JP2676527B2 - 食物繊維不足者の便秘改善,便通促進,便性改善用成型物 - Google Patents

食物繊維不足者の便秘改善,便通促進,便性改善用成型物

Info

Publication number
JP2676527B2
JP2676527B2 JP14833088A JP14833088A JP2676527B2 JP 2676527 B2 JP2676527 B2 JP 2676527B2 JP 14833088 A JP14833088 A JP 14833088A JP 14833088 A JP14833088 A JP 14833088A JP 2676527 B2 JP2676527 B2 JP 2676527B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
constipation
patients
stool
intake
bowel movements
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP14833088A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01319421A (ja
Inventor
元 稲本
善藏 田村
貞夫 武信
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meiji Seika Kaisha Ltd
Original Assignee
Meiji Seika Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meiji Seika Kaisha Ltd filed Critical Meiji Seika Kaisha Ltd
Priority to JP14833088A priority Critical patent/JP2676527B2/ja
Publication of JPH01319421A publication Critical patent/JPH01319421A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2676527B2 publication Critical patent/JP2676527B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、腎不全透析患者、食事制限および歯疾に起
因する食物繊維摂取不足患者に発生した便秘を対象とし
た便秘の治療、予防、便性の改善を目的とする便秘改
善、便通促進、便性改善用成型物に関する。
本発明は、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、
水、およびカロリー接種制限ならびに歯疾による咀嚼力
の減退による食物繊維摂取不足に起因する便秘を対象と
した便秘の治療、予防、便性の改善を目的とする便秘改
善、便通促進、便性改善用成型物に関するものである。
(従来の技術) 便秘とは、健康時に比べ排便の回数が減少しあるいは
便量が減少するため不快感を伴うものをいう。慢性便秘
は器質性便秘と機能性便秘に大別される。器質性便秘は
直腸癌等による腸の狭窄、子宮筋腫など隣接臓器からの
圧迫あるいはS字結腸延長症などによるものである。機
能性便秘は前記のごとき原因のない便秘で痙攣性便秘と
弛緩性便秘に分けられる。慢性便秘の多くは弛緩性便秘
であり、消化吸収しやすい残渣を残さない食餌をとるこ
と、運動不足、排便を抑制する習慣、腹壁緊張の減退等
によるものである。また、直腸の感覚鈍麻によることも
ある。痙攣性便秘は神経過敏性の人にくることが多い。
弛緩性便秘では、糞便は大塊をなし太く硬固であり、痙
攣性便秘では、小塊、兎糞状あるいは鉛筆大の棒状とな
る。
全身症状としては腹痛、逆上、めまい、悪心、不眠、
活動力、思考力の減退、精神不安、憂鬱などを認め、時
に心悸亢進、頻脈、不正脈などを認めるという。これら
は排便とともに消失する。局所症状としては腹痛、腹部
の重圧、膨満感、腹壁緊張、鼓腸、横隔膜の上昇、肺お
よび心臓の圧迫症状などであり、時に糞腫性潰瘍(圧迫
性潰瘍)を起こし、限局性腹膜炎となり、さらに、穿孔
性腹膜炎となる場合がある。
腎透析患者の場合の例にすると、透析患者便秘の原因
は、現在までのところ明らかにはされていないが、透析
患者便秘の多くが透析療法を開始した頃から始まること
を考えると、末期腎不全あるいは透析療法と関連した原
因によって惹起されるものが多いと考えられる。透析患
者では尿毒症性物質が体内に貯留し、そのため多くの臓
器機能は障害される。その一環として腸の機能も障害さ
れる可能性がある。また、尿毒症による貧血のため、腸
も酸素不足となり、機能が障害される可能性も考えられ
る。消化液にも血中と同様尿毒症性物質が含まれ、それ
が腸内細菌叢に影響し、腸内細菌叢は乱れており、その
ため腸の機能が障害される可能性も考えられる。一方、
器質的便秘はまず一般には考えられない。さて、透析患
者において機能的便秘および器質的便秘以外の要因はあ
るであろうか。便秘の前提として、便が充分大腸に存在
していることが挙げられる。すなわち、小腸から大腸に
便となるべき材料が毎日供給されていなければならな
い。便に対し、体内の老廃物を排泄するもう一方の重要
な経路は尿である。尿が充分出なくなった場合、腎・尿
路系の閉塞すなわち器質的なものか、あるいは腎機能の
低下あるいは膀胱の機能麻痺、すなわち、機能的なもの
である他に、いずれも正常であるが脱水が原因である場
合もあり、この場合、水を補充することにより再び尿の
排泄をみる。水は老廃物を腎から排泄する場合の担体で
あり、この不足によるものである。同様なことが便の場
合にも想像される。
本年春、厚生省より報告された日本人の平均摂取食物
繊維量は20gであるから、一日一度便意のある日本人
は、適度な軟らかさの便の場合200g、すなわち、紙の小
パック牛乳一個分の便量となる。日本の一般人自体、近
年は繊維の摂取量が減少し、ダイエットのため小食にし
ている若い女性だけでなく、日常酒を飲む機会の多い成
人男性の場合も食事が乱れ、便秘になっている者が増加
