JP2687263B2 - ハロゲン化銀多層カラー写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀多層カラー写真感光材料

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JP2687263B2
JP2687263B2 JP3302667A JP30266791A JP2687263B2 JP 2687263 B2 JP2687263 B2 JP 2687263B2 JP 3302667 A JP3302667 A JP 3302667A JP 30266791 A JP30266791 A JP 30266791A JP 2687263 B2 JP2687263 B2 JP 2687263B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はハロゲン化銀カラー写真
感光材料に関するものであり、水に難溶なエポキシ化合
物を用いて色画像の保存性を改良せしめたハロゲン化銀
多層カラー写真感光材料に関する。さらに詳しくはイエ
ロー色像の堅牢性、色再現性さらには感光材料の生保存
性を改良した迅速処理型のハロゲン化銀多層カラー写真
感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カラー写真感光材料を記録として半永久
的に保存する場合は、光退色、暗退色の程度を極力小さ
く抑えてイエロー、マゼンタ及びシアンの各色素画像の
三色退色バランスを初期の状態に保持することが要望さ
れる。しかしながら、湿度の高い環境で保存した場合、
イエロー色素画像の暗退色が他の二色より大きく、画質
を大きく劣化させてしまうことがあった。また、米国特
許4,540,654 号や同4,882,266 号で代表されるいわゆる
ピラゾロアゾール型マゼンタカプラーが実用されるに至
って、良好な色再現性を与え、さらにステインが少なく
画像保存性に優れたカラープリントが得られるようにな
った。一方、従来から使用されているイエローカプラー
は、ベンゾイルアセトアニリド系あるいはピバロイルア
セトアニリドカプラーが一般的に用いられている。特に
後者はイエロー色素の分光吸収特性および堅牢性に優れ
るため主としてカラーペーパーやカラーリバーサル系に
用いられている。
【0003】しかしながら、上記マゼンタカプラー、と
りわけ適度なカップリング速度を持つマゼンタカプラー
と、上記イエローカプラーを使用するとき、できあがっ
たカラー写真は高濃度、低カブリで、かつ色再現性に優
れているものの、カラー写真の長期保存時に、イエロー
画像中のマゼンタ濃度が高くなるという、いわゆる画像
保存時の混色の問題が生じることが判り、優れた色再現
性を画像保存時にも良好に保つことが望まれていた。こ
のような問題を解決するため、特開昭64-50048号、同64
-50049号及び特開昭61-4041 号などに環状エーテル化合
物もしくはエポキシ基含有化合物を使うことが開示され
ているが、これらの化合物は温湿度によるイエロー色画
像の暗退色の改良にある程度効果が認められるもののま
だ充分な改良ではなく、感光材料生経時中の減感、カブ
リなどの副作用を伴う問題を抱えていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的は
第一に、色像の長期保存における退色が改良され、かつ
優れた色再現性を有する色素画像を形成し得るハロゲン
化銀カラー写真感光材料を提供することにある。目的の
第二は感光材料の生経時中におこり得るカブリ増加ある
いは低感化などの副作用を伴わず、色像保存性の改良さ
れた迅速処理可能なハロゲン化銀カラー写真感光材料を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前述の課題について鋭意
検討の結果、以下の構成にて解決することを見いだし
た。すなわち紙支持体上にイエロー、マゼンタ、シアン
の各カプラーのいずれかをそれぞれ含有する三種の感光
性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀多層カラー
写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層の内、イ
エローカプラー含有乳剤層は下記一般式(AO)で示さ
れる基を有する水難溶性エポキシ化合物の少なくとも1
種を含有し、該乳剤層において親水性成分に対する非親
水性成分の重量比が0.90以上1.30以下であり、
かつマゼンタカプラー含有乳剤層は一般式(M−II)で
示されるマゼンタカプラーの少なくとも一種を含有し、
該紙支持体の原紙のpHが5以上9以下であることを特
徴とするハロゲン化銀多層カラー写真感光材料により解
決するに至った。
【0006】
【化4】
【0007】上記一般式(AO)において、R1
2 、R3 、R4 及びR5 は同一でも異なっていてもよ
く、それぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基を表
す。Rは置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。−Y
−は2価の連結基を表す。−X−は−O−,−S−また
は−N(R’)−を表す。R’は水素原子、アシル基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリー
ル基、ヘテロ環基または−C(R6 )(R7 )(R8
を表す。ここでR6 、R7 及びR8 は同一でも異なって
いてもよく、それぞれアルキル基または下記一般式(A
O−1)で表される基を示す。R6 及びR7 はさらに水
素原子を表す。
【0008】
【化5】
【0009】nが2〜4の時、複数のRは互いに同一で
もよく異なってもよい。またR1 〜R5 のいずれか2
個、R’とR又は2個のRが互いに結合して5〜7員環
を形成してもよい。但し、Xが−S−の時、化合物の炭
素数の総和は15以上である。またXが−O−であり、
かつ−Y−が−SO2 −またはフェニレンであるとき、
nは1〜4の整数であるか、またはR1 ないしR5 の少
なくとも1個はアルキル基またはアリール基である。X
が−O−であり、かつYが−O−CO2 −である時、R
1 〜R 5 及びRの炭素数の総和は10以上である。
【0010】
【化6】
【0011】式中、R10は水素原子または置換基を表
す。Y4 は水素原子または離脱基を表す。Za、Zbお
よびZcはメチン、置換メチン、=N−または−NH−
を表し、Za−Zb結合とZb−Zc結合の内一方は二
重結合であり、他方は単結合である。Zb−Zc結合が
炭素−炭素二重結合の場合は、それが芳香環の一部であ
る場合を含む。R10またはY4で2量体以上の多量体を
形成する場合、またZa、ZbあるいはZcが置換メチ
ンであるときはその置換メチンで2量体以上の多量体を
形成する場合を含む。
【0012】本発明の一般式(AO)で表される基を有
する水に難溶性のエポキシ化合物をさらに詳細に説明す
る。水に難溶性のエポキシ化合物とは25℃において、
水への溶解度が10%以下のエポキシ化合物であり、炭
素数の総和が9以上、好ましくは18以上、さらに好ま
しくは30以上である。
【0013】一般式(AO)でいうアルキル基とは直
鎖、分岐または環状のアルキル基(例えばメチル、エチ
ル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブ
チル、シクロヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、
n−デシル、sec−ドデシル、n−ヘキサデシル、n
−オクタデシル)であり、さらに置換基を有してもよ
い。一般式(AO)でいうアリール基とは芳香族炭化水
素基(例えばフェニル,ナフチル)であり、さらに置換
基を有してもよい。
【0014】一般式(AO)でいうヘテロ環基とは環構
成原子の少なくとも1個が酸素原子、窒素原子、イオウ
原子から選択された原子である5〜7員環状の基であ
り、芳香環であってもかまわない。また、さらに置換基
を有してもかまわない。ヘテロ環基としては例えばチエ
ニル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、
インドリル、ピリジル、クロマニル、ピラゾリジニル、
ピペラジニル、4−モルホリニル、トリアジニル等が挙
げられる。一般式(AO)でいう置換基とはアルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ
