JP2659388B2 - 糖ペプチド回収方法 - Google Patents

糖ペプチド回収方法

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JP2659388B2 JP63047342A JP4734288A JP2659388B2 JP 2659388 B2 JP2659388 B2 JP 2659388B2 JP 63047342 A JP63047342 A JP 63047342A JP 4734288 A JP4734288 A JP 4734288A JP 2659388 B2 JP2659388 B2 JP 2659388B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は糖ペプチドの回収方法に関する。本発明は有
用な種類の抗生物質であるバンコマイシン型糖ペプチド
抗生物質の回収方法を提供する。
従来技術と解決すべき問題点 バンコマイシン(vancomycin)は、1950年代末以降に
利用されるようになつた商業的に成功した抗生物質であ
る。バンコマイシン型糖ペプチド抗生物質に包含される
ものを例示すれば次のとおりである:バンコマイシン
(米国特許第3,067,099号);M43A(米国特許第4,548,92
5号);M43D(米国特許第4,547,488号);M43BおよびM43C
(米国特許第4,548,924号);A82846A、A82846BおよびA8
2846C(米国特許出願第909,791号);リストセチン(ri
stocetin)(米国特許第2,990,329号)、リストセチン
Aプソイドアグリコン(ウイリアムス(Williams)ら、
J.C.S.Chem.Comm.第1979巻906〜908頁);A41030因子A
〜G(米国特許第4,537,770号);A47934(米国特許第4,
462,942号);A35512因子A〜DおよびH(米国特許第4,
122,168号);A35512Bプソイドアグリコン(米国特許第
4,029,769号、この特許においてA35512Bアグリコンと呼
称されているが、これはアミノ糖を保持しているので本
明細書ではA35512Bプソイドアグリコンと呼称する);
アクタプラニン(Actaplanin)(A−4696)因子Aおよ
びB(米国特許第4,115,552号);アクタプラニン因子B
1、B2、B3、C1a、C3およびE1(米国特許第4,322,406
号);アクタプラニン因子G(米国特許第4,461,723
号);アクタプラニン因子H(米国特許第4,558,036
号);アクタプラニン因子K〜O(米国特許第4,479,89
7号);アクタプラニンプソイドアグリコン(米国特許
第4,322,343号);タイコマイシン(teichomycin)(タ
イコプラニン(teichoplanin))A1、A2およびA3(米国
特許第4,239,751号);タイコマイシンA2因子1〜5
(米国特許第4,542,018号);L17054(米国特許第4,594,
187号)およびL17046(欧州特許第119,574−A号)。
本明細書中の記載で便宜上、上記群の化合物をバンコ
マイシン型抗生物質と呼称する。
バンコマイシン型抗生物質は、特にグラム陽性菌に対
する治療剤として、また動物発育促進剤として有用であ
る。
一般に、この抗生物質を産生して含有する発酵液から
抗生物質を回収するとき、最小回数の段階を適用するこ
とにより最大量の抗生物質を回収することができる。こ
れらの抗生物質を大規模で生産するとき、最大量で抗生
物質を回収するのは、より困難である。大規模発酵は、
少なくとも約1,000ガロン(4,000)の容量を有する容
器中の発酵に関連する。このような場合に、大量の複雑
な水性発酵混合物から抗生物質を単離しなければならな
い。抗生物質を産生して含有する全発酵液は、抗生物質
だけでなく未反応培地栄養分の希釈溶液中に懸濁した不
溶性菌糸体および種々雑多な代謝中間と代謝生成物をも
含んでいる。それ故抗生物質の単離は、通常困難であつ
て多くの分離、濃縮および精製の段階を必要とする。
大概の場合、発酵により産生された抗生物質を回収す
