JP2678463B2 - 屈折率測定方法 - Google Patents

屈折率測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、屈折率測定方法に関し、特に、プラスチ
ック製のレンズの屈折率及び屈折率分布を測定するのに
適した屈折率測定方法に関する。
[従来の技術] プラスチックレンズは、レンズの軽量化や原価低減、
あるいは非球面レンズなどに対するニーズから、近年多
用されるようになっている。
しかし、プラスチックレンズを物性面の安定という観
点からみると、ガラスレンズに比べて、製造上、屈折率
及びその分布が不安定で変動が大きい欠点がある。した
がって、プラスチックレンズは、屈折率とその分布を成
形後に一個一個測定する必要がある。この場合、レンズ
を破壊するわけにはいかないから、その測定は容易では
ない。非球面レンズなどであればなおさらである。
このようなプラスチックレンズの屈折率の測定方法と
して、従来は次のようなものがあった。
用いられる装置は、全体としては、マッハ・シェンダ
ーの干渉計になっていて、一光束を平面波の参照光とし
て使い、もう一光束中に被検レンズを、被検レンズと屈
折率がほぼ等しいマッチング液に浸してセットする。さ
らに、屈折率参照用として、被検レンズに屈折率の近
い、屈折率既知のガラス試料も同時に液浸してセットす
る。このよな液浸装置をマッハ・シェンダー干渉計の一
光束中に置くことにより生ずる干渉縞観測において、N
本の干渉縞が観測される間の試料の厚さの差を測定し
て、その測定値から被検レンズの屈折率を求めていた。
[発明が解決しようとする課題] しかし、マッチング液の屈折率は、温度変化等に伴っ
て変動するものである。したがって上述の測定方法で
は、温度が変化すればN本の干渉縞の生じる範囲も変動
し、その度毎にその部分の試料の厚さを測定しなければ
ならない。また、レンズの屈折率分布が一様でなけれ
ば、不規則な形の干渉縞が発生するので、N本の縞とい
うのはどのように解釈すればよいかが困難な事態が生じ
る。したがって、このような場合の屈折率測定において
は、定量解釈が難しい欠点があった。また、そのために
測定の自動化なども困難であった。
この発明は、そのような従来の欠点を解消し、レンズ
等被検物を破壊せずにその屈折率と屈折率分布を測定す
ることができ、しかも定量解釈が容易で、測定の自動化
を行うのも容易な屈折率測定方法を提供することを目的
とする。
[課題を解決するための手段] 上記の目的を達成するために、本発明の屈折率測定方
法は、屈折率及び形状が既知の試料と、屈折率が未知で
形状が既知の被検物とを、屈折率が上記被検物とわずか
に異なるマッチング液中に浸し、これらにコヒーレント
光を透過させて、その透過光波を参照光波と重ね合わせ
て干渉縞を発生させ、上記試料を透過した光波により生
ずる干渉縞の強度分布を出力してその出力から上記マッ
チング液の屈折率を求めると共に、上記被検物を透過し
た光波により生ずる干渉縞の強度分布を出力して、その
出力から、その干渉縞を表す多項式のディフォーカス項
と収差項とを分離して、上記ディフォーカス項と上記マ
ッチング液の屈折率とから上記被検物の平均屈折率を求
め、上記収差項から上記被検物の屈折率分布を求めるよ
うにしたことを特徴とする。
[作用] 第11図及び第12図に示されるように、屈折率nmが被検
物の屈折率ntとほぼ等しいマッチング液に浸した被検物
に、波長λの平面波を透過させた時、その透過波と参照
波とによって得られる干渉縞W0(x,y)を考える。
被検物の形状は既知であり(設計値又は測定値が既
知)、その量を I面:Z1=S1(x,y) II面:Z2=S2(x,y) とし、中心肉厚をdとすると、両面のSag量合計Sag(x,
y)は Sag(x,y)=S1(x,y)+S2(x,y)…(1) 一方、屈折率nt(x,y)を、平均屈折率nt0と屈折率分布
Δnt(x,y)とに分離すると、 W0(x,y)=Sag(x,y)・[nt0−nm]+[d−Sag(x,
y)]Δnt(x,y)…(2) (2)式よりマッチング液の屈折率nmを測定すれば、
W0(x,y)はnt0及びΔnt(x,y)のみの関数になるが、
一般には、この二つのパラメータを分離して求めること