環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ
基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シ
アノ基、ニトロ基、アシル基、アシルオキシ基、シリル
オキシ基、スルホニル基、スルホニルオキシ基、アルコ
キシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミ
ド基、イミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、
ウレイド基、ウレタン基、アミノスルファモイル基、ア
ミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ
環アミノ基等が挙げられる。
【0015】R1 、R2 、R3 、R4 およびR5 は同一
でも異なってもよく、それぞれ水素原子、アルキル基、
またはアリール基を表す。Rは置換基を表し、nは0〜
4の整数を表す。nが2〜4の時,複数のRは同一でも
異なってもよい。−Y−は2価の連結基(例えば単結
合、−O−、−S−、−SO2 −、−S−置換基を有し
てもよいイミノ基、−O−CO2 −、置換基を有しても
よいアルキルレン基、置換基を有してもよいフェニレン
基、ナフチレン基、2価のヘテロ環基)を表す。
【0016】Xは−O−、−S−または−N(R' )−
表す。R' は水素原子、アシル基(例えばアセチル、ア
クロイル、ベンゾイル)、アルキルスルホニル基(例え
ばメタンスルホニル、エタンスルホニル、ドテカンスル
ホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスル
ホニル、トルエンスルホニル)、アリール基、ヘテロ環
基、−C(R6 )(R7 )(R8 )を表す。ここで
6 、R7 およびR8は同一でも異なってもよく、それ
ぞれアルキル基または下記一般式(AO−1)で表され
る基を表す。R6 およびR7 はさらに水素原子を表す。
【0017】
【化7】
【0018】一般式(AO−1)におけるR1 、R2
よびR3 は、一般式(AO)で定義した基を表わす。ま
たR1 〜R5 のいずれか2個、R' とRまたは2個のR
が互いに結合して5〜7員環を形成してもよい。ただ
し、Xが−S−の時、化合物の炭素数の総和は15以上
である。またXが−O−であり、かつ−Y−が−SO2
−又はフェニレンである時、nは1〜4の整数である
か、またはR1 〜R5 の少なくとも1個はアルキル基又
はアリール基である。Xが−O−であり,かつYが−O
−CO2 −である時、R1 〜R 5 およびRの炭素数の総
和は10以上である。
【0019】一般式(AO)で表される基は結合する相
手の原子が水素原子、炭素原子、窒素原子、イオウ原
子、酸素原子のいずれであってもかまわない。一般式
(AO)で表される基を有するエポキシ化合物のうち、
本発明の効果の点で一般式(AO)で表される基を3以
上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上有
する化合物である。一方、一般式(AO)で表される基
を有するエポキシ化合物はベンゼン環の総和が2以上が
好ましく,さらに好ましくは3以上,より好ましくは4
以上である。
【0020】本発明の一般式(AO)で表される基を有
するエポキシ化合物のうち好ましいのは下記一般式(A
E−1)、(AE−2)、(AE−3)および(AE−
4)で表される。
【0021】
【化8】
【0022】一般式(AE−1)〜(AE−4)におい
て、Eは下記一般式(AO−2)を表す。
【0023】
【化9】
【0024】一般式(AO−2)におけるR1 〜R5
よびXは、一般式(AO)で定義された基を表す。一般
式(AE−1)〜(AE−4)において、Rは一般式
(AO)で定義された基を表す。L1 、L2 、およびL
3 は同一でも異なってもよく、それぞれ2価の連結基を
表す。L1 、L2 、およびL3 としては置換基を有して
よいアルキレン基が好ましく、下記の構造が挙げられ
る。
【0025】
【化10】
【0026】n1 は3〜6、m1 は0〜3、n2 は1〜
5、n3 は1〜4、n4 は1〜5、m2 は0〜4、m3
は0〜3、m4 は0〜4、n5 は1〜5、m5 は0〜
4、m6 〜m9 は0〜4の整数を表す。p1 およびxは
0〜20の実数を表す。p2 は3〜4の整数を表し、A
は3〜4価の有機基を表す。Aは例えば下記構造が挙げ
られる。
【0027】
【化11】
【0028】EおよびRが複数存在する時,複数のEは
同一でも異なってもよく、また複数のRは同一でも異な
ってもよい。一般式(AE−2)および(AE−3)で
表されるものは、p1 、p2 の数の異なったものの混合
物であってもよい。
【0029】一般式(AE−1)〜(AE−4)で表さ
れる化合物のうち、一般式(AE−1)〜(AE−3)
で表されるものが好ましく,より好ましくは一般式(A
E−2)〜(AE−3)で表されるものであり、一般式
(AE−2)で表されるものが最も好ましい。一般式
(AE−2)で表されるもののうち、一般式(AO−
2)における−X−が−O−で表されるものが好まし
く、p1 については1〜20、さらに好ましくは2〜2
0、より好ましくは3〜20、最も好ましくは4〜20
であり、n2 〜n4 については1〜2のものが好まし
く、m2 〜m4 は0〜3が好ましく、1〜2の場合が最
も好ましく、Rはアルキル基、ハロゲン原子、アルコキ
シ基が好ましい。
【0030】以下に本発明の化合物の具体例を示すが、
これによって本発明が限定されるものではない。
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】
【化14】
【0034】
【化15】
【0035】
【化16】
【0036】
【化17】
【0037】
【化18】
【0038】
【化19】
【0039】
【化20】
【0040】
【化21】
【0041】
【化22】
【0042】
【化23】
【0043】なお,構造式中にある変数xおよびyはそ
れぞれ実数であり、0〜20の範囲であれば何でもよ
い。xが必ずしも整数とならないのは、数種類の整数値
を有するエポキシ化合物が、ある比率で混合された状態
であり、その平均値を示しているからである。これらの
エポキシ化合物は単独で用いても、2種類以上組み合わ
せて用いてもよい。
【0044】本発明のエポキシ化合物は、カプラーと共
にあるいは別々にゼラチン水溶液などの親水性バインダ
ー中に界面活性剤を用いて乳化分散して用いる。本発明
のエポキシ化合物自身を高沸点有機溶媒として用いても
よいが、本発明のエポキシ化合物以外の沸点160℃以
上の水に難溶な高沸点有機溶媒、低沸点の補助有機溶媒
または/および水不溶性かつ有機溶媒可溶性の重合体と
併用してもよい。前記高沸点有機溶媒および重合体の例
としては、特開昭64-537号に開示されているものが好ま
しい。またカプラーと水に難溶なエポキシ化合物は別層
に添加することもできるが、同一層、特に同一油滴中に
添加することが好ましい。
【0045】本発明に用いられる上記エポキシ樹脂は、
例えば苛性ソーダ存在下でビスフェノールAとエピクロ
ルヒドリンを反応させて得られるものである(大石直四
郎他著「プラスチック材料講座(5) エポキシ樹脂」日刊
工業新聞社参照)。本発明のエポキシ化合物の使用量は
イエローカプラーに対して、重量で、3%〜100%が
好ましく、より好ましくは5%〜30%である。
【0046】本発明のイエローカプラー含有層における
親水性成分とは、ASTM D570 試験法における水飽和汲水
率が60重量%以上であるもの、あるいは吸水によってそ
の体積が 1.5倍以上に膨潤するものをいう。非親水性成
分とは、ASTM D570 試験法における65%RH汲水率が10重
量%以下のもの、もしくは水飽和汲水率が50重量%以下
のもの、あるいは該成分に取り込まれる水の溶解度が50
重量%以下のものをいう。非親水性成分における上記水
の溶解度は好ましくは10重量%以下である。
【0047】本発明における非親水性成分は、ハロゲン
化銀粒子や無機マット剤、オイルプロテクト(油溶性)
カプラー、ポリマーカプラー、オリゴマーカプラー、高
沸点有機溶剤、分散用油溶性ポリマー、色カブリ防止
剤、退色防止剤(または色像安定剤)、混色防止剤、油
溶性染料や紫外線吸収剤などがある。本発明における親
水性成分は、通常用いられる親水性保護コロイド例えば
