JP2682956B2 - 液状石鹸の製造方法 - Google Patents
液状石鹸の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入浴用等に使用される
液状石鹸の製造方法に関するものである。
液状石鹸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】油脂に含まれているワックス分は、皮膚
に対する温熱効果や、皮膚細胞を柔軟にして乾燥を防ぐ
ものとして、クリーム等の化粧品や石鹸の材料として広
く使用されている。
に対する温熱効果や、皮膚細胞を柔軟にして乾燥を防ぐ
ものとして、クリーム等の化粧品や石鹸の材料として広
く使用されている。
【0003】このような作用をもつワックス分が配合さ
れた石鹸としては、材料油脂を水酸化ナトリウムで鹸化
し、塩析により脂肪酸のナトリウム塩を分離したソーダ
石鹸素材にワックス分を練り込んで成形したものがあ
る。また、鹸化用アルカリとして水酸化カリウムを用い
るとワックス分が分離せず石鹸成分に取り込まれること
から、水酸化カリウムを使用したカリ石鹸も知られてい
る。
れた石鹸としては、材料油脂を水酸化ナトリウムで鹸化
し、塩析により脂肪酸のナトリウム塩を分離したソーダ
石鹸素材にワックス分を練り込んで成形したものがあ
る。また、鹸化用アルカリとして水酸化カリウムを用い
るとワックス分が分離せず石鹸成分に取り込まれること
から、水酸化カリウムを使用したカリ石鹸も知られてい
る。
【0004】一方、近年では、入浴用や手洗い用の石鹸
にも従来の固形石鹸に代わって、いわゆるボディソープ
等と呼ばれる液状石鹸が好まれようになり、液状石鹸の
生産が増大している。このような液状石鹸においてもま
たワックス分が配合されたものが望まれ、材料油脂を水
酸化カリウムで鹸化することによって得られるカリ石鹸
をベースとして、なめらかな液状にするために、鉱油系
アニオン界面活性剤、非イオン系合成界面活性剤等の添
加剤が配合された種々の液状石鹸が市販されている。
にも従来の固形石鹸に代わって、いわゆるボディソープ
等と呼ばれる液状石鹸が好まれようになり、液状石鹸の
生産が増大している。このような液状石鹸においてもま
たワックス分が配合されたものが望まれ、材料油脂を水
酸化カリウムで鹸化することによって得られるカリ石鹸
をベースとして、なめらかな液状にするために、鉱油系
アニオン界面活性剤、非イオン系合成界面活性剤等の添
加剤が配合された種々の液状石鹸が市販されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、人々
をとりまく自然環境の保護が強く叫ばれ、日常生活にお
いても人々の体や環境にやさしい天然素材に対する関心
が高まっている。例えば、食生活では、農薬や化学肥料
の使用を極力押さえて栽培された有機無農薬野菜や、合
成の添加物を使用しない自然食品が求められ、また石鹸
や洗剤等の日用品の分野でも、添加物を使用を避け、天
然材料から作られた低刺激性の製品が求められている。
特に、アトピー性皮膚炎等に悩む人々にとって、食品と
同様に毎日使用する石鹸は、単に嗜好の問題にとどまら
ず、健康にかかわる重要な問題として皮膚に対する刺激
の少ない石鹸が希求されている。
をとりまく自然環境の保護が強く叫ばれ、日常生活にお
いても人々の体や環境にやさしい天然素材に対する関心
が高まっている。例えば、食生活では、農薬や化学肥料
の使用を極力押さえて栽培された有機無農薬野菜や、合
成の添加物を使用しない自然食品が求められ、また石鹸
や洗剤等の日用品の分野でも、添加物を使用を避け、天
然材料から作られた低刺激性の製品が求められている。
特に、アトピー性皮膚炎等に悩む人々にとって、食品と
同様に毎日使用する石鹸は、単に嗜好の問題にとどまら
ず、健康にかかわる重要な問題として皮膚に対する刺激
の少ない石鹸が希求されている。
【0006】しかし、従来の液状石鹸の製造方法におい
ては、材料油脂に由来する成分だけではワックス分を多
く含んだ液状石鹸を製造することは極めて困難であるた
めに、液状化のために各種添加剤が使用されるものであ
った。そして、これらの添加剤が皮膚に対する刺激を大
きくしているという問題があった。
