JP2676204B2 - 免震を目的とした構造様式と関連装置 - Google Patents

免震を目的とした構造様式と関連装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (イ、産業上の利用分野) 地上に基礎をおいてそこから立ち上がった建物等は地
震時、特に水平地震力の影響を受けやすく、しばしば無
視できない損傷を受ける。これを軽減する一方法とし
て、構造物を水平方向について小さい復元力を持つ装置
で支持して基礎側からの水平地震力ができるだけこの支
持された構造部分に入らないようにする、いわゆる免震
構造の考え方がある。当構造様式および関連装置はこの
ような免震構造の新しい展開を指向したものである。 (ロ、従来の技術) 昭和61年度日本建築学会全国大会梗概集B部門に見ら
れるように、毎年おこなわれている同学会の全国大会で
はここ数年、この目的のため建物等を積層ゴムによる装
置−アイソレータ−で支持させたときの研究成果が十数
編発表されており、いまや積層ゴムが免震アイソレータ
の主流の観を呈している。それらの中では積層ゴムに合
わせて減衰力を発生する装置−ダンパ−の幾種類かが提
案され、これらとの組み合わせによる効果が示されてい
る。 (ハ、発明が解決しようとする問題点) しかしここで積層ゴムによるアイレータは、復元力の
値は小さいものの復元力と変位の関係が根本的に線形で
あって、長周期の地震に対しては共振が危惧される。ま
た線形であることから中立位置付近での拘束力が特に小
さく、地震時以外における風荷重など構造に直接作用す
る力によって生じる振動を防ぐため、付加的な装置を必
要とする。ダンパの中にこのような中立時の安定を企図
した製品がいくつか発表されているが、耐久性や簡便さ
の点で決定的な装置は認められない。一方、一次的構造
要素を従前とまったく異質の材料で構成することは、劣
化に対する検討がなされているとはいえ一抹の不安を残
す。 (ニ、問題点を解決するための手段) 当構造様式は、積層ゴムに換えて、第1図に示すよう
な非線形ではあるがステップ関数状の簡潔な力−変位関
係の復元力を機械的に発生させるアイソレータを用い、
これに、固体摩擦いわゆるクーロン摩擦を応用した同
様、第2図に示すようなステップ関数状の簡潔な力−速
度関係の減衰力を安定して発生させるダンパを組み合わ
せて基礎絶縁型免震構造を構成する。このようにして支
持された構造部分は中立静止時の安定のよさに加えて、
被震時には基礎から伝達される加速度を無理なく確実に
所期の値以下に抑える効果を持つ。以下、このようにし
て支持された構造部分を、免震される構造部分と呼ぶ。 まず、特許請求の範囲第2項記載のアイソレータにつ
いて説明する。 第3図、第7図、第8図はいずれも目的にかなう類似
の転動体と受板の組み合わせをその断面で示したもので
ある。第7図、第8図の場合当然第3図と概略同じ特性
を持ちその関係が各図から自明ゆえ、これらを代表して
第3図の場合について、変位を生じたときの図、第4図
によって説明する。 地震時に受ける水平力XのモーメントX×hによって
転動水(31)は転動角φを生じ、これに対して支持重量
Wによる抵抗モーメントW×bが復元力を構成して、こ
の部分(31)に働く力の釣合が保たれる。hとbはそれ
ぞれ転働時の転動体の高さと、上下の接点を通る2本の
鉛直線間の距離であり、偶力のモーメントの腕長にな
る。転動体の、面接触部に連続する曲面の断面に、いま
一例として高さhoを直径とする円弧を仮定してこの部分
の静的釣合条件式を立てるとき、復元力Xは、変位の正
負に対応して向きのみを変化させ、その大きさに概略無
関係な一定の値をとる、つまりステップ関数状となる、
ことがつぎのように説明できる。 転動体の転動角φに対して各々の腕長hとbは第3図
に示す静止位置での転動体の高さhoと上下の面接触部分
の直径boによって h=ho+boSINφ b=boCOSφ 釣合条件より復元力Xを示せば このとき免震される構造部分(10)の水平変位uと上方
