JP2661095B2 - エンジンの燃料噴射量制御装置 - Google Patents

エンジンの燃料噴射量制御装置

Info

Publication number
JP2661095B2
JP2661095B2 JP2448388A JP2448388A JP2661095B2 JP 2661095 B2 JP2661095 B2 JP 2661095B2 JP 2448388 A JP2448388 A JP 2448388A JP 2448388 A JP2448388 A JP 2448388A JP 2661095 B2 JP2661095 B2 JP 2661095B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
amount
injection
engine
behavior
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2448388A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01200040A (ja
Inventor
明 大畠
勝久 古田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2448388A priority Critical patent/JP2661095B2/ja
Publication of JPH01200040A publication Critical patent/JPH01200040A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2661095B2 publication Critical patent/JP2661095B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] エンジンのシリンダ内に流入する燃料の挙動を記述し
た燃料挙動モデルに則って、燃料噴射弁からの燃料噴射
量を制御する技術に関する。
[従来の技術] 従来、線形制御理論にもとづくエンジンの燃料噴射量
制御装置が開示されている(特開昭59−196930号公報参
照)。このような技術では、たとえばエンジンの基本燃
料噴射量の補正値を制御入力、空燃比センサを用いて検
出した空燃比の実測値を制御出力とし、該入出力値間に
線形な近似がなり立つものとして同定を行ない、エンジ
ンの動的な振舞いを記述したモデルを求め、これにもと
づき燃料噴射量を制御する。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、従来の技術では、上記制御入力量と制
御出力量との関係が、本来非線形であること、および実
際のエンジンの動的な振舞いが、必ずしも一定ではない
ことにより、下記に示すように、燃料噴射量の制御が不
安定になったり、制御精度が悪化する場合が考えられ
る。
入力量と出力量との関係が非線形であることによる従来
の問題点: 従来の技術では、線形近似が成り立つとみなし得る複
数の運転領域毎にモデルを求め、このモデルにもとづき
各運転領域毎に制御則を設定し、エンジンの運転状態に
応じて切り替えていた。このため、制御精度が不充分と
なる上、各運転領域の境界点では、制御則の切り替え毎
に、制御が不安定になる。
エンジンの動的な振舞いが一定でないことによる従来の
問題点: エンジンの動的な振舞いは、たとえば吸気系内に可変
機構を持ち吸気ポート内の流れに影響を与えるディバイ
スを備える場合、噴射燃料を微粒化し流れの影響が強く
現れる燃料噴射装置を備える場合、吸気ポート,吸気弁
カサ等へのデポジット付着による燃料挙動の変化等がエ
ンジンにある場合には、少なからず変化する。このた
め、モデルと実際のエンジンとの間に誤差が生じ、制御
精度が悪化する。又、上記誤差がなくなるようにモデル
のパラメータを自動調整(セルフチューニング)するこ
とも行なわれているが、この場合には、推定パラメータ
が下記に示すように多く、パラメータ変化に対する遅れ
が大きくなりがちであり、燃料噴射量制御の応答性が低
下する問題があった。
従来は、制御対象を下記(1)式に示すようにモデル
化し、y(k),u(k)の計測結果よりa1〜an,b1〜bn
を自動調整する。
y(k)=a1 y(k−1) +a2 y(k−2)+…+an y(k−n) +b1 u(k−1)+b2 u(k−2) +…+bn u(k−n) …(1) u(k)…制御入力 y(k)…制御出力 a1〜an,b1〜bn…パラメータ 本発明は、上記問題点を解決して、エンジンの燃料噴