してきている。
丁度よい軟らかさの便は、固くていきむこともなく、
下痢することもなく、バナナ状に排泄されるが、その成
分として水を80%含み、食物繊維が10%、腸上皮の脱落
したものおよび腸内細菌等が10%含まれている。繊維が
適度に水を含み、適度な軟らかさを作る。また、腸を生
理的に刺激して量が多くなることから、腸内の通過時間
を短くし、水その他の吸収が過度にならないようになっ
ている。食物繊維は口、胃、十二指腸、空腸、回腸と続
く消化管において消化液によって消化もされず、吸収も
されない。そのため口より摂取したものが大腸にまで進
み、大腸においても消化吸収はされず、そのまま排泄さ
れ、その際、老廃物等を繊維に巻き込むようにして一緒
に排泄する。すなわち、食物繊維は便の原材料であり、
水を含み便を適度に軟らかくすると同時に、尿における
水と同様老廃物排泄の担体となっている。便の量は繊維
摂取量に対応して多くなる。すなわち、食物繊維10gを
摂取すると、便の量はおよそ100gになると考えられる。
本発明者らの調査により、透析患者の食物繊維摂取量は
一日8.9gで、日本人平均の45%の摂取量であり、平均に
比べ11g不足していることになる。透析患者の便量は一
日89gと算出されるが、大腸内容が少ないため通過に時
間がかかり、その結果、大腸での水分吸収も多くなるの
で、便は硬く、そして、量はさらに少なくなり、一層便
秘に傾く結果となる。
現在、本邦では腎不全による透析患者はおよそ8万人
であり、毎年増加している。
透析患者の便秘の多くは、すなわち、63%あるいは本
発明者らの調査で84%は、透析療法開始後に始まってい
る。
透析患者では心停止による突然死の危険を避けるた
め、高カリウム血症にならないよう食餌の制限をしてい
る。カリウムを多く含み制限しても重大なことにならな
い食物、すなわち、野菜、果物、豆、芋、海草など、通
常、野菜果物類といわれるものである。これらを制限し
ても、血清カリウムは標準値をはずれ高値となるものが
多く、野菜類では水にさらす、ゆでる、煮こぼすなどし
てカリウムの除去につとめている。
透析患者に関する本発明者らの調査で、食物繊維、カ
リウム、水、野菜および野菜類、すなわち、野菜、果
物、豆、芋、海草等の全て各々の摂取量をみると、これ
らは相互にすべて有意に高度に相関する。すなわち、カ
リウム摂取を制限するため、野菜、果物、豆、芋、海草
等の摂取を制限するが、その結果、食物繊維の摂取が著
しく減少することになっている。透析患者では、野菜の
摂取は一食あたり60gに制限され、海草などはできるだ
け摂取しないようにしている。コーヒーにも多く含まれ
ており、透析患者はできるだけコーヒーを飲まないよう
にしている。本発明者らの調査では、透析患者は食餌の
原材料に含まれるカリウムで一日1600mg、水にさらす、
ゆでる、煮こぼすなどの料理法により、カリウムを除去
し、推定一日1300mgのカリウムを摂取している。これに
対し一般人では、一日3000mgないし4000mgのカリウムを
摂取している。この差が食物繊維摂取量の差となってい
るのである。
カリウムは健康な腎臓からはどんどん排泄され、健常
人では高カリウム血症にはならない。しかしながら、腎
機能の廃絶した末期腎不全患者あるいは透析患者では、
尿からの排泄がないため体内に貯留し、高カリウム血症
となることが多い。人工透析によりカリウムを除去する
が、その能力には限度があり、標準値の3.8〜4.5mEg/L
を越え、透析患者では、一般人より高カリウム血症に対
し耐性であるのか強く7mEg/Lを越えて、心停止・心臓が
止まる危険性がでてくる。日頃食事療法を行っているも
のでも、この地に近いものもおり、また、外食、宴会、
正月、結婚式等の際に食事が乱れ、危険な高カリウム血
症となることが多い。現在透析患者死因の第一を占める
心臓死のなかに、高カリウムによる心臓死が多く含まれ
ていると考えられる。高カリウム血症による心臓死は突
然死であり、治療する時間的余裕は通常極めて少ない。
血清カリウムの上昇は、胃・十二指腸潰瘍などの消化
管出血、透析患者にある出血傾向からくる内出血など、
その他の出血、透析時の穿刺を繰り返すことによる組織
の挫滅、手術、小手術の場合でも、麻酔による呼吸抑制
によるアシドーシスなどの原因が認められる。このよう
な状態の際には、食事はさらによく注意する必要がある
が、現実的には下剤を服用せざるを得ないのが実態であ
る。透析患者で下剤を服用する便秘の頻度は、本邦にお
いて患者の42%あるいは49%と報告され、本発明者らの
調査では71%の多数にのぼる。男性に比べ女性に多く
(男子:女子は33:54あるいは63:80)、また、高齢者で
多く、腎不全の原病が糖尿病性腎症であるものが多く、
日中透析者で夜間透析者より便秘が多い。このような違
いから、便秘の頻度は報告により異なってくるものと思
われる。いずれにせよ、透析患者には便秘が著しく多
く、透析患者に処方される薬物中、下剤は最も頻度の高
い薬物の一つであるとされている。
しかし、透析患者では蓄積の問題から、マグネシウム
を含む塩類、下剤および膨化性下剤は使用できず、ま
た、浸潤性下剤DSS(dioctyl sodium sulfosuccinate)
は本邦で使用できなくなり、現在ほとんどは刺激性下剤
が使用され、しかも、適用されている。便秘の期間によ
り使用量は増加し、常用量を越して多く使用され、ま
た、2種類以上併用される例も多い。
透析患者は便秘の不快さから開放されるべく刺激性下
剤を毎日、しかも、多量に服用することが多く、そのた
め下剤による副作用が新たに生じる。突然予告なく、
時、所をかまわず強い腹痛が始まり、便意を生じ、患者
の意向にかまわず便通が始まる。この間の時間的余裕は
少なく、自宅の門が目の前にありながら間に合わず粗相
をしてしまい、人間的に情けない思いをしたり、旅行中
乗り物の中で粗相をするなどの苦い経験をしている。透
析治療中にベッド上で通じをみることは、新しい患者で
はしばしばであり、透析室中に臭い、食事時であると悲
惨で、度重なると患者同士で罵り合い喧嘩にまで至り、
気まずくなることがある。このような事態を経験した患
者は、一日何度かの便通が終わるまで自宅におり、よう
やく外出するとか、用事のある時には、あるいは病院で
