JP2670316B2 - 電力ケーブルの接続部及びその欠陥検出方法 - Google Patents

電力ケーブルの接続部及びその欠陥検出方法

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  • Testing Of Short-Circuits, Discontinuities, Leakage, Or Incorrect Line Connections (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、電力ケーブルの接続部及びその欠陥検出方
法に関する。
(従来の技術) CVケーブル(架橋ポリエチレン電力ケーブル)等の押
出絶縁電力ケーブル例えば、三層押出電力ケーブル(以
下単に電力ケーブルという)は一般に第4図に示すよう
に構成され、電力ケーブル1は導体2に内部半導電層
3、絶縁層4、外部半導電層5、遮蔽層(メタルシール
ド)6及びシース7を順次被覆して形成される。このよ
うな構造の電力ケーブル1を作業現場で接続する場合、
第5図に示すように接続すべき2本の電力ケーブル1、
1の各導体2、2をスリーブ8により圧着接続し、内部
半導電層3を施した後押出機を使用して当該接続部分を
補強絶縁層9により被覆し、当該補強絶縁層9を半導電
層5′及び遮蔽層6′で被覆し、これらの各半導電層
5′、遮蔽層6′の両端を各ケーブル1、1の各半導電
層5、5角遮蔽層6、6と夫々接続するようにしてい
る。
かかる電力ケーブル1、1の接続部10の品質管理は前
記補強絶縁層9への異物の混入、ケーブル1、1の絶縁
層4、4と補強絶縁層9との接着不良、当該補強絶縁層
9内のボイド発生、内外の各半導電層3、5の突起等の
欠陥が発生しないように徹底的な作業の標準化を図ると
共に、電力ケーブル1、1の接続完了後X線等の放射線
による検査により当該接続部10の欠陥の有無をチェック
している。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上記従来のX線検査においては検出出
来る欠陥の大きさは、欠陥等のタイプと存在する位置、
接続部の大きさ等により異なるが、せいぜい異物で200
〜300μm、ボイドでも同程度であり、現実には有害と
される程度の大きさの検出能力が無い状態である。ま
た、電気的テストのみであり、完成路線で全長に亘る部
分放電、tanδ測定等は感度の点で接続部の欠陥検出は
不適当である。
このため、電力ケーブルは工場で十分に検査をした後
出荷しているが、接続部は前述のように十分な検査をす
ることができないままに実使用に移されることとなり、
線路全体の信頼性に欠けるという問題がある。
X線の撮影技法を改良して精度を上げたり、また、接
続部とその両端の電力ケーブルを高インピーダンスで縁
切りして部分放電の検出感度を上げる方法が提案されて
いるが、有害な欠陥を全て検出することは困難である。
第6図は、275kg1400mm2架橋ポリエチレン電力ケーブ
ルの押出モールド型中間接続部の部分放電により検出可
能なボイド径を示したものである(尚、ボイドはケーブ
ル処理部の内部半導電層に存在するものとした計算値で
ある)。図において検出感度が例えば、0.5pc程度まで
向上しても線路電圧 では、260μmφのボイドまでしか検出することができ
ず、又実際にその大きさのボイドを模擬的に形成した接
続部からは0.5pcの放電は判別し難く、欠陥があるか否
かの判定は困難である。
しかるに、スクリーニングすべきボイドレベルは50μ
mφ以下であることからより検出精度の高い検査方法の
開発が望まれている。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、接続部の
欠陥検出の精度を高め、より小さい欠陥を検出すること
が可能な電力ケーブルの接続部及びその欠陥検出方法を
提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために本発明によれば、保護管に
覆われた電力ケーブルの接続部において、前記保護管
が、前記電力ケーブルの前記接続部の両側に夫々固定さ
れた固定部と、これらの固定部間を閉じることができる
