JP2683577B2 - 粒子分散強化した繊維強化ムライト複合材 - Google Patents

粒子分散強化した繊維強化ムライト複合材

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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は繊維強化ムライト複合材を粒子分散によりさ
らに強化し、特に破壊靭性値を驚異的に向上させたの
で、レシプロエンジンのシリンダライナー、ピストンリ
ングあるいはガスタービンエンジンのタービン動翼等へ
の応用が期待されるムライト複合材料に関するものであ
る。
[従来の技術] セラミックスは金属材料よりも優れた耐熱性、耐酸化
性を有し、さらに断熱性にも優れているので、金属に代
わる耐熱構造材料として注目されてきた。しかしなが
ら、セラミックスは共有結合やイオン結合で構成されて
おり、金属材料のように転位によって変形したり伸びる
ことが出来ず、材料内部の微少な欠陥や表面のきずに応
力の集中が起こり、容易に破壊されるので、非常に脆
く、破壊靭性に劣るという欠点がある。
ムライト(3Al2O3・2SiO2)も耐熱性があり、熱衝撃
抵抗も優れており、均一な熱膨張を示し、機械的性質の
温度による変化が少なく、1350℃では炭化珪素とほぼ同
じ強度を持つが、他のセラミックスと同様に破壊靭性に
劣る。
脆性破壊に対する材料の抵抗性は、一般に破壊靭性値
KICにより示されるが、従来のムライトのKICは1.5〜1.8
MN/m2/3であり、金属材料の中で比較的脆いと言われる
アルミニウム合金の34MN/m2/3に比べても極めて低い。
セラミックスをエンジニアリングセラミックスとしてレ
シプロエンジンあるいはガスタービンエンジンに応用し
ていくためには、出来る限り破壊靭性値を高くする必要
がある。
そのために、この構造用セラミックスの脆さを改善す
るために、種々の手法が研究されてきたが、その中でも
セラミックスマトリックス中にいろいろの粒子を混合分
散させる粒子分散強化法および各種繊維をセラミックス
マトリックス中に分散させる繊維強化法が注目されてい
る。
繊維強化セラミックス(以下FRCという。)用繊維は
大きく分けて、短繊維系と長繊維系がある。長繊維には
ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、セラミック繊維など
があり、炭素繊維は強度が高く、弾性率も高いので複合
材に適しているが、酸化に弱いという欠点がある。ま
た、炭化珪素やアルミナなどのセラミック繊維は有機系
原料を紡糸して熱処理したもので、高融点であり最も多
用されている。短繊維は針状の単結晶であるウイスカー
あるいは長繊維のチョップ品を意味するが、ウイスカー
はFRC用繊維として理想的な強度を示すが、マトリック
ス中に均一に分散されることが難しく、価格が高いとい
う欠点がある。
マトリックスとなるセラミックスについては、Al
2O3、ムライト、ZrO2、Si3N4、SiC、ガラス等の酸化物
から非酸化物まで多くのセラミックスに対して繊維との
複合化が試みられている。
繊維強化セラミックス材料についての特許について
は、スピネル(MgO・Al2O3)に炭化珪素短繊維を混ぜた
焼結体(特開昭62−119175)、アルミナに炭化珪素短繊
維を混ぜた焼結体(特開昭62−119174)、炭素連続繊維
強化SiC複合体(特開昭61−247663)、金属酸化物また
は金属炭化物に炭素繊維を添加して加圧と同時に焼結す
るセラミックス複合材(特開昭50−136306)、炭化珪素
繊維強化セラミックス複合材(特公昭62−35996)など
がある。
粒子分散によるセラミックスの破壊靭性向上の機構
は、クラックの先端がさらに進もうとするエネルギーを
何等かの形で強化用粒子が分散しまたは吸収し、応力緩
