JP2678796B2 - 振動ローラの振動機構 - Google Patents

振動ローラの振動機構

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本願は、振動ローラの振動機構に係り、展圧ローラを
展圧面に対して上下方向と前後方向との二方向に振動さ
せ、効果的な展圧を行なわんとするものである。
従来の技術とその問題点 従来における振動ローラの展圧作業は、展圧面に対し
て展圧ローラを上下方向に振動させ、土砂を強制的に押
し固めるようにして展圧していることは周知である。然
しながらこの従来工法は、振動に伴う衝撃波が近隣に及
んで環境公害を発生することや、上下振動により展圧ロ
ーラが展圧面に対して恰もジャンプするように作用し、
エネルギーの利用効率が低い等の問題点が指摘されてい
た。これ等の問題点を解決せんとしつ近年に至り、例え
ば公表特許公報昭58−500290号に示すように、展圧ロー
ラを展圧面に対して前後(水平)方向に振動させ、この
振動により展圧面の土砂を揺り動かし、一種の遊動状態
としながら展圧する振動ローラが提案されている。この
装置による展圧作業は、展圧ローラの前後振動で展圧面
を一種の流動状態として作業状件を良好に整え、更に所
望の押圧力により締固めを行なわんとするものである
が、この従来装置の展圧ローラは前後振動のみを行な
い、押圧力は振動ローラの自重のみで得るようにしてい
るので、小型軽量の振動ローラの場合には、所望の強さ
の押圧力を得ることができず締固め強度が不足して充分
な展圧効果を望むことができない。
問題点を解決するための手段 本願は、上記従来の問題点を解決する目的により、車
体に取付けた展圧ローラの面板間に、展圧ローラの回転
中心と軸芯を同じくする第1起振軸と、該第1起振軸よ
りこれと平行に所定の間隔を持って第2起振軸とを取付
け、この起振軸をタイミングプーリーこれに巻回するタ
イミングベルト等からなる回転機構により同期回転させ
るとともに、夫々の起振軸に、起振軸の同期回転により
展圧ローラが、展圧面に対して上下方向と前後方向の振
動との双方を行なうようにして起振ウエイトを取付け、
これにより展圧ローラに半径方向及び回転揺動と二方向
の振動を発生させ、従来装置の問題点を除いたものであ
る。
実施例 以下本願を、実施例を示す図面により詳細に説明す
る。本願実施例の振動機構1は、第1図に一部のみを示
した振動ローラの車体2に取付けた展圧ローラ3内に設
置され、而して該展圧ローラ3の車体2への取付けは以
下の如くである。第1図において4は車体2に取付けた
駆動用モータで、このモータ4の回転軸4aに取着した取
付けプレート5と、展圧ローラ3の内周面3aに突設した
フランジ6とが、防振ゴム7を介して一体に締付け固定
されている。上記と反対側は、車体2の内側に突出した
環状の取付部8に、略漏斗状をした軸受部材9を防振ゴ
ム7を介して上記と同様に取付け、軸受部材9は、展圧
ローラ3に設けた面板10の一方の面板10に突設した中空
軸11を、ベアリング12を介して回転自在に支承し懸架式
となっている。このようであるから、駆動用モータ4の
正逆回転で展圧ローラ3が正逆転し振動ローラが前後進
を行なうが、上記した展圧ローラ3の車体2への取付方
式や、駆動方式の構成そのものが本願を左右するもので
はない。次に本願要旨の振動機構1について説明する。
図面において13は第1起振軸で、その軸芯Sが上記展圧
ローラ3の回転中心SAと一致するようにして、上記面板
10間にベアリング12を介して回転自在に取付け、一方側
の軸端には、上記軸受部材9に取付けた起振用モータ14
の回転軸14aが一体に連設され、又他方側の軸端にはタ
イミングプーリー15が取付けられている。16は第2起振
軸で、上記第1起振軸13からこれと平行に所定の間隔を
持ち、ベアリング12を介して回転自在に両面板10間に取
付けられ、一方側の軸端には上記タイミングプーリー15