と共に軸方向に移動可能に外嵌されたスライド部とから
成る構成としたものである。
また、保護管に覆われた電力ケーブルの接続部の導体
に電圧を印加し、且つ放射線を照射しつつ前記接続部内
部の欠陥からの部分放電を検出する電力ケーブルの接続
部の欠陥検出方法において、欠陥検出時に前記接続部を
覆う保護管の少なくとも一部を移動して当該接続部を露
出することにより、欠陥検出時において放射線を透過し
やすくするものである。
(作用) 電力ケーブルの接続部の欠陥検出を行う場合、保護管
のスライド部を軸方向に移動させて接続部を露出させ
る。これにより放射線が接続部を透過しやすくなる。こ
の状態で電力ケーブルの接続部の絶縁体に放射線が照射
されると、ボイド等の欠陥内の気体原子や気体分子が当
該放射線のエネルギにより励起され、自由電子が発生す
る。放射線を照射し続ける限り自由電子が継続的に供給
される。この結果、放電が持続的に頻度多く発生し、部
分放電としての検出が容易となる。このように保護管を
外して接続部に放射線を照射するので、放射線が接続部
を透過し易くなり、より高精度で接続部の欠陥検出をす
ることができる。
(実施例) 以下本発明の一実施例を添付図面に基づいて詳述す
る。
第1図において接続すべき電力ケーブル1、1の導体
2、2は夫々スリーブ8により互いに圧着接続され、当
該接続部分は内部半導電層3を施した後補強絶縁層9に
より被覆されて絶縁される。各電力ケーブル1、1の各
外部半導電層5、5と接続部10の外部半導電層5′とは
電気的に接続され、且つ接続部分の両側近傍位置11、11
において例えば、各電力ケーブル1、1側の外部半導電
層5、5の一部に夫々高抵抗部15、15が形成されてい
る。この高抵抗部15は例えば、外部半導電層5を所定幅
で全周に亘り環状に削り、その肉厚を元の肉厚の略1/3
〜1/4程度の薄肉部とし、当該薄肉部の抵抗値を約数K
Ω〜数十KΩとなるように形成されている。
また、各高抵抗部15、15と対向する位置における各電
力ケーブル1、1の各遮蔽層6、6の各端部6a、6aと、
接続部10の遮蔽層6′の両端6′a、6′aとの間を離
して電気的に分離する。このようにして接続せる電力ケ
ーブル1、1の導体2、2と接続部10の遮蔽層6′との
間における部分放電の検出を可能とする。
この接続部10に保護用の金属ボックス20、20′をその
両側から外嵌装着し、対向する各開口端20aと20′aと
を当該接続部10の略中央において当接させ、各開口端20
a、20′aに設けた各フランジをボルト21により複数箇
所で固定する。また、各金属ボックス20、20′の電力ケ
ーブル1、1側の開口端20b、20′bは夫々高抵抗部1
5、15よりも電力ケーブル1、1方向に離隔した位置に
おいてこれらの電力ケーブル1、1の各シース7、7に
外嵌しており、且つシール部材22、22を介して密閉され
ている。従って、接続部10はこれらの金属ボックス20、
20′により密閉される。
これらの各金属ボックス20、20′の開口端20b、20′
b近傍の内面と電力ケーブル1、1の各遮蔽層6、6は
夫々線23、23で接続され、従って、遮蔽層6、6は線2
3、23及び金属ボックス20、20′を介して電気的に接続
される。これにより金属ボックス20、20′により囲繞さ
れた接続部10は静電遮蔽される。
一方の金属ボックス20′の周面所定位置には孔20′c
が穿設され、更に当該孔20′c近傍位置の外面には短絡
端子(接地用端子)20′dが突設されている。この短絡
端子20′dは当該金属ボックス20と一体に形成されてい
る。コロナ検出用ケーブル24の一端は接続部10の遮蔽層
6′に接続され、他端は絶縁部材25を介して孔20′cを
挿通して金属ボックス20′の外方に導出され、検出イン
ピーダンス30を介してコロナ測定器31に接続される。金
属ボッスク20にも短絡端子20dが一体に突設されてお
り、これらの短絡端子20d、20′dは接地される。
次に、上記電力ケーブルの接続部の欠陥検出方法につ
いて説明する。
接続した電力ケーブル1の導体2を所定の直流電源
(図示せず)に接続し、当該導体2と絶縁層6′との間
に直流電界を印加する。接続部10の外部半導電層5′の
