JP2670695B2 - ペーパースラッジ造粒物及びその製造法 - Google Patents

ペーパースラッジ造粒物及びその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はペーパースラッジ造粒物及びその製造法並び
にペーパースラッジ造粒物を融雪剤又は土壌改良剤とし
て巾広く有効利用するものを提供することにある。
〔従来の技術〕
従来、有機物である微細繊維やバークを主体とするペ
ーパースラッジの利用方法としてペーパースラッジを燃
焼炉で焼成して黒色の灰としたものの一部を融雪剤とし
て使用しているが、大部分は埋め立て廃棄されている。
[本発明が解決しようとする課題] 一般の製紙工場においてはペーパースラッジは前記の
有機スラッジの外に、流出填料を主とする白色の無機ス
ラッジを多量に含有する場合が多いので焼成で得られた
スラッジ灰は灰色のものであって、このように黒色でな
いものを融雪剤として使用する場合には十分な効果が期
待できない。
特に近年は上質紙のみならず中質紙でもカオリン、タ
ルク等の白色充填剤を使用するため、さらに白が強くな
り、融雪剤として使用するには太陽光を吸収させるため
黒色に着色する必要がある。
そればかりでなく、焼成スラッジ灰は所謂フライアッ
シュのごとく極めて微粉状のものであるため、使用時の
ハンドリングが極めて悪く、また取り扱い時に飛散が起
こり大気汚染の問題も生じ、今のところあまり利用され
ていない現状にある。
本発明はペーパースラッジ焼成物を利用するため研究
の結果、ペーパースラッジを融雪剤として利用できると
共に、さらに土壌改良剤としても利用でき、しかも取扱
い容易で、かつ環境を汚染させない造粒物を提供するこ
とを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本出願の第1の発明は、ペーパースラッジ焼成物(以
下スラッジ焼成物と略す)100絶乾重量部に対し、糖蜜
製造における廃水濃縮物(以下CSFと略す)10〜40絶乾
重量部が混合されているペーパースラッジ造粒物であ
る。
また、第2の発明はスラッジ焼成物100絶乾重量部
に、CSF10〜40絶乾重量部を混合した後造粒し、ロータ
リードライヤーで並流乾燥せしめた後、さらに造粒物を
篩い分け製品として回収し、他方前記製品選別後の残渣
及び前記混合時の微粉末を回収して前記混合原料へフィ
ードバックするペーパースラッジ造粒物の製造法であ
る。
さらに、第3の発明はスラッジ焼成物とCSFとの混合
物で形成されたペーパースラッジ造粒物からなる融雪剤
である。また、第4の発明はスラッジ焼成物とCSFとの
混合物で形成されたペーパースラッジ造粒物からなる土
壌改良剤である。
本発明の原料たるスラッジ造粒物は、中質紙又は上質
紙を製造した場合に生ずるペーパースラッジ(タルク等
の無機質含有)又はこれにバークを混合して焼成したも
のである。
また、前記スラッジ焼成物に混合するCSFは、糖蜜か
ら庶糖を回収した際に生ずる透明褐色の粘稠液であっ
て、水分45〜55%を含有しておりその組成の一例を示せ
ば、第1表の如きものである。
本発明の造粒物の粒径は1〜5mm程度とすることが望
ましい。粒径が1mm未満では飛散し易く、機械蒔きによ
る散布が困難である。このようなトラブルが生じない範
囲で粒径は小さい方が望ましい。粒径が大きいと比表面
積が少なくなるので太陽光の吸収量が減少し、融雪効果
が低下するので5mm以下程度が良い。この粒度範囲であ
ればホッパーの内部でのキャビティ発生もない。
つぎに、第2の発明について説明する。スラッジ焼成
物は無機質を主体とした灰分であって、これに前記CSF
を混合する。ここにCSFの混合割合はスラッジ焼成物100
絶乾重量部に対し10〜40絶乾重量部とする。10絶乾重量
部未満では後述造粒物の形成に十分な粘結力が得られ
ず、黒色化も十分ではない。また40絶乾重量部を越える
とCSFの水分が多すぎるので造粒物の形成が困難であ
る。尚、CSFの配合はスラッジ焼成物の白さに応じてス
ラッジ焼成物100%に対し、絶乾で10〜40%の範囲で配
合変更して目標の黒色度とすれば良い。
以上のように混合したものを造粒機で望ましくは粒径
1〜5mmの粒状に形成した後、ロータリードライヤーで
乾燥する。ロータリードライヤーでの乾燥では、前記造
粒物を乾燥するための燃料ノズル側へ供給し、ロータリ
ードライヤーの回転によって造粒物は徐々にロータリー
ドライヤーの他端へ送られて乾燥される。
即ち、本発明は乾燥に当たり、燃焼炉側へ造粒物を供
