JP2656914B2 - 光学分割剤 - Google Patents

光学分割剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、光学分割剤の改良に係り、特に
セルロース等の光学分割能を有する多糖類のビニル誘導
体を、多孔性担体(粒子)上で重合することによって得
られる、高速液体クロマトグラフィー用充填剤として好
適な光学分割剤に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、多糖類、例えばデンプン、デキ
ストラン、セルロースや、セルロース誘導体等が特異的
な光学分割能を有しており、光学分割剤として有用であ
ることは、特開昭60−40952号公報や特開昭60
−82858号公報、日本化学会編「光学異性体の分
離」〔季刊 化学総説 No.6〕第167〜175頁
(1989)等より、よく知られているところであり、
なかでも、セルロースそのものよりも、セルロースの水
酸基をエステル化等した誘導体、例えばセルローストリ
アセテート等の化学修飾型セルロースの方が、一般的に
光学分割性能が高いことが認められている。
【0003】ところで、液体クロマトグラフィーによる
光学異性体の直接分割に際して、上記のような光学分割
能を有する物質を、そのまま、液体クロマトグラフィー
の充填剤として使用した場合においては、耐圧性面や使
用溶媒による膨潤・収縮の面から、使用条件幅が狭く、
そのため、そのような問題の発生しない担体に上記物質
を担持させて用いる方法が、一般的には考えられる。
【0004】かかる状況下において、上記物質を一番簡
単な方法で担体に担持せしめる方法としては、物理的方
法である含浸吸着法、即ち上記物質を溶かした溶液に担
体を浸した後、その担体を取り出し、乾燥する方法が考
えられるが、この方法の弱点は、上記物質を溶かす溶媒
種等は使い難いところから、クロマトグラフ測定操作時
において、使用出来る溶媒の幅が狭いことであり、この
弱点は、一般的に化学修飾型の多糖類において大きくな
る。即ち、修飾型の多糖類は有機溶媒に溶解し易いため
に、それを溶解しないような展開液を用いる必要があ
り、分離条件の選択に著しい制限があるからであり、ま
た試料を溶解する溶媒の選択にも制限があって、多糖類
誘導体に対して良溶媒を数μl程度注入するだけで、理
論段数が著しく低下するという問題を内在しているので
ある。
【0005】また、このような物理的方法における弱点
をなくする方法としては、担体と多糖類誘導体とを化学
結合させる方法が考えられるが、多糖類誘導体を、その
優れた光学分割能を保持しつつ、如何に担体に化学的に
結合せしめるかについて、現在までのところ、何等の具
体的な手法も提案されてはいないのである。例えば、先
に挙げた特開昭60−82858号公報には、多糖類誘
導体を担体に保持させる方法としては、物理的方法の他
に、化学的方法も採用され得るとされているが、そこで
は、そのような化学的方法について、何等具体的には明
らかにされていない。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その課題とするところ
は、液体クロマトグラフィーにおける展開液や試料を溶
解する溶媒に対する制限が少ない光学分割剤、特に、化
学修飾型多糖類(多糖類誘導体)を用いた光学分割担体
を提供することにある。
【0007】
【解決手段】すなわち、本発明者らが鋭意研究した結
果、光学分割剤として用いられる多糖類、特に化学修飾
型多糖類の不溶化を目的として、かかる多糖類の水酸基
を、ビニル基を有する所定の修飾剤を用いて化学修飾せ
しめ、エステル結合若しくはウレタン結合を介してビニ
ル基が導入された多糖類誘導体を、多孔性担体の表面上
で重合することにより、従来の化学修飾型多糖類に対し
て高い溶解性を示す、酢酸エチル、テトラヒドロフラ
ン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン等のような
溶媒に対しても、完全に不溶性の高分子光学活性担体を
得ることが出来ることを見出し、本発明を完成するに至
ったのである。
【0008】従って、本発明に係る光学分割剤の特徴と
するところは、光学分割能を有する多糖類を用い、その
水酸基部位にエステル結合若しくはウレタン結合を介し
てビニル基を導入せしめてなる多糖類誘導体が、多孔性
担体の表面において重合せしめられて、かかる多糖類誘
導体の重合生成物からなる層が、該多孔性担体の表面に
形成されてなるものであり、また、特に有利には、その
ような多糖類誘導体が、ビニル基を導入した多孔性担体
に対して共重合せしめられて、該多孔性担体の表面に、
かかる共重合によって生じた重合生成物の層が形成され
てなるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】ところで、かかる本発明におい
て、ビニル基が導入される多糖類としては、光学分割能
を有する公知の何れもが対象とされ、セルロースが代表
的なものであるが、その他に、デキストラン、アミロー
ス、カードラン、プルラン等のような多糖類も適宜に用
いられ得る。また、多糖類としてのセルロースを化学修
飾してなる化学修飾型セルロースは、分子量が高くなる
と、その溶液の粘度が増加し、多孔性担体表面へ均一に
付着・吸着せしめることが困難となるところから、均一
なセルロース誘導体を均一に多孔性担体表面へ塗布せし
める上において、本発明においては、分子量の低いセル
ロース、例えば数平均重合度が100程度以下のものを
用いることが望ましい。
【0010】そして、このような多糖類を化学修飾して
ビニル基を導入するには、その優れた光学分割能を損な
わないように、その水酸基に対して、エステル結合若し
くはウレタン結合を介してビニル基(具体的には、ビニ
ル基含有有機基)を導入せしめる必要があるのである。
【0011】なお、このような多糖類の化学修飾を行な
うには、多糖類の水酸基と反応してエステル結合若しく
はウレタン結合を生じる、公知のビニル化合物が適宜に
選択され、例えば塩化アクリロイル、塩化メタクリロイ
ル、塩化ビニルベンゾイル等の不飽和酸ハロゲン化物類
やビニルフェニルイソシアナート等の不飽和イソシアナ
ート類を挙げることが出来、またこのような分子中に一
つのビニル基を有する化合物ばかりでなく、複数のビニ
ル基を有する化合物をも必要に応じて用いることが出
来、更にビニル基がベンゼン環に結合した構造のビニル
化合物を用いる場合にあっても、そのビニル基の結合位
置について、重合可能であれば、オルト、メタ、パラ
の、どの位置にビニル基が結合されていても、重大な不
都合は発現されない。
【0012】また、ビニル基を有する化合物で多糖類を
化学修飾する場合の多糖類構成単位への導入数について
は、ビニル基を有する化合物で多糖類の構成単位に存在
する全ての水酸基、例えばセルロースの場合において
は、三つの水酸基を完全に化学修飾する必要はなく、そ
の化学修飾の後、塩化メチレン等の良溶媒に溶解し得る
程度に化学修飾することで、目的とする担体表面での重
合は達成可能である。
【0013】一方、本発明において、かかるビニル基導
入多糖類が適用される多孔性担体としては、シリカ、ア
ルミナ、マグネシア、酸化チタン、ガラス、珪酸塩、カ
オリン等の多孔質無機担体や、ポリスチレン、ポリアミ
ド、ポリアクリレート等の多孔質有機担体の如き公知の
ものがあるが、一般に、シリカ(シリカゲル)やガラス
(多孔性ガラス)の如き多孔性粒子が、好ましく用いら
れる。
【0014】本発明では、このような多孔性担体がその
ままで用いられる他、ビニル基導入多糖類をより一層効
果的に担持すべく、かかる多孔性担体にもビニル基が導
入せしめられて、ビニル基導入多糖類とビニル基導入多
孔性担体との間での共重合が図られ、より一層有効な有
機溶媒不溶化光学分割剤が提供される。
【0015】なお、多孔性担体にビニル基を導入するに
際しては、公知の各種の手法が採用され、前記した多糖
類にビニル基を結合する方法と同様に、共重合する機能
に影響を与えない程度において、複数のビニル基や各種
結合位置にビニル基を有するビニル化合物を用いて、そ
のようなビニル化合物を、所定の多孔性担体に対して、
好ましくはシリカゲルや多孔性ガラス等の化学修飾可能
な担体に対して、反応せしめて、化学的に結合させるこ
とにより、目的とするビニル基が導入せしめられること
となる。
【0016】ここで、多孔性担体へのビニル基の更に具
体的な導入方式について、シリカゲルを例にとって列挙
すると、以下の如くなる。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】従って、本発明は、上記のような多孔性担
体を用いるものであるところから、前述の如き、ビニル
基導入多糖類を重合した光学分割剤の合成方法は、多孔
性担体として、ビニル基を結合した担体を用いる方法
と、ビニル基を持たない担体を用いる方法とに大別され
る。これらの合成方法については、ビニル基を導入した
担体と未修飾の担体では、担体表面の極性が異なるため
に、特にビニル基を導入した多糖類を吸着する場合に、
その吸着量及び重合時におけるビニル化多糖類の脱離の
度合が異なる可能性もあるが、吸着方法並びに重合条件
は、同一の手法が適用され得、例えばビニル基導入多糖
類の溶液を担体表面に適用して、付着乃至は吸着せしめ
た後、ラジカル重合、イオン重合、プラズマ重合等の重
