JP2667688B2 - 蛋白質フイルムの製造法 - Google Patents

蛋白質フイルムの製造法

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JP2667688B2
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匠一郎 宮原
麻紀 鈴木
正博 太田
信義 牧口
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三井東圧化学株式会社
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  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、微生物由来アミラーゼを主成分として含有
する蛋白質フイルム及びその製造方法に関する。
蛋白質フイルムは、可食性フィルム、人工皮膚、医用
高分子膜素材、包装材料、人工臓器表面コーテイング
剤、液晶性ポリペプチド、バイオチップなどに応用が期
待される高分子素材である。
今後、特にそのアミノ酸組成・配列と膜の機能との間
に密接な相関性が見出されると、目的とする機能を発現
するように組成・配列を適当に変えて膜の機能を向上さ
せた蛋白質フイルムおよびそれを取得する方法が進展す
ると考えられる。
本発明は、そのような要請に対応する技術を提供する
ものであり、アミノ酸組成・配列の明確なほぼ単一な蛋
白質からなるフイルム及びその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来、天然の蛋白を利用する蛋白質膜の製造では、大
豆タンパク、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、アルブ
ミンなどの動植物由来の蛋白を原料としている。これら
の原料は抽出を含む多くの操作を経て製造されるので、
製造コストが高い。
また、これらの原料は動植物由来であるため、これら
を原料として確保するのは、人手源の変動に大きく左右
され製品の供給が価格的にも量的にも安定しない。その
上、得られる原料タンパクについても、雑多な成分の抽
出物より精製するため、目的とする蛋白のみを効率よく
得ることは困難である。このようなことから、従来、ア
ミノ酸組成・配列の明確な蛋白質膜の製造は不可能であ
るとされていた。
一方、合成法により得られる蛋白においては、1〜数
種類のアミノ酸を一度に重合させて、蛋白(ポリアミノ
酸)を得る方法と、アミノ酸またはアミノ酸オリゴマー
を逐次ペプチド結合で繋いでいく方法に大別される。
前者の方法においては、構成するアミノ酸の種類が増
えるにしたがって組成、配列のコントロールが難しくな
り、事実上反応を制御して合成できる限界はホモポリマ
ーもしくは2〜3種類のコ・ポリマーまでと考えられ
る。また後者の方法においては、極めて煩雑な製造法で
あると同時にアミノ酸数十ケ程度までが限界であり目的
の蛋白質膜を作成する方法としては適さない。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述の技術背景に鑑み、本発明の課題は、アミノ酸組
成・配列が明確な蛋白質フイルム、およびその製造方法
を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、この課題を達成すべく種々検討し、原
料・素材として微生物由来の酵素を用いることにより蛋
白質フイルムを製造することに成功し、アミノ酸組成・
配列が明確な蛋白質フイルムを得ることができた。
すなわち、本願発明は、微生物由来アミラーゼを主成
分とする蛋白質フイルム、およびこれを微生物由来アミ
ラーゼ水溶液中に、グリセロール、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドンなどの成膜効果を有する添加
剤、グルタルアデヒド、グルオキサザール、ヘキサメチ
レンジイソシアナート、テレフタル酸クロライドなどの
架橋剤および/またはジルコニウム化合物である架橋剤
を添加し、この水溶液を平面状に保持し水分を蒸発させ
て製造する方法である。
本願発明で原料として使用する微生物由来のアミラー
ゼは、由来する微生物の種類により若干差はあるもの
の、そのアミノ酸組成・配列、さらにはその塩基配列ま
でも決定されておりまた、糖関連業界においては、年間
数百トン以上が使用されている。
本発明において使用される微生物由来アミラーゼとし
ては、バチルス属、シュードモナス属などの細菌類、ア
スペルギルス属などの糸状菌類などいずれの由来のもの
