JP2657961B2 - 分子線源セル用電源装置 - Google Patents

分子線源セル用電源装置

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JP2657961B2
JP2657961B2 JP3307631A JP30763191A JP2657961B2 JP 2657961 B2 JP2657961 B2 JP 2657961B2 JP 3307631 A JP3307631 A JP 3307631A JP 30763191 A JP30763191 A JP 30763191A JP 2657961 B2 JP2657961 B2 JP 2657961B2
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  • Particle Accelerators (AREA)
  • Control Of Resistance Heating (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分子線結晶成長装置に
用いられ、分子線源セルの加熱装置に電力を供給する電
源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図13は、分子線結晶成長装置を示す。
【0003】この装置は、チャンバ1にバルブ2を介し
て真空ポンプ3が接続され、チャンバ1内のガスが真空
ポンプ3で排出される。チャンバ1内には、分子線源セ
ルCA、CB及びCCが配置されている。分子線源セル
CAは、坩堝4Aがヒータ5Aで囲繞され、ヒータ5A
に電力を供給すると、坩堝4A内の原料6Aが融液とな
る。原料6Aの温度は熱電対7Aで検出される。分子線
源セルCB及びCCも分子線源セルCAと同一構成であ
り、図13では、対応する構成要素に同一番号を付し、
かつ、分子線源セルCBの構成要素にはBを付加し、分
子線源セルCCの構成要素にはCを付加している。
【0004】原料6A、6B及び6Cは互いに異なる元
素の物質、例えばGa、In、Asであり、これらから
蒸発した分子は、チャンバ1内に配置された基板8上で
結晶となり成長する。基板8の背面は、ヒータ9で加熱
されている。チャンバ1内を超高真空(UHV)にする
ために、チャンバ1の内壁に沿って、液体窒素が通され
る冷却シュラウド10が配設されている。冷却シュラウ
ド10上に衝突した分子は、その運動エネルギーが冷却
シュラウド10で吸収されて、冷却シュラウド10上に
付着し、チャンバ1内が超高真空に保たれる。
【0005】原料6A、6B及び6Cの設定温度を変え
ることにより、基板8上に成長する結晶の組成比を変え
ることができる。
【0006】以下、分子線源セルCA、CB及びCCを
一括して分子線源セルCと称し、同様に、坩堝4A、4
B及び4Cを一括して坩堝4、ヒータ5A、5B及び5
Cを一括してヒータ5、原料6A、原料6及び6Cを一
括して原料6と称す。
【0007】ヒータ5は、図14に示す主電源装置11
に接続され、主電源装置11は制御電源装置11aと温
度調節器11bを備えている。熱電対7の検出信号は温
度調節器11bに供給され、温度調節器11bは、この
検出温度が設定温度になるように、制御電源装置11a
からヒータ5へ供給される電力を制御する。
【0008】入力電源が停電すると、原料6が融点以
下、例えば660°C以下となって固化し、坩堝4の内
壁に固着する。原料6は冷却シュラウド10で更に例え
ば−100°Cまで冷却されて収縮し、坩堝4が破損す
る。
【0009】そこで、従来では図14に示す如く、主電
源装置11と入力電源12との間に無停電電源装置13
を接続していた。この無停電電源装置13は、主電源装
置11が通電時には、入力電源12の交流を整流平滑化
回路で直流に変換し、同時に、充電器で蓄電池に蓄電
し、変換した直流をインバータで交流に変換して出力
し、主電源装置11が停電時には、蓄電池の出力をこの
インバータに供給する構成となっている。
【0010】分子線の安定性を向上させる為や反射高速
電子回折(RHEED)測定の為に、電力使用効率の低
い直流安定化電源が制御電源装置11aに用いられ、制
御電源装置11aの消費電力は、その出力にあまり依存
せず、比較的大きい。また、分子線結晶成長装置の大型
化に伴い、定格電力の大きいヒータ5が用いられるよう
になり、例えば、チャンバ1つの分子線源セルCのヒー
タ5は定格10kWである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このため、蓄電容量が
比較的大きな無停電電源装置13を用いる必要があり、