る最初の段階は、ハイフロ・スーパーセル(Hyflo Supe
rcel)のような過助剤を加えることである。過助剤
の利点は、より有効に菌糸体を分離することにある。し
かし大規模発酵を行なうとき、多量の過助剤を必要と
する。過助剤は容易に生物学的に分解されないので、
大規模工程における使用は、廃棄物処分における実質的
問題が存在する。
発酵により産生された抗生物質の回収において、菌糸
体を除いた後に使用する第二段階は、過した発酵液の
pHを適当な水準に調節することである。しかしこの段階
で必要とする多量の酸または塩基は、安全性と取扱いに
関する問題を提起し、処理すべき溶液の容量を増大させ
る。
従来、バンコマイシンの商業生産において、全発酵液
を約8〜10のアルカリpHで過し、液をpH約6〜7に
調節し、次いで液をイオン交換樹脂、典型的には低架
橋処理したポリスチレン−ジビニルベンゼンナトリウム
カチオン交換樹脂に通す。バンコマイシンを樹脂上に吸
着させる。発酵液を除いたら樹脂を水で洗い、バンコマ
イシンをpH9〜11の水性アルカリ溶液で溶離する。溶離
のための典型的溶媒はpH10〜11の水酸化ナトリウム水溶
液である。バンコマイシンを含むアルカリ性溶出液を中
和し、このバンコマイシンを非官能性樹脂上に再吸着さ
せることにより活性物質を精製する(米国特許第4,440,
753号参照)。
発明の構成と効果 本発明の改良された方法は、(1)抗生物質を産生し
て含有する発酵培地をダウ(Dow)XFS−43278.00のよう
なポリスチレンジビニルベンゼン樹脂と混合し、(2)
この培地から樹脂を分離し、(3)樹脂から抗生物質を
溶離することから成る。この方法の一つの利点はpH調節
および/または過処理をすることなく発酵液の直接使
用を可能にすることにある。このように菌糸体への吸着
による抗生物質の損失および関連する機械的損失は除か
れる。更に過助剤およびpH調節に関連する問題のよう
なある種の廃棄物処分の問題は避けられる。
本発明の重要な見地は、特定タイプのイオン交換樹脂
である。この樹脂はスルホン化されたスチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体であつて本発明において便宜上ポリ
スチレン・ジビニルベンゼン樹脂と呼称する。この樹脂
は、低架橋度(名目上2%)を有する微小孔の強酸カチ
オン樹脂(strong−acid−cation resin)であつて、こ
れは通常ナトリウム塩のような塩型である。この方法の
ための適当な樹脂の例は、ダウ(Dow)XFS−43278.00
(米国ミシガン州、ミドランド在、ダウ・ケミカル・カ
ンパニー(Dow Chemical Co.))およびダイアイオン
(Diaion)SK−102(日本国東京在、三菱化成工業(Mit
subishi Chemical Industries,Ltd.))である。我々
は、この種の樹脂を用い、以前に必要であつた最初の全
発酵液の過工程を省いてバンコマイシン型糖ペプチド
抗生物質を吸着させることができることを見いだした。
この方法における樹脂の使用量は発酵培地の容量およ
び発酵により生産された抗生物質の活性成分の量により
異なる。一般に全発酵液を樹脂に加えるか、もしくは樹
脂を全発酵液に加えることにより樹脂を全発酵液と混合
し、抗生物質が樹脂上に吸着されることができるのに充
分の時間保持する。
抗生物質が樹脂に吸着されるのに必要な接触時間は多
様である。たとえば発酵液の温度は必要な接触時間に影
響を与える。好ましい操作において発酵液を約30〜60℃
に加温することにより、必要な接触を減少させ、それ故
取扱いがより容易になる。一般に必要な接触時間は約6
時間を越えない。
抗生物質を樹脂に吸着させた後、公知方法たとえば
過(樹脂をバツチ接触により加えたとき)または機械的
分離(樹脂を加えて発酵液を逆流吸着させたとき)によ
り、発酵培地から樹脂を分離することができる。
次いでこの分離した樹脂から、この分野の技術的方法
に従つて抗生物質を溶離することができる。特に有利な
方法は、(1)樹脂を水洗し、(2)抗生物質が樹脂か
ら放出されるまで、pH約9〜12に調節した水に樹脂をバ
