JP2687934B2 - 波長可変レーザ発振器 - Google Patents

波長可変レーザ発振器

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は波長可変レーザ発振器に
関し、特に差分吸収レーザレーダに用いる波長可変レー
ザ発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりレーザ光を目標の空間に照射し
て、目標からの反射光を検出し、大気の状態を観測す
る、いわゆるレーザレーダは知られている。
【0003】このようなレーザレーダにおいて、大気汚
染物質の濃度を計測するには汚染物質の吸収特性を利用
し、吸収されやすい波長のレーザ光(以下、λonとい
う。)と吸収されにくい波長のレーザ光(以下、λof
fという。)を交互に照射し、その吸収量の差により汚
染物質濃度を測定する方法(DIAL)が広く採用され
ている。
【0004】このようなDIAL用レーザにおいては、
汚染物質毎に2つの波長のレーザ光源を用意する必要が
あり、その波長可変レーザとして色素レーザが用いられ
てきたが、近年パラメトリック発振用結晶(以下、OP
O結晶という。)を用いて固体レーザのみで波長可変レ
ーザを構成する技術が確立しつつある。
【0005】このような波長可変レーザの一例について
図2を参照しながら説明する。図2は従来の波長可変レ
ーザ発振器の一例の構成図である。
【0006】この波長可変レーザ発振器は、λonとλ
offの波長のレーザ光を交互に出力する必要があるた
め、2台の波長可変レーザ10,20と2本のレーザ出
力光を一本に結合する光学系30とから構成されてい
る。
【0007】波長可変レーザ10では、励起用レーザ光
源11からのレーザ光が、励起レーザの波長で高い透過
特性を有する全反射鏡12を通過し、OPO結晶13を
励起する。そして、パラメトリック発振は全反射鏡12
と出力鏡14との間で起り、折り曲げミラー31により
出力を外部に取り出している。
【0008】また、パラメトリック発振の波長は励起レ
ーザ光のOPO結晶13への入射角と回折格子15の回
転角とで定まり、それぞれOPO結晶駆動部16および
回折格子駆動部17で制御できる。
【0009】同様に、波長可変レーザ20では、励起用
レーザ光源21からのレーザ光が、励起レーザの波長で
高い透過特性を有する全反射鏡22を通過し、OPO結
晶23を励起する。そして、パラメトリック発振は全反
射鏡22と出力鏡24との間で起り、折り曲げミラー3
2により出力を外部に取り出している。
【0010】また、パラメトリック発振の波長は励起レ
ーザ光のOPO結晶23への入射角と回折格子25の回
転角とで定まり、それぞれOPO結晶駆動部26および
回折格子駆動部27で制御できる。
【0011】通常、λoff波長はλon波長に対し、
数nm(ナノミリメートル)離れた波長に設定されるこ
とが多く、波長の安定度としてはλonが約10pm
(ピコメートル)、λoffが約100pm程度必要で
ある。
【0012】このようにして得られた2つの波長のレー
ザを大気に照射するためには、一本のレーザビームに結
合する必要がある。このため通常レーザ光の偏光を利用
して結合する。
【0013】すなわち、λoff波長のレーザ光はλ/
2板33によりその偏光がP偏光から90度変えられS
偏光となり、偏光子34で反射される。一方、λon波
長レーザ光はP偏光の偏光子34を透過するので、この
ままではλon光、λoff光の偏光が90度異なって
しまう。これを防ぐため、λoff光が入射するときに
ファラデローテータ35を駆動し、λoff光の偏光を
S偏光からP偏光に変え、λon、λoffで同一偏光
となるようにしている。
【0014】図3は出力光合成のタイミングチャートで
ある。同図(a)はλon光の出力タイミング、同図
(b)はλoff光の出力タイミング、同図(c)はフ
ァラデローテータ35の駆動タイミング、および同図
(d)は合成出力光の出力タイミングを示す。この図に
示すように、λoff光(b)と同期してファラデロー