ゼラチンがあるが、その他、例えばゼラチン誘導体、ゼ
ラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、アルブミ
ン、カゼイン等のタンパク質;ヒドロキシエチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エ
ステル類等のごときセルロース誘導体、アルギン酸ソー
ダ、でんぷん誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコ
ール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポ
リアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミ
ド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール等
の単一あるいは共重合体のごとき多種の合成親水性高分
子物質などがある。
【0048】ゼラチンとしては、石灰処理ゼラチンの
他、酸処理ゼラチンやBull.Soc.Sci.Phot.Japan.No.16
、30ページ(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチ
ンを用いてもよく、またゼラチンの加水分解物や酵素分
解物も用いることができる。本発明においてイエローカ
プラー含有乳剤層中の親水性成分に対する非親水性成分
の重量比は0.90以上1.30以下であることが必要
であり、好ましくは0.95以上1.25以下、最も好
ましくは0.95以上1.20以下である。
【0049】次に前記一般式(M−II)で表される化合
物について説明する。一般式(M−II)で示される化合
物はピラゾロアゾール系カプラーの中でも米国特許第4,
500,630 号に記載のイミダゾ[1,2−b]ピラゾール
類は好ましく、米国特許第4,540,654 号に記載のピラゾ
ロ[1,5−b][1,2,4]トリアゾールは特に好
ましい。その他、特開昭61-65245号に記載されているよ
うな分岐アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2,3
または6位に直結しているピラゾロトリアゾールカプラ
ー、特開昭61-65246号に記載されているような分子内に
スルホンアミド基を含んだようなアルコキシフェニルス
ルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラ
ーや欧州特許(公開)第226,849 号や同294,785号に記
載されたような6位にアルコキシ基やアリーロキシ基を
持つピラゾロトリアゾールカプラーの使用が好ましい。
一般式(M−II)で示されるピラゾロアゾール系カプラ
ーの具体例を以下に列挙するが、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0050】
【化24】
【0051】
【化25】
【0052】
【化26】
【0053】
【化27】
【0054】
【化28】
【0055】
【化29】
【0056】
【化30】
【0057】一般式(M−II)で表されるカプラーの添
加量は感光層を構成するハロゲン化銀乳剤層中に、通常
ハロゲン化銀1モル当り 0.1〜1.0 モル、好ましくは
0.1〜0.5 モル含有される。
【0058】本発明の感光材料の紙支持体に用いる原紙
のpH値は5以上9以下であることが必要であるが、
5.5以上8.5以下であることがさらに好ましい。本
明細書において、原紙のpH値はJIS-P-8133の熱水抽出
法の規定により測定した値とする。JIS-P-8133の熱水抽
出法の概略を以下に記載する。試験片約 1.0gを量り取
り、三角フラスコ100 ml容に入れて20mlの蒸留水を加
え、先の平らなかき混ぜ棒で試験片が一様に湿るまで浸
し柔らかくする。次に蒸留水50mlをさらに加えてかき混
ぜ、フラスコに冷却管をつける。次に水を沸騰させずに
フラスコの内容物を95〜100 ℃に保つような湯浴中にフ
ラスコをおく。この温度でときどき振り動かしながら1
時間加熱したのち、20℃±5degに冷却し、そのまま抽出
液のpH値をガラス電極pH計を用いて測定する。上記
測定法の詳細及び測定に用いる器具については、1963年
の日本工業規格にしたがう。
【0059】以下、本発明に用いる紙支持体の構成及び
pH値を5〜9にするための具体的手段について説明す
る。紙支持体に用いる原紙は、木材パルプを主原料とし
これを抄紙して製造する。木材パルプとしては、針葉樹
パルプ、広葉樹パルプのいずれも使用可能であるが、本
発明においては短繊維の広葉樹パルプを多く用いること
が好ましい。具体的には、原紙を構成するパルプの内、
60重量%以上を広葉樹パルプとすることが好ましい。な
お、必要に応じて木材パルプの一部をポリエチレン、ポ
リプロピレン等からなる合成パルプ、あるいはポリエス
テル、ポリビニルアルコール、ナイロン等からなる合成
繊維に置き換えてもよい。また使用するパルプの濾水度
は、CSFの規定で 150〜500 ccであることが好まし
く、 200〜400 ccであることがさらに好ましい。さら
に、叩解後の繊維長については、JIS-P-8207により規定
される24+42メッシュ残分が40重量%以下となるように
することが好ましい。原紙中には一般にサイズ剤が内添
されるが、本発明においては紙支持体のpH値を5〜9
とする必要があるため、エポキシ化脂肪酸アミド、脂肪
酸無水物、ロジン酸無水物、アルケニル無水コハク酸、
コハク酸アミド、イソプロペニルステアレート、アジリ
ジン化合物、アルキルケテンダイマー等の中性サイズ剤
を内添サイズ剤として使用することが好ましい。また原
紙中には一般にサイズ剤の定着剤が内添されるが、本発
明においては原紙のpH値を5〜9とする必要があるた
め、定着剤として通常使用される硫酸バンド(硫酸アル
ミニウム)に代えて、カチオン化でんぷん、ポリアミド
ポリアミンエピクロルヒドリン、ポリアクリルアミド、
ポリアクリルアミド誘導体等の中性または弱アルカリ性
の化合物を用いること、あるいは硫酸バンドを添加した
のちアルカリにより中和することが好ましい。
【0060】さらに、原紙中には平滑度の向上を目的と
して、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、カオリン、二
酸化チタン、尿素樹脂微粒子等の填料を内添してもよ
い。上記内添サイズ剤、定着剤、填料以外の内添薬品と
して、ポリアクリルアミド、スターチ、ポリビニルアル
コール等の紙力増強剤;無水マレイン酸共重合体とポリ
アルキレンポリアミンとの反応物、高級脂肪酸の四級ア
ンモニウム塩等の柔軟化剤;有色染料;蛍光染料等を必
要に応じて原紙中に添加してもよい。これらの内添薬品
も、原紙のpH値を5〜9とするため、原則としてpH
値が中性に近い薬品を選択して使用することが好まし
い。また、酸性あるいはアルカリ性の薬品を可能な限り
少量とすることが好ましい。
【0061】紙支持体に用いる原紙は、以上述べたよう
な原料を使用し、長網抄紙機または円網抄紙機を用いて
抄造することができる。原紙の坪量は20〜300 g/m2
であることが好ましく、50〜200g/m2 であることが
特に好ましい。原紙の厚さは25〜350 μmであることが
好ましく、40〜250 μmであることが特に好ましい。ま
た、原紙には平滑度の向上を目的として、抄紙機でのオ
ンマシンキャレンダーまたは抄紙後のスーパーキャレン
ダーのようなキャレンダー処理を実施することが好まし
い。上記キャレンダー処理により、原紙の密度はJIS-P-
8118の規定で0.7 〜1.2 g/m2 となることが好まし
く、0.85〜1.10g/m2 となることが特に好ましい。
【0062】以上述べたような原紙の製造方法、特に内
添薬品(内添サイズ剤、定着剤等)及び表面サイズ剤の
選択により、製造される原紙のpH値を5〜9に調整す
ることができる。本発明の感光材料は、以上述べたよう
な原紙をそのまま紙支持体として使用することができ
る。また、原紙表面に表面サイズ剤を塗布してもよい。
表面サイズ剤の例としては、ポリビニルアルコール、ス
ターチ、ポリアクリルアミド、ゼラチン、カゼイン、ス
チレン無水マレイン酸共重合体、アルキルケテンダイマ
ー、ポリウレタン、エポキシ化脂肪酸アミド等を挙げる
ことができる。
【0063】上記原紙(表面サイズ剤を塗布したものを
含む)の一方または両方の面にさらに塗布層を設けても