射量の制御の安定性および精度をそろって向上すること
を目的とする。
[問題点を解決するための手段] 上記目的を達成する手段として、本発明のエンジンの
燃料噴射量制御装置は、第一図に例示するように、 エンジンMAの吸気管壁面MBへの付着燃料量fw及び吸気
管内での蒸発燃料量fvを状態変数として、燃料噴射弁か
らの噴射燃料量q、エンジンMAの回転速度ω、吸気管壁
面MB付着燃料の蒸発量Vf、シリンダMC内に流入した燃料
と空気の比を表す燃空比λ及びシリンダMC内に流入する
空気量mcに基づき、上記シリンダMC内に流入する燃料の
挙動を記述した下記の状態方程式(イ)及び出力方程式
(ロ) (但し、kは吸気行程におけるk番目のサイクル、α
1、α2、α3、α7、α9はパラメータを表す。) からなる燃料挙動モデルに則って、燃料噴射弁MDからの
噴射燃料量qを制御するエンジンMAの噴射燃料量制御装
置であって、 上記シリンダMC内に流入した燃料量に相当する流入燃
料量を検出する流入燃料量検出手段MEと、 上記燃料噴射弁MDからの噴射燃料量qを検出する噴射
燃料量検出手段MFと、 上記流入燃料量と上記噴射燃料量qとにもとづき、上
記燃料挙動モデルにしたがって、付着燃料量fwを含む燃
料の挙動を予測する燃料挙動予測手段MGと、 該燃料挙動予測手段MGが予測した付着燃料量fwと上記
流入燃料量および噴射燃料量qにもとづき、上記出力方
程式によって、上記燃料挙動モデルを表すパラメータを
更新するパラメータ更新手段MHと、 上記更新されたパラメータを用いた燃料挙動モデルに
もとづき設定された燃料噴射量算出式に従い、上記各燃
料量にもとづいて、燃料噴射量を制御する噴射量制御手
段MIと を備える。
流入燃料量検出手段MEとは、たとえばシリンダMC内に
流入した混合気の燃料と空気の比を表す空燃比λと空気
量mcとの積として、実際にシリンダMC内に流入する燃料
量を検出するものである。上記空燃比λは、たとえば空
燃比センサによって検出することができる。上記空気量
mcは、以下の手段で検出することができる。
下記(2)式により算出して求める。
mc={β・ω・Pi−βy・ω}/Ti …(2) β,βy…定数 Pi…吸気管圧力 ω…エンジンの回転速度 Ti…吸気温度 吸気管圧力Piと回転速度ωとのマップから基本空気
量を求め、この値を吸気温度Tiで補正して求める。
エアフロメータの検出値から吸気行程時の空気量mc
を推定して求める。
噴射燃料量検出手段MFとは、たとえば燃料射弁MDから
噴射された燃料量qを直接検出するもの、あるいは噴射
量制御手段MIの制御状態、たとえば開弁信号のパルス幅
等から検出するものである。
燃料挙動予測手段MGとは、流入燃料量mc・λと噴射燃
料量qとに基づき、下記(3)式に示す状態方程式と
(4)式に示す出力方程式からなる燃料挙動モデルにし
たがって、付着燃料量fwを含む燃料の挙動を予測する。
K…吸気サイクル fw(k+1)…付着燃料量 fv(k+1)…蒸発燃料量 α1,α2,α3,α7,α9…パラメータ q(k)…噴射燃料量 Vf(k)…吸気管壁面MBからの燃料の蒸発量 ω(k)…エンジンMAの回転速度 mc(k)・λ(k)…流入燃料量 なお、上記燃料の蒸発量Vfは、吸気管内の燃料の飽和
蒸気圧Psと吸気管圧力Piとの関係として求めることがで
きる。上記飽和蒸気圧Psは、吸気管壁面MBへの付着燃料
温度Tの関数であり、付着燃料温度Tは、冷却水温、シ
リンダヘッド温等から推定することができることから、
下記(5)式を用いて算出することができる。
Ps=β1・T2−β2・T+β3 …(5) β1,β2,β3…定数 したがって、蒸発量Vfは、下記(6)式によって近似
的に算出することができる。
Vf=β・PS …(6) β4…定数 以下、燃料挙動モデルの構築とそれによる燃料挙動の
予測について詳しく説明する。
燃料挙動モデルの構築: まず、状態方程式(3)式および出力方程式(4)式
を導く手順を説明する。
エンジンMAのシリンダMC内に流入する燃料量fcは、下
記(7)式に示すように記述することができる。
fc=α4・q+α9・fw+α7・fv …(7) α4…パラメータ(α4=1−α1−α3) α4・q…燃料噴射弁MDからの直接流入量 α9・fw…吸入管壁面MBからの間接流入量 α7・fv…蒸発燃料の流入量 吸入管壁面MBへの付着燃料量fwは、吸入サイクル毎
に、シリンダMC内への流入によってパラメータα9に対
応した比率で減少し、燃料噴射弁MDから噴射される燃料
の一部が付着してパラメータα1に対応した比率で増加
