JP2661096B2 - 合成樹脂製シール部材 - Google Patents
合成樹脂製シール部材Info
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- synthetic resin
- resin
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、流体圧シリンダ等の各種流体圧機器に使用
される流体圧力のシールを行う合成樹脂製のシール部材
に関する。更に詳述すれば、本発明はシール装置及びバ
ックアップリング等にあってその構成の一部或いは単体
で使用する合成樹脂製シール部材の表面状態、特に相対
的に運動する相手運動面に当接する側の表面の状態を改
質することにより、シール性さらには摩擦特性を向上さ
せた合成樹脂製シール部材に関する。
される流体圧力のシールを行う合成樹脂製のシール部材
に関する。更に詳述すれば、本発明はシール装置及びバ
ックアップリング等にあってその構成の一部或いは単体
で使用する合成樹脂製シール部材の表面状態、特に相対
的に運動する相手運動面に当接する側の表面の状態を改
質することにより、シール性さらには摩擦特性を向上さ
せた合成樹脂製シール部材に関する。
(従来の技術) 流体圧機器のシール部材に使用される合成樹脂材料と
しては、四ふっ化エチレン樹脂(以下「PTFE」と記す)
が、いわゆスリッパシールのシールリング、ピストンリ
ング、各種の軸受、或いはバックアップリングとして最
も広く使用されており、中でもPTFE製のOリングのバッ
クアップリングはJISに規定されている。
しては、四ふっ化エチレン樹脂(以下「PTFE」と記す)
が、いわゆスリッパシールのシールリング、ピストンリ
ング、各種の軸受、或いはバックアップリングとして最
も広く使用されており、中でもPTFE製のOリングのバッ
クアップリングはJISに規定されている。
またその他の材料としては、一般にはポリエチレン、
ポリエステル、ポリウレタンなどの比較的軟質の熱可塑
性樹脂が多く用いられている。
ポリエステル、ポリウレタンなどの比較的軟質の熱可塑
性樹脂が多く用いられている。
しかしながら、流体圧機器の使用圧力、或いは使用温
度が高くなると、これら軟質の合成樹脂材料によるシー
ル部材は、機器の相対的に運動する二つの運動面の隙間
にはみ出し、著しく変形したりさらにははみ出し損傷し
て、バックアップリングでは合成ゴム製のシールを保護
する効果を、またシールリングではシール性等を失い、
使用が不可能な状態に至ることがある。
度が高くなると、これら軟質の合成樹脂材料によるシー
ル部材は、機器の相対的に運動する二つの運動面の隙間
にはみ出し、著しく変形したりさらにははみ出し損傷し
て、バックアップリングでは合成ゴム製のシールを保護
する効果を、またシールリングではシール性等を失い、
使用が不可能な状態に至ることがある。
そのため高圧下で使用されるシール部材の合成樹脂材
料としては、従前のPTFE或いはポリエチレン樹脂などよ
りも硬く強度の高い、例えばポリアミド樹脂、ポリアセ
タール樹脂、さらには高圧、高温下で使用されるもので
は、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂等の熱可塑
性或いは熱硬化性の樹脂が、単独で或いは前述の軟質の
合成樹脂製シール部材のはみ出しを防ぐ第2のバックア
ップリングとして併用される。
料としては、従前のPTFE或いはポリエチレン樹脂などよ
りも硬く強度の高い、例えばポリアミド樹脂、ポリアセ
タール樹脂、さらには高圧、高温下で使用されるもので
は、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂等の熱可塑
性或いは熱硬化性の樹脂が、単独で或いは前述の軟質の
合成樹脂製シール部材のはみ出しを防ぐ第2のバックア
ップリングとして併用される。
(発明が解決しようとする課題) これら硬質合成樹脂材料によるシール部材は、圧力に
よるはみ出し変形が少なく耐圧性は十分であるが、特に
往復運動する油圧シリンダ等のロッド部のシール部材と
して使用された場合には、シリンダの外部へ伸長したロ
ッドが引き込まれる際に、ロッド表面に付着している油