に対応させてせてタイミングプーリー17を取付け、両プ
ーリー15,17間にタイミングベルト18を巻回して同期回
転機構19を構成する。又20はバランスウエイトで第2図
に示すように、第1、第2起振軸13,16の中心S,S1と同
一直線(展圧ローラの直径)L上に、第1起振軸13より
所定の間隔を持って両面板10間に取付けられ、バネ下重
量の重心位置を展圧ローラ3の回転中心SAと略一致さ
せ、展圧ローラ3の回転の円滑化を図っている。尚上記
実施例において同期回転機構19はタイミングプーリー1
5,17とタイミングベルト18によって構成されているが、
第1,第2起振軸13,16を正確に同期回転させ得るもので
あれば上記に限るものではない。
次に、第1,第2起振軸13,16に取付ける起振ウエイト2
1,22について説明する。起振ウエイト21,22は両起振軸1
3,16の回転により、展圧ローラ3を展圧面23に対して半
径方向及び回転揺動との二方向に振動させるもので、ま
ず第2起振軸16に取付けた起振ウエイト21は第2図に示
すように、重心Gの位置が第1,第2起振軸13,16の中心
を結ぶLと一致し、かつ、第2起振軸16と展圧ローラ3
の内周面3aとの間に位置するようになっており、後記す
るようにこの起振ウエイト21により展圧ローラ3に回転
揺動を発振させる。又第1起振軸13に取付けた起振ウエ
イト22は図面に示すように、起振ウエイト21と同一形状
同一重さの起振ウエイト22を、その重心G1が第1,第2起
振軸13,16を結ぶL線よりθ(本実施例では45゜)だけ
偏心させて取付けられ、これにより夫々の偏心ウエイト
21,22を後記の如く同期回転させると、双方の起振力の
合力は展圧ローラ3の重心に対して、展圧ローラ3を半
径方向に振動させるように作用する。
以上のように構成した本実施例の振動機構1におい
て、起振用のモータ14を回転すると第1,第2起振軸13,1
6が同期回転し、この回転により起振ウエイト21,22が発
生する遠心力を第8図に示すように▲▼,▲
▼とすると、夫々の遠心力▲▼,▲▼は
|▲▼|=|▲▼|であり、遠心力▲
▼,▲▼の合力をとすると||=2|▲
▼|sin(α/2)となり、その方向βは、β=(180゜
−α)/2で起振ウエイト21,22は同期回転しているので
αは変化しない。従って起振ウエイト21,22の回転数が
一定であれば合力||の大きさも常に一定で、この合
力||が展圧ローラ3の重心に作用してその作用方向
に展圧ローラ3を動かそうとし、この合力||の作用
方向は起振ウエイト21,22の回転により変化するので、
これにより展圧ローラ3の重心が半径方向に円弧状の軌
跡を描いて振動し、又この半径方向の振動は、合力|
|の重力方向の分力が振動ローラの自重と合成され、展
圧面23に対して略上下方向の振動として作用し強い押圧
力で締固めを行なう。
一方遠心力▲▼は、起振ウエイト21が回転角度
θ(起振ウエイト22の偏心角θとは異なる)だけ回転
し、この時の起振ウエイト21の回転半径をRとすると、
展圧ローラ3の重心の回りに(|▲▼|R sinθ)
のトルクが発生し、このトルク((|▲▼|R sin
θ)により展圧ローラ3の重心を中心として回転振動さ
せ、該回転振動は展圧面23に対して前後方向の振動とし
て作用する。次に第5図のグラフは、展圧ローラ3を停
止させ第4図Aに示した状態を基準の0゜とし、起振ウ
エイト21,22を一定速度で回転させた場合の、展圧面23
に対して作用する上記前後方向の振動(実線)と、上下
方向の振動(点線)の大きさの変化を45゜刻みで示した
もので、第5図から明らかなように、起振ウエイト21,2
2の一回転を一周期として前後方向と上下方向の振動が
交互に一回ずつ発生する。云う迄もなく振動ローラが展
圧作業を行なうときは振動機構1の上記した作動に加
え、駆動用モータ4が作動して展圧ローラ3が回転し振
動ローラは前後進を行なうので、実際の作業を行なう場