給し、燃料の燃焼による熱によって乾燥すると同時に、
乾燥によって生ずるCSFの揮発分が酸化又は分解され、
その結果ロータリードライヤーの排ガスはCSFに起因す
る臭気は殆ど無い。ロータリードライヤーで乾燥された
造粒物は篩い分け粒径1〜5mmのものを回収して製品と
する。また、その残渣は回収されて、前記原料混合にフ
ィードバックされて循環使用される。尚、乾燥によって
造粒物の一部がシンタリングを起こし塊状を形成する場
合には粉砕処理して再使用することができる。
即ち、第2の発明はスラッジ焼成物とCSFとの混合物
を造粒し、乾燥する際CSFに起因する臭気は殆ど無く、
また第2の発明で得られる造粒物以外の微粉末残渣は凡
て回収して循環使用されるため、作業環境はもとより工
場周辺に対する環境汚染の問題は全くない。
さらに、第2の発明は従来使用されている装置を巧み
に組合わせるもので、他に特別な装置を必要としないた
め、特に熟練も必要とせず簡単に製造できる。
第2の発明によって得られるものはスラッジ焼成物が
CSFのバインダー作用によって造粒され、黒褐色の粒径
1〜5mmの粒状物として得られる。
第2表は第1の発明の組成及び物性の一例を示したも
のである。
本発明は造粒物であるため、融雪剤として雪面上に散
布した場合風で飛散する恐れは全くなく、またその色彩
も黒に近い褐色であるため、スラッジ焼成物単独で使用
した場合の如き問題点はなく、融雪剤として十分な効果
が発揮できる。尚、本発明の造粒物を融雪剤とする場
合、とくに制限するものではないが、ほぼ10アール当た
り50〜100kgを散布すれば良い。
他方、本発明の造粒物は第2表から明らかなように、
その組成は石灰等の殆どが土壌構成成分であるほか、他
に植物生育上必要とされる窒素、リン酸、カリ等の三要
素を含んでいるため、たんなる土壌改良剤とは異なり、
それ自体肥料としても作用できるため、植物生育にとっ
て有効である。
従って、降雪地方において牧草地に融雪剤として散布
し、融雪剤として働くほか、雪解け後には散布された融
雪剤が土壌改良効果を発揮でき、成育期の牧草の萌芽を
促進できる。
もっとも、本発明を土壌改良剤として単独に使用でき
ることは勿論である。その場合公知各種肥料と混合し又
は混合しないで適用することができる。
また、土壌改良剤として使用する場合でもその散布量
(施用量)は特に制限するものではなく、融雪剤と同様
10アール当たり50〜100kg程度で良いが、これ以上に使
用したとしても植物生育にとって有害成分を含まないた
め何等支障はない。
〔実 施 例〕
図面は第2の発明の一実施例であるが、つぎに図面を
参照して第2の発明について説明する。
タンク1からスラッジ焼成物100絶乾重量部及びタン
ク2からCSF10〜40絶乾重量部の割合で採り、これらを
混合機3に供給して混合した後、ピン型造粒機4で粒径
1〜5mmに造粒する。
前記スラッジ焼成物に混合するCSFは、造粒に当たり
スラッジ焼成物のバインダーとして働き簡単に造粒物が
得られる。
つぎに、前記の造粒物はロータリードライヤー5に送
られる。ここで使用するロータリードライヤー5は特別
なものではなく、公知のロータリードライヤーである
が、造粒物の供給が異なっている。
即ち、第2の発明では、造粒物はロータリードライヤ
ー5の燃焼炉6側へ供給し、燃料の燃焼によって造粒物
を乾燥すると同時に、乾燥によって揮発する臭気成分
は、ロータリードライヤー5中の燃料の燃焼によって酸
化又は分解され、ロータリードライヤー5の排ガスはCS
Fに起因する臭気のないものとして排出できる。
前記ロータリードライヤー5で乾燥された造粒物は、
選別機7に供給し、所定の粒度の造粒物を製品としてタ
ンク8に回収し、他方ロータリードライヤー5内で造粒
物の崩壊によって生じた微粉末及び乾燥時に一部シンタ
リングを生じた塊状物はそのまま又は必要に応じて粉砕
処理した後、混合機3にフィードバックされて使用され
る。
また、前記混合機3中の造粒できない微粉末は集塵機
9で補集でき、さらにロータリードライヤー5の排ガス
中の微粉末は集塵機10で補集される。
従って、第2の発明は製造時に殆ど臭気を生ぜず、ま
たスラッジ焼成物の微粉末も完全にシールされるため、
作業環境は勿論、臭気、粉塵による工場周辺の環境汚染
は殆ど生じない。
つぎに第1の発明を融雪剤として使用した場合の実施
例及び土壌改良剤として使用した場合の実施例について
夫々説明する。
(イ)融雪剤の実施例 粒径1〜5mmの造粒物(水分約10%)のものを試験区
として10m平方の牧草地に、夫々10アール当たり50kgと1
