JP2672262B2 - 新規2(1h)−キノロン化合物 - Google Patents

新規2(1h)−キノロン化合物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規2(1H)−キノ
ロン誘導体、これらの化合物の製造方法およびこれらの
化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】若干の2(1H)−キノロン誘導体が、
刊行物に記載されている。これらの誘導体の中では、例
えばC.ALABASTERらにより、心臓刺激剤とし
て、開示された化合物(J.Med.Chem.,3
1,2048−2056,1988)またはF.BAH
Rらにより開示された化合物(Pharmazie,3
6,H.10,1981)を挙げることができる。
【0003】
【発明の開示】本発明に開示されている化合物は、これ
らが新規化合物であることのほかに、特に有利な薬理学
的性質を示す。これらの化合物は、興奮性アミノ酸の活
動亢進に関連する現象の強力な抑制剤である。L−グル
タミン酸およびL−アスパラギン酸は、中枢神経系のニ
ューロンを活性化する能力を有し、かなりの研究におい
て、これらの興奮性アミノ酸(EAA)が神経伝達物質
であるとする必須条件を満たすものであることが証明さ
れている。この理由で、これらのEAAに関連するニュ
ーロンの挙動の調整は、神経学的疾病の処置という目的
に対して有用性を有するものと見做される。
【0004】実際に、EAAの過剰放出およびこれらの
酸のレセプターの過剰刺激が、てんかん症、老人性痴呆
症または卒中に見られるニューロン変性の原因の一つで
あると見做される。現時点で、EAAが密接に関係して
いるニューロン変性性疾患(筋萎縮性側索硬化症、ハン
チントン舞踏病、精神分裂症)の数は増加し続けている
(McGEER E.G.等による、Nature 2
63,517−519,1976;SIMON R.等
による、Science 226,850−852,1
984)。
【0005】さらにまた、EAA依存性神経伝達の活動
亢進が神経毒作用を発揮することは確かなことである
が、この神経伝達の正常な活性化はまた、記憶および認
識挙動を助長する(LYNCH G.およびBAUDR
Y M.,Science,224,1057−106
3,1984;ROTHMAN S.M.およびOLN
EY J.W.,Trends in Neuro S
ci.,10,299−302,1987)。従って、
薬理学的および治療学的観点から、生理学的レベルの活
性化を損なうことなく、病的刺激のみに対抗するように
適合させることが肝要である。シナプス前部および後部
に位置するEAAレセプターは、その親和性および特定
のリガンドの電気生理学的および(または)神経化学的
効果によって、4群に分類される:
【0006】1価および2価カチオン(カルシウムを含
む)に対しては透過性であるが、マグネシウムによって
遮断されるイオンチャンネルに関連するNMDA(N−
メチル−D−アスパルテート)レセプター。細胞中のカ
ルシウムの蓄積は、ニューロン死滅の原因の一つである
と考えられる。NMDAチャンネルの開放は、そのレセ
プターに関連する数ヶ所の部位によって調節され、特に
グリシンによって促進され、その効果は、ストリキニー
ネ−非感受性である。このグリシン部位は、NMDAレ
セプターの活性化の調節に係わる重要な標的の一つであ
る。
【0007】ナトリウムを含む1価のカチオンに対して
透過性であるイオンチャンネルに関連するAMPA〔α
−アミノ−3−(ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオ
キサゾールプロピオン酸)〕レセプター。このチャンネ
ルの活性化は、膜減極をもたらすものと考えられる。
【0008】カイネートレセプター。このレセプターの
特徴は、AMPAの特徴と同様であるが、伝導率および
脱感受性のレベルの点でAMPAと相違している。しか
しながら、多くの研究では、AMPAレセプターとカイ
ネートレセプターとは、構造上のおよびまた機能上の密
接な類似点を有しており、一つのレセプター一族を構成
していることが証明される傾向がある(KEINANE
N K 等、Science,249,556−56
0,1990)。ACPD(トランス−1−アミノシク
ロペンタンジカルボン酸)レセプター。このレセプター
は、イオンチャンネルとは無関係であることから、代謝
向性(metabotropic)レセプターとも称さ
れる。
【0009】EAAによるイオン向性(ionotro
pic)レセプターの活性化は、イオンチャンネルを開
放し、特にナトリウムの侵入を可能にする。この侵入は
細胞を減極させる。AMPAを含む、この第一段階は次
いで、NMDAレセプターの活動亢進およびカルシウム
の過度の蓄積を導く(BLAKE J.F.等による、
Neurosci.Letters,89,182−1
86,1988;BASHIR Z.I.等による、N
ature,349,156−158,1991)。
【0010】本発明の化合物またはそれらの代謝加水分
解生成物(プロドラッグ)は、AMPA/カイネートレ
セプターの初期活性化を遮断することによって、EAA
の興奮性および毒性作用に抵抗して、新規な様相で対抗
する。従って、本発明の化合物は、神経伝達の興奮性ア
ミノ酸依存性経路の活動亢進に関連する病的現象、特に
神経毒性現象の抑制薬として有用である。本発明の化合
物は、水中で特に可溶性であり、完全に無色であり、か
つまた全身投与後に、良好な脳生体利用性を有すること
から、ヨーロッパ特許出願EP−542,609に記載
の化合物に比較して、際立っている。
【0011】従って、本発明の化合物は、これらのアミ
ノ酸が関与する神経学的および精神学的疾病の処置用の
強力な治療剤である。このような疾病には、例えば卒