うち両端の電力ケーブル1、1の外部半導電層5、5の
接続部は高抵抗部15、15により縁切りされており、電力
ケーブル側1、1で生じた部分放電及びノイズは高抵抗
部15、15により減衰するために、検出インピーダンス30
を介してコロナ測定器31では、接続部10の部分放電緒量
が分離されて観測される。この方法により、275kv1400m
m2用EMJ(予め導体接続内部半導電層3上に200μmφの
ボイドを形成)の部分放電を、検出感度0.5pcで徐々に
電圧を上げながら測定したところ、500kvで、測定器31
によりノイズと判別が困難ながら0.5pc程度の部分放電
が観測された。
次に、接続部10の導体2の軸線から600mm離れた位置
に設置した放射線例えばX線源35より破線で示すように
X線を照射しながら上記と同様の部分放電測定を行っ
た。この時のX線の照射条件は、管電圧100kv、管電流2
5mAである。この結果、450kvから明らかにノイズとは判
別できる頻度の極めて高い部分放電が観測された。
第2図は第1図に示す接続部10を保護する金属ボック
スの他の実施例を示し、接続部10はスライド式保護銅管
40により保護されている。尚、第1図と同一部材には同
一符号を附してその説明を省略する。
スライド式保護銅管40は、両端の固定部41、42と、中
央のスライド部43とにより構成されており、固定部41、
42は、各小径端41a、42aが第1図に示す金属ボックス20
と同様に電力ケーブル1、1に外嵌固定されてシール部
材22により密閉されており、各大径開口端41b、42bが互
いに対向して配置されている。また、スライド部43は筒
体をなし、固定部41、42間に介在されており、一方の開
口端43aは固定部41の開口端41bに気密に、且つ軸方向に
摺動可能に外嵌されており、他方の開口端43bは固定部4
2の開口端42bに気密に当接されてこれらの各開口端に形
成されたフランジの所定箇所でボルト45により螺着固定
されている。これらの固定部41、42及びスライド部43は
銅部材により形成されている。
固定部42には孔42cが穿設されており、更に当該孔42c
の近傍外面には短絡端子(接地用端子)42dが突設され
ている。コロナ検出用ケーブル46の一端は接続部10の遮
蔽層6′に接続され、他端は絶縁部材47を介して孔42c
を挿通して保護銅管40の外に導出され、前述と同様に検
出インピーダンス30(第1図)を介してコロナ測定器31
に接続される。固定部41、スライド部43にも短絡端子
(接地用端子)41d、43dが突設されている。そして、こ
れらの各短絡端子41d、42d、43dは夫々接地される。こ
れによりスライド部43のスライド時に接続部10のアース
が浮いたりすることがない。
保護銅管40のスライド部43は、固定部42との接続を解
除することにより、2点鎖線で示すように固定部41側に
矢印Aで示すように摺動可能とされ、接続部10を露出す
ることができるようになっている。即ち、接続部10にX
線を照射する時にはスライド部43を摺動させて当該接続
部10を露出してX線が当該接続部10を透過し易くする。
第3図は第1図及び第2図に示す構造の接続部10、10
を電力ケーブル1に直列に設け、当該電力ケーブル1の
両端を試験装置例えば、高圧直流電源50に接続したもの
である。そして、これらの各接続部10、10の内部半導電
層3、3の上には夫々100μmmのボイド10a、10aが形成
されている。そして、各接続部10、10のから所定距離離
隔した位置にX線源51、52を設置し、金属ケース20によ
り保護されている一方の接続部10には当該金属ケース20
を装着したままの状態でX線を照射し、スライド式保護
銅管40により保護されている他方の接続部10にはスライ
ド部43を外して当該接続部10を露出した状態でX線を照
射する。
スライド式保護銅管40は、スライド部43を開いた状態
においても、固定部41、42は夫々接地されているので、
電気的に浮いたり、誘導を拾うことなく部分放電検出を
行うことができる。また、銅管の一部即ち、スライド部
43のみをスライドさせるために固定部41、42と電力ケー
ブル1、1との気密性を失うことがない。
そして、各種X線照射条件で部分放電検出可能電圧を