また、無停電電源装置13のバックアップ時間は10〜
20分程度と短い。
【0012】入力電源12の停電がこのバックアップ時
間以上継続すると、坩堝4が破損するという上記問題が
生ずる。また、坩堝4が破損した状態で入力電源12が
図15に示す如く復電すると、原料6が溶融して破損し
た坩堝4から漏れ、周囲を腐食させたり、ヒータ5をシ
ョートさせたりして、損害が分子線源セルC全体に及
ぶ。さらに、復電後に冷却シュラウド10の冷却能力が
低下し又は停止していると、ヒータ5により冷却シュラ
ウド10が加熱され、冷却シュラウド10が耐熱限界を
越え損傷する。ヒータ5の消費電力増加に伴い、冷却シ
ュラウド10がこのようにして損傷する危険性が高くな
ってきている。
【0013】本発明の目的は、このような問題点に鑑
み、停電及び復電により分子線源セル及びその周囲が損
傷するのを防止することができ、また、停電時の分子線
源セルの消費電力を低減して無停電電源装置でバックア
ップできる時間を増加させ又は蓄電容量が比較的小さい
無停電電源装置を用いることができる分子線源セル用電
源装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段及びその作用】図1は、第
1発明に係る分子線源セル用電源装置の原理構成を示
す。また、図2は図1の構成の動作を示す。
【0015】第1発明では、坩堝4と、坩堝内原料6を
加熱する加熱装置5とを備えた分子線源セルCの加熱装
置5へ電力を供給する分子線源セル用電源装置におい
て、入力電源12の電圧が供給され加熱装置5用の電圧
を出力する主電源装置11と、入力電源12の電圧が供
給され、入力電源12が通電時には蓄電し、入力電源1
2が停電時には放電する無停電電源装置13と、無停電
電源装置13の出力が供給され加熱装置5用の電圧を出
力する補助電源装置14と、主電源装置11の出力端子
と加熱装置5の入力端子とを導通/遮断し、補助電源装
置14の出力端子と加熱装置5の入力端子とを導通/遮
断する第1スイッチ手段SW1と、入力電源12の停電
時間が設定時間T1 を経過したかどうかを検出する第1
停電時間検出手段DT1と、第1スイッチ手段SW1の
導通/遮断を制御する第1スイッチ制御手段SC1とを
備えている。
【0016】この第1スイッチ制御手段SC1は、入力
電源12が通電状態のときに(図2(A)のa)、初期
化入力信号に応答して(図2(B)のd)、主電源装置
11の出力端子と加熱装置5の入力端子とを導通させ、
かつ、補助電源装置14の出力端子と加熱装置5の入力
端子とを遮断させ(図2(D)のe、(F)のf)、主
電源装置11の出力端子と加熱装置5の入力端子とが導
通状態のときに入力電源12の停電時間が設定時間T1
を経過したことを検出すると、主電源装置11の出力端
子と加熱装置5の入力端子とを遮断させ、かつ、補助電
源装置14の出力端子と加熱装置5の入力端子とを導通
させ(図2(D)のg、(F)のh)、無停電電源装置
13が停電したことを検出すると(図2(E)のi)、
補助電源装置14の出力端子と加熱装置5の入力端子と
を遮断させる(図2(F)のj)。
【0017】本第1発明では、入力電源12が通電して
いるときに主電源装置11を使用して結晶を成長させ、
入力電源12が停電したときに無停電電源装置13のバ
ックアップで補助電源装置14を使用するので、原料6
が固化して坩堝4に固着し冷却装置で冷却されて原料6
が収縮し坩堝4が破損するのを防止することができ、し
たがって、その後復電により原料6が溶融して破損した
坩堝4から漏出し分子線源セルC及びその周囲が損傷す
るのを防止することができる。
【0018】また、補助電源装置14を、原料6が固化
し縮小して坩堝4が破損するのを防止するのに必要な電
力を加熱装置5に供給する簡単な構成、例えば、サイリ
スタで点弧角を制御することにより平均出力電圧を制御
する簡単な構成とすることができる。したがって、停電
時の分子線源セルの消費電力を低減して無停電電源装置
でバックアップできる時間を増加させ又は蓄電容量が比
較的小さい無停電電源装置を用いることができる。
【0019】作業者は、入力電源12の停電により補助
電源装置14が使用された後は、図11の基板8を取換
えて初期状態にし、初期化入力信号を発生させて、結晶
成長処理を最初からやり直す。
【0020】また、入力電源12が停電しても、停電時
間が設定時間T1 以下、例えば1〜2秒以下である場
合、すなわち、入力電源12が瞬停した場合には、補助
電源装置14に切り換えられないので、結晶成長処理が
継続して行われる。瞬停の場合は、結晶成長上問題な
い。
【0021】さらに、無停電電源装置13が停電する
と、主電源装置11のみならず補助電源装置14の出力