向変位vは u=hoφ v=boSINφ ここで転動体の転動角φとbo/hoを φ≦0.1rad bo/ho≦0.1 程度と考えれば、式、は h≒ho b≒bo で復元力Xがと表される。一方、水平変位uのu<0に対応するφ<
0のときは同様にして 式、の示す復元力と、参考のため式およびこれに
φ<0の範囲を付け加えて得られる復元力を図示したも
のがそれぞれ第5図と第6図である。 実際に製作される装置における変位と復元力の関係は
原点付近で、工作の精度や材料の弾性変形の影響を受け
て第5図および第6図とやや異なった形状を示すことが
考えられるが、本質的には特許請求の範囲第1項記載の
変位と復元力の関係に合致するもので、当装置は目的と
する構造様式を構成してその効果を発揮することができ
る。 式、からもわかるように、復元力Xの大きさは転
動体の形状寸法boとhoによって比較的自由に設定でき、
極端な場合bo=0として式に示す上方向変位と同時に
復元力を除外することも可能である。ここでは以下bo/h
o=|X|/Wを「復元力係数」とよぶことにする。 第7図、第8図の場合もまったく同様の関係が導かれ
るが、このような復元力は回転体の性質から水面内360
゜、転動体(31)の転動角の生ずる方向に対応して表
れ、いずれも中立位置に戻ろうとする力であり、任意の
向きの水平地震力に対抗できる。 なお、この転動体(31)は積層ゴム同様、免震される
構造部分(10)の重量である鉛直方向力のほとんどすべ
てを支持する働きを持ち、説明的な名称としては「復元
力発生兼支持装置」というべきであるが、一般性を持た
せてアイソレータと呼ぶ。 つぎに特許請求の範囲第3項記載のダンパについて説
明する。ダンパはアイソレータとともに基礎絶縁型免震
構造を構成する2つの重要な要素のひとつで、説明的な
名称を当てれば「減衰力発生装置」になる。 速度の大きさに影響されないほぼ一定の減衰力を得る
ためクローン摩擦を応用する。ここで所期の摩擦力とす
るためには一定の面圧力を与えることが必要で、これに
重力を利用する。しかしこの装置を前述のアイソレータ
に併用するに際して、式に示したように免震される構
造部分(10)全体が数センチメートル浮上することに配
慮する必要がある。このような場合を含めて、より安定
した状態で必要とする一定の摩擦力を得るためには、第
9図に示したように免震される構造部分(10)側の該当
部分(41)が基礎側(20)はもちろん、鉛直方向に対し
ては免震される構造部分(10)自身からも独立して滑ら
かに挙動して所要の重力を伝達できる機構としておく必
要がある。こうして得られるほぼ一定の鉛直方向力から
免震される構造部分(10)と基礎側(20)との間に所期
の減衰力を安定して発生させることができ、本質的な意
味で、特許請求の範囲第1項記載の速度と減衰力の関係
を満足させる装置とすることが可能となる。 免震される構造部分(10)に付随するこのような要素
(41)は第9図の場合の外、中空柱の内部を利用するな
ど当機構専用として建物等の供用空間から除外してもよ
いが、供用空間の一部とする場合においても、免震され
る構造部分(10)の最大変位時、床や天井がまわりの部
分から高々2〜3cm沈下した状体を示すだけである。 またこのようなダンパは第10図に示したように、基礎
側(20)に取り付けた天秤状機構によって外付け的にも
実施できる。以上は、いずれの場合も摺動部の材料や形
状の選択、またバラストの調整によって簡単に減衰力の
大きさの設定が可能である。 ここで、前述、当アイソレータについて定義した復元
力係数に対応させて、当ダンパについても、得られる一
定の減衰力と当該ダンパが減衰力を分担すると仮定した
免震される構造部分の一部の重量の比をとって「減衰力
係数」と名付ける。 特許請求の範囲第1項記載の構造様式を実現するため
には、当該構造部分ができるだけ安定した応答を示すよ
うに以上の二種の装置を補適切に配置する必要がある。
つまり、たとえば後述の第11図で示すように、アイソレ
ータをそれらにより形造られる剛心が免震される構造部
分(10)の重心にできるだけ近付くよう、またダンパを
免震される構造部分(10)の重心からできるだけ遠い等
距離の位置になるよう配置するなどである。 なお2種の装置の選定と配置時に水平面の2方向と回