よい。上記塗布層の構成については特に制限はないが、
疎水性ポリマーを含むことが好ましい。疎水性ポリマー
を含む塗布層を設けることにより、紙支持体の吸水度が
低下し、感光層の塗布において生じる支持体の歪を減少
させることができる。上記疎水性ポリマーは、ホモポリ
マーでもコポリマーでもよい。また、コポリマーの場
合、一部に親水性の繰り返し単位を有していても全体と
して疎水性であればよい。上記疎水性ポリマーの例とし
ては、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニリデ
ン、スチレンーブタジエン・コポリマー、アクリロニト
リル−ブタジエン・コポリマー、スチレンーアクリル酸
エステル・コポリマー、及びスチレンーメタクリレート
ーアクリル酸エステル・コポリマー等を挙げることがで
きる。
【0064】塗布層には、解像力向上の目的で顔料を添
加してもよい。顔料としては、公知の塗被紙に用いられ
る顔料を使用することができる。顔料の例としては、二
酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、クレイ、カオリ
ン、焼成カオリン、水酸化アルミニウム、無定型シリ
カ、結晶型シリカ、合成アルミナシリカ等の無機顔料;
及びポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、尿素ホルマリン
樹脂等の有機顔料を挙げることができる。顔料の添加量
としては、疎水性ポリマー中に5〜60重量%が適当であ
り、好ましくは8〜30重量%、より好ましくは14〜30重
量%である。上記塗布層を設ける方法としては、押しだ
しコート法、ディップコート法、エアーナイフコート
法、カーテンコート法、ローラーコート法、ドクターコ
ート法、グラビアコート法等を用いることができる。な
お、紙支持体の平滑性を向上させる目的で、塗布時ある
いは塗布後、グロスキャレンダーまたはスーパーキャレ
ンダーのようなキャレンダー処理を実施することが好ま
しい。
【0065】次に本発明のハロゲン化銀乳剤について詳
細に説明する。本発明のハロゲン化銀乳剤は塩化銀含有
率が90モル%以上のいわゆる高塩化銀乳剤が好ましく、
さらには該ハロゲン化銀粒子の少なくとも1ケ所の粒子
頂点の近傍に臭化銀冨有領域を有し、粒子表面の平均臭
化銀含有率が15モル%以下であることが好ましい。ここ
で「頂点の近傍」とは、好ましくは投影された立方体や
立方体に準ずる正常晶塩臭化銀粒子の面積と同一面積の
円の直径の約 1/3 (より好ましくは1/5 )の長さを一辺
とし、粒子の頂点(立方体もしくは立方体とみなした正
常晶粒子の稜の交点)をその一つの角とする正方形の面
積内である。臭化銀冨有領域をもった塩臭化銀粒子の同
一乳剤層中に含まれる全ハロゲン化銀粒子に対する含有
率は70モル%以上が好ましい。
【0066】本発明の乳剤をつくるのに用いられるホス
トハロゲン化銀結晶は実質的に(100)面をもつ立方
体または14面体の結晶粒子(これらは角が丸みを帯
び、さらに高次の面を有していてもよい)であり、ハロ
ゲン組成は沃化銀を2モル%以下含有するか、または含
まない塩化銀含有率90モル%以上の塩臭化銀または塩化
銀であり、好ましくは95モル%以上、特に好ましくは少
なくとも99モル%の塩化銀を含むハロゲン化銀または純
塩化銀結晶である。ホストハロゲン化銀粒子の平均粒径
は好ましくは 0.2μm〜2μmでその分布状態は単分散
であるのが好ましい。本発明に関する単分散乳剤とは、
ハロゲン化銀粒子の粒径に関する変動係数(S/r)
が、0.25以下の粒径分布を有する乳剤である。ここでr
は平均粒径、Sは粒径に関する標準偏差である。すなわ
ち個々の乳剤粒子の粒径がriであり、その数がniで
あるとき、平均粒径rは r=(Σni・ri)/(Σni) で定義され、その標準偏差Sは S=[{Σ(r−ri)2 ・ni}/{Σni}]1/2 と定義される。
【0067】本発明でいう粒子径とは、ハロゲン化銀乳
剤をT.H.Jamsら著「The Theory ofthe Photographic Pr
ocess」第3版 36〜39頁、マクミラン社発行(1966
年)に記載されているような当業界でよく知られた方法
(通常は電子顕微鏡撮影)で微小撮影した場合に投影さ
れた面積に相当した投影面積相当直径である。ここでハ
ロゲン化銀粒子の投影面積相当直径とは上述の著書に示
されているようにハロゲン化銀粒子の投影面積と等しい
面積を持つ円の直径で定義される。従って、ハロゲン化
銀粒子の形状が球状以外(例えば立方体、8面体、14
面体、平板状、ジャガイモ状など)の場合も上述のよう
に平均粒径rおよびその偏差Sを求めることが可能であ
る。ハロゲン化銀粒子の粒径に関する変動係数は0.25以
下であるが、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.15
以下、最も好ましくは0.10以下である。
【0068】次に、前記ホストハロゲン化銀粒子に対
し、臭素イオンもしくは高臭化銀微粒子を供給して、ホ
ストハロゲン化銀粒子の表面に、より臭化銀に富んだ新
しいハロゲン化銀相を析出させる。この過程は、臭素イ
オンによるものはホストハロゲン化銀粒子表面のハロゲ
ンイオンとの交換反応により、いわゆる「ハロゲンコン
バージョン」と呼ばれる過程で進行する。もう一方の高
臭化銀微粒子による過程は、ホストハロゲン化銀粒子と
高臭化銀粒子との間における、より安定な組成の結晶を
作ろうとする反応により進行し、コンバージョン反応と
は分けて考えられる内容のものである。これらのような
異なった2種の反応でありながら、どちらの反応もホス
ト粒子の頂点近傍を、より臭化銀に富んだ新しい相の形
成場所として選択する効果は同様に得ることができる。
【0069】潜像または現像核が集中して非常な高感度
を得る目的を、より効果的に達成するためにハロゲンコ
ンバージョンの開始を抑制または阻止する化合物(CR
化合物)を用いることができる。CR化合物とは、一般
に特定結晶面に選択的に吸着することによって、該化合
物が吸着しない場合にくらべてハロゲンコンバージョン
と再結晶化の開始を遅らせるか、あるいは全く阻止する
ように機能する物質であり、本発明では特に(100)
面に主として(選択的に)吸着し、その(100)面上
でのコンバージョンと再結晶化の開始を抑制するように
働く物質である。本発明に用いられるCR化合物として
は、シアニン色素、メロシアニン色素、メルカプトアゾ
ール類(その具体例としては、欧州特許EP 0273430号に
詳しく述べられている一般式(XXI)、(XXII)、
(XXIII)で表される化合物など)、核酸分解物(例え
ばデオキシリボ核酸やリボ核酸の分解途中の生成物やア
デニン、グアニン、ウラシル、シトシル、チミンなど)
を挙げることができる。特に下記の一般式[Is]、
[IIs]または IIIs で表される化合物が好ましい。
【0070】
【化31】
【0071】式中、Z101 とZ102 はそれぞれ複素環核
を形成するに必要な原子団を表す。複素環核としては、
複素原子として窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン
原子またはテルル原子を含む5〜6員環核(これらの環
にはさらに縮合環が結合していてもよく、またさらに置
換基が結合していてもよい)が好ましい。前記の複素環
核の具体例としては、チアゾール核、ベンゾチアゾール
核、ナフトチアゾール核、セレナゾール核、オキサゾー
ル核、ベンゾオキサゾール核、ナフトオキサゾール核、
イミダゾール核、ナフトイミダゾール核、4−キノリン
核、ピロリン核、ピリジン核、テトラゾール核、インド
レニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、テル
ラゾール核、ベンゾテルラゾール核、ナフトテルラゾー
ル核などを挙げることができる。
【0072】R101 とR102 はそれぞれアルキル基、ア
ルケニル基、アルキニル基またはアラルキル基を表す。
これらの基および以下に述べる基はそれぞれその置換体
を含む意味で用いられている。例えばアルキル基を例に
して述べると、無置換および置換アルキル基を含み、こ
れらの基は直鎖でも分岐でもあるいは環状でもよい。ア
ルキル基の炭素数は好ましくは1〜8である。また置換
アルキル基の置換基の具体例としては、ハロゲン原子
(塩素、臭素、弗素など)、シアノ基、アルコキシ基、
置換または無置換アミノ基、カルボン酸基、スルホン酸
基、水酸基などを挙げることができ、これらの1個でま