和現象が起こるためと考えられる。破壊靭性緩和の例と
して、Si3N4にTiC粒子を分散させた例がある。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、前記の複合材を作るに際しては、焼結
温度において繊維がマトリックスと反応せずに所望の強
度を保つかどうかという化学的適合性、および膨張係数
の差が繊維を損傷するがどうかの物理的適合性、複合材
料の破壊靭性等の特性を左右するので、繊維強化あるい
は粒子分散強化のみでは期待通りの破壊靭性値は得られ
ないのが実情である。ムライトについても繊維強化が試
みられているが満足すべき結果は得られていない。
本発明は繊維強化ムライト複合材の前記のごとき問題
点に鑑みてなされたもので、破壊靭性値の優れた繊維強
化ムライト複合材を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段] 発明者は前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結
果、繊維強化と粒子分散強化を兼ね備えた強化材料を想
到するに至った。
粒子分散の破壊靭性向上の機構としては、クラック・
デフレクションが挙げられている。すなわちマトリック
スと分散相の靭性や熱膨張率など各種の性質の違いや、
両者の界面状態などが原因で、クラックが分散相の回り
をジグザグに折れ曲がって進む。これによりクラック進
行に必要なエネルギーが消費されるので破壊靭性が向上
する。
また、繊維強化による破壊靭性向上の機構は、プルア
ウトとディフレクションが生ずるためであるとされる。
すなわち、分散相としてウイスカーを混合した場合、ク
ラックがウイスカーのある場所を通過する際に、クラッ
クにより隙間が生ずる分だけ、ウイスカーがマトリック
スから引き抜かれる。ウイスカーが引き抜かれる仕事分
だけ、エネルギーが消費されて靭性が向上する。
ここの述べたクラック・ディフレクションとプルアウ
トが同時に効果的に起こるようにすれば、破壊エネルギ
ーは驚異的に増加して、破壊靭性値が著しく増加に至る
ことに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の繊維強化ムライト複合材は、繊維
強化と併せて粒子分散強化を同時に行ったものであり、
ムライトマトリックスと、ムライトマトリックス中に分
散された繊維と、ムライトマトリックス中に分散された
同種または異種のセラミックス微粒子とからなることを
要旨とする。
ムライトマトリックス中に分散される強化繊維は、短
繊維でも長繊維でも良い。長繊維にはガラス繊維、金属
繊維、炭素繊維、セラミック繊維を用いることができ
る。これら繊維の耐酸化性を改善しあるいはムライトマ
トリックスとの界面接合を制御するため、繊維表面にセ
ラミックス等をCVDコーティングをして用いると良い。
強化繊維をムライトマトリックス中に分散させる方法
は公知の方法によって行う。例えば長繊維の場合、スラ
リー状にしたムライト粉末中へ繊維を浸漬し、順次ドラ
ムに巻き取る方法(フィラメント・ワインディング
法)、あるいは繊維をシート状にし、マトリクス粉末を
交互に積層する方法(積層法)により、未焼成積層体を
作り、この積層体を押し型に合わせて成型してホットプ
レスする方法などがとられる。
第1図はフィラメント・ワインディング法を摸式的に
示した図である。スプール10から巻き戻された長繊維12
は含浸液層14に収容したムライト粉末を混合したスラリ
ー状の含浸液16の中に浸漬して通過させ、長繊維12の表
面に含浸液16を付着させ巻き取りドラム18に巻き取る。
ドラムに巻き取られた積層体20は適当な箇所を切り開い
てドラム18から取り外し、所望の大きさに裁断し、適宜
の厚さに積層する。積層した積層体20は必要に応じて脱
