JP2663034B2 - 二重復号方式 - Google Patents

二重復号方式

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、二重に誤り訂正符号化された符号を復号す
る復号方式(以下、「二重復号方式」と称す)に関する
ものである。
(従来技術) 二つの誤り訂正符号を用いて情報データ系列を符号化
することで、単独の誤り訂正符号を用いるよりもより高
い誤り訂正能力を実現し、信頼性に優れた情報電送を実
現する手段のひとつとして、ひとつの誤り訂正符号器−
復号器システムの外側にもうひとつの誤り訂正符号器−
復号器を付加する二重符号化方式がある。ここで内側の
符号化復号システムに用いる符号を内符号、外側の符号
化復号システムに用いる符号を外符号と呼ぶ。二重符号
化方式は、符号化率等の符号化パラメータやハードウェ
アの選択自由度が大きく、かつ二つの符号を適切に選択
して組み合わせることで、非常に高い誤り訂正能力を達
成できる符号化方式として知られている。特に内符号と
して、たたみ込み符号化/ビタビ復号方式を適用し、外
符号にリードソロモン符号を適用する二重符号化方式
は、深宇宙通信の分野で実用化されているほか、衛星通
信に対しても最近導入が積極的に検討されつつある。ま
たCD、光ディスクの分野においては、インターリーブを
含んだリードソロモン符号を二重に用いて誤り訂正能力
の改善を図っている。
次に、取り扱う受信信号の性質からみれば、復号方式
には大別して、受信語に確定的な値として捉えて復号す
るいわゆる硬判定復号方式と、受信語に加え、受信語中
のそれぞれのビット又はシンボルの確からしさを示す重
み情報をも含めて復号を行なう軟判定復号方式が存在す
る。また軟判定復号方式の一種として、受信されたシン
ボルの確からしさがはなはだ低い場合には、当該シンボ
ルに確定的な値を付与せず、単に消失(イレージャー)
として取り扱い、復号を行なう消失誤り訂正復号方式が
ある。一般的には、この様な軟判定復号方式や、消失誤
り訂正方式を適用することにより、硬判定復号に比べ、
より一層の誤り訂正能力の改善を図ることが可能であ
る。
(発明が解決しようとする課題) 従来技術の項で述べたように、一般には、軟判定復号
あるいは消失誤り訂正復号方式を適用することにより、
硬判定復号にくらべ、誤り訂正能力の改善を図ることが
可能である。しかしながら二重符号化システムに対して
これらの適用を考えると、内符号の復号については、伝
送路を通ったデータが直接復号対象となるため、上記の
軟判定復号や消失誤り訂正復号が適用可能であるのに対
し、外符号は、内符号の復号結果を複合対象とするた
め、通常は硬判定データのみしか受け取ることができな
い。そのため、本来なら外符号の復号器に軟判定誤り訂
正や消失誤り訂正復号の能力が備わっている場合でもそ
の能力を発揮することができないという問題点があっ
た。
本発明の目的は、外符号の復号器に軟判定誤り訂正や
消失誤り訂正復号の能力が備わっている場合にその能力
を発揮することができる二重復号方式を提供することに
ある。
(課題を解決するための手段) この目的を達成するために本発明は、トレリス線図を
用いて復号を行うことができる線型誤り訂正符号を内符
号に用い、外符号としては軟判定又は消失誤り訂正が可
能なGF(2m)上の線型誤り訂正符号を用いて構成される
二重に符号化された符号の復合方式において、 前記内符号の復号情報系列に付随してmビットより構
成される外符号の1シンボルの確からしさを求めて、前
記内符号の復号情報系列とともに前記外符号の復号器に
転送し、 前記外符号においては、得られた確からしさの情報か
ら当該シンボルの軟判定重みもしくは消失情報を決定
し、これによって軟判定復号もしくは消失謝り訂正復号
を行うことを特徴とする構成を有している。
本発明の原理は、トレリス構造を有する線型符号に対
する復号方式のひとつであるビット単位の尤度を評価す
る復号(ここではこの復号方式をビット最小誤り復号と
呼ぶ)手段を内符号の復号に用いたことにある。
なお、この最小ビット誤り復号アルゴリズムについて
は文献(L.R.Bahl,J.Cocke F.Jelinek and J.Raviv:“O
ptimal Decoding of Linear Codes for Minimizing Sym
bol Error Rate",IEEE Trans.Inf.Theory,Vol.IT−20,p
p.284−287,March 1974)に詳しく述べられている。
また、本発明者等は本発明と同日出願した「誤り訂正
符号の復号方式」において、繰り返し演算を行ったとき
に用いた作業用記憶領域を逆方向の繰り返し演算に再使
用すること及び、技メトリックの規格化を提案してい
る。従って、その最小ビット誤り復号方式を用いても良
い。
ビット最小誤り復号は受信された系列Zにたいしてあ
る時刻kにおける復号結果がUkであるときの結合確率P
(Uk,z)もしくはP(Uk|z)が評価されるので、外符号
のシンボルがvk=Uk,Uk+1,Uk+2,…,Uk+m-1)より構成さ
れるときには、 を計算することで、外符号へ渡される内符号の復号情報
の信頼度を評価している。
(実施例1) 第1図は本発明に基づく二重復号方式の概念図を示す
ブロック図である。図において、外符号はGF(2m)上、
内符号はGF(2)上の線型符号とする。送信情報系列は
S/P(シリアル/パラレル)変換器130によりmビット単
位のシンボルに変換され、外符号器140で外符号の誤り
訂正符号化が行なわれる。その後P/S(パラレル/シリ
アル)変換器131により再び直列のビット系列に変換さ
れ、内符号の符号器141により誤り訂正符号化されて出
力101より伝送路に送出される。伝送路では雑音103を受
け、受信系列z102として内符号復号器142ならびに最小
ビット誤り復号器144に入力される。この系列zは一般
には軟判定データである。内符号復号器142は、例えば
ビタビ復号器のように軟判定復号が可能であるが、その
復号系列104としては0、1といった決定的な値した出
力できない復号器である。また外符号復号器143は例え
ばGF(28)上の消失誤り訂正が可能なリードソロモン復
号器であるとする。この二者は、従来深宇宙通信でよく
用いられてきた組み合わせである。一方、点線内の部分
は、本発明により従来の二重符号化/復号方式に新たに
付け加えて、内符号の復号結果の信頼度判定を行なう部
分であり、最小ビット誤り復号器144、レジスタ120,12