中、脳または脊髄外傷またはてんかんのような急性また
は慢性の変性疾患、あるいはアルツハイマー病、精神分
裂症、萎縮性側索硬化症またはハンチントン舞踏病のよ
うな慢性神経変性疾患が包含される。
【0012】さらに詳細には、本発明は、下記式(I)
で表される化合物、それらの異性体および医薬として許
容される酸または塩基によるその付加塩に関する:
【化25】
【0013】式中、R1 、R2 およびR3 は同一または
異なり、水素原子またはハロゲン原子、直鎖状または分
枝鎖状(C1 −C6 )アルキル基(この基は、非置換で
あるか、または置換基として1個または2個以上のハロ
ゲン原子を有する)、あるいはニトロ、シアノまたはア
ミノスルホニル基を表し、あるいはまた、R1 、R2
よびR3 の中の2個が隣接する炭素原子に存在している
場合に、これらが結合している炭素原子と一緒になっ
て、(C3 −C7 )シクロアルキル環またはベンゼン環
(この環は、非置換であるか、または置換基として1個
または2個以上のハロゲン原子あるいは直鎖状または分
枝鎖状(C1 −C6 )アルキル基、直鎖状または分枝鎖
状(C1 −C6 )アルコキシ基またはトリハロメチル基
を有する)を形成しており、
【0014】R4 は、水素原子、直鎖状または分枝鎖状
(C1 −C6 )アルキル基またはフェニル基(この基
は、非置換であるか、または置換基として1個または2
個以上のハロゲン原子あるいは直鎖状または分枝鎖状
(C1 −C6 )アルキル基、直鎖状または分枝鎖状(C
1 −C6 )アルコキシ基またはトリハロメチル基を有す
る)を表し、あるいはR4 は、下記式の基を表し:
【化26】 この基において、R6 およびR7 は同一または異なり、
水素原子あるいは直鎖状または分枝鎖状(C1 −C6
アルキル基(この基は、非置換であるか、または置換基
として、(C3 −C7 )シクロアルキル基またはフェニ
ル基を有する)を表し、
【0015】R5 は、水素原子、ヒドロキシル基、直鎖
状または分枝鎖状(C1 −C6 )アルコキシ基、フエノ
キシ基、メルカプト基、直鎖状または分枝鎖状(C1
6)アルキルチオ基、直鎖状または分枝鎖状(C1
6 )アルキル基(この基は、非置換であるか、または
置換基として、(C3 −C7 )シクロアルキル基を有す
る)、フェニル基(この基は、非置換であるか、または
置換基として1個または2個以上のハロゲン原子あるい
は直鎖状または分枝鎖状(C1 −C6 )アルキル基、直
鎖状または分枝鎖状(C1 −C6 )アルコキシ基または
トリハロメチル基を有する)あるいはアミノ基(この基
は、非置換であるか、または置換基として1個または2
個の直鎖状または分枝鎖状(C1 −C6 )アルキル基を
有する)を表し、
【0016】あるいはR5 は、下記式の基を表し:
【化27】 この基において、R6 およびR7 は、上記定義のとおり
である。
【0017】医薬として許容される塩基の例としては、
これらに制限されないものとして、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、tert− ブチルアミン、ジエチル
アミン、エチレンジアミン等を挙げることができる。
【0018】本発明はまた、式(I)で表される化合物
の製造方法を包含し、この方法は、式(II):
【化28】 (式中、R1 、R2 およびR3 は、式(I)の場合と同
一の意味を有する)で表される化合物を出発物質として
使用し、
【0019】この出発物質を、置換基R1 、R2 および
3 の種類に応じて、非プロトン性溶媒中で、水素化リ
チウムアルミニウム、水素化アルミニウム、ジボランま
たはボラン複合体の存在の下に、あるいは酸性プロトン
性溶媒中で、ホウ水素化シアノナトリウムを使用して、
還元して、式(III):
【化29】 (式中、R1 、R2 およびR3 は、式(I)の場合と同
一の意味を有する)で表されるアルコール化合物を生成
させ、
【0020】この式(III)で表されるアルコール化
合物を、不活性溶媒中で金属酸化物を使用するか、プロ
トン性溶媒中でアルカリ金属ヒドロハレートを使用する
か、またはジメチルスルホキシド中で酸クロライドを使
用して、酸化して、式(IV):
【化30】 (式中、R1 、R2 およびR3 は、式(I)の場合と同
一の意味を有する)で表されるアルデヒド化合物を生成
させ、
【0021】この式(IV)で表されるアルデヒド化合
物を次いで、プロトン性溶媒中で、アルカリ金属アルコ
キシド、三級アミンまたはアルカリ金属水酸化物の存在
の下に、式(V):
【化31】 (式中、alkは、直鎖状または分枝鎖状(C1
6 )アルキル基を表す)で表されるアルキルマロネー
ト化合物と縮合させて、式(VI):
【化32】 (式中、R1 、R2 、R3 およびalkは、上記と同一
の意味を有する)で表されるエステル化合物を生成さ
せ、
【0022】この式(VI)で表されるエステル化合物
を次いで、式(VII):
【化33】 (式中、R1 、R2 およびR3 は、式(I)の場合と同
一の意味を有する)で表される相当する酸化合物に変換
し、
【0023】この式(VII)で表される酸化合物を、
ピリジン中で臭素の存在の下に、反応させて、式(VI
II):
【化34】 (式中、R1 、R2 およびR3 は、式(I)の場合と同
一の意味を有する)で表される化合物を生成させ、
【0024】この式(VIII)で表される化合物中に
存在するラクタム官能性基を、オキシ塩化リンとの反応
により保護した後に、アルコール溶媒中でアルカリ金属
アルコキシドと反応させることにより、式(IX):
【化35】 (式中、R1 、R2 およびR3 は、式(I)の場合と同
一の意味を有し、そしてRは、直鎖状または分枝鎖状
(C1 −C6 )アルキル基を表す)で表される化合物を
生成させ、
【0025】この式(IX)で表される化合物を、T.