テータ35を駆動し(c)、全体としてλon光、λo
ff光レーザを交互に出力させている(d)。
【0015】また、この波長可変レーザ発振器に近似す
る技術として特開昭63−185084号公報に光波長
可変レーザ装置が開示されている。この装置は第1のO
POと、第2のOPOと、光波長変換装置とを設けるこ
とにより、第1のOPOの出力と第2のOPOの出力と
を光波長変換装置で合成し広帯域の光波長可変レーザを
得るものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の波長可
変レーザ発振器および特開昭63−185084号公報
のレーザ装置は2台の波長可変レーザ発振器と、これら
の2つの発振器の出力を一本のレーザビームに結合させ
る光学系とが必要となり、そのため装置が大型化し、か
つ高価格化するという欠点があった。
【0017】そこで本発明の目的は、1台の波長可変レ
ーザ発振器でλon光とλoff光とを交互に出力する
ことが可能な波長可変レーザ発振器を提供することにあ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明は、励起用レーザ光源と、少なくともこの励起
用レーザ光源から出力されるレーザ光の入射角で発振波
長が決定される非線形光学素子とからなる波長可変レー
ザ発振器であって、前記非線形光学素子に入射する前記
レーザ光の入射角を変える挿脱自在のプリズムを有する
ことを特徴とする。
【0019】
【作用】励起用レーザ光源から出力されるレーザ光をプ
リズムを介して非線形光学素子に入射させると入射角が
変わる。この入射角が変わると非線形光学素子の発振波
長が変わる。したがって、プリズムの挿脱により2通り
の発振波長のレーザ光が得られる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について添付図面を参
照しながら説明する。図1は本発明に係る波長可変レー
ザ発振器の一実施例の構成図である。なお、従来例と同
様の構成部分については同一番号を付し、その説明は省
略する。
【0021】波長可変レーザ発振器は、励起用レーザ光
源11と、この励起用レーザ光源11から出力されるレ
ーザ光で励起されるパラメトリック発振用結晶(以下、
OPO結晶という。)13と、このOPO結晶13の入
力側に配置され、励起レーザの波長で高い透過特性を有
する全反射鏡12と、このOPO結晶13の出力側に配
置される出力鏡14と、このOPO結晶13と出力鏡1
4間に配置される回折格子15と、この出力鏡14の出
力側に配置された折り曲げミラー31と、OPO結晶1
3の回転角を制御するOPO結晶駆動部16と、回折格
子15の回転角を制御する回折格子駆動部17と、全反
射鏡12とOPO結晶13間に配置した第1の偏角プリ
ズム1と、OPO結晶13と回折格子15間に配置され
た第2の偏角プリズム2と、これらの偏角プリズム1,
2をレーザ光の光路L上に挿入しまたは光路上から除去
する(偏角プリズム1,2を挿脱する)偏角プリズム駆
動部3とからなる。
【0022】そして、偏角プリズム1,2は頂角が互い
に等しいプリズムで、光路Lに挿入する際には頂角が互
いに逆向きとなるよう偏角プリズム駆動部3がこれらの
偏角プリズム1,2を制御する。すなわち、偏角プリズ
ム1によりレーザ光の入射角が+θ度変わったとする
と、偏角プリズム2ではレーザ光の入射角がーθ度変わ
る。
【0023】また、パラメトリック発振は全反射鏡12
と出力鏡14間で起り、その出力は折り曲げミラー31
で外部に取り出せる構造となっている。また、パラメト
リック発振の波長はOPO結晶13の回転角と回折格子
15の回転角とで定まり、OPO結晶13の回転角はO
PO結晶駆動部16で制御され、回折格子15の回転角
は回折格子駆動部17で制御される。
【0024】次に、動作について説明する。まず、偏角
プリズム駆動部3により偏角プリズム1,2をレーザ光
の光路Lから除去する。そして、この状態で励起用レー
ザ光源11よりレーザ光を全反射鏡12を介してOPO
結晶13に入力させ、OPO結晶13の発振波長が大気
