JP2672597B2 - チタン酸バリウム単結晶の製造方法 - Google Patents
チタン酸バリウム単結晶の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はチタン酸バリウム単結晶の製造方法に係り、
特に光プロセッシング用フォトリフラクティブ結晶ある
いは非線型光学結晶として用いられる立方晶チタン酸バ
リウム単結晶の製造方法に関する。
特に光プロセッシング用フォトリフラクティブ結晶ある
いは非線型光学結晶として用いられる立方晶チタン酸バ
リウム単結晶の製造方法に関する。
[従来の技術及びその問題点] チタン酸バリウム単結晶は従来フラックス(Flux)
法、トップ シード(Top seed)法(カイロポーラス法
ともいう)及びフローティング ゾーン(Floating zon
e)法により製造されている。
法、トップ シード(Top seed)法(カイロポーラス法
ともいう)及びフローティング ゾーン(Floating zon
e)法により製造されている。
フラックス法としては、フッ化カリウムを融剤(フラ
ックス)として用いるレマイカ(Remeika)の方法[ジ
ャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ
(J.Am.Chem.Soc.)76 p940(1954)]や融剤として塩
化バリウムを用いるブラットナー(Blattner)らの方法
[Helv.Phys.Acta.20 p225(1947)]が知られており、
特に前者はレマイカ法とも呼ばれ、原料として高純度の
炭酸バリウムと酸化チタンの等モル混合物に必要なら酸
化鉄を加えたものを用い、これを以下のように処理して
チタン酸バリウム単結晶を得るものである。すなわち前
記原料混合物を2時間仮焼し粉砕してふるいわけし、10
0メッシュを通過する微粉末と40メッシュを通過するが6
0メッシュは通過しない粗粉末とに分け、それらを適当
に混合したものの所定量を白金ルツボの底に入れ、その
上に融剤として所定量のフッ化カリウムを原料混合物が
覆われるように入れ、その後、これを炉内に入れ溶融徐
冷を行い融剤を流しだして冷却して結晶を取り出すもの
である。しかしながら、この方法では、大きな良質な結
晶が得にくく、また融剤やルツボに起因する不純物が混
入してしまうという欠点がある。
ックス)として用いるレマイカ(Remeika)の方法[ジ
ャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサイエティ
(J.Am.Chem.Soc.)76 p940(1954)]や融剤として塩
化バリウムを用いるブラットナー(Blattner)らの方法
[Helv.Phys.Acta.20 p225(1947)]が知られており、
特に前者はレマイカ法とも呼ばれ、原料として高純度の
炭酸バリウムと酸化チタンの等モル混合物に必要なら酸
化鉄を加えたものを用い、これを以下のように処理して
チタン酸バリウム単結晶を得るものである。すなわち前
記原料混合物を2時間仮焼し粉砕してふるいわけし、10
0メッシュを通過する微粉末と40メッシュを通過するが6
0メッシュは通過しない粗粉末とに分け、それらを適当
に混合したものの所定量を白金ルツボの底に入れ、その
上に融剤として所定量のフッ化カリウムを原料混合物が
覆われるように入れ、その後、これを炉内に入れ溶融徐
冷を行い融剤を流しだして冷却して結晶を取り出すもの
である。しかしながら、この方法では、大きな良質な結
晶が得にくく、また融剤やルツボに起因する不純物が混
入してしまうという欠点がある。
トップ シード法は、前記フラックス法と、結晶引き
上げ法とを組み合せた方法で、比較的高品質な結晶を得
るために、リンツ(Lintz)らによって開発されたもの
であり[マテリアル リサーチ ブリテン(Material R
esearch Bulletin)16 p899(1971)]、これはBaO−Ti
O2系において、TiO2に富んだ溶液から、結晶引き上げ法
(チョクラルスキー法)と同じ手法によって、結晶を育
成するものである。成長を行う温度は1390℃で、温度を
毎時十分の数℃の割合で降下し、同時に、結晶を毎時0.