端子も分子線源セルCの加熱装置5と遮断状態となり、
この状態が、その後入力電源12が復電しても保たれる
ので、無停電電源装置13の停電により坩堝4が上述の
如くして破損したとしても、原料融液が坩堝4から漏出
して分子線源セルC及びその周囲が損傷するのを防止す
ることができる。また、チャンバ内を高超真空に保つた
めに分子線源セルCに近設された冷却装置の冷却能力が
低下し又は停止して、復電後に加熱装置5の発熱で冷却
装置が損傷を受けるのを防止することができる。
【0022】図3は、第2発明に係る分子線源セル用電
源装置の原理構成を示す。また、図4は図3の構成の動
作を示す。
【0023】第2発明では、上記第1発明に、無停電電
源装置13の停電時間が設定時間T 2 を経過したかどう
かを検出する第2停電時間検出手段DT2を付加し、上
記第1スイッチ制御手段SC1の代わりに、次のような
第1スイッチ制御手段SC1’を備えている。
【0024】第1スイッチ制御手段SC1’は、入力電
源12が通電状態のときに、初期化入力信号に応答し
て、主電源装置11の出力端子と加熱装置5の入力端子
とを導通させ、かつ、補助電源装置14の出力端子と加
熱装置5の入力端子とを遮断させ、主電源装置11の出
力端子と加熱装置5の入力端子とが導通状態のときに入
力電源12の停電時間が設定時間T1 を経過したことを
検出すると、主電源装置11の出力端子と加熱装置5の
入力端子とを遮断させ、かつ、補助電源装置14の出力
端子と加熱装置5の入力端子とを導通させ、補助電源装
置14の出力端子と加熱装置5の入力端子とが導通状態
のときに無停電電源装置13の停電時間が設定時間T2
を経過したことを検出すると、補助電源装置14の出力
端子と加熱装置5の入力端子とを遮断させる(図4
(F)のk)。
【0025】無停電電源装置13の瞬停はあまりない
が、この第2発明によれば、例え無停電電源装置13が
瞬停しても(図4(C)のm)、無停電電源装置13の
バックアップ時間内であれば原料6の保温が継続して行
われるので、この瞬停後に原料6が固化して坩堝4に固
着し冷却装置で冷却されて原料6が収縮し坩堝4が破損
するのを防止することができる。
【0026】図5は、本第1又は第2の発明の第1態様
の構成を示す。また、図6は図5の構成の特有の動作を
示す。
【0027】この第1態様では、上記構成にさらに、発
電機20と、無停電電源装置13の入力端子を発電機2
0の出力端子又は入力電源12の出力配線に選択的に導
通させる第2スイッチ手段SW2と、入力電源12の停
電時間が設定時間T3 を経過したかどうかを検出する第
3停電時間検出手段DT3と、第2スイッチ手段SW2
を切換制御する第2スイッチ制御手段SC2とを備えて
いる。設定時間T3 は、例えば1〜2秒である。
【0028】この第2スイッチ制御手段SC2は、入力
電源12が通電状態又は停電時間が設定時間T3 を経過
していなければ、無停電電源装置13の入力端子と入力
電源12の該出力配線とを導通させ(図6(B)の
a)、入力電源12の停電時間が設定時間T3 を経過し
たことを検出すると、無停電電源装置13の入力端子と
発電機20の出力端子とを導通させる(図6(B)の
b)。
【0029】この構成の場合、入力電源12が長時間停
電しても、無停電電源装置13が発電機20でバックア
ップされるので、原料6が固化して坩堝4に固着し冷却
装置で冷却されて原料6が収縮し坩堝4が破損するのを
防止することができる。
【0030】図7は、本第1又は第2の発明の第2態様
の構成を示す。
【0031】この第2態様では、上記第1態様の構成に
さらに、入力電源12の停電時間が設定時間T4 を経過
したかどうかを検出する第4停電時間検出手段DT4
と、入力電源12の停電時間が設定時間T4 を経過した
ことを検出すると発電機20を起動させる発電機起動手
段GCとを備え、設定時間T4 を設定時間T3 より短い
時間とし、設定時間T3 を無停電電源装置13のバック
アップ時間より少し短い時間としている。
【0032】この構成の場合、無停電電源装置13が停
電する前に発電機20を起動するので、無停電電源装置
13に比し大型の発電機20の起動回数及び通電時間を
できるだけ低減することが可能となる。
【0033】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。
【0034】[第1実施例]図8及び図9は、第1実施
例の分子線源セル用電源装置を示す。図14と同一構成
要素には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0035】この装置は、入力電源12が通電時に使用
