JP2670323B2 - 船舶推進機のシフト装置 - Google Patents

船舶推進機のシフト装置

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JP2670323B2 JP63297831A JP29783188A JP2670323B2 JP 2670323 B2 JP2670323 B2 JP 2670323B2 JP 63297831 A JP63297831 A JP 63297831A JP 29783188 A JP29783188 A JP 29783188A JP 2670323 B2 JP2670323 B2 JP 2670323B2
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謙一 早坂
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は船舶推進機のシフト装置に係り、特に、船内
外機などにおけるようにシフト操作レバーから前後進切
換機構までの間にリモコンケーブルやシフトカム軸など
の種々の中間伝導機構が介在しているシフト装置に関す
る。
[従来の技術] この種の中間伝導機構として、従来においては、船内
外機のトランサム側のシフト軸と駆動ユニット側のシフ
ト軸が同軸的に連結されたものや、水平な軸の回りに揺
動するレバーをシフト軸に係合させることによりこのシ
フト軸を上下に往復動させるもの(例えば特開昭61−14
3294号参照)がある。
[発明が解決しようとする問題点] さて、前記前後進切換機構、すなわちドッグクラッチ
の噛み合い時においては、ドッグが前後進用の両歯車の
クラッチに噛み合っていない中立位置から初期のドッグ
の移動量を多くしてドッグの移動速度を高め、これによ
り勢いよくドッグが前後進用のクラッチの一方に噛み合
うようにすることが円滑なクラッチの噛み合いを達成す
るのに良いことが理解されている。しかし、上記従来の
構造においては、ドッグの移動量が中立位置から前後進
用歯車のクラッチに噛み合うまで常に一定となってお
り、円滑なるクラッチの噛み合いが達成できないという
問題があった。
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みなされた
もので、その目的とするところは、前後進切換機構にお
けるドッグクラッチの噛み合いをより円滑にすることが
できる船舶推進機のシフト装置を提供するにある。
[問題点を解決するための手段] 本発明は、このような目的を達成するために、操作部
材の直線往復動を中間揺動リンク機構を介してシフトカ
ム軸の回動に変換し、シフトカム軸の回動により前後進
切換機構の切換を行なう船舶推進機のシフト装置におい
て、中間揺動リンク機構は、トランサムユニット側にあ
って操作部材により揺動する第1揺動部材と、駆動ユニ
ット側にあってシフトカム軸に固定され、第1揺動部材
とすべり係合して第1揺動部材により揺動する第2揺動
部材とを備え、第2揺動部材の揺動角速度が前記前後進
切換機構の中立位置に対応する位置から遠ざかるほど小
さくなるように構成し、 かつ揺動に伴う第1揺動部材を弾発的に中立位置に保
持する第1ディテント機構と、回動に伴うシフトカム軸
を弾発的に中立位置に保持する第2ディテント機構とを
備え、この両ディテント機構により前記第1揺動部材又
はシフト軸が中立位置に保たれながら、前記トランサム
ユニットに前記駆動ユニットを結合する際、前記第1揺
動部材と第2揺動部材とが中立位置で係合されているこ
とを特徴とするものである。
[作用] この構成により、シフトカム軸に固定された第2揺動
部材は中立位置においてその揺動角速度が最も大きく、
中立位置から遠ざかるほど小さくなるので、ドッグの初
期の移動量が大きくなってドッグの移動速度を高めるこ
とができ、これによって円滑なクラッチの噛み合いを達
成する。
[実施例] 以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明する。
まず第1図には船内外機の船外部分の全体構成が示さ
れている。トランサムボード10にジンバルハウジング12
が固定され、ジンバルハウジング12に対してジンバルリ
ング14が左右方向に回動可能に支持され、このジンバル
リング14に対してスイベルブラケット16がピン18を介し
て上下方向に回動可能に支持され、これによりトランサ
ムユニットが構成されている。このスイベルブラケット
16に対して駆動ユニット22が連結されることにより、駆
動ユニット22は左右および上下方向に回動可能にトラン
サムボード10に固定される。符号24は図示しないエンジ
ンに連結されるユニバーサルジョイントであり、このユ
ニバーサルジョイント24の被駆動軸は歯車機構26を介し
て中間伝導軸28にその回転動力を伝達し、中間伝導軸28
の回転力はドッグ30を有する前後進切換機構32を介して
プロペラ軸34に伝達され、プロペラ36を回転して船の推
進力を得る。38はトランサムユニット20の一部として設
けられ、前記ユニバーサルジョイント24を覆うベローズ
である。
符号40は、図示しないシフト操作レバーに連結された
リモコンケーブルであり、その端部に設けられたシフト
ロッドアーム42がトランサムユニット20側から駆動ユニ
ット22側へ突出している。このシフトロッドアーム42の