5〜1.0mmの速度で引き上げるものである。このトップ
シード法は、チタン酸バリウム単結晶を得るための一般
的方法であるが、この方法で得られる結晶は現在のとこ
ろ最大サイズが15×15×10mm程度で、これ以上の大型結
晶は得られていない。また高品質な結晶は得られるもの
の育成技術が難しく、試薬やルツボ等に要する費用の点
で後述のフローティング ゾーン法よりもコスト高とな
る欠点がある。
上げ法とを組み合せた方法で、比較的高品質な結晶を得
るために、リンツ(Lintz)らによって開発されたもの
であり[マテリアル リサーチ ブリテン(Material R
esearch Bulletin)16 p899(1971)]、これはBaO−Ti
O2系において、TiO2に富んだ溶液から、結晶引き上げ法
(チョクラルスキー法)と同じ手法によって、結晶を育
成するものである。成長を行う温度は1390℃で、温度を
毎時十分の数℃の割合で降下し、同時に、結晶を毎時0.
5〜1.0mmの速度で引き上げるものである。このトップ
シード法は、チタン酸バリウム単結晶を得るための一般
的方法であるが、この方法で得られる結晶は現在のとこ
ろ最大サイズが15×15×10mm程度で、これ以上の大型結
晶は得られていない。また高品質な結晶は得られるもの
の育成技術が難しく、試薬やルツボ等に要する費用の点
で後述のフローティング ゾーン法よりもコスト高とな
る欠点がある。
フローティング ゾーン法はブラウン(Brown)らに
よって試みられた方法であり[ジャーナル オブ アプ
ライド フィジックス(Journal of Applied Physics)
35(5) p1954(1964)]、ブラウンらは、BaTiO3組成
の原料を用いて結晶化すると、強誘電性を示さない六方
晶チタン酸バリウムしか得られないのに対し、BaTiO3に
数パーセントのSrTiO3を含ませたBaTiO3−SrTiO3系を用
いると、チタン酸バリウムが強誘電性を示す立方晶とし
て直接結晶化することを利用してフローティング ゾー
ン法によって結晶化を行ない、長さ25mm、径3.2mmを有
する立方晶を得ている。この方法において用いられたSr
TiO3はBaTiO3の結晶構造を、強誘電性を示す立方晶に保
つために必須の成分であるが、SrTiO3が得られた結晶中
に固溶体として残存し、純粋なチタン酸バリウムは得ら
れていない。
よって試みられた方法であり[ジャーナル オブ アプ
ライド フィジックス(Journal of Applied Physics)
35(5) p1954(1964)]、ブラウンらは、BaTiO3組成
の原料を用いて結晶化すると、強誘電性を示さない六方
晶チタン酸バリウムしか得られないのに対し、BaTiO3に
数パーセントのSrTiO3を含ませたBaTiO3−SrTiO3系を用
いると、チタン酸バリウムが強誘電性を示す立方晶とし
て直接結晶化することを利用してフローティング ゾー
ン法によって結晶化を行ない、長さ25mm、径3.2mmを有
する立方晶を得ている。この方法において用いられたSr
TiO3はBaTiO3の結晶構造を、強誘電性を示す立方晶に保
つために必須の成分であるが、SrTiO3が得られた結晶中
に固溶体として残存し、純粋なチタン酸バリウムは得ら
れていない。
従って本発明の目的は、上述の従来技術、特にフロー
ティング ゾーン法による結晶化方法の問題点及び欠点
を解消し、高純度かつ大型の立方晶チタン酸バリウム単
結晶を効率良く製造し得る新規な方法を提供することに
ある。
ティング ゾーン法による結晶化方法の問題点及び欠点
を解消し、高純度かつ大型の立方晶チタン酸バリウム単
結晶を効率良く製造し得る新規な方法を提供することに
ある。
[課題を解決するための手段] 本発明は上記目的を達成するためになされたものであ
り、本発明のチタン酸バリウム単結晶の製造方法は、酸