はできない。
さて、ここで上記の(2)式を、波面収差の展開式で
は一般的なゼルニケの多項式を用いて展開すると、 W0(x,y)=Sag(x,y)・[nt0−nm]+[d−Sag(x,
y)]Δnt(x,y) =C1+C2ρcos+C3ρsin+C4(2ρ2−1)+C5ρ2
cos2+… と書ける。
C2ρcos,C3ρsinはチルト項、 C4(2ρ2−1)はディフォーカス項(W2) C5ρ2cos2+…は収差項(W) である。
そして、今[nt0−nm]≒0だから、Sag(x,y)・[n
t0−nm]は2次関数で近似でき、ディフォーカス項とほ
ぼ等しくなる。
第13図は、一方の面が球面(曲率半径r)、他方の面
が平面(曲率半径∞)、直径がDであって屈折率分布の
ない種々のRナンバー(R=r/D)の被検物を考え、そ
の被検物を、縞本数3本(W0=3λ)及び1本(W0=1
λ)なる縞を観測可能なようにマッチング液の調合を行
ったと想定した場合の、収差項(ΔW)の値を示してい
る。縞読取の再現性をRmsでλ/25とすれば、縞本数3本
の場合でもR>0.7となる。
したがって、ほとんどのRナンバーの被検物が、縞読
取再現性以下となり、観測された干渉縞の成分がディフ
ォーカス項(W2)のみで表されることを示している。
したがって、読み取った縞W0(x,y)のディフォーカ
ス項W2から[nt0−nm]が求められ、収差項WからΔnt
(x,y)が求められ、二つのパラメータの分離が可能と
なる。すなわち、 (Se1,Se2は、第11図に示されるように、被検物両面の
最大Sag量である。) したがって、被検物の屈折率分布が多項式の収差項か
ら求まり、マッチング液の屈折率を知れば、多項式のデ
ィフォーカス項から、被検物の平均屈折率が求まる。
なお、マッチング液の屈折率nmは、試料の既知の屈折
率と形状とから求めればよい。
[実施例] 第1図は、本発明に用いられる測定装置を示してお
り、この装置は基本的にはマッハ・ツェンダーの干渉計
になっている。1は、コヒーレント光(波長λ)を出射
するコヒーレント光源であり、例えば、He−Neレーザ光
源が用いられる。コヒーレント光源1から出射された光
線は、ビームエキスパンダレンズ2によって拡げられ、
コリメータレンズ3によって平行光束となる。4は第1
のハーフミラーであり、このハーフミラー4で反射され
た光束は可動ミラー5でさらに反射されて透明容器6を
透過する。可動ミラー5は、その角度を任意に微動(チ
ルト)させることができる。
透明容器6は、歪みのないガラスで形成されている。
7は、開閉自在な蓋である。透明容器6内には、被検レ
ンズ10の材質がポリメチルメタクリレート(アクリル)
の場合には、例えばジメチルシリコンオイルとフェニル
メチルシリコンオイルとを混合したマッチング液8が入
っている。
マッチング液8内には、第2図にも示されるように、
屈折率ng及び形状(θ,L)が既知のガラス試料9と、屈
折率ntが未知で、形状(d,Sag(x,y))が既知の被検レ
ンズ10とが並列に、透過光束に対して垂直に配置されて
いる。被検レンズ10は、一般には例えばポリメチルメタ
クリレート(アクリル)等のプラスチック製のレンズが
対象となるが、ガラスその他の材質のレンズを対象にし
てもよい。
第1のハーフミラー4を透過した光束は、第1の固定
ミラー11で反射された後、さらに第2のハーフミラー12
で反射されて、被検レンズ10又はガラス試料9を通って
きた光波と重ね合わせられる。そして、2つの光波の重
なりによって生じる干渉縞が、第1の結像レンズ13によ
って撮像素子14表面上に結像する。
この第1の結像レンズ13と撮像素子14とは、一体とな
って図において上下方向に移動できるように設けられて
いる。したがって、第1図においては第1の結像レンズ
13が被検レンズ10に対向しているが、第3図に示される
ように第1の結像レンズ13をガラス試料9に対向させる
こともできる。
第1図に戻って、撮像素子14は、例えば50×50個の独
立した光電素子により形成されている。そして、その出
力端に、AD変換器15、デジタル用演算回路16及び表示装
置17が順次接続されている。また、演算回路16には、演
算に必要なデータを記憶するメモリ18と、既知のデータ