し、燃料がα2・Vf/ω蒸発して減少する。
したがって、付着燃料量fwは、下記(8)式に示すよ
うに記述することができる。
fw(k+1)=(1−α9)・fw(k) +α1・q(k)−α2・Vf(k)/ω(k)…(8) 吸入管内部での蒸発燃料量fvは、吸気サイクル毎に、
シリンダCM内への流入によってパラメータα7に対応し
た比率で減少し、噴射燃料量qの一部が蒸発することに
よりパラメータα3に対応した比率で増加する。
したがって、蒸発燃料量fvは、下記(9)式に示すよ
うに記述することができる。
fv(k+1)=(1−α7)・fv(k) +α3・q(k)+α2・Vf(k)/ω(k)…(9) 前記(7)式により表わすことのできる流入燃料量fc
は、下記(10)式に示すように記述することができる。
fc(k)=mc(k)・λ(k) …(10) したがって、吸気サイクルをサンプリング周期とし
て、離散系で表現された上記(7)式ないし(10)式を
付着燃料量fw、蒸発燃料量fvを状態変数、流入燃料量fc
を出力とみてまとめると、記述した(3)式、(4)式
が得られ、これに対して、システム同定の手法により各
パラメータの値が定まる。
燃料挙動の予測: 計測もしくは算出して求めた噴射燃料q、蒸発量Vf、
回転速度ω、流入燃料量mc・λと(3),(4)式とに
より、状態変数fw,fvを予測する。
なお、この燃料挙動予測手段MGとしては、たとえば、
最小次元オブザーバ(Minimal Order Observer)、同
一次元オブザーバ(ldentity Observer)、有限整定オ
プザーバ(Dead BeatObserver)、線形関数オブザーバ
(Linear Function Observer)あるいは適応オブザー
バ(Adaptive observer)として、古田勝久他著「基礎
システム理論」(昭和53年)コロナ社、あるいは古田勝
久他著「メカニカルシステム制御」(昭和59年)オーム
社等、に詳解されている周知の設計法により構成するこ
とができる。
パラメータ更新手段MHは、付着燃料量fwと蒸発燃料量
fvとを状態変数とする燃料挙動モデルは、(3)式の状
態方程式が下記(11)式で表わされ、(4)式の出力方
程式が下記(12)式で表わされる特別な構造であること
を利用している。
これにより、線形な(12)式のみによって、パラメー
を推定し、線形であることを要しない(11)式のパラメ
ータ を更新することができる。
上記パラメータ の更新例を、前記(3)式、(4)式の場合について説
明する。ここでは、燃料挙動の影響が大きく表われるパ
ラメータα1,α9が変化するものとし、パラメータα2,
α3,α7,は変化しないものと仮定する。なお、ここで行
なうパラメータの同定方法は、中溝高好著「線型離散時
間システムの同定手法−1」システムと制御VoI.25 N
o.8 P476−P489 1981年に詳しく記述されている。
出力方程式(4)式は、下記(13)式に示すように記
述することができる。
mc(k)・λ(k)−α7・fv(k) =α9・fw(k)+(1−α1−α3)q(k) …(13) (13)式の左辺および各パラメータ等を下記(14)式
ないし(18)式のように表わす。
Y(k)=mc(k)・λ(k)−α7・fv(k) …(14) X1(k)=fw(k) …(15) X2(k)=q(k) …(16) a1=α9 …(17) a2=1−α1−α3 …(18) 上記(14)式ないし(18)式により(13)式は、下記
(19)式に示すように記述することができる。
Y(k)=a1・X1(k)+a2・X2(k) …(19) ここで、燃料量mc(k)・λ(k)と燃料量q(k)
とを計測し、(3)式,(4)式にしたがって燃料量fw
(k),fv(k)を計算することにより、Y(k),X1
(k),X2(k)を知ることができる。
そこで誤差e(k)を、下記(20)式に示すように記
述し、この評価関数Jeを下記(21)式とする。
ρは0<ρ≦1の間に設定され、過去値になるほど重
みを小さくして推定値への寄与を減少させるためのForg
etting Factorである。
上記(21)式を最小とするa1(k),a2(k)を求め
ることにより、パラメータα1,α9は、下記(22)式,
(23)式から求められる。
α9=a1(k) …(22) α1=1−a2(k)−α3 …(23) したがって、下記(3)式のパラメータα1,α9を
(22)式,(23)式の演算値によって更新することによ
り、吸気サイクル(k+1)において、目標空燃比λr
に最も誤差が少ない噴射燃料量qを知ることができる。