膜がこれら硬質合成樹脂製のシール部材により掻取られ
てしまい外部漏れとなる不具合が起こる。
よるはみ出し変形が少なく耐圧性は十分であるが、特に
往復運動する油圧シリンダ等のロッド部のシール部材と
して使用された場合には、シリンダの外部へ伸長したロ
ッドが引き込まれる際に、ロッド表面に付着している油
膜がこれら硬質合成樹脂製のシール部材により掻取られ
てしまい外部漏れとなる不具合が起こる。
すなわち、流体圧シリンダのロッド部は、シリンダの
形式にもよるがピストンのヘッド側に高圧が作用し、ピ
ストンロッドが伸長するときでも、ロッドシール或いは
パッキンには押出されていく流体の圧力(背圧)の低い
圧力しか加わらず、ロッドシール或いはパッキンのシー
ル力(ロッドに対する緊迫力による)は、パッキン・シ
ールが本来持つ張り力のみであるため、ロッドは表面に
油膜が厚く付着した状態でシリンダの外部へ伸長するこ
とになる。
形式にもよるがピストンのヘッド側に高圧が作用し、ピ
ストンロッドが伸長するときでも、ロッドシール或いは
パッキンには押出されていく流体の圧力(背圧)の低い
圧力しか加わらず、ロッドシール或いはパッキンのシー
ル力(ロッドに対する緊迫力による)は、パッキン・シ
ールが本来持つ張り力のみであるため、ロッドは表面に
油膜が厚く付着した状態でシリンダの外部へ伸長するこ
とになる。
次いで圧力の方向が切り替わり、ピストンのロッド側
に圧力が加わりロッドが収縮するときは、ロッドシール
或いはパッキンには高圧の流体圧が作用するため、パッ
キン及びシールと共にバックアップリングもパッキンの
圧力による変形などによる力を受けてロド面に強く押付
けられる。
に圧力が加わりロッドが収縮するときは、ロッドシール
或いはパッキンには高圧の流体圧が作用するため、パッ
キン及びシールと共にバックアップリングもパッキンの
圧力による変形などによる力を受けてロド面に強く押付
けられる。
このときに、合成樹脂のシール部材の接触面に前述の
ようなツールマークがあると、シール部材はツールマー
クによるあらさの頂部でロッド表面と強く当接するた
め、あたかも多数のエッジでシールするように高い油膜
の掻取り性が生ずる。
ようなツールマークがあると、シール部材はツールマー
クによるあらさの頂部でロッド表面と強く当接するた
め、あたかも多数のエッジでシールするように高い油膜
の掻取り性が生ずる。
前記したように合成樹脂製シール部材の材質が軟質で
あれば、速やかになじみができて油膜の掻取りがほとん
ど起きず外部漏れにならないが、高圧用の硬質合成樹脂
製のシール部材の場合には、なじみが速やかには得られ
ず油膜の掻取りが起こり外部漏れが発生してしまう。
あれば、速やかになじみができて油膜の掻取りがほとん
ど起きず外部漏れにならないが、高圧用の硬質合成樹脂
製のシール部材の場合には、なじみが速やかには得られ
ず油膜の掻取りが起こり外部漏れが発生してしまう。
これはシリンダを使用してしばらくの間、シール部材
とロッドとのなじみが得られるまで起こることである
が、たとえばしばらくでもそのような外部漏れがみられ
ると装置全体の信頼性を損なうような印象を与えるため
好ましくない。また、硬質合成樹脂材料ではそのような
なじみが得られるまでには、運動条件にもよるが数千回
〜1万回程度の作動回数が必要であり、材質によって
は、数万回(作動距離にして数十km)の作動においても
なじみが得られない例もあった。
とロッドとのなじみが得られるまで起こることである
が、たとえばしばらくでもそのような外部漏れがみられ
ると装置全体の信頼性を損なうような印象を与えるため
好ましくない。また、硬質合成樹脂材料ではそのような
なじみが得られるまでには、運動条件にもよるが数千回
〜1万回程度の作動回数が必要であり、材質によって
は、数万回(作動距離にして数十km)の作動においても
なじみが得られない例もあった。
シールリング等の直接流体圧をシールするシール部材
は、当然相手運動面に当接しているものであるが、バッ
クアップリングのように直接流体圧をシールする部材で
なくとも、その性質或いは構成によっては、相手面との
隙間が少ないことが望ましく、通常、圧力が作用してい
る時においては、相手運動面と接した状態となってい
る。