ツチ方式で混合することにより抗生物質を溶離し、
(3)樹脂から抗生物質含有溶出液を分離することから
成る。かかる操作における第(2)段階のため、pH約10
〜11が特に好ましい。
溶出液から抗生物質を回収し、種々の公知操作により
任意に更に精製することができる。たとえば抗生物質を
前記のような非官能性樹脂に吸着させることにより、可
溶性抗生物質を更に精製することができる。他の方法は
抗生物質を不溶性銅複合物として単離する方法である。
次いでこの銅複合物を、酸性条件下に硫化水素で処理し
て抗生物質を可溶化し、これを適当なpH調節により遊離
塩基として単離することができる。
この遊離塩基を、経口投与のための薬剤として使用す
るか、または経口投与もしくは非経口投与のために使用
する薬剤としての適当な酸付加塩(たとえば塩酸塩また
はリン酸塩)に変換することができる。
本発明の方法は前記群のバンコマイシン型抗生物質の
ために有利であるが、この方法が最も適当である抗生物
質は、発酵法により製造される抗生物質、すなわちバン
コマイシン、M43A、B、CおよびD、A82846A、Bおよ
びC、リストセチン、A41030因子A〜G、A47934、A355
12因子A〜DおよびH、アクタプラニン因子A、B1
B2、B3、C1a、C3、E1、GおよびHならびにタイコマイ
シンA1、A2因子1〜5およびA3である。この方法は、商
業的成功の故に大規模で頻繁に製造するバンコマイシン
のために特に適当である。
次に製造例および実施例により本発明の方法を具体的
に説明する。
製造例1 抗生物質A82846の製造 (a)A82846−産生培養物の発酵 (1)NRRL18098培養物を用いる場合 A.NRRL18098の振盪フラスコ発酵 凍結乾燥したペレツトまたは液体窒素中に保持した懸
濁液のいずれかのノカルジア・オリエンタリス(Nocard
ia orientalis)NRRL18098培養物を用い、下記組成を有
する種培地に接種する。
成分 量(%) グルコース 1.0 可溶性殿粉 2.0 酵母エキス 0.5 カゼインの酵素加水分解物 0.5 炭酸カルシウム 0.1 脱イオン水 全量1になる量 滅菌前、培地のpHを水酸化ナトリウムで約7.5に調節
する。
*印:NZアミンA(ニユーヨーク、ノルウイク在、シエ
フイールド・ケミカル・カンパニー(Sheffield Chemic
al Co.)。
種培地に2.5%寒天を加えることにより斜面培地また
は平面培地を調製する。接種した斜面培地を30℃で約10
〜14日間熟成する。成熟した斜面培地表面を滅菌器具で
こすり取り、胞子を取り出し、菌糸体塊を分離して解き
ほぐす(mas−cerate)。取り出した胞子と発育培養物
の約1/4を用いて第1段階の種培地50mlに接種する。
接種した第1段階の培地を、250mlエルレンマイヤー
フラスコ中、2インチ(5.08cm)円形軌道を250rpmで回
転する振盪機上、30℃で約24〜48時間熟成する。
熟成した第1段階の培地0.5mlを用い、下記組成の生
産培地50mlに接種する。
成分 量(%) グルコース 2.5 大豆粉 1.5 ポテトデキストリン 3.0 炭酸カルシウム 0.25 廃糖蜜 0.3 酸加水分解カゼイン 0.5 脱イオン水 全量1となる量 (滅菌前、水酸化ナトリウムでpH7.5に調節) *印:ハイ−カーゼ(Hy−Case)(シエフイールド・ケ
ミカル・カンパニー)。
接種した生産培地を、250ml広口エルレンマイヤーフ
ラスコ中、2インチ円形軌道を250rpmで回転する振盪機
上、30℃で4〜5日間熟成する。
B.NRRL18098のタンク発酵 大容量の接種材料を製造するため、前記A項の熟成し
た第1段階の培地10mlを用い、第1段階の培地と同じ組
成を有する第2段階の発育培地400mlに接種する。この
第2段階の発育培地を、2広口エルレンマイヤーフラ
スコ中、2インチの円形軌道を250rpmで回転する振盪機
上、30℃で約48時間熟成する。
このように製造し、熟成した第2段階の発育培地1000
mlを用い、A項(ただしP−2000消泡剤0.3g/を加え
る)のように製せられた滅菌生産培地100に接種す