透析治療を受ける日の前日には下痢を服用せず、つらく
ても便秘のままで一日を過ごし、帰宅後下痢を服用する
という生活をしているものが多数存在する。このような
場合には、夜中の3時4時に腹痛があり、トイレに行か
なければならないということになることがある。透析患
者で下剤を使用している者は、便通は一日1度では終わ
らず、3回、5回とトイレに通い、少量ずつの排便をみ
る場合が多く、残便感がなくなるまでは落ちつかないと
いう状態である。一日の便通が終わるまで、あるいは残
便感がなくなるまでずっと便通のことを気にして過ご
す。便通が終わると大仕事を終えたような気分になると
いう。便の臭いも強く、家族から嫌われ、トイレに消臭
剤を置き、また、女性ではデパートなどで、あとから使
う人のことが気になって臭いを置いていくことができ
ず、外出先での使用は気がひけてできないという。下剤
を使用すると便の先端が硬く、後部は下痢状態という場
合もあり、また、長く座っていきまなければならないた
め、痔を有する患者では痔を悪化させる原因となり、便
の性状に神経を尖らせることになる。硬い便は恐怖で、
心停止の危険性よりも目前の硬便の痛さのため、野菜、
果物類を多く摂取し、高カリウム血症となり、心停止に
よる突然死と隣合わせで生活する例もある。このよう
に、透析患者の便秘は、患者の生活を著しく不快不便、
時には危険にし、活動を制限するものである。
また、便秘あるいは便量の減少あるいは食物繊維摂取
量と大腸疾患の頻度は密接な関係があり、イギリスでは
およそ100年前から、本邦では近年食事の洋風化などに
よる変化とともに大腸癌が増加し、この30年間で10倍に
増加している。透析患者ではさらに大腸癌の頻度が高
く、本発明者らの1977年の全国調査では、死亡率でみる
と、大腸癌は一般人のおよそ3倍、直腸癌はおよそ5倍
に達する。また、大腸ポリープも著しく多い。
透析患者では回盲部から上行結腸下部にかけての感染
症、さらには、腹膜炎への進展あるいは大腸の偽膜性腸
炎などを見ることが多い。これらも便秘あるいは便秘に
よる腸内細菌叢の変化による影響が大きいと考えられ
る。本発明者らは、その原因として便秘を考え、その便
利は食物繊維不足によるものではないかと推測した。し
かし食物繊維を自然な状態であるいは通常に加工した状
態で摂取させれば高カリウム血症を惹起するため不可能
であることがわかった。
食事制限および歯疾による食物繊維摂取不足患者にお
いても、腎不全透析患者の場合と同様一部の食品成分お
よびカロリー制限のため、野菜、果物、豆、芋、海草等
の摂取が制限され、充分な食物繊維が摂取できない。現
在食物繊維を付加したビスケット等の食品が販売されて
いるが、味をそこなわないようにするためには、7%程
度の含有が上限とされている。そのため、繊維を摂取し
ようとするとカロリーが多くなり、その結果、太ること
になる。そのため、このような食品の摂取を断念するこ
とになる。また、長年の食事習慣を変えることも困難な
場合が多い。
総入れ歯等の歯疾で硬いもの、すなわち、食物繊維を
多く含むものが充分に摂取できない場合、頑固な便秘に
なる。一般の消剤のみでは、改善が困難な場合がある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、腎不全透析患者における食餌制限、就中カ
リウム摂取制限および水摂取制限による食物繊維摂取不
足に主として起因し、また、尿毒症病態による腸内細菌
叢の乱れも加わることにより発生する便秘、もしくは腎
不全患者と同様にカリウム摂取制限、マグネシウム摂取
制限、ナトリウム摂取制限、水摂取制限およびカロリー
摂取制限に起因する食物繊維摂取不足の患者、ならびに
歯疾のため咀嚼力が弱く、そのため繊維性食品の摂取が
充分でなく、食物繊維摂取不足の患者に対する便秘改
善、便通促進、便性改善を目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、カリウム、ナトリウム、マグネシウムを実
質的に含まず、最大粒子径が200μm以下である結晶セ
ルロース、あるいは該結晶セルロースおよびフラクトオ
リゴ糖を含有することを特徴とする食物繊維不足者の便
秘改善、便通促進、便性改善用成型物である。
透析患者には、カリウムおよび/またはイオン交換基
の少ない繊維が必須条件であるが、これらのミネラル
は、通常の加工では食物から除去できない。このような
点を考え、当初化学実験に用いるろ紙が純粋なセルロー
スでできていることがわかり、これを服用可能な状態に
しようと試みたが、繊維が長く、錠剤となり難く、ま
た、カプセルでは充分な量が充填できなかった。その目
的から恒常的に服用するものであるため、できるだけ余
分なものを加えないことも重要な要件である。
本発明の結晶セルロースは、天然のパルプ、リンタ
ー、バガス等の原料を鉱酸による加水分解を経た後、必
要に応じて機械的粉砕手段を加えて、水洗、乾燥するこ
とによって得られたものであり、α−セルロース分とし
て90%以上、好ましくは95%以上、加水分解収率が85%
以上、好ましくは95%以上、最大粒子径が200μm以
下、好ましくは100μm以下で、かつ、該粒子中にカリ
ウム、ナトリウム、マグネシウム等を実質的に含まない
自流動性を有する白色粉末を意味する。
最大粒子径が200μmを超えると、錠剤または顆粒状
態にした場合の成型性および崩壊性のバランスが悪く、
かつ、カプセル充填の場合は充填性、流動性の点で不適
当であった。また、粒子径が大きいと、口腔内でのザラ
ツキが著しく、溜飲性の点においても難がある。
したがって、本発明の結晶セルロースの最大粒子径は
200μm以下、好ましくは100μm以下であることを必要
とする。
鉱酸による加水分解処理によって、α−セルロース分
の増大、セルロースの低重合度化、カリウム、ナトリウ
ム、マグネシウム、リン等の含有量低減化、粒子の微粉
末化、粒子径の均一化等がもたらされ、本発明において
は、セルロースの重合度がレベルオフ(一定化重合度)
に達した、いわゆる結晶セルロースを用いることが好ま
しい。
「一定化重合度」という語は、平均したある程度の重
合度合のことで、1950年発行の「インダストリアル・エ
ンド・エンジニヤリング・ケミストリー」第42巻にO.A.