たは複数が組み合って置換していてもよい。アルケニル
基の具体例としては、ビニルメチル基を挙げることがで
きる。アラルキル基の具体例としては、ベンジル基やフ
ェネチル基を挙げることができる。
【0073】m101 は0又は1、2又は3の整数を表
す。m101 が1を表す場合は、R103 は水素原子、低級
アルキル基、アラルキル基、アリール基を表す。前記の
アリール基の具体例としては、置換または無置換フェニ
ル基を挙げることができる。R104 は水素原子を表す。
101 が2または3を表す場合、R103 は水素原子を表
し、R104 は水素原子、低級アルキル基、アラルキル基
を表すほかR102 と連結して5員〜6員環を形成するこ
とができる。またm101 が2または3を表し、R104
水素原子を表す場合、R103 は他のR103 と連結して炭
化水素環又は複素環を形成してもよい。これらの環は5
〜6員環が好ましい。j101 、k101 は0または1を表
し、X101 - は酸アニオンを表しn101 は0または1を
表す。
【0074】
【化32】
【0075】式中、Z201 、Z202 は前述Z101 又はZ
102 と同義である。R201 、R202 はR101 またはR
102 と同義であり、R203 はアルキル、アルケニル、ア
ルキニルまたはアリール基(置換または無置換フェニル
基など)を表す。m201 は0、1または2を表す。R
204 は水素原子、低級アルキル基、アリール基を表すほ
か、m201 が2を表す場合R204 とR204 が連結して炭
化水素環または複素環を形成してもよい。これらの環は
5〜6員環が好ましい。Q201 は硫黄原子、酸素原子、
セレン原子又は>N−R205 を表し、R205 はR203
同義である。j201 、k201 、X201 - 及びn201 はそ
れぞれj101 、k101 、X101 - 及びn101 と同義であ
る。
【0076】
【化33】
【0077】式中、Z301 は複素環を形成するに必要な
原子団を表す。この複素環としては、Z101 やZ102
関して述べたものおよびその他の具体例としてはチアゾ
リジン、チアゾリン、ベンゾチアゾリン、ナフトチアゾ
リン、セレナゾリジン、セレナゾリン、ベンゾセレナゾ
リン、ナフトセレナゾリン、ベンゾオキサゾリン、ナフ
トオキサゾリン、ジヒドロピリジン、ベンズイミダゾリ
ン、ナフトイミダゾリン等の核を挙げることができる。
301 はQ201 と同義である。R301 はR101 またはR
102 と、R302 はR203 と同義である。m301 はm201
と同義である。R303 はR204 と同義のほか、m301
2又は3を表す時はR303 と他のR303 が連結して炭化
水素環または複素環を形成してもよい。j301 はj101
と同義である。
【0078】CR化合物はホスト粒子より臭化銀に富ん
だ新しい相の初めの形成場所の選択性を高めることのほ
かに、最初に形成された前記の新しい相がさらにホスト
粒子の表面と再結晶化を繰り返してホスト粒子の表面全
体を均一な新しい層とするような反応を行なうことを防
止し、ホスト粒子の頂点部近傍に限定されてエピタキシ
ャルに成長した「より臭化銀に富んだ新しい相」を形成
・保持することを促進する。そしてこの場所に限定され
た新しい相の形成によって、非常な高感化が達成され
る。この高感化は同時に圧力減感を与えやすくなる。圧
力減感とは、感光材料において露光前に圧力が印加され
ると、その部分の感度が低下する現象であるが、ホスト
粒子より臭化銀に富んだ新しい相の臭化銀含有率が高ま
ると悪化する傾向にあり、この相の臭化銀含有率はホス
ト粒子より高くかつ90モル%以下であることが好まし
い。より好ましくは60モル%以下である。
【0079】本発明におけるハロゲン化銀粒子は、同一
乳剤中に平均値として塩化銀を90モル%以上含有し、
ホスト粒子の頂点近傍にホスト粒子に比べて、より臭化
銀に富んだ新しい相がエピタキシャルに成長したもので
あり、新しい相とホスト粒子との間には緩やかなハロゲ
ン組成の遷移領域を有することがある。このような粒子
の構造は、種々の分析方法によって観察される。先ず電
子顕微鏡による観察では粒子の形態変化により粒子の頂
点近傍に新しい相が接合されていることが観察される。
また、X線回折法によってホスト粒子と新しい相のハロ
ゲン組成を求めることができる。表面の平均ハロゲン組
成については、XPS(X-ray Photoelectron Spectros
copy)法により、例えば島津−du Pont 社製ESCA750 型
分光器を用いて測定できる。この測定法について具体的
には染野・安盛井著「表面分析」講談社(1977年発行)
に記載されている。X線回折法によりホスト粒子と、新
しい相のハロゲン組成を知り、XPS法により表面の平
均ハロゲン組成を知ることで、ホスト粒子より臭化銀に
富んだ新しい相が全表面のどの程度の割合を占めている
かを、おおよそ推定できる。また、ホスト粒子より臭化
銀に富んだ新しい相の存在位置を特定したり、それが粒
子の頂点近傍でどの程度の割合を占めているかを測るた
めには、前記電子顕微鏡の観察による方法の他に、ED
X(Energy Dispersive X-ray analysis)法により、透
過型電子顕微鏡に装備したEDXスペクトロメーターを
用いて測定できる。この測定法について具体的には、副
島啓義著「電子線マイクロアナリシス」日刊工業新聞社
(1987年発行)に記載されている。本発明における新し
い相は、ホスト粒子の頂点近傍に局在することが好まし
く、表面の平均ハロゲン組成は臭化銀が15モル%以下で
あることが好ましく、10モル%以下であることがより好
ましい。表面の平均臭化銀含有率が高まることは、新し
い相の頂点近傍への局在度が低下することを意味し、同
時に感度の低下をもたらす。本発明の好ましい製造法に
おいて、形成された新しい相はホスト粒子のコーナー部
にエピタキシャルに接合・成長した形をしていることが
電子顕微鏡によって観察されている。
【0080】本発明に用いる微粒子高臭化銀乳剤の好ま
しい粒子サイズはホスト粒子のサイズやハロゲン組成に
よって変わりうるが、0.3 μm以下のものが通常用いら
れる。より好ましくは 0.1μm以下のものである。微粒
子高臭化銀乳剤のハロゲン組成は、ホスト粒子より臭化
銀含有量の高いことが必須であり、50モル%以上の臭化
物濃度であることが好ましい。より好ましくは70モル%
以上の臭化物を含むことが望まれる。微粒子高臭化銀乳
剤には必要により沃化物を含むことも可能である。また
イリジウム、ロジウム、白金などの重金属のイオンまた
は化合物を含ませることも可能である。微粒子高臭化銀
乳剤は、ホストのハロゲン化銀に対して銀量で50%から
0.1 %の範囲で混合される。より好ましくは 0.2〜20
%、特に好ましくは 0.2〜8%の範囲で用いられる。混
合される温度は30℃〜80℃の間で自由に選べる。本発明
の塩臭化銀乳剤は潜像または現像中心が集中されてお
り、非常に高い感度が達成され、かつ迅速現像性をそこ
なうことなくカブリを抑えたものとできる。また階調が
硬く、かつ圧力減感が少ないという利点がある。
【0081】本発明におけるCR化合物は、増感色素の
中から選択できる。特に(100)面にとって有用なC
R化合物は、前記の一般式 Is 、 IIs 又は III
sによって表される化合物の中から選択でき、これは増
感色素としても機能させることができるため、分光感度
の高感化にも有用である。特に表面の部分的再結晶化に
より分光感度の安定性も増すことができる。またさらな
る高感化と安定化を目的として他の増感色素と組み合わ
せてもよく、さらに強色増感剤と組み合わせて用いるこ
ともできる。例えば、含窒素異節環核基であって置換さ
れたアミノスチルベンゼン化合物(例えば特開昭62-174
738 号公報に記載の一般式(I)の化合物、特に具体的
化合物例(I−1)〜(I−17)などや、米国特許第
2,933,390 号、同3,635,721 号に記載のもの)、芳香族
有機酸ホルムアルデヒド縮合物(例えば米国特許第3,74
3,510 号に記載のもの)、カドミウム塩、アザインデン
化合物などを含んでもよい。米国特許第3,615,613 号、
同3,615,641 号、同3,617,295 号、同3,635,721 号に記
載の組合せは特に有用である。一般式 Is 、IIs
及び IIIs で表されるCR化合物の具体的化合物例
は、前記の欧州特許EP 0273430号に記載のCR-1〜55を挙
げることができる。本発明に用いられる臭化銀冨有領域