も使用できる。
菌株は野生株、突然変位もしくは遺伝子操作などによ
りアミラーゼの生産能を増強させたものなどいずれも使
用できる。
さらに詳しくは、例えば、B.amyloliquefaciens ATCC
23842,B.subtilis ATCC6051などを培養して得られる培
養液から菌体を除去し、アミラーゼの粗水溶液を得る。
得られた粗水溶液は、限外濾過による濃縮、脱塩など
の処理を施してもよい。
あるいは一旦、硫安沈澱、アルコール沈澱、アセトン
沈澱などで粗蛋白を単離した後、水に溶解して得られる
ものも使用できる。
使用するアミラーゼ水溶液は、アミラーゼ蛋白分が1
〜50%、好ましくは、2〜25%が良く、他の蛋白、無機
物、有機物などの混入する固形分はアミラーゼ蛋白分に
対して20%以下、好ましくは5%以下が良い。
アミラーゼ水溶液は市販品の精製・濃縮により、ある
いは前記の菌株を培養した培養液を精製しても得られ
る。
フイルムの製造方法は、ガラス板、シャーレ等の上に
当該水溶液を厚さ0.5〜2.0mm程度に平板状に保持し、乾
燥器内で所定温度に保ち水分を蒸発させる方法が例示さ
れる。
乾燥温度は、通常、20〜100℃の範囲で目的とするフ
イルムの性状により決定する。
また、水分の蒸発の程度としては、目的とするフイル
ムの性状のものを最終的に得るに必要な水分によって決
まるが、通常は30%以下とする。
フイルムの製造に用いる添加剤としては、グリセロー
ル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなど
の親水性のゲル化剤が例示される。
加える添加剤の濃度は0.5〜30重量%、好ましくは1
〜20重量%である。これらの添加剤は水分の蒸発前に添
加する。
また、水酸基またはアミノ基と反応し架橋する能力を
有する架橋剤を添加する。このような架橋剤の例として
は、グルタルアルデヒド、グルオキサザールのようなも
のである。
また、架橋剤としてアミノ酸とキレートし架橋する化
合物が使用できる。このような化合物として、ジルコニ
ウム化合物が使用され、例えば、炭酸ジルコニウムアン
モニウム((NH4)ZrOH(CO3))が例示される。
これらの架橋剤の使用濃度は、0.5〜10重量%、好ま
しくは0.5〜5重量%である。
これらの添加剤と架橋剤は、それぞれ別々に添加して
も、それぞれ組み合わせて同時に添加することも可能で
ある。
このようにして剥離性が良く強靭な蛋白質膜が得られ
る。
本発明の蛋白質膜は、そのアミノ酸組成及び配列がア
ミラーゼとほぼ同等である。
〔本発明の効果〕
本発明は、アミラーゼとほぼ同一なアミノ酸組成を有
する蛋白質膜を提供する。
〔実施例〕
以下、本発明を参考例、実施例を用いて説明する。
参考例1 市販品α−アミラーゼ水溶液(スピターゼHS,ナガセ
生化学工業製)1000mlを限外濾過膜(ミリポア製 分画
分子量10000)を用いて適時イオン交換水を加えながら
濃縮かつ脱塩(特に安定剤として加えてあるNaCl)を行
い100mlの酵素液を得た。Loery法により全蛋白分を定量
したところ10.8%であった。そのアミラーゼ滑性は6464
0μ/mlであり、これは全蛋白分の95%がα−アミラーゼ
に相当することになる。無機物は0.1%以下であった。
本酵素液をガラス製シヤーレ(Φ=96mm,H=18mm)に
10mlを分注し温度を50℃に保った乾燥器に入れ2昼夜乾
燥を行った。水分の大部分を蒸発させ総重量が1.2gとな
った時点で乾燥を終了した。シヤーレの表面上には厚さ
0.5mm程度に薄茶色フイルムが得られた。本品は自己支
持性が低く剥離に際して形状が損なわれ易かった。
実施例1、比較例1〜5 参考例1と同様な方法で蛋白濃度10.8%、全蛋白分の
95%がα−アミラーゼに相当するアミラーゼ水溶液を調
製し、表1に示す添加剤、架橋剤およびジルコニウム化
合物を、それぞれ表1に示す濃度で添加し、参考例1と
同様な方法で成膜しフイルムを得た。得られたフイルム
の自己支持性および水に対する溶解性を評価した。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微生物由来アミラーゼおよびジルコニウム
    化合物を含有する水溶液を平板状に保持し水分を蒸発さ
    せて蛋白質フイルムを製造する方法。
  2. 【請求項2】微生物由来アミラーゼを含有する水溶液に
    含まれる全蛋白質のうち、アミラーゼの含有量が80%以
    上である特許請求の範囲第2項記載の方法。
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