は、当然相手運動面に当接しているものであるが、バッ
クアップリングのように直接流体圧をシールする部材で
なくとも、その性質或いは構成によっては、相手面との
隙間が少ないことが望ましく、通常、圧力が作用してい
る時においては、相手運動面と接した状態となってい
る。
前述のような油膜の掻取りによる外部漏れ現象は、パ
ッキン・シールの圧力による変形をバックアップリング
が受けロッドに強く当接する軸方向に長手の断面形状の
バックアップリングを、パッキンの腰部のロッドに接す
る内周面に嵌装するように構成された、高圧用のシール
装置の場合において、特に漏れが発生しやすい。
ッキン・シールの圧力による変形をバックアップリング
が受けロッドに強く当接する軸方向に長手の断面形状の
バックアップリングを、パッキンの腰部のロッドに接す
る内周面に嵌装するように構成された、高圧用のシール
装置の場合において、特に漏れが発生しやすい。
四ふっ化エチレン樹脂、或いはポリエチレン樹脂等の
軟質合成樹脂による、機械加工或いは成形加工等により
製作されたシール部材は、油圧シリンダに組込み、数回
から数十回の運転により、樹脂部材の運動面になじみが
できるため、ロッドに付着し一旦外部へ出た油膜を、ロ
ッドがシリンダ内に引込まれる際に掻取らずにシリンダ
内へ引き込み、結果として外部漏れを少なくしている。
軟質合成樹脂による、機械加工或いは成形加工等により
製作されたシール部材は、油圧シリンダに組込み、数回
から数十回の運転により、樹脂部材の運動面になじみが
できるため、ロッドに付着し一旦外部へ出た油膜を、ロ
ッドがシリンダ内に引込まれる際に掻取らずにシリンダ
内へ引き込み、結果として外部漏れを少なくしている。
したがって、本発明の目的は、シール部材とロッドの
なじみが従前の軟質合成樹脂と同等かそれ以上の比較的
短期間に得られ、しかも高圧下、あるいは高圧、高温下
でも優れたシール性を確保できる硬質合成樹脂製シール
部材を提供することである。
なじみが従前の軟質合成樹脂と同等かそれ以上の比較的
短期間に得られ、しかも高圧下、あるいは高圧、高温下
でも優れたシール性を確保できる硬質合成樹脂製シール
部材を提供することである。
(課題を解決するための手段) 本発明者の知見によれば、硬質合成樹脂のシール部材
は、材料の硬さ、強度が高いため、シール部材の表面の
加工による凹凸(ツールマーク等)が、流体圧シリンダ
に圧力が作用して摺動運動をしても、かなり長時間この
ツールマーク等による表面のあらさの凹凸、特に凸部が
そのまま残ってしまいロッドとのなじみが得られ難いの
である。
は、材料の硬さ、強度が高いため、シール部材の表面の
加工による凹凸(ツールマーク等)が、流体圧シリンダ
に圧力が作用して摺動運動をしても、かなり長時間この
ツールマーク等による表面のあらさの凹凸、特に凸部が
そのまま残ってしまいロッドとのなじみが得られ難いの
である。
すなわち、硬質合成樹脂のシール部材では、シールリ
ングでもバックアップリングでも、相手運動面と当接し
ている樹脂表面のツールマーク(シールリング部材の表
面加工による凹凸)が油漏れの原因であり、特にその凸
部が大きな要因であることが分かった。
ングでもバックアップリングでも、相手運動面と当接し
ている樹脂表面のツールマーク(シールリング部材の表
面加工による凹凸)が油漏れの原因であり、特にその凸
部が大きな要因であることが分かった。
ここに、シール部材には切削加工によるツールマー
ク、さらに射出成形などの金型加工される際の金型の表
面のツールマークが成形された製品の表面に転写された
ツールマークができる。したがって、本発明はこれらの
加工方法によって、成形された製品の表面の少なくとも
相手運動面部材と相対的に運動する面の表面のツールマ
ークの状態を改善することによって、表面の凹凸が大き
く影響する油漏れなどのシール部材の初期的問題点を解
決しようとするものである。
ク、さらに射出成形などの金型加工される際の金型の表
面のツールマークが成形された製品の表面に転写された
ツールマークができる。したがって、本発明はこれらの
加工方法によって、成形された製品の表面の少なくとも
相手運動面部材と相対的に運動する面の表面のツールマ
ークの状態を改善することによって、表面の凹凸が大き