される主電源装置11と、入力電源12が停電時に使用
される無停電電源装置13及び補助電源装置14を備え
ている。補助電源装置14は、主電源装置11と同様
に、制御電源装置14a及び温度調節器14bを備えて
おり、温度調節器11bに供給される熱電対7の検出信
号が温度調節器14bにも供給され、温度調節器14b
は、検出温度が設定温度になるように制御電源装置14
aの出力電力を制御する。
【0036】この制御電源装置14aは、消費電力を制
御電源装置11aよりも低減するために、例えば、サイ
リスタで点弧角を制御することにより平均出力電圧を制
御する簡単な構成となっている。また、温度調節器11
bの設定温度が、原料6がAlの場合例えば1200°
Cであるのに対し、温度調節器14bの設定温度は、原
料6の融点よりも少し高い温度、例えば700°Cとな
っている。これは、復電後には結晶成長処理を最初から
やり直すので、停電時には、原料6が固化し縮小して坩
堝4が破損するのを防止するのに必要な電力をヒータ5
に供給すればよいからである。
【0037】補助電源装置14の電圧入力端子には、無
停電電源装置13の電圧出力端子が接続され、無停電電
源装置13の電圧入力端子には、商用交流電源である入
力電源12の配線が接続されている。主電源装置11の
電圧入力端子間には、オフディレイタイマ15の駆動部
15c及びa接点15a1が直列接続され、このa接点
15a1に初期化入力スイッチ17のa接点17a1が
並列接続されている。また、無停電電源装置13の電圧
出力端子間には、オフディレイタイマ16の駆動部16
c及びa接点16a1が直列接続され、このa接点16
a1に、初期化入力スイッチ17のa接点17a2が並
列接続されている。
【0038】主電源装置11の電圧入力端子は、無停電
電源装置13の電圧入力端子に共通に接続され、主電源
装置11の直流電圧出力端子は、オフディレイタイマ1
5のa接点15a2及び15a3を介して分子線源セル
Cのヒータ5に接続されている。また、補助電源装置1
4の電圧出力端子は、オフディレイタイマ16のa接点
16a2、16a3及びオフディレイタイマ15のb接
点15b1、15b2を介して分子線源セルCのヒータ
5に接続されている。
【0039】次に、上記の如く構成された本実施例の動
作を、図4を参照して説明する。
【0040】入力電源電圧投入後、初期化入力スイッチ
17を押してそのa接点17a1及び17a2を瞬間オ
ンにすると、オフディレイタイマ15及び16の駆動部
15c及び16cが付勢して、a接点15a1、15a
2、15a3及び16a1、16a2及び16a3がオ
ンになり、b接点15b1及び15b2がオフになる。
【0041】これにより、オフディレイタイマ15及び
16の駆動部15c及び16cの付勢状態が保持され
る。また、主電源装置11からの電力が分子線源セルC
のヒータ5に供給され、一方、補助電源装置14の電圧
出力端子とヒータ5とは遮断状態となる。
【0042】入力電源12が停電しても、停電時間がオ
フディレイタイマ15の設定時間T 1 以下、例えば1〜
2秒以下であれば、オフディレイタイマ15は付勢され
たままであり、そのb接点15b1及び15b2はオフ
状態を保持し、a接点15a2及び15a3はオン状態
を保持する。したがって、入力電源12が瞬停した場合
には、結晶成長処理が継続して行われる。瞬停の場合、
原料6の温度はほぼ設定温度に保たれるので、結晶成長
上問題はない。
【0043】入力電源12が停電し、停電時間がT1
経過すると、オフディレイタイマ15が消勢してa接点
15a1、15a2及び15a3がオフになり、b接点
15b1及び15b2がオンになる。これにより、主電
源装置11の電圧出力端子が分子線源セルCのヒータ5
と遮断状態となり、一方、補助電源装置14からの電力
が分子線源セルCのヒータ5に供給される(図4
(A)、(D)、(E)及び(F))。無停電電源装置
13のバックアップ時間は例えば30分であり、この時
間経過前に入力電源12が復電すると、無停電電源装置
13の出力は継続する。
【0044】このような動作により、原料6の温度は融
点よりも少し高い温度、例えば700°Cに保持される
ので、図13において、原料6が固化して坩堝4に固着
し冷却シュラウド10で冷却されて原料6が収縮し坩堝
4が破損するのを、防止することができる。
【0045】無停電電源装置13が停電しても、停電時
間がオフディレイタイマ16の設定時間T2 以下、例え
ば1〜2秒以下であれば、オフディレイタイマ16は付
勢されたままであり、そのa接点16a1、16a2及
び16a3はオン状態を保持する(図4(C)、
(D))。したがって、無停電電源装置13が瞬停した
場合には、原料6の保温が継続して行われる。瞬停の場
