JP2657032B2 - 鉛蓄電池電極の製造方法及び鉛蓄電池 - Google Patents

鉛蓄電池電極の製造方法及び鉛蓄電池

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JP2657032B2 JP4308069A JP30806992A JP2657032B2 JP 2657032 B2 JP2657032 B2 JP 2657032B2 JP 4308069 A JP4308069 A JP 4308069A JP 30806992 A JP30806992 A JP 30806992A JP 2657032 B2 JP2657032 B2 JP 2657032B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気化学産業に関し、
詳細には鉛蓄電池電極の製造方法及びこの電極が用いら
れる鉛蓄電池に関する。
【0002】本発明は、例えば、受信機、テープレコー
ダー、ミキサー、コーヒーグラインダー、手工具、玩具
を含む家庭電化製品及び無線工学における電源として用
いられる鉛蓄電池の製造において有利である。
【0003】さらに、本発明は、蓄電自動車、電池駆動
車両のような車両に用いられる鉛蓄電池、及び蓄電池の
有効寿命の間蒸留水の補給を必要としない電池を含む発
電所、船における非常電源として用いられる蓄電池にお
いて最も有利に用いられる。
【0004】
【従来の技術】鉛蓄電池は現在用いられている二次化学
電源のうちで最も広まっており、その需要はますます増
加しており、ぞの電池はあるパラメーターにおいて他の
タイプの新規電池より低いと評価されている。
【0005】この状況は、鉛電池の比出力特性を高める
こと、鉛使用率及び製造コストを低下させること、製造
法の生態形態を改良することの要求の根拠となってい
る。
【0006】鉛蓄電池の電力特性を高める試みにより電
極の新規製造方法が開発された(George Wood Vinal, S
c. O., "Strage Batteries", 1955, New York, John Wi
leyand Sons, Inc., London, Chapman & Hall, Ltd.,
4版、27〜46頁参照)。
【0007】当該分野において公知の方法は、鉛もしく
はその合金製の極板の形状の導電性基体に鉛粉末、硫酸
及び水より製造されたペーストをコートすることを含
み、前記コーティングはあらゆる公知の方法によって達
成される。前記ペーストによりコートされた極板は、そ
の後電解槽に入れられ電気化学処理が行われるプレート
を形成し、前記処理の結果として、前記ペーストは陽極
においてPbO2及び陰極において海綿状鉛を含む活性物質
に転化される。
【0008】前記製造方法は、鉛粉末を用いるため、環
境の生態状態を損ないそして製造コストを高める原因と
なる。
【0009】製造現場において生態状態を改良する鉛蓄
電池の製造方法が公知である(George Wood Vinal, Sc.
O., "Strage Batteries", 1955, New York, John Wile
y and Sons, Inc., London, Chapman & Hall, Ltd., 4
版、46〜51頁参照)。
【0010】前記方法は、鉛プレートである導電性基体
上に活性物質、特にPbO2の層を形成することを含む。こ
の活性物質は、導電性基体を電気化学処理することによ
り導電性基体の表面層から形成され、導電性基体、電解
液及び基体と反対の極性を有する補助電極に電流を流し
た際にこのプロセスが起こり、化学エネルギーに転化さ
れる電気エネルギーの結果としての化学変化によりこの
プロセスが達成されると理解される。
【0011】公知の方法により製造された電極は低い電
力能を与え、これは活性物質に生じた内部応力による内
部高抵抗が原因である。
【0012】この現象の理由は、活性物質の比体積が鉛
のそれよりもほぼ3.5 倍大きく、すべての方向に広がる