る。接種した生産培地を、165発酵タンク中、攪拌し
ながら30℃で90〜100時間発酵させる。攪拌(80rpm)し
ている容器中の通気を、溶解酸素が空気飽和の約50%以
上の濃度を維持するように調節する。
C.別法のNRRL18098のタンク発酵 前記B項と同様(ただし適当量の発育培地を使用し、
1600ガロン(4536)発酵タンク中、生産培地約1200ガ
ロンに接種する)の処理を行なう。
(2)NRRL18099培養物を用いる場合 凍結乾燥したペレツトまたは液体窒素中に保持した懸
濁液のいずれかのノカルジア・オリエンタリスNRRL1809
9培養物を用い、前記(1)項と同様(ただし生産培地
は下記組成を有する)の操作により培養する。
成分 量(%) グルコース 1.0 ポテトデキストリン 2.0 ペプトン 1.0 炭酸カルシウム 0.2 廃糖蜜 2.0 脱イオン水 全量1になる量 (pH調節なし) *印:バクト−ペプトン(Bacto−peptone、デイフコ・
ラボラトリーズ(Difco Laboratories))。
(3)NRRL18099培養物を用いる場合 凍結乾燥したペレツトまたは液体窒素中に保持した懸
濁液のいずれかのノカルジア・オリエンタリスNRRL1810
0培養物を用い、前記(1)項と同様(ただし使用する
酸加水分解カゼインはアミカーゼ(Amicase)(シエフ
イールド・ケミカル・カンパニー(Sheffield Chemical
Co.)))の操作により培養する。
(b)粗A82846の製造 (a)(1)A項のように1600ガロン発酵容器から製せ
られた発酵液4200を5N水酸化ナトリウムでpH10.5に調
節し、3%セライト(Celite)545(過助剤)を加え
る。混合物をフイルタープレスに通して過し、フイル
タープレスを水洗する。液と洗液を合し(4000)、
5N塩酸(または硫酸)でpH7に調節し、ダウ(Dow)XFS
−43278(NH4 +)樹脂(200液/10樹脂)カラムに
適用する。カラムを750ml/分の流速で溶離する。各分画
をバチルス・ズブテイリス(Bacillus subtilis)によ
る生物試験法またはHPLCのいずれかで試験する。
カラムを水5カラム容量で洗い、100部分を集め
る。
活性物質を0.05N水酸化アンモニウム5カラム容量で
樹脂から溶離し、各25分画を集める。A82846を含む分
画を合して減圧下、約30容に濃縮する。この溶液を、
水中ダイアイオン(Diaion)HP−20樹脂10カラムに適
用する。カラムを流速300ml/分の下に水3カラム容量で
洗う。水を捨てる。流速100ml/分の下、1.0%酢酸を含
む水:イソプロパノール(95:5)の溶液でカラムから活
性物質を溶離し、各4分画を集め、生物試験法および
HPLCで試験する。A82846(#6−14)を含む分画を合し
て減圧下に濃縮し、凍結乾燥して粗A82846(356g)を得
る。
(c)A82846のHPLC試験法 次の分析的HPLC系はA82846成分のために有用である。
(1)カチオン交換樹脂カラム カラム支持物:ゾルバツクスSCX(4.6×150mm) 系:傾斜溶離A:B(4:1)〜A:B(1:9)5分、保持15分 A=メタノール:0.1Mリン酸二水素ナトリウム(1:9) B=メタノール:0.9Mリン酸二水素ナトリウム(1:9) 流速:1.0ml/分 検出:225nm紫外線 保持時間:濃度に依存するが次のとおり A82846C=約6.6分 A82846B=約8.9分 A82846A=約9.5分 (2)逆相カラム カラム支持物:ゾルバツクスODS(4.6×150mm) 系:傾斜溶離1%リン酸二水素アンモニウム:アセトニ
トリル(95:5)〜(1:1)、20分 流速:1.0ml/分 検出:225nm紫外線 保持時間:A82846A=7.3分 A82846C=7.6分 A82846B=8.0分 *印:ゾルバツクス(Zorbax)カラムはデラウエア州、
ウイルミントン在、デユポン社(E.I.dupont de Nemour
s & Co.,Inc.)の製品) (d)A82846成分の単離 (1)A82846AおよびA82846Bの単離 A.含量豊富なA82846AおよびA82846Bの分離 前記(b)項で製せられたA82846(30g)を水500mlに