ては、材料油脂に由来する成分だけではワックス分を多
く含んだ液状石鹸を製造することは極めて困難であるた
めに、液状化のために各種添加剤が使用されるものであ
った。そして、これらの添加剤が皮膚に対する刺激を大
きくしているという問題があった。
【0007】また、皮膚は中性から弱酸性であり、石鹸
も中性から弱酸性のものが最も皮膚に対する刺激が少な
いことは周知である。しかし、従来の液状石鹸は石鹸と
しての泡立ちを維持するためにpH10.5前後以上の
アルカリ性となされており、この点でも皮膚に対する刺
激を大きくする原因となっている。
も中性から弱酸性のものが最も皮膚に対する刺激が少な
いことは周知である。しかし、従来の液状石鹸は石鹸と
しての泡立ちを維持するためにpH10.5前後以上の
アルカリ性となされており、この点でも皮膚に対する刺
激を大きくする原因となっている。
【0008】この発明は、前記問題点を解消することを
目的として、ワックスのもつ温熱効果や乾燥防止効果を
有することはもとより、添加剤を使用せずに皮膚に対す
る刺激の少ない液状石鹸を製造する方法を提供しようす
るものである。
目的として、ワックスのもつ温熱効果や乾燥防止効果を
有することはもとより、添加剤を使用せずに皮膚に対す
る刺激の少ない液状石鹸を製造する方法を提供しようす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の液状石鹸の製
造方法は、前記目的を達成するために、材料油脂を、ア
ルコール存在下で、水酸化カリウムにより鹸化反応が終
了するまで60〜100℃に保持して、脂肪酸のカリウ
ム塩を生成させる第1工程および、前記第1工程により
得た反応液に材料油脂を追加し、アルコール存在下で、
40〜80℃で48〜96時間保持して、追加した材料
油脂を遊離アルカリで鹸化するとともに、生成された脂
肪酸のカリウム塩の一部を加水分解することにより、脂
肪酸および/または脂肪酸のモノグリセリドおよび/ま
たは脂肪酸のジグリセリドを生成させ、反応液をpH
7.7〜9.7とする第2工程を経ることにより液状石
鹸を製造することを特徴とするものである。
造方法は、前記目的を達成するために、材料油脂を、ア
ルコール存在下で、水酸化カリウムにより鹸化反応が終
了するまで60〜100℃に保持して、脂肪酸のカリウ
ム塩を生成させる第1工程および、前記第1工程により
得た反応液に材料油脂を追加し、アルコール存在下で、
40〜80℃で48〜96時間保持して、追加した材料
油脂を遊離アルカリで鹸化するとともに、生成された脂
肪酸のカリウム塩の一部を加水分解することにより、脂
肪酸および/または脂肪酸のモノグリセリドおよび/ま
たは脂肪酸のジグリセリドを生成させ、反応液をpH
7.7〜9.7とする第2工程を経ることにより液状石
鹸を製造することを特徴とするものである。
【0010】この発明に使用する材料油脂は、石鹸材料
として使用できる天然油脂であれば特に限定されず、動
物性の牛脂、ラード、馬油、ミンク油等、植物性のホホ
バ油、ヤシ油、パーム油、なたね油、糠油等を例示でき
る。特に、ミンク油、ホホバ油はワックス分を豊富に含
み皮膚に対する親和性が良いために推奨できる。また、
材料油脂は、動物性油脂と植物性油脂とを併用すること
が好ましい。これは、動物性油脂は融点が高いために、
この発明のように低温で液状にさせる場合に動物性油脂
のみを使用すると液状石鹸になりにくく、また動物臭も
強くなって液状石鹸の使用感が悪くなるためである。ま
た、植物性油脂のみを使用すると皮膚に対する刺激が大
きくなるためである。したがって、この発明の第1工程
においては、動物性油脂と植物性油脂を併用することが
好ましく、その割合は、1:9〜5:5が好ましく、特
に2:8〜3:7が良い。しかし、第2工程において追
加する材料油脂は、動物性のものと植物性のものとを併
用する必要はなく、どちらか一方のみで良い。ただし、
第2工程においては、一部の材料油脂が未反応のまま残
るために、余りべとつかない油脂が好ましく、ミンク
油、馬油等を使用するのが良い。
として使用できる天然油脂であれば特に限定されず、動
物性の牛脂、ラード、馬油、ミンク油等、植物性のホホ
バ油、ヤシ油、パーム油、なたね油、糠油等を例示でき
る。特に、ミンク油、ホホバ油はワックス分を豊富に含
