JP2688542B2 - 拡散パターン形成方法および組成物 - Google Patents

拡散パターン形成方法および組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は有機ポリマー皮膜の拡散パターン形成方法お
よびこの方法によりパターン形成するのに特に適した重
合体組成物に関する。
発明の背景 厚膜技術は丈夫でそして信頼性のある導電体、誘電体お
よび抵抗体などを作るため、長い間変らない興味ある一
つの方法である。この技術は短い工程で生産を経済的に
するのに特に適している。多層形態でパターン化できる
その性能により、高い回路密度を有するデバイスの製作
が可能になった。多層構造体中で導電体の連続する各層
は絶縁性誘電体層により分けられており、そしてこの誘
電体層を通してバイアにより相互に連結されている。
この多層方式は煩雑な検査、各層間の再整合、および
ブリスターとひび割れを避けるための注意深い取り扱い
などを必要とするため、単層方式よりもずっと高価にな
る。
多層方式の生産に伴うこれらの問題を減少するための
もっとも明白な方法は、ラインとスペースの寸法を小さ
くしこれにより所定の構造における層の数を減らすこと
である。この方法による問題点は、厚膜スクリーンプリ
ントの解像能が制限され、回路の各層を連結するために
用いられるバイアのサイズが直径10〜15ミル(0.25〜0.
38mm)に制限されることである。同様に導電体も最小の
線幅と間隔とが生産のとき5〜7ミル(0.12〜0.18mm)
のラインとスペースに限定されるのである。
多数の色々な試みがより細かなピッチの線とより小さ
いバイアとを得るために行われた。極めて細かな網目ス
クリーンと改良された乳剤バッキングとにより4ミル
(0.10mm)ライン/スペース程度の低い線解像を限定生
産で得ることができるようになった。5ミル(0.12mm)
またはこれ以下のバイアおよび2〜3ミル(0.05〜0.08
mm)のライン/スペースピッチが可能な光成形性ペース
トが開発された。金属化厚膜はまたホトレジストをパタ
ーン化しそしてエッチングして細かなラインパターンを
作り、そして薄膜導電体を高い電導度を有する細かいラ
インパターンとなるまでメッキする。
上記の試みはすべて欠点を伴っている。たとえば、細
かな網目スクリーンは典型的には所望のものよりも薄い
導電体と誘電体層を作る。光成形性ペーストは大量の有
機物質を含有し焼成中に収縮を増大しまた汚れた燃えか
すを生じて焼成されたパーツを使用不能にする。光成形
性ペーストにより作られた導電体は好ましくないエッジ
のカールを有し、これにより製作された回路の信頼性を
低下する。エッチング、ホトレジストまたはメッキを必
要とする方法は、時間を要し、方法が面倒でかつ高価に
なる。さらに、溶剤を使用する方法のあるものは取り扱
いがやっかいである。従って、前述の各問題が避けられ
るポリマーフィルム、特に厚膜に高解像性の画像を形成
する迅速で、環境的に安全な方法に対する要求が続いて
いる。
発明の要点 第1の態様において、本発明は A.支持体に、第1の可塑剤中の20〜600の酸価を有する
固体の酸性有機ポリマーの固体分散物からなる、非パタ
ーン第1層を付与し; B.この非パターン第1層に、有機塩基と揮発性溶剤との
液体溶液からなる、パターン第2層を付与し; C.このパターン第2層を加熱して、この層から揮発性溶
剤を除去して下側区域の第1層中に有機塩基を拡散さ
せ、これにより下側区域の第1層中の酸性ポリマーを有
機塩基との反応により可溶化し;そして D.この層を5〜8.5のpHを有する水溶液で洗って、層の
パターン区域から可溶性化した酸性ポリマーと可塑剤と
を除去する、 工程から順次なるポリマー含有フィルム上に高解像性の
画像を作成する方法に関する。
第2の態様において、本発明は拡散パターン形成方法
において非パターン第1層として使用するための厚膜誘
電体組成物に関し、この組成物は、A.無機誘電体固体の
