JP2679475C - - Google Patents

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JP2679475C
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、印刷工場で使用される新聞用紙の巻取りを製造
する方法に関する。さらに詳しく述べるならば、本発明は、巻取りの搬送に際し
巻取り同士の衝突による衝撃力によっても巻取りの上紙に破れを生じ難い新聞用
紙の巻取りを製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、印刷工場における自動化は、あらゆる面で著しく改善され
ている。例えば、新聞紙の印刷工場では、紙倉庫への新聞用紙の巻取りの搬入か
ら包装紙の開梱、さらには輪転機への給紙までほとんどすべて自動化されている
ところもある。自動化された各工程は、センサーにより工程が正常か異常かを判
断し、異常の場合は、安全上その工程を停止させチェックされるのが一般的であ
る。 【0003】紙倉庫へ搬入される巻取りは、事前に開梱して包装紙を取り除き裸
のままで、即ち巻取りそのものの形で取り扱われる場合が多く、しかも、印刷機
の印刷速度向上と輪転機への給紙回数の減少を目的に巻取りの連数を増加させる
ことに対する要求が高まっており、結果として巻取りの直径が著しく大きくなり
(大径化)、それに伴い巻取りの重量も増加し、最近の新聞用紙の巻取りでは6
0連入りのものも出現し、その重量は、およそ1.2トンにも達する。 【0004】図1は、新聞紙を印刷するための印刷工場の紙倉庫において搬入さ
れる開梱を完了した裸の巻取りの流れを示す概略図である。このような新聞用紙
の印刷工場のための紙倉庫の床面には巻取りが搬入側から搬出側に向かって通常
1〜2°の傾斜が設けてあり、搬入された巻取りは、順次コンベアにより移送さ
れて巻取りの少ない列に移動させられ、移動プッシャーにより傾斜面の上方から
下方へ、即ち搬入口側から搬出口側に向けて押し出され、巻取りは、傾斜面を転
がり斜面の中間に設けられているストッパーに衝突して停止する。続いて、つぎ
つぎと押し出される巻取りは、前の停止している巻取りに衝突して停止させられ
る。 【0005】このようにして、一つのストッパーのある場所には常時4〜5本の
巻取りが連続して接触して放置されている状態に置かれている。これらの巻取り
は、その後、傾斜面の下方の搬出コンベアー手前に設けられたストッパーのとこ
ろまで順次送り出され、巻取りの搬出状況によって搬出コンベアー上に乗せられ
て輪転機へ送られる。このストッパーの設置されている場所においても前記と同
様な状態が繰り返される。巻取りの流れ方向における列の数は、印刷工場の規模
に応じて決められる。 【0006】このような紙倉庫における巻取りのストッパーおよび巻取りへの衝
突によって生じる衝撃で巻取りの表面側の数枚の紙が破れることがある。これは
、新聞用紙の紙力が他の印刷用紙のそれに比べて弱い上、前記した如き理由によ
り巻取りの連数の増加に伴い重量も増加するので衝撃力がさらに助長されるため
で破れの発生する確率は、以前より一層増加している。 【0007】開梱されている裸の巻取りの巻き付けてある上紙の最終端は、ガム
テープ、粘着テープなどで固定されているのが常であるので、上紙が一枚でも破
れた巻取りは、破れが断紙まで拡大されると、破断した紙の巻取りの外周に相当
する長さ分だけを床面に残して、または紙を繰りだして床面を転がって搬出コン
ベアーまでたどりつくか、もしくは巻取りの上紙の数枚が弛んだ状態で巻取りに
巻きついたままで残り、最終的に搬出コンベアーに乗せられる。この時、傾斜面
に設置されている 巻取り検知センサーを床面に残された断紙片や弛んだ紙が塞ぎ、誤作動によって
搬出コンベアーの運転が停止されるというトラブルが発生し、その結果印刷に必
要な巻取りが供給不足となり、印刷工程も停止せざるをえないことになる。この