溶解し、1%リン酸二水素アンモニウム中に平衡させた
シリカゲルLP−1/C18の30ステンレススチールカラム
に加圧適用する。1%リン酸二水素アンモニウム(60
)から1%リン酸二水素アンモニウムを含有する水:
アセトニトリル(88:12)(60)に至る傾斜展開液を
用い、流速250〜300ml/分(最大圧力600psi)で上記カ
ラムを展開し、各4分画を集めて254nm紫外線検出器
で溶離を監視する。各分画を分析的HPLCにより試験す
る。A82846Aに富む分画(#6〜9)およびA82846Bに富
む分画(#10〜17)それぞれを合して減圧下に濃縮す
る。
B.A82846Aの精製 前記A項記載のように行なつた30g行程から得られたA
82846Aに富む濃縮物を、ダイアイオンHP−20SSの1750ml
カラム上で脱塩して水洗し、0.5%酢酸を含有する水:
イソプロパノール(95:5)で溶離し、分析的HPLCで試験
する。A82846Aを含む分画を合して濃縮し、凍結乾燥し
てA82846Aに富む生成物7.4gを得る。
A82846Aに富む生成物7.2gを水に溶解し、1%リン酸
二水素アンモニウム中シリカゲルLP−1/C18のカラム
上、プレパラテイブHPLCに適用する。カラムを、1%リ
ン酸二水素アンモニウムから1%リン酸二水素アンモニ
ウム:アセトニトリル(9:1)に至る傾斜展開剤で展開
し、254nmにおける分析的HPLCで溶出を監視し、流速48m
l/分で溶離する。最初の10を溶離した後、500ml分画
を集める。
A82846Aを含む分画(#4〜10)およびA82846Bを含む
分画(#12〜20)それぞれを合して減圧下に濃縮する。
3行程から得られたA82846Aの濃縮物を合し、ダイアイ
オンHP−20SSの1750mlカラムに適用して溶液を脱塩す
る。このカラムを水洗し、0.5%酢酸を含む水:イソプ
ロパノール(95:5)でA82846Aを溶離する。HPLCにより
溶離を監視する。A82846Aを含む分画を合して濃縮し、
凍結乾燥してA82846A純品7.9gを得る。
C.A82846Bの精製 前記B項記載のようにA82846AとA82846Bを分離するプ
レパラテイブHPLCの3行程から得られたA82846Bに富む
分画を合し、ダイアイオンHP−20SSの1750mlカラム上で
脱塩して水洗し、0.5%酢酸を含む水:イソプロパノー
ル(95:5)で溶離する。HPLCにより溶離を監視し、A828
46Bの分画を合して減圧下に濃縮し、凍結乾燥してA8284
6B純品8.8gを得る。
D.脱塩 同様にダイアイオンHP−20樹脂を用い、0.1%酢酸を
含むメタノール:水(4:1)で溶離することにより脱塩
を行なうことができる。
(2)A82846Cの単離 A.A82846の分離 前記(a)(1)B項のように処理して165発酵液
4回から得られた発酵液461を5N水酸化ナトリウムでp
H10.5に調節し、3%ハイフロ・スーパーセル(Hyflo S
upercel)過助剤で過する。液430を5N塩酸でpH
7に調節し、ダウエツクス(Dowex)−XFS−43278(N
H4 +)樹脂10を含むカラムに適用する。カラムを水50
で洗い、0.05N水酸化アンモニウムで活性物質を溶離
し、各4分画を集める。生物試験法で溶離を監視す
る。活性分画(#1〜7)を合して減圧下、約1700ml容
に濃縮し、凍結乾燥して粗A82846(283.9g)を得る。
B.A82846A、BおよびCの分離 前記A項のように得られた粗A82846(2g)を水に溶解
し、1%リン酸二水素アンモニウム中シリカゲルLP−1/
C18樹脂2110mlを含む2″×45″ステンレススチール製
プレパラテイブHPLCカラムに適用する。1%リン酸二水
素アンモニウムから1%リン酸二水素アンモニウム:ア
セトニトリル(92:8)に至る傾斜展開液を用い、流速70
ml/分でカラムを展開し、各400ml分画を集め、254nm紫
外線により監視する。
A82846Aを含む分画(#11〜14)を合してプール1と