直線運動が中間揺動リンク機構44を介して駆動ユニット
22側に設けられたシフトカム軸46に回動連動に変換され
て伝達され、このシフトカム軸46の回動連動が前記前後
進切換機構32のドッグ30の直線往復運動に変換されて伝
達される。
符号48はピトー管による水圧検出装置のための水圧検
出口であり、駆動ユニット22のロアーケーシング50の前
端部に開口している。52は駆動ユニット22を上下方向に
傾動させるためのチルトスイッチであり、54はアイドル
ホール(図示省略)を覆う位置に設けられたアノードで
ある。
次に第2ないし第4図に基いて前記中間揺動リンク機
構44の構造を詳しく説明する。第2図のIII−III線に沿
う断面図であってトランサムユニット20側の構成部品の
みを示す第3図において、シフトロッドアーム42はリモ
コンケーブル40と一体となって図のAB方向に直線運動を
し、このシフトロッドアーム42に設けられた係合部材56
に揺動レバー58のローラ60が係合することにより、シフ
トロッドアーム42の直線往復運動は揺動レバー58に揺動
運動として伝達される。第2図をも参照し、揺動レバー
58は略クランク状に折曲してその下端の係合突起62がト
ランサムユニット20の端部から駆動ユニット22側にやや
突出して位置する第1レバー64と、この第1レバー64に
スプライン結合させて前記ローラ60を有する第2レバー
66とからなっている。第2、3図は中立位置の状態を示
しており、ここで揺動レバー58の第2レバー66がCD方向
に揺動することにより、係合突起62はEF方向に揺動する
ことになる。
特に第2図に詳しく示すように、揺動レバー58にはそ
の中立位置を保つためのディテント機構67が設けられて
いる。このディテント機構67は前記第2レバー66の第1
レバー64と結合される胴部に形成された凹部68と、ばね
70によってこの凹部68に向って付勢されたボール72とに
より構成されている。74はばね70を収納するとともにボ
ール72の脱落を防止するためのブッシング、76はカラ
ー、77はサークリップである。
また符号78は排気通路79を区画形成するためのブーツ
であり、第3図にも示す符号80は前記リモコンケーブル
40を覆うブーツである。
このような構成のトランサムユニット20に対して後方
より駆動ユニット22が結合されて取り付けられるが、第
2図はその取り付けを完了した状態を示している。ここ
で前記中間揺動リンク機構44の揺動レバー58は第1揺動
部材として機能し、これに係合する第2揺動部材は駆動
ユニット22側からトランサムユニット20方向に突出する
ヨーク82である。ヨーク82は前記シフトカム軸46の上端
部にスプライン結合されたカップリング軸84に一体的に
形成されており、このカップリング軸84はその上端にお
いて保持スクリュー86により軸方向について固定される
とともに所定範囲の回動は許容されている。前記ヨーク
82は第3図に示すようにトランサムユニット20側の揺動
レバー58の係合突起62に向かって開く略平行な二又形状
であり、この二又を形成するアームの間隔は前記係合突
起62の外径とほぼ同一もしくは若干広く形成され、これ
によって駆動ユニット22がトランサムユニット20に対し
て背面より連結された際には何ら特別な取り付け結合作
業をする必要なく係合突起62とヨーク82は精度よく係合
するようになっている。
さらに第4図を参照し、中立位置においては揺動レバ
ー58の係合突起62はカップリング軸84のヨーク82の最も
奥端部に位置し、かつ係合突起62とヨーク82の接触位置
は揺動レバー58の揺動軸とシフトカム軸46ないしカップ
リング軸84の揺動軸とを結ぶ線上に位置している。従っ
て今揺動レバー58が揺動を開始する場合カップリング軸
84の揺動角速度は最も大きい状態であり、これにより前
記前後進切換機構32のドッグ30の初期の移動量は大き
い。図に二点鎖線で示すように揺動レバー58の揺動角度
が増加するにつれ、係合突起62はヨーク82をすべて接触
を保ちながら係合してヨーク82の開口端部において接触
するようになり、従ってカップリング軸84の角速度はそ
れだけ小さくなることになる。よって、シフトカム軸46
の角速度も中立位置から遠ざかれば遠ざかるほど小さく
なり、これに伴って前述の前後進切換機構32のドッグ30
の移動量は小さくなる。従ってドッグクラッチの円滑な
る噛み合いを達成することができる。
さらにこの実施例においては、揺動レバー58に対して
ばね70およびボール72などからなるディテント機構67が
設けられている。一方、図示はしないが前後進切換機構
32においてもその中立位置を保持するための公知のディ
テント機構が設けられ、従ってシフトカム軸46もその中
立位置に保持されている。従って、トランサムユニット
20に対して駆動ユニット22を結合する際、揺動レバー58
を回動させてボール72が節度感を持って凹部68に嵌入さ
せるようにして揺動レバー58を中立位置に保持し、一方
駆動ユニット22側においてもシフトカム軸46を回転させ
て同様に中立位置に保持させれば、駆動ユニット22の結
合の際に不意に係合突起62とヨーク82の位置がずれるよ
うなことが防止でき、より確実で円滑な結合作業をなす
ことができる。
このように両ディテント機構により、第1揺動部材又
はシフト略が中立位置に保たれながら、トランサムユニ