HIRAOにより開示された方法(Synthesi
s,56−57,1981)に従い、無水溶媒中で、触
媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジ
ウムおよびトリエチルアミンの存在の下に、ジアルキル
ホスファイトまたはジアリールホスファイトと反応させ
て、式(X):
【化36】 (式中、R1 、R2 、R3 およびRは、上記と同一の意
味を有し、そしてR′ 4 は、直鎖状または分枝鎖状(C
1 −C6 )アルキル基あるいはアリール基を表す)で表
される化合物を生成させ、
【0026】この式(X)で表される化合物は次いで、
アセトニトリル溶媒中でトリメチルシリルブロマイドの
存在の下に、完全に脱保護し、次いで酸性溶媒中で処理
して、式(I)で表される化合物の特定の場合に相当す
る、式(I/a):
【化37】 (式中、R1 、R2 およびR3 は、式(I)の場合と同
一の意味を有する)で表される化合物を生成させ、
【0027】この式(I/a)で表される化合物は、所
望により、塩基性溶媒中で式: R′′4 − Cl 〔式中、R′′4 は、直鎖状または分枝鎖状(C1 −C
6 )アルキル基、フェニル基(この基は非置換である
か、または1個または2個以上のハロゲン原子あるいは
直鎖状または分枝鎖状(C1 −C6 )アルキル基、直鎖
状または分枝鎖状(C1 −C6 )アルコキシ基またはト
リハロメチル基を有する)、あるいは下記式の基:
【化38】 (この基において、R6 およびR7 は式(I)の場合と
同一の意味を有する)〕で示されるハロゲン化誘導体と
反応させて、
【0028】式(I)で表される化合物の特定の場合に
相当する、式(I/b):
【化39】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR′′4 は、上記と同
一の意味を有する)で表される化合物を生成させ、
【0029】あるいは上記式(X)で表される化合物は
次いで、塩基性溶媒中で処理することにより部分的に脱
保護して、式(XI):
【化40】 式中、R1 、R2 、R3 、RおよびR′4 は、上記と同
一の意味を有する、で表される化合物を生成させ、
【0030】この式(XI)で表される化合物は、所望
の式(I)で表される化合物の種類に応じて、*酸性溶
媒中で処理することにより、式(I)で表される化合物
の特定の場合に相当する、式(I/c):
【化41】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR′4 は、上記と同一
の意味を有する)で表される化合物を生成させ、
【0031】*あるいはD.A.CAMPBELLによ
り開示された方法(J.Org.Chem.,57,6
331−6335,1992)に従い、式(XII): R′5 − OH (XII) (式中、R′5 は、フェニル基または直鎖状または分枝
鎖状(C1 −C6 )アルキル基を表す)で表されるアル
コール化合物の作用下に付して、式(XIII):
【化42】 (式中、R1 、R2 、R3 、R、R′4 およびR′5
上記と同様の意味を有する)で表される化合物を生成さ
せ、
【0032】この式(XIII)で表される化合物を、
アセトニトリル溶媒中でトリメチルシリルブロマイドと
の反応により選択的に脱保護し、次いで塩酸により処理
して、式(I)で表される化合物の特定の場合に相当す
る、式(I/d):
【化43】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR′5 は、上記と同一
の意味を有する)で表される化合物を生成させ、
【0033】*あるいはまた、R.S.RODGERS
により開示された方法(Tetrahedron Le
tt.,33,7473,1992)に従い、オキザリ
ルクロライドと反応させて、式(XIV):
【化44】 (式中、R1 、R2 、R3 、RおよびR′4 は、上記と
同一の意味を有する)で表される化合物を生成させ、
【0034】この式(XIV)で表される化合物は次い
で、無水溶媒中で、式(XV): R′′5 MgX (XV) (式中、Xは、ハロゲン原子を表し、そしてR′′
5 は、直鎖状または分枝鎖状(C1 −C6 )アルキル基
(この基は、非置換であるか、または置換基として、
(C3 −C7 )シクロアルキル基を有する)あるいはフ
ェニル基(この基は非置換であるか、または1個または
2個以上のハロゲン原子あるいは直鎖状または分枝鎖状
(C1 −C6 )アルキル基、直鎖状または分枝鎖状(C
1 −C6 )アルコキシ基またはトリハロメチル基を有す
る)を表す、で表される有機マグネシウム誘導体により
処理して、式(XVI):
【化45】 (式中、R1 、R2 、R3 、R、R′4 およびR′′5
は、上記と同一の意味を有する)で表される化合物を生
成させ、
【0035】この式(XVI)で表される化合物を、ア
セトニトリル溶媒中でトリメチルシリルブロマイドとの
反応により脱保護し、次いで塩酸により処理して、式
(I)で表される化合物の特定の場合に相当する、式
(I/e):
【化46】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR′′5 は、上記と同
一の意味を有する)で表される化合物を生成させ、ある
いは
【0036】上記式(XIV)で表される化合物を次い
で、水素化物、H2 S、alkSH(ここで、alkは
直鎖状または分枝鎖状(C1 −C6 )アルキル基を表
す)あるいはアンモニアと反応させて、式(XVI
I):
【化47】 (式中、R1 、R2 、R3 、RおよびR′4 は、上記と
同一の意味を有し、そしてR′は、HS−、alkS−
またはH2 N−あるいは水素原子を表す)で表される化
合物を生成させ、
【0037】この式(XVII)で表される化合物を、
アセトニトリル溶媒中でトリメチルシリルブロマイドと
の反応により脱保護し、次いで塩酸により処理して、式
(I)で表される化合物の特定の場合に相当する、式
(I/f):
