JP2683732B2 - フラスコ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、検査用フラスコ、特に、細胞培養および組
織培養用の新規且つ改良したフラスコに関する。 （従来の技術） 培養用のフラスコは様々な目的のため、検査室で広く
使用されている。通常の場合、細胞および組織の培養
は、底部壁を覆う寒天又は培地中で行われる。検査中、
微生物は、フラスコ内で増殖する状態を肉眼で頻発に観
察し、又微生物はスクレーパ、培地はピペツトで頻発に
除去される。 （発明が解決しようとする問題点） 本発明の主な目的は、検査技師が上記の如き操作をよ
り容易且つ効率的に行ない得るようにすることである。
具体的には、本発明の１つの目的は、スクレーパが隅部
を含むフラスコの全底面に届き、微生物を除去し得るフ
ラスコの形状とすることである。 本発明の別の目的は、ピペツトがフラスコのネツク部
から遠方側のフラスコ端壁の四隅に届くようにし、底部
の増殖面を妨害することなく、培地を除去し得るように
することである。 本発明の別の目的は、流体の注出を便宜に行ない得る
ように、フラスコの形状を改良することである。 本発明のさらに別の目的は培地の流出を最小にし得る
ようなフラスコ形状とすることである。 本発明のさらに別の目的は、フラスコ内の特定部分を
位置決めし、識別し、顕微鏡による観察を単純化するこ
とである。 本発明のさらに別の目的は、多数のフラスコで必要と
される棚状空間を減少させることである。 （問題点を解決するための手段） 上記および他の目的を達成するため、本発明のフラス
コは、極めて幅広のネツク部および傾斜部分を備え、ス
クレーパまたはピペツトをそれぞれ、底部および端部壁
の四隅に具合良く届くようにする。フラスコの頂部壁に
は、文字数字式の座標が設けられており、頂部壁から見
た場合、底部壁の特定部分を識別し得るようにしてあ
る。頂部および底部壁には、積重ね用手段が設けてある
ため、同一のフラスコを積重ねることが可能となる。フ
ラスコにはシヨルダ部が設けてあり、注出上極めて都合
よい。 上記および他の目的並びに特徴は、添付図面を参照し
ながら、１実施態様に関する以下の詳細な説明を読むこ
とによつて、一層理解できるであろう。 （実施例） 図面に図示した検査用フラスコは、本体10と、ネツク
部12とおよび着脱可能なネジ式キヤツプ14とを備えてい
る。この実施態様の場合、頂部、底部側部という際に
は、第１図に示した状態のフラスコについて説明する。
しかし、勿論、このフラスコは、この特定の状態にのみ
限定されるものではないことを理解する必要がある。 本体10は、略平行位相にある底部壁16および頂部壁18
を備えている。これら底部壁16および頂部壁18は、側壁
20、22および第１端部壁24、第２端部壁26によつて接続
されている。ネツク部12は、第２端部壁26の中央部分28
と一体に形成されている。第２端部壁26は、それぞれ中
央部分28の両端から側壁20、22まで伸長する末広がり部
分30、32を備えている。頂部壁18は、その全体に亘つて
略平坦である。底部壁16は、その主要長方形部分34全体
に亘つて平坦であり、頂部壁18に対して平行であるが、
底部壁16の残部36は、ネツク部12から底部壁の水平の主
要部分である長方形部分34に至る傾斜面36を形成する。
この傾斜面36は、水平方向に対して約22゜の角度にて形
成されており、端部壁30、32によつて形成される傾斜面
の境界部は、以下に説明する目的のため、相互に90゜の
角度で末広がりとなつている（90゜は、端部壁30、32間
の夾角である）。 第２図および第６図に示すように、ネツク部12には、
線40に沿つて傾斜面36と交差する平坦な下面38が設けら
れている。この下面38の水平に対する角度は、略８゜で
あるため、線40は、２つの異なる傾斜面間の接続部を形
成する。しかし、下面38および傾斜面36共、底部壁16の
長方形部分34に向けて下方に傾斜しているため、下面38
に付着した流体は全て、フラスコ内部に流動し易くな
る。 第６図乃至第８図において、底部壁16の長方形部分34
は、その周辺に沿つて下方に伸長するビード部42を備え
る状態が示してあり、このビード部42は、フラスコに設