微細粒子が、B.有機液体媒体に分散しており、この有機
液体媒体は、(1)20〜600の酸価を有する皮膜形成性
の酸性ポリマー、(2)その酸性ポリマーに完全に可溶
しない可塑剤;および(3)揮発性有機溶剤の溶液から
なり、そして前記ポリマー対可塑剤の比はこの有機揮発
性溶剤が有機媒体から除去されたとき、得られる溶剤不
含のポリマー/可塑剤分散物が鏡面反射性でないもので
ある。
図面の簡単な説明 図面は本発明の厚膜ペーストをパターン形成する、各
工程の略図である。
本発明の具体的説明 A.定義 ここで使用した各用語は以下に示した意味を有する。
「溶出剤」の用語は、液体または気体のいずれかの流
体を指し、これは下側の非パターン層を溶解して分散し
うる形態にする。本発明の場合、溶出剤は水性である。
「分散性」の用語は、所定の材料のフィルムに関して
その材料が洗浄液体の物理的および/または化学的作用
により、置き変えられるかまたは取り除くことができる
ことを意味する。本発明の場合、洗浄液体は水性であ
る。
「揮発性溶剤」の用語は、大気圧において120℃また
はこれ以下に加熱することにより、非パターン第1層か
ら除去することのできる有機液体溶剤を示す。
「非結晶性ポリマー」の用語は、約50%よりも大きく
ない結晶性を有する固体状の有機ポリマーを示す。
「酸性ポリマー」の用語は、20〜600の酸価を有する
固体状の有機ポリマーを指す。
「溶剤不含」の用語は、揮発性の溶剤が実質上完全に
除去されている、すなわち、溶剤の残留量が残留する組
成物の約1重量%以下である組成物を示している。
ここで用いられている「アクリレート」および「アク
リル系」の用語は、メタクリレートと同じくアクリレー
トを含むモノマーおよびそれから作られたポリマーを説
明するためのものである。
すべての比率は特記しない限り重量によるものであ
る。
B.図面の詳細な説明 拡散パターン形成方法は図面を参照することによりさ
らに容易に理解することができ、これは厚膜誘電体ペー
ストのパターン形成に応用したこの方法のそれぞれの工
程を図式的に示したものである。
厚膜誘電体ペーストの層3aがアルミナ支持体1にスク
リーンプリントにより付与されている。この厚膜ペース
トは、ジブチルフタレート可塑剤とテルピネオール中に
溶剤した50の酸価を有するエチレン系の不飽和カルボン
酸とアクリレートとのコポリマーからなる、有機媒体中
に分散した微粉砕ガラス粒子から構成されている。厚3a
のプリントをした後、テルピネオールは約10分間80℃の
温度に層を加熱することにより除去する。
パターン第2層5aが溶剤不含の厚膜、層3b上にスクリ
ーンプリントされ、この第2層はトリエタノールアミン
(TEA)、ジブチルフタレートおよびテルピネオール中
に溶解したエチルセルロースバインダーから構成される
粘性の液体である。
パターン層5aが形成されたらこれを90℃に加熱し、こ
の間にテルポネオールは層から蒸発しそしてトリエタノ
ールアミンとジブチルフタレートとが厚膜誘電体層3bの
下側区域中に拡散され、ここでトリエタノールアミンは
ポリマーの酸性基と反応してこれを水分散性にする。
拡散が完了したのち、パターン層5bは主にエチルセル
ロースと少量の残留トリエタノールアミンおよびジエチ
ルフタレートから構成されている。これはつぎに6のpH
値を有する水で洗浄しこの層の残留成分を除去し、そし
て厚膜層3bの画像形成区域中の可溶性物質を除去する。
洗浄が完了すると、支持体1の表面は下側のパターン層
3cの区域が露出されそして支持体1の表面上に非常に精
密なネガ像のパターンが残される。
C.基体 本発明方法でAl2O3、SiO2、シリコン、AlNなどの無機
支持体、またはポリイミド、フェノキシ樹脂、エポキシ
樹脂などの有機支持体または充填剤入り有機ポリマーの
ような複合材料のいずれかを用いることができる。本発
明方法を厚膜層を作成するのに使用するとき、洗浄工程
が完了するとパターン厚膜層を焼成して、層の有機成分