合、原料6の温度はほぼ設定温度に保たれるので、原料
6は固化しない。
【0046】作業者は、入力電源12の停電により補助
電源装置14が使用された後は、図13の基板8を取換
えて初期状態にし、初期化入力スイッチ17を押してそ
のa接点17a1及び17a2を瞬間オンにし(図4
(B))、結晶成長処理を最初からやり直す。
【0047】無停電電源装置13が停電し、停電時間が
2 を経過すると、オフディレイタイマ16が消勢して
そのa接点16a1、16a2及び16a3がオフ状態
となり、主電源装置11のみならず補助電源装置14の
電圧出力端子も分子線源セルCのヒータ5と遮断状態と
なる(図4(E)、(F))。この状態は、その後入力
電源12が復電しても保たれる(図4(A)、(E)、
(F))。
【0048】したがって、無停電電源装置13の停電に
より坩堝4が上述の如くして破損したとしても、融液と
なった原料6が坩堝4から漏出して分子線源セルC及び
その周囲が損傷するのを防止することができる。また、
図13の冷却シュラウド10の冷却能力が低下し又は停
止して、復電後にヒータ5の発熱で冷却シュラウド10
が損傷を受けるのを防止することができる。
【0049】[第2実施例]図10は、第2実施例の分
子線源セル用電源装置を示す。図8と同一構成要素に
は、同一符号を付してその説明を省略する。
【0050】この装置では、無停電電源装置13の電圧
出力端子間に、補助リレー18の電磁コイル18c、補
助リレー18のa接点18a1及び初期化入力スイッチ
17のb接点17b1が直列接続され、このa接点18
a1に並列に、オフディレイタイマ15のb接点15b
3が接続されている。また、a接点17a1に対し、a
接点15a1のみならずオフディレイタイマ16のa接
点16a4も並列接続され、他方、a接点17a2に対
し、a接点16a1のみならずオフディレイタイマ15
のa接点15a4も並列接続されている。さらに、図8
のb接点15b1及び15b2の代わりに、補助リレー
18のa接点18a2及び18a3が用いられ、a接点
15a2及び15a3にそれぞれ直列に、補助リレー1
8のb接点18b1及び18b2が用いられている。他
の構成は、図8と同一である。
【0051】次に、上記の如く構成された本第2実施例
の動作を説明する。
【0052】入力電源電圧を投入すると、無停電電源装
置13の出力電圧により電磁コイル18cが励磁し、b
接点18b1及び18b2がオフ状態、a接点18a2
及び13A3がオン状態となる。一方、オフディレイタ
イマ16の駆動部16cが消勢しているので、a接点1
6a2及び16a3はオフになっている。したがって、
主電源装置11及び補助電源装置14の電圧出力端子
は、分子線源セルCのヒータ5と遮断状態になってい
る。
【0053】作業者が初期化入力スイッチ17を押し
て、そのa接点17a1及び17a2をオンにし、b接
点17b1をオフにすると、オフディレイタイマ15及
び16の駆動部15c及び16cが付勢してa接点15
a1、15a2、15a3及び15a4がオンになり、
駆動部15c及び16cの付勢が保持され、また、b接
点15b3がオフになり、b接点17b1が復帰してオ
ンになっても電磁コイル18cは消磁したままとなる。
a接点16a2及び16a3はオンになるが、a接点1
8a2及び18a3がオフになり、補助電源装置14の
電圧出力端子は分子線源セルCのヒータ5と遮断状態に
なったままである。一方、b接点18b1及び18b2
がオンになり、主電源装置11からの電力が分子線源セ
ルCのヒータ5に供給される。
【0054】入力電源12がT1 以上停電した後復電す
ると、オフディレイタイマ15の駆動部15cが付勢し
てa接点15a1、15a2、15a3及び15a4が
オンになり、駆動部15cの付勢が保持される。その
後、無停電電源装置13が不良となって無停電電源装置
13が停電すると、電磁コイル18cが消磁され、a接
点18a1、18a2及び183がオフになり、b接点
18b1及び18b2がオンになる。この状態では、主
電源装置11から分子線源セルCのヒータ5に電力が供
給される。
【0055】したがって、場合によっては、上記第1実
施例では原料6が固化収縮して坩堝4が破損するのを、
本第2実施例により防止することが可能となる。
【0056】他の動作は、上記第1実施例と同一であ
る。
【0057】[第3実施例]図11は、第3実施例の分
子線源セル用電源装置の要部構成を示す。
【0058】この装置では、入力電源12の配線にオフ
ディレイタイマ19の駆動部19cが接続され、入力電
源12の配線に、オフディレイタイマ19のa接点19
a1及び19a2を介して無停電電源装置13の電圧入