噴射量制御手段MIとは、たとえばパラメータ更新手段
MHによって更新された燃料挙動モデルにもとづいて燃料
噴射量を制御するものであって、たとえば前記(3)
式,(4)式の場合では、下記に求め方を説明する下記
(24)式にもとづいて噴射燃料量q(k)を計算し、制
御するものである。
q(k)={mc(k)・λr−α9・(1−α9)・fw
(k) −α7・(1−α7)・fv(k) −(α7−α9)・α2・vf(k)/ω(K)} /(α9・α1+α7・α3+1−α1−α3) …(24) (3)式,(4)式の評価関数Jを下記(25)式とす
る。
J=E・{[(mc(k)・λr−mc(k)・λ(k+1)]} =E・{[mc(k)・λr−α9・(1−α9)・fw(k) −α7・(1−α7)・fv(k) −(α9・α1+α7・α3)・q(k) −(1−α1−α3)・q(k+1) −(α7−α9)・α2・Vf(k)/ω(k)]} …(25) E…期待値 λr…目標燃空比 ここでq(k)≒q(k−1)と置くことで、(25)
式は下記(26)式となる。
J=E{[mc(k)・λr−α9・(1−α9)・fw(k) −α7・(1−α7)・fv(k) −{α9・α1+α7・α3+(1−α1−α3)}・q
(k) −(α7−α9)・α2・Vf(k)/ω(k)]} …(26) 次いで下記(27)式により(26)式の評価関数Jを最
小とする噴射燃料量q(k)を求める。
∂J/∂q(k)=−2[mc(k)・λr−α9・(1−
α9)・fw(k) −α7・(1−α7)・fv(k) −(α9・α1+α7・α3+1−α1−α3)・q
(k) −(α7−α9)・α2・Vf(k)/ω(k)] ・(α9・α1+α7・α3+1−α1−α3)=0 …(27) したがって、(27)式により、既述した(24)式に示
す噴射燃料量q(k)が求められる。
なお、エンジン高回転域では、吸気管内のデポジット
からの燃料蒸発期間がごく短いうえに、仮にデポジット
から燃料が蒸発しても吸気行程においてこの蒸発燃料が
ほぼ全てエンジン内に吸入されてしまうから、このよう
な状況下では蒸発燃料量fv=0として差し支えない。す
なわち、燃料挙動の予測にあたっては、蒸発燃料量fvを
無視してもそれほど問題はなく、少なくとも付着燃料量
fwが含まれていればよいことになる。
[作用] 本発明のエンジンの燃料噴射量制御装置は、流入燃料
検出手段MEでシリンダMC内への流入燃料量mc・λを検出
し、噴射燃料量検出手段MFで燃料噴射弁MDからの噴射燃
料量qを検出し、該両燃料量にもとづき前述の(3)式
による状態方程式及び(4)式による出力方程式からな
る燃料挙動モデルにしたがって、付着燃料量fwを含む燃
料の挙動を燃料挙動予測手段MGにより予測する。次い
で、パラメータ更新手段MHにより、予測した付着燃料量
fwと上記流入燃料量mc・λおよび噴射燃料量qにもとづ
き、上記燃料挙動モデルの出力方程式によって、上記モ
デルを表わすパラメータを更新する。又、噴射重刷御手
段MIにより、更新されたパラメータを用いた燃料挙動モ
デルにもとづいて設定された燃料噴射算出式に従い、上
記各燃料量mc・λ,q,fw,fvにもとづいて、燃料噴射弁MD
からの燃料噴射量を制御する。
したがって、燃料挙動モデルを表わすパラメータは、
入出力信号によって同定され、更新されるとともに、燃
料噴射量は、更新された燃料挙動モデルによって制御さ
れる。
[実施例] 以下本発明の一実施例を図面にもとづいて群細に説明
する。
第2図は本実施例が適用されるシステムの概略構成を
エンジン10を中心に示すものである。
エンジン10は、エンジンコントローラ12によって制御
されるもので、エアクリーナ14の近傍には、吸気温度Ti
を検出して吸気温信号を出力する吸気温センサ16が設け
られている。該吸気温センサ16の下流側には、スロット
ルバルブ20が配置され、このスロットルバルブ20には、
スロットルバルブ全閉状態で「オン」する(LL「オ
ン」)アイドルスイッチ22と、スロットルバルブ20の開
度を検出するスロットルセンサ24とが取り付けられてい
る。スロットルバルブ20の下流側には、サージタンク26
が形成され、吸気管圧力Piを検出して吸気圧信号を出力
する吸気圧センサ27が設けられている。この吸気圧セン
サ27が設けられたサージタンク26の下流には、インテー
クマニホールド28および吸入ポート30が設けられてい
る。吸入ポート30にはエンジンコントローラ12からの開
弁信号によって、開弁する燃料噴射弁32が取り付けられ
ている。燃料噴射弁32から噴射された燃料を燃焼させる
燃焼室34の下流側にはエキゾーストマニホールド36が設