1、乗算器122、量子化器123より構成される。
内符号復号器142によって時刻kの復号ビットUkが得
られたとすると、この出力はS/P変換器132に送られラッ
チされると同時に、最小ビット誤り復号器144に入力さ
れる。復号器144は、受信系列zと復号器142の時刻kに
おける復号出力UkよりP(Uk|z)を計算して105へ出力
する。この値はレジスタ120に格納される。レジスタ121
には初期値として「1」がセットされている。次のステ
ップでレジスタ120とレジスタ121の内容は乗算器122に
て掛け合わされ、その結果がレジスタ121へ再び格納さ
れる。この動作がm回繰り返された時点で、レジスタ12
1には、 が蓄積される。またS/P変換器132には外符号の1シンボ
ルを構成するmビットの復号シンボルがラッチされてい
る。そこでレジスタ121の値を量子化器123に入力し、あ
るしきい値を超えていれば、外符号復号器143への入力
シンボルは信頼度が十分あると判断し、有効とするが、
しきい値を割っていれば、当該シンボルは信頼に欠ける
と判断してこのシンボルは無効すなわち消失とする。外
符号復号器143はこの情報を得て消失誤り訂正を行な
う。一般に距離が2t+1の符号を用いる場合にはその誤
り訂正能力はtシンボルであるが、消失のみを復元する
場合にはその能力が2tシンボルまで向上する。したがっ
てこのような消失情報を与えることによって、外符号復
号器の誤り訂正能力を高めれば、総合的なシステムのビ
ット誤り率特性を改善することができ、通信の信頼性を
向上させることが可能である。
なお本実施例においては、外符号復号器143としては
消失誤り訂正機能を有する復号器を考慮の対象にした
が、ビタビ復号器のような軟判定復号を行なえる復号器
を外符号の復号器に用いる場合には、量子化器123に適
当な複数のしきい値を設定し、これにより作り出される
複数段階の信頼度を軟判定情報として外符号復号器に渡
すことで軟判定復号を行ない、通信の信頼性を高めるこ
とができる。
また、実施例1では乗算器122を用いてビット単位の
尤度の積(108)を求めたが、最小ビット誤り復号器144
の出力(105)を実数から対数に変換するかまたは最小
ビット誤り復号器144から直接対数尤度を出力し(105)
し、乗算器122の代わりに加算器を用いてビット単位の
対数尤度の和(108)を求め、外符号の1シンボルの確
からしさとしても良い。
この実施例では点線部を除けば従来方式の二重符号化
/復号方式と同一である。したがって従来方式に対して
点線部を付加するだけで誤り訂正能力の向上が計れると
いう利点をもつ。
(実施例2) 第2図は、本発明による第2の実施例であり、二重符
号化/復号方式の概念図を示したものである。実施例1
と異なる点は、内符号の復号器として最小ビット誤り復
号器をそのまま用いている点にある。送信部は実施例1
と同じであるので説明を省略する。受信系列zが得られ
たとすると、最小ビット誤り復号器は、順に時刻kにお
いて受信系列zが受信されたもとでの復号ビットUkが0
および1である確率P(Uk=0|z),P(Uk=1|z)を出力
し、これらの値は204,205を通じてそれぞれレジスタ22
0,221へ格納される。比較器222は、206,207によって両
レジスタの値を比較し、もしもレジスタ220の値が大き
ければ0を、レジスタ221の値が大きければ1を、等し
ければランダムに0または1を208に出力する。マルチ
プレクサ223はもしも比較器222の出力208の値が0なら
ばレジスタ220の出力209、1ならばレジスタ221の出力2
10側を選択する。選択されたレジスタの内容はマルチプ
レクサ223の出力211を通じてレジスタ224に格納され
る。また比較器222の出力208の出力は同時にS/P変換器2
32でラッチされる。これらの動作によって、復号動作お
よび復号ビットの信頼度評価が同時に最小ビット誤り復
号器242によって行なわれることになる。以後、レジス
タ224、225、乗算器226、量子化器227によって外符号復
号器に渡されるシンボルの信頼度評価が行なわれる過程
は実施例1と同様である。
(発明の効果) 本発明を用いると、二重符号化方式において外符号の
消失判定復号または軟判定復号が行なえるようになるた
め、誤り訂正能力改善の効果は非常に大きい。しかも本
発明は、従来方式で用いられている符号のパラメータを
何ら変更することなくシステムに適用することができる
ので、既存システムへの導入も円滑に行なうことができ
る。
一般に二重符号化方式が採用されるシステムは、到達
電波が極めて微弱な深宇宙通信や衛星を介したデータ通
信システムのように、できるかぎり通信の信頼性を向上
させたい要求に基づいて導入される場合が多い。従っ
て、このような通信の信頼性の向上につながる本発明の
効果は非常に大きいといえる。
【図面の簡単な説明】
第1図と第2図は本発明の実施例を示すブロック図であ
る。 100,200……送信系列、130,230……シリアル/パラレル
変換器、140,240……外符号符号器、131,231……パラレ
ル/シリアル変換器、101,201,102,202……伝送路、10
3,203……伝送路雑音、142……内符号復号器、144,242
……最小ビット誤り復号器、132,232……シリアル/パ
ラレル変換器、133,233……パラレル/シリアル変換
器、120,121,220,224,225……レジスタ、143,243……外
符号復号器、122,226……乗算器、123,227……量子化
器、223……マルチプレクサ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−154521(JP,A) 電子情報通信学会技術研究報告「衛星 通信」SAT89−38、本田、久保田、守 倉、加藤「連接符号における誤り訂正能 力の改善方法」p.7−12第1図 IEEE Trons,Infor m.Theory,IT−20,No.2 (March,1974)L.R.Bahl 他”Opfimal Decoding of Linear Codes f or Minimizing Symb ol Error Rate,”p. 284−287 Proceedings of th e IEEE,Vol.61,No.3 (March,1973) G.D.For ney”The Viterbi Al govithm,”p.268−278 電子通信学会誌、第69巻[12](1986 年12月)平沢茂一「積符号と連接符号」 p.1231−1239