【化48】 (式中、R1 、R2 、R3 およびR′は、上記と同一の
意味を有する)で表される化合物を生成させ、
【0038】上記式(I/a)、(I/b)、(I/
c)、(I/d)、(I/e)または(I/f)で表さ
れる化合物は、R1 、R2 およびR3 の少なくとも1つ
が水素原子を表す場合に、芳香族環系の置換に係わる標
準的方法により求電子置換させて、式(I)において、
そのキノロンのフェニル環に1個、2個または3個の置
換基を有する、相当する化合物を生成させることがで
き、あるいはR1 、R2 およびR3 の少なくとも1つが
ニトロ基を表す場合に、水素添加に付して、相当するア
ミノ誘導体を生成させることができ、このアミノ誘導体
それ自体はまた、所望により相当するシアノ誘導体に変
換することができ、あるいは
【0039】必要に応じて、標準的精製方法により精製
することができ、あるいは相当する場合に、標準的分離
方法により、その異性体に分離し、あるいは所望によ
り、医薬として許容される酸または塩基によりその付加
塩に変換する、ことを特徴とする方法である。
【0040】式(I)で表される化合物は、非常に有利
な薬理学的性質を有する。本発明の化合物の2つの作用
メカニズムは、膜結合技法および電気生理学的技法を用
いて試験することができる。 1.膜結合 この試験は、ラットの皮質ホモジネートを使用して行
う。スクロース緩衝液中で拡散遠心により、慣用の方法
で膜ペレットを調製し、次いで使用時まで凍結させる。
解凍の後に、この膜ホモジネート200Lをトリス(T
ris)−HCl(30mM)、CaCl2 (2.5m
M)緩衝剤、pH7.4中に取り入れ、次いで〔3 H〕
−AMPAまたは〔3 H〕−カイネート25μlおよび
被験化合物25μlの存在の下に、4℃で30分間イン
キュベートする。非特異的結合を、10μMキスクアレ
ートの存在(AMPA結合)または10μMカイニン酸
の存在(カイネート結合)の下に、測定する。これらの
膜を次いで、濾過により単離する。このフィルターを乾
燥させた後に、その放射能をシンチレーションにより測
定する。
【0041】2.クセノパス(Xenopus)卵母細
胞におけるEAAにより誘発される電流 クセノパス卵母細胞に、ラットの大脳皮質から単離した
ポリ(A)+ mRNA50ngを注入し、次いで18℃
で2−3日間インキュベートして、そこにたんぱく質を
発現させる。EAAにより誘発された内部電流を、2−
電極電圧−クランプ法(電圧=−60mV)によって、
次の組成を有する媒質中で測定する:NaCl(82.
5mM)、KCl(2.5mM)、CaCl2 (1m
M)、MgCl2 (1mM)、NaH2 PO4 (1m
M)、HEPES(5mM)、pH7.4。NMDAお
よびグリシンにより誘発される電流を測定する場合に
は、この媒質から、MgCl2 を除き、CaCl2 の濃
度を2mMにする。電流を誘発させるEAAアゴニスト
を、次の濃度で使用する:カイネート:100μm;A
MPA:30μM;グリシン/NMDA:3/30μ
M。被験化合物は、このアゴニストの添加の前および添
加中の30秒間適用する。
【0042】本発明の化合物を、AMPAとの相互作用
性が開示されている、最新の化合物と比較して試験し
た:この比較化合物は、2,3−キノキサリンジオン誘
導体およびさらに特に、6−シアノ−7−ニトロ−2,
3−キノキサリンジオン(CNQX)および6−ニトロ
−7−スルファモイルベンゾ〔f〕キノキサリン−2,
3−ジオン(NBQX)である。
【0043】これらの結合試験は、本発明の誘導体が非
常に有利な強度でAMPAレセプターに結合することを
示した。すなわち、本発明の誘導体のKiは、10-6
よりも小さい。 CNQX Ki=0.07μM 例2 Ki=0.9μM これらの化合物はまた、グルタメートレセプターを発現
するクセノパス卵母細胞において、カイネートおよびA
MPAにより誘発される電流の官能性活性化を抑制する
ことができる。 カイネート電流 例2 IC50=2μM
【0044】この抑制は、強力であり、かつまた一定で
ある。すなわち、グルタミン酸作動性経路(gluta
matergic pathway)〔シェファーの副
路(Schaeffer′s collateral
s)〕の刺激により海馬で誘発される神経毒性の興奮性
電流に関して同一のIC50(2μM)が見出される。A
MPA/カイネートレセプターに対する本発明の化合物
の活性は、キノキサリンジオン化合物に比較して低いけ
れども、本発明の化合物の治療上の重要性は、これらの
化合物がNMDAレセプターに対しては作用することな
く、AMPAレセプターに対して選択的抑制作用を発揮
することにある。従って、本発明の化合物は、NMDA
拮抗体に係わり開示されている副作用(精神異常作用、
健忘作用および神経毒作用)のいづれをも、付随しな
い。
【0045】さらにまた、本発明の化合物は、この種の
化合物に関して、特異で、格別のin vivo活性を
有する。事実として、CROUCHERらにより開示さ
れた方法(Science,216,899,198
2)に従い行った、DBA/2マウスにおける聴原性け
いれん試験で、例2の化合物は、これらのグルタメート
依存性けいれんに抵抗する。この防護作用は、IP投与
後に見出だされるばかりでなく(IC50=18.7mg
/kg)、また経口投与後にも見出だされ、その生体利
用率(ID50IP/ID50PO)は、0.3の領域にあ
る。これに対して、CNQXまたはNBQXなどのキノ
キサリンジオン化合物は、経口投与によっては、いかな
る活性も有していない。
【0046】本発明の主題はまた、活性成分として、式
(I)で表される化合物の少なくとも1種を、単独でま
たは1種または2種以上の不活性で無毒性の賦形剤また
は担体と組み合わせて、含有する医薬組成物にある。本
発明に係わる医薬組成物の中では、特に経口投与、非経
口投与または鼻投与に適するもの、単純または糖衣錠
剤、舌下錠剤、硬質ゼラチンカプセル剤、座薬、クリー
ム、軟膏、皮膚用ゲル等を挙げることができる。