転成分−ねじれ−についてそれぞれすべて、減衰力の合
計が復元力のそれよりも小さくなるよう選ぶ必要があ
る。地震の鎮静後に免震される構造部分をもとの位置に
戻すためである。 (ホ、作用) 一例として第11図に示した、免震される構造部分の重
量98ton、柱間隔4mの平凡な諸元の構造に1968十勝沖地
震八戸港の強震記録NS(北南)とEW(東西)を同時に与
えたときの応答計算を試みる。 ここであらためて、それぞれ単一個々のアイソレータ
とダンパについて、一定の大きさである復元力と免震さ
れる構造部分(10)の全重量の比、また、一定の大きさ
である減衰力と免震される構造部分(10)の全重量の比
それぞれを展開復元力係数、展開減衰力係数と定義す
る。 第11図中の斜めの長方形は構造の平面形を表し、四隅
の小円は展開減衰力係数0.005のダンパ、その他は展開
復元力係数0.005のアイソレータの取り付け位置を表し
たものである。縦方向がNS、横方向がEW、またこれらの
直交軸の交点が免震される構造部分の重心で、これを中
心に描かれた大円が回転半径を表わす。いまこの構造
を、水平面2方向とねじれの1層3自由度モデルとし
て、1968十勝沖地震、八戸港での強震記録NSとEWを同時
に与えて線形加速度法で30秒間の計算をさせ、描かせた
応答波形を第12図〜第14図に示す。第11図とこれら3図
はパーソナルコンピュータの画面コピーである。第11図
から、応答の終始を通じて描かせたアイレータまたはダ
ンパの取り付け点の軌跡が、半径40cmのそれぞれの小円
の内部にすべて収まっていることが観察できる。免震さ
れる構造部分(10)の前述の応答波形3成分ごとに、絶
対速度、速度、変位の順に描かせた第12図〜第14図のう
ち第12図から、NS、EWの受容加速度の絶対値が概ね0.06
G以内に収まっていることが読み取れる。なお、絶対加
速度応答に添えて入力加速度も表示してある。また、速
度と変位はそれぞれ免震される構造部分の基礎に対する
相対速度と相対変位を意味する。 このようにして、一見不安定に見える当構造様式が地
震のような交番荷重に対してはきわめて安定した応答を
示すことが確認できる。 (ヘ、実施例) 再び特許請求の範囲第2項記載のアイソレータから説
明する。 この装置が信頼をもって所期の働きを発揮し、またい
くつかの二次的安全を満足するように配慮した具体例を
第15図に示す。 まず復元力の伝達を確実にするため転動体(31)の上
下端の接触部(32)、(33)と受板(34)、(35)の双
方または片方に同心円状の条痕を付けまたは滑らかな噛
合わせを形造る。 他方、不測の荷重に備えて、この装置に免震される構
造部分(10)の浮き上がりを防止しまた過変位を抑制し
て転倒を防ぐための機構を付加する。これらの働きはこ
の装置が取り付けられるそれぞれ免震される構造部分
(10)側および基礎側(20)から互いに相手側まで近接
して伸べられた一対の円環(36)、(37)によって達成
される。つまり若干の不整合に甘んじるとすれば、この
円環(36)、(37)上に適当な間隔で両端が自由に回転
できる棒状の部材(38)を挟むことによって免震される
構造部分と基礎側の離間を防げる。またこれら一対の円
環(36)、(37)は同時にその内部を貫通している転動
体(31)の一定以上の転動を制限し、過変位による転倒
を防ぐ働きを持つ。 このようなアイソレータを免震される構造部分(10)
側または基礎側(20)へ取り付けるに際して、鉛直方向
に対する適当な固さの緩衝材を挟むことが望ましい。前
述のように、当アイソレータが変位後にちょうどふたた
び中立位置を通過するときに発生する鉛直方向の衝撃を
和らげるためである。 つぎに特許請求の範囲第3項記載のダンパについて
は、クローン摩擦を安定して発生させるため、接触部の
両面または一面を金属、セラミック、コンクリート、石
材、合成樹脂類、等を単独または2種類以上で適宜選ん
で構成することが考えられる。コンクリートなどの脆い
材料に対しては金属等による緊縛や埋め込みによる補強
を必要とする。これらの材料が長期の密着に際して接触
面の化学的変化によって接着する力を減じ、また摺動時