傾向にあるため活性物質の形成がその膨潤により達成さ
れることにある。ここにおいて、活性物質と導電性層の
間の境界において新たに形成された隣接部位は相互圧力
を働かせ、内部応力を生じさせ、導電性基体から活性物
質を分離させてしまう。
【0013】これにより活性物質の亀裂、剥離、及び膨
潤が見られ、活性物質の内部抵抗の増加及びその利用フ
ァクターの低下が生ずる。結果として、電極の比操作性
は低下する。
【0014】この欠点は、活性物質層の厚さが 0.3mmを
越え、特に導電性基体の窪んだ部分で起こった場合に特
に明らかである。
【0015】さらに、そのような電極の製造は、電池の
長い有効寿命を確保するため及び製造の間の電極の狂い
を防ぐため必要とされる大きな導電性基体のため多量の
鉛を含む。鉛蓄電池において上記方法により製造されて
電極を用いる際に、そのような電極は多量の導電性基体
及び上記のような活性物質の欠点のため比出力特性が弱
い。そのような電極を用いる蓄電池は、蓄電自動車、電
池駆動車両における牽引電池として及び相互充電−放電
条件において操作する電池として適さない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、活性
物質層の構造へのその形成の間に活性物質中に生ずる内
部応力の影響を避けることのできる鉛蓄電池電極の製造
方法を開発すること、及び優れた比出力特性を有する電
極を得ることにである。
【0017】本発明の他の目的は、相互充電−放電条件
において高い電力能を有する鉛蓄電池を開発することで
ある。本発明の他の目的は、電極の製造における生態状
態の改良にある。本発明のさらに他の目的は、鉛の消費
の低下、従って製造コストの低下にある。
【0018】本発明は、その形成の間に活性物質に生ず
る内部応力の影響を避ける鉛蓄電池の製造方法を考案す
ること、優れた比出力特性を有する電極を製造するこ
と、製造の生態状態を改良すること及び製造コストを低
下させることの課題をベースとしている。
【0019】本発明はまた、相互充電−放電条件におい
て高い操作特性を有する鉛蓄電池の製造方法を考案する
ことの課題をベースとしている。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的は、電解液に浸
漬されそして電源の陽端子に接続された導電性鉛基体に
電流を流し、電気化学反応の結果として本質的にPbO2
らなる活性物質形成し、その後導電性基体の表面
ら活性物質の層を形成し、導電性鉛基体と活性物質の層
の全体の厚さがこの活性物質の層を形成する前の当初の
導電性鉛基体の厚さよりも厚いことを含む、鉛蓄電池電
極の製造方法により達成される。
【0021】本発明により、導電性基体が耐蝕性多孔
質材料の層の間に配置され、導電性基体上での活性物
質形成の間、前記耐蝕性多孔質材料の層が形成した活性
物質の層に対し0.005 〜6.5Mpaの圧力を与え、活性物質
層の厚さが0.3 〜5mmになるまで電気化学処理が行われ
る。
【0022】鉛の導電性基体を耐蝕性多孔質材料の層の
間の隙間に入れ、この隙間に耐蝕性多孔質材料の層との
接触を得るまで活性物質の層を形成し、導電性基体上で
の活性物質形成において0.005 〜6.5Mpaの形成した層の
表面に対する圧力を及ぼすことが適している。
【0023】得られる電極を電源の陽端子から外し、そ
して陰端子に接続し、その後、この電極に電流を流し、
活性物質を海綿状鉛に還元することが有効である。
【0024】電極電位が比較カドミウム電極に対し+0.
2 〜−0.4 Vに達するまで電流を流すことが適してい
る。また、0.1 〜 800μm の気孔寸法を有する耐蝕性多
孔質材料を用いることが適している。
【0025】圧縮された際に弾性変形し、圧縮された際
のこの層の相対変形率が 4.0〜95.0%である耐蝕性多孔
質材料の層の少なくとも1つを製造することが有利であ
る。
【0026】導電性基体を囲む注型品を形成するように
耐蝕性多孔質材料の層を組み合わせることが適してい
る。
【0027】延伸した際に弾性変形し、延伸の際の相対