【0047】適当な投薬量は、患者の年齢および体重、
病気の種類および重篤度、ならびにまた投与経路に応じ
て変わる。投与経路は、経口、鼻、直腸または非経口で
あることができる。一般的に言えば、単次投与量は、2
4時間の間に1−3回の投与の処置で、1−1000m
gの範囲である。
【0048】
【実施例】下記の例は、本発明を説明するものであり、
本発明を制限するものではない。使用出発物質は、公知
化合物であるか、または公知方法によって製造された化
合物である。 例1: 5,7−ジクロロ−2(1H)−キノロン−3
−ホスホン酸 工程A: 3−ブロモ−5,7−ジクロロ−2(1H)
−キノロン ピリジン65ml中に5,7−ジクロロ−2(1H)−
キノロン−3−カルボン酸25.4ミリモルを含有する
懸濁液に、0℃で、臭素50.8ミリモルを滴下して添
加する。室温で10分間撹拌した後に、混合物全体を1
時間、90℃にする。冷却後に、1N塩酸300mlを
加える。この沈殿を濾別し、次いで1N塩酸および水で
洗浄し、次いで乾燥させることにより所望の生成物を得
る。 融点:>300℃
【0049】工程B: 3−ブロモ−2,5,7−トリ
クロロキノリン 前工程に記載の化合物9.2ミリモルを、オキシ塩化リ
ン30ml中で12時間、還流の下に撹拌する。過剰の
オキシ塩化リンを蒸発させた後に、この混合物を氷浴中
で冷却させ、次いで氷冷水の添加により加水分解する。
生成された沈殿を濾別し、水ですすぎ、次いで乾燥さ
せ、所望の生成物を得る。 融点:176−181℃
【0050】工程C: 3−ブロモ−5,7−ジクロロ
−2−メトキシキノリン 前工程に記載の化合物9ミリモルおよびナトリウムメト
キシドの5.2Mメタノール性溶液20mlを含有する
懸濁液を、12時間還流させる。冷却後に、沈殿を濾別
し、所望の生成物を得る。 融点:135−138℃
【0051】工程D: 5,7−ジクロロ−2−メトキ
シキノール−3−イルホスホン酸のジエチルエステル 前工程に記載の化合物6.5ミリモルの無水テトラヒド
ロフラン3ml中の懸濁液に、トリエチルアミン13ミ
リモル、ジエチルホスファイト13ミリモルおよびテト
ラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.65
ミリモルを添加する。この混合物全体を、窒素雰囲気の
下に、12時間還流させる。この溶液を次いで、酢酸エ
チル200ml中で稀釈する。この有機相を1N塩酸
で、次いで飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。乾燥さ
せ、次いで蒸発させた後に、この残留物を、シリカカラ
ムにおいてクロマトグラフィに付し、溶出剤としてシク
ロヘキサン/酢酸エチル(1/1)混合物を、次いで酢
酸エチルを使用して、精製し、所望の生成物を得る。
【0052】融点:66−68℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 46.18 4.43 3.85 19.47 実測値 46.29 4.33 3.95 19.15
【0053】工程E: 5,7−ジクロロ−2(1H)
−キノロン−3−ホスホン酸 無水アセトニトリル10ml中に前工程に記載の化合物
2ミリモルを含有する溶液に、トリメチルシリルブロマ
イド2mlを添加し、この混合物全体を、5時間還流の
下に、撹拌する。蒸発後に、この残留物を3N塩酸10
ml中に取り入れ、この懸濁液を、80℃で30分間撹
拌し、この沈殿を濾別する。この沈殿をエタノールから
再結晶させ、所望の生成物を得る。 融点:>300℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 36.76 2.06 4.76 24.12 実測値 36.58 2.16 4.77 24.18
【0054】例2: 6,7−ジクロロ−2(1H)−
キノロン−3−ホスホン酸 例1に記載の方法に従い、相当する出発物質を使用し
て、所望の生成物を得る。 融点:>300℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 36.76 2.06 4.76 24.12 実測値 36.82 2.44 4.82 24.65
【0055】例3: 5,7−ジクロロ−2(1H)−
キノロン−3−ホスホン酸のモノエチルエステル 工程A: 5,7−ジクロロ−2−メトキシキノール−
3−イルホスホン酸のモノエチルエステル 例1の工程Dに記載の化合物1.3ミリモルを、5N水
酸化ナトリウム溶液5ml中で100℃において90分
間、激しく撹拌する。冷却後に、この混合物を、1N塩
酸により酸性にする。酢酸エチルにより抽出した後に、
この有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥さ
せ、次いで蒸発させ、ゆっくり結晶化する無色油状物を
得、所望の生成物を得る。 融点:157−158℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 42.88 3.60 4.17 21.10 実測値 42.95 3.89 4.23 21.13
【0056】工程B: 5,7−ジクロロ−2(1H)
−キノロン−3−ホスホン酸のモノエチルエステル 3N塩酸16ml中に前工程に記載の化合物2.2ミリ
モルを含有する懸濁液を、24時間還流の下に、撹拌す
る。生成された沈殿を次いで、濾別し、次いでイソプロ
パノールから再結晶させ、所望の生成物を得る。 融点:220−240℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 41.02 3.13 4.35 22.01 実測値 41.34 3.16 4.47 22.14
【0057】例4: 6,7−ジクロロ−2(1H)−
キノロン−3−ホスホン酸のモノエチルエステル 例3に記載の方法に従い、相当する出発物質を使用し