合に展圧ローラ3が振動する波形の位相は、当然に第5
図に示す波形の位相とは異なって来るが、位相の変化が
あるにしても本実施例では、所定の周期で展圧ローラ3
が上記の如く振動し、展圧面23の土砂を遊動状態の展圧
に好適な状態にしながら展圧することにより、展圧面23
は強固に締固められる。又この実施例において夫々の振
動の大きさは、起振ウエイト22の偏心量θを適宜に変更
することにより調整可能である。
上記第1の実施例では展圧ローラ3に所望の振動を発
生させるに際し、第1,第2起振軸13,16に取付けた起振
ウエイト21,22の重心G1,Gを偏心させることにより目的
を達しているが、本願の目的は以下に述べる第2の実施
例でも容易に達成し得る。以下第3図に示した第2の実
施例について説明するが、この実施例は、第1起振軸13
への起振ウエイト122の取付けが上記と異なるのみで、
その他は全て第1実施例と同様であるから、以下の説明
はその相違点についてのみ説明する。第3図において起
振ウエイト121は、上記第1の実施例と同様にして第2
起振軸16に取付けられている。第1起振軸13には起振ウ
エイト121より重量の重い起振ウエイト122を、その重心
G1が、起振ウエイト121の重心G第1,第2起振軸13,16の
中心S,S1を通る直線Lと一致するようにして取付け、両
者が回転する際に生ずる遠心力の差と、この遠心力を互
いに相殺し合う作用を利用し上記第1実施例と同様所望
の振動を得るものである。第6図及び第7図は上記第4
図及び第5図と同様に、展圧ローラ3を停止させ起振ウ
エイト121,122のみを回転させた場合に発生する振動
を、第6図Aの状態を基準点0゜として45゜刻みで示し
たもので、本第2実施例の場合は第5図と異なる位相で
振動が発生するが、起振ウエイト121,122の一回転を一
周期として第1実施例と同じように振動が発生し、所望
の展圧作業が行なわれる。尚当然にこの実施例において
も、展圧ローラ3が回転すると第7図に示した波形の位
相は変化する。
発明の効果 本願は以上詳記したように、振動ローラで展圧作業を
行なうのに際して展圧ローラに、従来装置では未だその
例を見ない展圧面に対して上下方向と前後方向の二方向
の振動を発生させ、然かも上下方向の振動は、二個の起
振ウエイトが回転する際の遠心力の相殺作用により必要
最小限にし、これにより大きな上下振動を発する従来装
置の欠点を除くとともに、滅殺された上下振動による展
圧力の不足を、振動ローラの自重と前後振動によって土
砂に流動性を持たせることで補完し、展圧作業に望まれ
る全てを満足する。
【図面の簡単な説明】
図面は本願実施例を示し、第1図は展圧ローラの断面
図、第2図は第1図A−A線断面図、第3図は他の実施
例の断面図を示し、第4図〜第7図は、起振ウエイトの
回転角と振動の発生状況を示した説明図、第8図は遠心
力の作用方向を示す説明図である。 1……振動機構、3……展圧ローラ、10……面板、13…
…第1起振軸、15,17……タイミングプーリー、16……
第2起振軸、18……タイミングベルト、19……同期回転
機構、20,21,120,121……起振ウエイト

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体に取付けた展圧ローラの面板間に、展
    圧ローラの回転中心と軸芯を同じくする第1起振軸と、
    該第1起振軸よりこれと平行に所定の間隔を持って第2
    起振軸とを取付け、この両起振軸をタイミングプーリー
    これに巻回するタイミングベルト等からなる同期回転機
    構により同期回転させるとともに、夫々の起振軸に、起
    振軸の同期回転により展圧ローラが、展圧面に対して半
    径方向と回転揺動との双方の振動を行なうようにして、
    起振ウエイトを取付けてなる振動ローラの振動機構。
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