み皮膚に対する親和性が良いために推奨できる。また、
材料油脂は、動物性油脂と植物性油脂とを併用すること
が好ましい。これは、動物性油脂は融点が高いために、
この発明のように低温で液状にさせる場合に動物性油脂
のみを使用すると液状石鹸になりにくく、また動物臭も
強くなって液状石鹸の使用感が悪くなるためである。ま
た、植物性油脂のみを使用すると皮膚に対する刺激が大
きくなるためである。したがって、この発明の第1工程
においては、動物性油脂と植物性油脂を併用することが
好ましく、その割合は、1:9〜5:5が好ましく、特
に2:8〜3:7が良い。しかし、第2工程において追
加する材料油脂は、動物性のものと植物性のものとを併
用する必要はなく、どちらか一方のみで良い。ただし、
第2工程においては、一部の材料油脂が未反応のまま残
るために、余りべとつかない油脂が好ましく、ミンク
油、馬油等を使用するのが良い。
【0011】前記アルコールは、鹸化反応を促進するた
めに触媒として使用するものであり、通常、低級一価ア
ルコールが使用される。低級一価アルコールとしてはそ
の種類は特に限定されないが、反応後に液状石鹸中に残
留しても皮膚に悪影響を及ぼさないものが好ましく、第
1工程においても第2工程においてもエチルアルコール
以上のものを使用するのが良い。
めに触媒として使用するものであり、通常、低級一価ア
ルコールが使用される。低級一価アルコールとしてはそ
の種類は特に限定されないが、反応後に液状石鹸中に残
留しても皮膚に悪影響を及ぼさないものが好ましく、第
1工程においても第2工程においてもエチルアルコール
以上のものを使用するのが良い。
【0012】この発明は、前述の原料より、材料油脂を
水酸化カリウムで鹸化して脂肪酸のカリウム塩を生成す
る第1工程と、第1工程の反応液に材料油脂を追加して
脂肪酸および/またはそのモノ、ジグリセリドを生成
し、液状化およびpHの低下を図る第2工程の2段階の
反応によって、pH7.7〜9.7の中性〜弱アルカリ
性の液状石鹸を製造する。
水酸化カリウムで鹸化して脂肪酸のカリウム塩を生成す
る第1工程と、第1工程の反応液に材料油脂を追加して
脂肪酸および/またはそのモノ、ジグリセリドを生成
し、液状化およびpHの低下を図る第2工程の2段階の
反応によって、pH7.7〜9.7の中性〜弱アルカリ
性の液状石鹸を製造する。
【0013】前記第1工程において、反応釜中で材料油
脂、アルコール、水酸化カリウムを混合加温して鹸化反
応させ、脂肪酸のカリウム塩を生成させる。このとき、
反応温度が60℃未満では鹸化反応が極めて遅いために
実用的でなく、100℃を超えると材料油脂が酸化分解
するおそれがあるため、60〜100℃で鹸化反応させ
る必要があり、特に70〜90℃の範囲が好ましい。ま
た、水酸化カリウムは、材料油脂の鹸化反応が終了して
脂肪酸のカリウム塩が十分に生成されるように、材料油
脂の鹸化価等から化学量論的に計算される量よりもやや
過剰に加える必要がある。鹸化反応が終了した状態と
は、加えた水酸化カリウムによって鹸化反応が飽和し、
過剰分の水酸化カリウムが遊離アルカリとして存在する
状態であり、反応中の反応液のpHを監視することによ
って鹸化反応の終了を知ることができる。具体的には、
反応系内に水酸化カリウムを徐々に加えていき、反応液
のpHが10.5〜11程度に上昇したときに鹸化反応
が終了したと見做すことができる。
脂、アルコール、水酸化カリウムを混合加温して鹸化反
応させ、脂肪酸のカリウム塩を生成させる。このとき、
反応温度が60℃未満では鹸化反応が極めて遅いために
実用的でなく、100℃を超えると材料油脂が酸化分解
するおそれがあるため、60〜100℃で鹸化反応させ
る必要があり、特に70〜90℃の範囲が好ましい。ま
た、水酸化カリウムは、材料油脂の鹸化反応が終了して
脂肪酸のカリウム塩が十分に生成されるように、材料油
脂の鹸化価等から化学量論的に計算される量よりもやや
過剰に加える必要がある。鹸化反応が終了した状態と
は、加えた水酸化カリウムによって鹸化反応が飽和し、
過剰分の水酸化カリウムが遊離アルカリとして存在する
状態であり、反応中の反応液のpHを監視することによ
って鹸化反応の終了を知ることができる。具体的には、
反応系内に水酸化カリウムを徐々に加えていき、反応液