変形率が5%を越える弾性注型品を用いることが有効で
ある。
【0028】作業及び予備セクションを有する注型品を
形成し、導電性基体を作業セクションに配置し、層の厚
さの増加に伴う活性物質の形成の際に注型品の作業セク
ションが増加し、予備セクションが減少し、そして作業
セクションの延伸の際の相対変形率が5%を越えるよう
に作業及び予備セクションを接続することが有利であ
る。
【0029】弾性耐蝕性材料製の緩衝材を用い、それを
注型品の予備セクションに配置することが適している。
中空導電性基体を用いることも有利である。
【0030】導電性基体の中空空間に弾性耐蝕性材料製
の緩衝材を配置することが有利である。
【0031】耐蝕性多孔質材料層表面の一部を、導電性
基体の表面に形成される異なる厚さの活性物質層の形成
のため電解液に対し不浸透性にすることが適している。
【0032】この課題は、電極のブロックが配列された
フレームを含み、前記ブロックが少なくとも1つの陽電
極及び少なくとも1つの陰極を有し、その各々にフレー
ムカバーを通過する電流出口を有する鉛蓄電池において
解決される。
【0033】本発明により、電極の少なくとも1つは請
求項1〜13に開示された方法により製造され、そして
弾性変形条件にある耐蝕性多孔質材料の注型品、前記注
型品内に配置された電流出口、及び注型品と電流出口の
間に配置された活性物質を含む。
【0034】上記間隔における圧力0.005 〜6.6Mpaは電
極の比能力をかなり越え、従って蓄電池の比出力は増加
する。
【0035】
【実施例】電極製造方法は以下の工程を含む。電解液2
に浸漬されそして電源の陽端子3に接続され及び電極4
を介し電源の陰端子5に接続されている鉛の導電性基体
1(図1)に電流を流す。電気化学反応の結果として、
導電性基体1の表面で、本質的にPbO2からなる活性物質
6が形成される(図2)。 Pb + 2H2 O − 4e → PbO2 + 4H+
【0036】導電性基体1、電解液2及び電極4は容器
7内に配置される。活性物質6の層は導電性基体1の外
層より形成される。活性物質6の厚さは導電性基体1の
外層の厚さを越える。鉛の導電性基体1は耐蝕性多孔質
材料の層8の間に配置される。
【0037】活性材料6形成の間、層8は活性材料6の
形成した層の表面に対し0.005 〜6.5Mpaの圧力を形成す
る。活性材料6の厚さが 0.3〜5mmに達するまで電気化
学処理が行われる。結果として、電極9が得られる。
【0038】容器7は通常エボナイト製であり、以下の
組成の電解液が満たされている。1.05〜1.15の密度の硫
酸溶液。時には、電解液は中性硫酸塩及びアルカリを含
む。さらに、次亜硫酸ナトリウムNa2S2O3 、硫酸ナトリ
ウムNa2SO4及び硝酸ナトリウムNa2NO3を含む溶液を形成
する次亜硫酸塩法が当該分野において公知である。
【0039】鉛蓄電池電極を製造するための他の方法
は、導電性鉛基体1を耐蝕性多孔質材料の層8の間の隙
間10に配置することを特徴とする(図3)。隙間10にお
いて、耐蝕性多孔質材料の層8と接触するまで活性物質
6の層が形成する。この方法は活性物質6の形成された
層の表面に圧力が及ばないで行われる。層が接触した
後、上記の方法、すなわち0.005 〜6.5Mpaの圧力を形成
した層の表面に発生させることによりこのプロセスを続
ける。
【0040】導電性基体1を耐蝕性多孔質材料の層8と
圧縮の際に弾性変形する層11の少なくとも1つの間に配
置する(図4)。相対変形率は4〜95%である。
【0041】この層は、発泡ポリプロピレン、多孔質ゴ
ム及び開放気孔を有する他の弾性材料より製造されてい
る。導電性基体1及び層8はフレームケース12内に配置
されている(図5)。活性物質の形成の際、電極9の体
積は増加し、層11は収縮し、活性物質6の形成された層
の表面に圧力を及ぼす。
【0042】導電性基体1を層8の間に配置し、これを
容器7内の電極4の間に配置した際に他の方法も可能で
ある(図6)。この方法は、導電性基体1上に活性物質