し、A82846Cを含む分画(#16〜20)を合してプール2
とし、A82846Bを含む分画(#21〜25)を合してプール
3とする。
C.A82846Cの精製 プール2を約200ml容に濃縮し、脱塩のためダイアイ
オンHP−20樹脂1800mlを含む7×45cmガラスカラムに適
用する。0.1%酢酸を含むメタノール:水(4:1)で溶離
し、流速25ml/分で各1分画を集める。Cを含む分画
(#9〜12)を合して減圧下に濃縮し、凍結乾燥して半
精製A82846C(662.2mg)を得る。
シリカゲルLP−1/C18(450ml)を含む1″×48″スチ
ールカラム、1%リン酸二水素アンモニウムから1%リ
ン酸二水素アンモニウム:アセトニトリル(92:8)に至
る傾斜溶離剤を用い、流速11ml/分で逆相HPLC段階を反
復することにより、半精製A82846C(500mg)を更に精製
し、各25ml分画を集め、254nmで監視する。A82846Cを含
む分画(#169〜210)を合し、HP−20樹脂を含む5×45
cmガラスカラムで脱塩する。0.1%酢酸を含むメタノー
ル:水(4:1)でカラムを溶離し、各100ml分画を集め、
225nm紫外線で監視しながら分析的HPLCにより溶離を続
ける。A82846Cを含む分画(#5〜11)を合して減圧下
に濃縮し、凍結乾燥してA82846C(127.3mg)を得る。
A82846Aを含むプール1およびA82846Bを含むプール3
を上記A82846Cと同様の方法で精製し、更にA82846Aおよ
びA82846B純品を得る。
D.A82846Cの追加的精製 次に示すプレパラテイブクロマトグラフイーを用いて
更にA82846C(70mg)を精製する。
カラム:ゾルバツクスSCX(9.2×250mm)カチオン交換 移動相:10%メタノールを含む0.15Mリン酸二水素ナトリ
ウム緩衝液から出発して10%メタノールを含む0.9Mリン
酸二水素ナトリウム緩衝液に至る線型傾斜溶離剤、6分
間展開、5分間保持(緩衝液に対して無調節) 流速:6.0ml/分 検出:280nm紫外線 負荷:6.0mg/水中注入 ピーク検出機構を備えたオートマチツクフラクシヨン
コレクター(ギルソン(Gilson)201C)を用いてA82846
Cを集める。ミリポア・ウオーターズ(Millipore Water
s)M600傾斜溶離HPLC系により移動相を分配し、日立(H
itachi)オートサンプラーにより試料溶液を注入する。
A82846Cを含む分画を合して30ml容に濃縮し、HP−20
カラム(50ml)に適用する。カラムを水洗し、0.5%酢
酸を含む水:イソプロパノール(95:5)で溶離し、各25
ml分画を集める。A82846Cを含む分画(#9〜14)を合
して濃縮し、凍結乾燥してA82846C純品37mgを得る。
(e)A82846成分の特性 (1)A82846A 分子量:1556 実験式:C73H89N10O26Cl FAB−MS(チオグリセロール):(M+1)実測値、155
7.5803;計算値、C73H90N10O26Cl=1557.5716 UV(水)λmax:281nm(ε5,052)、塩基で300nmにシフ
ト IR(KBr):1716、1655、1611、1586、1552、1504、141
0、1340、1310、1230、1212、1132、1066、1028および1
015cm-1 pKa(水):4.7、9.5 pKa(66%DMF):5.5、6.8、7.9、9.4、12.3(見掛けの
分子量1542)。
(2)A82846B 分子量:1590 実験式:C73H88N10O26Cl2 FAB−MS(チオグリセロール):(M+1)実測値、159
1.5315;計算値、C73H89N10O26Cl2=1591.5327 UV(水)λmax:280nm(ε5,192)、塩基で300nmにシフ
ト IR(KBr):1656、1586、1562、1504、1403、1264、123
0、1135、1105、1065、1023および1018cm-1 pKa(水):4.65、9.5 (3)A82846C 分子量:1522 実験式:C73H90N10O26 FAB−MS(チオグリセロール):(M+Na)実測値、154