を入力する入力回路19とが順次接続されている。尚、演
算回路16としては、マイクロコンピュータその他の演算
装置を用いることができる。
20は、透明容器6内の状態を観察するための観察装置
であり、第2のハーフミラー12に対向して設けられた第
2の固定ミラー21と、第2の結像レンズ22と、その結像
位置に設けられた撮像装置23とテレビモニタ24とにより
構成されている。
本発明の測定方法によって被検レンズ10の屈折率測定
を行うには、まず、既知のデータを入力回路19から入力
する。そして、ガラス試料9に関する既知のデータ(n
g,θ,L)はメモリ18に入力して記憶しておく。被検レン
ズ10の形状に関する既知のデータ(d,Sag(x,y))か
ら、被検レンズ10の両面の最大Sag量(Se1+Se2)と各
部分の肉厚[d−Sag(x,y)]とを演算回路16で演算し
て、メモリ18に記憶しておく。
次に、マッチング液8の屈折率nmを被検レンズ10の屈
折率ntとわずかに異なる値に調整する。この調整は、被
検レンズ10を透過した光波によって生ずる干渉縞の数が
例えば3本以下になるように、テレビモニタ24を見なが
ら行う。具体的には、透明容器6の蓋7を取り外してお
いて、マッチング液8を構成する2種のシリコンオイル
のうちの一方をスポイト等で容器6内に点滴し、マッチ
ング液8を撹拌混合すればよい。同一設計値の被検レン
ズを連続的に測定する場合には、マッチング液8の調整
は、最初だけ行っておけばよい。
次に、第3図に示されるように、第1の結像レンズ13
をガラス試料9に対向させる。すると、第4図に示され
るように、ガラス試料9を透過した光波と参照光波との
重なりによって発生する干渉縞30が、撮像素子14に結像
する。そして、そのときの撮像素子14からの出力によっ
て、その縞の空間周波数Fを演算回路16において演算す
る。これは公知のディスクリート・フーリエ・トランス
フォーム(DFT)により行うことができるが、さらに高
速なファースト・フーリエ・トランスフォーム(FFT)
によるのがよい。
この場合、撮像素子14上の干渉縞30に対して直角をな
す、第5図に示されるような線分31上の出力から、第6
図に示されるような略サインカーブ状の明るさの強度分
布を演算する。そして、その強度分布から、FFTによっ
て干渉縞の空間周波数Fを演算し、その値からマッチン
グ液8の屈折率nmを求める。
即ち、 F=k/L (nm−ng)L・tanθ=kλ であるから、 nm=ng+λ・F/tanθ により求められる。そして、nmの値はメモリ18に記憶し
ておく。
次に、第1図に示されるように、第1の結像レンズ13
を被検レンズ10に対向させる。すると、被検レンズ10を
透過した光波と参照光波との重なりによって発生する干
渉縞40が、第7図に示されるように、撮像素子14に結像
する。そのときの撮像素子14からの出力を、演算回路16
において、まず高精度縞解析にかける。この解析は、可
動ミラー5を微小角度回動して縞にチルトを与え、例え
ば公知の空間的フリンジ走査法により行う。そして、位
相を決定して、ひきつづき演算回路16において多項式に
展開する。本実施例においては例えばゼルニケの多項式
に展開する。
そして、メモリ18からマッチング液8の屈折率nmと最
大Sag量(Se1+Se2)とを読み出し、多項式のディフォ
ーカス項から、被検レンズ10の平均屈折率nt0を、 として求め、その結果を表示装置17に出力して表示す
る。
また、メモリ18から、被検レンズ10の各部分の肉厚
[d−Sag(x,y)]を読み出し、多項式の収差項(W)
から、被検レンズ10の屈折率分布Δnt(x,y)を、 として求め、その結果を表示装置17に出力して表示す
る。
(測定例1) 第8図に示されるように、肉厚が4.6mm、両面が各々
半径4mmのガラス(BK9)製の凸レンズの、屈折率と屈折
率分布を測定した。別途の方法で測定したλ=632.8nm
の波長の光でのBK9の屈折率は1.49255であり、分布はほ
ぼ完全に一様であると考えられる。
最大Sag量1.2mm(0.6×2) 観測縞数1.5λ程度 で観測した結果は、 平均屈折率1.4925 屈折率分布最大値0.174×10-4 であった。
この結果から、平均屈折率が極めて正確に測定されて