化バリウム(BaO)成分/酸化チタン(TiO2)成分のモ
ル比が4.7/5.3以上で5/5未満の範囲の混合物の焼結体か
らなる原料棒の下に、30〜60mol%の酸化バリウム(Ba
O)と20〜60mol%の酸化チタン(TiO2)と10〜50mol%
の酸化ホウ素(B2O3)からなる混合物の焼結体からなる
溶媒を設け、該溶媒の下に、チタン酸バリウムからなる
種結晶を設け、溶媒部分が融解するように加熱してチタ
ン酸バリウム単結晶を析出させることを特徴とするもの
である。
り、本発明のチタン酸バリウム単結晶の製造方法は、酸
化バリウム(BaO)成分/酸化チタン(TiO2)成分のモ
ル比が4.7/5.3以上で5/5未満の範囲の混合物の焼結体か
らなる原料棒の下に、30〜60mol%の酸化バリウム(Ba
O)と20〜60mol%の酸化チタン(TiO2)と10〜50mol%
の酸化ホウ素(B2O3)からなる混合物の焼結体からなる
溶媒を設け、該溶媒の下に、チタン酸バリウムからなる
種結晶を設け、溶媒部分が融解するように加熱してチタ
ン酸バリウム単結晶を析出させることを特徴とするもの
である。
本発明のチタン酸バリウム単結晶の製造方法において
原料棒として用いられるものはBaO成分とTiO2成分との
モル比が4.7/5.3以上で5/5未満の範囲の混合物の焼結体
である。原料棒は当然のことながらBaTiO3組成(BaO成
分/TiO2成分のモル比=5/5)であるのが理想である。し
かし本発明者の検討によれば、純粋BaTiO3組成では原料
棒が容易に溶融せず、スムーズにゾーンパスが進行せず
結晶育成が中断してしまうのに対し、原料棒組成がTiO2
成分に富んでいると、溶融がスムーズに起り結晶育成が
容易に進行することが明らかになった。しかしTiO2成分
が余り多くすると、BaTiO3組成からはずれることになる
ので、TiO2成分がわずかに富む組成が望ましい。このよ
うな観点から原料棒のBaO成分/TiO2成分のモル比は上述
の如く4.7/5.3以上で5/5未満の範囲に限定され特に好ま
しくは4.9/5.1以上で5/5未満の範囲である。
原料棒として用いられるものはBaO成分とTiO2成分との
モル比が4.7/5.3以上で5/5未満の範囲の混合物の焼結体
である。原料棒は当然のことながらBaTiO3組成(BaO成
分/TiO2成分のモル比=5/5)であるのが理想である。し
かし本発明者の検討によれば、純粋BaTiO3組成では原料
棒が容易に溶融せず、スムーズにゾーンパスが進行せず
結晶育成が中断してしまうのに対し、原料棒組成がTiO2
成分に富んでいると、溶融がスムーズに起り結晶育成が
容易に進行することが明らかになった。しかしTiO2成分
が余り多くすると、BaTiO3組成からはずれることになる
ので、TiO2成分がわずかに富む組成が望ましい。このよ
うな観点から原料棒のBaO成分/TiO2成分のモル比は上述
の如く4.7/5.3以上で5/5未満の範囲に限定され特に好ま
しくは4.9/5.1以上で5/5未満の範囲である。
また、本発明の方法において溶媒として用いられるも
のは、30〜60mol%の酸化バリウム(BaO)と20〜60mol
%の酸化チタン(TiO2)と10〜50mol%の酸化ホウ素(B
2O3)とからなる混合物の焼結体である。
のは、30〜60mol%の酸化バリウム(BaO)と20〜60mol
%の酸化チタン(TiO2)と10〜50mol%の酸化ホウ素(B
2O3)とからなる混合物の焼結体である。
ここに酸化バリウム(BaO)を30〜60mol%に限定した
理由は30mol%未満又は60mol%を超えるとBaTiO3以外の
結晶が析出するので好ましくないからである。また酸化
チタン(TiO2)を20〜60mol%に限定した理由は20mol%
未満又は60mol%を超えると同様にBaTiO3以外の結晶が
析出するので好ましくないからである。さらに酸化ホウ
素(B2O3)を10〜50mol%に限定した理由は10mol%未満