5.5998;計算値、C73H90N10O26Na=1545.5925 UV(水)λmax:280nm(ε5,198)、塩基で300nmにシフ
ト IR(KBr):3600→3004(広い)、2999、2991、2950、16
87→1650(広い)、1585、1570、1509、1503、1453、14
49、1402、1212、1130、1102、1060、1032および1014cm
-1 pKa(水):4.6、9.4 (4)他の性質 A82846A、A82846BおよびA82846Cを6N塩酸で加水分解
後のアミノ酸分析は、アスパラギン酸の存在と微量のグ
リシンに伴う2個の広いピークを示した。この2つのピ
ークはアクチノイジン性(actinoidinic)およびバンコ
マイシン性(vancomycinic)アミノ酸(この双方はバン
コマイシン類の糖ペプチド類に存在する)に対応すると
考えられる。
比較NMRによる研究は、A82846A、A82846BおよびA8284
6Cがそれぞれ特異なアミノ糖である4−エピ−バンコサ
ミン(3−メチル−アコサミン(acosamine))を含有
することを示している。
A82846Aの分子式は、バンコマイシン(C66H75N9O24Cl
2)より塩素1原子少なく、追加的バンコサミン型アミ
ノ糖(C7H14NO2)成分の多い分子式に対応する。A82846
Bの分子式は、A82846Aの水素原子1個が塩素原子1個に
より置換された分子式に対応する。A82846Cの分子式
は、A82846Aの塩素原子1個が水素により置き換えられ
ている分子式に対応する。それ故、A82846成分は、一般
的組成のバンコマイシン分子と明らかに類似している
が、主として塩素含量およびバンコサミン構成部分を有
する追加的副次単位の存在において異なる新規部類の糖
ペプチドを構成するものと考えられる。
(f)A82846抗生物質の抗菌活性 A82846抗生物質は、実験動物における実験的に誘導さ
れる感染に対し、生体内抗菌活性を示す。供試微生物に
実験的に感染させたマウスに試験化合物を2回投与した
とき、観察された活性をED50値〔供試動物が50%保護さ
れる有効投与量(mg/kg)(ウオーレン・ウイク(Warre
n Wick)ら:J.Bacteriol.第81巻233〜235頁(1961年)
参照)〕として測定した。例証的化合物について観察さ
れたED50値を表IIに示す。
表中、供試微生物S.aur.はスタフイロコツクス・アウ
レウス(Staphylococcus aureus)、S.pyo.はストレプ
トコツクス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、
S.pneu.はストレプトコツクス・プノイモニアエ(Strep
tococcus pneumoniae)の略記である。
実施例1 バンコマイシン全発酵液吸着 活性物質45.4gを含有するバンコマイシン全発酵液
に、再生したダウ(Dow)XFS−43278.00樹脂1を加え
る。室温で6時間攪拌後、混合物を100メツシユ篩に通
して樹脂から発酵液を分離する。分離した発酵液を損失
量試験し、捨てる。
負荷されている樹脂を純水で洗い、バツチ方式で樹脂
スラリーを水酸化ナトリウム溶液でpH10.5に調節し、樹
脂スラリーをpH10.5に保持しながら2時間攪拌すること
により、溶離する。次いで減圧過により溶離した樹脂
を溶出液から分離し、樹脂を純水で洗う。溶出液と洗液
を集めてこれらを合し、溶液の安定性のために塩酸でpH
3.1に調節し、試験する。この試験は、活性物質37.1gの
回収を達成したことを示した。
溶離後の樹脂を、塩酸でpH2.0に調節した水溶液中で2
0分間混合し、純水で洗つて過剰の酸を除き、塩化ナト
リウム溶液と共に更に20分間攪拌して樹脂をそのNa+
に戻し、次いで純水ですすいで過剰の塩溶液を除くこと
により、樹脂を再生する。
比較のため、同量の全発酵液を用い、従来技術のpH調
節および過に関する最も良い計画を実施し、樹脂溶出
液中に期待されるバンコマイシン活性物質は23.2gに過
ぎなかつた。