6の形成後、電極9を容器7から取り出さない場合の蓄
電池電極の形成を意図するものである(図7)。この場
合、電極4、9を有する容器7は蓄電池13を表す。
【0043】導電性基体1を、容器7内において、圧縮
の際弾性を有しない層8の間に配置した場合に他の態様
も可能である(図8)。この場合、容器7に他の層14が
配置され、この層は圧縮の際弾性を有する物質、例えば
ゴム、ポリウレタン製である。
【0044】層8により活性物質6に及ぶ圧力を測定す
るため、図9に示す装置15を用いる。この装置は、ブラ
ンチパイプ17、18、19を有するTジョイント16を含む。
ブランチパイプ17において、バルーン20が密封して取り
付けられ、このバルーンは薄いゴム製である。ブランチ
パイプ18にはコンプレッサーが(図示せず)、そしてブ
ランチパイプ19にはゲージメーター21が取り付けられて
いる。まず、得られる電極9の直径を測定し、次いで目
盛り付きケース22を用いた。このケースは電極9の製造
に用いられたものと同じである。このケースにバルーン
20を入れ、コンプレッサーを始動する。直径変化を調
べ、電極9の直径と等しい目盛り付きケース22の直径に
達したらコンプレッサーを止める。ゲージ21の値から、
圧力を測定し、これを電極9の形成の際に生じた圧力と
みなす。
【0045】請求項に記載の方法により、鉛蓄電池の陰
電極を製造することも可能である。この目的のため、反
応の終了の際、すなわち0.3 〜5mmの層の必要な厚さを
達成した後、電極9を電源の陽端子3からはずし、そし
て陰端子5に接続する(図2)。そして電極4を再び接
続する。その後、電極電位が比較電極に対し+0.2〜−
0.4 Vに達するまで電流を流す。ここで比較電極として
カドミウム電極を用いる。活性物質6は以下の反応によ
り海綿状鉛に還元される。 PbO2 + 4H+ + 4e → Pb + 2H2
【0046】0.1 〜 800μm の気孔寸法を有する耐蝕性
多孔質材料を用いた。上記気孔寸法は、0.1 μm 未満の
気孔サイズが電解液の通常の拡散を防ぐが、800 μm 以
上の気孔サイズでは発生した圧力において形成された活
性物質がこの気孔を通過するという仮説に適合する。
【0047】この方法の最も好ましい実施態様は、耐蝕
性多孔質材料の層が耐蝕性多孔質材料を配置した密閉注
型品内で組み合わされた際のものである。異なるタイプ
の注型品が用いられる。
【0048】他のものの一つは、圧縮の際に弾性変形す
る耐蝕性多孔質材料より製造された注型品23を表す(図
10a)。注型品23の圧縮の際の比変形率は4〜95%であ
る。この注型品様の材料は、発泡ポリプロピレン、発泡
ポリウレタン、多孔質ゴム、すなわち開放気孔を有し、
耐蝕性糸に引張強度を与えるため外面上に強化されてよ
い材料を含む。
【0049】図10b は収縮状態における注型品23の形状
を示し、ここで外径は変化していない。強化糸24は注型
品23の外面の近くを通っており、破線で示されている。
【0050】延伸の際に弾性変形する他の注型品25を用
いることも可能であり(図11a)、この場合の比変形率は
5%を越える。
【0051】この注型品の弾性延伸は、弾性を有する不
織布、例えば発泡ポリウレタン、発泡ポリプロピレン、
又は多孔質ゴムを用いること、ラテックス糸、スパンデ
ックスポリウレタンのような弾性を有する糸の使用によ
る布注型品を製造すること(ここで注型品の織タイプは
弾性ではなく、例えばリネン織、綾織又は朱子織であ
る)、ループ織、弾性及びその誘導体、朱子ステッチの
ような弾性を有するあるタイプの織りを得ること(この
糸は弾性を有しない)、1つの注型品内で弾性を有する
糸を弾性を有しない糸と混合し種々の組合せを得るこ
と、により達成される。
【0052】図11b は、活性物質6形成の間発泡され、
すなわちその外径が増加した注型品25を示す。
【0053】注型品26を2つの部分、すなわち作業セク
ション27及び予備セクション28により製造される他の方
法がある(図12)。ここで導電性基体1は作業セクショ