00kgを散布し、第3表の結果を得た。尚、比較のため第
1の発明の造粒物を全く散布しない区及びフライアッシ
ュ(市販品、微粉末、水分1.0%)を同一面積の試験区
で同一割合で散布した場合についての結果を併記した。
(ロ)土壌改良剤の実施例 前記融雪剤の実施例の試験区を融雪後二分し、半分に
施肥した施肥区と施肥しない無施肥区として両者を比較
し、第4表の結果を得た。茲に施肥した肥料は草地化成
3号(8−11−8)を10アール当たり50kg施用した。
尚、比較のために第1の発明の造粒物を添加しない場合
及び前記市販のフライアッシュと同一条件で散布した結
果を併記した。
(ハ)結 果 (1) 本発明の造粒物散布による融雪促進効果は、無
散布区に比べて約6日早い。また散布が容易で飛散も殆
どなく、大気汚染が殆どない。
(2) 散布量50kgと100kgとでは100kg散布の方が融雪
が1〜2日早い傾向が見られる。
(3) 融雪剤の結果(第3表)では、散布後約20cmの
降雪があったため(3月18日〜22日)、この時期の融雪
効果は小さいが、降雪がなければ10日以上の差が認めら
れたと考えられる。
(4) また、本発明の造粒物は融雪が促進でき、その
結果牧草等の植物の萌芽を早めることができる。
従って、土壌改良剤の結果(第4表)5月16日の放牧
可能となる時点での牧草収量は無施肥区で約30%の増収
ができ、融雪促進効果と共に、牧草生育に優れていると
いう効果がある。
(5) 本発明の造粒物は、黒色度が高く、融雪後は地
表に残り、地表を黒くして太陽熱の吸収を良好ならし
め、地温が上昇し、有機物の炭化による炭を含むため施
肥の保肥力を高めると共に、表層土のpHを良好ならしめ
るほか窒素、りん酸、カリの肥料三要素も含まれるため
植物の吸収促進が図られ、増収効果が得られるものと考
えられる。
〔発明の効果〕
以上の如く第1の発明はスラッジ焼成物をCSFと混合
して造粒したものであるから取り扱い中に飛散し大気汚
染等の環境汚染の問題は皆無である。
また、第2の発明は、何等特別な装置を用いることな
く公知の機器を組み合わせることによって、CSFに起因
する臭気の発生はなく、また、製造工程中の微粉末も完
全にシールされているから、製造時の作業環境の汚染も
なく、簡単に製造することができる。
さらに、本発明は製紙工場から排出されるスラッジ焼
成物及びCSFの如き廃棄物を活用することによって一方
では融雪剤として、また他方では土壌改良剤として使用
できるため、未利用資源の有効利用を図ることができる
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
図面は第2の発明の一実施例のフローシートである。 1:スラッジ焼成物タンク、2:CSFタンク、3:混合機、4:
造粒機、5:ロータリードライヤー、6:燃料炉、7:選別
機、8:製品タンク、9、10:集塵機。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 清彦 北海道苫小牧市王子町2―1―1 王子 製紙株式会社苫小牧工場内 (72)発明者 宮津 弘二 北海道苫小牧市王子町2―1―1 王子 製紙株式会社苫小牧工場内 (72)発明者 佐藤 昌弘 北海道苫小牧市沼の端18番地の28 株式 会社昌和製袋内 (56)参考文献 特開 昭58−205575(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ペーパースラッジ焼成物100絶乾重量部
    と、糖蜜製造における廃水濃縮物10〜40絶乾重量部が混
    合されているペーパースラッジ造粒物。
  2. 【請求項2】ペーパースラッジ焼成物100絶乾重量部
    に、糖蜜製造における廃水濃縮物10〜40絶乾重量部を混
    合した後造粒し、ロータリードライヤーで並流乾燥せし
    めた後、さらに造粒物を篩い分け製品として回収し、他
    方前記製品選別時の残渣及び前記混合時の微粉末を回収
    して前記混合原料へフィードバックすることを特徴とす
    るペーパースラッジ造粒物の製造法。
  3. 【請求項3】ペーパースラッジ焼成物と糖蜜製造におけ
    る廃水濃縮物との混合物で形成された造粒物からなるこ
    とを特徴とする融雪剤。
  4. 【請求項4】ペーパースラッジ焼成物と糖蜜製造におけ
    る廃水濃縮物との混合物で形成された造粒物からなるこ
    とを特徴とする土壌改良剤。
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