のpHが10.5〜11程度に上昇したときに鹸化反応
が終了したと見做すことができる。
【0014】前記第2工程においては、第1工程で得た
反応液に材料油脂を追加し、アルコール存在下で40〜
80℃で48〜96時間保持して反応液を熟成させるこ
とにより行う。材料油脂を追加して系内の油脂を過剰と
することにより、前記遊離アルカリは追加した材料油脂
の鹸化反応に消費され、脂肪酸のカリウム塩の他、脂肪
酸のモノグリセリドおよびジグリセリドを生成する。ま
た、第1工程およびこの第2工程で新たに生成された脂
肪酸のカリウム塩の一部は、加水分解されて脂肪酸を生
成し、この脂肪酸は遊離脂肪酸として存在する他、モノ
グリセリドまたはジグリセリドとしても存在する。そし
て、反応液は、これらの脂肪酸あるいはそのモノグリセ
リドおよびジグリセリドの存在によって、反応液は液状
化しpHが低下する。なお、前記脂肪酸のカリウム塩か
ら遊離したアルカリは、再び未反応油脂の脂肪酸のカリ
ウム塩の生成に消費され、これらの反応を繰り返しなが
ら、遊離アルカリは消費され尽くす。したがって、この
第2工程により得られた反応液、すなわち製造された液
状石鹸は、遊離アルカリがほとんど存在せず、脂肪酸の
カリウム塩と脂肪酸およびそのモノ、ジグリセリドとが
混在した状態となって、中性〜弱アルカリ性の少し白濁
した粘調な均一なクリーム状となり、室温まで冷却して
もなお流動性のある液状となる。なお、当然のことなが
ら、この液状石鹸中にはワックス分が均一に分布してい
る。
反応液に材料油脂を追加し、アルコール存在下で40〜
80℃で48〜96時間保持して反応液を熟成させるこ
とにより行う。材料油脂を追加して系内の油脂を過剰と
することにより、前記遊離アルカリは追加した材料油脂
の鹸化反応に消費され、脂肪酸のカリウム塩の他、脂肪
酸のモノグリセリドおよびジグリセリドを生成する。ま
た、第1工程およびこの第2工程で新たに生成された脂
肪酸のカリウム塩の一部は、加水分解されて脂肪酸を生
成し、この脂肪酸は遊離脂肪酸として存在する他、モノ
グリセリドまたはジグリセリドとしても存在する。そし
て、反応液は、これらの脂肪酸あるいはそのモノグリセ
リドおよびジグリセリドの存在によって、反応液は液状
化しpHが低下する。なお、前記脂肪酸のカリウム塩か
ら遊離したアルカリは、再び未反応油脂の脂肪酸のカリ
ウム塩の生成に消費され、これらの反応を繰り返しなが
ら、遊離アルカリは消費され尽くす。したがって、この
第2工程により得られた反応液、すなわち製造された液
状石鹸は、遊離アルカリがほとんど存在せず、脂肪酸の
カリウム塩と脂肪酸およびそのモノ、ジグリセリドとが
混在した状態となって、中性〜弱アルカリ性の少し白濁
した粘調な均一なクリーム状となり、室温まで冷却して
もなお流動性のある液状となる。なお、当然のことなが
ら、この液状石鹸中にはワックス分が均一に分布してい
る。
【0015】製造される液状石鹸のpHは、次に詳述す
る第2工程の反応条件に従って、7.7〜9.7の範囲
とする。これは、pHが9.7を超えると石鹸の脱脂力
は高まるが使用後に皮膚が引きつった感じとなり刺激性
が強くなり、pHが7.7未満では起泡力が低下して油
分がべたつき、もはや石鹸としての作用がなくなってし
まうからである。
る第2工程の反応条件に従って、7.7〜9.7の範囲
とする。これは、pHが9.7を超えると石鹸の脱脂力
は高まるが使用後に皮膚が引きつった感じとなり刺激性
が強くなり、pHが7.7未満では起泡力が低下して油
分がべたつき、もはや石鹸としての作用がなくなってし
まうからである。
【0016】前記第2工程における反応条件は、反応温
度が40℃未満では、遊離アルカリによる鹸化反応およ
び脂肪酸の生成が進まず、80℃を超えると材料油脂が
酸化分解されるおそれがある。また、熟成時間が48時
間未満では鹸化反応の脂肪酸の生成が不十分で所定のp
Hまで下がらず、96時間を超えて熟成させても鹸化反
応および脂肪酸の生成が飽和して意味がなく、未反応の
油脂が酸化分解するおそれもある。したがって、反応温
度は40〜80℃の範囲で48〜96時間熟成させる必
要があり、特に好ましくは、50〜70℃で60〜84
時間である。
度が40℃未満では、遊離アルカリによる鹸化反応およ
