JP2663252B2 - 地中汚染物質除去方法 - Google Patents

地中汚染物質除去方法

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JP2663252B2 JP7077251A JP7725195A JP2663252B2 JP 2663252 B2 JP2663252 B2 JP 2663252B2 JP 7077251 A JP7077251 A JP 7077251A JP 7725195 A JP7725195 A JP 7725195A JP 2663252 B2 JP2663252 B2 JP 2663252B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地中に挿入した配管に
よって空気注入して地中の汚染物質を除去する地中汚染
物質除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有害物質による地下水の汚染を防
止するために、トリクロロエチレン、テトラクロロエチ
レン等の有機塩素系化合物が人体に悪影響を及ぼす有害
物質として水質汚濁防止法によって排水基準が規制され
てきた。しかしながら、これらの有害物質は、前者は金
属の脱脂用として半導体工業などに、また、後者はクリ
ーニング業等で広く用いられているのが現状である。こ
れらの物質は、比重が水より重く、過去においてすでに
地中に浸透・拡散されているものであり、地下水は生活
用水として用いられている関係上、これらの有害物質の
除去が望まれているものである。
【0003】従来より、地中汚染物質除去方法は、地下
水の流動方向下流側に揚水管を地下水の帯水域まで挿入
して、該揚水管内をポンプによって汲み上げ、浄水する
揚水方法と、地中の地下水の帯水域まで空気注入管を挿
入し、該空気注入管により地下水の帯水域に空気を注入
して、その汚染物質を揮発させ、その空気とともに地中
の汚染物質を回収する真空抽出法と地中ばっ気法を組み
合わせた方法が存在する。
【0004】前者は図4に示されるように、揚水井戸3
3を掘削し、該揚水井戸33内に揚水管36を配置し
て、その先端の地下水帯水域39に設けたポンプ35に
より汚染物質を含んだ地下水を汲み上げて、浄水器37
によって浄水するものである。しかしながら、この技術
はトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の汚染
物質は地下水に容易に溶解せず、地下水内の土壌の細孔
に付着して除去されにくいという問題がある。
【0005】後者は、図5に示されるように、地下水の
帯水域39のかなり深い位置まで配管40を挿入し帯水
域39への空気の注入を可能な構成にするとともに、気
体を真空抽出する配管41を地下水面2よりやや下方の
帯水域39の上面付近まで挿入して帯水域及び地表面1
と地下水面2間の気体を抽出可能に構成している。配管
40を介して空気42を帯水域39に注入すると、空気
42は帯水域39内の小石、あるいは土壌片等に衝突
し、それらに付着した汚染物質を吹き飛ばして、汚染物
質とともにアワとなって、矢印43に示すように上方に
浮上し、汚染物質はアワとともに配管41により真空抽
出される。しかしながら、この方法は、汚染物質は上方
に浮上する過程において、途中の小石等により再度付着
され、完全には回収されないという問題がある。
【0006】上述の問題点を解決することを目的とし
て、出願人は図3の方法を実験した。同図において、地
表面1からほぼ7mの深さの帯水域39に、気体を真空
抽出する配管41、帯水域39に空気を注入する配管4
0、アワ及び地下水を揚水する配管44を挿入した。配
管40から空気を注入すると、空気42は帯水域39内
の小石、あるいは土壌片等に衝突し、それらに付着した
汚染物質を吹き飛ばして、汚染物質とともにアワとなっ
て、矢印46に示すように配管41に向かって移動し、
汚染物質はアワとともに配管41により真空抽出され
る。一方、空気42は同じようにアワとなって汚染物質
とともに矢印45に示すように、配管44に向かって移
動し、配管44によって地下水とともに地上に揚水され
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法は、注入空気によりアワと汚染物質は矢印45及び4
6の方向に流動し、それによって地下水もこの方向に流
れ、注入気体により通路が形成される。そして、矢印4
5及び46の近辺以外(例えば帯水域39内の区域4
7)の区域は、注入空気によりアワの攪乱が行われ難
く、汚染物質が回収されないという問題がある。また、
注入空気は配管41と配管44とに分散され、汚染物質
回収の効率が落ちるという問題がある。また、3本の配
管を地中に挿入する必要があり、処理工程が複雑化し処
理時間がかかるという問題がある。本発明は、かかる問
題点に鑑み、汚染物質回収効率の低下しない地中汚染物
質除去方法を提供することを目的としたものである。ま
た、本発明の他の目的は処理工程が複雑化しない地中汚
染物質除去方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、地中に配管を
挿入し、地中汚染物質を地中より除去する地中汚染物質
除去方法において、地中に挿入された一本の配管に弁手
段を介して空気注入手段と流体吸入手段とを連結し、前
記弁手段の制御により同一配管内において地中への空気