力端子が接続されている。また、無停電電源装置13の
電圧入力端子に、オフディレイタイマ19のb接点19
b1及び19b2を介して発電機20の電圧出力端子が
接続されている。
【0059】他の構成は上記第1実施例又は第2実施例
と同一である。
【0060】次に、上記の如く構成された本第3実施例
の動作を、図6を参照して説明する。
【0061】入力電源12が通電時にはオフディレイタ
イマ19の駆動部19cが付勢し、b接点19b1及び
19b2がオフになり、a接点19a1及び19a2が
オンになって、入力電源12の電圧が無停電電源装置1
3に供給される。
【0062】入力電源12が停電しても、停電時間がオ
フディレイタイマ19の設定時間T 3 以下、例えば1〜
2秒以下であれば、オフディレイタイマ19は付勢され
たままであり、そのa接点19a1及び19a2はオン
状態を保持し、b接点19b1及び19b2はオフ状態
を保持する。したがって、入力電源12が瞬停した場合
には、結晶成長処理が継続して行われる。
【0063】入力電源12の停電時間がT3 以上となる
と、オフディレイタイマ19のa接点19a1及び19
a2がオフになり、b接点19b1及び19b2がオン
になって、発電機20の出力が入力電源12の代わりに
無停電電源装置13に供給される(図6(A)、
(B))。
【0064】本第3実施例では、入力電源12が長時間
停電しても、無停電電源装置13が発電機20でバック
アップされるので、原料6が固化して坩堝4に固着し冷
却装置で冷却されて原料6が収縮し坩堝4が破損するの
を防止することができる。
【0065】[第4実施例]図12は、第4実施例の分
子線源セル用電源装置の要部構成を示す。
【0066】この装置では、図11と同様に、入力電源
12の配線にオフディレイタイマ21の駆動部21cが
接続され、入力電源12の配線に、オフディレイタイマ
19のa接点19a1及び19a2を介して無停電電源
装置13の電圧入力端子が接続されている。また、無停
電電源装置13の電圧入力端子に、オフディレイタイマ
19のb接点19b1及び19b2を介して発電機20
の電圧出力端子が接続されている。
【0067】オフディレイタイマ19の設定時間は、無
停電電源装置13のバックアップ時間より少し短い時
間、例えば20分となっている。オフディレイタイマ2
1の設定時間は、オフディレイタイマ19の設定時間よ
り、発電機20の起動に要する時間だけ短い時間となっ
ている。発電機20の電圧出力端子間には、補助リレー
22の電磁コイル22cが接続されている。発電機20
を起動するためのモータ23の端子間には、補助リレー
22のb接点22b、オフディレイタイマ21のb接点
21b及びバッテリ24が直列接続され、b接点21b
に、テストスイッチ25のa接点25aが並列接続され
ている。テストスイッチ25は、モータ23及び発電機
20が正常に動作するかどうかをテストするためのもの
である。
【0068】他の構成は、上記第1実施例又第2実施例
と同一である。
【0069】次に、上記の如く構成された本第4実施例
の動作を説明する。
【0070】入力電源12が通電時には、オフディレイ
タイマ19の駆動部19c及びオフディレイタイマ21
の駆動部21cが付勢してa接点19a1及び19a2
がオンになり、b接点19b1、19b2及び21bが
オフになり、また、電磁コイル22cが消磁したまま
で、b接点22bがオンになっている。
【0071】入力電源12が停電し、停電時間がT4
経過すると、オフディレイタイマ21が消勢してそのb
接点21bがオンになり、モータ23が回転して発電機
20が起動する。次に、停電時間がT3 を経過すると、
オフディレイタイマ19が消勢してそのa接点19a1
及び19a2がオフになり、b接点19b1及び19b
2がオンになり、発電機20の出力電圧が無停電電源装
置13に供給される。また、発電機20の出力電圧によ
り電磁コイル22cが励磁してb接点22bがオフにな
り、モータ23の回転が停止する。
【0072】本第4実施例によれば、無停電電源装置1
3が停電する少し前に発電機20を起動するので、無停
電電源装置13に比し大型の発電機20の起動回数及び
通電時間をできるだけ低減することが可能となる。
【0073】
【発明の効果】以上説明した如く、本第1発明及び第2
発明に係る分子線源セル用電源装置では、入力電源が通
電しているときに主電源装置を使用して結晶を成長さ
せ、入力電源が停電したときに無停電電源装置のバック
アップで補助電源装置を使用するので、補助電源装置
を、原料が固化し縮小して坩堝が破損するのを防止する
のに必要な電力を加熱装置に供給する簡単な構成とする
ことができ、したがって、停電時の分子線源セルの消費