び脂肪酸の生成が進まず、80℃を超えると材料油脂が
酸化分解されるおそれがある。また、熟成時間が48時
間未満では鹸化反応の脂肪酸の生成が不十分で所定のp
Hまで下がらず、96時間を超えて熟成させても鹸化反
応および脂肪酸の生成が飽和して意味がなく、未反応の
油脂が酸化分解するおそれもある。したがって、反応温
度は40〜80℃の範囲で48〜96時間熟成させる必
要があり、特に好ましくは、50〜70℃で60〜84
時間である。
【0017】また、第2工程において追加する材料油脂
量は、反応液の遊離アルカリ量や、使用する油脂の鹸化
価等によって異なるが、第1工程で使用した材料油脂の
合計量の1〜20%程度を使用すれば、遊離アルカリが
存在せず上記範囲のpHの液状石鹸を製造することがで
きる。これは、追加する材料油脂量が1%未満では遊離
アルカリが残留するおそれがあり、また、20%を超え
ると反応液のpHが下がり過ぎるためである。特に好ま
しい材料油脂の追加量は、5〜10%である。
量は、反応液の遊離アルカリ量や、使用する油脂の鹸化
価等によって異なるが、第1工程で使用した材料油脂の
合計量の1〜20%程度を使用すれば、遊離アルカリが
存在せず上記範囲のpHの液状石鹸を製造することがで
きる。これは、追加する材料油脂量が1%未満では遊離
アルカリが残留するおそれがあり、また、20%を超え
ると反応液のpHが下がり過ぎるためである。特に好ま
しい材料油脂の追加量は、5〜10%である。
【0018】なお、これらの2つの工程は、反応効率を
高めるために、水蒸気やアルコールを系外に逃がさない
ように密閉状態で行うことが好ましい。
高めるために、水蒸気やアルコールを系外に逃がさない
ように密閉状態で行うことが好ましい。
【0019】また、これらの2つの工程を経て製造され
た液状石鹸に、ニンニクエキス、米糠エキス、アロエエ
キス、海草エキス、ハチミツ、ヨモギエキス、卵黄レシ
チン等の薬効成分を添加しても良い。
た液状石鹸に、ニンニクエキス、米糠エキス、アロエエ
キス、海草エキス、ハチミツ、ヨモギエキス、卵黄レシ
チン等の薬効成分を添加しても良い。
【0020】
【実施例】次に、この発明の液状石鹸の製造方法の具体
的一実施例について説明する。
的一実施例について説明する。
【0021】製造原料として、次に示す材料を使用し、
2段階の工程により液状石鹸を製造した。
2段階の工程により液状石鹸を製造した。
【0022】製造原料(第1工程) ヤシ油 350kg ミンク油 150kg 水酸化カリウム 90kg(25%水溶液に別途調
製) 水 940kg エチルアルコール 25kg 製造原料(第2工程) ミンク油 25kg エチルアルコール 200kg (第1工程)容量1.8トンの密閉式の反応二重釜内
に、ヤシ油、ミンク油、エチルアルコール、前記水酸化
カリウム水溶液の1/3量および前記水の1/3量を入
れて混合し、攪拌するとともに蒸気を加えながら80℃
に加温した。そして、反応液を80℃に保持しながら、
約7時間をかけて残りの各2/3量の水酸化カリウム水
溶液と水とを徐々に加えた。さらに、反応の最終段階で
はフェノールフタレイン指示薬により反応液のpHを監
視し、pH10.5となるように水酸化カリウム水溶液
の添加量を制御した。
製) 水 940kg エチルアルコール 25kg 製造原料(第2工程) ミンク油 25kg エチルアルコール 200kg (第1工程)容量1.8トンの密閉式の反応二重釜内
に、ヤシ油、ミンク油、エチルアルコール、前記水酸化
カリウム水溶液の1/3量および前記水の1/3量を入
れて混合し、攪拌するとともに蒸気を加えながら80℃
に加温した。そして、反応液を80℃に保持しながら、
約7時間をかけて残りの各2/3量の水酸化カリウム水
溶液と水とを徐々に加えた。さらに、反応の最終段階で
はフェノールフタレイン指示薬により反応液のpHを監
視し、pH10.5となるように水酸化カリウム水溶液
の添加量を制御した。
【0023】(第2工程)第1工程により得た反応液を
同じ反応二重釜に入れたままで、ミンク油およびエチル
アルコールを加え、密閉状態で60℃に加温し、72時
間熟成させた。反応液は、pH8.7の弱アルカリ性と
なり、白濁した粘調の液状石鹸を得た。
同じ反応二重釜に入れたままで、ミンク油およびエチル