では六方晶(高温型)のBaTiO3が析出するので好ましく
なく、5mol%を超えるとBaTiO3以外の結晶が析出するの
で好ましくないからである。
理由は30mol%未満又は60mol%を超えるとBaTiO3以外の
結晶が析出するので好ましくないからである。また酸化
チタン(TiO2)を20〜60mol%に限定した理由は20mol%
未満又は60mol%を超えると同様にBaTiO3以外の結晶が
析出するので好ましくないからである。さらに酸化ホウ
素(B2O3)を10〜50mol%に限定した理由は10mol%未満
では六方晶(高温型)のBaTiO3が析出するので好ましく
なく、5mol%を超えるとBaTiO3以外の結晶が析出するの
で好ましくないからである。
[作用] 本発明によれば、フローティング ゾーン法による結
晶育成において所定の化学組成の原料棒及び所定の化学
組成の溶媒を用いることによって、低温でチタン酸バリ
ウム単結晶を育成することが可能となり、純度の高い立
方晶結晶を得ることができる。
晶育成において所定の化学組成の原料棒及び所定の化学
組成の溶媒を用いることによって、低温でチタン酸バリ
ウム単結晶を育成することが可能となり、純度の高い立
方晶結晶を得ることができる。
[実施例] 以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例−1] 原料棒の原料として純度99.99%の炭酸バリウム(BaC
O3)と純度99.99%のルチル型酸化チタン(TiO2)の粉
末を用い、これらをBaO成分/TiO2成分のモル比が4.95/
5.05になるように秤量して混合した。又、溶媒の原料と
して純度99.999%のチタン酸バリウム(BaTiO3)と純度
99.99%の炭酸バリウム(BaCO3)と純度99.99%の酸化
ホウ素(B2O3)とをBaTiO3成分/BaB4O7(BaO+2B2+
O3)成分のモル比が6.5/3.5、すなわち酸化バリウム(B
aO):42.5mol%,酸化チタン(TiO2):27.5mol%,酸化
ホウ素(B2O3):30.0mol%になるように秤量して混合し
た。得られた2種類の混合物を各々乳鉢中で充分に混合
して、以後の反応を促進するために平均粒径10μm以下
の微粉末状の混合物にした。又、溶媒原料としてチタン
酸バリウムの代りに純度99.99%の炭酸バリウム(BaC
O3)と純度99.99%のルチル型酸化チタン(TiO2)を用
いても良い。
O3)と純度99.99%のルチル型酸化チタン(TiO2)の粉
末を用い、これらをBaO成分/TiO2成分のモル比が4.95/
5.05になるように秤量して混合した。又、溶媒の原料と
して純度99.999%のチタン酸バリウム(BaTiO3)と純度
99.99%の炭酸バリウム(BaCO3)と純度99.99%の酸化
ホウ素(B2O3)とをBaTiO3成分/BaB4O7(BaO+2B2+
O3)成分のモル比が6.5/3.5、すなわち酸化バリウム(B
aO):42.5mol%,酸化チタン(TiO2):27.5mol%,酸化
ホウ素(B2O3):30.0mol%になるように秤量して混合し
た。得られた2種類の混合物を各々乳鉢中で充分に混合
して、以後の反応を促進するために平均粒径10μm以下
の微粉末状の混合物にした。又、溶媒原料としてチタン
酸バリウムの代りに純度99.99%の炭酸バリウム(BaC
O3)と純度99.99%のルチル型酸化チタン(TiO2)を用
いても良い。
このようにして得られた2種類の混合物を、約15gず
つ取り、各々直径5mmのラバーチューブに密封して、そ
の後に油圧静水加圧装置を用いて500kg/cm2の圧力で約1
5秒間加圧成形して原料棒用及び溶媒用の加圧成形体を
得た。このようなラバープレス法で加圧成形すること
で、屈曲のない加圧成形物が得られる。
つ取り、各々直径5mmのラバーチューブに密封して、そ