を有する高塩化銀粒子中には、その乳剤粒子形成もしく
は物理熟成の過程において種々の多価金属イオン不純物
を導入することができる。使用する化合物の例として
は、カドミウム、亜鉛、鉛、銅、タリウムなどの塩、あ
るいは第 族元素である鉄、ルテニウム、ロジウム、パ
ラジウム、白金などの塩もしくは錯塩を挙げることがで
きる。特に上記第VIII族元素は好ましく用いることがで
きる。本発明において最も好ましく用いられる多価金属
イオンは銀1モルあたりイリジウム化合物を10-8〜1
-5モルさらに鉄化合物を10-9〜10-4モル含むの
が、本発明の効果を一層高めるうえで好ましい。
【0082】本発明において一般式(AO)で示される
基を有するエポキシ化合物を用いることは、イエロー色
像の堅牢性向上、及び色再現性の改良に関して顕著な効
果を及ぼした。しかしながら、感光材料の長期生保存時
に低感化あるいはカブリの上昇を伴うという問題が生じ
た。この原因を調べるために種々の考えられる要因を検
討したところ、イエロー発色乳剤層に含有されるカプラ
ーやオイルなどの非親水性成分とゼラチンなどの親水性
成分との重量比を本発明により定められた値の範囲に設
定することにより、明かな改良効果を得た。また、本発
明による方法で紙支持体の原紙のpHを5〜9に設定す
ることにより、上記の改良効果は格段に大きくなり、ほ
ぼ上記の問題について実用上満足できるだけの性能まで
達することができた。また、本発明において好ましく使
用される、塩化銀含有率90モル%以上の高塩化銀乳
剤、特に粒子頂点の近傍に臭化銀冨有領域を有する乳剤
(頂点型の乳剤と呼ぶ)を各乳剤層に適用した場合、本
発明の改良効果はなお一層優れたものになることを見い
だした。この乳剤は他のマゼンタあるいはシアンカプラ
ー含有乳剤層にさらに適用することが、迅速処理性ある
いは色再現性の改善を図る上で好ましい。
【0083】本発明に用いられるハロゲン化銀として
は、塩化銀、臭化銀、(沃)塩臭化銀、沃臭化銀などを
用いることができるが、特に迅速処理の目的には沃化銀
を実質的に含まない塩化銀含有率が90モル%以上、更
には95%以上、特に98%以上の塩臭化銀または塩化
銀乳剤の使用が好ましい。
【0084】本発明に係わる感光材料には、画像のシャ
ープネス等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧
州特許EP 0,337,490A2号の第27〜76頁に記載の、処理に
より脱色可能な染料(なかでもオキソノール系染料)を
該感光材料の680 nmに於ける光学反射濃度が0.70以上に
なるように添加したり、支持体の耐水性樹脂層中に2〜
4価のアルコール類(例えばトリメチロールエタン)等
で表面処理された酸化チタンを12重量%以上(より好ま
しくは14重量%以上)含有させるのが好ましい。
【0085】本発明に用いうるシアン、マゼンタ、イエ
ローカプラー等の写真添加剤用高沸点有機溶媒は、融点
が 100℃以下、沸点が 140℃以上の水と非混和性の化合
物で、カプラーの良溶媒であれば使用できる。高沸点有
機溶媒の融点は好ましくは80℃以下である。高沸点有機
溶媒の沸点は、好ましくは 160℃以上であり、より好ま
しくは 170℃以上である。
【0086】これらの高沸点有機溶媒の詳細について
は、特開昭62-215272 号公報の第137頁右下欄〜144 頁
右上欄に記載されている。
【0087】また、シアン、マゼンタまたはイエローカ
プラーは前記の高沸点有機溶媒の存在下でまたは不存在
下でローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第
4,203,716 号)に含浸させて、または水不溶性且つ有機
溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド
水溶液に乳化分散させる事ができる。
【0088】好ましくは米国特許4,857,449 号及び国際
公開WO88/00723号明細書の第12頁〜30頁に記載の単独重
合体または共重合体が用いられ、より好ましくはメタク
リレート系あるいはアクリルアミド系ポリマー、特にア
クリルアミド系ポリマーの使用が色像安定化等の上で好
ましい。
【0089】また、本発明に係わる感光材料には、カプ
ラーと共に欧州特許EP 0,277,589A2号に記載のような色
像保存性改良化合物を使用するのが好ましい。特にピラ
ゾロアゾールカプラーとの併用が好ましい。
【0090】即ち、発色現像処理後に残存する芳香族ア
ミン系現像主薬と化学結合して、化学的に不活性でかつ
実質的に無色の化合物を生成する化合物(F)および/
または発色現像処理後に残存する芳香族アミン系発色現
像主薬の酸化体と化学結合して、化学的に不活性でかつ
実質的に無色の化合物を生成する化合物(G)を同時ま
たは単独に用いることが、例えば処理後の保存における
膜中残存発色現像主薬ないしその酸化体とカプラーの反
応による発色色素生成によるステイン発生その他の副作
用を防止する上で好ましい。
【0091】また、本発明に係わる感光材料には、親水
性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や
細菌を防ぐために、特開昭63-271247号に記載のような
防黴剤を添加するのが好ましい。
【0092】また、本発明に係わる感光材料に用いられ
る支持体としては、ディスプレイ用に白色ポリエステル
系支持体または白色顔料を含む層がハロゲン化銀乳剤層
を有する側の支持体上に設けられた支持体を用いてもよ
い。更に鮮鋭性を改良するために、アンチハレーション
層を支持体のハロゲン化銀乳剤層塗布側または裏面に塗
設するのが好ましい。特に反射光でも透過光でもディス
プレイが観賞できるように、支持体の透過濃度を0.35〜
0.8 の範囲に設定するのが好ましい。
【0093】本発明に係わる感光材料は可視光で露光さ
れても赤外光で露光されてもよい。露光方法としては低
照度露光でも高照度短時間露光でもよく、特に後者の場
合には一画素当りの露光時間が10-4秒より短いレーザ
ー走査露光方式が好ましい。
【0094】また、露光に際して、米国特許第4,880,72
6 号に記載のバンド・ストップフイルターを用いるのが
好ましい。これによって光混色が取り除かれ、色再現性
が著しく向上する。
【0095】露光済みの感光材料は慣用の白黒またはカ
ラー現像処理が施されうるが、カラー感光材料の場合に
は迅速処理の目的からカラー現像の後、漂白定着処理す
るのが好ましい。特に前記高塩化銀乳剤が用いられる場
合には、漂白定着液のpHは脱銀促進等の目的から約
6.5以下が好ましく、更に約6以下が好ましい。
【0096】本発明に係わる感光材料に適用されるハロ
ゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)および写真
構成層(層配置など)、並びにこの感材を処理するため
に適用される処理法や処理用添加剤としては、下記の特
許公報、特に欧州特許EP 0,355,660A2号(特開平2-1395
44号)に記載されているものが好ましく用いられる。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】また、シアンカプラーとして、特開平2-33
144 号に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラ
ーの他に、欧州特許EP 0,333,185A2号に記載の3−ヒド
ロキシピリジン系シアンカプラー(中でも具体例として
列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基
をもたせて2当量化したものや、カプラー(6) や(9)が
特に好ましい)や特開昭64-32260号に記載された環状活
性メチレン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙
されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)の使用も
好ましい。
【0102】また、塩化銀含有率が90モル%以上の高塩
化銀乳剤を使用するハロゲン化銀カラー感光材料の処理
方法としては、特開平2-207250号の第27頁左上欄〜34頁
右上欄に記載の方法が好ましく適用される。
【0103】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されることはない。 (乳剤の調製)石灰処理ゼラチンの3%水溶液に塩化ナ