注入と地中からの流体吸入を可能な空気注入・揚水両用
管となし、前記空気注入手段と前記流体吸入手段を交互
に駆動して地中の汚染物質を吸入して除去するように構
成した。また、前記地中汚染物質は有機塩素系炭化水素
もしくは石油系炭化水素であると好ましい。また、真空
抽出手段と連結した真空抽出管を地中に挿入し、前記真
空抽出手段と前記流体吸入手段とにより地中の汚染物質
を除去するように構成すると好ましい。また、真空抽出
手段と連結した真空抽出管を地中に挿入し、前記真空抽
出手段と前記流体吸入手段を交互に駆動して地中の汚染
物質を吸入して除去するように構成すると好ましい。
【0009】
【作用】本発明は、地中に挿入された一本の配管15に
弁手段10、及び11を介して空気注入手段5と流体吸
入手段6とを連結し、弁手段10を閉成し、弁手段11
を開成して空気注入手段5から空気を地下水の帯水域3
9に注入し、空気は帯水域39内の小石、あるいは土壌
片等に衝突し、それらに付着した汚染物質を吹き飛ばし
て、汚染物質とともにアワ4となり、配管15の先端部
周囲に攪乱する。その後、空気注入手段5の動作を停止
し、弁手段11を閉成し、弁手段10を開成して流体吸
入手段6を駆動して、配管15の先端部から空気の注入
により攪乱した汚染物質、アワを地下水とともに吸入す
る。
【0010】また、トリクロロエチレン等は水より比重
が重いために、注入空気を停止すると、アワに取り込ま
れた以外の汚染物質は沈下を始め、再度土壌に付着する
が、その付着前に地下水とともに汚染物質を吸引するこ
とができ効率のよい回収が行われる。また、真空抽出手
段9と連結した真空抽出管16を地中に挿入(図2)
し、前記真空抽出手段9と前記流体吸入手段6とにより
地中の汚染物質を除去するように構成した場合は、流体
吸入手段で回収されなかった汚染物質を真空抽出手段に
より回収することができる。特に、前記真空抽出手段9
と前記流体吸入手段6を交互に駆動して地中の汚染物質
を吸入して除去するように構成した場合は、前記真空抽
出手段は前記空気注入手段が動作中において駆動するこ
ととなり、吸入空気によるアワの攪乱中に真空抽出を行
うことになり、効率のよい真空抽出がおこなわれる。
【0011】
【実施例】以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳
細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品
の寸法、材質、形状、その相対位置などは特に特定的な
記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する
趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0012】図1は本発明に係る地中汚染物質除去方法
に用いられる装置の基本的構成図、図2はその応用例、
図3は実験例、図4は揚水方法を示す従来例、図5はス
パージング方法を示す従来例である。
【0013】図1において、地中に空気を狭い範囲でま
き散らす(スパージング)ことと、地下水及びそれに含
まれる汚染物質などで構成される流体を吸入することを
弁手段11を制御して選択的に行う配管15を、地下水
面2を越えて地表面1から深さ7〜10mの地点まで挿
入する。この深さの決定は、事前に30m四方に一本の
割合でボーリングして、所定深さごとの土壌もしくは地
下水を採取して汚染度合いを測定して、高濃度汚染域の
深さ方向の幅、その位置等を考慮して、高濃度汚染域
内、その上方、下方が決定される。
【0014】該配管15は前記弁手段11を介して配管
13に連結し、この配管13は空気注入手段であるコン
プレッサ5に連結されている。このコンプレッサ5は空
気注入量調節手段が付与されていて、土壌の粗密、高濃
度汚染域の幅、配管15のサイズなどを考慮して、単位
時間の空気注入量が調節可能に構成されている。配管1
5は弁手段11の手前で弁手段10と連結して配管14
と連結され、この配管14は流体吸入手段であるブロア
6に連結されている。このブロア6は配管12を介して
浄化処理装置7に連結されている。この浄化処理装置7
は地中から吸入した流体を活性炭などにより浄化する。
【0015】次に、このように構成された本実施例の作
用を説明する。図1において、弁手段10を閉成し、弁
手段11を開成した状態で、コンプレッサ5を駆動する
と、空気は配管13、弁手段11を通って配管15の先
端部15aから矢印方向に放出される。放出された空気
は帯水域39内の小石、あるいは土壌片等に衝突し、そ
れらに付着した汚染物質を吹き飛ばして、汚染物質は揮
発し、汚染物質とともにアワ4となり、配管15の先端
部周囲に攪乱する。
【0016】その後、コンプレッサ5の動作を停止し、
弁手段11を閉成し、弁手段10を開成してブロア6を
駆動して、配管15の先端部から空気の注入により攪乱
した汚染物質、アワ4を地下水とともに吸入する。この
弁手段の操作とそれに同期するブロア6の駆動は手速く
行われる。したがって、水より比重が重いトリクロロエ
チレン等が注入空気を停止すると沈下を始め、再度土壌
に付着前に地下水及びアワ4とともに汚染物質が吸引さ
れる。吸入された地下水は浄化処理装置7に送られ浄化
処理される。
【0017】図2は本発明に係る地中汚染物質除去方法
に用いられる装置の応用例である。同図には、図1に示