けた積重ね手段の一部であり、同一のフラスコをコンパ
クト且つ確実に積重ねることを可能にする。積重ねた状
態は第７図および第８図に示してある。もう一方の積重
ね手段は、頂部壁18の端縁に沿つて設けた上方伸長フラ
ンジ44である。頂部壁18の平面寸法は、底部壁16の該当
寸法より若干大きいため、第７図および第８図に示すよ
うに、フラスコを積重ねた場合、底部壁のビード部42
は、頂部壁のフランジ内に正確に嵌入する。後部壁24に
隣接する頂部壁に設け、底部壁のビード部42を嵌入させ
るのに十分な距離だけ、フランジ44から間隔を置いたり
短リブ46によつて、積重ねた場合のフラスコはさらに安
定する。この特徴は、第７図に示してある。フランジ44
の僅かな中断部48（第１図および第５図参照）は、積重
ねた場合、又は湿つた面に載せた場合に生ずる真空を防
止するためのもので、積重ね手段の作用を妨害すること
はない。 第１図において、側壁22および端部壁26の部分32には
つや消し部分50が図示してある。このつや消し部分は、
検査室で使用する場合、ラベルを貼る広い表面として使
用できる。頂部壁には、側壁22および第２端部壁26に隣
接するフラスコの一方の側部に沿い、またその幅方向に
設けた文字数字式座標が示してある。これら文字および
数字は、表面に成形されており、フラスコ内で増殖する
微生物の位置を識別するための迅速に利用可能な手段を
提供することにより、顕微鏡による観察を簡易化するこ
とができる。 第５図および第７図に示すように、フラスコのネツク
部の外面58には、その開放端60に近接して、非連続のネ
ジ山56が設けられてオネジを形成している。この非連続
のネジ山56は、キヤツプ14の係合ネジ山61と協働するた
め、キヤツプ14は、端面62に対する耐漏洩密封を形成す
る。なお、この耐漏洩密封を形成し得るように、キヤツ
プ64の頂部壁全体にゴムライニング63を設けるようにし
てもよい。 このフラスコは、ポリスチレン等の透明なプラスチツ
ク材料を用いて、２構成要素として射出成形される。フ
ラスコの一方の構成要素は、底部壁16、側壁20、22、端
部壁24、26を一体に形成してなる。他方の構成要素は、
頂部壁18、側壁および端部壁20、22、24、26の頂部縁に
嵌合する短スカート部66、さらに、第１図、第２図およ
び第４図に示すように、ネツク部12の上半分を包囲する
略半円形のカラー70を備えている。カラー70は、両構成
要素を接着、又はその他の方法で相互に密封状態で固着
した場合、頂部壁18およびスカート部60を容器の底部上
に位置決めし易くする作用をする。カラー70は、また、
ネツク部12と第２端部壁26間の接続を補強する作用をす
る。なお、側壁20、22および端部壁24、26には、若干の
抜け勾配が付けてあるため、製造中、金型から容器の下
部を容易に取外すことができる。一方、頂部壁18の表面
は若干広くなり、積重ねた場合、他方のフラスコの底部
壁に対する確実な着座部を提供する。 フラスト、特に、下面38および勾配面36を備えた斜め
のネツク部12の形状から、幾多の利点が得られる。図面
（とくに第７図）において、ネツク部12の開放端におけ
る径は、端部壁26の中央部分28の径より幅広であること
が了知されよう。すなわち、ネック部12は、中央部分28
に接続する部分から開放端に向けて径が大きくなってい
る。この極めて幅広なネツク部は、フラスコ自体の形状
と共に、スクレーパが底部の四隅72、74、76、78の全て
に届くようにし得るものである。また、幅広なネツク部
によつて、ピペツトを端部壁24の四隅74、76、80、82に
届くようにすることができ、第４図に示すように、フラ
スコを縦に立てた場合、底部から培地を除去することが
可能となる。さらに、傾斜角によつて、ボトル内の培地
がネツク部12内に流入する虞れが少なくなる。また、斜
めのネツク部12および傾斜面36によつて、フラスコから
培地を出入れする際の流体の滞留を防止することができ
る。傾斜面36は、また、底部壁16の付着物がネツク部に
流入するのを防止する堰止部としても作用する。さら
に、ネツク角度によつて、所定のフラスコ厚の場合、容
器の積重ね可能性（第７図および第８図参照）を損うこ
となく、ネツク部およびキヤツプ径を最大にすることが