ような搬出コンベアーの停止トラブルが発生すると、工程の運転を一時的に停止
し、破断した紙片の除去を作業員が行なわなければならず、自動化によって省力
化を行なった意味が失われてしまう。その上、このようなトラブルが即時性の要
請が極めて重要な新聞印刷のための新聞社の印刷工場で発生すると、新聞の遅配
を生じるということになり許されない。 【0008】このような問題を解決するため従来から巻取り製造方法の改良およ
び設備面での改善が種々試みられている。例えば、巻取りの製造方法における改
良には(1)巻取りの上紙の最終端を固定するため粘着テープを巻取りの外周に
一周させて貼り張力を増大させる方法、(2)紙自体の強度増加させる方法、(
3)巻取りがストッパーあるいは他の巻取りと衝突して接触した際の衝撃を緩和
するために巻取りを構成する紙自体のパルプ繊維の配合を変更する方法などを挙
げることができる。しかしながら、いずれの方法およびこれらの組合せによって
も巻取りの衝突時の破れを皆無とすることができていない。 【0009】一方、巻取りを搬送するための設備面では、巻取りの上紙の破れの
発端となる傷を付けないことおよび巻取りのストッパーあるいは他の巻取りとの
衝突に際し、衝撃力を緩和することを目的として次のような試みがなされている
。(1)紙倉庫の床面、傾斜面に設置されているストッパーなどの巻取りと接す
る面の仕上げ、塗装あるいはテフロンシートの貼りつけを十分に施し突出部がな
いようにする方法、(2)巻取り表面の動摩擦係数を低下させる目的でタルク、
ベビーパウダーなどの滑剤を傾斜した床面に散布する方法など挙げることができ
るが、根本的な解決には至っていない。特に、滑剤を床面に散布する方法は、作
業員が定期的に散布しなければならず、コストの増加と作業員への負担の増加を
もたらすので好ましくない。 【0010】しかしながら、新しく建設される印刷工場では、傾斜させ るべき床面の傾斜角を必要最小限に押さえて、巻取りの転がりによる衝突から生
じる衝撃力を小さくすることは可能である。事実、これらの設備的な破れの防止
策を組み合わせて効果を発揮している印刷工場も数多くあるが、これらの設備的
な改善は、もともと印刷工場の全体配置構成の中でしか行なえない場合が多く、
常に設備改善が可能という訳には行かない上、設備費、工事期間などの問題が絡
むので満足すべき解決法にはならない。 【0011】また、新聞用紙を製造する立場からこの問題をみると、設備面での
問題は、あくまで印刷工場に帰属するものであるから、なんとかして製紙上の問
題解決法で処理したいと考えるのが至当であろう。したがって、現状の印刷工場
の設備のままで、巻取りが紙倉庫内で取り扱われても破れを生じ難い新聞用紙の
巻取りの出現が要望されていた。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる現状に鑑みて従来技術の
問題を運動力学的に扱って取り組み鋭意研究した結果、ツインワイヤー方式で抄
紙した新聞用紙において、抄紙原料に摩擦係数上昇剤を添加して抄造し巻取りの
上紙と別の巻取りの上紙の外面同士のJIS P 8147による動摩擦係数を
μ1、巻取りを構成する紙同士(表面と裏面)の動摩擦係数をμ2とすると、μ1
をできるだけ小さくし、(μ2−μ1)が一定水準以上の値となるように一定水準
以上のμ2の値を有する巻取りとすると、紙倉庫内で搬送する際に巻取り同士の
衝突による巻取りの上紙の破れが防止できることを見いだし本発明を完成させる
に到った。 【0013】したがって、本発明の目的は、現状の設備を有する印刷工場におい
て、開梱済の裸の巻き取りを搬送する間に巻取りの上紙の破れが発生し難い新聞
用紙の巻取りを製造する方法を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明は、ツインワイヤー方式で抄紙した巻取り
用新聞用紙の製造において、摩擦係数上昇剤を抄紙原料に内添して抄造し、該新
聞用紙を巻き取った後の巻取りを構成する紙同士のJ IS P 8147による動摩擦係数μ2を0.45以上0.60以下とし、か
