高透磁率材料のみからなる磁気シールドルー
ムに比べ消磁の劣化が少ない、という利点を有してい
る。
【図1】本発明の第1実施例である磁気シールドルーム
の構成を示す概念図であり、図1(A)は磁気シールド
ルームの全体構成を示す斜視図であり、図1(B)は磁
気シールドルームを構成する磁石部の構成を示す斜視図
である。
の構成を示す概念図であり、図1(A)は磁気シールド
ルームの全体構成を示す斜視図であり、図1(B)は磁
気シールドルームを構成する磁石部の構成を示す斜視図
である。
【図2】図1に示す磁気シールドルームの形成方法を説
明する図である。
明する図である。
【図3】本発明の第2実施例である磁気シールドルーム
の構成を示す概念図であり、図2(A)は磁気シールド
ルームの全体構成を示す斜視図であり、図2(B)は磁
気シールドルームを構成する磁石部の各パネルの構成を
示す斜視図である。
の構成を示す概念図であり、図2(A)は磁気シールド
ルームの全体構成を示す斜視図であり、図2(B)は磁
気シールドルームを構成する磁石部の各パネルの構成を
示す斜視図である。
【図4】本発明の磁気シールドルームのヒステリシスル
ープ曲線を示した図である。
ープ曲線を示した図である。
1A,1B 磁気シールドルーム 2A,2B 隔壁部 3A,3B 磁石部 4 着磁用コイル 10A 箱体 13A 被覆部 A1 〜A6 永久磁石薄膜 M1 〜Mn 永久磁石ブロック P1 〜P6 永久磁石パネル S1 〜S6 基板
Claims (1)
- 【請求項1】 高透磁率材料からなる中空箱状の隔壁部
と、前記隔壁部の外部を覆う磁石部を備え、前記磁石部
は、その磁界方向が前記隔壁部が設置される位置におけ
る地磁気の方向と逆方向となるように永久磁石を配置し
て構成されることを特徴とする磁気シールドルーム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18228595A JP2688889B2 (ja) | 1995-06-27 | 1995-06-27 | 磁気シールドルーム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18228595A JP2688889B2 (ja) | 1995-06-27 | 1995-06-27 | 磁気シールドルーム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0918184A JPH0918184A (ja) | 1997-01-17 |
JP2688889B2 true JP2688889B2 (ja) | 1997-12-10 |
Family
ID=16115610
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18228595A Expired - Lifetime JP2688889B2 (ja) | 1995-06-27 | 1995-06-27 | 磁気シールドルーム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2688889B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012176189A (ja) * | 2011-02-28 | 2012-09-13 | Ge Medical Systems Global Technology Co Llc | 漏洩磁場低減構造、マグネットルーム、および漏洩磁場低減方法 |
CN102623780A (zh) * | 2012-04-28 | 2012-08-01 | 成都泰格微波技术股份有限公司 | 环形器磁屏蔽组件 |
CN110970191B (zh) * | 2019-12-25 | 2021-09-07 | 哈尔滨工业大学 | 一种多层屏蔽装置的退磁方法 |
CN111968847A (zh) * | 2020-08-13 | 2020-11-20 | 东莞金坤新材料股份有限公司 | 一种定向屏蔽磁场的磁铁组件的制造方法 |
-
1995
- 1995-06-27 JP JP18228595A patent/JP2688889B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0918184A (ja) | 1997-01-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Goldman | Handbook of modern ferromagnetic materials | |
US4743890A (en) | Deactivatable security label for anti-theft systems | |
Schafer et al. | Anisotropy pinning of domain walls in a soft amorphous magnetic material | |
JP2688889B2 (ja) | 磁気シールドルーム | |
Narod | The origin of noise and magnetic hysteresis in crystalline permalloy ring-core fluxgate sensors | |
JP6612023B2 (ja) | 強磁性体における非ヒステリシス磁気の除去 | |
JPH0975324A (ja) | 磁気共鳴イメージング装置 | |
Sabolek et al. | Reduction of loss in composite magnetic material | |
Patton | Magnetic shielding | |
JPS62139304A (ja) | 磁界均一性のよい磁気回路 | |
JP3268034B2 (ja) | 磁気シールド開口端の漏洩磁界補償方法 | |
JPH0832273A (ja) | 磁気遮蔽装置 | |
JPS61203605A (ja) | 高均一磁場マグネツト | |
Thiel | Demagnetization of layered ferromagnetic structures for magnetically shielding: Frequency considerations | |
JPH0159757B2 (ja) | ||
JPH0373598A (ja) | 磁気シールド装置 | |
Kim et al. | Dependence of Barkhausen noise and second harmonics on magnetizing field orientation in 3% silicon iron | |
JP7504889B2 (ja) | 磁化構造の消磁 | |
KR100483520B1 (ko) | 자기장의 분포를 균일하도록 만드는 프레스넬 판의 구조및 이를 이용하여 자기장의 교란을 제거하는 프레스넬판의 설치방법 | |
JPS6153843B2 (ja) | ||
Sasada et al. | Experimental study on opening compensation for magnetic shields by current superposition | |
Hirsch | Slow relaxation effects in magnetically nonuniform materials | |
Sasada et al. | Multipole shaking field for magnetic shielding | |
JPH07273484A (ja) | 磁気シールド装置 | |
JPH09113592A (ja) | 磁気センサ |