合手法を採用して、重合が行なわれるのである。
【0021】また、未修飾の多孔性担体を用いる場合に
は、塩化メチレンのような良溶媒に溶解しない程度まで
重合度を高めれば、そのような良溶媒に溶解しないとい
う目的は達成されるが、反面、重合度が低い場合には、
多糖類誘導体が溶出するという可能性を内在している。
また、ビニル基を導入した担体を使用する場合には、重
合が良溶媒に溶解しない重合度に達しない場合でも、多
糖類誘導体が担体と結合することとなるところから、そ
の溶出を避けることが出来る。
【0022】さらに、1回の重合によって、多糖類誘導
体並びに担体表面に結合されたビニル基の全てが重合さ
れ、消滅することはないと考えられるところから、重合
処理して得られる光学分割剤に、更にビニル基を結合し
た多糖類を吸着せしめて、多糖類誘導体の導入量を増加
させ、そしてそれを重合せしめることによって、更にそ
の重合度を向上する方法も、採用することが可能であ
る。このような重合を複数回実施する手法では、ビニル
基を結合した多糖類の他に、複数のビニル基を有する化
合物、例えばジビニルベンゼン、エチレンジアミンジメ
タクリレート、エチレングリコールジアクリレート等の
架橋剤を用いて架橋反応を促進して、良溶媒に対する溶
解性を減少せしめる手段も、また、採用可能である。
【0023】なお、本発明に従う重合型の光学分割剤を
合成するに際しての重合条件としては、一般的な懸濁重
合に使用されるような条件が適用出来るが、水を媒体と
した場合、多糖類に結合されたエステル基が加水分解さ
れる可能性があり、更に多孔性担体に水素結合で吸着さ
れたビニル基導入多糖類が、水の介入によって、多糖類
−多孔性担体間の水素結合が切断されることで、多孔性
担体表面から脱落することが予測される。多糖類に導入
されたビニル基を含む官能基の脱落は、光学分割能の減
少に繋がり、更に重合工程におけるビニル化多糖類の多
孔性表面上での吸着量の減少は、多孔性表面への多糖類
誘導体の導入効率の低下の原因となると考えられる。以
上のことから、多糖類誘導体の多孔性表面での重合に
は、水を媒体とした方法よりは、エステル結合やウレタ
ン結合を加水分解せずに、且つ多糖類誘導体の吸着量を
減少させないような溶媒の選択が望ましいのである。
【0024】また、そのようなエステル結合やウレタン
結合の分解並びに水素結合を阻害しないような重合媒体
としては、極性の低い有機溶媒の採用が挙げられるが、
多糖類誘導体が比較的多くの有機溶媒に溶解すること、
並びにラジカル重合において必要とされる反応温度を確
保することを考慮すると、沸点は90℃以上であり、更
に常温で液体の溶媒が望ましい。これらのことから、有
機溶媒としては、アルキル系炭化水素が、目的とする光
学分割剤の合成に使用する媒体として最適であると考え
られ、その具体的なアルキル系炭化水素溶媒としては、
炭素数が7以上の、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカ
ン等の直鎖状の炭化水素、イソオクタン等の分枝状炭化
水素、デカリン等の環状炭化水素、ケロシン等の炭化水
素の混合物が、重合に有利に用いられる。
【0025】そして、このようにして、多孔性担体の表
面に付着乃至は吸着せしめたビニル基導入多糖類誘導体
を重合せしめることにより、多孔性担体表面上には、そ
のような多糖類誘導体の重合生成物からなる層が形成さ
れ、特に多孔性担体にもビニル基を導入せしめた場合に
あっては、かかる担体と多糖類誘導体との間においても
共重合が行なわれて、それは、最早、有機溶媒に対して
不溶性となるところから、ここに、有機溶媒に不溶性化
した光学分割剤が、有利に得られることとなるのであ
る。
【0026】事実、このような本発明に従う不溶性多糖
類重合型光学活性担体を、高速液体クロマトグラフィー
用充填剤に適用した結果、従来のシリカゲルを基材に化
学修飾型多糖類を吸着しただけの光学分割剤では多糖類
誘導体が溶解して、全く分割能が発現しなかった移動相
条件下においても、光学分割が達成され得、更に重合前
の多糖類誘導体に対して、良溶媒の代表である塩化メチ
レンを注入、通液しても、性能が低下せず、光学分割能
を維持する高分子型担体となることが、確認されてい
る。
【0027】
【実施例】以下に、本発明を更に具体的に明らかにする
ために、本発明の実施例を挙げるが、本発明が、そのよ
うな実施例の記載によって何等の制約をも受けるもので
ないことは、言うまでもないところである。また、本発
明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記
述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、