汚染物質に吸収されやすい波長のレーザ光(以下、λo
nという。)となるようOPO結晶駆動部16および回
折格子駆動部17を介してOPO結晶13と回折格子1
5の回転角を調整する。
【0025】次に、偏角プリズム駆動部3により偏角プ
リズム1,2をレーザ光の光路Lに挿入する。そして、
この状態で励起用レーザ光源11よりレーザ光を全反射
鏡12を介してOPO結晶13に入力させ、OPO結晶
13の発振波長が大気汚染物質に吸収されにくい波長の
レーザ光(以下、λoffという。)となるようOPO
結晶駆動部16および回折格子駆動部17を介してOP
O結晶13と回折格子15の回転角を調整する。
【0026】すなわち、光路L上に偏角プリズム1を挿
入し、OPO結晶13に入射するレーザ光の入射角を変
えることによりOPO結晶13の発振波長を変えること
ができる。
【0027】また、偏角プリズム1,2は頂角が互いに
等しく、かつ逆向きに配置されているため、パラメトリ
ック発振光に対する偏角を互いに打ち消し合う作用があ
る。
【0028】このため、パラメトリック発振の出力の方
向(OPO結晶13の出力光の方向)は変化しない。
【0029】したがって、偏角プリズム駆動部3に偏角
プリズム1,2を光路L上に挿入したり除去したりさせ
れば、偏角プリズム1,2の挿入または除去に応じてλ
offレーザ光およびλonレーザ光を交互に出力する
ことができる。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、励起用レーザ光源と非
線形光学素子間に、非線形光学素子に入射するレーザ光
の入射角を変える挿脱自在のプリズムを設けたため、非
線形光学素子の発振波長を変えることができる。
【0031】したがって、1台の波長可変レーザ発振器
でλon光とλoff光とを交互に出力することが可能
となり、その結果、小型で、より低価格なDIAL用レ
ーザ発振器を供給できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る波長可変レーザ発振器の一実施例
の構成図である。
【図2】従来の波長可変レーザ発振器の一例の構成図で
ある。
【図3】同レーザ発振器の出力光合成のタイミングチャ
ートである。
【符号の説明】
1,2 偏角プリズム 3 偏角プリズム駆動部 11 励起用レーザ光源 12 全反射鏡 13 OPO結晶 14 出力鏡 15 回折格子

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励起用レーザ光源と、少なくともこの励
    起用レーザ光源から出力されるレーザ光の入射角で発振
    波長が決定される非線形光学素子とからなる波長可変レ
    ーザ発振器であって、前記非線形光学素子に入射する前
    記レーザ光の入射角を変える挿脱自在のプリズムを有す
    ることを特徴とする波長可変レーザ発振器。
  2. 【請求項2】 励起用レーザ光源と、この励起用レーザ
    光源から出力されるレーザ光で励起される非線形光学素
    子と、この非線形光学素子の入射側および出射側に配置
    される一対の反射鏡と、前記非線形光学素子と前記出射
    側反射鏡間に配置される回折格子と、前記入射側反射鏡
    と前記非線形光学素子間および前記非線形光学素子と前
    記回折格子間に挿脱自在に配置され、相互に打ち消しあ
    う偏角を有する一対のプリズムとを含むことを特徴とす
    る波長可変レーザ発振器。
  3. 【請求項3】 前記非線形光学素子の入射側プリズムに
    て前記レーザ光の入射角を変えることにより、吸収され
    やすい波長のレーザ光と吸収されにくい波長のレーザ光
    とを得ることを特徴とする請求項1または2記載の波長
    可変レーザ発振器。
  4. 【請求項4】 前記非線形光学素子は光パラメトリック
    発振用結晶であることを特徴とする請求項1〜3いずれ
    かに記載の波長可変レーザ発振器。
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