けられている。エキゾーストマニホールド36には、排出
ガスの残留酸素濃度から燃空比λを検出して、燃空比信
号を出力するO2センサ38が取り付けられている。
燃焼室34を形成するエンジンブロック40には、ウォー
タジャケット内の冷却水温を検出して冷却水温信号を出
力するエンジン水温センサ42が取り付けられている。
燃焼室34に設けられた点火プラグ44には、エンジンコ
ントローラ12からの出力に応じて点火時期が制御される
イグナイタ46からの高電圧がディストリビュータ48を介
して供給されている。該ディストリビュータ48には、エ
ンジン回転速度ωを検出してエンジン回転速度信号を出
力するエンジン回転速度センサ50と気筒判別信号を出力
する気筒判別センサ52とが取り付けられている。
エンジンコントローラ12は、入出力インタフェース6
4、記憶部66、および中央処理部68を備え、以下に示す
処理を行なう。
(1)エンジン10の各部のセンサからの信号等を、入出
力インタフェース64を介して入力する処理。
(2)上記入力された各種の信号にもとづき、記憶部66
に記憶されている第3図に示す燃料噴射制御ルーチン、
図示しない各種の制御ルーチンのプログラム、およびデ
ータ等にしたがって、各種駆動信号を中央処理部68で演
算する処理。
(3)中央処理部68の演算結果にもとづいて、エンジン
10の各部の駆動信号等を入出力インタフェース64から出
力する処理。
次に、エンジンコントローラ12により第3図に示すフ
ローチャートによってエンジン10の作動時に実行される
本実施例の燃料噴射制御ルーチンを説明する。
第3図のルーチンが起動されると、まずイニシャライ
ズ処理が実行される(ステップ100ないし130)。すなわ
ち、下記処理を順に実行する。付着燃料量fwに初期値fw
(0)を、蒸発燃料量fvに初期値fv(0)を設定する
(ステップ100)。次いで、パラメータα9に始動時の
付着燃料量が「ゼロ」の状態にもとづいて定められた初
期値α9(0)を、パラメータα1に始動時の水温等に
もとづいて定められた初期値α1(0)を設定する(ス
テップ110)。次に、値a1にパラメータα9を、値a2に
「1−α1−α3」を設定する(ステップ120)。
次いで、行列Pに初期値 を設定する(ステップ130)。
なお、Pは、十分大きな正数である。
上記イニシャライズが完了した後は、次に下記に示す
ように、エンジン10の回転速度ω、空気量mc、燃空比λ
の計測および燃料の蒸発量Vfの計算を行なう(ステップ
140)。
回転速度ωは、エンジン回転速度センサ50の検出量を
入出力インタフェース64を介して入力することにより求
められる。空気量mcは、(2)式にもとづき設定された
第4図に示すマップを用いて、上記回転速度ωおよび入
出力インタフェース64を介して入力した吸気圧センサ27
で検出した吸気管圧力Pi、吸気温センサ16で検出した吸
気温度Tiにしたがって算出する。燃空比λは、02センサ
38の検出値を入出力インタフェース64を介して入力する
ことにより求められる。燃料の蒸発量Vfは、(5)式お
よび(6)式にもとづき、入出力インタフェース64を介
して入力したエンジン水温センサ42の検出値(冷却水
温)Tにしたがって算出する。
上記実際の運転状態を示す各値の検出を行なった後
は、次に目標燃空比λrの算出を行なう(ステップ15
0)。この目標燃空比λrは、第5図に示す予め設定さ
れたマップにもとづき、エンジン10の回転速度ωと吸気
管圧力Piとにしたがって、エンジンの運転状態を最高に
する値が求められるものである。
上記各値の検出および算出を行なった後は、次に噴出
燃料量qの算出および該燃料量qを実際に噴射する制御
を行なう(ステップ160)。すなわち、まず(24)式に
もとづき、上記検出,算出,又は設定された空気量mc、
目標燃空比λr、パラメータα9,α1、付着燃料量fw、
蒸発燃料量fv、蒸発量Vf、回転速度ω、および予め設定
されたパラメータα7,α3,α2にしたがって、噴射燃料
量qを算出する。次いで、エンジン10のクランク位置が
所定位置に達したとき、上記噴射燃料量qに対応する時
間だけ燃料噴射弁32を開弁する。すなわち燃料噴射が実
行される。
上記燃料噴射を実行した後、次に付着燃料量fwおよび
蒸発燃料量fvの予測を行なう(ステップ170)。該予測
は、本実施例の燃料挙動モデルを示す状態方程式(3)
式および出力方程式(4)式から、オブザーバによっ
て、付着燃料量fwおよび蒸発燃料量fvを予測するもので
ある。
上記予測燃料量fw、fvを算出することにより、次いで