の後に油圧静水加圧装置を用いて500kg/cm2の圧力で約1
5秒間加圧成形して原料棒用及び溶媒用の加圧成形体を
得た。このようなラバープレス法で加圧成形すること
で、屈曲のない加圧成形物が得られる。
前述の工程で得られた原料棒用の加圧成形体は、一次
焼結工程として、加熱装置(縦型シリコニット炉)内の
均熱部に取り付けて約1時間程1250〜1350℃で加熱し
た。この際、炉内酸素流量は、1.0/minにした。この
ように焼結した加圧成形体を取り出し乳鉢を用いて粉砕
し前述の工程同様に平均粒径10μm程度になるように微
粒子化し、再び加圧成形した。この加圧成形は、1000kg
/cm2の圧力で5分間維持することにより行なわれた。そ
して、得られた加圧成形体を二次焼結工程として、前述
の炉内で、再び加熱して焼結させた。この際、炉内の酸
素流量を1.0/min、温度を1560℃に設定し、このよう
な雰囲気中において加圧成形体を5cm/minの昇降速度
で、昇降させて加熱して二次焼結を行なうことにより直
径約7mm、長さ約70mmの外形を有し、緻密度が90%以上
の原料焼結棒を得た。他方、溶媒用の加圧成形体は、前
述の原料棒用の加圧成形体と同様に、炉内温度約800
℃、酸素流量1.0/minの炉内において1時間程加熱し
て、400〜500mgの溶媒焼結棒を得た。
焼結工程として、加熱装置(縦型シリコニット炉)内の
均熱部に取り付けて約1時間程1250〜1350℃で加熱し
た。この際、炉内酸素流量は、1.0/minにした。この
ように焼結した加圧成形体を取り出し乳鉢を用いて粉砕
し前述の工程同様に平均粒径10μm程度になるように微
粒子化し、再び加圧成形した。この加圧成形は、1000kg
/cm2の圧力で5分間維持することにより行なわれた。そ
して、得られた加圧成形体を二次焼結工程として、前述
の炉内で、再び加熱して焼結させた。この際、炉内の酸
素流量を1.0/min、温度を1560℃に設定し、このよう
な雰囲気中において加圧成形体を5cm/minの昇降速度
で、昇降させて加熱して二次焼結を行なうことにより直
径約7mm、長さ約70mmの外形を有し、緻密度が90%以上
の原料焼結棒を得た。他方、溶媒用の加圧成形体は、前
述の原料棒用の加圧成形体と同様に、炉内温度約800
℃、酸素流量1.0/minの炉内において1時間程加熱し
て、400〜500mgの溶媒焼結棒を得た。
次に、このようにして準備した原料焼結棒と溶媒焼結
棒を使用し、また単結晶育成装置として赤外線集中加熱
方式のフローティング ゾーン法単結晶育成装置を使用
してチタン酸バリウムの単結晶を製造した。用いられた
装置内部のチャンバ内配置図を第1図に示すように、準
備した原料焼結棒1をチェンバの上側に配設された試料
回転シャフト3に釣り金8を介して取り付けた。他方、
溶媒原料棒2はチャンバの下側に配設された試料回転シ
ャフト4に保持具(図示せず)を介して取り付けられた
種結晶5(チタン酸バリウム単結晶)の端面に取り付け
た。次に析出した結晶部及び固液界面部の温度勾配が緩
かになるように、種結晶5及び溶媒原料棒2をアルミナ
製保温管6で包囲した。そして、上側の試料回転シャフ
ト3から下側の試料回転シャフト4にわたって石英管7
で包囲して、外気を遮断し、石英管7内に流量1.0/mi
nで酸素を送りこんだ。
棒を使用し、また単結晶育成装置として赤外線集中加熱
方式のフローティング ゾーン法単結晶育成装置を使用
してチタン酸バリウムの単結晶を製造した。用いられた
装置内部のチャンバ内配置図を第1図に示すように、準
備した原料焼結棒1をチェンバの上側に配設された試料
回転シャフト3に釣り金8を介して取り付けた。他方、
溶媒原料棒2はチャンバの下側に配設された試料回転シ
ャフト4に保持具(図示せず)を介して取り付けられた
種結晶5(チタン酸バリウム単結晶)の端面に取り付け
た。次に析出した結晶部及び固液界面部の温度勾配が緩