求めた結果を第1表に示す。尚、検出感度は、接地回路
の改良及び2つの接続部10、10の信号のうち同相ノイズ
を除去する等の工夫を施したことにより、0.01pcであ
る。
第1表において、ケース1は、スライド式保護銅管40
のスライド部43を外して接続部10に直接X線を照射した
場合を示し、X線の照射条件が100kv20mAの時に検出可
能電圧が160kvであり、ケース2は、金属ボックス20に
より保護したままでケース1と同じ100kv20mAのX線を
照射した時に検出可能電圧が200kvであることを示す。
ケース3は、ケース1の場合と同様に接続部10に直接15
0kv25mAのX線を照射した場合、検出可能電圧が130kvで
あり、ケース4はケース2の場合と同様に金属ボックス
20で保護した状態で150kv25mAのX線を照射した時に検
出可能電圧が170kvであることを示している。また、ケ
ース5は、金属ボッスク20で保護した接続部10にX線を
照射しない場合、検出可能電圧が300kvであることを示
す。
この第1表から明らかなように、接続部10に照射する
X線の照射エネルギが大きい程、他の部分での吸収が小
さく効率的に励起される程、部分放電の発生頻度が高く
なり、見掛け上の部分放電発生電圧が低くなる。換言す
れば、同じ測定電圧では、より小さいボイドからの放電
も観測可能即ち、検出可能となり、検出精度が向上する
ことになる。
(発明の効果) 以上説明したように本発明によれば、電力ケーブルの
接続部を保護する保護管のスライド部を移動して前記接
続部を露出した状態で電力ケーブルの接続部の導体に電
圧を印加し、且つ放射線を照射しつつ当該接続部内部の
欠陥からの部分放電を検出するので、放射線が接続部を
透過しやすい。この結果、本発明の方法によれば、見掛
け上の放電開始電界をより下げることができ、これによ
り同じ電圧でもより小さい欠陥からの放電を捕らえるこ
とが可能となり、工場内及び実線路における電力ケーブ
ルの欠陥検出の高精度化及び信頼性の向上を図ることが
可能となるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る電力ケーブルの接続部の欠陥検出
方法を適用する電力ケーブルの接続部の一実施例を示す
断面図、第2図は第1図の電力ケーブルの接続部の他の
実施例を示す断面図、第3図は第1図及び第2図に示す
電力ケーブルの接続部の欠陥検出を行う場合の説明図、
第4図は電力ケーブルの断面図、第5図は第4図に示す
電力ケーブルの接続部の断面図、第6図は接続部の欠陥
検出におけるボイド径−印加電圧との関係を示すグラフ
である。 1……電力ケーブル、2……導体、10……接続部、20、
20′……金属ボックス、30……検出インピーダンス、31
……コロナ測定器、40……スライド式保護銅管、41、42
……固定部、43……スライド部、35、51、52……X線
源、50……高圧直流電源。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】保護管(40)に覆われた電力ケーブル
    (1)の接続部(10)において、前記保護管(40)が、
    前記電力ケーブル(1)の前記接続部(10)の両側に夫
    々固定された固定部(41、42)と、これらの固定部(4
    1、42)間を閉じることができると共に軸方向に移動可
    能に外嵌されたスライド部(43)とから成ることを特徴
    とする電力ケーブルの接続部。
  2. 【請求項2】保護管(40)に覆われた電力ケーブル
    (1)の接続部(10)の導体(2)に電圧を印加し、且
    つ放射線を照射しつつ前記接続部(10)内部の欠陥から
    の部分放電を検出する電力ケーブルの接続部の欠陥検出
    方法において、欠陥検出時に前記接続部(10)を覆う保
    護管(40)の少なくとも一部(43)を移動して当該接続
    部(10)を露出することにより、欠陥検出時において放
    射線を透過しやすくすることを特徴とする電力ケーブル
    の接続部の欠陥検出方法。
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