て、所望の生成物を得る。 融点:268−276℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 41.02 3.13 4.35 22.01 実測値 41.28 3.30 4.45 21.84
【0058】例5: 5,7−ジクロロ−2(1H)−
キノロン−3−メチルホスフィン酸 工程A: 5,7−ジクロロ−2−メトキシキノール−
3−イルメチルホスフィン酸のエチルエステル ジクロロメタン15ml中に、例3の工程Aに記載の化
合物1.49ミリモルおよびジメチルホルムアミド10
リットルを含有する溶液を、40℃で撹拌する。この溶
液に、ジクロロメタン1ml中で稀釈したオキザリルク
ロライド3ミリモルを滴下して添加する。この混合物全
体を40℃に1時間維持し、次いで減圧の下に蒸発させ
る。この残留物を次いで、無水テトラヒドロフラン10
ml中に溶解し、次いでテトラヒドロフラン中のメチル
マグネシウムクロライドの3M溶液580リットルを滴
下して添加する。この反応混合物を、室温で90分間撹
拌し、次いで1N塩酸1mlを用いて加水分解する。こ
の混合物全体を酢酸エチル100ml中で稀釈する。こ
の有機相を1N塩酸により、次いで1N水酸化ナトリウ
ム溶液により洗浄し、乾燥させ、次いで蒸発させる。こ
の残留物を、シリカカラムにおいてクロマトグラフィに
付し、溶出剤としてジクロロメタン/エタノール(97
/3)混合物を使用して精製し、所望の生成物を得る。
【0059】工程B: 5,7−ジクロロ−2(1H)
−キノロン−3−メチルホスフィン酸例1の工程Eに記
載の方法に従い、前工程に記載の化合物から、所望の生
成物を得る。 融点:>300℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 41.13 2.76 4.80 24.28 実測値 40.82 2.97 5.01 24.10
【0060】例6: 6,7−ジクロロ−2(1H)−
キノロン−3−ホスホン酸のモノイソプロピルエステル 例3に記載の方法に従い、相当する出発物質を使用し
て、所望の生成物を得る。 融点:235−238℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 42.88 3.60 4.17 21.10 実測値 42.19 3.52 4.23 21.22
【0061】例7: 6,7−ジクロロ−2(1H)−
キノロン−3−ホスホン酸のモノシクロペンチルメチル
エステル 工程AおよびB:これらの工程に記載の方法は、相当す
る出発物質からの例1の工程AおよびBに記載の方法と
同一である。 工程C: 3−ブロモ−6,7−ジクロロ−2−エトキ
シキノリン 例1の工程Cに記載の方法に従うが、ナトリウムメトキ
シドのメタノール溶液の代わりに、ナトリウムエトキシ
ドのエタノール溶液を使用して、所望の生成物を得る。 融点:56−58℃
【0062】工程D: 6,7−ジクロロ−2−エトキ
シキノール−3−イルホスホン酸のモノメチルエステル 無水テトラヒドロフラン5ml中に前工程に記載の化合
物7.1ミリモルを含有する懸濁液に、トリエチルアミ
ン14.3ミリモル、ジメチルホスフィン14.3ミリ
モルおよびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラ
ジウム0.71ミリモルを添加する。この混合物全体
を、窒素雰囲気の下に還流させて、12時間撹拌する。
この混合物を次いで、酢酸エチル200ml中で稀釈す
る。この有機相を1N塩酸により、次いで飽和塩化ナト
リウム溶液により洗浄し、乾燥させ、次いで20mlに
濃縮する。所望の生成物がゆっくり晶出する。 融点:164−166℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 42.88 3.60 4.17 21.10 実測値 43.37 4.04 3.96 21.31
【0063】工程E: 6,7−ジクロロ−2(1H)
−キノロン−3−ホスホン酸のモノシクロペンチルメチ
ルエステル 無水テトラヒドロフラン2ml中に前工程に記載の化合
物0.28ミリモルを含有する溶液に、シクロペンタン
メタノール0.42ミリモルおよびトリフェニルホスフ
ィン0.42ミリモルを添加する。10分間撹拌した後
に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート0.42ミ
リモルを添加し、この混合物全体を、室温で1時間撹拌
する。ジメチルシリルブロマイド0.7ミリモルを滴下
して添加し、この混合物を室温でさらに1時間撹拌す
る。蒸発後に、この残留物を3N塩酸4ml中に取り入
れ、次いで100℃で12時間撹拌する。冷却後に、酢
酸エチル20mlを加え、この2相混合物を10分間撹
拌する。生成された白色懸濁液を濾過し、所望の生成物
を得る。 融点:286−288℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 47.89 4.29 3.72 18.85 実測値 47.78 4.38 3.99 18.73
【0064】例8: 6−クロロ−7,8,9,10−
テトラヒドロ−2(1H)−ベンゾ〔h〕キノロン−3
−ホスホン酸 例1に記載の方法に従い、所望の生成物が得られる。 融点:>300℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 49.78 4.18 4.47 11.30 実測値 49.78 4.31 4.48 11.46
【0065】例9: 6−ニトロ−7,8,9,10−
テトラヒドロ−2(1H)−ベンゾ〔h〕キノロン−3
−ホスホン酸 例1に記載の方法に従い、所望の生成物が得られる。 融点:>300℃ 元素微分析:
【0066】例10: 6−ニトロ−7,8,9,10
−テトラヒドロ−2(1H)−ベンゾ〔h〕キノロン−
3−ホスホン酸のモノエチルエステル 例3に記載の方法に従い、例9の工程Dで得られた化合
物から所望の生成物が得られる。 融点:268−273℃ 元素微分析:
【0067】例11: 10−ブロモ−2(1H)−ベ