バチスタ氏執筆の「セルローズの加水分解と結晶」なる
文献によって定義されたものである。
本発明で用いるフラクトオリゴ糖は、シュークロース
にフラクトシルトランスフェラーゼを作用させて得られ
るオリゴ糖類、すなわち、シュークロースにフラクトー
スが1分子結合した物質(以下、GF2と称する)、シュ
ークロースにフラクトースが2分子結合した物質(以
下、GF3と称する)、シュークロースにフラクトースが
3分子結合した物質(以下、GF4と称する)およびシュ
ークロースにフラクトースが4分子結合した物質(以
下、GF5と称する)である。これらのオリゴ糖は、シュ
ークロースにフラクトシルトランスフェラーゼを作用さ
せて得られる転移糖組成物から、たとえば、カーボンク
ロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等の
手段により単離精製することができる。その具体的な製
造法は、特公昭59−53834号公報に記載されている。フ
ラクトオリゴ糖は腸内のビフィズス菌を増殖させる働き
があり、腸内細菌叢を改善する効果が認められている。
本発明において、主成分として結晶セルロースまたは
結晶セルロースとフラクトオリゴ糖を併用して服用す
る。
本発明の結晶セルロースは、カリウム、ナトリウム、
マグネシウム等をほとんど含有していないため、特に高
カリウム血症の危険性を伴う腎透析患者の便秘の解消あ
るいは改善に有効に寄与する。したがって、本発明にお
いては結晶セルロースを単独でも使用されるが、溜飲性
を改善するために各種糖類、有機酸を少量混合してもよ
い。
また、本発明においては、結晶セルロースとフラクト
オリゴ糖を併用して服用することができ、両者を主成分
として配合してなる製剤をある一定期間(実施例におい
ては2週間)連続して服用した語は、服用を一時中断し
ても、排便回数、排便量、色、臭い等の便秘解消、便性
改善効果が低下しにくいことが認められる。
このような効果は、透析患者のみならず、便秘または
下痢気味のあらゆる患者にとって大きな福音となってい
る。すなわち、下剤を用いた場合に起こりやすい不快な
症状を伴わず、正常な排便感覚で数日間の小旅行が楽し
めることは、便秘患者にとっては社会生活への正常な復
帰とも言える爽快感を与える。
中断時の便秘解消、便性改善効果は、個々の患者によ
り差が見られるが、健康な人で、かつ、便秘気味な人の
場合、最長1ケ月以上の中断期間が可能であった。ま
た、結晶セルロースにフラクトオリゴ糖を併用すると、
顆粒、細粒化のような成型体の製造が非常に簡単、か
つ、容易となる効果をも有する。
また、フラクトオリゴ糖は良質の甘味を賦与し、両者
を配合した製剤の食感を改良する効果があり、水の助け
を借りず、唾液のみによる溜飲が可能となり、かつ、長
期間連続して服用することへの抵抗感も解消される。
これらの結果、腎不全透析患者便秘原因の二つの要
素、すなわち、食物繊維の摂取が少ないこと、腸内細菌
叢が乱れていることを一挙に改善し、しかも、カリウム
を透析患者として無視できる程度ないしそれ以下しか含
有しない理想的な成型物ができ上がったのである。
この成型物は、さらに透析患者用としては必須の条件
マグネシウムをも無視できる程度にしか含まず、また、
含有は少ないほどよいナトリウムおよび水もほとんど含
んでいないため、水、ナトリウムの大量摂取による負荷
のため、心不全、高血圧に陥る心配がない利点を有して
いる。また、カロリーもほとんどないため、一般の食物
繊維含有の市販食品ビスケット等がカロリーを多く有す
るため、繊維をこれらで毎日充分摂取しようとすると太
ることになり、摂取が続けられなくなるのに対し、通常
の食事を変更することなく摂取でき、食生活の変更なし
で繊維を摂取することができる。
本発明で用いる結晶セルロースの服用量は、毎食事前
後に0.5〜6.0g−セルロース/食を目処に服用する。服
用開始当初は下剤と併用することも可能であるが、徐々
に様子を見ながら下剤の使用量を低下させ、その後、様
子を見ながら結晶セルロースを含む製剤の服用量をも減
少させることは可能である。
結晶セルロースおよびフラクトオリゴ糖を併用する場
合、その配合比率は任意に決定できるが、両者を含む製
剤の製造のし易さ、食感改善効果、ならびに便性改善効
果を勘案しながら決定されるべきである。
本発明者らの実験においては、製剤中に占める結晶セ
ルロース含有量が5%から100%の範囲にあり、かつ、
フラクトオリゴ糖含有量が0%から60%の範囲に入るこ
とが好適であった。
本発明の成型物は、便秘患者が摂取しやすい形に成型
することができ、たとえば、食品に通常用いられている
顆粒状、細粒状、カプセル、柱状、角状、球状および各
種の不定型状に打錠することが考えられる。また、必要
に大じ呈味成分、着色料、香料、結合液等を添加するこ
とができ、かつ、コーティングして服用することもでき
る。
(発明の効果) 本発明の効果は、次のとおりである。
(1) 透析患者の便秘の解消あるいは改善 1)不可避なカリウム摂取制限に起因する食物繊維の摂
取不足が主たる原因、腸内細菌叢の乱れも一因と考えら
れる透析患者の便秘を解消する。あるいは改善し、下剤
の必要量を減少させる。
2)この効果は、短期間の服用中断にても持続する。
3)便通をみる日を多くする。
4)便の量を多くする。
(2) 便性を改善する。
1)太く長い便にする(兎糞状あるいは鉛筆状などでな
くなる)。
2)便が丁度良い軟らかさになる(硬すぎず、軟らかす
ぎず、排便がスムースでいきまなくてもよくなる)。
3)便が一度に続けて出る(途切れ途切れでなくな
る)。
4)糞切れが良くなり、終了時紙につく量が減る。
5)便は黄色が強くなる。
6)便の臭いが弱くなる。
7)便器に付着しにくく、水で流れ易くなる。
(3) 排便のコントロールがし易くなる。
1)排便の時期を自己の意志でコントロールし易くな
る。
2)下剤による逼迫性便意が消失あるいは減弱する(時
間的余裕が生じる)。
3)下剤による少量排便、頻回のトイレ通いが改善する
(一日一度で終わる)。
4)排便に要する時間が短くなる。