を焼き尽くしそして微細固体粒子の高稠密化または半融
化をする。
D.酸性ポリマー 非パターン第1層のバインダー成分は、それが付与さ
れる方法とは関係なしにフィルム形成性で、非結晶性で
なければならず、また20〜600の酸価を有する、十分な
数の遊離の酸性基を有していなければならない。ポリマ
ーがこの程度の酸性である限り、これはパターン層から
拡散した有機塩基化合物の作用にさらされると分散性に
なる。ポリマーの分子量またはガラス転移温度(Tg)は
それ自体重要なものではないが、層中でより少量のポリ
マーを用いることができるようにするために、Tgは少な
くとも50℃、好ましくは70℃またはそれ以上であるのが
望ましい。酸性ポリマーの非結晶性は、可塑剤およびパ
ターン層からの塩基液体溶液の両方が、厚膜層中に拡散
するのを容易にするために重要である。前記の三つの条
件が合致する限り、広い範囲の酸性ポリマーを本発明の
非パターン第1層用のバインダーとして用いることがで
きる。
この非パターン第1層の本来の機能は多層エレクトロ
ニク回路用の誘電体にある。多層の誘電体層がそれ自体
有機性である場合、ポリマーが誘電体として機能する。
しかもこの層が厚膜であるとき、ポリマーは層が焼成さ
れるまでは誘電体固体粒子用のバインダーとしての役目
をする。
ポリマー分子上の酸性部分の目的は、パターンの下に
なった誘電体層の区域を、パターン層からポリマー中に
拡散した塩基水性溶液との反応により、分散性にするこ
とである。前に記載したように、これらの酸基の数はパ
ターン層からの塩基液にさらされたとき、ポリマーを水
分散性にするのに充分なものであることが必要である。
この目的のため酸価20で充分であると見出された。しか
しながら、ポリマーは塩基との反応前は水分散性ではな
いことが重要である。そこで、ポリマーの酸価は約600
を超えないようにすべきである。酸性ポリマーは100〜3
00は酸価を有するのが好ましい。
以下にさらに詳しくは述べるように、酸性ポリマーは
非パターンを層中で用いる可塑剤中に実質上可溶性であ
ることが必要である。しかしながら、ポリマーはすべて
の割合で可溶性でないのが好ましい。本発明の方法は均
質なポリマー層でもかろうじて行うことができるが、ポ
リマーは2相系として可塑剤とともに存在するのがやは
り好ましい。この相間の界面が通路としての役割をし、
パターン層からの塩基溶液の拡散と酸性ポリマーとの接
触を助ける。
溶剤除去の際のポリマーと可塑剤との間の2相系の生
成は、得られるポリマー/可塑剤フィルムの表面の反射
特性から容易に見ることができる。もしフィルムが均質
なものであるならば、これは鏡面反射性であり、つまり
光沢のある外観を呈する。一方、これが所望の2相状態
であるならば膜は鏡面反射性ではなく、つまりにぶい、
サテンの光沢またはマット状の表面を有する。適切な鏡
面反射性が見られるようにするために、表面に移動する
可能性のある可塑剤またはその他の液状物をすべて取り
除くことが必要である。
アクリル系ポリマー、スチレンアクリルコポリマー、
ビニル付加ポリマー、スチレン無水マレイン酸コポリマ
ー、セルロース誘電体のような広い範囲の酸含有ポリマ
ーおよびコポリマーを本発明に用いることができる。同
様に、酸性ポリマーの酸性部分の化学組成も厳密なもの
ではない。しかしながら、もっとも良く用いられるポリ
マーはアクリル酸、フマル酸、ビニルスルホン酸、イタ
コン酸、メタクリル酸、クロトン酸などのようなエチレ
ン系不飽和酸のコポリマーである。ポリマーが(1)非
結晶性、(2)皮膜形成性、(3)充分な酸性基を有
し、そのため塩基性溶液にさらされるとイオン化され、
そして(4)パターン層中で可塑剤とともに2相系を形
成し得るものである限り、ポリマー骨格の化学的性質は
それ自体重要なものではない。これらの基準内で、ポリ
マーの選定は既知のポリマー技術の知識内で十分にでき
よう。
酸性ポリマーそれ自体からは得られない特別な性質を
得ることが必要な場合には、非パターン層用のバインダ