つ該巻取りの上紙と別の巻取りの上紙の外面同士の動摩擦係数μ1よりも大きく
し、その差(μ2−μ1)が0.14以上0.25以下とすることを特徴とする新
聞用紙の巻取りを製造する方法である。 【0015】本発明は、図2に示されるように、傾斜角θ°の斜面を転がって質
量mKgの巻取りAが速度vm/秒で静止している巻取りBに衝突する場合を想
定している。巻取りAの運動量m×vは、巻取りAがBに衝突してFの力を受け
てt秒後に静止したとすると、運動方程式は、次式の如く表される。 【0016】 【式1】 【0017】巻取りの上紙の破れは、衝撃力Fが大きいほど大きくなることは明
らかであり、(1)式は、その要因として巻取りの重量mおよび衝突時の速度v
が大であるほどFが大きくなることを示している。また、速度vを大きくする要
因として斜面の傾斜角θが大きいことの他に転がり抵抗(即ち、硬い巻取りであ
るほど速度vも大きくなる)、反発係数(即ち、Fの力を受けている時間tが変
化する)などが複雑に絡むので、純粋な運動学や力学により巻取り同士が衝突し
た時に発生する力Fを算出することは容易なことではない。 【0018】しかしながら、逆に厳密な計算をしてみたところで、巻取りそのも
のが均一ではなく、また、巻取りの転がる時の初速のような初期条件のわずかな
相違によって衝突時の力Fが顕著に影響されるので実用的なものではない。 【0019】一方、巻取りが他の巻取りへ衝突した時の力を既知の値F0とする
と、衝突時に巻取りの上紙には摩擦力が加わるのでこの摩擦力と紙の張力とのバ
ランスを調べることが巻取りの上紙の破れの現象解明の手段となる。 【0020】図2に示されるように、静止している巻取りBに巻取りAが転がっ
てきて衝突する際に巻取りA、B共にP点で接触している間F 0の力が加わるとする。この時の巻取りAおよびBの上紙同士の動摩擦係数をμ
1とすると巻取りAの上紙にはμ10の摩擦力が働き、即ち、摩擦力Fs(Fs
μ10)が巻取りの上紙において円周方向に引っ張る力となって負荷され、上紙
を破る原動力となる。したがって、この時、巻取りを構成する紙同士の動摩擦係
数が小さければ、上紙1枚でその力を受けることになるが、紙の紙力がFsより
小さい場合に限って上紙は破断し易いということになる。しかしながら、巻取り
を構成している紙同士の動摩擦係数が大きいと、巻取り全体があたかも一枚の紙
の如く挙動するので、この衝突時に発生する摩擦力は、巻取り全体で受けること
になり、巻取りの上紙の破れる確率が極めて小さなものとなる。 【0021】このように考えると巻取りの上紙が破れない条件としては、巻取り
用新聞用紙の紙力fpに巻取りの上紙の内側の摩擦力μ2fを加えたものが巻取り
の上紙の外面(巻取りの表面)の摩擦力より大きい必要があり、式2が成立する
。 【0022】 【式2】 【0023】ここで、f :巻取り同士の衝突時の巻取りの紙の単位幅当りの力 fp:巻取り新聞用紙一枚の単位幅当りの紙力 μ1:巻取りの上紙の外面同士の動摩擦係数 μ2:巻取りを構成する新聞用紙同士の動摩擦係数である。 【0024】式2は、巻取りの上紙の外面同士の動摩擦係数μ1が小さいほど巻
き取られている新聞用紙の紙力には制限が加えられない(つまり紙力の絶対値は
小さくても良い)こと、また巻取りを構成する新聞用紙同士の動摩擦係数μ2
大きくするほど前記と同様に新聞用紙の紙力には制限が加えられないということ
を示している。巻取りの上紙の外面同士の動摩擦係数μ1を小さくすることが破
れの防止に対して効果のあることは、印刷工場の紙倉庫において裸の巻取りを取
り扱う際に巻取りの外面にタルク、ベビーパウダーなどの滑剤を散布すると実際
に巻取り の上紙の破れが効果的に防止できていることからも明らかである。 【0025】しかしながら、実操業においては現象は、非常に複雑であって、巻
取りの衝突時の力そのものがどの程度の力なのかを知る術もなく、また巻取りの
重量、巻取りを構成する新聞用紙の紙力及び動摩擦係数にもかなりのバラツキが