ン27に配置されている(図12a)。
【0054】注型品26の作業セクション27及び予備セク
ション28は活性物質層6の形成の際に注型品の作業セク
ション27が増加し、予備セクション28が減少するように
接続されている(図12c)。作業セクションが延伸する際
の相対変形率は5%を越える。
【0055】開示された形態において、注型品は、例え
ばLabsan又はポリプロピレンの二重層布により製造され
ている。予備セクション28は密閉されていてもよく(図
12a)、開放されていてもよい(図12b)。
【0056】注型品26の布において、よこ糸は縦、すな
わち層のライン30に垂直に動くことができる(図13)。
活性物質6形成及び電極6体積増加の間、注型品の作業
セクション27は体積が増し、一方予備セクション28は減
少する。このよこ糸29が層のライン30に対し移動しそし
て注型品26の作業セクション27の壁の周囲が増加する際
に、同時に注型品の予備セクション28の壁の周囲が減少
し、これにより予備セクション内のよこ糸密度が増加す
る。布の一部における抵抗により糸の移動が起こる。
【0057】活性物質の厚さの増加と共に、注型品26か
らの活性物質の形成した層への圧力が増加する。
【0058】注型品31を単層布で製造し、作業セクショ
ン27及び予備セクション28の形成を補助部品、例えば注
型品を挟み、作業セクション27及び予備セクションに分
けるクランプ32により行うことも可能である(図14)。
【0059】図14a は活性物質形成開始前の注型品を示
し、図14b は活性物質形成の間の注型品を示している。
【0060】この方法の実施態様の1つにより、緩衝材
33が用いられる(図15a)。これは注型品の予備セクショ
ン33に配置される。活性物質の形成の際に、作業セクシ
ョン27の体積が増加し、予備セクションの体積は減少す
る。緩衝材33は予備セクション28の体積の減少を防ぎ、
活性物質6の形成した層の表面に対する圧力を発生させ
る。緩衝材33は原則として、ゴム、多孔質ゴム、ポリウ
レタン又は発泡ポリウレタン製であり、すなわち圧縮の
際の相対変形率が4〜95%を有する材料製である。
【0061】中空導電性基体1を用いることも可能であ
る(図16a)。中空導電性基体1の表面上に活性物質の形
成の際、活性物質は注型品25の壁と相互に作用し、この
力が活性物質6及び導電性基体1に通過すると考えられ
る(図16a)。この力の影響により活性物質6の体積の増
加の際に導電性基体1は収縮し、同時に導電性基体内部
の空間の体積は減少する。
【0062】導電性基体1の中空空間に緩衝材33と同じ
緩衝材34を配置することが適している(図17a,b)。
【0063】ときには、耐蝕性多孔質材料層の一部を異
なる厚さの活性物質層の形成のために電解液に対し不透
過性にする。
【0064】図18a は注型品25を含む導電性基体1を示
し、連続黒線で示す部分は電解液に対し不透過性であ
る。図18b は活性物質6の形成後の導電性基体1を示
す。
【0065】注型品25の不透過性部分に面した側の導電
性基体1において、活性物質6は形成されない。そのよ
うな活性物質6の分布は蓄電池の壁35付近に配置された
電極9の製造において適している。
【0066】本発明に係る鉛蓄電池は、開示された形態
において、1つの陽電極36及び1つの陰電極37を含み、
その各々にはそれぞれ電流出口38及び39が備えられてい
る(図19)。
【0067】電極36及び37はフレーム40の内部に配置さ
れている。電流出口38及び39はフレーム40のリッド41を
通過している。気体放出用の通気バルブ42がリッド41に
取り付けられている。
【0068】図20は鉛蓄電池の断面を示している。開示
された形態において、電極36及び37の注型品は電解液に
対する不透過性部分を含んでいない。
【0069】耐蝕性多孔質材料の層及び注型品のタイプ
の選択の際及びその必要な相対変形率の決定の際に、電
極及びその操作条件に対する要求により決定すべきであ
る。
【0070】活性物質の必要な厚さを考慮し、それは0.