く影響する油漏れなどのシール部材の初期的問題点を解
決しようとするものである。
よって、本発明の要旨とするところは、ポリアミド樹
脂、ポリアセタール樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニ
レンサルファイド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、および
ポリイミド樹脂等の硬質合成樹脂から構成されるシール
部材であって、少なくとも相手部材と相対的に運動する
面の表面であってツールマークを有する面に、表面平滑
化処理または表面軟質化処理であるなじみ化処理を行う
ことを特徴とする硬質合成樹脂製シール部材である。
脂、ポリアセタール樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニ
レンサルファイド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、および
ポリイミド樹脂等の硬質合成樹脂から構成されるシール
部材であって、少なくとも相手部材と相対的に運動する
面の表面であってツールマークを有する面に、表面平滑
化処理または表面軟質化処理であるなじみ化処理を行う
ことを特徴とする硬質合成樹脂製シール部材である。
なじみ化処理は、使用に先立って、人為的に、軟質合
成樹脂の有すると同等もしくはそれ以上の表面なじみ性
を付与する処理であり、例えば、表面平滑化処理または
表面軟質化処理である。
成樹脂の有すると同等もしくはそれ以上の表面なじみ性
を付与する処理であり、例えば、表面平滑化処理または
表面軟質化処理である。
この油膜の掻取りによる油漏れは、本発明によれば、
なじみ化処理によって阻止されるが、これには上述のよ
うに、大別して表面平滑化と表面軟質化の二つの方法が
ある。
なじみ化処理によって阻止されるが、これには上述のよ
うに、大別して表面平滑化と表面軟質化の二つの方法が
ある。
すなわち、 1)表面平滑化は、硬質合成樹脂のシール部材の少なく
とも相手部材と相対的に運動する面の表面について、ツ
ールマーク等による表面凹凸の凸部を可及的に平坦に、
或いは凸部の先端をR面化して平滑面とすることであ
る。
とも相手部材と相対的に運動する面の表面について、ツ
ールマーク等による表面凹凸の凸部を可及的に平坦に、
或いは凸部の先端をR面化して平滑面とすることであ
る。
2)表面軟質化は、硬質合成樹脂のシール部材の少なく
とも相対的に運動する面の部分を、通常にバックアップ
リングとして使用される材質である四ふっ化エチレン樹
脂、或いはポリエチレン樹脂等の軟質の樹脂と同程度の
硬さ(JISデュロメータ硬さHDD50〜70)とすることであ
り、これにより、相手摺動面とのなじみが速やかに得ら
れるようにし、油膜の掻出しを少なくすることを可能に
している。
とも相対的に運動する面の部分を、通常にバックアップ
リングとして使用される材質である四ふっ化エチレン樹
脂、或いはポリエチレン樹脂等の軟質の樹脂と同程度の
硬さ(JISデュロメータ硬さHDD50〜70)とすることであ
り、これにより、相手摺動面とのなじみが速やかに得ら
れるようにし、油膜の掻出しを少なくすることを可能に
している。
1)の表面平滑化の具体的方法としては次の三つの方
法がある。
法がある。
1−1)切削加工、或いは金型による成形加工などの通
常の加工後に、バレル、バフ、ホーニング、ブラスト等
の仕上げにより表面のツールマークによるあらさの山の
頂部を潰し平滑面を得る方法。
常の加工後に、バレル、バフ、ホーニング、ブラスト等
の仕上げにより表面のツールマークによるあらさの山の
頂部を潰し平滑面を得る方法。
1−2)射出成形等金型を用いる成形の場合は、金型の
少なくとも該当する表面部分を、たとえば電解研磨、放
電加工等の方法を取る事により、あらさの山の頂部が滑
らかなR面、或いは表面全体が梨地状、微細な球面の突
起が配設された成形物の表面が得られるようにする方
法。
少なくとも該当する表面部分を、たとえば電解研磨、放
電加工等の方法を取る事により、あらさの山の頂部が滑
らかなR面、或いは表面全体が梨地状、微細な球面の突
起が配設された成形物の表面が得られるようにする方