ットに駆動ユニットを結合する際、第1揺動部材と第2
揺動部材とが中立位置で係合されるようになる。
次に第5ないし第7図には本発明の第2実施例が示さ
れ、この第2実施例が前述の第1実施例と異なる主な点
は、揺動レバー58の第1レバー64と第2レバー66との連
結構造およびディテント機構の位置である。
すなわち、第6、7図に示すように、揺動レバー58を
構成する第1レバー64のスプライン軸64Aが第2レバー6
6の胴部のボス66Aにスプライン嵌合される点は第1実施
例と同様であるが、該胴部は互いに分離したフランジ部
90、90で終端し、両フランジ部90、90に締付ボルト92が
螺合され、その間隔を狭めてボス66Aを外周より締付け
可能になっている。これにより、ボス66Aにスプライン
軸64Aを挿入後、締付ボルト92を締付ければガタのない
スプライン嵌合を達成でき、スプラインの歯が摩耗、変
形するのを防止して確実な動力伝達を確保できる。
なお、胴部からフランジ部90、90が突出するため、第
1実施例に示す位置にディテント機構があるとこの突出
部分は第2レバー66の回動時にディテント機構と干渉す
るので、第2実施例ではディテント機構の構造を簡素化
するとともにその位置をずらしてある。すなわち、第
6、7図に示すように、ディテント機構67は、揺動レバ
ー58の第2レバー66の略中央部から垂下するコイルばね
94と、スイベルブラケット16に取付ボルト95により取付
けられた係止部材96とにより構成され、例えば揺動レバ
ー58が中立位置のときに前記コイルばね94が係止部材96
の係止溝98に弾発的に嵌入してその中立位置を保持でき
るようになっている。
なお以上の実施例においては第1揺動部材として係合
突起62を設け、第2揺動部材としてヨーク82を設けた
が、これに限定する必要はなく互いに逆の関係にしても
よいことはいうまでもない。また、第1揺動部材をディ
テント機構により中立位置に保持することに限定する必
要はなく、要はトランサムと駆動の両ユニット側で一致
した位置にそれぞれディテント機構により保持できれば
良い。
[効果] 以上説明したように、本発明によれば、中間揺動リン
ク機構においてシフトカム軸側の揺動部材の揺動角速度
が中立位置から遠ざかるほど小さくなるように構成する
とともに、操作部材により揺動する揺動部材を弾発的に
中立位置に保持する第1ディテント機構と、シフトカム
軸を弾発的に中立位置に保持する第2ディテント機構と
を設け、この両ディテント機構により前記第1揺動部材
又はシフト軸が中立位置に保たれながら、前記トランサ
ムユニットに前記駆動ユニットを結合する際、前記第1
揺動部材と第2揺動部材とが中立位置で係合されている
ことを特徴とするものであるので、前後進切換機構にお
けるドッグクラッチの噛み合いの際ドッグの初期の移動
量が大きくなり、よって噛み合いが極めて容易かつ円滑
となるとともに、操作部材により揺動する揺動部材とカ
ム軸側の移動部材とを結合するときに両者の位置ずれを
防止して確実で円滑な係合作業をなすことができるとい
う優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明に係る船舶推進機のシフト装置の一実施
例である船内外機の全体を示す側面図、第2図は同実施
例における中間揺動リンク機構の部分を拡大して示す断
面図、第3図は第2図のIII−III線に沿う断面図、第4
図は第2図のIV−IV線に沿う断面図、第5図は本発明の
第2実施例を示す第2図と同位置の断面図、第6図は同
第3図と同位置の断面図、第7図は第6図のVII−VII線
に沿う断面図である。 20……トランサムユニット 22……駆動ユニット 32……前後進切換機構 40……リモコンケーブル 44……中間揺動リンク機構 46……シフトカム軸,58……揺動レバー 62……係合突起,64……第1レバー 67……ディテント機構,68……凹部 70……ばね,72……ボール,82……ヨーク

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】操作部材の直線往復動を中間揺動リンク機
    構を介してシフトカム軸の回動に変換し、シフトカム軸
    の回動により前後進切換機構の切換を行なう船舶推進機
    のシフト装置において、中間揺動リンク機構は、トラン
    サムユニット側にあって操作部材により揺動する第1揺
    動部材と、駆動ユニット側にあってシフトカム軸に固定
    され、第1揺動部材とすべり係合して第1揺動部材によ
    り揺動する第2揺動部材とを備え、第2揺動部材の揺動
    角速度が前記前後進切換機構の中立位置に対応する位置
    から遠ざかるほど小さくなるように構成し、 かつ揺動に伴う第1揺動部材を弾発的に中立位置に保持
    する第1ディテント機構と、回動に伴うシフトカム軸を
    弾発的に中立位置に保持する第2ディテント機構とを備
    え、 この両ディテント機構により前記第1揺動部材又はシフ
    ト軸が中立位置に保たれながら、前記トランサムユニッ
    トに前記駆動ユニットを結合する際、前記第1揺動部材
    と第2揺動部材とが中立位置で係合されている船舶推進
    機のシフト装置。
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