3 〜5.0mm であり、電極を用いる蓄電池のタイプにより
決定される。例えば、固定蓄電池の場合、活性物質層の
厚さはスターター蓄電池のそれより厚い。
【0071】活性物質形成終了後の注型品の必要な相対
膨張を考慮すべきである。また、活性物質形成終了後の
耐蝕性多孔質分離膜の層の相対圧縮率も考慮すべきであ
る。
【0072】注型品の予備延伸の存在、すなわち注型品
の作業セクションの最初のサイズが導電性基体のサイズ
よりも小さい場合も考慮すべきであり、これは活性物質
への注型品により形成される最適の圧力の選択に用いら
れる。
【0073】伸長の際のその相対変形率が5%を越え、
そして収縮の際の相対変形率が4〜95%であるように層
の形成の際に考慮すべきである。
【0074】延伸の際の5%未満の値は、活性物質の形
成の際の注型品の必要な伸長及びその表面の圧力形成を
与えない。
【0075】延伸の際並びに材料内の気孔サイズを0.1
〜800 μm に及び層により形成した力を0.005 〜6Mpa
に保つ際の5%以上の値は、広範囲の電極寸法において
活性物質の表面に圧力を形成する。
【0076】層の構成の際の4%未満の値は、活性物質
の形成の際に必要な層の収縮及びその表面の圧力の形成
を与えない。
【0077】層の形成の際の95%以上の値は、層の過剰
充填となり、層を通過する電解液の通常の拡散を防ぎ、
層の電気抵抗を高める。
【0078】以下に鉛蓄電池の陽及び陰電極の製造のた
めの方法を示す。ロッドの形状(直径5.0mm 、長さ60m
m)の導電性基体1(図12a)をLansan二重層布より製造
した注型品26の作業セクション27内に配置する。作業セ
クション27の2つのサイドに予備セクション28を配置す
る。導電性基体1(図1)及び電極4を電解液2を含む
容器7内に配置する。電解液は密度1.07g/cm3 の硫酸及
び過塩素酸ナトリウム10g/L の溶液である。導電性基体
1を電源の陽端子3に接続し、電極4を陰端子5に接続
する。次いで導電性基体1、電解液2及び電極4に電流
を流す。導電性基体1の表面の陽極酸化の結果として、
以下の化学反応により活性物質6(図12c)の層が形成す
る。 Pb + 2H2 O − 4H- → PbO2 + 4H+
【0079】このプロセスを1.5A/dm2の電流密度におい
て24時間続ける。活性物質6の形成は、活性物質6の比
体積が鉛のそれよりもほぼ3.5 倍であり、すべての方向
に膨張する傾向があるため、その体積の増加により達成
される。
【0080】導電性基体−活性物質6の境界において、
新たに形成された活性物質6の隣接部位は相互の圧力を
発生し、導電性基体1から活性物質6を剥がそうとする
内部応力が生ずる。
【0081】導電性基体1の外層から活性物質6への転
換の際に、後者は体積が増しながら注型26の作業セクシ
ョン27の壁を圧縮する。この際、注型26により加えられ
た圧力は活性物質に影響を及ぼす。よこ糸29は存在する
予備セクションのため層のよこのライン30に対し移動す
る。これは広範囲の電極寸法において活性物質6の表面
に圧力を発生させる。
【0082】活性物質6の形成開始前の場合、導電性基
体1(図3)と耐蝕性多孔質材料8の層の間に隙間10が
存在し、活性物質への圧力が存在しないで隙間10を満た
す活性物質6の形成が起こる(図5)。
【0083】陰電極を製造するため、得られた陽電極9
を電源の陽端子3からはずし、そして陰端子5に接続す
る。極を交換する同じ操作を電極4にも行う。その後、
反対の方向に電流を流し、カドミウム比較電極に対し電
位が+0.2 〜−0.4 Vに達するまでプロセスを続け、活
性物質を海綿状鉛に還元する。こうして陰電極が陽電極
より得られる。
【0084】
【発明の効果】電極の特性に対する圧力の影響のデータ
を以下に示す。相互充電−放電サイクルの条件において
鉛蓄電池の模型でテストし、 2.5mmの活性物質層の厚さ
を有する得られた陽電極は、以下の表に示す活性物質へ
の圧力に対する電極の比出力能の関係が明らかとなっ
た。
【0085】
【表1】
【0086】上記表のデータより、0.005 〜6.5Mpaの活
性物質の表面への圧力範囲において電極の高い比出力
能、従ってそのような電極を有する蓄電池の高い電力特
性が予想されることがわかる。
【0087】上記の方法を用いて製造された電極は5mm
までの活性物質の厚さを有する。実験は、0.005Mpa未満
の活性物質の表面への圧力により内部応力が現れること
の補償は必要なく、一方6.5Mpaを越える圧力により活性
物質の過剰な包装が起こり、その多孔性及びその結果と
して電極の操作面積の大きさが低下することを示した。
【0088】上記のため、本発明により製造された電極
を有する蓄電池は小さなサイズの、牽引、固定、スター