ーとして、酸性と非酸性の各ポリマーの混合物を用いる
ことができる。しかしながら、このポリマー混合物の酸
含有量は、やはり拡散した塩基溶液にさらされる場合す
べての層が分散性となるに充分なものでなければならな
い。たとえば、パターン形成されるポリマーフィルムの
相構造をコントロールするために酸含有ポリマーと、こ
の第1の酸含有ポリマーとは限定された相容性を有する
別の酸含有ポリマーまたは酸不含ポリマーとの混合物を
使用することが場合により好都合なこともある。結果と
して、パターン層からの塩基溶液は下の層中により効果
的に拡散して、酸機能の強い区域に攻撃しそしてこれら
区域を分散し、これにより膜構造を迅速に崩壊させ像形
成区域内を速やかに分散性にすることができる。
本発明に用いることのできる多数の酸性ポリマーのい
くつかを以下の第1表に示す: これらの酸含有ポリマーは当業者に知られた普通の重
合法の任意のものにより調製することができ、これには
パーオキシ化合物のようなフリーラジカル生成重合開始
剤の存在下の溶液重合、バルク重合、ビーズ重合、乳化
重合などが含まれる。
7.可塑剤 非パターン層とパターン層の両方は実質的な分量の、
非パターン層のポリマー成分が少なくとも部分的に可溶
化しうる可塑剤を含んでいるのが好ましい。両層中の可
塑剤の主な作用は、パターン層から下側の非パターン層
の区域中への、塩基液体の拡散を容易にすることであ
る。両層が可塑剤を含有することは絶対に必要なもので
はないが、これはさらに大きい像形成感度を与えるので
好ましい。二つの層中の可塑剤は、それが各層の特定の
要件に合致する限り、同じものであっても異なるもので
あっても差し支えない。下側の非パターン層中の可塑剤
は(1)非パターン層中のポリマーを溶解することがで
き、そして(2)非パターン層の酸性ポリマーと固体の
2相系を好ましく生成しうるものでなければならない。
一方、パターン層中の可塑剤はパターン層中のバインダ
ーポリマー、非パターン層中の酸性ポリマーおよび有機
塩基に対する溶剤となるものでなければならない。
各層中で用いられる可塑剤の分量は使用されたポリマ
ーに依存して大きく変化する。前に記述したように、非
パターン層が厚膜ペーストであるときに焼失させねばな
らないポリマー量を最少とするために、非パターン層中
の可塑剤分量は最大とすることが好ましい。可塑剤の沸
点は、揮発性溶剤を加熱により追い出すときにそれらを
残留させるため、少なくとも250℃であるのが好まし
い。それでも、可塑剤の分量を減少させることが望まし
い場合には、可塑剤の揮発性は単に加熱により系から除
去できる程度であるのがさらに好ましい。事実この方法
での可塑剤の除去は、非パターン層中に孔を残しパター
ン層からの可塑剤の拡散を容易にするから、この技術は
ある場合は好ましいものとなる。
パターン形成されるポリマーフィルム中への塩基の浸
透を助け、そしてフィルムの特性を調製するため各種の
可塑剤を用いることができる。可塑剤はバインダーおよ
び層の各成分と適切な相溶性を示すものから選定され
る。たとえばアクリル系バインダーについて、可塑剤に
はジブチルフタレートおよび各種芳香族酸のエステル;
ジイソオクチルアジペートのような脂肪族多酸エステ
ル、およびナイトレートエステル;グリコール、ポリオ
キシアルキレングリコール、脂肪族ポリオールの芳香族
または脂肪族酸エステル;アルキルおよびアリールホス
フェート;塩素化パラフィンが含まれまたスルホンアミ
ド型のものも用いることができる。
一般に、高湿度保存安定性と環境的に寛容な取扱い性
とを高めるために、水不溶性可塑剤が好ましいが必須な
ものではない。適当な可塑剤にはトリエチレングリコー
ル、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレ
ングリコールジプロピオネート、トリエチレングリコー
ルジカプリレート、トリエチレングリコールジメチルエ
ーテル、トリエチレングチコールビス(2−エチルヘキ