された実施例に、真空抽出装置が付加され、具体的には
配管15に近接して配管16が設けられ、この配管16
の先端部16aには多数の孔が穿設され、この多数の孔
は地下水位2の上方及び下方にわたって設けられ、地下
水位の上方の気体及び地下水内の気体ともに吸入可能に
構成されている。該配管16は真空ポンプ9に連結さ
れ、該真空ポンプ9は配管17を介して浄化処理装置8
と連結されている。
【0018】次に、このように構成された本実施例の作
用を説明する。図2において、弁手段10を閉成し、弁
手段11を開成した状態で、コンプレッサ5を駆動する
と、空気は配管13、弁手段11を通って配管15の先
端部15aから矢印方向に放出される。放出された空気
は帯水域39内の小石、あるいは土壌片等に衝突し、そ
れらに付着した汚染物質を吹き飛ばして、汚染物質は揮
発し、汚染物質とともにアワ4となり、配管15の先端
部周囲に攪乱する。そして、アワ4は地下水位2に向か
って浮上する。
【0019】一方、コンプレッサ5の駆動に同期して真
空ポンプ9を駆動させると、配管16内は負圧となり、
汚染物質を含んだアワ4は地下水内の配管16の先端部
16aと、地下水面2より上方の土壌の空隙を通して先
端部16aから吸引される。真空ポンプ9はスパージン
グ中に駆動するので、汚染物質を含んだアワ4が発生
し、効率のよい気化した汚染物質の吸引が可能である。
【0020】その後、コンプレッサ5の動作を停止し、
弁手段11を閉成し、弁手段10を開成してブロア6を
駆動して、配管15の先端部から空気の注入により攪乱
した汚染物質、アワ4を地下水とともに吸入する。この
弁手段の操作とそれに同期するブロア6の駆動は手速く
行われる。したがって、水より比重が重いトリクロロエ
チレン等が注入空気を停止すると沈下を始め、再度土壌
に付着前に地下水とともに汚染物質が吸引される。吸入
された地下水は浄化処理装置7に送られ浄化処理され
る。
【0021】この揚水工程において取り込まれなかった
汚染物質を含んだアワ4は、次のスパージング工程に同
期して駆動する真空ポンプ9により配管16の先端部1
6aから取り込まれる。したがって、揚水工程で取り込
まれなかった汚染物質を含んだアワ4を真空抽出工程に
より取り込み除去することができる。
【0022】尚、図1及び図2ともに一般の弁手段を用
いているが、電動弁もしくは電磁弁を有する三方弁を用
いると、電気的に迅速な制御が行われて、望ましい。
【0023】
【効果】以上記載したごとく、本発明においては、地中
に挿入された一本の配管に弁手段を介して空気注入手段
と流体吸入手段とを連結し、前記弁手段の制御により同
一配管内において地中への空気注入と地中からの流体吸
入を可能な空気注入・揚水両用管となし、前記空気注入
手段と前記流体吸入手段を交互に駆動して地中の汚染物
質を吸入して除去するように構成しているので、汚染物
質回収効率の低下しない地中汚染物質除去方法を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地中汚染物質除去方法に用いられ
る装置の基本的構成図である。
【図2】本発明に係る地中汚染物質除去方法を用いた装
置の応用例である。
【図3】地中汚染物質除去方法の実験例である。
【図4】揚水方法を示す従来例である。
【図5】スパージング方法を示す従来例である。
【符号の説明】
1 地表面 2 地下水位 3 高濃度汚染域 4 アワ 5 コンプレッサ(空気注入手段) 6 ブロア(流体吸入手段) 7、8 浄化処理装置 9 真空ポンプ 10、11 弁手段 12〜17 配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特表 平6−507344(JP,A) 特表 平8−505806(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地中に配管を挿入し、地中汚染物質を地
    中より除去する地中汚染物質除去方法において、 地中に挿入された一本の配管に弁手段を介して空気注入
    手段と流体吸入手段とを連結し、前記弁手段の制御によ
    り同一配管内において地中への空気注入と地中からの流
    体吸入を可能な空気注入・揚水両用管となし、 前記空気注入手段と前記流体吸入手段を交互に駆動して
    地中の汚染物質を吸入して除去することを特徴とする地
    中汚染物質除去方法。
  2. 【請求項2】 前記地中汚染物質は有機塩素系化合物も
    しくは石油系炭化水素である請求項1記載の地中汚染物
    質除去方法。
  3. 【請求項3】 真空抽出手段と連結した真空抽出管を地
    中に挿入し、前記真空抽出手段と前記流体吸入手段とに
    より地中の汚染物質を除去することを特徴とる請求項1
    記載の地中汚染物質除去方法。
  4. 【請求項4】 真空抽出手段と連結した真空抽出管を地
    中に挿入し、前記真空抽出手段と前記流体吸入手段を交
    互に駆動して地中の汚染物質を吸入して除去することを
    特徴とする請求項3記載の地中汚染物質除去方法。
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JP4636679B2 (ja) * 2000-12-28 2011-02-23 大阪瓦斯株式会社 土壌浄化方法
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