に生じる磨擦屑の影響を軽減するため、第16図、第17図
に例示するように接触面の片側または両側に溝、突起等
を形造る。このときの形状は前述のように摩擦力そのも
のにも影響を与えるから、この部分に配分する重量の調
整と合わせて必要とする減衰力の設定に役立てることが
できる。 特許請求の範囲第1項記載の構造様式を信頼性をもっ
て実現するため、以上の二種の装置の外、構造全体とし
ての二次的安全を一層確実にするためのいくつかの装置
を検討する。 いずれもアイソレータに包含させることを試みた機能
と重複するものであるが、免震される構造部分(10)の
浮き上がり防止装置と過変位の制限装置である。前者に
対しては第18図、第19図および第20図にそれぞれ示すよ
うな繋材、多重の円盤状部材または十字状機能などが考
えられる。このうち繋材は免震される構造部分(10)の
変位時に基礎側(20)との間隔を縮める幾何的な制約を
持つから、最大の変位時に過度な張力を生じない長さを
設定しておく必要がある。また十字状機構は転接触とな
る中立位置を除いて、アイソレータの挙動を面接触でほ
ぼ忠実に追従できる形状を設定可能である。一方、多重
の円盤状部材は二者の中間に位置し、水平変位の大きさ
に無関係に一定の間隔を保つ。これらの装置は免震され
る構造部分(10)の重心を考慮して適切に配置されなけ
ればならない。 つぎに過度の水平変位に対しては、たとえば第21図に
示すような変位の制限装置を構造の隅角部に配置するの
が衝突時に生じるねじり運動を抑えるものにも効果的で
ある。この装置は剛な内外二重の円環(61)、(62)を
比較的柔らかい丸鋼等のU字状、円環状またはコイル状
部材(63)で連結して一体とし、さらに内側円環(62)
の内部にこの内径より小径の軸(64)を挿入する形で配
置したものを一対とした構造である。外側円環(61)ま
たは中心の軸(64)を、免震される構造部分(10)また
は基礎側(20)にそれぞれ固定しておくことによって、
当該構造が過去の強震記録を超える規模の激震受けるな
ど不測の自体に見舞われたときにも、この部分で衝突の
エネルギを消費して二次的な安全を確保できる。中心の
軸を、たとえば第9図、第10図のダンパの円柱部分それ
ぞれ(43)または(48)で代用するなど、他の装置と複
合させて省スペース化することも可能である。 最後にこれらの装置を組み合わせて形成される構造様
式の施工の形態は基本的に3種類に分けられる。 最も基本的には第一階の空間が利用できる下駄履き住
宅。小規模な構造物では第22図に示すようにアイソレー
タ(30)で該当部分を直接的に支持してこれを地表に設
置することになるが、低層ビルに応用する場合には第23
図に示すように、アイソレータ(30)が中立位置通過時
に生じる衝撃をビルの主要部分に伝えないため、衝撃を
伴わない、前述、復元力係数0の、または復元力が極め
て小さいアイソレータによって当該部分を支持し、必要
な復元力を有するアイソレータは、鉛直方向についてこ
の部分と絶縁された残りの部分に配置することが考えら
れる。こうして免震される構造部分(10)の比較的多く
の部分への鉛直方向への衝撃力を回避でき、より高度の
要求に応えることができる。このときに形造られる空間
は地下室を構成する。 第二の形態は規模を問わず第24図に示すように建物の
一層分程度の高さを必要とするアイソレータ(30)を地
中に埋めることによって景観の向上をはかることができ
る。このとき、構造に損傷を伴うような過変位に対して
はこの装置を収容する井筒の側壁そのものが抵抗できる
上、第一の低層ビルの場合も同様であるが、基礎側の側
壁(22)は免震される構造部分(10)の過変位を決定的
に抑制でき、たとえば繋船場に見られるような古タイヤ
様の緩衝材を設置しておくことによって、過変位による
衝突時の衝撃を和らげることができる。またこの形態で
アイソレータ(30)を設置するにはその部分のみ前述、
井筒状に掘り下げ、たとえば軟弱地盤の場合などいかだ
基礎に吊り下げる形式をとることによって掘削士量を減
じることが可能である。 第三の形態は第25図に示すように、建物屋上に塔状構
造物を必要とするときこのような装置をその接続部に挿