ソネート)、テトラエチレングリコールジヘプタノエー
ト、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレングリ
コール)メチルエーテル、イソプロピルルナフタレン、
ジイソプロピルナフタレン、ポリ(プロピレングリコー
ル)、グリセリルトリブチレート、ジエチルアジペー
ト、ジエチルセバケート、ジブチルスベレート、トリブ
チルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホス
フェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェー
ト、トリアセチン、ジオクチルフタレート、C12H25(OCH
2CH2)20OH、トリス(2−ブトキシエチル)ホスフェー
トおよびジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルフタ
レート、ジフェニルフタレート、ジウンデシルフタレー
ト、ブチルベンジルフタレート、2−エチルヘキシルベ
ンジルフタレートのようなフタレート類が含まれる。
F.固体成分 本発明の方法は有機層単独の像形成に使用できるとと
もに、厚膜およびその他の充填剤入り層としても使用で
きることを理解すべきである。この方法を厚膜に使用す
るとき、パターンを有していない層の固体成分は、一般
にガラスまたはガラス形成酸化物の混合体のような誘電
性物質であり、これはたとえば800°〜950℃で焼成され
ると高稠密化および/または焼結する。これらの固体の
化学組成は、これらが有機媒体の各成分に不活性なもの
である限り、本発明の適用にそれ自体重要なことではな
い。
パターン層中の固体の使用は必ずしも必要ではない。
それにもかかわらず、微細固体の使用は本発明に従って
プリントしそして引き続く処理をするための適切なレオ
ロジー特性を有する層を得る甚だ有用な手段である。パ
ターン層中の固体の組成は、それらが拡散パターン形成
工程の完了後、洗浄により系から物理的に除去されるの
で特に重要なものではない。
固体の粒子サイズも重要なものではない。しかしなが
ら、スクリーンプリントで付与するのに有利となるよう
に、これは普通0.5〜20ミクロンの範囲内とすべきであ
る。
G.パターン層ポリマー パターン層中のバインダーポリマーの本来の機能は、
この層が非パターン層に付与される方法に合うように層
のレオロジーを調節することである。従って、これは必
ずしもパターン層の必須成分ではない。たとえば、この
層がインクジェットプリントで付与されるときは必要と
しない。しかしながら、このパターン層が厚膜ペースト
として付与されるとき、ポリマーはペーストのレオロジ
ーを調節するとともに、それが洗浄工程で除去されるま
では微細固体のためのバインダーとして働く。
バインダーポリマーの性質は、パターン形成層のレオ
ロジー特性が付与方法に適切なものである限り厳密なも
のではない。しかしながら、パターン層が厚膜ペースト
として用いられるとき、バインダーとしてエチルセルロ
ースのようなセルロース系のポリマーの使用が、その水
溶性と甚だ望ましいチキソトロピー特性とのため特に好
ましいものである。
H.有機塩基 パターン形成層の塩基成分は、可塑剤と相溶性であり
かつそれと好ましい可溶性を有する有機塩基であること
が望ましい。塩基は液体または固体のいずれであっても
良い。固体塩基を用いるとき、その融点は120℃を超え
ないのが好ましい。このような物質にはアルキルアミン
のような有機アミン、ピリジン、モルホリンのような芳
香族アミン、およびトリエタノールアミンのようなアル
カノールアミンが含まれる。
パターン形成層中の塩基の分量は、下側の第1層中に
拡散することにより可溶効果を与えるのに充分なもので
なければならない。
拡散パターン区域は、pH範囲5〜8.5の水溶液によっ
て分散されることが必要である。水が好ましい。必要な
場合、得られる水溶液は低レベルの塩基好ましくはパタ
ーン形成工程で用いたのと同じ塩基を含有して臨界的な
濃度とし、そして像形成されていない区域に不都合な影
響を与えることなく像形成された区域を分散性にするの
を助けることができる。この洗浄液のpHは拡散した塩基
の余分な中和を避けるため少なくとも5であるのが好ま
しい。一方、このpHは像形成されていない区域の可溶化
を避けるため8.5より大きくてはならない。場合によ
り、低レベルの水溶性の界面活性剤を洗浄液中に存在さ
せることができ、酸性ポリマーと塩基間の相互作用を促
進化する。
I.処方と応用 本発明の方法は電子部品製造の際の機能層として使用
することを本来意図したものである。典型的には分散改
変剤(有機塩基)を含むパターンを有する層は1〜30ミ
クロン範囲の厚さを有し、一方第1層はずっと厚く、10
〜100ミクロンの厚さを有してもよい。このパターンを
有する層の厚さは、操作性の点からよりもむしろ付与方
法により主として限定される。
概して、本発明方法のための各層を調製する個々の工
程は、普通の厚膜ペーストの技術分野で知られたものと
類似のものである。
J.別のパターン形成方法 本発明の拡散パターン化方法は、パターン形成層をス
クリーンプリントにより行うことが好ましい。しかしな
がら、この工程は別の方法によっても同様に行うことが
できる。かかる方法には熱転写、電子写真法、ペンブロ
ッターおよびインクジェットプリントなどが含まれる。
熱転写:分散改変剤はポリマーバインダーおよびその
他の必要な添加剤とともに、当業界で行われているよう
な、熱溶融インク組成物となるように処方することがで
きる。この塩基を含むインク組成物は寸法的に安定な薄
いベース、たとえばPETフィルム上に前もってコートす
る。このインクリボンを厚膜基体に、インクを厚膜組成
物に対面させて密着する。インクリボンのベース側を通
して市販のコンピュータ用プリンターで用いられている
ものと同様の熱ヘッドを、厚膜基体にインク組成物の転
写が像様に行われるように使用する。リボンの処方と加
熱条件とを適切に調製すると、パターンを生成するよう
に用いた熱は、厚膜組成物中に活性成分の拡散と同時に
その分散性を変化させるに十分なものである。エレメン
トはついで前述のように処理される。
これとは別に、処方に、カーボンブラック、グラファ
イトまたは有機色素などの、IR放射線を熱に非常に効率
的に変換するIR吸収材料が添加されているならば、パタ
ーン形成をIRレーザーにより行うことができる。この方
法で発生する熱は厚膜支持体中に活性成分の転写をひき
起こすだろう。
代表的には、ロウ状の溌水性タイプのバインダー材料
は熱溶融インクの処方中に用いられる。インクが厚膜組
成物中に拡散する代わりに、この方法を少し変更してイ
ンクを水性現像可能な有機化合物含有の組成物上にプリ
ントする。この耐水性の像をマスクあるいはレジストと
して、ポジ操作のための引き続く水性処理のために使用
することができる。
電子転写法:分散改変剤は、重合体バインダー、電荷
制御剤および補助剤とともに処方してでき当業界で行わ
れているように液体キャリアー媒体中に分散させること
ができるトナー粒子を作ることができる。このトナー粒
子は、当業界に良く知られた各種の機構により厚膜支持
体に像様に付与する。融着工程で、活性成分は厚膜組成
物中に移動し、所期の溶剤系に対する分散性を変化させ
る。
ペンプロッター:分散改変剤は各添加剤とともに水−
または溶剤−ベースの液体ベヒクル中に処方化する。パ
ターンは市販のプロッターのようにデジタル指令を通じ
てペンで生成する。活性成分は厚膜組成物中に移動し所
望の溶解性に変化させる。この水性インク系は環境上の
理由で好ましい方式のものである。
インクジエット液体インク:分散改変剤は各添加剤と
ともに水ベースまたは溶剤ベースの液体ベヒクル中で、
当業者が実行しているように処方化した。像形成は、市
販のコンピュータープリンターで見られるものと似た、
インクジエットプリントヘッドにより生成される。液体
ベヒクルおよび/または可塑剤と界面活性剤のような各
添加剤を用いて、厚膜組成物中に活性成分を運び溶解性
を変化させることができる。水ベースインクの使用は環
境的理由のため好ましい操作方式である。
インクジエット固体インク:分散改変剤は高められた
温度で溶融する固体のベヒクルとともに処方することが
できる。プリントの間インク滴は、市販のコンピュータ
ープリンターのようにデジタル指令に従って溶融した形
で射出され、厚膜組成物上に高解像性の像形成が得られ
る。厚膜組成物中への活性成分の拡散は像形成された区
域内で分散性を変化させる。
この形式の応用にしばしば用いられているロウ状のイ
ンク組成物も、水性現像可能な有機化合物含有組成物に
対するポジ型方式の熱転写方法で記載したのと同じ方法
で、マスクまたはレジストとして使用することができ
る。
本発明を以下の各実施例によりさらに説明する: 実施例 実施例1 誘電体厚膜エレメントを以下の組成と方法とを使用し
て調製する: 誘電性固体 組 成 重量(%) ガラスA 47.36 ガラスB 31.57 アルミナ 6.55 ジルコニウムシリケート 8.76 コバルトアルミネート 3.00 チタニウムオキサイド 2.76 ペースト組成物 成 分 分量重量(%) 誘電性固体 60.0 エルバサイト 2010 2.1 カルボセット XPD−1234 6.2 ブチルベンジルフタレート 11.2 テルギトール TMN−6 2.1 テルピネオール 18.4 上記のペースト組成物は、厚膜材料の処方化の分野で
知られた方法で調製し、そして以下のように基体に付与
する準備をした: 材料は場合によりペースト組成物を1回、2回または
3回付与し、各付与は80°〜90℃で10〜15分乾燥した後
に行った。溶剤を除去すると2相系が形成された。
プリント用インク 成 分 分量重量(%) トリエタノールアミン 30 (フィシャーサイエンス社製) ブチルカービトール 10 (アルドリッチケミカル社製) 脱イオン水 60 100 上記各成分を混合し撹拌して均一な溶液とした。得ら
れた溶液をプリント用インクとして用いて、ヒューレッ
トパッカード社製のデスクジエットインクジエットプリ
ンターにより、誘電性皮膜上に単一ドットパターンを形
成させた。像形成されたエレメントはオーブン中75℃で
5分間ベークした。ついでこれを60℃の温水中に超音波
撹拌して1分間浸漬した。完全な円形でかつまっすぐな
壁をもつ開口130ミクロンで深さ26ミクロンのバイアが
得られた。
実施例2 以下の方法を用いてプリント用インクを調製した: プリント用インク 成 分 分量重量(%) トリエタノールアミン 30 (フィシャーサイエンス社製) メルポール SH 1.0 (イー・アイ・デュポン社製) 脱イオン水 69 100 上記各成分を混合し撹拌して均一な溶液とした。得ら
れた溶液をプリント用インクとして使用して実施例1中
で述べた誘電性厚膜フィルム上に、単一ドットパターン
を形成させた。像形成されたエレメントはオーブン中75
℃で5分間ベークした。ついでこれを60℃で温水中に超
音波撹拌して1分間浸漬した。完全な円形でかつ良好な
エッジ解像性を有する開口130ミクロンで深さ24ミクロ
ンのバイアが得られた。
実施例3 誘電体厚膜は以下の方法を用いて調製した: 成 分 分量重量(%) 誘電性固体(実施例1と同じ) 8.25 エルバサイト 2051 1.01 カルボセット XPD−1234 9.08 ブチルベンジルフタレート 16.51 テルピネオール 15.13 100.0 上記のペースト組成物を実施例1で述べたようにして
調製し、そしてアルミナ支持体上に付与した。
プリント用インクは以下の方法を用いて調製した: 成 分 分量重量(%) トリエタノールアミン 30.0 (フィシャーサイエンス社製) 酢酸 6.7 (イーエムサイエンス社製) 脱イオン水 63.3 100.0 トリエタノールアミンを脱イオン水中に溶解する。酢