脂した後、押し型に合わせて成型してホットプレスす
る。
また、いわゆる化学蒸着法により、繊維のプリフォー
ムの間隙にセラミックマトリックス相を生成させるCVD
法、あるいは金属アルコキシドのゲル状高分子を繊維に
含浸させた後熱分解して金属酸化物を得るゾルーゲルな
ども利用できる。短繊維の場合は、セラミック粉末スラ
リー中へ繊維を分散させ、石膏型に流し込み、型通りの
雌型を取り出して焼成するスリップキャスト法が効果的
である。繊維の複合量は容量%で30〜40%が適当であ
る。
ムライトマトリックス中に分散させる微粒子は、ムラ
イトマトリックスと異種の粒子でも同種の粒子でも良
い。粒子分散によりマトリックスの強化は、Si3N4−TiC
の知見から予測されるように、20〜25容量%において最
大の効果が得られる。
分散される粒子の粒径はクラック・ディフレクション
の考え方からすれば、マトリックスの粒界に均一に微細
な状態で存在することが有効である。粒子分散の手法
は、粉末混合法では均一分散が困難であり、微細な粒子
の作成が困難であるため、有機金属高分子の熱分解を利
用する方法が最も適切である。すなわち、珪素などセラ
ミックを形作る金属元素を含む有機金属高分子を不活性
雰囲気中で熱分解すると、有機成分が離脱し、炭化物あ
るいは窒化物が得られる。有機金属高分子には、例えば
ポリシロキサン、ポリシラザン、ポリカルボシラン、ポ
リシラスチレンなどがあり、ポリカルボシランは(1)
式のように炭化珪素を生成し、ポリシラザンからは
(2)式のように窒化珪素が得られる。
(SiH(CH3)・CH2)n→SiC (1) (SiRR′NH2)n→Si3N4 (2) 有機金属高分子はマトリックスとなるムライト粒子表
面にコーティングし、ついで熱化学反応によりセラミッ
クス化し微粒子を分散させる手法をとる。そのため、有
機金属高分子を溶剤(トルエン、キシレン等)に溶解さ
せ、その中にマトリックスとなるムライト粒子を混合し
ムライト粒子表面に有機金属高分子をコーティングす
る。
マトリックス中に均一に繊維を分散させるには、この
有機金属高分子を溶解した溶液中にマトリックス粒子を
混合した液を含浸液とし、その中に繊維を連続的に通過
させ繊維表面に含浸液を均一に付着させるフィラメント
・ワインディング法による。ムライトマトリックス中に
分散される繊維の量は、含浸液の粘度および繊維の通過
速度により調節することができるが、含有繊維は容量%
で30〜40%程度が最も好ましい。
フィラメント・ワインディング法で巻き取られた素材
は、本焼結を行う前に、窒素ガスあるいはアルゴンガ
ス、あるいは窒素ガスとアンモニアガスの混合ガス気流
中700〜800℃にて、有機金属高分子を不融化し、マトリ
ックスとなるムライト粒子表面に微細粒子の前段階とな
るガラス化されたセラミック層を生成させる。有機金属
高分子を不融化した後、成形品はアルゴンガスあるいは
窒素ガス中で、加圧(〜9kg/cm2G)あるいは無加圧気流
下において焼結する。
[作用] 本発明の粒子分散強化した繊維強化ムライト複合体
は、マトリックスセラミックスと同種または異種の微細
粒子が粒界に分散しているのでクラック・デフレクショ
ンが起こり、破壊靭性が向上する。すなわちマトリック
スと微粒子の分散相の靭性や熱膨張率など各種の性質の
違いや、両者の界面状態などが原因で、クラックが分散
相の回りをジグザグに折れ曲がって進む。これによりク
ラック進行に必要なエネルギーが消費されて破壊エネル
ギーが増加し破壊靭性が向上する。
また、本発明のムライト複合体は、繊維が分散されて
強化されているので、繊維強化により破壊靭性が向上す
る。すなわち、分散相として繊維を混合した場合、クラ
ックが繊維のある場所を通過する際に、クラックにより
隙間が生ずる分だけ、繊維がマトリックスから引き抜か
れる。繊維が引き抜かれる仕事分だけ、エネルギーが消