トリウム 3.3gを加え、N,N’−ジメチルイミダゾリ
ジン−2−チオン(1%水溶液)を3.2 ml添加した。こ
の水溶液に硝酸銀を 0.2モル含む水溶液と、塩化ナトリ
ウム0.15モル及び臭化カリウム0.05モルを含む水溶液と
を激しく攪拌しながら66℃で添加混合した。続いて、硝
酸銀を0.80モル含む水溶液と、塩化ナトリウム0.60モル
及び臭化カリウム0.20モルを含む水溶液とを激しく攪拌
しながら66℃で添加、混合した。硝酸銀水溶液とハロゲ
ン化アルカリ水溶液の添加が終了した後、40℃に降温し
脱塩および水洗を施した。更に石灰処理ゼラチン90.0g
を加え、塩化ナトリウムを用いてpAgを7.2 に調整し
た後、表5の青感性増感色素60.0mg及びトリエチルチオ
尿素4.0 mgを加えて50℃で最適に化学増感を施した。こ
のようにして得られた塩臭化銀乳剤を乳剤Aとした。
【0104】次に、石灰処理ゼラチンの3%水溶液に塩
化ナトリウム3.3gを加え、N,N’−ジメチルイミダゾ
リジン−2−チオン(1%水溶液)を3.2 ml添加した。
この水溶液に硝酸銀を 0.2モル含む水溶液と、塩化ナト
リウム 0.2モルを含む水溶液とを激しく攪拌しながら66
℃で添加混合した。続いて、硝酸銀を0.78モル含む水溶
液と、塩化ナトリウム0.78モルを含む水溶液とを激しく
攪拌しながら66℃で添加、混合した。硝酸銀水溶液とハ
ロゲン化アルカリ水溶液の添加が終了した後、40℃に降
温し脱塩および水洗を施した。さらに石灰処理ゼラチン
90.0gを加え、塩化ナトリウムを用いてpAgを7.2 に
調整した後、乳剤Aと同じ青感性増感色素60.0mgおよび
トリエチルチオ尿素4.0mgを加えて50℃で最適に化学増
感を施した。このようにして得られた塩化銀乳剤を乳剤
Bとした。
【0105】次に、石灰処理ゼラチンの3%水溶液に塩
化ナトリウム3.3gを加え、N,N’−ジメチルイミダゾ
リジン−2−チオン(1%水溶液)を3.2 ml添加した。
この水溶液に硝酸銀を 0.2モル含む水溶液と、塩化ナト
リウム 0.2モルを含む水溶液とを激しく攪拌しながら66
℃で添加混合した。続いて、硝酸銀を0.78モル含む水溶
液と、塩化ナトリウム0.78モルを含む水溶液とを激しく
攪拌しながら66℃で添加、混合した。硝酸銀水溶液とハ
ロゲン化アルカリ水溶液の添加が終了した1分後に、乳
剤Aと同じ青感性増感色素60.0mgを加えた。56℃で10分
間保った後、40℃に降温し脱塩および水洗を施した。さ
らに石灰処理ゼラチン90.0gを加え50℃にて溶解させた
後、塩臭化銀微粒子乳剤(臭化銀含有率75モル%、銀量
0.02モル、平均粒子サイズ0.05μm)を加え約20分おい
た後、塩化ナトリウムを用いてpAgを7.2 に調整し、
トリエチルチオ尿素4.0 mgを加えて50℃で最適に化学増
感を施した。このようにして得られた塩臭化銀乳剤(臭
化銀含有率 1.5モル%)を乳剤Cとした。
【0106】次に、石灰処理ゼラチンの3%水溶液に塩
化ナトリウム3.3gを加え、N,N’−ジメチルイミダゾ
リジン−2−チオン(1%水溶液)を3.2 ml添加した。
この水溶液に硝酸銀を 0.2モル含む水溶液と、塩化ナト
リウム 0.2モルを含む水溶液とを激しく攪拌しながら66
℃で添加混合した。続いて、硝酸銀を0.78モル含む水溶
液と、塩化ナトリウム0.78モルおよびフェロシアン化カ
リウム4.2 mgを含む水溶液とを激しく攪拌しながら66℃
で添加、混合した。硝酸銀水溶液とハロゲン化アルカリ
水溶液の添加が終了した1分後に、乳剤Aと同じ青感性
増感色素60.0mgを加えた。56℃で10分間保った後、40℃
に降温し脱塩および水洗を施した。さらに石灰処理ゼラ
チン90.0gを加え50℃にて溶解させた後、塩臭化銀微粒
子乳剤(臭化銀含有率75モル%、銀量0.02モル、平均粒
子サイズ0.05μm、イリジウムイオンをヘキサクロロイ
リジウム(VI)酸カリウム相当で0.91mg含む)を加え約
20分おいた後、塩化ナトリウムを用いてpAgを7.2 に
調整し、トリエチルチオ尿素4.0 mgを加えて50℃で最
適に化学増感を施した。このようにして得られた塩臭化
銀乳剤(臭化銀含有率 1.5モル%)を乳剤Dとした。
【0107】こうして得られたAからDまでのハロゲン
化銀乳剤について、電子顕微鏡写真から粒子の形状、粒
子サイズおよび粒子サイズ分布を求めた。これらのハロ
ゲン化銀粒子はいずれも立方体であり、粒子サイズは0.
72μm変動係数は0.08であった。粒子サイズは粒子の投
影面積と等価な円の直径の平均値を以て表し、粒子サイ
ズ分布は粒子サイズの標準偏差を平均粒子サイズで割っ
た値を用いた。次いで、ハロゲン化銀結晶からのX線回
折を測定することにより、乳剤粒子のハロゲン組成を決
定した。単色化された CuKα線を線源とし (200)面から
の回折角度を詳細に測定した。ハロゲン組成が均一な結
晶からの回折線は単一なピークを与えるのに対し、組成
の異なる局在相を有する結晶からの回折線はそれらの組
成に対応した複数のピークを与える。測定されたピーク
の回折角度から格子定数を算出することで、結晶を構成
するハロゲン化銀のハロゲン組成を決定することができ
る。またXPS法により乳剤粒子表面の平均臭化銀含有
率を測定した。その結果、乳剤Aのハロゲン組成は塩化
銀含有率75%均一粒子であり表面の臭化銀含有率は25%
であった。乳剤Bのハロゲン組成はAgClの 100%均
一粒子であり表面の臭化銀含有率は0%であった。また
乳剤C、Dは共にAgClが 100%の主ピークの他に臭
化銀30%に中心を持ち臭化銀40%の辺りまで裾をひいた
ブロードな回折パターンを観察することができた。また
表面の平均臭化銀含有率はいずれも3%であった。
【0108】(紙支持体の作成)LBKP70部とLBS
P30部の木材パルプをディスクリファイナーを用いてC
SF290 ccに叩解し、中性サイズ剤としてアルキルケテ
ンダイマー(ディックハーキュレス社製、アコーペル12
) 1.0部、アニオンポリアクリルアミド(荒川化学工業
社製ポリストロン194-7 ) 1.0部、カチオンポリアクリ
ルアミド(荒川化学工業社製ポリストロン705 ) 0.5
部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(ディッ
クハーキュレス社製、カイメン557 ) 0.3部をいずれも
パルプに対する絶乾重量比で添加した。次いで長網抄紙
機を用いて、坪量 170g/m2 、厚さ165 μmの原紙に
抄造した。以上のようにして作成した原紙を(A)とす
る。原紙(A)のpH値をJIS-P-8133の熱水抽出法によ
り測定したところ、6.4 であった。原紙(A)と同一の
叩解パルプに中性サイズ剤としてエポキシ化脂肪酸アミ
ド(近代化学工業社製、NS-715) 0.6部、アニオンポリ
アクリルアミド(荒川化学工業社製ポリストロン194-7
) 1.2部、硫酸アルミニウム 1.0部、NaOH 0.9
部、カチオン化でんぷん 1.0部をいずれもパルプに対す
る絶乾重量比で添加した。次いで原紙(A)と同様にし
て坪量 170g/m2 、厚さ 165μmの原紙(B)を抄造
した。原紙(B)のpH値は 7.3であった。次いで原紙
(A)と同一の叩解パルプを用い、ステアリン酸ナトリ
ウム 1.0部、アニオンポリアクリルアミド(荒川化学工
業社製、ポリストロン194-7 ) 1.0部、硫酸アルミニウ
ム 1.5部をいずれもパルプに対する絶乾重量比で添加し
た。次いで原紙(A)と同様にして、坪量 170g/
2 、厚さ 166μmの原紙を抄造し、原紙(C)とし
た。熱水抽出法によるpH値は 3.8であった。原紙
(C)の硫酸アルミニウム添加後、アルミン酸ナトリウ
ムを 0.5部添加した以外は原紙(C)と同様にして原紙
(D)を作成した。熱水抽出法によるpH値は 4.7であ
った。
【0109】上記原紙(A)〜(D)それぞれの表面
(感光材料を塗布する面)に10重量%の酸化チタンを含
有する密度0.94/cm2のポリエチレンを35μmの厚さで
押しだしコーティングし、紙支持体(A)〜(D)を作
成した。
【0110】(感光材料の作成)前記のように作成した
紙支持体(A)の表面にコロナ放電処理を施した後、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下
塗り層を設け、更に種々の写真構成層を塗布して以下に
示す層構成の多層カラー印画紙を作製した。塗布液は以
下のようにして調製した。 第一層塗布液調製 イエローカプラー(ExY)153.0g、色像安定剤(Cpd-1)15.