5)排便が朝食前あるいは朝食後に一定してくる(夜中
の排便などが解消する)。
(4) 開放感、爽快感が生じる。
1)排便後の開放感、爽快感が出現する。
2)下剤による残便感が消失する。
(5) 便秘あるいは下剤による消化器系の副作用が改
善する。
1)腹痛の消失あるいは減弱する(下剤によるものが多
い)。
2)膨満感が消失あるいは減弱する。
3)食欲が増進する。
4)屁の臭いが減弱する。
(6) 一般人の便秘を改善する。
1)一般人の便秘者に対し便通のある日を多くする。
2)この効果は、短期間の服用中断によっても持続す
る。
3)一般人便秘者の便量を増加させる。
4)一般人便秘者の用便時間を短くする。
5)一般人便秘者の便を丁度よい軟らかさにする。
6)一般人便秘者に快便感を生じさせる。
7)下痢を改善する。
8)痔疾の状態を改善する。
(参考例) 参考例1 透析患者の食物粗繊維摂取量調査 目 的: 透析患者の食物粗繊維摂取量を明らかにせんとした。
方 法: 非透析日三日あるいは二日連続の食事を三食および間
食等摂取したもの全ての種類と量を調査し、厚生省によ
る4訂食品成分表にもとづきコンピューターで解析し
た。対照は維持透析患者男子15人、女子15人である。対
照は慶應大学病院入院給食15日分とした。
結 果: 透析患者の食物粗繊維摂取量は1.12〜4.17g/日で男子
平均2.18±0.70g/日(表1−1参照)、女子2.55±0.81
g/日(表1−2参照)、男女あわせて平均2.37±0.77g/
日であり、摂取量と男、女、年齢、身長、体重との関連
はみられなかった。また、摂取量は病院給食の透析食
(平均2.55±0.45g/日)、腎不全II度食(平均2.81±0.
44g/日)とほぼ同じであり、一般食(平均4.88±0.80g/
日)は約1/2であった。透析患者の粗繊維摂取量は、野
菜、果物、豆、芋、海草の摂取量およびカリウム摂取
量、水摂取量と各々有意に高度に相関していた(表2参
照)。
考察: 透析患者の植物粗繊維摂取量は予想どおり少なかっ
た。これはカリウム制限による野菜、果物、豆、芋、海
草等の摂取制限によるものと考えられた。また、カリウ
ム除去目的の水にさらす、煮こぼす、ゆでる等の調理法
により水溶性繊維の喪失も考えられ、透析患者の食物繊
維摂取量はさらに少なくなり、一般人に比べかなり少な
いものと考えられる。
参考例2 透析患者の食物繊維摂取量調査 目 的: 透析患者の食物繊維摂取量を明らかにせんとした。
方 法: 厚生省から今春報告された“日本人の食物繊維摂取
量”にもとづき解析した他、参考例1と同様な方法によ
った。
結 果: 透析患者の食物繊維摂取量は男子平均8.22±2.2g/
日、女子平均9.65±3.48g/日、男女合わせて8.93±2.96
g/日であった。今春の厚生省報告による日本人の平均食
物繊維摂取量は、19.6g/日と比べおよそ45.5%に相当し
ていた。食物繊維摂取量、カリウム摂取量、野菜摂取量
はやはり有意に高度に相関していた(第1図a,b,c参
照)。
考察: 透析患者の食物繊維摂取量も粗繊維同様少なかった。
粗繊維と同じ理由、カリウム制限のためと考えられる。
(実施例) 実施例1 カリウム不含食物繊維錠による透析患者の便
通改善(短期間の効果) 目 的: カリウム、マグネシウム、リン、水を実質的に含まな
い食物繊維錠(以下、繊維錠と称する)の透析患者便秘
に対する短期間の効果を明らかにせんとした。
方 法: 結晶セルロース粉末100gにフラクトオリゴ糖を42%含
む糖液100gを徐々に添加し、ミキサーにて混合する。こ
の混合物を14メッシュの篩を通して造粒した後、乾燥容
器に載せ、80℃の熱風にて3時間乾燥し、水分を2%以
下とする。室温(20℃)で10分間放置し冷却する。次に
打錠機にて各0.33g(3粒で1g)に調節して打錠し、成
型品を得る(繊維錠)。
この繊維錠15gの成分組成は、次のとおりであった。
結晶セルロース8.5g、フラクトオリゴ糖3.7g、グリコ
ース1.8g、ショ糖0.7g、果糖0.2g、水分量0.1g、カリウ
ム0.11mg、リン検出せず(検出限界10ppm)、カルシウ
ム0.04mg、ナトリウム0.33mg、マグネシウム検出せず
(検出限界0.5ppm)、塩素1.50mg。
便秘で下剤を服用している透析患者9名に、上記のと
おり調整した繊維錠45錠を一日3回に分服、二週間服
用、ついで服用を二週間休み、そして二週間再服用し効
果をみた。毎日の便の状態は、調査表に患者自身で記入
することにより調査した。既に服用中の下剤は、そのま
まあるいは減量するかは服用者の自由にした。
結 果: 下剤服用量は繊維錠服用時および再服用時減少し(表
3−1参照)、服用時1名、再服用時2名が下剤を必要
としなかった。
一週間あたりの排便回数は、服用前が平均5.2回であ
り、服用により7.5回と増加し、中断時も7.6回と変わら
ず、再服用により8.7回と増加した。
用便時間は繊維錠服用により短くなる者が多かった。
便秘の程度を患者自身の判定でみると、服用により重
症はなくなり軽症が著しく増加し、中断時には軽症は減
少し、再服用により再び増加した(表3−2参照)。
本発明繊維錠は、透析患者の長期にわたり大量に服用
していた下剤の量を減少させ、一部患者では下剤を不要
とした。排便回数も増加させ、また、用便時間も短く
し、患者自身の判定で便秘が軽症となるものが増加し
た。繊維錠は服用時および短期間の中断時も、便秘に対
し有効であった。繊維錠の効果として、短時間で効果が
みられる直接的作用と、一週間から10日で徐々に出現す
る腸内細菌叢の変化などを通し腸内環境を整えて出現
し、ある程度は持続する効果が考えられたが、服用中断
時に服用前よりも排便状態が良好であったのは、後者の
効果と考えられる。
実施例2 繊維錠による透析患者の排便、便性改善(長
期の効果) 目 的: 本発明繊維錠の透析患者便秘に対する長期間の効果を
明らかにせんとした。
方 法: 短期間の効果検討の対象であった患者9名の調査期間
終了時、さらに服用を続けるか否か選択させたところ、
全員服用を継続したいとの要望があった。そこで、短期