ンゾ〔g〕キノロン−3−ホスホン酸例1に記載の方法
に従い、所望の生成物が得られる。 融点:>300℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 44.10 2.56 3.96 22.57 実測値 44.36 2.39 4.13 21.09
【0068】例12: 7−ニトロ−2(1H)−キノ
ロン−3−ホスホン酸 例1に記載の方法に従い、相当する出発物質を使用し
て、所望の生成物が得られる。 融点:>300℃ 元素微分析: C% H% N% 計算値 40.02 2.61 10.37 実測値 40.51 2.47 10.07
【0069】例13: 6,7−ジクロロ−2(1H)
−キノロン−3−ホスホン酸のジ(ピバロイオキシメチ
ル)エステル 例2に記載の化合物2.5ミリモルを含有する懸濁液
に、トリエチルアミン7.5ミリモルを加え、この混合
物全体を、完全溶解が生じるまで、室温で約10分間撹
拌する。この溶液に、クロロメチルピバレート7.5ミ
リモルを滴下して添加し、この反応混合物を、一夜にわ
たり70℃に保持する。室温に戻した後に、酢酸エチル
100mlを添加する。この沈殿を濾別し、酢酸エチル
によりすすぎ、そしてこの濾液を1N塩酸により、次い
で飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、次いで乾燥さ
せる。溶剤を減圧の下に蒸発させ、残留する無色油状物
をエチルエーテル15ml中に取り入れる。次いで所望
の生成物がゆっくりと晶出する。 融点:175℃ 元素微分析: C% H% N% Cl% 計算値 48.29 5.02 2.68 13.58 実測値 48.10 4.92 2.75 13.90
【0070】例14: 6,7−ジフルオロ−2(1
H)−キノロン−3−ホスホン酸 工程A: 3−ブロモ−6,7−ジフルオロ−2(1
H)−キノロン 例1の工程Aに記載の方法に従うが、5,7−ジクロロ
−2(1H)−キノロン−3−カルボン酸の代わりに、
6,7−ジフルオロ−2(1H)−キノロン−3−カル
ボン酸を使用して、所望の生成物を得る。 融点:265−271℃
【0071】工程B: 6,7−ジフルオロ−2(1
H)−キノロン−3−ホスホン酸のジエチルエステル 無水テトラヒドロフラン100ml中に懸濁した前工程
で得られた化合物21.1ミリモルに、トリエチルアミ
ン42.2ミリモル、ジエチルホスファイト42.2ミ
リモルおよびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パ
ラジウム0.25ミリモルを添加する。この反応混合物
を、窒素雰囲気の下に還流させて、溶媒が完全に蒸発さ
れるまで撹拌する。この残留物を次いで、酢酸エチル中
に取り入れる。生成された固形物を濾別し、水中に懸濁
し、次いでこの混合物全体を、10分間撹拌する。濾過
および乾燥の後に、所望の生成物が得られる。 融点:245−252℃ 元素微分析:
【0072】工程C: 6,7−ジフルオロ−2(1
H)−キノロン−3−ホスホン酸前工程で得られた化合
物から、例1の工程Eに記載の方法に従い、所望の生成
物が得られる。 融点:290−297℃ 元素微分析:
【0073】例15: 6,7−ジメチル−2(1H)
−キノロン−3−ホスホン酸 工程A: 3,8−ジブロモ−6,7−ジメチル−2
(1H)−キノロン ピリジン15ml中に6,7−ジメチル−2(1H)−
キノロン−3−カルボン酸9.2ミリモルを含有する、
70℃にした懸濁液に、臭素55.2ミリモルを滴下し
て添加する。冷却後に、この混合物全体を、1N塩酸中
にそそぎ入れる。この水性相を酢酸エチルにより抽出す
る。この有機相を乾燥させ、蒸発させ、次いでシリカカ
ラムにおいてクロマトグラフィに付し、溶出剤としてシ
クロヘキサン/酢酸エチル(1/1)混合物を、次いで
酢酸エチルを、最後に酢酸エチル/メタノール(98/
2)混合物を使用して精製し、所望の生成物を得る。 融点:216−223℃ 元素微分析: C% H% N% Br% 計算値 39.92 2.74 4.23 48.28 実測値 40.35 2.72 4.24 48.21
【0074】工程B: 8−ブロモ−6,7−ジメチル
−2(1H)−キノロン−3−ホスホン酸のジエチルエ
ステル 例14の工程Bに記載の方法に従い、前工程に記載の化
合物から、所望の生成物を得る。 融点:187−195℃ 元素微分析: C% H% N% Br% 計算値 46.41 4.93 3.61 20.58 実測値 46.54 4.87 3.61 20.84
【0075】工程C: 6,7−ジメチル−2(1H)
−キノロン−3−ホスホン酸のジエチルエステル 前工程で得られた化合物2.5ミリモルを、エタノール
80ml中で、木炭上パラジウム(5%)150mgの
存在の下に、室温で水素添加する。触媒を濾別し、蒸発
させた後に、残留物をジクロロメタン中に取り入れる。
この有機相を水により洗浄し、乾燥させ、次いで蒸発さ
せ、所望の生成物を得る。 融点:165−170℃ 元素微分析:
【0076】工程D: 6,7−ジメチル−2(1H)
−キノロン−3−ホスホン酸前工程に記載の生成物か
ら、例1の工程Eに記載の方法に従い、所望の生成物を
得る。 融点:>300℃ 元素微分析:
【0077】例16: 本発明の誘導体の薬理試験 in vivo神経保護効果 1)アレチネズミにおける一時的広域脳虚血 心筋梗塞時の臨床症状として見られる脳血流の一時的で
完全な停止は、特定の傷つきやすいニューロン、特に認
識機能に係わり重要な脳領域である海馬のニューロンの
即刻の死滅をもたらす。この現象は総頚動脈の一時的閉
塞後に実験的に再現することができる。アレチネズミに
おいて、頚動脈の一時的閉塞(5分間)は海馬錐体細胞
(CA1)の総体的損失をもたらす。この細胞の死滅
は、虚血後の3日または4日にのみ見ることができる。
この死滅が基本的に、虚血後再灌流時間中のグルタメー
トの過度の放出に依存しうることは多くの試験により証
明されている。
【0078】抗虚血性医薬の神経保護作用は、生き残る