ター電池として用い得る。これは優れた比出力特性を有
し、鉛使用が少なく、コストが低い。この電極の製造方
法は比較的生態に安全である。
【0089】本発明により製造された電極の他の利点
は、電池の有効寿命の間定期的に電解液に蒸留水を補給
する必要のない蓄電池に広く用いられることにある。
【0090】本発明により製造された電極を用いる、高
さ60.5mm、直径34.0mmのタイプD(R20) の小さなサイズ
の円筒形密封鉛蓄電池は、20時間の放電において以下の
特性を有する。 比出力能 34.6W-時間/kg 比鉛金属消費 15.8g/W-時間 有効寿命 少なくとも 200サイクル
【0091】上記本発明の実施態様は単なる例であり、
発明の範囲を限定するものではない。種々の変形が可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】活性物質形成開始前の鉛蓄電池電極の製造方法
を実行するための装置の略断面図である。
【図2】本発明による、活性物質形成の間の鉛蓄電池電
極の製造方法を実行するための装置の略断面図である。
【図3】本発明により、導電性基体を耐蝕性多孔質材料
の層の間の隙間に配置した場合の、鉛蓄電池電極の製造
方法を実行するための装置の略断面図である。
【図4】本発明により、活性物質形成前の耐蝕性多孔質
材料の層の間に配置された導電性基体の図である。
【図5】本発明による、活性物質形成の間の図4と同じ
図である。
【図6】本発明による、技術電極の間の容器内に配置さ
れた図4と同じ図である。
【図7】本発明による、活性物質形成の間の図6と同じ
図である。
【図8】本発明による、弾性を有する材料の追加層を含
む、図6と同じ図である。
【図9】本発明による、鉛蓄電池電極の製造方法の実行
の際に生ずる圧力を測定する装置の部分切取り図であ
る。
【図10】aは本発明による、活性物質形成の間接触す
る密封注型の略断面図であり、bは注型品が収縮状態に
あるaと同じ図である。
【図11】aは本発明による、活性物質形成の間延伸す
る密封注型品の略断面図であり、bは延伸した状態にあ
る注型品のaと同じ図である。
【図12】aは本発明による、作業及び予備セクション
からなる密封注型品の断面図であり、bは密封作業セク
ション及び開放予備セクションを含むaと同じ図であ
り、cは活性物質の形成の際の延伸された作業セクショ
ンを有するaと同じ図である。
【図13】本発明による、注型品が製造される布片の図
である。
【図14】aは本発明による、作業及び予備セクション
がクランプにより形成された単層布の注型品の断面図で
あり、bは活性物質形成の間のaと同じ図である。
【図15】aは本発明による、予備セクションに配置さ
れた緩衝材を有する注型品の断面図であり、bは活性物
質形成の間のaと同じ図である。
【図16】aは本発明による、注型品内に配置された鉛
の導電性基体の断面図であり、bは活性物質形成の間の
aと同じ図である。
【図17】aは本発明による、緩衝材を含む鉛の導電性
基体の断面図であり、bは活性物質形成の間のaと同じ
図である。
【図18】aは本発明による、電解液に対し一部不透過
性にされた注型品内の導電性基体の断面図であり、bは
活性物質形成の間のaと同じ図である。
【図19】本発明による、本発明の方法により製造され
た電極を含む蓄電池の断面図である。
【図20】本発明による、図19のラインXX-XX に沿っ
た断面図である。
【符号の説明】
1…鉛の導電性基体 2…電解液 3…電源の陽端子 4…技術電極 5…電源の陰端子 6…陽電極の活性物質 7…容器 8…耐蝕性多孔質材料の層 9…電極 10…隙間 11…圧縮の際に弾性変形を有する層 12…フレーム 13…蓄電池 14…弾性を有する材料の層 15…装置 16…Tパイプ 17…ブランチパイプ 18…ブランチパイプ 19…ブランチパイプ 20…バルーン 21…圧力ゲージ 22…注型品 23…注型品 24…強化糸 25…注型品 26…注型品 27…注型品の作業セクション 28…注型品の予備セクション 29…よこ糸 30…層移動ライン 31…注型品 32…クランプ 33…緩衝材 34…緩衝材 35…蓄電池壁 36…陽電極 37…陰電極 38…電流出口 39…電流出口 40…フレーム 41…フレームのリッド 42…排気バルブ

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液に浸漬しそして電源の陽端子に接
    続した導電性基体に電流を流しこの導電性基体の
    表面における電気化学反応の結果として活性物質を形成
    し、前記活性物質が本質的にPbO2からなることを特徴と
    する鉛蓄電池電極の製造方法であって、 導電性基体の表面から活性物質の層を形成し、導電性