法。
1−3)切削加工、或いは通常の金型による成形加工な
どによって得られた硬質合成樹脂のシール部材を、合成
樹脂材料の融点以上の温度に暴露し表面のあらさの部分
(特にあらさの山のエッジの部分)を溶融させたのち冷
却することにより、樹脂の表面張力によって溶融したあ
らさの山の部分を滑らかなR面とする方法。
どによって得られた硬質合成樹脂のシール部材を、合成
樹脂材料の融点以上の温度に暴露し表面のあらさの部分
(特にあらさの山のエッジの部分)を溶融させたのち冷
却することにより、樹脂の表面張力によって溶融したあ
らさの山の部分を滑らかなR面とする方法。
2)の表面軟質化の具体的方法としては次の二つの方法
がある。
がある。
2−1)硬質合成樹脂製シール部材の前面或いは、運動
面側の部分に、射出成形、、接着、コーティング等の方
法により軟質の樹脂の層を形成する方法。
面側の部分に、射出成形、、接着、コーティング等の方
法により軟質の樹脂の層を形成する方法。
2−2)硬質合成樹脂製シール部材を、薬液中にて処理
することにより表面を軟化させる方法で、この薬液は、
例えば硬質合成樹脂がポリアミド樹脂の場合は、クレゾ
ール液、硫酸等が用いられるが、それぞれの硬質合成樹
脂素材に対して軟化させる薬液が用いられる。
することにより表面を軟化させる方法で、この薬液は、
例えば硬質合成樹脂がポリアミド樹脂の場合は、クレゾ
ール液、硫酸等が用いられるが、それぞれの硬質合成樹
脂素材に対して軟化させる薬液が用いられる。
特に、薬液による表面の軟化は、硬質合成樹脂製シー
ル部材のツールマークによる凸部の先端を薬液により溶
解してR面にする効果も合せ持つため、この方法は前記
1−3)の方法で処理し難い耐熱性に優れた熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂等の耐熱樹脂の処理に有効である。
ル部材のツールマークによる凸部の先端を薬液により溶
解してR面にする効果も合せ持つため、この方法は前記
1−3)の方法で処理し難い耐熱性に優れた熱可塑性樹
脂、熱硬化性樹脂等の耐熱樹脂の処理に有効である。
(作用) 次に、本発明の各態様について具体的に説明する。
本発明の特徴は、特に硬質合成樹脂材料に対する使用
に先立って行われる人為的ななじみ化処理であり、これ
は前述のように、表面平滑化処理および表面軟質化処理
に大別される。
に先立って行われる人為的ななじみ化処理であり、これ
は前述のように、表面平滑化処理および表面軟質化処理
に大別される。
いずれも表面のなじみ性を改善することを目的とする
ものであり、その手段として平滑化、軟質化を採用する
のである。
ものであり、その手段として平滑化、軟質化を採用する
のである。
それによれば、従来の無処理のバックアップリング
で、数千〜10,000サイクルも要していた初期なじみ操作
が、処理を行ったものでは、僅か数十〜数百サイクルの
作動で十分ななじみが得られるのである。
で、数千〜10,000サイクルも要していた初期なじみ操作
が、処理を行ったものでは、僅か数十〜数百サイクルの
作動で十分ななじみが得られるのである。
以下、順次詳述する。
表面平滑化処理方法は次の三種に大別される。
表面粗さ潰し法: これは機械的に表面の凸部の先端部分を除去すること
により表面平滑化をはかる方法である。通常前加工とし
て切削加工が行われる場合にはこの方法が好ましい。こ
の方法の具体的手段には例えば、バレル、バフ、ホーニ
ング、ブラスト仕上げ等の方法が包含される。その操作
自体はすでに公知であり、これ以上の説明は要しないで
あろうが、これらの仕上げにより硬質合成樹脂材料の表
面を必要以上に平滑な、例えば鏡面仕上げのような状態
にせずにツールマークの凸部の先端部のみを潰す点が本
発明にとって特に重要であり、この点が通常行われる合
成樹脂製品の艶出し平滑化仕上げと異なる。
により表面平滑化をはかる方法である。通常前加工とし
て切削加工が行われる場合にはこの方法が好ましい。こ
の方法の具体的手段には例えば、バレル、バフ、ホーニ
ング、ブラスト仕上げ等の方法が包含される。その操作
自体はすでに公知であり、これ以上の説明は要しないで
あろうが、これらの仕上げにより硬質合成樹脂材料の表