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トレリス線図を用いて復号を行うことがで
    きる線型誤り訂正符号を内符号に用い、外符号としては
    軟判定又は消失誤り訂正が可能なGF(2m)上の線型誤り
    訂正符号を用いて構成される二重に符号化された符号の
    復合方式において、 ビット最小誤り復号アルゴリズムにより内符号の復号手
    段により直接得られる前記内符号の復号情報系列に付随
    して、該内符号の復号情報系列と受信系列とから計算さ
    れるビット単位の尤度の積もしくはビット単位の対数尤
    度の和で与えられるmビットより構成される外符号の1
    シンボルの確からしさを求めて、前記内符号の復号情報
    系列とともに前記外符号の復号器に転送し、 前記外符号においては、得られた確からしさの情報から
    当該シンボルの軟判定重みもしくは消失情報を決定し、
    これによって軟判定復号もしくは消失誤り訂正復号を行
    うことを特徴とする二重復号方式。
  2. 【請求項2】トレリス線図を用いて復号を行うことがで
    きる線型誤り訂正符号を内符号に用い、外符号としては
    軟判定又は消失誤り訂正が可能なGF(2m)上の線型誤り
    訂正符号を用いて構成される二重に符号化された符号の
    復号方式において、 ビット最小誤り復号アルゴリズムによりビット単位の復
    号尤度をそれぞれ計算することにより得られる前記内符
    号の復号情報系列に付随して、該ビット単位の復号尤度
    の積もしくはビット単位の対数尤度の和で与えられるm
    ビットより構成される外符号の1シンボルの確からしさ
    を求めて、前記内符号の復号情報系列とともに前記外符
    号の復号器に転送し、 前記外符号においては、得られた確からしさの情報から
    当該シンボルの軟判定重みもしくは消失情報を決定し、
    これによって軟判定復号もしくは消失誤り訂正復号を行
    うことを特徴とする二重復号方式。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH03154521A (ja) * 1989-11-13 1991-07-02 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 軟判定復号情報出力機能付ビタビ復号器

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
IEEE Trons,Inform.Theory,IT−20,No.2(March,1974)L.R.Bahl他"Opfimal Decoding of Linear Codes for Minimizing Symbol Error Rate,"p.284−287
Proceedings of the IEEE,Vol.61,No.3(March,1973) G.D.Forney"The Viterbi Algovithm,"p.268−278
電子情報通信学会技術研究報告「衛星通信」SAT89−38、本田、久保田、守倉、加藤「連接符号における誤り訂正能力の改善方法」p.7−12第1図
電子通信学会誌、第69巻[12](1986年12月)平沢茂一「積符号と連接符号」p.1231−1239

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