費されて破壊エネルギーが増加し破壊靭性が向上する。
本発明の粒子分散強化された繊維強化ムライト複合体
の最も特徴とするところは、前記の粒子分散による破壊
靭性の向上と、繊維強化による破壊靭性の向上が、同時
に効果的に起こり、破壊靭性が著しく増加することであ
る。
[実施例] 本発明の好適な実施例を以下に説明し、本発明をさら
に具体的に明らかにするが、本発明が以下に述べる実施
例の記載によって何等限定解釈されるものではない。
(実施例1) 溶剤としてトルエン110g中に日本曹達(株)製のポリ
シラスチレン(商品名;PSS−400)42gを溶解させた。こ
の溶液を別に用意した内容積500ccのポリエチレン製ポ
ットに入れ、ムライト粉末(共立窯業原料(株)製 商
品名;KMムライト)98gを添加した。次いでこれに12.5mm
φの高アルミナ質シリンダ型玉石を300g入れ、ポット蓋
を閉じ、ポットを50rpmにて回転し、16時間混合して含
浸液を調製した。
この含浸液を含浸層に流し込み、カーボン繊維
((株)ペトカ製HM−60、2K品、ピッチ系、あるいは東
邦レーヨン製IM40、6K品、パン系)をスプール台に取り
付け、3cm/秒の巻き取り速度にて含浸層の含浸液の中を
通し、カーボン繊維に含浸液を均一に含浸させ、巻き取
りドラムに含浸液を保持したカーボン繊維を巻き取っ
た。
なお、カーボン繊維は巻き取りドラムに巻き取る前に
40〜50℃に加熱した熱風を供給し、トルエンをカーボン
繊維より揮発させて、ポリシラスチレンに接着性を持た
せた状態にして巻き取った。また、巻き取りドラムに
は、接着性の有るカーボン繊維が巻き取られるため、カ
ーボン繊維の積層体を容易に取り外すことができるよう
に、積層体と接する箇所には弗素処理等を施しておくと
良い。
巻き取りドラムより取り外されたカーボン繊維の積層
体は任意の形状に切断後、二軸加圧プレス、あるいは冷
間若しくは温間等方圧プレス(C・I・PまたはW・I
・P)にて成形加圧して成形体とし、然る後50℃に保持
されているオーブン中に入れ、24時間放置し、完全にト
ルエンを揮発させた。
続いてこの成形体に含まれるポリシラスチレンの不融
化処理を行った。不融化処理は成形体を3.5℃/時間の
温度勾配のもとN2ガス加圧下(〜5kg/cm2G)にて、600
℃まで処理し、完全にガラス化させた。
この成形体の焼結に当たっては、脱脂処理された成形
体の表面に窒化硼素の微粉を付着させ、マスキングを施
した。この成形体をガス加圧下(窒素ガスの場合9kg/cm
2G、アルゴンガスの場合2kg/cm2G)200℃/時間の温度
勾配にて加熱し1650℃の温度で1時間保持の条件で焼結
を行った。
なお、比較のために従来例として有機金属高分子を使
用しない含浸液を調製し、前記と同じ方法でピッチ系と
パン系のカーボン繊維を含浸させた積層体を作成し、前
記と同様に切断し加圧成形して、成形体とし前記と同じ
条件で不融化した後焼結して焼結体を得た。
得られた本発明例と従来例の焼結体について曲げ強度
および破壊靭性質KICを測定し結果を第1表に示した。
第1表から明らかなように、本発明例は従来例に比較
して、ピッチ系において曲げ強度および破壊靭性値共に
約40%以上の向上が見られ、またパン系において曲げ強
度および破壊靭性値が共に約40%以上の高い値が得ら
れ、本発明の効果が確認された。
(実施例2) 実施例1で用いたと同じカーボン繊維(ピッチ系およ
びパン系)に表面酸化を防止するため、繊維表面に化学
的蒸着(CVD)により炭化珪素を蒸着した。このカーボ
ン繊維を用い、含浸液組成、巻き取り条件、脱脂および
焼結条件は実施例1と全く同じにして焼結体を得た。
また、比較のために同じカーボン繊維を用い、有機金
属高分子を溶解しなかった含浸液に浸漬して巻き取り、
同じ条件の脱脂および焼結を行って従来例の焼結体を得
た。