アルコールを加え、密閉状態で60℃に加温し、72時
間熟成させた。反応液は、pH8.7の弱アルカリ性と
なり、白濁した粘調の液状石鹸を得た。
【0024】前述の2工程を経て製造した石鹸は、クリ
ーム状の液状石鹸で、泡立ちが良く、しかもしっとりと
した使用感のあるものであった。
ーム状の液状石鹸で、泡立ちが良く、しかもしっとりと
した使用感のあるものであった。
【0025】
【発明の効果】以上のように、この発明の液状石鹸の製
造方法は、材料油脂を、アルコール存在下で、水酸化カ
リウムにより鹸化反応が終了するまで60〜100℃に
保持して、脂肪酸のカリウム塩を生成させる第1工程お
よび、前記第1工程により得た反応液に材料油脂を追加
し、アルコール存在下で、40〜80℃で48〜96時
間保持して、追加した材料油脂を遊離アルカリで鹸化す
るとともに、生成された脂肪酸のカリウム塩の一部を加
水分解することにより、脂肪酸および/または脂肪酸の
モノグリセリドおよび/または脂肪酸のジグリセリドを
生成させ、反応液をpH7.7〜9.7とする第2工程
を経ることにより液状石鹸を製造するものであるから、
鹸化剤および鹸化触媒を除けば材料油脂のみからワック
ス分を含有する低pHの液状石鹸を製造することができ
る。その結果、液状化あるいはpH低下のための各種添
加剤が全く不要となり、ワックスのもつ温熱効果や乾燥
防止効果を有することはもとより、皮膚に対して刺激の
少ない液状石鹸の製造が可能となる。
造方法は、材料油脂を、アルコール存在下で、水酸化カ
リウムにより鹸化反応が終了するまで60〜100℃に
保持して、脂肪酸のカリウム塩を生成させる第1工程お
よび、前記第1工程により得た反応液に材料油脂を追加
し、アルコール存在下で、40〜80℃で48〜96時
間保持して、追加した材料油脂を遊離アルカリで鹸化す
るとともに、生成された脂肪酸のカリウム塩の一部を加
水分解することにより、脂肪酸および/または脂肪酸の
モノグリセリドおよび/または脂肪酸のジグリセリドを
生成させ、反応液をpH7.7〜9.7とする第2工程
を経ることにより液状石鹸を製造するものであるから、
鹸化剤および鹸化触媒を除けば材料油脂のみからワック
ス分を含有する低pHの液状石鹸を製造することができ
る。その結果、液状化あるいはpH低下のための各種添
加剤が全く不要となり、ワックスのもつ温熱効果や乾燥
防止効果を有することはもとより、皮膚に対して刺激の
少ない液状石鹸の製造が可能となる。
Claims (1)
- 【請求項1】 材料油脂を、アルコール存在下で、水酸
化カリウムにより鹸化反応が終了するまで60〜100
℃に保持して、脂肪酸のカリウム塩を生成させる第1工
程および、 前記第1工程により得た反応液に材料油脂を追加し、ア
ルコール存在下で、40〜80℃で48〜96時間保持
して、追加した材料油脂を遊離アルカリで鹸化するとと
もに、生成された脂肪酸のカリウム塩の一部を加水分解
することにより、脂肪酸および/または脂肪酸のモノグ
リセリドおよび/または脂肪酸のジグリセリドを生成さ
せ、反応液をpH7.7〜9.7とする第2工程を経る
ことにより液状石鹸を製造することを特徴とする液状石
鹸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6067172A JP2682956B2 (ja) | 1994-04-05 | 1994-04-05 | 液状石鹸の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6067172A JP2682956B2 (ja) | 1994-04-05 | 1994-04-05 | 液状石鹸の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07278600A JPH07278600A (ja) | 1995-10-24 |
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化学大辞典大3巻第420−421頁(鹸化の項目)、1989年発行、共立出版株式会社、第32刷 |
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