調査同様、結晶セルロース約8.5gおよびフラクトオリゴ
糖3.8gを含む錠剤を一日3ないし2回に分服することと
し、既に服用中の下剤は徐々に減量することとした。便
通の状態は調査表を用い問診により調査した。
結 果: (1) 下剤使用量 本発明繊維錠服用後3ケ月以内に9人の総下剤使用量
はおよそ1/6以下になり、6例は下剤不要となった。
(2) 便通の頻度 6例は毎日便通をみるようになった。9例の有便通日
は、一週間あたり服用前の平均4.4日/週から服用後5.9
日/週と便通のある日が多くなった。
(3) 一日の排便回数 一方、有排便日一日の排便回数は、服用前2.6回/日
から1回/日となり、何度も便意が生じ少量ずつ排便す
る要がなくなり、一日一度で済むようになった。
(4) 便量 便の量は9例全員で多くなり、平均服用前の2.9倍と
なった。便の太さは9例中6例で太くなり、その結果、
太いもの7例、程々の太さ7例となり、細いものはなく
なった。便の長さは全例で服用前に比べ長くなった。
(5) 便の性状 1)硬さ 服用により兎糞状、小塊状、泥状の便はなくなり、全
員バナナ状で丁度よい軟らかさになった。
2)服用前全員が黒褐色であったが、服用後全員で黄色
が強くなった。
3)便の臭い 臭いは服用前9例中7例で強く、2例で普通であった
が、服用後全員で弱くなった。
4)服用前9例中7例は水底に沈み、2例では少なくと
も便の一部が水に浮く状態であったが、服用後8例で少
なくとも便の一部は浮くようになった。
5)便が便器に付着し流れにくかったか 服用前、全例で水を流しても便器に一部の便が付着し
易く、流れにくい状態であったが、服用後は全例水で流
れるようになった。
(6) 排便時期の調整 1)服用前全例で時期の調整は思うにまかせず、夜中の
排便、出勤途上、買物中の排便など排便時期の調整は良
くなかった。服用後7例で良好となり、2例で程々とな
った。
2)排便の時期 排便の時期は服用前不定が7例であったが、服用後朝
食後5例、朝食前1例、夕方1例と7例で定期的となっ
た。
3)逼迫便意および便失禁 服用前逼迫性便意あるいはそれに伴う便失禁を認めた
ものは9例中8例に達したが、服用後全例で消失した。
4)意図的便秘の必要性 旅行や通院、所用の途中での便意を避けるため下剤を
服用せず、意図的に便秘をしていたものは9例中4例で
あったが、服用後全例で意図的便秘を必要としなくなっ
た。
5)排便終了後の外出 外出中便意を催すと困るので、一連の排便が終了する
のを待って外出していたものは9例中5例であったが、
服用後全例でその必要性が消失した。
(7) 排便時の状況 1)排便に要する時間 一回の排便に要する時間は、平均5分から3分に短縮
された。一方、排便の支度には逼迫性がなくなった。
2)便の排泄状態 服用全例で途切れ途切れにでていたものが、服用後全
例で一度に続けて出るようになった。
3)糞切れ 服用前糞切れが悪いとするもの8例で、終了時紙につ
く便の量が多いとするものも8例であったが、服用後良
好なものが8例となり、終了時紙につく便の量が多いも
のはなくなり、7例で紙につく量が少なくなった。
(8) 排便感 排便後まだ便が残っているという感じは、服用前全例
で認めたが、服用後は全例で認めなくなった。
2)解放感、爽快感 排便後の解放感、爽快感は服用前全例で認めなかった
が、服用後全例で解放感、爽快感を認めるようになっ
た。
(9) 消化器系の合併作用 1)腹痛 服用前全例に腹痛を認め、また、特に強い腹痛で夜中
でも起きて排便する必要があったが、服用後腹痛は全例
で消失した。
2)膨満感 服用前膨満感を認めていたものは3例であったが、服
用後は1例のみとなった。
3)屁の臭い 服用前臭いが強いとしたものは6例で、程々2例であ
ったが、服用後全例で臭いは弱く、ないしはほとんど消
失した。
4)食欲 食欲は服用前大いにありは2例で、程々6例、少ない
が1例であったが、服用後前例で食欲大いにありとなっ
た。
(10) 患者の感想 1)体調 服用により体調が改善された感じているものは、服用
後4ケ月から6ケ月の時点で9例中8例で、かわらない
とするもの1例であった。
2)繊維錠服用の継続 服用4ケ月から6ケ月の時点で服用を続けたいとする
ものは全例であつた。
考察: 本発明繊維錠は便秘の治療に著効を示した。
本剤は便通のある日の頻度を多くした。
当初は多量の下剤を服用しており、後には総下剤使用
量が1/6以下、しかも、9例中6例は下剤を服用しなく
て、なおかつ頻度が4.4日/週から5.9日/週と多くなっ
たことを考えると、その効果は著しいものである。ま
た、便量も増加させた。また、不快な症状をも解消した
という、この3点を考えると、便秘定義上の3要素を全
て解消、改善したことになる。
下剤では腹痛、逼迫性便意、便意が不定の時に突然始
まるなどのため生活が制限されることを考えると、少な
くともこれらの点では下剤よりも優れた便秘改善剤であ
ると考えられる。
便量を2.9倍と多くすることから、さらに積極的な意
味で便通促進剤と考えることができる。
本剤は便秘を解消、改善するのみならず、便を丁度良
い軟らかさにし、途切れ途切れでなく、スムースに続け
て排出すること、また、いきまなくてもよいことから肛
門にも負担をかけず、本対象透析患者中の痔疾患者2名
では慢性的な痔が改善し、出血がなくなり、痛みがなく
なり、たとえ脱肛してもすぐに元にかえるようになっ
た。すなわち、本剤は便通改善のみならず、便性の改善
も示し、、そのため痔の症状も改善した。
便の色が黄色になったのは、便のpHが酸性になってき
たことを示しており、便の臭い、屁の臭いが弱くなった
ことは、腸内細菌中の腐敗菌が減少し、ビフィズス菌等
の有用な菌が増殖したことを示すものである。便が便器
に付着しなくなり、水で流れるようになったのは粘液の
減少と考えられるが、これらの点でも便性は改善され、
また、腸内細菌叢まで改善されていると考えられる。
突然の逼迫性便意は生活に著しい制限要因となるが、
本剤により下剤によって惹起されると考えられる逼迫性
便意は消失した。また、トイレで排便の支度が急を要し
たのが余裕ができ、あるいは一日一度の排便で終了する