あり、単に動摩擦係数の差(μ1−μ2)が小さいということだけでは完全とはな
らないので、本発明では、(μ1−μ2)が−0.25以上−0.14以下の範囲
となるような、即ち差(μ2−μ1)が0.14以上0.25以下となるような条
件に整えることおよび巻取りを構成する新聞用紙同士の動摩擦係数μ2が0.4
5以上0.60以下であることが必須である。 【0026】紙の動摩擦係数は、用いるパルプの種類、填料、紙の表面性などに
より変わるが、本発明の場合、μ2は填料の内添量を増加させても上限が0.6
0程度であり、一方、巻取りの上紙の外面は摩擦係数上昇剤を内添しているため
上紙の表層にも該上昇剤が露出しているが、巻取りの搬送の間に地面、床面ある
いは他のものと接触して摩擦係数が低下する。しかしながら、μ1はせいぜい0
.36程度が限度である。 【0027】本発明のかかる巻取りを構成する紙同士の動摩擦係数を上昇させる
方法として摩擦係数上昇剤を抄紙原料に添加して公知の抄紙機において抄造する
ことが行なわれる。最近の抄紙機では紙の表裏差をなくす目的で抄紙機ではツイ
ンワイヤー方式を採用する場合が多いが、ワイヤー面であっても通常第一ワイヤ
ー面(上側)を表面、第二ワイヤー面(下側)を裏面とするのが通例で、新聞用
紙の巻取りでは第二ワイヤー面が外側になるように巻かれている。本発明では、
摩擦係数上昇剤を内添して含有した新聞用紙は、一度ジャンボリールに巻き取ら
れた後にワインダーにおいて小径巻取りに断裁される。 【0028】本発明のための摩擦係数上昇剤としての内添用填料としては、とり
わけ粒径1〜30μmの粒子割合が少なくとも80%以上であり、かつ、70μ
m以上の粒子割合を0.4%以下、好ましくは0.05%以下の平均粒子径が5
〜10μmの範囲にある製紙用水和珪酸塩が好適に用いられ、絶乾パルプ当り0
.2〜3重量%の範囲で製紙原料に 添加される。填料の添加率が3重量%を越えると、紙の動摩擦係数の上昇に顕著
な効果がなくなり、コスト増大を招くうえ、得られる印刷用紙の引張り強度、引
裂き強度、破裂強度などの紙力の低下が懸念されるので本発明には適さない。ま
た、添加率が0.2重量%未満では、本発明に適した紙の動摩擦係数が得られな
いので適さない。 【0029】本発明の新聞用紙に用いられるパルプ原料としては針葉樹晒クラフ
トパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、サーモメカニカ
ルパルブ(TMP)、グラウンドパルプ(GP)脱墨古紙パルプ(DIP)など
を挙げることができ、これらは、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。本
発明の新聞用紙を抄造するに際しては、必要に応じて紙力増強剤、歩留向上剤及
びその他の抄紙薬品が用いられ、さらに、抄紙後要求される印刷適性に応じてマ
シンカレンダー、スーパーカレンダーなどで平滑化処理を施すことが可能である
。 【0030】本発明は、ツインワイヤー方式で抄紙し、摩擦係数上昇剤を内添方
式により新聞用紙に加え、巻取りを構成する紙同士の動摩擦係数μ2を0.45
以上0.60以下とし、かつ巻取りの外面同士の動摩擦係数μ1より大きくし、
その差(μ2−μ1)を0.14以上0.25以下とすることにより紙倉庫内にお
ける搬送に際しての巻取り同士の衝突に起因して発生する摩擦力を巻取りの全体
で吸収させることができ、これによって巻取りの上紙の外面の破れを防止でき、
したがって紙倉庫内での巻取り紙の搬送を円滑に行なうことができるので、印刷
工程において給紙が間に合わないために生じる一時停止というトラブルが解消さ
れ、印刷ならびに印刷物の配送を円滑に行なうことができるという効果を有する
。 【0031】 【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、
勿論これらに限定されるものではない。尚、実施例および比較例において%およ