得られた本発明例と従来例の焼結体について曲げ強度
および破壊靭性値を測定して第2表に示した。
第2表から知られるように、従来例はピッチ系におい
て曲げ強度が6.7kgf/mm2、破壊靭性値が2.5MN/m2/3、パ
ン系において曲げ強度が6.6kgf/mm2、破壊靭性値が2.4M
N/m2/3であったのに対し、本発明例ではピッチ系におい
て曲げ強度が9.6kgf/mm2、破壊靭性値が3.5MN/m2/3、パ
ン系において曲げ強度が9.4kgf/mm2、破壊靭性値が3.4M
N/m2/3であって、曲げ強度および破壊靭性値が共に著し
く改善され、本発明の効果が確認できた。
(実施例3) 溶剤としてトルエン87.4g中に、チッソ(株)製のポ
リシラザン(商品名;NCP−200、トルエン溶液65%含有
品)64.6gを溶解させた。この溶液を別に用意した内容
積500ccのポリエチレン製ポットに入れ、ムライト粉末
(共立窯業原料(株)製、商品名;KMムライト)98gを添
加した。次いでこれに12.5mmφの高アルミナ質シリンダ
型玉石を300g入れ、ポット蓋を閉じ、ポットを50rpmに
て16時間混合して含浸液を調製した。
この含浸液を含浸層に流し込み、カーボン繊維
((株)ペトカ製HM−60、2K品、ピッチ系、あるいは東
邦レーヨン製IM40、6K品、パン系)をスプール台に取り
付け、3cm/秒の巻き取り速度にて含浸層の含浸液の中を
通し、カーボン繊維に含浸液を均一に含浸させ、巻き取
りドラムに含浸液を保持したカーボン繊維を巻き取っ
た。以下実施例1と同様の条件で積層、脱脂、焼結して
本発明例の焼結体を得た。また、比較のために従来例と
して、ポリシラザンを溶解しない含浸液を調製し、同様
にして従来例の焼結体を得た。得られた本発明例と従来
例の焼結体について曲げ強度および破壊靭性値を測定し
て第3表に示した。
第3表から知られるように、従来例はピッチ系におい
て曲げ強度が5.5kgf/mm2、破壊靭性値が2.0MN/m2/3、パ
ン系において曲げ強度が5.4kgf/mm2、破壊靭性値が1.9M
N/m2/3であったのに対し、本発明例ではピッチ系におい
て曲げ強度が7.8kgf/mm2、破壊靭性値が2.9MN/m2/3、パ
ン系において曲げ強度が7.7kg/mm2、破壊靭性値が2.7MN
/m2/3であって、曲げ強度および破壊靭性値において共
に40%前後の高い値が得られ、本発明の効果が確認でき
た。
(実施例4) 実施例1で用いたと同じカーボン繊維(ピッチ系およ
びパン系)に表面酸化を防止するため、繊維表面に化学
的蒸着(CVD)により炭化珪素を蒸着した。このカーボ
ン繊維を用い、実施例3と同じ含浸液組成、実施例1と
同じ巻き取り条件、脱脂および焼結条件にして焼結体を
得た。
また、比較のために従来例として同じカーボン繊維を
用い、有機金属高分子を溶解しなかった含浸液に浸漬し
て巻き取り、同じ条件の脱脂および焼結を行って焼結体
を得た。
得られた本発明例と従来例の焼結体について曲げ強度
および破壊靭性値を測定して第4表に示した。
第4表から明らかなように、本発明例は従来例と比較
してピッチ系パン系共に曲げ強度および破壊靭性値にお
いて40%余りの優れた値が得られ、本発明の効果が確認
された。
(実施例5) 実施例1〜4においてはカーボン繊維を使用した複合
材についての試験結果を示したが、本実施例では強度、
弾性率、融点あるいは分解点がカーボン繊維より優秀な
タングステン繊維を使用した。タングステン繊維は1300
℃以上に加熱すると粒成長を起こし切断し易くなるの
で、トリア(ThO2)を2.5%ドーピングして、加熱によ
り粒成長を起こさない繊維を使用した。
使用したタングステン繊維は日本タングステン(株)
製のもので繊維径50μmであって、繊維一本一本フィラ
メント・ワインディング法で巻き取ると時間を要するた