おり、屈折率分布も極めて小さく、誤差が非常に小さい
ことがわかる。
(測定例2) マッチング液の混合比を変えて、ポリメチルメタクリ
レート(アクリル)製の被検レンズの測定を行った。そ
の結果、 (1)マッチング液の屈折率1.4901のとき被検レンズの
屈折率1.4903 屈折率分布最大値0.511×10-4 であり、 (2)マッチング液の屈折率1.4907のとき被検レンズの
屈折率1.4902 屈折率分布最大値0.852×10-4 となり、マッチング液の混合比が変わっても、測定結果
にほとんど変化がないことがわかる。
(測定例3) 温度を19〜25℃の間で変化させて、ポリメチルメタク
リレート(アクリル)製の被検レンズの測定を行った。
その結果は、第9図に平均屈折率nt、第10図に屈折率
分布を示す。
この結果、被検レンズ及びマッチング液の屈折率の温
度依存性測定値は、d線でのレンズ材料(アクリル)の
理論値及びマッチング液の理論値(アッベの屈折計にて
測定した値)に対して、温度変化率がほとんど一致し
た。
また、屈折率分布最大値は、1.4×10-5の変化しかな
く、温度依存性がほとんどないことがわかる。
[発明の効果] 本発明の屈折率測定方法によれば、被検物はマッチン
グ液に浸すだけなので、測定に際して被検物を破壊する
必要がない。しかも、干渉縞の強度分布の出力から、干
渉縞を表す多項式のディフォーカス項を取り出すことに
より被検物の平均屈折率が求まり、多項式の収差項から
被検物の屈折率分布が求まるので、定量的に求めること
が可能であり、したがって自動解析等も容易に行うこと
ができる等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第3図は本発明による測定を行う測定装置
の一例を示す略示図、第4図ないし第6図はマッチング
液の屈折率を求める手順を示す略示図、第7図は被検レ
ンズを透過した光波により撮像素子表面に生ずる干渉縞
を示す略示図、第8図は第1の測定例に用いられる被検
レンズの略示図、第9図および第10図は第3の測定例の
結果を示す線図、第11図および第12図は本発明の測定原
理を説明する略示図、第13図は本発明の測定原理による
測定精度を説明する線図である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】屈折率及び形状が既知の試料と、屈折率が
    未知で形状が既知の被検物とを、屈折率が上記被検物と
    わずかに異なるマッチング液中に浸し、これらにコヒー
    レント光を透過させて、その透過光波を参照光波と重ね
    合わせて干渉縞を発生させ、上記試料を透過した光波に
    より生ずる干渉縞の強度分布を出力してその出力から上
    記マッチング液の屈折率を求めると共に、上記被検物を
    透過した光波により生ずる干渉縞の強度分布を出力し
    て、その出力から、その干渉縞を表す多項式のディフォ
    ーカス項と収差項とを分離して、上記ディフォーカス項
    と上記マッチング液の屈折率とから上記被検物の平均屈
    折率を求めるようにしたことを特徴とする屈折率測定方
    法。
  2. 【請求項2】屈折率及び形状が既知の試料と、屈折率が
    未知で形状が既知の被検物とを、屈折率が上記被検物と
    わずかに異なるマッチング液中に浸し、これらにコヒー
    レント光を透過させて、その透過光波を参照光波と重ね
    合わせて干渉縞を発生させ、上記試料を透過した光波に
    より生ずる干渉縞の強度分布を出力してその出力から上
    記マッチング液の屈折率を求めると共に、上記被検物を
    透過した光波により生ずる干渉縞の強度分布を出力し
    て、その出力から、その干渉縞を表す多項式のディフォ
    ーカス項と収差項とを分離して、上記収差項から上記被
    検物の屈折率分布を求めるようにしたことを特徴とする
    屈折率測定方法。
  3. 【請求項3】上記試料がガラスである請求項1又は2記
    載の屈折率測定方法。
  4. 【請求項4】上記被検物がレンズである請求項1、2又
    は3記載の屈折率測定方法。
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