び部とあるのは、すべて重量%および重量部を示す。 【0032】実施例1 針葉樹クラフトパルプ14部、サーモメカニカルパルプ40部、グラウ ンドパルプ7部、脱墨古紙パルプ(新聞)39部の割合で混合して離解し、レフ
ァイナーでフリーネスを110mlC.S.F.(カナダ標準フリーネス)に調
整した混合パルプに特公平1−60183号公報に記載の方法により製造された
粒径1〜30μmの粒子割合が少なくとも80%以上で、かつ70μm以上の粒
子割合が0.4%以下の平均粒子径が5〜10μm製紙用水和珪酸塩を填料とし
て絶乾パルプ当り1%の割合で添加し、紙料とした。 【0033】次いで、この紙料を用いてベルベフォーマII型抄紙機(三菱重工
業社製)において抄速1000m/分で抄造し、マシンカレンダーを通し、坪量
47g/m2、引張り強さ3.5Kgf/15mmの新聞用紙のジャンボ巻取り
を製造し、ワインダーにおいて断裁し、巻取りを構成する紙の動摩擦係数μ2
.52の新聞印刷用の巻取り(A巻取り、50連入、巻取りの重量1、025K
g)を250本製造した。 【0034】これらの巻取りを傾斜面の長さ12m、床の傾斜角1.5°の紙倉
庫を有する印刷工場Aで使用した。紙倉庫内での開梱済の裸の巻取りを搬送する
工程における巻取り同士の衝突時の巻取りの上紙の破れの発生は全くなかった。
これらの巻取りの上紙外面同士の動摩擦係数μ1は0.36、その差(μ2−μ1
)は0.16であった。 【0035】本発明で用いた動摩擦係数、フリーネスおよび引張り強さを測定す
るための方法は、次のとおりである。 (1)動摩擦係数 JIS P 8147の方法に準じ、水平形デジタル式摩擦係数測定器(佐川製
作所製)において引張り速度200mm/分で測定した。 (2)フリーネス JIS P 8121に規定されるカナダ標準形ろ水度試験機を用いて測定した
。 (3)引張り強さ JIS P 8113に規定される方法によりオートペーパーストレングステス
ター(東洋精機製作所製)を用いて測定した。 【0036】比較例1 製紙用水和珪酸塩を填料として添加しないこと以外実施例1と同じにして、坪量
47g/m2、引張り強度3.5Kgf/15mm、巻取りを構成する紙同士の
動摩擦係数μ20.41の新聞印刷用巻取り(A巻取り、50連入、巻取りの重
量1、025Kg)を260本製造し、実施例1と同じ印刷工場Aにおいて同じ
条件で使用した。紙倉庫での巻取りを搬送する工程における巻取り同士の衝突時
の巻取りの上紙の破れは、29本の巻取りで発生し、これは、破れの発生率とし
ては11%であった。これらの巻取りの上紙外面同士の動摩擦係数μ1は0.3
0で、(μ2−μ1)は0.11であった。 【0037】実施例2 針葉樹クラフトパルプ13部、サーモメカニカルパルプ33部、グラウンドパル
プ12部、脱墨古紙パルプ42部の割合で混合して離解し、レファイナーでフリ
ーネス105mlC.S.F.に調整した混合パルプを用い、填料として実施例
1と同じ製紙用水和珪酸塩を絶乾パルプ重量当り2%添加し、抄速1100m/
分とした以外実施例1と同じにして坪量47g/m2、引張り強さ3.5Kgf
/15mm、巻取りを構成する紙同士の動摩擦係数μ20.54の新聞印刷用巻
取り(A巻取り、45連入、巻取りの重量923Kg)を70本製造し、これら
の巻取りを傾斜面の長さ11m、床の傾斜角1.4°の紙倉庫を有する印刷工場
Bで使用した。紙倉庫内での開梱済の裸の巻取りを搬送する工程における巻取り
同士の衝突時の巻取りの上紙の破れの発生は全くなかった。これらの巻取りの上
紙外面同士の動摩擦係数μ1は0.36で(μ2−μ1)は0.18であった。 【0038】比較例2 針葉樹クラフトパルプ13部、サーモメカニカルパルプ37部、グラウンドパル
プ16部、脱墨古紙パルプ36部の割合で混合して離解し、レファイナーでフリ
ーネス105mlC.S.F.に調整した混合パルプを用い、填料を添加せずに
抄速1100m/分とした以外は実施例1と同じにして坪量47g/m2、引張
り強さ3,6Kgf/15mm、巻取りを構成する紙同士の動摩擦係数μ20.