当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を
加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0028】実施例 1 アセチルセルロースを加水分解して、低分子量化した
後、そのアセチル基を除去して得られた低分子量化セル
ロース(重合度:約36)を用い、その16.8gをピ
リジン250ml中に分散し、塩化4−ビニルベンゾイ
ル89.0gを加え、80℃に加熱、撹拌しながら、1
0時間反応せしめた。反応後、反応溶液をメタノール1
000ml中に注ぎ、4−ビニルベンゾイル化セルロー
スを析出させ、吸引・濾過しながら、メタノールで洗浄
し、50℃で乾燥した。この乾燥の後、塩化メチレン5
00mlに溶解し、不溶物を濾去した後、塩化メチレン
を留去し、そしてメタノールを加えて、固体を析出させ
た。こうして得られたセルロース誘導体には、FT−I
Rスペクトルの測定から、カルボニル基の吸収が観測さ
れ、セルロースの構成単位であるグルコースの水酸基が
誘導体化されていることが、確認された。
【0029】次いで、この得られた4−メチルベンゾイ
ル化セルロースを用い、その1gを塩化メチレン50m
lに溶解して得られた溶液に、多孔性担体としてのシリ
カゲル4gを加えて、分散せしめた後、30℃で塩化メ
チレンを減圧、留去して、シリカゲル表面にセルロース
誘導体を付着、吸着せしめた。
【0030】その後、この4−ビニル化セルロースを吸
着したシリカゲルの3gをn−ヘプタン50mlに分散
せしめ、更に過酸化ベンゾイルの30mgを加えて、撹
拌しながら、80℃で4時間重合させることにより、シ
リカゲル担体表面上に4−ビニルベンゾイル化セルロー
スの重合生成物からなる層を形成せしめた。なお、かか
る重合反応の後、重合生成物層の形成されたシリカゲル
は、塩化メチレンで洗浄され、減圧乾燥せしめられた。
【0031】かくして得られた4−ビニルベンゾイル化
セルロースの重合生成物の相が形成されたシリカゲル
は、その溶解テストの結果、単にアセチルセルロース、
低分子量化セルロース、或いは4−ビニルベンゾイル化
セルロースが表面に吸着されただけのシリカゲルに比し
て、優れた有機溶媒不溶性を示し、また吸着せしめたセ
ルロース誘導体を重合させても、その光学分割能は充分
に維持され得ることが認められた。
【0032】実施例 2 ビニル基導入多孔性担体として、N−アクリロイルアミ
ノプロピル化シリカゲルを、次のようにして合成した。
【0033】すなわち、先ず、減圧乾燥したシリカゲル
の2gをトルエンの100mlに分散し、シリル化剤と
してのアミノプロピルトリエトキシシラン2gを加えた
後、かかるシリル化剤とシラノールの反応で生成するエ
タノールを、トルエンと共に留去しながら、5時間反応
せしめることにより、先ず、アミノプロピル化シリカゲ
ルを合成した。なお、反応後、メタノール、80%メタ
ノール、メタノール、クロロホルムの順に洗浄し、減圧
乾燥した。
【0034】次いで、かかるアミノプロピルシリル化シ
リカゲルの2gをクロロホルム50mlに分散し、これ
にアクリロイルクロライド2mlを加え、80℃で2時
間反応させて、N−アクリロイルアミノプロピルシリカ
ゲルを得た。反応後、メタノール、クロロホルムの順に
洗浄し、減圧乾燥した。
【0035】そして、このようにして得られたN−アク
リロイルアミノプロピル化シリカゲルを用い、その表面
に、実施例1において合成した4−ビニルベンゾイル化
セルロースを吸着せしめるために、そのようなセルロー
ス誘導体の1gを塩化メチレンの50mlに溶解し、更
にそれに、上記のN−アクリロイルアミノプロピル化シ
リカゲルを加えて分散せしめた後、30℃で塩化メチレ
ンを減圧、留去することにより、シリカゲル表面にセル
ロース誘導体を吸着した。
【0036】さらに、その後、この4−ビニルベンゾイ
ル化セルロースを吸着せしめたN−アクリロイルアミノ
プロピルシリカゲルの3gをn−ヘプタンの50mlに
分散せしめ、これに過酸化ベンゾイルを30mg加え
て、撹拌しながら、80℃で4時間重合することによ
り、シリカゲルに導入したアクリロイル基(ビニル基)
と4−ビニルベンゾイル化セルロースとの間の共重合を
行ない、シリカゲル表面にセルロース誘導体が化学的に
結合された、重合型の光学分割剤を得た。
【0037】かくして得られた重合型の光学分割剤を、
高速液体クロマトグラフィー装置のカラムに充填せしめ
られる充填剤として用いて、その理論段数と保持に対す
る塩化メチレン注入の影響について、単に4−ビニルベ
ンゾイル化セルロースを表面に吸着せしめただけのシリ