既述した(14)式ないし(19)式によって値Y,X1,X2を
求め(ステップ180)、続いて既述した(20)式に示す
誤差e(k)の(21)式に示す評価関数Jeを最少とする
値a1,a2を算出する(ステップ190ないし210)。すなわ
ち、ここでは(21)式を最少とする値a1,a2を以下のア
ルゴリズムで求めるものである。
下記(28)式により行列 を算出する(ステップ190)。
Forgetting Factor ρ:0<ρ≦1 下記(29)式により行列P(k)を算出する(ステ
ップ200)。
下記(30)式により行列 を算出する(ステップ210)。
上記行列 算出アルゴリズムにより、値a1、a2が求められることに
よって、次に既述した(22)式、(23)式によりパラメ
ータα1,α9を算出し、既述した(3)式,(4)式、
および(24)式のパラメータを更新する(ステップ22
0)。
これにより、パラメータα1,α9が常に更新され、燃
料挙動モデルを常にエンジンの変化に追従することがで
き、しかも該状態で次回(k+1)において、目標燃空
比λrに最も誤差が少ない燃料噴射量qを供給すること
ができる。
次に、上記実施例のシミュレーション結果を第6図な
いし第8図に示し、従来のパラメータα9,α1を変化さ
せないセルフチューニングと対比する。
ここでは計算条件として、第6図に示すように、サン
プリングナンバーk=0ないし500までは、α9=0.1、
α=0.4、fw(0)=0、fv(0)=0とし、目標燃料
量mc・λr=50mg、α2・Vf(k)/ω(k)=10mg、
α3=0、α7=0.09とした。サンプリングナンバーk
=500ないし1000までは、α9=0.02、α1=0.3となる
ように、制御対象を変化させた。
上記計算条件によるシミュレーションの結果は、第7
図に示すように、パラメータα1,α9の推定値は計算条
件のα1,α9に良く追従している。すなわち、燃料挙動
モデルのパラメータがエンジンの変化に常に追従して、
正確にエンジンの燃料挙動を表している。
目標燃料量mc・λrに対する実際の燃料量mc(k)・
λ(k)の変化率{mc・λr−mc(k)・λ(k)}/m
c・λrは、第8図に示すように、従来のパラメータα
1,α9一定のセルフチューニングでは、外乱があったk
=500から約150回が経過するまで大きくなっているが、
本実施例によれば、外乱後、すぐに「0」に収束してい
る。すなわち、本実施例により、噴射燃料量q(k)が
適切に制御され、燃料量mc(k)・λ(k)が目標燃料
量mc・λrによく追従制御されている。
以上に説明したように、本実施例は、以下の極めて優
れた効果を奏する。
燃料挙動モデルを表すパラメータのうちで、デポジッ
ト付着等のエンジン10の経時変化によって大きく影響を
受けるパラメータα1を自動的に調整できることから経
時的制御精度を向上することができる。
機種間のばらつき、たとえば吸気系のばらつき等によ
り大きく影響を受けるパラメータα9を自動的に調整で
きることから、製造時の調整工程を大巾に短縮でき、し
かも制御精度も向上することができる。
状態方程式(3)式が線形であることを要しないこと
から、線形近似を行なう必要もなく、しかも実際のエン
ジン10により適合したモデルにもとづいて高精度の制御
を行なうことができる。又、制御の安定性も向上する。
従来のセルフチューニングに比較して、推定するパラ
メータが2つ(α1,α9)で良いことから、パラメータ
を速く推定し、かつ更新することができる。これによ
り、制御の追従性および精度が向上する。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものでなく、
種々の態様で実施が可能である。
[発明の効果] 本発明のエンジンの燃料噴射量制御装置は、出力方程
式によって燃料挙動モデルを表わすパラメータを更新す
ること等により、以下に示す極めて優れた効果を奏す
る。
燃料挙動モデルを表わすパラメータをエンジンの経時
変化に応じて自動的に調整できることから、経時的制御
精度を向上することができる。
機種間のばらつきを自動的に調整できることから、製
造時の調整工程を大巾に短縮でき、しかも制御精度も向
上することができる。
状態方程式が線形であることを要しないことから、よ
り高精度な制御モデルを利用することができ、しかも制
御安定性が向上する。
従来のセルフチューニングに比較して、推定パラメー
タが少ないことから、パラメータを高い追従性で更新す
ることができる。これにより、制御の追従性および精度
が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本的構成を例示する構成図、第2図