電力を低減して無停電電源装置でバックアップできる時
間を増加させ又は蓄電容量が比較的小さい無停電電源装
置を用いることができるという効果を奏する。また、入
力電源が瞬停しても、主電源から補助電源装置に切り換
わらないので、結晶成長処理を継続して行うことができ
るという効果を奏する。さらに、無停電電源装置が停電
すると、主電源装置のみならず補助電源装置の出力端子
も分子線源セルの加熱装置と遮断状態となり、この状態
が、その後入力電源が復電しても保たれるので、無停電
電源装置の停電により坩堝が破損したとしても、原料融
液が坩堝から漏出して分子線源セル及びその周囲が損傷
するのを防止することができ、また、チャンバ内を高超
真空に保つために分子線源セルCに近設された冷却装置
の冷却能力が低下し又は停止して、復電後に加熱装置の
発熱で冷却装置が損傷を受けるのを、防止することがで
きるという効果を奏する。
【0074】本第2発明に係る分子線源セル用電源装置
によれば、例え無停電電源装置が瞬停しても、無停電電
源装置のバックアップ時間内であれば原料の保温が継続
して行われるので、この瞬停後に原料が固化して坩堝に
固着し冷却装置で冷却されて原料が収縮し坩堝が破損す
るのを防止することができるという効果を奏する。
【0075】本発明の第1態様によれば、入力電源が長
時間停電しても、無停電電源装置が発電機でバックアッ
プされるので、原料が固化して坩堝に固着し冷却装置で
冷却されて原料が収縮し坩堝が破損するのを防止するこ
とができるという効果を奏する。
【0076】本発明の第2態様によれば、無停電電源装
置が停電する少し前に発電機を起動するので、無停電電
源装置に比し大型の発電機の起動回数及び通電時間をで
きるだけ低減することが可能となるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明の原理構成を示すブロック図である。
【図2】図1の構成の動作を示すタイミングチャートで
ある。
【図3】第2発明の原理構成を示すブロック図である。
【図4】図3の構成の動作を示すタイミングチャートで
ある。
【図5】本発明の第1態様の構成を示すブロック図であ
る。
【図6】図5の構成の特有の動作を示すタイミングチャ
ートである。
【図7】本発明の第2態様の構成を示すブロック図であ
る。
【図8】本発明の第1実施例の分子線源セル用電源装置
の回路図である。
【図9】図8と同一構成の回路図である。
【図10】本発明の第2実施例の分子線源セル用電源装
置の回路図である。
【図11】本発明の第3実施例の分子線源セル用電源装
置の回路図である。
【図12】本発明の第4実施例の分子線源セル用電源装
置の回路図である。
【図13】分子線結晶成長装置の断面概略構成図であ
る。
【図14】従来の分子線源セル用電源装置の回路図であ
る。
【図15】図14の構成の動作を示すタイミングチャー
トである。
【符号の説明】
1 チャンバ 2 バルブ 3 真空ポンプ C、CA、CB、CC 分子線源セル 4、4A、4B、4C 坩堝 5、5A、5B、5C、9 ヒータ 6、6A、6B、6C 原料 7、7A、7B、7C 熱電対 8 基板 10 冷却シュラウド 11 主電源装置 11a、14a 制御電源装置 11b、14b 温度調節器 12 入力電源 13 無停電電源装置 14 補助電源装置 15、16、19、21 オフディレイタイマ 17 初期化入力スイッチ 18、22 補助リレー 20 発電機 23 モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C30B 23/08 C30B 23/08 Z

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 坩堝(4)と、坩堝内原料(6)を加熱
    する加熱装置(5)とを備えた分子線源セル(C)の該
    加熱装置へ電力を供給する分子線源セル用電源装置にお
    いて、 入力電源(12)の電圧が供給され該加熱装置用の電圧
    を出力する主電源装置(11)と、 該入力電源の電圧が供給され、該入力電源が通電時には
    蓄電し、該入力電源が停電時には放電する無停電電源装
    置(13)と、 該無停電電源装置の出力が供給され該加熱装置用の電圧
    を出力する補助電源装置(14)と、 該主電源装置の出力端子と該加熱装置の入力端子とを導
    通/遮断し、該補助電源装置の出力端子と該加熱装置の
    入力端子とを導通/遮断する第1スイッチ手段(SW
    1)と、 該入力電源の停電時間が設定時間T1 を経過したかどう
    かを検出する第1停電時間検出手段(DT1)と、 該第1スイッチ手段の導通/遮断を制御する第1スイッ