ことなどにより患者は粗相をすることの恐れ、また、便
通にかかわる生活上の制約から解放されたといえる。
同時に排便による解放感、爽快感あるいは食欲がでて
きたことなどは、便秘による体内の変調が改善されたこ
とによるものと考えられるが、さらに患者の気分を良く
し、精神的にも効果のあるものと思われる。実際、患者
は体調が改善されたと感じており、また、服用の継続を
希望していることにも現れていると考えられる。
正常な便通には正常な便性を伴い、腸内細菌叢、大
腸、直腸機能、その他の消化管機能、全身の健康状態な
どが良い状態であることが必要と考えられるが、このよ
うな状態を維持するには、外界との係わりも良好である
必要があり、自然界に存する植物性の食物を自然状態あ
るいは簡単に料理して摂取した場合には必ず繊維が同時
に摂取される。しかしながら、砂糖きびに繊維は著しく
多く存在しても、砂糖にはほとんど存在しない。大豆に
は繊維が多く含まれても、豆腐にはほとんどない。醤油
にもない。米、麦、芋は繊維があっても、酒、ビール、
焼酎等にはない。米は精米によって糖の部分に含まれる
繊維を除く、麦は繊維を多く含むふすまの部分を除いて
パンにするなど、食文化の発展の一つが食物から繊維を
除くことにあったと考えられる。
このように、ただでさえ繊維の少ない食品を摂取する
ようになっている現代社会で、病気に対する食事療法で
野菜、果物、芋、豆、海草等繊維を多く含む食品を制限
するとなれば、全体として食物繊維摂取量は著しく少な
くなることは必定で、その結果、大腸に達する便の原材
料は減少し、便秘に陥ると言う機序が考えられる。
このような患者には、カルシウム、マグネシウム、リ
ン、水など制限されている物質を実質的に摂取せずに、
食物繊維のみ投与するのは、本質的な治療法であり、当
然良い結果が期待でき、そして、実際良い結果になった
ものと考えられる。
結 論: 本発明繊維錠には便秘の改善、便通促進、便性改善、
痔症改善などの効果が認められた。
実施例3 本発明繊維錠による一般人の便通改善 目 的: 本発明繊維錠の一般人便秘に対する効果を明らかにせ
んとした。
方 法: 一般人のボランティア46例、うち便秘9例、便秘ぎみ
者17例、快便者16例、下痢ぎみ者4例に結晶セルロース
約17g、およびフラクトオリゴ糖7.6gを含む錠剤を一日
3回ないし2回に分服することとし、二週間服用、つい
で服用を二週間休みそして、二週間再服用し効果をみ
た。便通の状態は、毎日調査表に対象者本人が記入する
ことにより調査した。
結 果: (1) 排便回数 一週間あたりの排便回数は、服用前便秘群で2.7回/
週であったのが、服用後8.1回/週と著しく多くなった
(表4−1参照)。便秘ぎみ群でも同様に、4.7回/週
から7.9回/週と増加した。服用中断により排便回数は
減少したが、便秘群で7.5回/週、便秘ぎみ群で6.5回/
週と服用前程には減少せず、二週間の服用の効果が中断
によっても持続して見られた。再服用により、便通の回
数は初回服用よりもさらに多くなり、便秘群8.3回/
週、便秘ぎみ群8.5回/週となった。
快便群では服用により、便通回数はやや多くなった。
下痢群では服用時回数はほぼ同じで、中断時、再服用時
にやや増加した。
(2) 便の量 便の量は中断時に比べ、服用時および再服用時ことに
再服用時に多いとする頻度が高かった。(表4−2)。
便量は下痢群で最も多く、快便群がつぎ、さらに便秘
ぎみ群、そして、最も少ない便秘群となった。すなわ
ち、便量の減少と便秘の関係がうかがわれた。
(3) 便の硬さ 便秘群、便秘ぎみ群ともに服用中断時に硬い便の頻度
が増加し、再服用により減少したが、便秘ぎみ群でこの
関係は顕著であった(表4−3参照)。快便群でも同様
であった。
下痢群では服用時、中断時に比べ、軟らかい便の頻度
が減少し普通の便の頻度が増加している。すなわち、服
用により下剤が改善していた。
(4) 用便時間 便秘群、便秘ぎみ群ともに服用時は、服用前および中
断時に比べ用便時間が短縮した(表4−4参照)。快便
群では用便時間が短縮する一方で、長くなるものも見ら
れた。下痢群では用便時間が初回服用後、中断時も再服
用時も短くなっていた。
(5) 快便感 便秘群、便秘ぎみ群、快便群、下剤群ともに服用時良
好となる頻度が高くなっていた(表4−5参照)。
(6) 便秘重症度の自己判定 便秘群、便秘ぎみ群ともに服用時軽症となるものが著
しく増加し、服用前および中断時には重症であるものが
多かった(表4−6参照)。
考察: 本繊維錠は一般人便秘者における便秘を改善した。す
なわち、排便回数を多くし、便量を多くした。同時に便
性をも改善した。適度な軟らかさの便とし、用便時間を
短くした。そして、快便感をもたらした。近年の食生活
の変化から日本人の食物繊維摂取量は減少し続けてお
り、厚生省の今春の報告によれば30年前に比べ、平均摂
取量は80%に減少し、食物1kgあたりの食物繊維量は65
%に減少したとされている。一般人便秘において、ここ
に示したごとく食物繊維の投与が効果を示したことは、
現在日本人は食物繊維の摂取が少なくなりすぎており、
そのため便秘になっている者がかなり存在することを示
すものであろう。
本発明繊維錠は一般人の便秘、便製を改善したばかり
でなく、一般人の快便者の便通を促進し、また、一般人
の下痢ぎみ者の下痢を改善した。すなわち、整腸作用も
みられた。
【図面の簡単な説明】
第1図a,b,cは透析患者における食物繊維量とカリウム
との相関関係について、表1−1および表1−2に示し
た結果をグラフとしたものである。
フロントページの続き (72)発明者 田村 善藏 東京都大田区山王2丁目17番11号 (72)発明者 武信 貞夫 東京都新宿区原町3丁目61番地 ロイヤ ルテラス夏目坂701

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カリウム、ナトリウム、マグネシウムを実
    質的に含まず、最大粒子径が200μm以下である結晶セ
    ルロースを含有することを特徴とする食物繊維不足者の
    便秘改善、便通促進、便性改善用成型物。