酸を撹拌しながらゆっくりと添加した。8.5のpHをもつ
得られた溶液をプリント用インクとして使用してヒュー
レットパッカード社製のデスクジエットプリンターで誘
電性厚膜上に単一ドットパターンを形成した。像形成さ
れたエレメントは裏面から約200℃で3秒間加熱し、つ
いでオーブン中75℃で5分間ベークした。ついでこれを
60℃の温水中に超音波撹拌しながら1分間浸漬した。非
常に丸い形状でシャープな解像性をもつ開口160ミクロ
ンで深さ29ミクロンのバイアが得られた。
実施例4 以下の各組成を有する誘電性ペーストとパターン形成
用ペーストを、実施例1で述べた支持体上に当業界で知
られた技術を用いてスクリーンプリントした。
誘電体ベヒクルは以下の組成を有している: 成 分 分量重量(%) ポリ(メチルメタクリレート) 2 メチルメタクリレート/メタ 18 アクリル酸コポリマー ブチルベンジルフタレート 42 テルピネオール 38 誘電体ペーストは以下の組成を有している: 成 分 分量重量(%) 無機性固体 64 誘電体ペーストベヒクル 36 パターン形成用ペーストベヒクルは以下の組成を有し
ている: 成 分 分量重量(%) エチルセルロース 4 トリエタノールアミン 42 テルピネオール 27 ブチルベンジルフタレート 27 パターン形成用ペーストは以下の組成を有している: 成 分 分量重量(%) 0.45ミクロンアルミナ 63.5 パターン化用ペーストベヒクル 38.5 パターン形成層は各種サイズのバイア開口をもつバイ
アで満たされたスクリーンを用いて付与した。ついでパ
ターン形成用ペーストは80°〜100℃で5〜10分間乾燥
した。鋭い側壁をもつ均一な、良く画定されたバイアが
生成した。平均サイズは4〜5ミル(0.10〜0.13mm)
で、誘電体膜の厚さは30ミクロン以上のものであった。
商品名 カルビトール ユニオンカーバイド社の登録名、ジエチレングリコー
ルエチルエーテル。
カボセット XPD−1234 ビー・エフ・グッドリッチ社の登録名、酸性メチルメ
タクリレートコポリマー。
エルバサイト 2051 イー・アイ・デュポン社の登録名、メチルメタクリレ
ート樹脂。
メルポール SH イー・アイ・デュポン社の登録名、エチレンオキサイ
ドの非イオン性エステル。
サンチサイザー S−160 モンサントケミカル社の登録名、N−アルキル−パラ
トルエンスルホンアミド可塑剤。
テルギトール TMN−6 ユニオンカーバイト社の登録名、非イオン性界面活性
剤。
フロントページの続き (56)参考文献 特表 平5−502140(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】A.基体に、可塑剤中の20〜600の酸価を有
    する固体の酸性有機ポリマーの固体分散物からなる、非
    パターン第1層を付与し、 B.非パターン第1層に、有機塩基、水および揮発性溶剤
    を含む水性溶液からなる、パターン第2層を付与し、 C.パターン第2層を加熱してこの層から揮発性溶剤を除
    去し、下側区域の第1層中に有機塩基を拡散させ、これ
    により下側区域の第1層中の酸性ポリマーを有機塩基と
    の反応により可溶化し、そして D.この層を5〜8.5のpHを有する水性溶液で洗って、層
    のパターン区域から可溶化した酸性ポリマーを除去する 工程から順次なる、有機ポリマー層中にパターンを形成
    する方法。
  2. 【請求項2】非パターン第1層組成物が、 A.20〜600の酸価を有する膜形成性酸性ポリマー、 B.酸性ポリマーが完全に溶解しない可塑剤、および C.揮発性有機溶剤 からなり、酸性ポリマー対可塑剤比が、揮発性有機溶剤
    Cを媒体から除去した時、得られる溶剤不含のポリマー
    /可塑剤分散物が非鏡面反射性になるような比率であ
    る、請求項1記載の方法。
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