かになるように、種結晶5及び溶媒原料棒2をアルミナ
製保温管6で包囲した。そして、上側の試料回転シャフ
ト3から下側の試料回転シャフト4にわたって石英管7
で包囲して、外気を遮断し、石英管7内に流量1.0/mi
nで酸素を送りこんだ。
次に、赤外光で集光し装置内において最高温度になる
領域に、原料焼結棒1と溶媒焼結棒2の対向する端面が
位置するるように上下に位置調整を行い、その端面を加
熱して融解させると同時に、加熱温度を一定に保持し、
原料焼結棒1を下方に移動させて溶融した溶媒焼結体2
を介して原料焼結棒1と種結晶5とを接合させた。この
時、軸ずれは多くとも0.5m程度に抑えた。
領域に、原料焼結棒1と溶媒焼結棒2の対向する端面が
位置するるように上下に位置調整を行い、その端面を加
熱して融解させると同時に、加熱温度を一定に保持し、
原料焼結棒1を下方に移動させて溶融した溶媒焼結体2
を介して原料焼結棒1と種結晶5とを接合させた。この
時、軸ずれは多くとも0.5m程度に抑えた。
このようにしてフローティング ゾーン(浮融帯)を
形成させたが、上記接合の際、試料回転シャフト3,4は
互いに逆方向に20〜30r.p.mで回転させ、溶融部分が安
定するまで光源ランプ(図示せず)の電圧を上昇させて
温度を上昇させた。次に、試料回転シャフト3,4の双方
を0.3mm/hの速度で下方に移動させた。このようにし
て、溶融帯を一定形状で安定に維持することにより原料
棒から溶融帯への原料の溶解及び溶融帯から種結晶への
単結晶化された結晶の析出が行なわれた。この際、温度
を上昇させすぎると形成されたチタン酸バリウムが高温
相の六方晶に変化するので(転移点1460℃)、安定化は
相転移を起さない、1460℃未満の低温で行なう必要があ
る。
形成させたが、上記接合の際、試料回転シャフト3,4は
互いに逆方向に20〜30r.p.mで回転させ、溶融部分が安
定するまで光源ランプ(図示せず)の電圧を上昇させて
温度を上昇させた。次に、試料回転シャフト3,4の双方
を0.3mm/hの速度で下方に移動させた。このようにし
て、溶融帯を一定形状で安定に維持することにより原料
棒から溶融帯への原料の溶解及び溶融帯から種結晶への
単結晶化された結晶の析出が行なわれた。この際、温度
を上昇させすぎると形成されたチタン酸バリウムが高温
相の六方晶に変化するので(転移点1460℃)、安定化は
相転移を起さない、1460℃未満の低温で行なう必要があ
る。
以上のような工程を経て約45時間後に育成した結晶は
表面にファセットが生じ、最終的に長さ30mm、直径6mm
という大型の立方晶チタン酸バリウムの単結晶を高純度
で得ることができた。
表面にファセットが生じ、最終的に長さ30mm、直径6mm
という大型の立方晶チタン酸バリウムの単結晶を高純度
で得ることができた。
[実施例−2] 原料棒の原料として実施例−1と同様のものを用い
て、BaO成分/TiO2成分のモル比が4.95/5.05になるよう
に、又、溶媒の原料として実施例−1と同様のものを用
いて、BaO,TiO2,B2O3の割合がBaO:58.3mol%,TiO2:30.1
mol%,B2O3:11.6mol%になるように秤量混合した。以下
実施例−1と同様な工程を経て約40時間後に育成した結
晶は表面にファセットが生じ、最終的に長さ28mm,直径6
mmという大型の立方晶チタン酸バリウムの単結晶を高純
度で得ることができた。
て、BaO成分/TiO2成分のモル比が4.95/5.05になるよう
に、又、溶媒の原料として実施例−1と同様のものを用
いて、BaO,TiO2,B2O3の割合がBaO:58.3mol%,TiO2:30.1
mol%,B2O3:11.6mol%になるように秤量混合した。以下
実施例−1と同様な工程を経て約40時間後に育成した結
晶は表面にファセットが生じ、最終的に長さ28mm,直径6