    チ制御手段(SC1)とを有し、 該第1スイッチ制御手段(SC1)は、 該入力電源が通電状態のときに、初期化入力信号に応答
    して、該主電源装置の出力端子と該加熱装置の入力端子
    とを導通させ、かつ、該補助電源装置の出力端子と該加
    熱装置の入力端子とを遮断させ、 該主電源装置の出力端子と該加熱装置の入力端子とが導
    通状態のときに該入力電源の停電時間が設定時間T1
    経過したことを検出すると、該主電源装置の出力端子と
    該加熱装置の入力端子とを遮断させ、かつ、該補助電源
    装置の出力端子と該加熱装置の入力端子とを導通させ、 該無停電電源装置が停電したことを検出すると、該補助
    電源装置の出力端子と該加熱装置の入力端子とを遮断さ
    せる、 ことを特徴とする分子線源セル用電源装置。
  2. 【請求項2】 坩堝(4)と、坩堝内原料(6)を加熱
    する加熱装置(5)とを備えた分子線源セル(C)の該
    加熱装置へ電力を供給する分子線源セル用電源装置にお
    いて、 入力電源(12)の電圧が供給され該加熱装置用の電圧
    を出力する主電源装置(11)と、 該入力電源の電圧が供給され、該入力電源が通電時には
    蓄電し、該入力電源が停電時には放電する無停電電源装
    置(13)と、 該無停電電源装置の出力が供給され該加熱装置用の電圧
    を出力する補助電源装置(14)と、 該主電源装置の出力端子と該加熱装置の入力端子とを導
    通/遮断し、該補助電源装置の出力端子と該加熱装置の
    入力端子とを導通/遮断する第1スイッチ手段(SW
    1)と、 該入力電源の停電時間が設定時間T1 を経過したかどう
    かを検出する第1停電時間検出手段(DT1)と、 該無停電電源装置の停電時間が設定時間T2 を経過した
    かどうかを検出する第2停電時間検出手段(DT2)
    と、 該第1スイッチ手段の導通/遮断を制御する第1スイッ
    チ制御手段(SC1)とを有し、 該第1スイッチ制御手段(SW1)は、 該入力電源が通電状態のときに、初期化入力信号に応答
    して、該主電源装置の出力端子と該加熱装置の入力端子
    とを導通させ、かつ、該補助電源装置の出力端子と該加
    熱装置の入力端子とを遮断させ、 該主電源装置の出力端子と該加熱装置の入力端子とが導
    通状態のときに該入力電源の停電時間が設定時間T1
    経過したことを検出すると、該主電源装置の出力端子と
    該加熱装置の入力端子とを遮断させ、かつ、該補助電源
    装置の出力端子と該加熱装置の入力端子とを導通させ、 該補助電源装置の出力端子と該加熱装置の入力端子とが
    導通状態のときに該無停電電源装置の停電時間が設定時
    間T2 を経過したことを検出すると、該補助電源装置の
    出力端子と該加熱装置の入力端子とを遮断させる、 ことを特徴とする分子線源セル用電源装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2にさらに、 発電機(20)と、 前記無停電電源装置(13)の入力端子を該発電機の出
    力端子又は前記入力電源(12)の出力配線に選択的に
    導通させる第2スイッチ手段(SW2)と、 該入力電源の停電時間が設定時間T3 を経過したかどう
    かを検出する第3停電時間検出手段(DT3)と、 該第2スイッチ手段を切換制御する第2スイッチ制御手
    段(SC2)とを有し、 該第2スイッチ制御手段(SC2)は、 該入力電源が通電状態又は停電時間が設定時間T3 を経
    過していなければ、該無停電電源装置の入力端子と該入
    力電源の該出力配線とを導通させ、 該入力電源の停電時間が設定時間T3 を経過したことを
    検出すると、該無停電電源装置の入力端子と該発電機の
    出力端子とを導通させる、 ことを特徴とする分子線源セル用電源装置。
  4. 【請求項4】 請求項3にさらに、 前記入力電源の停電時間が設定時間T4 を経過したかど
    うかを検出する第4停電時間検出手段(DT4)と、 該入力電源(12)の停電時間が設定時間T4 を経過し
    たことを検出すると、前記発電機(20)を起動させる
    発電機起動手段(GC)と、 を有し、該設定時間T4 を前記設定時間T3 より短い時
    間とし、該設定時間T 3 を前記無停電電源装置(13)
    のバックアップ時間より少し短い時間としていることを
    特徴とする分子線源セル用電源装置。
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