入することによって上部の鞭振り現象を軽減し、ふりか
えって基礎側(20)構造への反力も格段に軽減できる。 なお、海外からの技術導入である原子炉建屋のための
積層ゴムを主とした免震装置を当様式による装置で置き
換えることも、形状寸法、許容荷重、耐久性等の面から
十分可能であると考えられる。 またこのようなアイソレータおよびダンパその他の関
連装置はユニット化して市場に供給することも容易であ
る。たとえばアイソレータについては、許容支持力、復
元力係数、高さ、許容水平変位の数値を、またダンパに
ついては許容面圧力、静および動摩擦係数、許容変位の
数値を、また水平変位の制限装置については無拘束水平
変位、最終許容水平変位、許容反力などを呼称して目的
の部材を特定できるものである。したがって施工マニュ
アル等を充実させることによってこれらの装置を広く一
般の施工業者に供給し当様式による免震構造の普及をは
かりうるものと考えている。 (ト、発明の効果) 以上の構造様式と関連装置について、まず特許請求の
範囲第1項で規定した復元力と減衰力それぞれの効果が
明白である。 ステップ関数状のそれぞれ復元力と減衰力は免震さ
れる構造部分(10)の最大加速度をたとえば0.1G程度−
−−基本的には(復元力係数と減衰力係数の和)と重力
の加減速度との積−−−に明確に抑えることができ、後
述の長い周期と関連して、被震時に免震される構造部分
(10)の居住性をも含めた損害を著しく軽減できる。 常時、つまりアイソレータが中立位置かつダンパが
静止時には、両者のそれぞれ復元力と減衰力の和が水平
力に対して構造を安定に保つ。したがって、積層ゴムの
場合のようなトリガー機能を持った別途の拘束装置を必
要としない。また復元力を減衰力より大きく取ることに
よって地震の鎮静後には確実に中立位置に復帰させるこ
とができる。 特許請求の範囲第1項記載の構造様式を構成する主要
装置であるアイソレータを実用化するためには、特許請
求の範囲第2項記載の転動角の制限が不可欠であり、転
動角の制限はつぎの効果を持つ。 転動体と受板の間の不測の滑りに対して小さな損傷
で正常状態に復帰でき、また滑りに対する二次的拘束装
置の製作が容易である。 所要の特許水平変位との関連から結果的に転動体の
高さが大きく取られる。こうして形成される曲率半径の
大きな曲面部から、許容支持力を大きく取ることができ
る。比較のため具体的に鋼種S45Cの場合、高さ5mと1mの
それらについてヘルツの理論から許容支持力を算出すれ
ばそれぞれ124tと5tとなる−−−曲率半径の自乗に比
例。実構造では少なくとも100t程度の許容支持力が望ま
れる。 回転体からなる転動体の曲面部を構成する母線が円
曲線など、表現しやすい簡単な曲線で十分であり、曲率
半径を大きく取れることにも関連して切削等による製作
が極めて容易になる。 また、第12図〜第14図で一部示したような数値計算、
また供試体の試作と実験の繰り返しから、特許請求の範
囲第1項から第3項を通じて、つぎの効果が明らかとな
っている。 周期は支持された構造部分の重量に無関係で概略、
振幅の平方根に比例する。つまり狭義の固有周期を持た
ない。たとえば復元力係数0.05の非減衰1自由度モデル
としての略算では振幅25cmのとき約4秒、地震動に対し
ては長周期側へ逃れられることの外、地盤の固有周期が
関係する地震の卓越周期に対しても共振現象は起こり得
ない。 同じ条件で減衰力を増せば、線形の場合と同様、周期
は長くなり、被震時の共振的現象を避けるための条件を
さらに好ましくする。 固有周期が支持重量、つまり免震される構造部分の
重量に影響されないことは、アイソレータの設計と製作
を容易にする。つまり、支持重量に無関係に設定した復
元力係数は、設計変更等にともなう支持重量の変動に対
して逐一考慮をする必要がない。 当アイソレータの復元力が支持した重量に比例した
値であることから、「ニ、問題を解決するための手段」
の項における説明にかかわらず、アイソレータの配置に
は無関係に、剛心は必ず免震される構造部分の重心に一
致する。したがって、免震される構造部分の床などを支
持するための最大許容支間などの制限は存在するが、ア