    鉛基体と活性物質の層の全体の厚さがこの活性物質の層
    を形成する前の当初の導電性鉛基体の厚さよりも厚く、 導電性基体が耐蝕性多孔質材料の層の間に配置され、
    導電性基体上での活性物質形成の間、前記耐蝕性多孔
    質材料の層が形成した活性物質の層の表面に対し0.005
    〜6.5Mpaの圧力を与え、そして 活性物質層の厚さが0.3 〜5mmになるまで電気化学処理
    を行うことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 導電性基体が耐蝕性多孔質材料の層の
    間の隙間に配列され、この空間内に活性物質の層が耐蝕
    性多孔質材料の層と接するようになるまで形成れ、導
    電性基体上の活性物質形成の間及び接触するようにな
    った際に、形成した活性物質の層の表面へ0.005 〜6.5M
    paの圧力が加えられることを特徴とする、請求項1記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 得られる電極が電源の陽端子から外して
    陰端子に接続し、 その後、この電極に電流を流して活性物質を海綿状鉛に
    還元することを特徴とする、請求項1又は2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 電力能がカドミウム電極に比べ+0.2 〜
    −0.4 に達するまで電流が流されることを特徴とする、
    請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 0.1 〜 800μm の気孔サイズを有する耐
    蝕性多孔質材料を用いることを特徴とする、請求項1〜
    3のいずれか記載の方法。
  6. 【請求項6】 層の少なくとも1つが、圧縮された際に
    弾性変形する耐蝕性多孔質材料より製造され、この層の
    圧縮された際の相対変形率が 4.0〜95.0%であることを
    特徴とする、請求項1〜5のいずれか記載の方法。
  7. 【請求項7】 耐蝕性多孔質材料の層が密閉注型品を形
    成し、そこに導電性基体が配置されるように耐蝕性多
    孔質材料の層が組み合わされることを特徴とする、請求
    項1〜6のいずれか記載の方法。
  8. 【請求項8】 延伸した際に弾性変形し、注型品の延伸
    の際の相対変形率が5%を越える弾性注型品を用いるこ
    とを特徴とする、請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 注型品が作業及び予備セクションを形成
    し、導電性基体が注型品の作業セクションに配置さ
    れ、層の厚さの増加に伴う活性物質の形成の際に注型品
    の作業セクションが増加し、予備セクションが減少し、
    そして作業セクションの延伸の際の相対変形率が5%を
    越えるように作業及び予備セクションが接続されている
    ことを特徴とする、請求項7記載の方法。
  10. 【請求項10】 弾性耐蝕性材料の緩衝材が用いられ、
    前記緩衝材が注型品の予備セクションに配置されること
    を特徴とする、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 中空導電性基体が用いられることを特
    徴とする、請求項1〜10のいずれか記載の方法。
  12. 【請求項12】 導電性基体の中空空間に緩衝材が配
    置され、前記緩衝材が弾性耐蝕性材料より製造されてい
    ることを特徴とする、請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 耐蝕性多孔質材料層表面の一部が、導
    電性基体の表面に形成される異なる厚さの活性物質層
    の形成のため電解液に対し不浸透性にされていることを
    特徴とする、請求項6又は7記載の方法。
  14. 【請求項14】 電極のブロックが配列されたフレーム
    を含み、前記ブロックが少なくとも1つの陽電極及び少
    なくとも1つの陰極を有し、その各々にフレームリッド
    を通過する電流出口が備えられ、前記電極の少なくとも
    1つが請求項1〜13のいずれか記載の方法により製造
    され、そして弾性変形状態にある耐蝕性多孔質材料の注
    型品、前記注型品内に配置されそして電流出口と電気的
    に接続されている導電性基体、並びに注型品と導電性
    基体の間に配置されている活性物質を含む鉛蓄電池。
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