面を必要以上に平滑な、例えば鏡面仕上げのような状態
にせずにツールマークの凸部の先端部のみを潰す点が本
発明にとって特に重要であり、この点が通常行われる合
成樹脂製品の艶出し平滑化仕上げと異なる。
R面化法: 射出成形等金型を使用する成形方法に於ける成形物の
表面のツールマークの凸部の先端がR面となるように、
或いは表面全体が梨地状、微細な球場の凸面が配設され
た表面となるよう、金型のシール部材の運動面に該当す
る表面を処理する方法。
表面のツールマークの凸部の先端がR面となるように、
或いは表面全体が梨地状、微細な球場の凸面が配設され
た表面となるよう、金型のシール部材の運動面に該当す
る表面を処理する方法。
この方法に於ける金型表面の加工は、通常の加工方法
でも可能ではあるが、表面を前述したシール部材の必要
とする面が得られる状態に仕上加工された母型による放
電加工なども良好な成形物の表面を得る方法の一つであ
る。
でも可能ではあるが、表面を前述したシール部材の必要
とする面が得られる状態に仕上加工された母型による放
電加工なども良好な成形物の表面を得る方法の一つであ
る。
加熱法: この方法は、成形加工後、合成樹脂材料の融点以上の
温度に加熱することにより、表面凸部の先端部を融解さ
せ、樹脂の表面張力の作用によって、融解した樹脂が平
滑化するのを利用するものである。操作としては極めて
簡便であるが、樹脂表面を均一に加熱することが難し
く、処理温度・時間の設定に注意を要する。
温度に加熱することにより、表面凸部の先端部を融解さ
せ、樹脂の表面張力の作用によって、融解した樹脂が平
滑化するのを利用するものである。操作としては極めて
簡便であるが、樹脂表面を均一に加熱することが難し
く、処理温度・時間の設定に注意を要する。
表面軟質化処理方法は次の二方法に大別される。
軟質樹脂層設置法: この方法は、射出成形、接着あるいはコーティングな
どの手段によって硬質樹脂表面に軟質樹脂層を設置し、
その軟質樹脂の持つ優れたなじみ性を利用しようとする
ものである。射出成形材としてはポリウレタン、ポリエ
ステル等が挙げられる。またコーティング材としてはテ
フロン、ポリウレタン等が挙げられる。
どの手段によって硬質樹脂表面に軟質樹脂層を設置し、
その軟質樹脂の持つ優れたなじみ性を利用しようとする
ものである。射出成形材としてはポリウレタン、ポリエ
ステル等が挙げられる。またコーティング材としてはテ
フロン、ポリウレタン等が挙げられる。
かかる軟質樹脂皮膜を設ける手段はすでに公知であ
り、本発明にあってもそれを利用すればよく、これ以上
特段の説明は要しないであろう。
り、本発明にあってもそれを利用すればよく、これ以上
特段の説明は要しないであろう。
軟化薬液浸漬法: この方法は、すでに述べたように、ポリアミド樹脂の
場合にはクレゾール液、硫酸等と、使用される硬質樹脂
を溶解できる薬液を使用するのである。これにより硬質
樹脂の表面部は一部溶解するとともに膨潤し、軟化する
のである。さらにこの方法の処理条件によれば、樹脂部
材の表面のツールマークの凸部の先端を溶解しR面化す
るという効果も合せ持つ。
場合にはクレゾール液、硫酸等と、使用される硬質樹脂
を溶解できる薬液を使用するのである。これにより硬質
樹脂の表面部は一部溶解するとともに膨潤し、軟化する
のである。さらにこの方法の処理条件によれば、樹脂部
材の表面のツールマークの凸部の先端を溶解しR面化す
るという効果も合せ持つ。
その他の硬質樹脂と薬液との組み合わせは、次の通
り。
り。
ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹
脂は、硫酸、硝酸等が、ポリイミド樹脂には硫酸、酢
酸、水酸化ナトリウム等である。
脂は、硫酸、硝酸等が、ポリイミド樹脂には硫酸、酢
酸、水酸化ナトリウム等である。
次に、実施例によって本発明をさらに説明するが、そ
れは単に説明のためのものであり、それによって本発明
はなんら制限されない。
れは単に説明のためのものであり、それによって本発明
はなんら制限されない。
実施例 本例にあっては、第1図に略式で示すバックアップリ
ング付パッキンの漏れ試験をJIS B8354に準じて行っ
た。パッキン装着溝10内に装着したパッキン本体12とこ