イソレータの平面的な配置は比較的自由に変更できる。 水平面2方向の変位を生じるアイソレータが中立位
置を通過する頻度は極めて低く、また通過時に免震され
る構造部分に発生する船直加速度はこの部分の重量が大
きいことから、とりたてて大きな値とはなりえない。 当構造様式を構成するアイソレータは、積層ゴムと
異なり製作に際して大がかりな装置を必要とせず、全国
に普及著しいNC旋盤で量産できる。また対象が地震動で
あって、特に繊細な挙動が期待されるものでもないか
ら、鋼やコンクリートで製作するダンパその他の関連装
置の製作に当たっても特別な精度を必要としない。必然
的に維持管理も極めて容易である。
【図面の簡単な説明】 第1図と第2図はそれぞれ特許請求の範囲第1項記載の
構造様式を規定する変位と復元力、速度と減衰力の関係
を示すグラフである。 第3図と第4図は特許請求の範囲第2項に記載した、所
期の復元力を得るための回転体からなる機構を断面で説
明し、それぞれ中立時と変位を生じた状態を示す。そし
て第5図と第6図はそれぞれこの機構の概念的な復元力
の特性と幾何的条件だけを設定したときの実際の特性で
ある。 第7図と第8図は第3図と概略、同様の特性を有する類
似の機構の例である。 第9図と第10図はそれぞれ特許請求の範囲第3項に記載
した装置に所期の減衰力を生じさせる具体的な機構の例
である。 第11図は特許請求の範囲第1項記載の構造様式の構造の
平面図の一例である。第12図はこれに与えた強震記録で
ある入力加速度と絶対加速度応答を示す。また第13図、
第14図はそれぞれ対応する速度および変位応答で、いず
れもパーソナルコンピュータの画面コピーである。 第15図以降はいずれも斜視図で、第15図は第3図の機構
を具体化したときの装置の例、第16図、第17図は、第7
図または第8図の機構を具体化するときに採用が考えら
れる摺動部分の形状の例である。 第18図〜第20図、第21図はそれぞれ構造全体の二次的安
全を考慮して付加することが考えられる浮き上がり防止
装置の数例と過変位抑制装置の例を示す。 第22図〜第25図は以上で説明した装置を組み合わせて特
許請求の範囲第1項記載の構造様式を形造るときのいく
つかの実施例である。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.基礎絶縁型免震構造において、それぞれつぎの特性
    を持つアイソレータとダンパを組み合わせて構成した構
    造様式。 アイソレータについては、中立位置で復元力0、か
    つ変位を生じた状態では中立位置に戻ろうとする、変位
    の大きさには無関係なほぼ一定、つまりステップ関数状
    の復元力を発生する。 ダンパについては、静止時に減衰力0、かつ稼働時
    には移動に抵抗する向きの、速度の大きさには無関係な
    ほぼ一定、つまりステップ関数状の減衰力を発生する。 2.転動体とその上下端に接する受板から成り、中立位
    置では転動体の上下部分と受板が互いに面接触する形状
    を有して構造を安定に支持、また転動時には転動体の上
    記面接触部分の周縁に設けた、当該境界部分に滑らかに
    接続する円弧他、円錐曲線を母線とする回転体で形成さ
    れる部分が、同上受板に接触して構造を安定に支持する
    と同時に概略、ステップ関数状の復元力を生じさせる免
    震アイソレータにおいて、許容水平変位に対応した転動
    角を0.1rad程度に抑えることを特長とする、特許請求の
    範囲第一項記載の構造様式を構成するアイソレータ。 3.すべり摩擦力を減衰力とする免震ダンパにおいて、
    鉛直軸を持つ筒部に落とし込んだ、筒部と同断面形状を
    持って上下方向に滑らかに動く柱状体によって摺動体の
    片側を構成することにより、柱状体の自重またはこれに
    他の構造部分の重量を併せて、対向する摺動板との間に
    所要の摺動面圧を得る形の、特許請求の範囲第一項記載
    の構造様式を構成するダンパ。
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