mmという大型の立方晶チタン酸バリウムの単結晶を高純
度で得ることができた。
[実施例−3] 原料棒の原料として実施例−1と同様のものを用い
て、BaO成分/TiO2成分のモル比が4.85/5.15になるよう
に、又、溶媒の原料として実施例−1と同様のものを用
いて、BaO,TiO2,B2O3の割合がBaO:42.5mol%,TiO2:27.5
mol%,B2O3:30.0mol%になるように秤量混合した。以下
実施例−1と同様な工程を経て約50時間後に育成した結
晶は表面にファセットが生じ、最終的に長さ35mm,直径6
mmという大型の立方晶チタン酸バリウムの単結晶を高純
度で得ることができた。
て、BaO成分/TiO2成分のモル比が4.85/5.15になるよう
に、又、溶媒の原料として実施例−1と同様のものを用
いて、BaO,TiO2,B2O3の割合がBaO:42.5mol%,TiO2:27.5
mol%,B2O3:30.0mol%になるように秤量混合した。以下
実施例−1と同様な工程を経て約50時間後に育成した結
晶は表面にファセットが生じ、最終的に長さ35mm,直径6
mmという大型の立方晶チタン酸バリウムの単結晶を高純
度で得ることができた。
[実施例−4] 原料棒の原料として実施例−1と同様のものを用い
て、BaO成分/TiO2成分のモル比が4.75/5.25になるよう
に、又、溶媒の原料として実施例−1と同様のものを用
いて、BaO,TiO2,B2O3の割合がBaO:40.0mol%,TiO2:25.0
mol%,B2O3:35.0mol%になるように秤量混合した。以下
実施例−1と同様な工程を経て約55時間後に育成した結
晶は表面にファセットが生じ、最終的に長さ38.5mm,直
径6mmという大型の立方晶チタン酸バリウムの単結晶を
高純度で得ることができた。
て、BaO成分/TiO2成分のモル比が4.75/5.25になるよう
に、又、溶媒の原料として実施例−1と同様のものを用
いて、BaO,TiO2,B2O3の割合がBaO:40.0mol%,TiO2:25.0
mol%,B2O3:35.0mol%になるように秤量混合した。以下
実施例−1と同様な工程を経て約55時間後に育成した結
晶は表面にファセットが生じ、最終的に長さ38.5mm,直
径6mmという大型の立方晶チタン酸バリウムの単結晶を
高純度で得ることができた。
[実施例−5〜32] 原料棒の成分比及び溶媒の成分比を本発明の限定範囲
内で表−1に示したように種々変動させた以外は実施例
−1と同様に実施して、大型の立方晶チタン酸バリウム
の単結晶を高純度で得られることができた。
内で表−1に示したように種々変動させた以外は実施例
−1と同様に実施して、大型の立方晶チタン酸バリウム
の単結晶を高純度で得られることができた。
上述の実施例では、種結晶にチタン酸バリウム単結晶
を用いたが、チタン酸バリウム焼結体でも同様の効果が
得られる。
を用いたが、チタン酸バリウム焼結体でも同様の効果が
得られる。
また、実施例1において結晶の育成速度を0.3mm/h程
に設定したが、0.1〜0.5mm/h程度の範囲であれば、良質
な単結晶を得ることができる。
に設定したが、0.1〜0.5mm/h程度の範囲であれば、良質
な単結晶を得ることができる。
また実施例1では、1.0/minの酸素を流したが、0.5
〜1.5/min程度の流量であれば、4価のチタンが3価
になるのを防止することができるので、結晶の定比性を
安定化することができる。
〜1.5/min程度の流量であれば、4価のチタンが3価
になるのを防止することができるので、結晶の定比性を
安定化することができる。
[発明の効果] 以上述べた通り、本発明のフローティング ゾーン法
によるチタン酸バリウム単結晶の製造方法によれば、所
定組成比の原料棒と所定組成比の溶媒とを用いることに
より、従来のフローティング ゾーン法に比べて大型か
つ高純度の立方晶チタン酸バリウムを短期間に容易に育