れの合成樹脂製バックアップリング14とはロッド16の運
動面に当接している。本発明にかかるシール部材として
のバックアップリングは機械切削仕上げに続いて、本発
明にかかるなじみ化処理を行った。第2図は機械切削加
工仕上げ面の説明図であり、第3図はなじみ化処理後の
同様の説明図である。本例のなじみ化処理は、軟化薬液
浸漬法であり、その処理条件は次の通りであった。
ング付パッキンの漏れ試験をJIS B8354に準じて行っ
た。パッキン装着溝10内に装着したパッキン本体12とこ
れの合成樹脂製バックアップリング14とはロッド16の運
動面に当接している。本発明にかかるシール部材として
のバックアップリングは機械切削仕上げに続いて、本発
明にかかるなじみ化処理を行った。第2図は機械切削加
工仕上げ面の説明図であり、第3図はなじみ化処理後の
同様の説明図である。本例のなじみ化処理は、軟化薬液
浸漬法であり、その処理条件は次の通りであった。
樹脂材質: ポリアミド樹脂(バックアップリング) 処理薬液: 70%クレゾール液 処理温度: 50℃ 処理時間: 5分(処理後水洗い) 結果は、第4図にグラフにまとめて示す。
第4図に示すグラフからも明らかなように、本発明に
よるバックアップリングを併用した高圧用ロッドパッキ
ンは、図中、曲線で示すように、従来からのバックア
ップリングを併用した高圧用ロッドパッキンの場合(図
中、曲線で示す)に比較して、運転開始から24時間
(約15,000回約8km走行)の合計油漏れが約1/50にも減
少しているのが分かる。また、摺動抵抗も本発明の処理
によるバックアップリングの方が約20%程度低下してい
る。これは、シール部材の相手運動面との接触が従来の
エッジではなく軟質化されたR面であるため、当接面に
潤滑に必要な油膜が確保されているためである。
よるバックアップリングを併用した高圧用ロッドパッキ
ンは、図中、曲線で示すように、従来からのバックア
ップリングを併用した高圧用ロッドパッキンの場合(図
中、曲線で示す)に比較して、運転開始から24時間
(約15,000回約8km走行)の合計油漏れが約1/50にも減
少しているのが分かる。また、摺動抵抗も本発明の処理
によるバックアップリングの方が約20%程度低下してい
る。これは、シール部材の相手運動面との接触が従来の
エッジではなく軟質化されたR面であるため、当接面に
潤滑に必要な油膜が確保されているためである。
その他の実施例については、第1表にまとめて示す各
種手段でもってシール部材の表面のなじみ化処理を行っ
た。このようにして得た各シール部材について実施例1
と同様の油漏れ試験を行った。その結果も第4図のグラ
フに示す。
種手段でもってシール部材の表面のなじみ化処理を行っ
た。このようにして得た各シール部材について実施例1
と同様の油漏れ試験を行った。その結果も第4図のグラ
フに示す。
(発明の効果) このように、本発明は、その構成がごく簡単であるに
もかかわらず、得られる効果は著しく、特に今日のよう
に、高温、高圧下でのシール性の改善が強く求められて
いる状況の下では、その実際的意義は大きい。
もかかわらず、得られる効果は著しく、特に今日のよう
に、高温、高圧下でのシール性の改善が強く求められて
いる状況の下では、その実際的意義は大きい。
第1図は、実施例において使用したシール装置の略式断
面図; 第2図は、切削加工された合成樹脂製シール部材の表面
の説明図; 第3図は、軟化薬液浸漬法(実施例に示す)による処理
を行った第2図の説明図と同じ合成樹脂製シール部材の
表面の説明図;および 第4図は、実施例の結果をまとめて示すグラフである。
面図; 第2図は、切削加工された合成樹脂製シール部材の表面
の説明図; 第3図は、軟化薬液浸漬法(実施例に示す)による処理
を行った第2図の説明図と同じ合成樹脂製シール部材の
表面の説明図;および 第4図は、実施例の結果をまとめて示すグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ
アミドイミド樹脂、およびポリイミド樹脂等の硬質合成
樹脂から構成されるシール部材であって、少なくとも相
手部材と相対的に運動する面の表面であってツールマー
クを有する面に、表面平滑化処理または表面軟質化処理