できる。また、フラスコの四隅は全て、丸味が付けられ
ているため、フラスコを通常、包装する滅菌済みラツプ
（図示せず）を傷つけることがないことも注目する必要
がある。 本発明について詳細に説明したから、当業者は、本発
明の精神から逸脱することなく、幾多の変形例を案出す
ることが可能であることを了知し得よう。故に、本発明
の範囲は、図示し且つ説明した特定の実施態様にのみ限
定されるものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範
囲に記載した事項およびその均等物に基づいて判断すべ
きである。

【図面の簡単な説明】 第１図は、本発明に従つて構成した、ネジキヤツプを取
外した検査用フラスコの斜視図、 第２図は、第１図の正面図、 第３図は、第１図の背面図、 第４図は、縦に立てたフラスコの側面図、 第５図および第６図は、それぞれ第１図の平面図および
底面図、 第７図は、キヤツプを取付け、積重ねた２つの同一フラ
スコの側方断面図、および 第８図は、第７図に示した積重ねフラスコの背面図であ
る。 （主要符号の説明） 10……本体、30、32……末広がり部分 12……ネツク部、34……長方形部分 14……ネジ式キヤツプ、36……勾配面 16……底部壁、38……下面 18……頂部壁、42……ビード部 20、22……側壁、44……フランジ 24、26……端部壁、46……短リブ 28……中央部分、48……中断部 50……つや消し部分

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．２つの側壁並びに第１および第２端部壁にそれぞれ
   接続する頂部壁および底部壁を有する本体であって、前
   記底部壁が頂部壁に対して略平行な本体と、 開放する開放端と、第２端部壁のに形成され、該第２端
   部壁の下端に至る大きさを有する孔に接続される他端と
   を備え、該他端から該開放端に向かって上方に傾斜する
   ネック部と、 前記底部壁が該底部壁の前記第２端部壁に隣接する部分
   において、上方に向けて傾斜する傾斜面を備え、 前記ネック部の径が、前記他端から前記開放端に向かっ
   て大きくなっているとともに、前記開放端にオネジを設
   け、該オネジに螺合するねじキャップをさらに備えてな
   ることを特徴とする検査用フラスコ。 ２．前記ネック部が、前記開放端から前記他端に向けて
   傾斜する平坦領域を備えることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項に記載した検査用フラスコ。 ３．前記ネック部の前記平坦領域が、前記第２端部壁に
   接続した該ネック部の前記他端から、前記開放端に向け
   て幅が小さくなるように形成されていることを特徴とす
   る特許請求の範囲第２項に記載した検査用フラスコ。 ４．同一の他のフラスコと水平方向の位置ずれが生じな
   いように積重ねることを可能にするように前記頂部壁お
   よび前記底部壁が形成されていることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項に記載した検査用フラスコ。 ５．フラスコの前記底部壁上で増殖する微生物の位置を
   識別する座標表示を本体の前記頂部壁に設けたことを特
   徴とする特許請求の範囲第１項に記載した検査用フラス
   コ。 ６．前記フラスコを透明プラスチックで成形し、ラベル
   を貼付するためのつや消し面を前記側壁および前記２つ
   の端部壁のいずれかに設けることを特徴とする特許請求
   の範囲第１項に記載した検査用フラスコ。 ７．前記積重ね手段が、前記頂部壁の周縁に設けたフラ
   ンジと、前記底部壁の前記書部分の周縁の僅かに内側に
   設けた下方に伸長するビード部とからなり、同一のフラ
   スコを積重ねたとき、上部フラスコのビード部が、下部
   フラスコのフランジ内に嵌入するようにしたことを特徴
   とする特許請求の範囲第４項に記載した検査用フラス
   コ。 ８．前記底部壁の前記書部分が長方形であり、前記傾斜
   面が台形であることを特徴とする特許請求の範囲第１項
   に記載した検査用フラスコ。 ９．前記底部壁、前記側壁および前記端部壁並びに前記
   ネック部が単一構造体として成形されてなり、かつ前記
   頂部壁が別個に成形されてなり、前記本体が、前記頂壁
   部を前記端部壁および前記側壁の周縁に密着させること
   により形成されてなることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項に記載した検査用フラスコ。 １０．前記両側壁および前記両端部壁が、それぞれにお
   いて前記底部壁から前記頂部壁に向かって互いに次第に
   離れるように形成されていることを特徴とする特許請求
   の範囲第９項に記載した検査用フラスコ。 １１．前記底部壁の前記書部分が長方形であり、前記傾
   斜面が台形であり、 前記頂部壁が平坦状をなし、かつ平面上に投影した前記
   底部壁と略同一の形状および略同一の寸法を備えること
   を特徴とする特許請求の範囲第２項に記載した検査用フ
   ラスコ。 １２．前記ネック部の前記開放端が、前記頂部壁より上
   方に伸長することを特徴とする特許請求の範囲第１項に
   記載した検査用フラスコ。 １３．前記ネック部の前記開放端用のキャップが設けら
   れ、前記頂部壁および前記底部壁が、同一の他のフラス
   コと水平方向の位置ずれが生じないように積重ねること
   を可能にするように形成されていることを特徴とする特
   許請求の範囲第13項に記載した検査用フラスコ。 １４．前記ネック部が、下側に平坦領域を備えたことを
   特徴とする特許請求の範囲第13項に記載した検査用フラ
   スコ。 １５．前記ネック部の平坦領域が、前記第２端部壁に接
   続した前記ネック部の他端部からその開放端に向けて幅
   が小さくなるように形成されていることを特徴とする特
   許請求の範囲第14項に記載した検査用フラスコ。 １６．互いに向かい合う２つの側壁および互いに向かい
   合う２つの端部壁と、該各側壁および該各端部壁によっ
   て接続されてチャンバを形成する頂部壁および底部壁と
   を有し、前記頂部壁および前記底部壁が一方の端部壁の
   方向に向け幅が小さくなり該一方の端部壁に当接して前
   記チャンバのショルダ領域が形成されてなる本体と、 開放する開放端と、前記一方の端部壁の前記頂部壁近傍
   に形成された孔に接続される他端とを備え、該他端から
   該開放端に向かって上方に傾斜しかつ該他端から該開放
   端に向かって広げる径を有し、前記開放端にオネジが設
   けられ、該オネジに螺合するねじキャップを備え、スク
   レーパが前記底部壁の全四隅に届き、ピペットが他方の
   端部壁の全四隅に届くようにするネック部とを備えるこ
   とを特徴とする検査用フラスコ。 １７．前記ネック部の前記解放端における径が前記一方
   の端部壁の上端と下端の高低差よりも大きいことを特徴
   とする特許請求の範囲第16項に記載した検査用フラス
   コ。 １８．前記底部壁が前記チャンバのショルダと前記他方
   の端部壁とに連なる長方形部分を備え、 前記底部壁のショルダ領域が、前記長方形部分から前記
   一方の端部壁まで上方に伸長して傾斜する斜面を形成す
   ることを特徴とする特許請求の範囲第16項に記載した検
   査用フラスコ。 １９．前記ネック部が、前記傾斜するショルダ領域に接
   続して上方に傾斜する平坦領域をその下側に備えること
   を特徴とする特許請求の範囲第18項に記載した検査用フ
   ラスコ。 ２０．前記傾斜するショルダ領域が、前記底部壁の前記
   長方形部分に対し、約22゜の傾斜角度を備えることを特
   徴とする特許請求の範囲第18項に記載した検査用フラス
   コ。 ２１．前記ネック部が、前記傾斜するショルダ領域に接
   続して前記底部壁の前記長方形部分に対し約８゜の角度
   にて上方に傾斜する平坦領域をその下側に備えることを
   特徴とする特許請求の範囲第20項に記載した検査用フラ
   スコ。 ２２．前記一方の端部壁が、前記ネック部と接続する中
   央部分と、該中央部分と前記側壁とにそれぞれ接続する
   ２つの側部分とを備え、該２つの側部分は前記ネック部
   側に延長した場合に互いに90゜の角度で交わるようにな
   っていることを特徴とする特許請求の範囲第21項に記載
   した検査用フラスコ。