成することができるという利点がある。また従来のフロ
ーティング ゾーン法に比べ原料試薬も最小限で育成が
可能なため製造コストも大幅に低減できるという利点も
ある。
によるチタン酸バリウム単結晶の製造方法によれば、所
定組成比の原料棒と所定組成比の溶媒とを用いることに
より、従来のフローティング ゾーン法に比べて大型か
つ高純度の立方晶チタン酸バリウムを短期間に容易に育
成することができるという利点がある。また従来のフロ
ーティング ゾーン法に比べ原料試薬も最小限で育成が
可能なため製造コストも大幅に低減できるという利点も
ある。
第1図は本発明のチタン酸バリウム単結晶の製造方法を
実施する際に使用した単結晶製造器の結晶チェンバ内の
配置図である。 1……原料焼結棒、2……溶媒焼結棒、5……種結晶。
実施する際に使用した単結晶製造器の結晶チェンバ内の
配置図である。 1……原料焼結棒、2……溶媒焼結棒、5……種結晶。
Claims (1)
- 【請求項1】酸化バリウム(BaO)成分/酸化チタン(T
iO2)成分のモル比が4.7/5.3以上で5/5未満の範囲の混
合物の焼結体からなる原料棒の下に、30〜60mol%の酸
化バリウム(BaO)と20〜60mol%の酸化チタン(TiO2)
と10〜50mol%の酸化ホウ素(B2O3)とからなる混合物
の焼結体からなる溶媒を設け、該溶媒の下に、チタン酸
バリウムからなる種結晶を設け、溶媒部分が融解するよ
うに加熱してチタン酸バリウム単結晶を析出させること
を特徴とするチタン酸バリウム単結晶の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24323088A JP2672597B2 (ja) | 1987-09-30 | 1988-09-28 | チタン酸バリウム単結晶の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62-246215 | 1987-09-30 | ||
JP24621587 | 1987-09-30 | ||
JP24323088A JP2672597B2 (ja) | 1987-09-30 | 1988-09-28 | チタン酸バリウム単結晶の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01157500A JPH01157500A (ja) | 1989-06-20 |
JP2672597B2 true JP2672597B2 (ja) | 1997-11-05 |
Family
ID=26536163
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24323088A Expired - Lifetime JP2672597B2 (ja) | 1987-09-30 | 1988-09-28 | チタン酸バリウム単結晶の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2672597B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA2079936C (en) * | 1991-10-08 | 1998-05-19 | Akihito Kurosaka | Process for preparing barium titanate single crystals |
-
1988
- 1988-09-28 JP JP24323088A patent/JP2672597B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01157500A (ja) | 1989-06-20 |
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