実施例2 M43A全発酵液吸着 米国特許第4,548,925号のイグザンプル2セクシヨン
Bのように処理してM43Aを製造する。ただし(1)の全
発酵液の過および(2)のカチオン交換樹脂による
液のステツプを排除し、その代わり再生したダウXSF−4
3278.00樹脂を全発酵に加え、混合物を室温で6時間攪
拌し、篩に通して樹脂から発酵液を分離する。負荷され
ている樹脂を実施例1と同様に処理してM43Aを回収す
る。
米国特許第4,548,925号イグザンプル2、セクシヨン
Cの記載と同様に処理しM43Aを精製する。
実施例3 アクタプラニン全発酵液吸着 米国特許第4,322,406号イグザンプル1のように処理
してアクタプラニンを製造する。ただしセクシヨンC単
離のステツプにおいて、(1)過助剤の添加、(2)
全発酵液の過、(3)過ケーキの水中再懸濁、
(4)水性懸濁液のpH10.5に調節、および(5)過の
ステツプを排除し、その代わりに全発酵液にダイアイオ
ンSK−102を加え、実施例1の操作法を使用してアクタ
プラニン複合物を回収する。上記特許のイグザンプル1
のセクシヨンDおよびFの記載のように処理してアクタ
プラニン因子B1、B2、B3、C1a、C3およびE1を単離す
る。
実施例4 タイコプラニン全発酵液吸着 米国特許第4,239,751号(カラム4〜6)記載のよう
に処理してタイコプラニンを製造する。ただし次のステ
ツプを排除する:発酵液の過、過した培地のpH調
節、培地のブタノールによる抽出、菌糸体塊のpH3.5の
水による洗浄、減圧乾燥、その水性アセトンによる抽
出、アセトン抽出物の濃縮、そのpH調節およびそのブタ
ノールによる抽出。その代わりに実施例1の操作法を使
用してタイコプラニン複合物を回収する。
実施例5 A82846全発酵液吸着 前記製造例1の(a)(3)および(b)項と同様に
処理して抗生物質A82846を製造する。ただし(b)項に
おいて実施例1の操作法を使用し、次の段階を排除す
る:pHの調節、過助剤の添加、フイルタープレスによ
る混合物の過、フイルタープレスの水洗および混合し
た液/洗液のpH調節。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:365) (C12P 21/04 C12R 1:365) (72)発明者 ジョン・ローレンス・スペンサー アメリカ合衆国インディアナ46260、イ ンディアナポリス、パイン・ドライブ 129番

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)バンコマイシン型糖ペプチド抗生物
    質を産生した発酵培地を2%又はそれ以下の架橋度を有
    する微小孔の、スルホン化ポリスチレン−ジビニルベン
    ゼン共重合体樹脂と混合し、(2)この培地から樹脂を
    分離し、(3)樹脂から抗生物質を溶離することを特徴
    とするバンコマイシン型糖ペプチド抗生物質の回収方
    法。
  2. 【請求項2】逆流吸着により発酵培地を樹脂に加えるこ
    とにより、樹脂を発酵培地と混合する請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】バッチ処理により樹脂を発酵培地に加える
    ことにより、樹脂を発酵培地と混合する請求項1記載の
    方法。
  4. 【請求項4】溶離液がpH9〜12の水溶液である請求項1
    記載の方法。
  5. 【請求項5】抗生物質がバンコマイシンである前記請求
    項のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】抗生物質が抗生物質A82846A、A82846Bおよ
    びA82846Cから選ばれるものである請求項1〜4のいず
    れかに記載の方法。
  7. 【請求項7】抗生物質がタイコマイシンA1、A2およびA3
    ならびにタイコマイシンA2因子1、2、3、4および5
    から選ばれるものである請求項1〜4のいずれかに記載
    の方法。
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