は本発明の一実施例の構成図、第3図は実施例の燃料噴
射制御のフローチャート、第4図はその燃料量mcマップ
の説明図、第5図は同じく目標燃空比λrマップの説明
図、第6図は実施例の各燃料量の変化特性を示すグラ
フ、第7図は実施例のパラメータの推定値の変化状態を
示すグラフ、第8図は本実施例と従来例との制御特性を
対比して示すグラフである。 MA……エンジン MB……吸気管壁面 MC……シリンダ MD……燃料噴射弁 ME……流入燃料量検出手段 MF……噴射燃料量検出手段 MG……燃料挙動予測手段 MH……パラメータ更新手段 MI……噴射量制御手段 10……エンジン 12……エンジンコントローラ 16……吸気温センサ 27……吸気圧センサ、30……吸入ポート 32……燃料噴射弁 34……燃料室、38……O2センサ 50……エンジン回転速度センサ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンの吸気管壁面への付着燃料量fw及
    び吸気管内での蒸発燃料量fvを状態変数として、燃料噴
    射弁からの噴射燃料量q、エンジンの回路速度ω、吸気
    管壁面付着燃料の蒸発量Vf、シリンダ内に流入した燃料
    と空気の比を表す燃空比λ及びシリンダ内に流入する空
    気量mcに基づき、上記シリンダ内に流入する燃料の挙動
    を記述した下記の状態方程式(イ)及び出力方程式
    (ロ) (但し、kは吸気行程におけるk番目のサイクル、α
    1、α2、α3、α7、α9はパラメータを表す。) からなる燃料挙動モデルに則って、燃料噴射弁からの噴
    射燃料量qを制御するエンジンの噴射燃料量制御装置で
    あって、 上記シリンダ内に流入した燃料量に相当する流入燃料量
    を検出する流入燃料量検出手段と、 上記燃料噴射弁からの噴射燃料量qを検出する噴射燃料
    量検出手段と、 上記流入燃料量と上記噴射燃料量qとにもとづき、上記
    燃料挙動モデルにしたがって、付着燃料量fwを含む燃料
    の挙動を予測する燃料挙動予測手段と、 該燃料挙動予測手段が予測した付着燃料量fwと上記流入
    燃料量および噴射燃料量qにもとづき、上記出力方程式
    によって、上記燃料挙動モデルを表すパラメータを更新
    するパラメータ更新手段と、 上記更新されたパラメータを用いた燃料挙動モデルにも
    とづき設定された燃料噴射量算出式に従い、上記各燃料
    量にもとづいて、燃料噴射量を制御する噴射量制御手段
    と を備えるエンジンの燃料噴射量制御装置。
JP2448388A 1988-02-03 1988-02-03 エンジンの燃料噴射量制御装置 Expired - Fee Related JP2661095B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2448388A JP2661095B2 (ja) 1988-02-03 1988-02-03 エンジンの燃料噴射量制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2448388A JP2661095B2 (ja) 1988-02-03 1988-02-03 エンジンの燃料噴射量制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01200040A JPH01200040A (ja) 1989-08-11
JP2661095B2 true JP2661095B2 (ja) 1997-10-08

Family

ID=12139434

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2448388A Expired - Fee Related JP2661095B2 (ja) 1988-02-03 1988-02-03 エンジンの燃料噴射量制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2661095B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2830461B2 (ja) * 1990-11-22 1998-12-02 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の燃料噴射量制御装置