め、50本を集束して含浸液の入った含浸層を通過させて
巻き取りドラムに巻き取った。
含浸液には実施例1のポリシラスチレンに窒化珪素混
合した系および実施例3のポリシラザンに窒化珪素を混
合した系の2調合を使用した。巻き取り条件、脱脂、焼
結条件は実施例1あるいは実施例3と同一にして焼結体
を得た。また、比較のために従来例として有機金属高分
子を溶解しなかった含浸液を使用し、タングステン繊維
に含浸させて、以下同様の条件で脱脂、焼結して従来例
の焼結体を調製した。
得られた本発明例と従来例の焼結体について曲げ強度
および破壊靭性値を測定して第5表に示した。
第5表から明らかなように、本発明例は従来例と比較
してポリシラスチレンの系において、曲げ強度および破
壊靭性値が40%余りの優れた値が得られ、ポリシラザン
の系において、曲げ強度および破壊靭性値が40%余りの
優れた値が得られて本発明の効果が確認された。
[発明の効果] 本発明の粒子分散強化した繊維強化ムライト複合材は
以上説明したように、ムライトマトリックスと、ムライ
トマトリックス中に分散された繊維と、セラミックマト
リックス中に分散された同種または異種のセラミックス
微粒子とからなることを特徴とするものであり、マトリ
ックス粒界に分散している微粒子によってクラック・デ
ィフレクションが起こり破壊靭性が向上すると共に、マ
トリックス中に分散された繊維が引き抜かれるプルアウ
トにより破壊エネルギーを増加するので、曲げ強度と共
に破壊靭性値を著しく改善することが出来た。
従来のセラミックスでは各種の優れた特性を有してい
るが、衝撃等急激な強度変化に弱く脆性材料とされその
用途に制限が有ったが、本発明のセラミックス複合材で
は脆さの指標である破壊靭性値KICが著しく改善され、
レシプロエンジンではシリンダライナ、ピストンリング
等への応用、ガスタービンエンジンではタービン動翼へ
の応用が充分可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図はフィラメント・ワインディング法を摸式的に示
した図である。 10……スプール、12……長繊維、14……含浸層、16……
含浸液、18……巻き取りドラム、20……積層体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 隆夫 愛知県西加茂郡三好町大字莇生字川岸当 37番地の8 審査官 板橋 一隆 (56)参考文献 特開 平2−18364(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ムライトマトリックスと、ムライトマトリ
    ックス中に分散された繊維と、ムライトマトリックス中
    に分散された同種または異種のセラミックス微粒子とか
    らなることを特徴とする粒子分散強化した繊維強化ムラ
    イト複合材。
JP63165352A 1988-07-02 1988-07-02 粒子分散強化した繊維強化ムライト複合材 Expired - Fee Related JP2683577B2 (ja)

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DE89306683T DE68909526T2 (de) 1988-07-02 1989-06-30 Mit Fasern und dispergierten Partikeln verstärkter Mullit-Werkstoff und Verfahren zu seiner Herstellung.
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JPH0214883A (ja) 1990-01-18

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