カゲルからなる光学分割剤を吸着型充填剤として用いた
場合と対比して調べた。即ち、吸着型及び重合型のセル
ロース誘導体充填剤におけるベンゼンの理論段数並びに
スチルベンオキサイドの保持時間に対する塩化メチレン
の注入の影響について検討し、その結果を、図1及び図
2に示した。
【0038】かかる図1及び図2から明らかなように、
吸着型充填剤では、20μlの塩化メチレンを注入した
時点で、理論段数は約8300段から約3000段へと
低下し、更に200μl注入した時点で、1000段以
下に理論段数が低下した。これは、塩化メチレンの注入
によって、セルロース誘導体が一部溶解して、固定相が
乱れたために、理論段数が低下したと推定することが出
来る。また、保持時間については、20〜50μl程度
の注入では、保持時間には影響は現れず、セルロース誘
導体の溶出は発生していないと考えられる。しかしなが
ら、100μl以上の塩化メチレンを一度に注入する
と、保持は急激に減少し、セルロース誘導体の溶出が観
察された。この結果は、吸着型の充填剤では、試料を溶
解する溶媒に塩化メチレンは使用出来ず、このような減
少は、溶解度パラメータが18〜25付近の溶媒につい
ても、同様に発生すると類推することが出来る。
【0039】これに対して、本発明に従う化学結合型の
重合型充填剤では、保持時間、理論段数、光学分割能に
差は認められず、極めて耐有機溶媒溶解性に優れた充填
剤であることが、明らかとなった。
【0040】また、セルロース誘導体に対して良溶媒で
あるテトラヒドロフランを添加剤とした移動相における
光学分割能の有無を検討した結果、図3及び図4に示さ
れるように、本発明に従う重合型充填剤を用いた場合に
おいては、テトラヒドロフラン(THF)を30%添加
した移動相においても、光学分割能が発現し、更に添加
量を50%に増加しても、光学分割能が維持されること
が確認された。なお、液体クロマトグラフィー条件は、
以下の通りであった。 カラム : 重合型ビニルベンゾイルセルロース カラムサイズ : 4.6mm(内径)−150mm
(長さ) 移動相 : ヘキサン/THF=7/3 (図3) ヘキサン/THF=5/5 (図4) 流 速 : 1.0ml/min 検 出 : UV 254nm 試 料 : ワルファリン
【0041】一方、4−ビニルベンゾイル化セルロース
を単に吸着せしめたのみの吸着型充填剤を用いた場合に
あっては、30%のテトラヒドロフランの添加でも、固
定相の溶出が認められ、保持の減少とベースラインの乱
れによって、クロマトグラフィ分析は、不可能であっ
た。
【0042】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う、多糖類誘導体を多孔性担体表面で重合すること
によって得られる光学分割剤は、従来の多孔性担体表面
に吸着して調製された吸着型のものと同様な光学分割能
を有していると共に、かかる従来の吸着型の分割剤では
使用出来ない有機溶媒についても、多糖類誘導体の溶出
は認められず、広範な有機溶媒が使用出来る多糖類誘導
体型分割剤として、極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2において得られた、塩化メチレン注入
量に対する理論段数及び保持比の変化を示すグラフであ
る。
【図2】実施例2において得られた、塩化メチレン注入
量に対する理論段数及び保持比の変化を示す別のグラフ
である。
【図3】実施例2において得られた、移動相の組成がヘ
キサン/THF=7/3の場合におけるクロマトグラム
である。
【図4】実施例2において得られた、移動相の組成がヘ
キサン/THF=5/5の場合におけるクロマトグラム
である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学分割能を有する多糖類を用い、その
    水酸基部位にエステル結合若しくはウレタン結合を介し
    てビニル基を導入せしめてなる多糖類誘導体が、多孔性
    担体の表面において重合せしめられて、かかる多糖類誘
    導体の重合生成物からなる層が、該多孔性担体の表面に
    形成されていることを特徴とする光学分割剤。
  2. 【請求項2】 光学分割能を有する多糖類を用い、その
    水酸基部位にエステル結合若しくはウレタン結合を介し
    てビニル基を導入せしめてなる多糖類誘導体が、ビニル
    基を導入した多孔性担体に対して共重合せしめられて、
    該多孔性担体の表面に、かかる共重合によって生じた重
    合生成物の層が形成されていることを特徴とする光学分
    割剤。
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