0g、色像安定剤(Cpd-2)7.5gを、溶媒(Solv-2)25.0g、
溶媒(Solv-2)25.0gおよび酢酸エチル180 ccに溶解し、
この溶液を10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
60ccおよびクエン酸10gを含む10%ゼラチン水溶液1000
gに乳化分散させて乳化分散物Aを調製した。一方、前
記塩臭化銀乳剤(A)を調製し、この乳化分散物Aと混
合溶解し、以下に示す組成となるように第一層塗布液を
調製した。
【0111】第二層から第七層の塗布液も第一層塗布液
と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤として
は、1−オキシ−3,5 −ジクロロ−s−トリアジンナト
リウム塩を用いた。また、各層にCpd-15とCpd-16をそれ
ぞれ全量が25.0mg/m2 と50.0mg/m2 となるように添
加した。各感光性乳剤層には下記の分光増感色素をそれ
ぞれ用いた。
【0112】
【表5】
【0113】
【表6】
【0114】
【表7】
【0115】また青感性乳剤層、緑感性乳剤層、赤感性
乳剤層に対して、1-(5-メチルウレイドフェニル)-5-メ
ルカプトテトラゾールをそれぞれハロゲン化銀1モル当
たり8.5 ×10-5モル、7.7 ×10-4モル、2.5 ×10-4モル
添加した。また、青感性乳剤層と緑感性乳剤層に対し、
4-ヒドロキシ-6- メチル-1,3,3a,7-テトラザインデンを
それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10-4モルと2
×10-4モル添加した。イラジエーション防止のために乳
剤層に下記の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加し
た。
【0116】
【化34】
【0117】(層構成)以下に各層の組成を示す。数字
は塗布量(g/m2 )を表す。ハロゲン化銀乳剤は銀換
算塗布量を表す。
【0118】
【表8】
【0119】
【表9】
【0120】
【表10】
【0121】
【表11】
【0122】
【化35】
【0123】
【化36】
【0124】
【化37】
【0125】
【化38】
【0126】
【化39】
【0127】
【化40】
【0128】
【化41】
【0129】以上の層構成に基づき、第一層(青感性乳
剤層)の乳剤、エポキシ化合物、非親水性成分/親水性
成分の比、さらに第三層(緑感性乳剤層)のマゼンタカ
プラーを表12のとおりに変更した試料101〜120
を作製した。
【0130】
【表12】
【0131】表12に於ける比較化合物ExA、ExM
は、下記の通りである。
【0132】
【化42】
【0133】各試料に感光計(富士写真フィルム株式会
社製、FWH型、光源の色温度3200°K)を使用し、セン
シトメトリー用3色分解フィルター(同社製SP-1,SP-2,
SP-3)の階調露光を与えた。この時の露光は 0.1秒の露
光時間で250CMSの露光量になるように行なった。露光の
終了した試料は、ペーパー処理機を用いて、下記処理工
程および処理組成の液を使用し、カラー現像のタンク容
量の2倍補充するまで連続処理(ランニングテスト)を
実施した。
【0134】
【表13】
【0135】各処理液の組成は以下の通りである。
【0136】
【表14】
【0137】
【表15】
【0138】処理を終了した試料はB、G、R各色の反
射濃度を測定し、その特性曲線をそれぞれ得た。この特
性曲線から、最小濃度(Dmin)+0.5の濃度が得られる露
光量の逆数の対数値を求めこれを感度とし、青感性層に
ついて試料101の感度を基準にとって各試料との差で
示した。+値は高感、−値は低感であることを表す。ま
た、別途上述の処理を実施して得られた試料を用い、60
℃、70%RHの暗条件下に6カ月間試料を保存して、青
フィルター露光部(黄色濃度)の初濃度DB=2.0 から
の濃度低下ΔDB、およびDB =2.0 における緑フィル
タ濃度の変化ΔDG (黄色中のマゼンタ混色量)を測定
した。また、カラーチェッカー(マクベス社製)を撮影
したネガフィルムからグレー部の色調を合わせて各試料
にプリントし、各色相における色再現性を官能評価し
た。鮮やかなものを○、それより明らかに劣るものを
△、最も鮮やかなものを◎と表示した。さらに、作成し
た試料の露光処理前の長期生保存性を、試料作成後25
℃、55%の保存条件下において3カ月経過した後の感度
変化を、前述と同様の感度値で示した。これらの結果を
まとめて表16に示す。
【0139】
【表16】
【0140】この結果によれば、本発明のエポキシ化合
物を用いることによりイエロー色像の堅牢性を高めると
同時に、イエロー画像中のマゼンタ混色を減少させ、色
像保存性と色再現性において本発明の試料は優れている
ことが判る。しかし、酸性紙支持体を用いた比較試料1
06〜109に見られるように、生試料を長期保存した
後の感度変化についてはかなり劣ることがわかる。この
点において本発明による中性紙支持体、非親水性成分比
を同時に組み合わせた試料110、112〜114及び
116〜120は、予想外にこれらの問題を一挙に解決
した。特に、塩化銀含有率90モル%以上でかつ頂点
現像型の高塩化銀乳剤C、Dを使用した試料117〜1
20は、長期生保存性の改良度が大きく、かつ処理後の
色再現性については最も優れていた。
【0141】
【発明の効果】本発明のハロゲン化銀多層カラー写真感
光材料は、処理後の長期保存における色像堅牢性に優
れ、かつ色再現性に優れた色素画像を形成する。また、
処理前においても生試料の長期保存性が一段と優れたハ
ロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することができ
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙支持体上にイエロー、マゼンタ、シア
    ンの各カプラーのいずれかをそれぞれ含有する三種の感
    光性ハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀多層カラ
    ー写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層の内、
    イエローカプラー含有乳剤層は下記一般式(AO)で示
    される基を有する水難溶性エポキシ化合物の少なくとも
    1種を含有し、該乳剤層において親水性成分に対する非
    親水性成分の重量比が0.90以上1.30以下であ
    り、かつマゼンタカプラー含有乳剤層は一般式(M−I
    I)で示されるマゼンタカプラーの少なくとも一種を含
    有し、該紙支持体の原紙のpHが5以上9以下であるこ
    とを特徴とするハロゲン化銀多層カラー写真感光材料。 【化1】 上記一般式(AO)において、R1 、R2 、R3 、R4
    及びR5 は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素
    原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rは置換基を
    表し、nは0〜4の整数を表す。−Y−は2価の連結基
    を表す。−X−は−O−,−S−または−N(R’)−
    を表す。R’は水素原子、アシル基、アルキルスルホニ
    ル基、アリールスルホニル基、アリール基、ヘテロ環基
    または−C(R6 )(R7 )(R8 )を表す。ここでR
    6 、R7 及びR8 は同一でも異なっていてもよく、それ
    ぞれアルキル基または下記一般式(AO−1)で表され
    る基を示す。R6 及びR7 はさらに水素原子を表す。 【化2】 nが2〜4の時、複数のRは互いに同一でもよく異なっ
    てもよい。またR1 〜R5 のいずれか2個、R’とR又
    は2個のRが互いに結合して5〜7員環を形成してもよ
    い。但し、Xが−S−の時、化合物の炭素数の総和は1
    5以上である。またXが−O−であり、かつ−Y−が−
    SO2 −またはフェニレンであるとき、nは1〜4の整
    数であるか、またはR1 ないしR5 の少なくとも1個は
    アルキル基またはアリール基である。Xが−O−であ
    り、かつYが−O−CO2 −である時、R1 〜R 5 及び
    Rの炭素数の総和は10以上である。 【化3】 式中、R10は水素原子または置換基を表す。Y4 は水素
    原子または離脱基を表す。Za、ZbおよびZcはメチ
    ン、置換メチン、=N−または−NH−を表し、Za−
    Zb結合とZb−Zc結合の内一方は二重結合であり、
    他方は単結合である。Zb−Zc結合が炭素−炭素二重
    結合の場合は、それが芳香環の一部である場合を含む。
    10またはY4 で2量体以上の多量体を形成する場合、
    またZa、ZbあるいはZcが置換メチンであるときは
    その置換メチンで2量体以上の多量体を形成する場合を
    含む。
  2. 【請求項2】 感光性乳剤層に含まれるハロゲン化銀乳
    剤が塩化銀含有率90モル%以上の高塩化銀乳剤である
    ことを特徴とする請求項1記載のハロゲン化銀多層カラ
    ー写真感光材料。
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