ニューロンの数を組織学的に測定することによって証明
することができる。虚血発生の前の30分の時点の処
置、次いで虚血発生後の1日2回の処置を、4日後の組
織学的測定日まで行う場合に、NBQX(30mg/k
gIP)は、ニューロンの50%を保護する。同一条件
において、例2の化合物は(30mg/kgIP)、ニ
ューロンを死滅から完全に防護し、さらに少ない投与量
(10mg/kgIP)で、海馬ニューロンの50%を
保護する。
【0079】2)マウスにおける永久的病巣虚血 ヒトにおいて、卒中の70−80%の場合に、シルヴィ
ウス動脈(脳中動脈)の閉塞が生じる。この虚血状態
は、24時間後に十分に制限された皮質梗塞をもたら
す、MCAの電気凝固法により完全に再現することがで
きる。この梗塞は、組織検査によって容易に測定するこ
とができる。虚血発生の前および、虚血発生後に引き続
く3時間の時点で、30mg/kgIPを投与した場合
に、NBQXおよび例2の化合物は梗塞容積を有意に減
少させる(−26%)。同一投与量を蓄積様相(MCA
閉塞後の5分、1時間および2時間)でのみ投与した場
合に、例2の化合物は梗塞容積を減少させる(−23
%)。これに対して、NBQXは無効果のままである。
【0080】例17: 医薬組成物 10mg/1個の用量を含有する錠剤1000個に係わ
る調剤組成 例2の化合物 10g ヒドロキシプロピルセルロース 2g 小麦デンプン 10g 乳糖 100g ステアリン酸マグネシウム 3g タルク 3g
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/675 AED A61K 31/675 AED

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I)で表される化合物、その異
    性体または医薬として許容される酸または塩基とのその
    付加塩: 【化1】 式中、R1 、R2 およびR3 は同一または異なり、水素
    原子またはハロゲン原子、あるいは直鎖状または分枝鎖
    状(C1 −C6 )アルキル基(この基は、非置換である
    か、または置換基として1個または2個以上のハロゲン
    原子を有する)、またはニトロ、シアノまたはアミノス
    ルホニル基を表し、あるいはまた、R1、R2 およびR3
    の内の2個が、隣接する炭素原子に存在している場合
    に、これらが結合している炭素原子と一緒になって、
    (C3 −C7 )シクロアルキル環またはベンゼン環(こ
    の環は、非置換であるか、または置換基として1個また
    は2個以上のハロゲン原子あるいは直鎖状または分枝鎖
    状(C1 −C6 )アルキル基、直鎖状または分枝鎖状
    (C1 −C6 )アルコキシ基またはトリハロメチル基を
    有する)を形成しており、 R4 は、水素原子、あるいは直鎖状または分枝鎖状(C
    1 −C6 )アルキル基またはフェニル基(この基は、非
    置換であるか、または置換基として1個または2個以上
    のハロゲン原子あるいは直鎖状または分枝鎖状(C1
    6 )アルキル基、直鎖状または分枝鎖状(C1 −C
    6 )アルコキシ基またはトリハロメチル基を有する)を
    表し、あるいはR4 は、下記式の基を表し: 【化2】 この基において、R6 およびR7 は同一または異なり、
    水素原子あるいは直鎖状または分枝鎖状(C1 −C6
    アルキル基(この基は、非置換であるか、または置換基
    として、(C3 −C7 )シクロアルキルまたはフェニル
    基を有する)を表し、 R5 は、水素原子、ヒドロキシル基、直鎖状または分枝
    鎖状(C1 −C6 )アルコキシ基、フェノキシ基、メル
    カプト基、直鎖状または分枝鎖状(C1 −C6)アルキ
    ルチオ基、直鎖状または分枝鎖状(C1 −C6 )アルキ
    ル基(この基は、非置換であるか、または置換基とし
    て、(C3 −C7 )シクロアルキル基を有する)、フェ
    ニル基(この基は、非置換であるか、または置換基とし
    て1個または2個以上のハロゲン原子あるいは直鎖状ま
    たは分枝鎖状(C1 −C6 )アルキル基、直鎖状または
    分枝鎖状(C1 −C6 )アルコキシ基またはトリハロメ
    チル基を有する)あるいはアミノ基(この基は、非置換
    であるか、または置換基として1個または2個の直鎖状
    または分枝鎖状(C1 −C6 )アルキル基を有する)を
    表すか、またはR5 は、下記式の基を表す: 【化3】 この基において、R6 およびR7 は、上記定義のとおり
    である。
  2. 【請求項2】 上記式(I)において、基R1 、R2
    たはR3 の少なくとも1個が塩素原子を表す、請求項1
    に記載の化合物。
  3. 【請求項3】 上記式(I)において、基R4 が水素原
    子を表す、請求項1に記載の化合物。
  4. 【請求項4】 上記式(I)において、基R5 がヒドロ
    キシル基を表す、請求項1に記載の化合物。
  5. 【請求項5】 6,7−ジクロロ−2(1H)−キノロ
    ン−3−ホスホン酸である、上記式(I)で表される、
    請求項1に記載の化合物。
  6. 【請求項6】 活性成分として、請求項1−5のいづれ
    か1項に記載の化合物の少なくとも1種を、単独である
    いは1種または2種以上の医薬として許容される無毒性
    で不活性の担体と組み合わせて含有する、筋萎縮性側索
    硬化症、ハンチントン舞踏病、精神分裂症およびアルツ
    ハイマー病から選ばれる慢性神経変性疾患、てんかん、
    脳または脊髄外傷または卒中の処置において、神経伝達
    の興奮性アミノ酸系経路の活動亢進に関連する神経学的
    および精神学的疾患の治療剤。
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