41の新聞印刷用巻取り(A 巻取り、45連入、巻取りの重量923Kg)を100本製造し、印刷工場Bで
使用した。紙倉庫内での開梱済の裸の巻取りを搬送する工程における巻取り同士
の衝突時の巻取りの上紙の破れは、10本の巻取りで発生し、これは破れの発生
率として10%であった。これらの巻取りの上紙外面同士の動摩擦係数μ1は0
.30、(μ2−μ1)は0.11であった。 【0039】実施例3 針葉樹クラフトパルプ9部、サーモメカニカルパルプ43部、グラウンドパルプ
13部、脱墨古紙パルプ35部の割合で混合離解し、レファイナーでフリーネス
を100mlC.S.F.に調整した混合パルプを用い、填料として実施例1と
同じ製紙用水和珪酸塩を絶乾パルプ重量当り1%および2%の割合で添加し、そ
れぞれ別個の紙料を用意した。次いで、これらの紙料を用いてベルベフォーマI
II抄紙機(三菱重工業社製)において抄速1100m/分で抄造し、マシンカ
レンダーを通し、坪量46g/m2、引張り強さがそれぞれ3.0Kgf/15
mmおよび3.1Kgf/15mm、巻取りを構成する紙の動摩擦係数μ2がそ
れぞれ0.48および0.52の新聞印刷用巻取り(A巻取り、40連入り、巻
取りの重量がそれぞれ820Kg)を50本づつ製造した。 【0040】これらの巻取りを印刷工場の紙倉庫内の床を想定して作成した傾斜
面の長さ7.5m、床の傾斜角1.9°のテスト用スロープの上部から転がし、
スロープの下部末端に設置されているストッパーで受け止めるというやり方で、
巻取りを4本並べておいて巻取りを転がし、巻取りが他の巻取りへ衝突した時の
巻取り上紙の破れの発生状況を調べたが、それぞれの場合とも上紙の破れは発生
しなかった。巻取りの上紙外面同士の動摩擦係数μ1はそれぞれ0.34および
0.36、(μ2−μ1)はそれぞれ0.14および0.16であった。 【0041】比較例3 填料として製紙用水和珪酸塩を添加しないこと以外、実施例3と同じにして、坪
量46g/m2、引張り強さ3.0Kgf/15mm、巻取りを構成する紙の動
摩擦係数μ20.40の新聞印刷用巻取り(A巻取り、 40連入り、巻取り重量820Kg)を50本製造した。これらの巻取りを実施
例3と同じようにして、巻取りの上紙の破れの発生状況を調べたところ、巻取り
50本のうち25本に破れが発生し、これは、破れの発生率として50%であっ
た。これらの巻取りの上紙外面同士の動摩擦係数μ1は0.29、(μ2−μ1
は0.11であった。 【0042】実施例1〜実施例3および比較例1〜比較例3で得られた結果を表
1に示す。 【0043】 【表1】 【0044】 【発明の効果】本発明のツインワイヤー方式で抄紙した巻取り用新聞用紙は、摩
擦係数上昇剤を抄造原料に添加して抄紙することにより印刷に供する巻取りを構
成する紙同士の動摩擦係数がμ2を0.45以上0.60以下とし、巻取りの上
紙と別の巻取りの上紙の外面同士の動摩擦係数μ1よりも大きくし、その差(μ2
−μ1)を0.14以上0.25以下とすることにより、印刷工場の倉庫内にお
ける搬送に際して巻取り同士の衝突に起因して発生する摩擦力を巻取り全体で吸
収させることができ、これによって巻取り紙の上紙の破れを防止することができ
、したがって紙倉庫内での巻取りの搬送を円滑に行なうことができるので、印刷
工程において給紙が間に合わないために生じる一時停止というトラブルが解消さ
れ、印刷と印刷物の配送を円滑に行なうことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】 【図1】新聞紙を印刷するための印刷工場の紙倉庫において搬入される開梱を完
了した巻取り紙の流れを示す概略立面図および側面図である。 【図2】紙倉庫の傾斜面における2本の巻取りの接触状態を示す概略側面図であ
る。 【符号の説明】 1.・・・搬送口 2.・・・移動プッシャー 3.・・・コンベアー 4.・・・巻取り紙 5.・・・ストッパー 6.・・・移動ストッパー 7.・・・搬出口(輪転機へ) 8.・・・傾斜角、θ 9.・・・巻取りA 10.・・・巻取りB 11.・・・巻取りAが転がって巻取りBと接触している間加えられる力、F0 12.・・・巻取りAとBの接触点、P 13.・・・巻取りAとBが接触後動く距離、S 14.・・・巻取りの動く方向

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】ツインワイヤー方式で抄紙した巻取り用新聞用紙の製造において摩
    擦係数上昇剤を抄紙原料に内添して抄造し、該新聞用紙を巻取った後の巻取りを
    構成する紙同士のJIS P 8147による動摩擦係数μ2を0.45以上0
    .60以下とし、かつ該巻取りの上紙と別の巻取りの上紙との外面同士の動摩擦
    係数μ1よりも大きくし、その差(μ2−μ1)が0.14以上0.25以下とす
    ることを特徴とする新聞用紙の巻取りを製造する方法。

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