であるなじみ化処理を行うことを特徴とする硬質合成樹
脂製シール部材。 - 【請求項2】前記表面平滑化処理が、表面のツールマー
クによる凸条の山の頂部のR面化である、請求項(1)
記載の硬質合成樹脂製シール部材。 - 【請求項3】前記表面平滑化処理が、表面に梨地を形成
すること或いは、微細な球面の突起を配設することであ
る、請求項(1)記載の硬質合成樹脂製シール部材。 - 【請求項4】前記表面のツールマークによる凸条の山の
頂部のR面化処理及び前記表面の梨地形成処理或いは、
微細な球面の突起の配設処理が、シール部材の成形金型
の当該表面を、前述のシール部材の表面が得られるよう
に加工してなることを特徴とする請求項(2)または
(3)記載の硬質合成樹脂製シール部材。 - 【請求項5】前記表面平滑化処理が表面を加熱すること
である請求項(1)記載の硬質合成樹脂製シール部材。 - 【請求項6】前記表面軟質化処理が軟質樹脂層を表面に
設けることである請求項(1)記載の硬質合成樹脂製シ
ール部材。 - 【請求項7】前記表面軟質化処理が軟化薬浸漬である請
求項(1)記載の硬質合成樹脂製シール部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63027122A JP2661096B2 (ja) | 1988-02-08 | 1988-02-08 | 合成樹脂製シール部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63027122A JP2661096B2 (ja) | 1988-02-08 | 1988-02-08 | 合成樹脂製シール部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01203765A JPH01203765A (ja) | 1989-08-16 |
JP2661096B2 true JP2661096B2 (ja) | 1997-10-08 |
Family
ID=12212253
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63027122A Expired - Lifetime JP2661096B2 (ja) | 1988-02-08 | 1988-02-08 | 合成樹脂製シール部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2661096B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005337422A (ja) * | 2004-05-28 | 2005-12-08 | Kayaba Ind Co Ltd | パッキン |
JP2006292005A (ja) * | 2005-04-07 | 2006-10-26 | Showa Engineering Co Ltd | ガスシール構造 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5375277A (en) * | 1976-12-15 | 1978-07-04 | Matsushita Electric Works Ltd | Surface treating of synthetic resin sheet |
JPS5919704Y2 (ja) * | 1979-08-15 | 1984-06-07 | 石川島播磨重工業株式会社 | シ−ル材 |
JPS572774U (ja) * | 1980-06-02 | 1982-01-08 | ||
JPS5881269A (ja) * | 1981-11-05 | 1983-05-16 | Arai Pump Mfg Co Ltd | 低摩擦性oリング |
-
1988
- 1988-02-08 JP JP63027122A patent/JP2661096B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01203765A (ja) | 1989-08-16 |
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