EP0959236B1 (en) * 1992-07-03 2004-04-07 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Fuel metering control system and cylinder air flow estimation method in internal combustion engine
US5642722A (en) * 1995-10-30 1997-07-01 Motorola Inc. Adaptive transient fuel compensation for a spark ignited engine
US9068519B2 (en) 2011-04-07 2015-06-30 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Control apparatus for internal combustion engine

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01200040A (ja) 1989-08-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4071279B2 (ja) スパーク点火エンジンのための適応過渡的燃料補償
KR0160396B1 (ko) 공연비제어장치
JP2551038B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2973418B2 (ja) 内燃機関の吸気管圧力検出方法
EP0582085B1 (en) Fuel metering control system and cylinder air flow estimation method in internalcombustion engine
EP1443199A1 (en) Suction air volume estimating device for internal combustion engine
JP2689364B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射量制御装置
US4903665A (en) Air-fuel ratio control apparatus for an internal combustion engine
JPH07109943A (ja) 内燃機関の制御装置
US5569847A (en) Air-fuel ratio estimator for internal combustion engine
US5134981A (en) Fuel injection control method in an engine
JP2661095B2 (ja) エンジンの燃料噴射量制御装置
JP2564858B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射量制御装置
JP2666366B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2683985B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射量制御装置
JP2661104B2 (ja) 内燃機関の噴射燃料量制御装置
JPH0674076A (ja) 内燃機関の吸入空気量算出方法
US6223121B1 (en) Air-to-fuel ratio control device
JP2705094B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射量制御装置
JP2754744B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射量制御装置
JP2754568B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射量制御装置
JP2606226B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射量制御装置
JPH08200130A (ja) 空燃比制御装置
JP2759991B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射量制御装置
JP2855854B2 (ja) 燃焼圧力センサの出力感度補正方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees