JP2687295B2 - 除塵装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はワーク表面に付着した塵埃等を機械的、静電
気的に除去するための除塵装置に関する。

（従来技術） 合成樹脂材によって成形されたものは、他物との接
触、ときには空気との接触によっても簡単に帯電してホ
コリや糸くず等が付着し、これが原因で表面に塗装を施
したような場合には塗膜荒れを引き起こす。

このような問題を回避するには、塗装に先立ってワー
クの表面から静電気的に吸着したホコリ等を取除いてや
る必要があり、この手段としては、実開昭61−159074号
公報に見られるような除塵装置、つまり空気の噴出口の
周囲に多数の炭素繊維を突出させた除塵装置を用い、こ
の噴出口から吹出した空気によってワーク表面のホコリ
等を機械的に払拭するとともに、噴出する空気流との接
触によって帯電した炭素繊維によりワーク表面の電荷を
中和するようにしたものが提案されている。

ところが、この種の装置では、除電して付着したほこ
りをワーク表面から分離させて除去しても、これらのほ
こりの一部が再びワークの表面に付着してしまう結果、
例え帯電していなくても付着したほこりを再び取り除く
ことが困難となって、塗装不良に招くといった不都合が
生じる。

（発明が解決しようとする課題） 本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、そ
の目的とするところは、除去したほこりがワークの表面
に再度付着しても、これらを確実に除去することのでき
る新たな除塵装置を提供することにある。

（課題を解決するための手段） すなわち、本発明はかかる課題を達成するための除塵
装置として、上部から下部ビットに向けてエアを流下さ
せるように構成した除塵ブースの内部に、ワークの搬送
経路に対してほぼ平行な向きと直交する向きに、多数の
除塵ノズルを備えた側面除塵ユニットと前後面除塵ユニ
ットとを走行自在に配設するとともに、これらの除塵ユ
ニットを往復させ、ついで数秒後に復動させる駆動手段
を配設するようにしたものである。

（実施例） そこで以下に図示した実施例について説明する。

はじめに装置の概要を第２、３図によって説明する
と、図において符号１で示した除塵ブースには、その入
口から出口にかけて内部を貫通するように台車２の走行
路３が設けられ、この走行路３に沿ってその両側に敷設
されたレール11、11には、ワークＷの側面に付着したホ
コリ等を除去する側面除塵装置10、10が走行可能に配設
され、また入口側と出口側の上部に走行路３と直交する
ように張渡したレール51、51には、ワークＷの前後面に
付着したホコリ等を除去する前後面除塵装置50、50が同
じく走行可能に配設され、さらに入口側の上部には、走
行路３を横切るようにしてワークＷの頂面のホコリ等を
除去する頂面除塵装置70が配設されている。

つぎにこれらの各除塵装置10、50、70について説明す
ると、側面除塵装置10は、走行路３の両側に敷設したレ
ール11上を走行する左右２台の走行基台12、12と、これ
らの上に配設した一群の除塵ノズルユニット40‥‥とに
よって構成されており、車輪13を備えた走行基台12は、
レール11に沿ってブース１の基盤５に配設されたシリン
ダ15によって前後に走行するように構成されている。

すなわち、走行基台12にはその下面に索引ブラケット
14、14が設けられ、またシリンダ15は、そのロッド16に
よってスプロケットホイール17を備えたローラ軸18を別
設したレール19上で走行させるように構成されていて、
一方のチェーン20を基台12後方の索引ブラケット14から
ブース１出口側のスプロケットホイール12、ロッド16端
のスプロケットホイール17を介してブース１出口側の索
引ブラケット22に、他方のチェーン20を基台12前方の索
引ブラケット14からブース１入口側のスプロケットホイ
ール24、ロッド16端のスプロケットホイール17を介して
シリンダ15に固定した索引ブラケット25にそれぞれ懸渡
すことによって、走行基台12がシリンダ15に駆動されて
レール11上を走行するように構成されている。

この走行基台12には、その上面に立設した４本の支柱
27‥‥によって丸棒状の支持杆28が垂直に支えられてい
て、ここには所要数の除塵ノズルユニット40‥‥がそれ
ぞれ後述する支持管30、水平杆32、十字形継手33をもっ
て上下方向、左右方向、前後方向に位置を調整できるよ
うに取付けられている。

第１図はこの除塵ノズルユニット40の詳細を示したも
ので、止めネジ31によって支持杆28上の適宜の位置に固
定できるように摺動自在に取付けられた支持管30には、
その一側に走行方向に伸びる水平杆32が固設され、また
この水平杆32には、十字形継手33の一方の管34が止めネ
ジ35によって位置決めできるよう横方向に摺動自在に嵌
合わされ、さらにこれと一体の他方の管36には、先端に
除塵ノズルユニット40を備えた摺動杆38が止めネジ37に
よって位置決めできるようワークＷに向けて前後に摺動
自在に挿通されている。

一方摺動杆38の先端に取付けられた除塵ノズルユニッ
ト40には、その一側に設けたエア供給口にエア供給管41
が接合し、エア供給源42から流量調整弁43を介してここ
に供給されてきた加圧空気は、内部の流路44を経てアー
ス電位とされた先端のノズル45から吐出するように構成
され、またこのノズル45の軸心部にコロナ放電電極46を
設けて、その電極46を昇圧トランス47を介して交流電源
48に接続させている。

一方、これに対して前後面除塵装置50、50は、除塵ブ
ース１の入口側と出口側の各上方に張設されたレール5
1、51に走行自在に取付けられている。すなわち、車輪5
3をもってこれらのレール51上を走行する走行基台52に
は、第３図に示したようにその上面に係合部54が設けら
れていて、ここにはレール51、51の間に配設したロッド
シリンダ55の作動板56が係合している。この走行基台52
には、その下面に垂下した支板57によって丸棒状の支持
杆58が垂設され、ここには、すでに側面除塵装置10にお
いて説明したと同様の複数の除塵ノズルユニット60‥‥
がそれぞれ図示を省略した支持管、水平杆、十字形継手
及び摺動杆によって上下方向、左右方向及び前後方向に
位置調整可能に取付けられている。

他方、頂面除塵装置70は除塵ブース１の入口側上部に
設けられており、下端がエア吹出し用スリット板６の下
方に位置するようこの部分に吊設された支杆71、71に
は、図示しないエア供給源と連通するエア供給管72、72
が走行路３と直交するように、１本もしくは数本張渡さ
れていて、これらには、前述した側面除塵装置10の除塵
ノズルユニット40と同様の複数の除塵ノズルユニット75
‥‥が等間隔に下向きに取付けられている。

なお、図中符号80、80は除塵ブース１の入口及び出口
に設けた開閉扉で、第２図及び第４図に示したように、
これらの開閉扉80、80はブース１の入口側及び出口側両
側に設けたガイドレール81、81に昇降動自在に取付けら
れた上、ワイヤ82を介してブース１の一側に設けたシリ
ンダ83のロッド84端に結合している。

また、第３図における符号７、７は、除塵ブース１の
上部フィルタ８からエア吹出用スリット板６に向けて流
れるエアを収束させるための傾板で、上部フィルタ８を
介してブース１の上部から送り込まれてきたエアは、こ
れらの斜板７、７に沿って流下しエア吹出し用スリット
板６を通ってブース１内に流入した後、ブース１の底部
に設けたビット９より図示しない排気ダクトを介して外
部へ排出されるように構成されている。

このように構成された装置において、いまワークＷを
支持した台車２が下方のコンベアに駆動されて開口状態
にある入口より除塵ブース１内に進入してくると、その
進入過程において、ワークＷの上面はブース１の上方に
配設した除塵ノズルユニット75からのエアによって頂面
に付着しているホコリ等が除去される。

このようにして台車２が除塵ブース１の定位置に達し
そこで位置決めされると、入口側開閉扉80の閉止に伴っ
て走行路３の両側に位置する側面除塵装置10、10は第２
図中左端から右端へと走行しつつ、その支持杆28に設け
た複数の除塵ノズルユニット40‥‥から台車２上のワー
クＷ側面にエアを吹付ける。

ところで上述したように、除塵ノズルユニット40に
は、接地されたノズル45の軸心部に昇圧トランス47を介
して交流電源48に接続したコロナ放電電極46が配設され
ているため、流量調整弁43により流量調節されつつ供給
されてきたエアは、コロナ放電電極46と接地されたノズ
ル45との間、つまり交流電界の作用する領域を通過する
間にイオン化され、所要の荷電電荷を持つ粒子となって
ノズル45からワークＷの側面に向けて吹出し、その表面
に沿って隅々まで流れつつ、そこに付着したホコリ等を
機械的に払拭するとともに、他物あるいは空気流に触れ
ていずれかの極に帯電したワークＷの表面の帯電電荷を
中和させ、同時に静電気的に付着したホコリを完全に除
去する。

そして以上の除塵動作は、側面除塵装置10とともに動
作を始めた前後面除塵装置50によっても行なわれ、また
この一連の除塵動作によってブース１内に舞上がったホ
コリ等は、上部フィルタ８から斜板７、７によって縮流
されつつブース１内に流入したエアにより順次ブース１
底面のピット９へ押し流されて図示しない排気ダクトよ
り外部へ排出される。

なお、以上の側面及び前後面の除塵処理により、舞上
がったホコリの一部は再びワークＷの表面に付着するか
ら、この動作が終了して数秒経過した後に側面除塵装置
10を図中右から左へ復帰させ、その過程で再度除塵ノズ
ルユニット40を動作させてワークＷ上に付着した新たな
ホコリを除去し、同様に、前後面除塵装置50を復帰させ
る過程で除塵ノズルユニット60を動作させてワークＷ表
面に付着したホコリの除去を図る。

（効果） 以上の述べたように本発明によれば、上部から下部ビ
ットに向けてエア流を流下させるように構成した除塵ブ
ースの内部に、ワークの搬送経路と平行な向きと直交す
る向きにそれぞれ走行する側面除塵ユニットと前後面除
塵ユニットを配設して、これらを従動させて数秒後に復
動させるようにしたので、これらの除塵ユニットの往復
工程によりワークの表面に付着したほこりを除去しつつ
これらを上部から下部ビットへ流下するエアによって外
部に排出するとともに、一旦除去したほこりの一部が再
びワークの表面に付着しても、数秒後に復動するこれら
除塵ユニットによって付着したほこりをワークの表面か
ら確実に除去しつつ流下するエアにより完全に排出する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す除塵ノズルユニットの
構成図、第２図は同上ユニットを装備した除塵装置の側
面図、第３図は同上装置の正面図、第４図はブースの出
入口の構造を示した図である。 １……除塵ブース、２……台車 10……側面除塵装置、12……走行基台 40、60、75……除塵ノズルユニット 50……前後面除塵装置、52……走行基台 70……頂面除塵装置

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上部から下部ビットに向けてエアを流下さ
   せるように構成した除塵ブースの内部に、ワークの搬送
   経路に対してほぼ平行な向きと直交する向きに、多数の
   除塵ノズルを備えた側面除塵ユニットと前後面除塵ユニ
   ットを走行自在に配設するとともに、上記両除塵ユニッ
   トを往復させ、ついで数秒後に復動させる駆動手段を配
   設したことを特徴とする除塵装置。