  2. 【請求項2】カリウム、ナトリウム、マグネシウムを実
    質的に含まず、最大粒子径が200μm以下である結晶セ
    ルロースおよびフラクトオリゴ糖を含有することを特徴
    とする食物繊維不足者の便秘改善、便通促進、便性改善
    用成型物。
JP14833088A 1988-06-17 1988-06-17 食物繊維不足者の便秘改善,便通促進,便性改善用成型物 Expired - Lifetime JP2676527B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14833088A JP2676527B2 (ja) 1988-06-17 1988-06-17 食物繊維不足者の便秘改善,便通促進,便性改善用成型物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14833088A JP2676527B2 (ja) 1988-06-17 1988-06-17 食物繊維不足者の便秘改善,便通促進,便性改善用成型物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01319421A JPH01319421A (ja) 1989-12-25
JP2676527B2 true JP2676527B2 (ja) 1997-11-17

Family

ID=15450364

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14833088A Expired - Lifetime JP2676527B2 (ja) 1988-06-17 1988-06-17 食物繊維不足者の便秘改善,便通促進,便性改善用成型物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2676527B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IT1290792B1 (it) * 1995-11-14 1998-12-10 Francesco Saverio Dioguardi Preparati a base di microcellulosa
US6200556B1 (en) * 1996-08-22 2001-03-13 Clive B. Moss High fibre, low calorie, dietary composition
WO2000064453A1 (fr) * 1999-04-23 2000-11-02 Meiji Seika Kaisha, Ltd. Desodorisants contre les odeurs de sulfures de fermentation intestinale
JPWO2006054710A1 (ja) * 2004-11-22 2008-06-05 サンスター株式会社 最大消化管通過時間改善剤、消化管通過時間改善剤及び大腸癌予防剤

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01319421A (ja) 1989-12-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0428296B1 (en) Pharmaceutical compositions for treating gastrointestinal distress
JP2002508772A (ja) 健康補助剤
NL8400531A (nl) Dieetvezelprodukt.
CN104026204A (zh) 食药两用中药食品饼干及其制备方法与用途
CN108904808A (zh) 一种治疗便秘的药物组合物及其应用
Himsl et al. Pediatric urinary incontinence
CN107441409A (zh) 用于治疗习惯性便秘的中药组合物及其制备方法
JP2676527B2 (ja) 食物繊維不足者の便秘改善,便通促進,便性改善用成型物
Keating Cyclopaedia of the Diseases of Children, Medical and Surgical
RU2317092C1 (ru) Способ оздоровления организма
CN108618020A (zh) 一种润肠通便改善便秘的膳食食品
JPH09505824A (ja) 便秘の治療におけるジメチコーンの使用
Neff The treatment of colic in infants
TWI784169B (zh) 夜間頻尿之預防或改善劑
JP2004244389A (ja) 栄養補助食品
JPS60112720A (ja) 肝臓疾患治療効果を有する薬剤
Onokayeigho Older Adults and Health Maintenance (1)
CN110638049A (zh) 一种改善肠道功能的碳水化合物固体制剂及其制备方法
CN114271477A (zh) 一种通过调节离子平衡方式改善便秘的组合物及制作方法
Sig Olei rutse. mii-vi J12-. 35
CN108420891A (zh) 一种用于预防和/或治疗高尿酸血症的组合物及其制备方法和用途
Nazarko Causes, prevention and treatment of bowel problems
Cameron Chronic Catarrhal Colitis: A Clinical Study
Cuthbert A Case of Torpor of the Liver and Bowels from Birth, and Consequent Persistent Constipation, in a Boy Six Years Old; Recovery
JP2010018605A (ja) 腸内環境改善剤

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term